JP4932662B2 - 金属微粒子、それを溶媒に分散した金属コロイド液及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の金属微粒子の製造方法は、液相還元法であるため、金属微粒子を比較的廉価に製造することができ、また、製造した金属微粒子は、そのままの状態で、あるいは必要に応じて透析、固液分離、洗浄、乾燥等を行って、溶媒に分散することができることから、金属微粒子を溶媒に分散した金属コロイド液も比較的廉価に製造することができる。
(1)水酸基の置換位置が1〜4位から選ばれる2ヶ所であり、カルボニル基の置換位置が5〜8位から選ばれる2ヶ所であるジヒドロキシ−ジベンゾフラン−ジオン及びそれらの誘導体、例えば1,2−ジヒドロキシ−ジベンゾフラン−7,8−ジオン、2,4−ジヒドロキシ−ジベンゾフラン−5,7−ジオン、1,2−ジヒドロキシ−4,5−ジカルボキシ−ジベンゾフラン−7,8−ジオンなど、
(2)水酸基の置換位置が1〜3位から選ばれる2ヶ所、4位の1ヶ所、及び6位、7位から選ばれる1ヶ所であるテトラヒドロキシ−5H−ベンゾ[7]アンヌレン−5−オン及びそれらの誘導体、例えば2,3,4,6−テトラヒドロキシ−5H−ベンゾ[7]アンヌレン−5−オン(一般名プルプロガリン)など、
(3)(1)又は(2)の化合物を更に酸化重合した化合物、
(4)(1)〜(3)から選ばれる少なくとも一種の化合物と2価及び3価のフェノール化合物及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種の化合物とを酸化重合した化合物。ここで、誘導体とは、酸化重合物の分子内の小部分の変化によって生成する化合物をいい、例えば、酸化重合物に含まれる水素原子をアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基等で置換したものである。
(2)の方法において用いる、フェノール化合物の酸化重合物は還元力があって、金属化合物を還元するとともに、還元反応等で酸化されたものや過剰なものが、配位や吸着して、生成した金属微粒子の表面に存在する。フェノール化合物の酸化重合物しては、前記のとおりフェノール化合物分子の一部を酸化しながら分子2個以上が結合し重合して生成した炭素縮合多環性化合物を用いることができ、例えば、下記の(1)〜(4)から選ばれる少なくとも一種を好ましく用いられる。
(1)水酸基の置換位置が1〜4位から選ばれる2ヶ所であり、カルボニル基の置換位置が5〜8位から選ばれる2ヶ所であるジヒドロキシ−ジベンゾフラン−ジオン及びそれらの誘導体、例えば1,2−ジヒドロキシ−ジベンゾフラン−7,8−ジオン、2,4−ジヒドロキシ−ジベンゾフラン−5,7−ジオン、1,2−ジヒドロキシ−4,5−ジカルボキシ−ジベンゾフラン−7,8−ジオンなど、
(2)水酸基の置換位置が1〜3位から選ばれる2ヶ所、4位の1ヶ所、及び6位、7位から選ばれる1ヶ所であるテトラヒドロキシ−5H−ベンゾ[7]アンヌレン−5−オン及びそれらの誘導体、例えば2,3,4,6−テトラヒドロキシ−5H−ベンゾ[7]アンヌレン−5−オン(一般名プルプロガリン)など、
(3)(1)又は(2)の化合物を更に酸化重合した化合物、
(4)(1)〜(3)から選ばれる少なくとも一種の化合物と2価及び3価のフェノール化合物及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種の化合物とを酸化重合した化合物。ここで、誘導体とは、酸化重合物の分子内の小部分の変化によって生成する化合物をいい、例えば、酸化重合物に含まれる水素原子をアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基等で置換したものである。
