JP4907392B2 - 浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム - Google Patents

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本発明は、浸漬処理されるワークの開口孔をシミュレーションする浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムに関する。
電着塗装やメッキ等におけるワークの浸漬工程においては、ワーク表面に形成される被膜の厚さが所定の基準を満たすことが重要であり、例えば、電着塗装において部材表面に付着する塗装膜厚を一定の範囲に収めることは、防錆対策、塗料消費量の減少、或いは部材軽量化等の観点から重要な設計課題である。
そのため、実際の浸漬処理を行う前に、浸漬処理により形成される被膜厚さをシミュレーションして解析・検討する技術が種々提案されており、例えば、特許文献1〜3には、車両の電着塗装において、車両や電着槽等の処理環境をメッシュで表現した解析モデルを用いて塗膜厚を予測・評価する技術が開示されている。
特開2003−41395号公報 特開2003−49298号公報 特開2003−277993号公報
上述の電着塗装等においては、ワークの膜厚が基準に達しない領域がある場合、その領域に新たな開口孔を設けることで電着液の流動性を改善し、基準を満足するようにしている。
この新たな開口孔の位置とサイズは、従来、試行錯誤的に決める以外に対処することが困難であり、上述の特許文献1〜3の技術のような膜厚予測の技術を用いても、ワーク表面の膜厚予測結果が基準を満足しない場合には、新たな開口孔を試行錯誤的に設定しなければならない。このため、新たな開口孔に対応して、再度、メッシュを作成し直して膜厚を計算しなければならず、工数及び時間の増大を招く。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、浸漬処理で形成されるワーク表面の被膜厚さが基準を満足しないことが予想される場合であっても、試行錯誤を要することなく、自動的に最適な開口孔を新たに追加設定することのできる浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法は、隣接する部材で構成されて浸漬処理されるワークの開口孔をコンピュータが解析計算してシミュレーションする浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法において、上記ワークを含む処理環境を解析対象として、該解析対象を複数の要素で分割して解析モデルを構築するモデル構築ステップと、上記浸漬処理によって上記ワークの表面に形成される被膜の厚さを計算する膜厚計算ステップと、上記被膜の厚さが予め規定した基準値に達しない膜厚不足領域を抽出し、該膜厚不足領域の境界に位置する上記要素の座標値に基づいて、上記ワークに新たに追加設定する追加開口孔の中心位置を算出する開口位置算出ステップと、上記膜厚不足領域の大きさと上記ワークの隣接する部材の隙間距離と上記被膜の厚さの最小値との相関関係に基づいて、上記追加開口孔のサイズを算出する開口サイズ算出ステップとを備えることを特徴とする。
本発明による浸漬処理用開口孔のシミュレーションプログラムは、隣接する部材で構成されて浸漬処理されるワークの開口孔をシミュレーションするコンピュータが実行可能な浸漬処理用開口孔のシミュレーションプログラムにおいて、上記ワークを含む処理環境を解析対象として、該解析対象を複数の要素で分割して解析モデルを構築するモデル構築ステップと、上記浸漬処理によって上記ワークの表面に形成される被膜の厚さを計算する膜厚計算ステップと、上記被膜の厚さが予め規定した基準値に達しない膜厚不足領域を抽出し、該膜厚不足領域の境界に位置する上記要素の座標値に基づいて、上記ワークに新たに追加設定する追加開口孔の中心位置を算出する開口位置算出ステップと、上記膜厚不足領域の大きさと上記ワークの隣接する部材の隙間距離と上記被膜の厚さの最小値との相関関係に基づいて、上記追加開口孔のサイズを算出する開口サイズ算出ステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、浸漬処理で形成されるワーク表面の被膜厚さが基準を満足しないことが予想される場合であっても、試行錯誤を要することなく、自動的に最適な開口孔を新たに追加設定することができ、再計算に要する工数及び時間を低減してトータルコストを低減することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図9は本発明の実施の一形態に係り、図1はシミュレーション装置の基本構成図、図2は車体の塗装ラインの概略説明図、図3はワーク及び浸漬液の解析モデルを示す説明図、図4は開口孔中心位置の説明図、図5は膜厚不足領域の節点データを示す説明図、図6は座標値の最大値及び最小値を示す説明図、図7は追加開口孔の中心点座標値を示す説明図、図8は隙間距離を示す説明図、図9はシミュレーションプログラムのフローチャートである。
図1に示すように、本実施の形態におけるシミュレーション装置1は、自動車のボディシェル等のワークに電着塗装やめっき処理等の浸漬処理でワーク表面に生成される被膜が予め規定した膜厚基準値に達しない部位を抽出し、この部位の浸漬液の流動状態を改善して膜厚基準値を満たすことを可能とする開口孔の適正な位置及び最小サイズをシミュレーションするものである。このシミュレーション装置1は、マイクロコンピュータやパーソナルコンピュータ等の単一のコンピュータ、或いはネットワークを介して相互に接続される複数のコンピュータを用いて構成される。
以下では、便宜上、シミュレーション装置1を単一のコンピュータで構成する例について説明する。シミュレーション装置1は、演算装置10、キーボードやマウス等の入力装置11、CRTや液晶ディスプレイ等の表示装置12、磁気ディスクや光ディスク等の外部記憶装置13等を備えている。
演算装置10は、CPU、ROM及びRAM等の内部メモリ、入出力インターフェース等を備えており、内部のROM、外部記憶装置13、外部の記憶媒体に記憶させたシミュレーションプログラム、或いは、図示しないネットワークや通信装置を介して外部からロードしたシミュレーションプログラムをCPUで実行し、入力装置11を介して指示された解析対象のワーク(対象物)を擬似的に浸漬槽内に浸漬させたときにワーク表面に形成される被膜厚さが基準値に達しない部位に対して、新たに追加設定する開口孔の位置及びサイズをシミュレーションし、基準を満たすか否かを検証する。
例えば、本発明によるシミュレーションの適用例として、車体ボディの電着塗装ラインにおいて、部材表面に生膜される電着膜の厚さを適正化するための開口孔をシミュレーションする例が挙げられる。ここで、車体ボディの塗装ラインについて、図2を用いて簡単に説明する。
図2に示すように、溶接等により複数の車体パネルを互いに接合して構成される自動車の車体ボディ20は、搬送装置21のハンガーに搭載された状態で塗装ラインにて略水平方向へ搬送される。塗装ラインは、複数の浸漬槽22を連続的に配置して構成され(図2においては1つの浸漬槽を代表して図示している)、電着塗装の前処理として、車体パネルに脱脂、水洗、表面調整、皮膜化成、水洗等の処理が施される。
これらの処理の後、車体ボディ20は電着液23を満たした浸漬槽(電着槽)22に向かって降下し、電着液23に浸漬された状態で略水平に移動する。この状態で、車体ボディ20と浸漬槽22内の電極(図示せず)に電圧を加えることにより、車体パネルに塗料が析出するようになっている。この後、搬送装置21により車体ボディ20は浸漬槽22から引き上げられ、水洗により車体パネルに電着せずに付着している電着液23が除去される。
このような電着塗装処理等の浸漬処理をシミュレーションする演算装置10は、モデル構築部10a、膜厚計算部10b、開口位置計算部10c、開口サイズ計算部10d、ポスト処理部10eの各機能部を備えている。演算装置10は、ワークを含む処理環境を複数の要素データで分割してモデル化した解析モデルを用いてシミュレーションを行い、シミュレーション結果を表示装置12に出力して表示させる。尚、表示装置12には、シミュレーション結果のみならずシミュレーション過程を表示させるようにしても良い。
