JP4923829B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明はテアリング装置に関する。
従来、リング状バネ部品としてトレランスリングが知られている(特許文献1)。トレランスリングは、周方向に延設されたリング部と、リング部の径外方向に突出する複数個の突部とを備えている。トレランスリングは第1部材と第2部材との間に介装される。そして、入力トルクが設定トルク値よりも小さいとき、第1部材と第2部材とを一体回転させる。これに対して入力トルクが設定トルク値よりも大きいとき、トレランスリングに滑りが発生し、第1部材と第2部材との相対回転を許容する。
また特許文献2には、トレランスリングを用いたトルクリミッタを備える電動パワーステアリング装置が開示されている。特許文献3には、トレランスリングを用いたトルクリミッタを適用可能な舵角比可変装置を備えるステアリング装置が開示されている。
特開2005−114025号公報 特開2002−308119号公報 特開2006−044402号公報
上記したトレランスリングの摩耗が進行した場合には、第1部材と第2部材との相対回転を許容する設定トルク値(リミットトルク)が変動する。この場合、入力されるトルクが設定トルク値よりも低いときであっても、トレランスリングが滑り始める等、トルクリミッタとしての性能が変動することがある。
本発明は上記した事情に鑑みなされたものであり、耐摩耗性を向上させ、過剰な滑りを抑えるのに有利であり、磁束が透過しにくいリング状バネ部品で形成されたトレランスリングを搭載するステアリング装置を提供する。
本発明者は、上記した課題のもとにステアリング装置に使用されるトレランスリングについて鋭意開発を進めている。そして本発明者はトレランスリングの非磁性のオーステナイト系の母材に、リン含有量が11〜13質量%であり300〜400℃にて熱処理されたニッケル−リン系の無電解メッキ層が下地層を介して表面処理として形成されれば、滑り回数が増加したとしても、滑りトルクの低下が少なく抑えられ、上記した課題が達成されることを知見し、試験により確認した。上記した効果が得られる理由としては、滑り回数が増加したときであっても、トレランスリングにおける耐摩耗性、摩擦係数が適切に維持されるためであると推察される。
様相1に係るステアリング装置は、ステアリングを操作することにより回転される入力軸と、入力軸と車輪との間に設けられ入力軸の回転を車輪側に伝達する出力軸と、入力軸と出力軸との間に設けられ入力軸の回転を減速させる減速機と、入力軸と出力軸との間に設けられモータ回転に伴い入力軸の回転を増加または減少させるモータ軸をもつモータと、モータ軸に同軸的に嵌合するロック部材と、ロック部材とモータ軸との間に介装され、ロック部材またはモータ軸に入力される入力トルクが設定トルク値よりも小さいときモータ軸とロック部材とを一体回転させ、入力トルクが設定トルク値よりも大きいときモータ軸とロック部材との相対回転を許容するトレランスリングと、ロック部材に係合してロック部材をロックする係合部材と、磁路を形成するソレノイドで係合部材を動作させてロック部材と係合部材との係合および係合解除を行うソレノイドをロック作動部とを具備するステアリング装置において、
トレランスリングは、
O形状またはC形状をなすリング部と、リング部にこれの周方向において間隔を隔てて並設された突部とを備えるリング状バネ部品で形成されており、
リング状バネ部品の母材は、非磁性のオーステナイト系の金属材料で形成されており、リン含有量が11〜13質量%であり300〜400℃にて熱処理されたニッケル−リン系の無電解メッキ層が下地層を介してリング状バネ部品の母材に施されていることを特徴とする。
様相1に係るステアリング装置によれば、トレランスリングは、ロック部材とモータ軸との間に介装されており、ロック部材またはモータ軸に入力される入力トルクが設定トルク値よりも小さいときモータ軸とロック部材とを一体回転させ、入力トルクが設定トルク値よりも大きいときモータ軸とロック部材との相対回転を許容する。リング状バネ部品で形成されているトレランスリングには、リン含有量が11〜13質量%であり300〜400℃にて熱処理されたニッケル−リン系の無電解メッキ層が下地層を介して母材に施されている。このため耐摩耗性が向上する。従ってリング状バネ部品の滑り回数が増加したとしても、リング状バネ部品の長寿命化が図られる。このリング状バネ部品は、磁束が透過しにくくされている。
本発明に係るステアリング装置によれば、リング状バネ部品で形成されたトレランスリングの母材は、非磁性のオーステナイト系の金属材料で形成されており、この母材にはニッケル−リン系の無電解メッキ層が下地層を介して施されているため、トレランスリングの耐摩耗性が向上し、トレランスリングの表面粗さも良好に維持される。従ってリング状バネ部品で形成されているトレランスリングの滑り回数が増加したとしても、滑りトルクの低下が抑制され、トレランスリングの本来の機能が確保される。よってトレランスリングの長寿命化が図られる。更に本発明によれば、リング状バネ部品で形成されたトレランスリングは磁束が透過されにくく、非磁性の状態で使用するのに適する。