本発明の金属微粒子、金属コロイド液を電極、回路配線パターンの形成に用いるには、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の方法により、基板に塗布した後、塗布物を適当な温度で加熱焼成する。また、塗膜の形成に用いるには、例えば、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、刷毛塗り等の方法により、基材に塗布し乾燥する。あるいは、スクリーン印刷やインクジェット印刷などの印刷方法や転写方法を用いて塗膜を形成することもできる。
装飾を施す物品の具体例としては、
(1)自動車、トラック、バスなどの輸送機器の外装、内装、バンパー、ドアノブ、サイドミラー、フロントグリル、ランプの反射板、表示機器等、
(2)テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、パーソナルコンピューター、携帯電話、カメラなどの電化製品の外装、リモートコントロール、タッチパネル、フロントパネル等、
(3)家屋、ビル、デパート、ストアー、ショッピングモール、パチンコ店、結婚式場、葬儀場、神社仏閣などの建築物の外装、窓ガラス、玄関、表札、門扉、ドア、ドアノブ、ショーウインド、内装等、
(4)照明器具、家具、調度品、トイレ機器、仏壇仏具、仏像などの家屋設備、
(5)金物、食器などの什器、
(6)飲料水、タバコなどの自動販売機、
(7)合成洗剤、スキンケア、清涼飲料水、酒類、菓子類、食品、たばこ、医薬品などの容器、
(8)表装紙、ダンボール箱などの梱包用具、
(9)衣服、靴、鞄、メガネ、人口爪、人口毛、宝飾品などの衣装・装飾品、
(10)野球のバット、ゴルフのクラブなどのスポーツ用品、つり具などの趣味用品、
(11)鉛筆、色紙、ノート、年賀はがきなどの事務用品、机、椅子などの事務機器、
(12)書籍類のカバーやオビ等、人形、ミニカーなどのおもちゃ、定期券などのカード類、CD、DVDなどの記録媒体、などが挙げられる。また、人間の爪、皮膚、眉毛、髪の毛などを基材とすることができる。
イオン交換水4352ミリリットル中に、ピロガロール135ミリモルを溶解し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを10.3に調整した後、大気中で40分間撹拌しピロガロールの酸化重合物の溶液を調製した。撹拌後の溶液は赤褐色に変色した後、更に濃色に変色しており、酸化重合物が生成していることが判った。この還元剤溶液中に100ミリモルの硝酸銀を含む水溶液68ミリリットルを添加し、撹拌機を用いて、室温にて1時間撹拌した後、遠心分離し、沈降物を得た。この沈降物にアンモニア溶液とイオン交換水を固形分が50%、pHが10になるように仕込み、超音波分散機を用いて分散させ、本発明の銀コロイド分散液(試料A)を得た。
実施例1で用いたピロガロールの酸化重合物は、1,2−ジヒドロキシ−ジベンゾフラン−7,8−ジオン及びそれを更に酸化重合した化合物を含むと推定され、試料Aの表面には前記の酸化重合物やその酸化体が存在すると推定された。
実施例1においてピロガロールを没食子酸に替えて酸化重合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして本発明の銀コロイド分散液(試料B)を得た。
実施例2で用いた没食子酸の酸化重合物は、1,2−ジヒドロキシ−4,5−ジカルボキシ−ジベンゾフラン−7,8−ジオン及びそれを更に酸化重合した化合物を含むと推定され、試料Bの表面には前記の酸化重合物やその酸化体が存在すると推定された。
実施例1において、ピロガロールをイオン交換水に溶解した後、ピロガロール水溶液のpH調整及び大気中の撹拌を行わずに、ピロガロール水溶液に硝酸銀水溶液を添加したこと以外は実施例1と同様したところ、銀微粒子は得られたが、この銀微粒子は、分散せず凝集していた。
没食子酸0.8gをイオン交換水100ミリリットルに加えて没食子酸水溶液を調製し、没食子酸水溶液のpH調整及び大気中の撹拌を行わずに、没食子酸水溶液に、硝酸銀1.97gをイオン交換水100ミリリットルに溶解した硝酸銀水溶液と1規定水酸化ナトリウム10ミリリットルを添加したところ、pHは2.3であった。引き続き、1時間撹拌したところ、銀微粒子は得られたが、この銀微粒子は、分散せず凝集していた。