モデル構築部10aは、ワークの表面形状及びワーク周囲の処理環境を複数の要素で分割して解析モデルを構築する。解析モデルを構成する手法としては、解析対象の表面や空間を複数の所定の形状に分割して表現するメッシュを用いる手法や、解析対象の表面や空間に複数の節点(ノード)を配置する手法等を用いることができる。以下では、解析対象を多角形のメッシュで表現した解析モデルを用い、この解析モデルのメッシュデータを三次元空間に配置して解析モデルを構築する例について説明する。
メッシュを用いた解析モデルは、例えば、ワークの表面形状を多角形のメッシュで分割して表現したメッシュ群と、電着液漕等のワーク周囲の処理環境を多角形のメッシュで分割して表現したメッシュ群とを用いて形成される。処理環境のメッシュ群は、浸漬液が貯留している領域に設定されたメッシュ群と、浸漬液上の空間(空気)に設定されたメッシュ群とで表現される。
各メッシュには、自己を識別するためのメッシュ番号、ノード番号、隣接メッシュの番号、ノード座標値(三次元空間のXYZ直交座標系における座標値)、特性データ等が設定されている。特性データは、対象部位の属性(名称)や物性を特定するためのパラメータであり、基本的に、同じ部材を構成する部位には同一の特性データが設定される。また、各メッシュ要素には、隣接したメッシュ要素間の境界条件として、部材とその周りの空間との境界を示す特定の境界名が設定され、この境界名によって部材表面が規定されている。
例えば、自動車の車体パネル等のワークを対象とするメッシュ表現では、個々のメッシュには、アウタパネル、インナパネル等の名称データや、板厚、弾性係数等の物性データが設定される。また、電着塗装における電着槽等の処理環境を対象とするメッシュ表現では、電着塗装液が貯留している領域を表現するメッシュには、電着塗装液を示す材料特性値が設定され、電着塗装液上の空間を表現するメッシュには、空気を示す材料特性値が設定される。また、電着液領域のメッシュと空気領域のメッシュとの境界には、液面境界が設定され、その他、陽極板の境界や電着液漕の壁部境界等も設定される。
これらのシミュレーション処理に必要な各種のデータは、外部記憶装置13に格納されている。外部記憶装置13は、例えば、対象物毎に個別の識別番号(レコード番号)が付された属性レコード群で構成されるデータベースを有し、個々の属性レコードに、各メッシュのメッシュ番号、ノード点座標値、特性データ等が対応付けて記述される。
図3は、車体ボディ20のパネル部材を構成するアウタパネル30及びインナパネル31と周囲の電着液23のメッシュ表現モデルを簡略的に示したものである(但し、図3においては、アウタパネル30及びインナパネル31のメッシュは図示を省略している)。アウタパネル30及びインナパネル31は、仮想的な電源の負極に接続され、正極に接続された電極から電着液23を介して通電されることで、部材表面に塗膜が析出する。
部材表面の塗膜の析出量は、膜厚計算部10bで計算される。本形態においては、膜厚計算部10bは、電着塗装でワーク表面に析出される電着膜の塗膜析出量を所定の時間刻みで計算し、設定時間に達したときの計算結果を膜厚として出力する。
すなわち、膜厚計算部10bは、先ず、ワーク及び電着液漕のメッシュ等の計算格子や塗料データ等が入力されると、解析を行う上で必要な各種条件(例えば、境界条件や計算条件等)を設定し、電着塗装液槽の電位分布、被塗装物の塗膜厚さ分布等の初期値を設定する。次に、タイムステップ毎にメッシュの位置を更新して境界条件を更新した上で、有限体積法、有限要素法、或いは有限差分法等により、周知の電位拡散方程式を解いて、電着塗装液槽内の電位分布を算出する。
そして、この電位分布より、ワークの表面に吸着している塗料の膜厚抵抗を考慮してワーク表面の電流密度を算出し、予め実験やシミュレーション等を通じて確認した電流密度と塗膜析出量との関係を示す実験相関式に、電流密度を入力変数として代入することにより、ワーク表面の塗膜析出量を算出する。この時間刻み毎の計算を繰り返し、前回の塗膜厚さに今回算出された塗膜析出量を加算してゆき、所定の設定時間が経過したとき、そのときまでの塗膜析出量をワーク表面の膜厚として計算結果を出力する。