リング状バネ部品で形成されたトレランスリングは、O形状またはC形状をなすリング部と、リング部に周方向において間隔を隔てて並設された複数の突部とを備えており、径方向におけるバネ性を有する。突部は、リング状バネ部品の径方向における外方および/または内方に突出している。リング部および突部の形状はそれぞれ明確に区別できる形態でも良い。あるいは、波形が多数回繰り返されている形態とし、径方向の外方あるいは内方に突出している部分を突部としても良い。
リング状バネ部品で形成されたトレランスリングの種類等に応じて、突部の数は適宜選択できる。例えば3〜50個内、3〜30個以内に設定できるが、これらに限定されるものではない。リング状バネ部品の母材としては非磁性を有する材料とする。殊に、非磁性のオーステナイト系の金属材料(オーステナイト系のステンレス鋼等の合金鋼)とする。ソレノイド付近で使用されることが多いため、リング状バネ部品が容易に磁化されないようするためである。
リング状バネ部品で形成されたトレランスリングの表面には、ニッケル−リン系の無電解メッキ層が表面処理として下地層を介してリング状バネ部品の母材に施されている。ニッケル−リン系の無電解メッキ層は、表面粗さの増加を抑えるのにも有利である。無電解メッキの場合には、浴組成として、ニッケル塩(例えば硫酸ニッケル、塩化ニッケル)、還元剤(例えば次亜リン酸ナトリウム)、PH調整剤(例えば苛性ソーダ、アンモニア水、硫酸)を主要成分とすることができる。この場合、無電解メッキ層は非晶質でも良いし、あるいは結晶質(超微細結晶質)でも良い。ニッケル−リン系の無電解メッキ層としては、ニッケル−リンのメッキ層、ニッケル−リン−ボロンのメッキ層、ニッケル−リン−フッ素樹脂(例えばPTFE)のメッキ層、ニッケル−リン−硬質粒子(例えばSiC)のメッキ層が挙げられる。還元剤としてボロン化合物(例えば水素化ボロンナトリウム)を用いると、還元剤に含まれるボロンを含むニッケル−リン−ボロンのメッキ層が得られる。必要に応じて他の成分も含有することができる。
ニッケル−リン系の無電解メッキ層の硬さとしては、耐摩耗性および相手攻撃性を考慮する必要があり、500以上、Hv600以上、Hv800以上、更にはHv900以上、Hv1000以上を採用できる。上限硬さとしてはHv1300を採用できる。よってHv600〜1200、Hv700〜1100を採用できる。
ニッケル−リン系の無電解メッキ層の下地層として、ニッケル系メッキが施されていることが好ましい。この場合、リング状バネ部品の母材とニッケル−リン系の無電解メッキ層の密着性を向上させることができる。下地層として機能するニッケル系メッキとしてはニッケルのストライクメッキが好ましい。下地層は、電気メッキで被覆することができるが、これに限定されるものではない。一般的には、下地層のメッキ層の厚みは、ニッケル−リン系の無電解メッキ層の厚みよりも薄く、また、下地層のメッキ層の硬さは、ニッケル−リン系の無電解メッキ層の硬さよりも低いことが好ましい。
ニッケル−リン系の無電解メッキ層において、リン含有量はリング状バネ部品の使用環境、メッキの条件等に応じて、適宜選択されるが、ニッケル−リン系の無電解メッキ層における磁束の透過しにくさを考慮すると、リン含有量は11〜13質量%を採用できる。ここで、リン含有量が4質量%未満の低リン系、リン含有量が4〜10質量%未満の中リン系よりも、リン含有量が10〜12質量%の高リン系が好ましい。残部は実質的にニッケル成分が例示されるが、ボロン、フッ素樹脂等を含有していても良い。無電解メッキの場合には、浴組成のリン酸濃度が高いほど、リン含有量が高くなる。
ニッケル−リン系の無電解メッキ層に対して、300〜400℃以下の熱処理を施す。この場合、ニッケル−リン系の無電解メッキ層の耐摩耗性を更に高めることができる。ここで、熱処理温度が高いと、メッキ層の硬さが低下する傾向があり、更にニッケル−リン系の無電解メッキ層が磁性を帯びることがある。また熱処理温度が高いと、リング状バネ部品の歪みが増加し、組付スペースが小さい場合には組付性が低下するおそれがある。また熱処理温度が高いと、リング状バネ部品の母材の性質が変化するおそれがある。リング状バネ部品が合金鋼系であるときには、炭化物の生成によりリング状バネ部品の性質が低下するおそれがある。これに対して熱処理温度が過剰に低いと、無電解メッキ層の硬さが低下する傾向がある。かかる点を考慮し、熱処理温度の上限としては、400℃を採用できる。熱処理温度の下限としては、300℃、350℃を採用できる。熱処理雰囲気としては、大気雰囲気、非酸化性雰囲気を採用できる。熱処理時間としては熱処理温度、熱処理雰囲気等に応じて適宜選択されるが、1分間〜3時間程度、5分間〜1時間、5分間〜30分間程度が例示される。