実施例1、2で得られた銀コロイド分散液(試料A、B)を、銀濃度が0.008g/リットルになるように希釈した後、分光光度計(U‐3300:日立製作所製)を用い、透過長1cmのセルを用いて、吸光度を測定した。結果を図1に示す。いずれも波長が400nmの近辺で大きな吸光が認められており、これは銀コロイド特有のフラズモン共鳴による吸収であると考えられる。
また、試料A10gに分散剤(BYK‐333:ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.01gを混合し、銀インクにした。この銀インクを#3バーコーターを用いて、ガラス板に塗布し、80℃の温度で30分間乾燥させ塗膜化し、分光測色計を用いてこの塗膜の正反射光を除去した反射率のY値(YSCE)、正反射光を含んだ反射率のY値(YSCI)を測定した。結果を表1に示す。YSCEが小さい程、塗膜表面での可視光の散乱が生じ難く、YSCIが大きい程、金属光沢が高い。本発明により得られた塗膜が、鏡面を呈していることが判る。また、前記の塗膜を密閉状態で保管したところ、鏡面に変化がほとんどなく、白色に変色し難いことを確認した。
Claims (13)
- フェノール化合物の酸化重合物及び/又はその酸化体を表面に少なくとも有した金属微粒子。
- 前記の金属微粒子の平均粒子径が1〜100nmである請求項1に記載の金属微粒子。
- 請求項1に記載の金属微粒子が溶媒に分散した金属コロイド液。
- フェノール化合物の酸化重合物と金属化合物とを混合して金属化合物を還元することを特徴とする金属微粒子の製造方法。
- フェノール化合物の酸化重合物と金属化合物とを混合して金属化合物を還元することを特徴とする金属微粒子が溶媒に分散した金属コロイド液の製造方法。
- 前記酸化重合物が、2価及び/又は3価のフェノール化合物を酸化重合させたものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属微粒子又は金属コロイド液の製造方法。
- 前記フェノール化合物が、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、没食子酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の金属微粒子又は金属コロイド液の製造方法。
- 前記酸化重合物が、pHが6以上の媒液中でフェノール化合物を酸化重合させたものであることを特徴とする請求項6に記載の金属微粒子又は金属コロイド液の製造方法。
- 前記酸化重合物が、フェノール化合物と酸化剤とを混合して酸化重合させたものであることを特徴とする請求項6に記載の金属微粒子又は金属コロイド液の製造方法。
- 酸化剤として空気を用いることを特徴とする請求項9に記載の金属微粒子又は金属コロイド液の製造方法。
- 前記酸化重合物が、下記の(1)〜(4)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属微粒子又は金属コロイド液の製造方法。
(1)水酸基の置換位置が1〜4位から選ばれる2ヶ所であり、カルボニル基の置換位置が5〜8位から選ばれる2ヶ所であるジヒドロキシ−ジベンゾフラン−ジオン及びそれらの誘導体、
(2)水酸基の置換位置が1〜3位から選ばれる2ヶ所、4位の1ヶ所、及び6位、7位から選ばれる1ヶ所であるテトラヒドロキシ−5H−ベンゾ[7]アンヌレン−5−オン及びそれらの誘導体、
(3)(1)又は(2)の化合物を更に酸化重合した化合物、
(4)(1)〜(3)から選ばれる少なくとも一種の化合物と2価及び3価のフェノール化合物及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種の化合物とを酸化重合した化合物。 - 請求項1に記載の金属微粒子又は請求項3に記載の金属コロイド液を用いて形成されることを特徴とする塗膜。
- 少なくとも基材の表面の一部に請求項12に記載の塗膜を形成したことを特徴とする装飾物品。
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