開口位置計算部10cは、膜厚計算部10bからの膜厚計算結果を受けて、膜厚が基準値に達していない領域(膜厚不足領域)を抽出し、この膜厚不足領域Rk内に、新たに追加する開口孔の最適な位置を設定する。具体的には、図4に示すように、膜厚不足領域Akは、膜厚が基準値に達している領域Asに囲繞されたメッシュ領域として抽出され、その境界のノード(節点)SiのXYZ座標値(Xi,Yi,Zi)から開口孔の中心点Cの座標が計算される。この中心点Cの座標値(Xc,Yc,Zc)は、各境界ノードSiのX座標値Xiの最大及び最小値の平均値、Y座標値Yiの最大及び最小の平均値、Z座標値Ziの最大及び最小の平均値で算出される。
例えば、図5に示すように、膜厚不足領域の境界のノード番号(節点番号)3,7,17,53,…についてのX,Y,Z座標値が得られた場合、図6に示すように、これらのX,Y,Z座標値について、X座標値の最大値Xmax及び最小値Xmin、Y座標値の最大値Ymax及び最小値Ymin、Z座標値の最大値Zmax及び最小値Zminを求める。そして、以下の(1)〜(3)式に示すように、最大値Xmax及び最小値Xminの平均、最大値Ymax及び最小値Yminの平均値、最大値Zmax及び最小値Zminの平均値を計算し、図7に示すようなX,Y,Z座標値の中心点Cを得る。
Xc=(Xmax+Xmin)/2 …(1)
Yc=(Ymax+Ymin)/2 …(2)
Zc=(Zmax+Zmin)/2 …(3)
この場合、膜厚不足領域内の新たに追加設定する開口孔は、可能な限り小さくする一方、この小さい開口孔で膜厚の増加量をできるだけ大きくすることが望まれる。被膜が薄い部位は、電位が低くなっていると考えられ、開口孔を設けて被膜が薄い部位の電位を高くすることにより、所望の膜厚を確保することができる。
従って、この膜厚不足領域内の電位分布に着目し、追加開口孔の位置を決定することも可能である。膜厚不足領域内の電位は、以下の(4)式に示すような関係に従って分布しているものと考えられ、(4)式の距離dと電位E0とを考慮することにより、最も電位の低い部位の該当メッシュを決定し、この該当メッシュの代表点(例えば、重心点、内心点、外心点等)を、追加開口孔の中心位置とするようにしても良い。
E1=E0−k×dn …(4)
但し、E1:該当部位の電位(膜厚が最も薄い部位)
E0:近傍の電位
k:係数
d:電位E1の部位と電位E0の部位との距離
n:係数
開口サイズ計算部10dは、開口位置計算部10cで計算した中心点Cに対して、膜厚基準値を満たすに十分な開口孔の最小サイズを計算する。本形態においては、追加設定する開口孔を円形として扱い、以下の(5)式に示すように、中心点Cにおける半径Rを、膜厚不足範囲Ra,部材間の隙間距離Dg,膜厚の最小値Tmin、電位分布、温度、塗料の物性等との相関関係で表現した関数Fを用いる。
R=F(Ra,Dg,Tmin,…) …(5)
ここで、膜厚不足範囲Raは、膜厚を満足する領域と膜厚不足領域との境界に位置する各境界ノードSiから開口孔の中心点Cまでの距離Rcのうち、最大値となる距離であり、距離Rcは、以下の(6)式によって計算される。
Rc=((Xi−Xc)2+(Yi−Yc)2+(Zi−Zc)2)1/2 …(6)
また、隙間距離Dgは、図8に示すようなアウタパネル30とインナパネル31との二重壁構造における部材間の距離であり、前述の(1)〜(3)式で計算した中心点Cの位置は必ずしも部材表面ではないため、中心点Cに最も近いノードと、対向する面のノードとの間の最小距離で与えられる。
具体的には、先ず、中心点C近傍の同一面上にある所定範囲のノードをリストアップし、リストアップした全てのノードと中心点Cとの間の距離を上述の(6)式によって計算し、その距離が最小となるノードMを中心点Cに最も近いノードとして決定する。次に、ノードMと対向する面上にある所定範囲のノードをリストアップし、リストアップした全てのノードとノードMとの間の距離を同様に計算し、計算した距離のうち、最小となる距離を隙間距離Dgとする。