テアリング装置は、ステアリングを操作することにより回転される入力軸と、入力軸と車輪との間に設けられ入力軸の回転を車輪側に伝達する出力軸と、入力軸と出力軸との間に設けられ入力軸の回転を減速させる減速と、入力軸と出力軸との間に設けられモータ回転に伴い入力軸の回転を増加または減少させるモータ軸をもつモータと、モータ軸に同軸的に嵌合するロック部材と、ロック部材とモータ軸との間に介装されたトレランスリングと、ロック部材に係合してロック部材をロックする係合部材と、係合部材をソレノイドで動作させてロック部材と係合部材との係合および係合解除を行うロック作動部と備えている。トレランスリングは、上記様相に係るリング状バネ部品で形成されている。トレランスリングは、前述したようにロック部材とモータ軸との間に介装されており、入力トルクが設定トルク値よりも小さいときモータ軸とロック部材とを一体回転させ、入力トルクが設定トルク値よりも大きいときモータ軸とロック部材との相対回転を許容する。ここで、ロック作動部が一方向に動作すると、係合部材が一方向に動作し、ロック部材と係合部材との係合が行われる。ロック作動部が他方向に動作すると、係合部材が他方向に動作し、ロック部材と係合部材との係合解除が行なわれる。
以下、本発明の実施例1について、図1〜図3を参照して説明する。図1はトレランスリング100の平面図を示す。図2は、トレランスリング100がトルクリミッタに使用されている状態において、これの軸芯P1と平行な方向に沿って切断した断面を示す。図1及び図2に示すように、リング状バネ部品としてのトレランスリング100は、これの軸芯P1のまわりでC形状に連続する金属板で形成されたリング部101と、リング部101に周方向において間隔を隔てて並設された複数の突部103とを備えている。突部103は、内側に空間106を形成するように、プレス成形により径外方向に膨出成形されている。突部103間は、突部103が形成されていない非突部面102とされている。突部103の周方向のピッチPAは用途等に応じて適宜設定できる。
図3(A)は、トレランスリング100の軸芯P1に沿った断面の要部を示す。即ち、図3(A)は、トレランスリング100の軸長方向の断面を示す。図3(B)は、トレランスリング100の軸芯P1に対して直交する断面の要部を示す。即ち、図3(B)は、トレランスリング100の軸直角方向の断面を示す。
図3(A)に示すように、突部103は、リング部101の軸長方向における中央領域に形成されている。突部103は、軸芯P1と平行な方向に沿って延びる長さL1を有する頂部104と、頂部104の内壁面104i側に形成された空間106と、頂部104の軸長方向の軸端部104aからリング部101の軸端部101xに向けて外径および内径が小さくなるように下降傾斜する第2傾斜部108とを備えている。空間106は軸芯P1に沿って延設されている。第2傾斜部108の軸長方向外側には、空間109aが形成されている。
また、図3(B)に示すように、頂部104の外壁面104pは、外壁面104pの周方向外側に空間109bを形成しつつ、円弧凸形状に丸みを帯びている。頂部104の内壁面104iは、その内側に空間106を形成しつつ、円弧凸形状に丸みを帯びている。図3(B)に示すように、突部103は山形状をなしている。突部103の両側には、頂部104からリング部101側に向けて周方向に沿って下降傾斜する第1傾斜部105が膨出されて延設されている。
トレランスリング100はソレノイド付近で使用されることが多いため、容易に磁化されないように、非磁性材料(常磁性材料を含む)であることが好ましい。このためトレランスリング100の母材は非磁性のオーステナイト系の金属材料、具体的には、オーステナイト系のステンレス鋼で形成されている。非磁性、強度、耐食性等の確保に有利である。この場合、JIS−SUS301が採用され、クロムが16〜18質量%、ニッケルが6〜8質量%、マンガンが2質量%以下含有されている。但しこれに限定されるものではない。
図3(A)および(B)に示すように、トレランスリング100の全体の表面には、ニッケル−リンの無電解メッキ層200(平均厚み:約20マイクロメートル)が表面処理として施されている。従ってリング部101および突部103の表面(外壁面および内壁面を含む)には、無電解メッキ層200が被覆されている。突部103の第1傾斜部105、第2傾斜部108にも、リング部101の軸端面101mにも、無電解メッキ層200が被覆されている。これによりトレランスリング100の全体の耐食性が向上している。
無電解メッキ層200の組成は、Pが11〜13質量%、残部が実質的にニッケルとされている。無電解メッキ層200は、適度な硬さおよび耐摩耗性を有しており、滑り回数が増加したとしても、表面粗さの増加、相手攻撃性の増加を抑えるのに有利である。
ニッケル−リンの無電解メッキ層200を被覆するにあたり、浴組成として次亜リン酸ナトリウム、硫酸ニッケル等を主要成分とすることができる。無電解メッキ層200と母材との間には、ストライクメッキ(電気メッキ)により、ニッケル−リンの無電解メッキ層200の下地層202(厚み:1マイクロメートル以下)が施されている。下地層202の厚みは無電解メッキ層200の厚みよりも薄い。下地層202により、トレランスリング100の母材に対する無電解メッキ層200の密着性および追従性を一層向上させることができる。下地層202を被覆したトレランスリング100をメッキ浴に浸漬させて、ニッケル−リンの無電解メッキ層200をトレランスリング100の表面に被覆する。