以上の膜厚不足範囲Ra、隙間距離Dg、膜厚最小値Tmin等をパラメータとする関数Fは、具体的には、予め実験やシミュレーション等を通じて確認した実験式、例えば、以下の(7)式に示す実験式で記述される。追加開口孔の半径Rは、この実験式を用いて計算することができる。
R=R0×(k1×Ra+k2×e(k3/(Dg×Tmin))) …(7)
但し、R0:基準孔径(例えば、R0=1)
k1,k2,k3:係数
ポスト処理部10eは、シミュレーション結果を容易に把握可能とするための可視化処理やシミュレーション結果のデータ出力を行う。シミュレーション結果の可視化処理においては、膜厚が基準値に達していない領域がある場合、膜厚が基準値以上の領域と基準値に達していない膜厚不足領域とを色分け表示する等して識別表示する。
また、その膜厚不足領域の概略面積等を数値表示し、更に、この膜厚不足領域に追加設定する開口孔の中心位置とサイズを表示する。このシミュレーション結果により、開口孔を追加した解析モデルを再構築し、再シミュレーションを実行することで、膜厚不足領域を解消することができるか否かを確認することができる。
次に、演算装置10のCPUで実行される開口孔のシミュレーション処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。尚、このシミュレーション処理は、前述した浸漬槽22による車体ボディ20の浸漬処理を想定している。
図9のシミュレーションプログラムがスタートすると、先ず、ステップS1において、ワークの表面形状及びワーク周囲の環境を複数の要素のデータでモデル化し、数値計算のための解析モデルを構築する。この解析モデルは、例えば多角形のメッシュを要素とするメッシュモデルで構築され、解析を行う上で必要な各種条件(境界条件や計算条件等)を設定する。
次に、ステップS2へ進み、ワーク表面の膜厚を計算する。前述したように、本形態においては、電着塗装液槽の電位分布、被塗装物の塗膜厚さ分布等を初期値設定し、メッシュ位置を更新して境界条件を更新した後、電着塗装液槽内の電位分布を算出し、この電位分布によりワーク表面の塗料の膜厚抵抗を考慮してワーク表面の電流密度を算出し、電流密度と塗膜析出量との関係を示す実験相関式を用いてワーク表面の塗膜析出量を算出する。この計算を所定の時間刻み毎に実行し、予め設定された計算回数に達したときの塗膜析出量の積算値をワーク表面の膜厚として出力する。
以上の膜厚計算が完了した後は、ステップS3へ進み、計算されたワーク表面の膜厚が基準値を満たすか否かを調べることにより、膜厚が基準値に達しない膜厚不足領域を抽出する処理を行う。そして、ステップS4で膜厚不足領域が抽出されたか否か(膜厚不足領域が存在するか否か)を調べる。
その結果、ワーク表面の全ての部位の膜厚が基準値以上で膜厚不足領域が無い場合には、ステップS4からステップS7へジャンプしてポスト処理を行い、本シミュレーションを終了する。この場合のポスト処理では、ワーク表面の膜厚分布や、膜厚がOKである旨のメッセージ等を出力する。
一方、膜厚不足領域が有る場合には、ステップS4からステップS5へ進み、膜厚不足領域内に新たに追加設定する開口孔の中心位置を決定する。この開口孔の中心位置は、前述したように、膜厚不足領域の境界ノードの座標値から幾何学的に、或いは電位分布から求め、次のステップS6における開口孔の孔径を算出する処理へ進む。
ステップS6では、膜厚不足範囲Ra、隙間距離Dg、膜厚最小値Tminとの相関を確認した実験式(前述した(7)式)を用い、追加開口孔の半径Rを算出し、膜厚不足領域と新たに追加設定する開口孔の位置及び径を表示する等のポスト処理を行い、本シミュレーションを終了する。この追加開口孔のシミュレーション結果は、この追加開口孔を設定した解析用メッシュを再作成して膜厚計算を行うことで、膜厚不足領域の膜厚が基準値を満たすようになるかを検証することができる。
これにより、膜厚不足領域内に新たな開口孔を試行錯誤的に設定するといった従来の手法に対して、より的確に膜厚不足領域を解消することが可能となり、再計算に要する工数及び時間を低減してトータルコストを低減することが可能となる。