無電解メッキした後に、トレランスリング100に対して300〜400℃の温度範囲のうち所定温度(380〜420℃、殊に400℃)にて、大気雰囲気において熱処理を所定時間(1時間)施す。この場合、無電解メッキ層200の硬さひいては耐摩耗性を更に高めることができる。更にこの温度範囲内であれば、熱処理に起因するトレランスリング100の歪みも少なく、組付スペースが狭いときであっても、トレランスリング100の組付性が損なわれることが抑制される。
図2は試験例に係り、ステアリング装置に使用されているトルクリミッタ300の要部を示す。トルクリミッタ300は、軸状の第1部材301と、第1部材301の外壁面が嵌合する嵌合孔303をもつ軸状の第2部材302と、第1部材301の外壁面と第2部材302の嵌合孔303の内壁面との間に介装されたトレランスリング100(リング状バネ部品)とを備えている。嵌合孔303の断面は円形状をなす。第1部材301の断面は円形状をなす。トレランスリング100の突部103は、径方向外方においてバネ力を発揮するため、圧接力を有する。なお、一般的には、トレランスリング100は無潤滑状態で使用されるが、これに限定されるものではない。
通常の状態では、トレランスリング100の突部103は、第1部材301と第2部材302との間において付勢力を発揮し、第2部材302の嵌合孔303の内壁面303iに圧着している。ここで、第1部材301または第2部材302に入力される入力トルクが設定トルク値よりも小さいときには、トレランスリング100の突部103は、第1部材301と第2部材302との間において圧着力を発揮しているため、第1部材301と第2部材302とを一体回転させることができる。従って第1部材301および第2部材302のうちの一方が駆動側であれば、第1部材301および第2部材302のうちの他方の従動側に入力トルクがトレランスリング100を介して伝達される。しかしながら入力トルクが設定トルク値よりも大きいとき、トレランスリング100の突部103は滑りにより滑り作用を果たす。故に、周方向において第1部材301と第2部材302とが相対回転することができ、トルクリミッターとしての機能が得られる。
ここで、入力トルクが過大となる回数が多く、トレランスリング100の滑り回数が増加すると、滑りに伴い、トレランスリング100の摩耗が次第に進行する。特に、突部103の頂部104の摩耗が進行する。よってトレランスリング100による伝達トルクが次第に低下する傾向がある。この点本実施例によれば、トレランスリング100の母材の表面には、ニッケルの下地層202を介して、ニッケル−リン系の無電解メッキ層200が表面処理として施されている。このためトレランスリング100の耐摩耗性が向上する。故に、トレランスリング100の滑り回数が増加したとしても、トレランスリング100の突部103の頂部104の摩耗が抑制される。従って、トレランスリング100の滑り回数(入力トルクが設定トルク値よりも大きいときの回数)が増加したとしても、トレランスリング100によるバネ性の低下が抑制される。故に、滑り回数が増加したとしても、第1部材301と第2部材302との間で伝達される伝達トルクの低下が抑制される。よってトレランスリング100の長寿命化が図られる。
ところでトルクリミッタ300の使用時には、図3(A)において、トレランスリング100の軸芯P1を矢印X1,X2方向に変位させる向きの負荷が、トレランスリング100、第1部材301、第2部材302等に作用するおそれがある。この点本実施例によれば、図3(A)に示すように、突部103の頂部104に無電解メッキ層200が被覆されている他に、頂部104の軸端部104aにおいても無電解メッキ層200が被覆されており、更に、頂部104の両側の第2傾斜部108においても無電解メッキ層200が被覆されている。このため、矢印X1,X2方向における負荷が作用するときであっても、トレランスリング100の全体の耐摩耗性が良好に確保される。殊に、頂部104の軸端部104aの外壁面を覆う無電解メッキ層200は、トレランスリング100の母材よりも硬く、耐摩耗性を有するため、矢印X1,X2方向における過剰な負荷を抑制するのに有効であると考えられる。
またトルクリミッタ300の使用時には、図3(B)において、トレランスリング100をこれの周方向に沿って矢印R1,R2方向に変位させる向きの負荷が、トレランスリング100、第1部材301、第2部材302等に作用することがある。この点本実施例によれば、図3(B)に示すように、突部103の頂部104に無電解メッキ層200が被覆されている他に、頂部104の両側の第1傾斜部105にも無電解メッキ層200が被覆されている。このため、矢印R1,R2方向における過剰な負荷がトレランスリング100、第1部材301、第2部材302等に作用するときであっても、トレランスリング100の耐摩耗性が良好に確保される。
また、トレランスリング100にこれの周方向に過剰な負荷が作用するときであっても、突部103の丸みを帯びた頂部104の周方向両側には、空間109b(図3(B)参照)が形成されている。このため、頂部104に被覆されている無電解メッキ層200に過剰な負荷が作用しにくい。更に、突部103の内側には空間106(図3(B)参照)が形成されているため、過剰な負荷が突部103に作用するとき突部103の弾性変位(トレランスリング100の径方向等への弾性変位)を期待でき、頂部104に被覆されている無電解メッキ層200に過剰な負荷が作用しにくい。更に、無電解メッキ層200とトレランスリング100の母材との間には、ニッケルの下地層202が形成されているため、突部103の弾性変位に対する無電解メッキ層200の追従性および密着性も良好に確保される。このため、負荷が作用する頂部104に被覆されている無電解メッキ層200の耐久性の向上、長寿命化に一層有利となる。
突部103の数を減少(例えば20個以下)させれば、狭い組付スペースであっても、トレランスリング100の組付作業性が向上する。しかしながらこの場合には、1個の突部103が受ける荷重が増加するため、突部103が摩耗し易くなるおそれがある。この点本実施例によれば、上記したようにトレランスリング100の耐摩耗性が高められているため、突部103の数を減少させてピッチPAを大きくしたとしても、突部103の摩耗が良好に抑制される。なお、無電解メッキ層の組成は、リンが11〜13質量%、残部実質的にニッケルとされている。
(試験例)
図4は、トレランスリング100に被覆された無電解メッキ層200(リン含有量:8〜10質量%)の硬さと熱処理温度との関係に関する試験結果を示す。この場合には、熱処理時間は1時間とした。試験片の材質はオーステナイト系のステンレス鋼(JIS−SUS301)であり、クロムが16〜18質量%、ニッケルが6〜8質量%含有されている。図4の横軸は熱処理の温度、図4の縦軸は無電解メッキ層200の熱処理後の硬さ(Hv,荷重100g)を示す。この特性線に示すように、熱処理温度が高くなり過ぎると、無電解メッキ層200の硬さは低下する。熱処理温度が低くなり過ぎると、無電解メッキ層200の硬さは低下する。熱処理温度が380〜420℃付近、殊に400℃付近において、硬さが最高域となる。このため無電解メッキ層200の硬さを確保する意味では、熱処理の温度は260〜520℃程度、300〜480℃程度が好ましい。この範囲であれば、トレランスリング100の歪み、機械的性質の低下も抑えられる。
図5は、試験回数(トレランスリング100の滑り総回数)と滑りトルクとの関係を示す試験結果を示す。図5の横軸は試験回数(相対表示)を示し、図5の縦軸は滑りトルク(相対表示)を示す。この試験では、トレランスリング100をステアリング装置(実機)に組付けた状態で、車輪側から逆入力トルクを所定回数加えた。トレランスリング100が滑り始めたトルクを滑りトルクとする。滑りトルクが目標値未満となるまで、試験回転を増加させた。比較例として、トレランスリングの現行品(無電解メッキ層および下地層の被覆なし、特性線A)、トレランスリングの表面に化学エッチングを施して表面粗さを調整したもの(特性線C)についても、同様な条件で滑りトルクを測定する試験を行った。化学エッチングは、トレランスリングの表面を高摩擦係数に維持し、摩擦係数の低下を抑制するために有効である。
特性線A,B,Cに示すように、試験回数が増加すると、滑りトルクが次第に低下する。現行品において滑りトルクが飽和した値を目標値とする。特性線Bに示すように、下地層を介して無電解メッキ層がトレランスリングに施されている試験片については、初期の摩擦係数があまり高くないため、試験回数が少ないときでも、滑りトルクはさほど高くない特性をもつ。しかしながら試験回数が増加したときであっても、滑りトルクの低下は最も少なく、目標値をかなり上回っている。これに対して、図5の特性線Cに示すように、化学エッチングが施されている試験片については、初期の摩擦係数が高いため、初期の滑りトルクが最も高く、故に、試験回数が少ないときには滑りトルクは高い特性をもつ。しかしながら試験回数が増加すると、特性線Cに示すように、滑りトルクが大きく低下し、試験回数がN2を越えると、目標値を下回っている。このことから、無電解メッキ層の表面処理をトレランスリングに施すことが効果的であることがわかる。
ステアリング装置に適用した実施例2について説明する。トレランスリング100の実施例2によれば、無電解メッキ層200としては、ニッケル−リン−ボロン系とされている。メッキ浴としては、塩化ニッケル、エチレンジアミン、水素化ボロンを主要成分とする。還元剤としてボロン化合物としての水素化ボロンナトリウムを用いると、還元剤に含まれるボロンを含むニッケル−リン−ボロンの無電解メッキ層が得られる。リンが11〜13質量%、ボロンが1〜5質量%とされている。無電解メッキ後に、400℃付近で1時間程度熱処理されている。