シミュレーション装置の基本構成図 車体の塗装ラインの概略説明図 ワーク及び浸漬液の解析モデルを示す説明図 開口孔中心位置の説明図 膜厚不足領域のノードデータを示す説明図 座標値の最大値及び最小値を示す説明図 追加開口孔の中心点座標値を示す説明図 隙間距離を示す説明図 シミュレーションプログラムのフローチャート
符号の説明
1 シミュレーション装置
10 演算装置
10a モデル構築部
10b 膜厚計算部
10c 開口位置計算部
10d 開口サイズ計算部

Claims (6)

  1. 隣接する部材で構成されて浸漬処理されるワークの開口孔をコンピュータが解析計算してシミュレーションする浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法において、
    上記ワークを含む処理環境を解析対象として、該解析対象を複数の要素で分割して解析モデルを構築するモデル構築ステップと、
    上記浸漬処理によって上記ワークの表面に形成される被膜の厚さを計算する膜厚計算ステップと、
    上記被膜の厚さが予め規定した基準値に達しない膜厚不足領域を抽出し、該膜厚不足領域の境界に位置する上記要素の座標値に基づいて、上記ワークに新たに追加設定する追加開口孔の中心位置を算出する開口位置算出ステップと、
    上記膜厚不足領域の大きさと上記ワークの隣接する部材の隙間距離と上記被膜の厚さの最小値との相関関係に基づいて、上記追加開口孔のサイズを算出する開口サイズ算出ステップと
    を備えることを特徴とする浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法。
  2. 上記開口位置算出ステップにおいては、
    上記追加開口孔の中心位置を、上記膜厚不足領域の境界に位置する上記要素の座標値の最大値と最小値とを平均化して算出する
    ことを特徴とする請求項1記載の浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法。
  3. 上記開口サイズ算出ステップにおいては、
    上記隙間距離を、上記追加開口孔の中心位置近傍に位置する上記要素と対向する面上の上記要素との距離の最小値として求める
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の浸漬処理用開口孔のシミュレーション方法。
  4. 隣接する部材で構成されて浸漬処理されるワークの開口孔をシミュレーションするコンピュータが実行可能な浸漬処理用開口孔のシミュレーションプログラムにおいて、
    上記ワークを含む処理環境を解析対象として、該解析対象を複数の要素で分割して解析モデルを構築するモデル構築ステップと、
    上記浸漬処理によって上記ワークの表面に形成される被膜の厚さを計算する膜厚計算ステップと、
    上記被膜の厚さが予め規定した基準値に達しない膜厚不足領域を抽出し、該膜厚不足領域の境界に位置する上記要素の座標値に基づいて、上記ワークに新たに追加設定する追加開口孔の中心位置を算出する開口位置算出ステップと、
    上記膜厚不足領域の大きさと上記ワークの隣接する部材の隙間距離と上記被膜の厚さの最小値との相関関係に基づいて、上記追加開口孔のサイズを算出する開口サイズ算出ステップと
    を備えることを特徴とする浸漬処理用開口孔のシミュレーションプログラム。
  5. 上記開口位置算出ステップにおいては、
    上記追加開口孔の中心位置を、上記膜厚不足領域の境界に位置する上記要素の座標値の最大値と最小値とを平均化して算出する
    ことを特徴とする請求項4記載の浸漬処理用開口孔のシミュレーションプログラム。
  6. 上記開口サイズ算出ステップにおいては、
    上記隙間距離を、上記追加開口孔の中心位置近傍に位置する上記要素と対向する面上の上記要素との距離の最小値として求める
    ことを特徴とする請求項4又は5記載の浸漬処理用開口孔のシミュレーションプログラム。
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