本実施例においても、トレランスリング100の母材の表面には、下地層202を介して、無電解メッキ層200が表面処理として施されている。このためトレランスリング100の滑り回数が増加したとしても、トレランスリング100の耐摩耗性が向上する。殊に、トレランスリング100の突部103の耐摩耗性が向上する。従って、トレランスリング100の滑り回数(入力トルクが設定トルク値よりも大きいときの回数)が増加したとしても、トレランスリング100によるバネ性の低下が抑制される。故に、周到回数が増加したとしても、第1部材301と第2部材302との間で伝達される伝達トルクの低下が抑制される。よってトレランスリング100の長寿命化が図られる。
実施例3について図6〜図8を参照して説明する。実施例3は、本発明を車両用のステアリング装置に適用している。図6は、車両用のステアリング装置1の軸長方向に沿った断面図を示す。ステアリング装置1は、図6の上側に配置されるステアリングホイール(図示せず)と、図6の下側に配置される車輪側のラック軸50との間のステアリング軸の部分に搭載されている。つまり、図6において、車両用ステアリング装置1の上側には、ステアリングホイールが連結されている。車両用ステアリング装置1の下側には、ラック軸50が連結されている。
図6に示すように、車両用ステアリング装置1は、舵角比可変装置(VGR装置)2と、トルク検出装置3とを備える。舵角比可変装置2は、運転者等により操舵されるステアリングホイールのステアリング角と、車輪(図示せず)の転舵角との比(いわゆる、舵角比)を変化(増加または減少)させることのできる装置である。舵角比可変装置2は、入力軸11と、入力軸11からトルクが中間軸12と、モータ13と、減速機14とを備えている。トルク検出装置3は、ステアリングホイールの操舵により生じたトルクを検出する装置である。このトルク検出装置3は、電動パワーステアリング装置の一部を構成し、ラック軸50に配置された電動パワーステアリング装置の電動機を駆動するための信号を出力する。
図示しないものの、入力軸11の上端側は、運転者等により操舵されるステアリング軸に連結されている。従って、入力軸11は、ステアリングホイールのステアリング角を入力する。中間軸12は、入力軸11に入力されたステアリング角に対して、モータ13の駆動により変化された回転角を出力する。
前記したモータ13は、中間軸12の外周側に回転可能に配置されたモータ軸13aと、後述する第1ハウジング31に固定されたステータ13bと、モータ軸13aの外周部に保持された永久磁石13cとを備えている。ステータ13bを構成する励磁コイルに電流を通電することにより、永久磁石13cと共にモータ軸13aが回転する。
前記した減速機14は、公知のハーモニックドライブ減速機で形成されている。図7はこの減速機14の要部を示す。図7に示すように、減速14は、可撓性外歯歯車であるフレクスプライン14aと、フレクスプライン14aを楕円状に撓ませるウェーブジェネレータ14c、フレクスプライン14aとウェーブジェネレータ14cとの間に介在する軸受14fとをもつ。軸受14fは外輪14p、内輪14i、転動体14kをもつ。図7に示すように、フレクスプライン14a(中間係合部)は、入力軸11の剛性内歯歯車である入力側サーキュラスプライン11e(入力側係合部)に噛み合うと共に、中間軸12の剛性内歯歯車である出力側サーキュラスプライン12e(出力側係合部)に噛み合う。ウェーブジェネレータ14cの内周部は、モータ軸13aに結合されている。この結果、減速機14は、モータ13の回転角に応じて、入力軸11の回転角(ステアリング角)を切り増しまたは切り減らして中間軸12に伝達する。
前記したトルク検出装置3は、中間軸12と、トーションバー21と、ピニオン軸22と、検出器23とを備えている。トーションバー21の上端21u側は中間軸12に結合されている。一方、トーションバー21の下端21d側はピニオン軸22に結合されている。つまり、トーションバー21は、ピニオン軸22に対して中間軸12に生じるトルクに応じて捻られる。ピニオン軸22は、下端側にピニオンギヤ22aが形成されている。このピニオンギヤ22aは、出力軸としてのラック軸50のラックギヤ50aに噛合する。検出器23は、中間軸12の下端側部分の外周側、且つ、ピニオン軸22の外周側に配置されている。そして、この検出器23は、中間軸12の回転角とピニオン軸22の回転角を検出することができる。つまり、検出器23は、中間軸12に生じるトルクを検出することができる。
ステアリング装置1のハウジング部4は、モータ13および減速14等を収容する第1ハウジング31と、第1ハウジング31に連結具32により連結された第2ハウジング33とを備えている。第1ハウジング31および第2ハウジング33は、図6に示すように筒状をなしている。
運転者等がステアリングホイールを操舵すると、入力軸11が入力側サーキュラスプライン11eと共に回転し、減速14を介して出力側サーキュラスプライン12eと共に中間軸12が回転し、ひいては、トーションバー21を介してピニオン軸22が回転し、ラック軸50が図の紙面垂直方向に移動する。この結果、ラック軸50に接続されている車輪が操舵される。ここで、舵角比可変装置2のモータ13が駆動するため、入力軸11の回転にモータ13の駆動による回転を上乗せし、中間軸12に伝達する。
図8はロック装置15の要部を示す。このロック装置15は、第1ハウジング31に対してモータ軸13aをロックさせるための装置である。ロック装置15は、軸状の第1部材としてのモータ軸13a、モータ軸13aが嵌合する嵌合孔150aをもつ略リング状の第2部材またはロック部材としてのロックホルダ150と、モータ軸13とロックホルダ150との間に介装されたトレランスリング100とを備えている。更に、ロック装置15は、ロックホルダ150の外周部に複数個形成された係合凹部152にそれぞれ係合可能な係合爪153を一端部にもつ係合部材154と、係合部材154の係合爪153をロックホルダ150との係合方向(矢印W2方向)に付勢する付勢部材としての捻りコイルバネで形成された係合バネ151(ロック作動部)と、係合部材154の中間部を回転可能に支持する支持軸155と、係合部材154の他端部をプランジャ15を介して作動させるソレノイド157(ロック作動部)とを備えている。支持軸155、ソレノイド157は、第1ハウジング31に固定されたモータ13のステータ13b上に設けられている。
トレランスリング100は、前述したようにOリング形状をなすリング部101と、リング部101に間隔を隔てて形成された複数の突部103とを備えている。通常の状態では、トレランスリング100の突部103はロックホルダ150の嵌合孔150aの内壁面にバネ力により圧接しており、モータ軸13aとロックホルダ150とは一体回転する。通常の状態(非ロック時)では、ソレノイド157に通電されてソレノイド157がプランジャ158を離脱方向(矢印W4方向)引張ると共に、離脱バネつまり係合バネ151のバネ力に抗して係合部材154の係合爪153が離脱方向(矢印W1方向)に離脱されており、係合爪153が係合凹部152から離間している。この場合、モータ軸13aの回転が運転者等によるステアリング操作に基づく入力軸11の回転に上乗せられる。換言すると、舵角比可変装置2は、運転者等により操舵されるステアリングホイールのステアリング角と、車輪(図示せず)の転舵角との比(いわゆる、舵角比)を変化(増加または減少)させることできる。
入力トルクが設定トルク値よりも大きいときがある。例えば、車輪が縁石等に乗り上げたような場合である。このような場合、過大なトルクが入力されるため、トレランスリング100の突部103は、ロックホルダ150の嵌合孔150aの内壁面150iに対して滑る。この結果、モータ軸13aとロックホルダ150とは相対回転可能となるため、モータの損傷が回避される。このようにロックホルダ150,トレランスリング100,モータ軸13aによってトルクリミッタが構成されている。
ところで、モータ13の駆動を利用しない場合もある。例えば、予想外の事情によりモータ13が損傷したり、あるいは、車両がかなり高速で走行したりする場合等である。この場合、ソレノイド157への通電が停止される。すると、係合部材154の係合爪153は係合方向(矢印W2方向)に移動し、ロックホルダ150の係合凹部152に係合する。この結果、ロックホルダ150は、固定状態の第1ハウジング31にロックされる。ロックされている場合には、モータ軸13aおよびウェブジェネレータ14cは、第1ハウジング31に固定されている。この状態で、運転者等によりステアリングホイールが操舵されると、入力軸11が入力側サーキュラスプライン11eと共に回転する。ここでウェブジェネレータ14cは第1ハウジング31に固定されているため、回転しない。しかしフレクスプライン14aは軸受14f上で回転できる。このように減速14のフレクスプライン14aが回転するため、フレクスプライン14aと噛合する出力側サーキュラスプライン12eが中間軸12と共に回転し、ひいては、トーションバー21を介して、ピニオン軸22aが回転し、ラック軸50が図6の紙面垂直方向に沿って移動する。このようにしてロックホルダ150、モータ軸13a、ウェブジェネレータ14cがロックされている状態においても、舵角比固定の状態で操舵が可能となっている。
ここで事情によりトレランスリング100に滑りが発生することがある。トレランスリング100に滑りが発生すると、モータ軸13aがロックホルダ150に対して相対回転できるようになる。この結果、モータ軸13aおよびウェブジェネレータ14cの第1ハウジング31に対する固定状態が解除される。この状態で、運転者等によるステアリングホイールの操舵に基づいて、入力軸11が入力側サーキュラスプライン11eと共に回転すれば、フレクスプライン14a、軸受14f、ウェブジェネレータ14cの三者が一体となって回転し、中間軸12の出力側サーキュラスプライン12eへ回転が伝達される。このため、運転者等のステアリングホイールの操舵に応じて、中間軸12ひいてはピニオン軸22aおよびラック軸50を動作させることができる。
さて本実施例によれば、トレランスリング100の母材の表面には、ニッケル−リンの上記した無電解メッキ層200が表面処理として施されている。このためトレランスリング100の滑り回数が増加したとしても、前述したようにトレランスリング100の摩耗が抑えられ、トレランスリング100の耐摩耗性が向上する。殊に、トレランスリング100の突部103の耐摩耗性が向上する。従って、トレランスリング100の滑り回数(入力トルクが設定トルク値よりも大きいときの回数)が増加したとしても、トレランスリング100によるバネ性の低下が抑制される。故に、滑り回数が増加したとしても、モータ軸13aとロックホルダ150との間で伝達される伝達トルクの低下が抑制される。よってトレランスリング100の長寿命化が図られるとともに、トレランスリング100を中心に構成されるトルクリミッタの性能の変動が抑制され、ひいては車両用ステアリング装置1の新羅性が向上する。
ソレノイド157へ通電されるときには、トレランスリング100を介して磁路が形成され、係合爪153と係合凹部152との円滑な係脱動作に支障をきたすことがある。そこで本実施例によれば、トレランスリング100の母材を非磁性材料(オーステナイト系のステンレス鋼)で形成している。更にトレランスリング100の母材に被覆されている無電解メッキ層200も非磁性にしている。ここで、非磁性とは、ソレノイド157へ通電されたとしても、係合爪153と係合凹部152との円滑な係脱動作に支障をきたさないように、磁化されにくい程度の非磁性状態を意味する。
(その他)
上記した実施例によれば、トレランスリング100の母材とニッケル−リン系の無電解メッキ層200との間には、ニッケルの下地層202が形成されているが、下地層202の材質はニッケルに限定されず、他の材質としても良い。上記した実施例によれば、通常時(非ロック時)には、ソレノイド157に通電されて係合爪153が係合凹部152から離間していると共に、ロック時には、ソレノイド157への通電を停止することにしているが、通電と通電停止の関係を逆にしても良い。減速機14は、公知のハーモニックドライブ減速機に限らず、遊星ギヤ減速機構、平ギヤ減速機構としても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。
本発明はリング状バネ部品に利用できる。例えば、トレランスリングが使用されるトルクリミッタを有するステアリング装置に適用することができる。
トレランスリングの平面図である。 トレランスリングの使用状態の断面図である。 トレランスリングに被覆されているメッキ層を模式的に示す断面図である。 熱処理温度とメッキ層の硬さとの関係を示すグラフである。 試験回数と滑りトルクとの関係を示すグラフである。 ステアリング装置の断面図である。 減速の要部を模式的に示す断面図である。 ステアリング装置に装備されているロック装置を示す構成図である。
1はステアリング装置、11は入力軸、13はモータ、13aはモータ軸、14は減速機、15はロック装置、50はラック軸(出力軸)、151は係合バネ(ロック作動部)、154は係合部材、157はソレノイド(ロック作動部)、100はトレランスリング(リング状バネ部品)、101はリング部、103は突部、200は無電解メッキ層、202は下地層、300はトルクリミッタ、301は第1部材、302は第2部材、303は嵌合孔を示す。

Claims (2)

  1. ステアリングを操作することにより回転される入力軸と、前記入力軸と車輪との間に設けられ入力軸の回転を車輪側に伝達する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ前記入力軸の回転を減速させる減速と、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられモータ回転に伴い前記入力軸の回転を増加または減少させるモータ軸をもつ前記モータと、前記モータ軸に同軸的に嵌合するロック部材と、前記ロック部材と前記モータ軸との間に介装され、前記ロック部材または前記モータ軸に入力される入力トルクが設定トルク値よりも小さいとき前記モータ軸と前記ロック部材とを一体回転させ、入力トルクが設定トルク値よりも大きいとき前記モータ軸と前記ロック部材との相対回転を許容するトレランスリングと、前記ロック部材に係合して前記ロック部材をロックする係合部材と、磁路を形成するソレノイドで前記係合部材を動作させて前記ロック部材と前記係合部材との係合および係合解除を行うロック作動部と具備するステアリング装置において、
    前記トレランスリングは、
    O形状またはC形状をなすリング部と、前記リング部にこれの周方向において間隔を隔てて並設された突部とを備えるリング状バネ部品で形成されており、
    前記リング状バネ部品の母材は、非磁性のオーステナイト系の金属材料で形成されており、リン含有量が11〜13質量%であり300〜400℃にて熱処理されたニッケル−リン系の無電解メッキ層が下地層を介して前記リング状バネ部品の前記母材に施されていることを特徴とするステアリング装置。
  2. 請求項1において、前記ニッケル−リン系の前記無電解メッキ層の硬さはHv800以上であることを特徴とするステアリング装置
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