JP4898145B2 - 集光型太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
フレネルレンズ12に入射した太陽光13は、フレネルレンズ12により集光され、フレネルレンズ12と対向するケース11の一面で太陽電池セル23を支持する支持板部11aに設置された太陽電池セル23に照射される。集光倍率は数十倍〜数百倍であり、太陽電池セル上には大きなエネルギー密度の太陽光が照射されるため、温度上昇が避けられない。太陽電池セルは温度上昇に伴って、発電効率が低下するため、放熱機構が必要となる。
一般には、支持板部11aの材質に金属等の熱伝導率の大きな材質を用いて太陽電池セル23の裏面を通じて支持板部11aにより放熱する構造や、さらに放熱効率を上げるため、支持板部11aの裏側の表面積が大きくなる様に放熱用フィンを設けた構造が採られる。
また、特許文献2には、集光型太陽電池システムの1次光学系、太陽電池セル固定および電極取り出し部分の構造に関する記述がある。太陽電池セルの裏面電極はヒートシンクに半田付けされヒートシンクから電極を外部に取り出し、ヒートシンクは電気絶縁層を介して支持板に固定される構造が開示されている。
特許文献2においては、ヒートシンクの材質、厚み、サイズの記述はなく、ヒートシンクの厚みが薄い場合には上記特許文献1と同様の問題が考えられ、ヒートシンクの外形サイズが小さいと前記放熱特性が悪化する問題が生じる。
このように、本発明の太陽電池セルは、200〜500倍に集光された太陽光が照射される太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールであり、太陽電池セルは変換効率の温度特性を有し、その太陽電池セルの変換効率の温度特性を低減し、かつ重量増加を抑えるものである。そのため、太陽電池セルの裏面電極に半田によって電気的に接合した電極板を備え、上記電極板は、太陽電池セルとの外形サイズが3〜10であり、かつ電極板の厚みt(mm)を調整して、電極板の厚みt(mm)と前記電極板の熱伝導率λ(W/K/m)の積(λ×t)を160以上、2000以下とした。従って、太陽電池セルにおいて発生した熱が、半田を介して電極板に伝導し、ある程度厚みのある電極板によって太陽電池セルの外側方向に拡散し、その後、熱伝導性の低い放熱電気絶縁層を伝導するため、放熱電気絶縁層の伝導断面積が大きくなり、熱抵抗を低減することができる。その結果、太陽電池セルからの放熱特性がよくなり、太陽電池セルの温度をより低く抑えることができる。λ×tが160より小さくなれば、電極板における太陽電池セル外側方向への熱拡散が不十分になり、放熱特性が悪化する。また、λ×tは大きいほど太陽電池セル温度を低く抑えることができるが、2000より大きくなれば太陽電池セルの温度低減効果が飽和する一方、tの増加はモジュール全体の重量増加となるため、この値より小さいことが望ましい。
この構造によれば、上記放熱特性が良好であり、かつ、電極板の厚みが必要以上に厚くないためモジュールの重量増加を抑えることができ、さらに好ましい。
この構造によれば、電極板の外形サイズが太陽電池セル外形サイズの3倍より小さい場合、放熱効率が悪く太陽電池セル部分の温度が高くなる。また、電極板の外形サイズが太陽電池セル外形サイズの10倍より大きい場合、外形サイズの増加に対する太陽電池セルの温度低下が小さくなり、電極板外形サイズを大きくしても放熱効率の向上が少なく、モジュール全体の重量増加となるため、この値より小さいことが望ましい。
この構造によれば、放熱特性の維持と、余計なモジュール重量の増加を抑えることができる。
この構成によれば、前記電極板の主材料を金属とすることにより、電極板の熱伝導率が高く良好な放熱特性を維持できるといった利点がある。
この構成によれば、前記電極板の材質を銅とすることにより、銅と半田の接着性が良好であるため、太陽電池セルと電極板の半田による接合が容易であり、かつ、商業上安価に入手することができるといった利点がある。
この構造によれば、上記放熱特性が良好であり、かつ、電極板の厚みが必要以上に厚くないため重量増加を抑えることができる。
この構造によれば、太陽電池セルの裏面電極と電気的に導通する電極板上に電気絶縁層をパターニングし、その電気絶縁層上に太陽電池セルの表面電極と電気的に導通する配線をパターニングすることが可能となり、電極板上に配線パターンを形成することが可能となる。この配線パターンは、例えばバイパスダイオードの取り付け、他の太陽電池セルとの接続に使用することができる。電極板上面は、集光型太陽電池モジュールのケース内にあり、空気の対流が少なく放熱の効果がほとんど無いため、電極板上面に電気絶縁層を形成しても、放熱特性にほとんど影響を与えない。
この構成によれば、前記電極板上に印刷、スプレー等により塗布することができ、前記電気絶縁性を有する層のパターニングを容易に行うことができる。
放熱特性が改善すると太陽電池セルの温度を低く抑えることができ、温度上昇に伴う太陽電池セル出力の低下を抑制できる。また、放熱特性を維持しつつ、電極板の厚み、外形サイズを最低限の大きさとすることにより、モジュール全体の重量増加を抑えることができる。モジュールの重量が軽量化できると、太陽追尾の駆動系に掛かる負荷が小さくなり、駆動系の簡略化、低コスト化に寄与する。
ケース11の材質としては軽量で熱伝導性の良いアルミニウムが適しているが、ステンレス板、鋼板、あるいは鋼板に亜鉛、アルミニウム、シリコン等の合金をめっきしたものを用いても良い。また、フレネルレンズ12の材質としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、UV硬化樹脂、ガラス等の透光性材料が挙げられる。
図1において、ケース11のフレネルレンズ12と対向する支持板部11aには太陽電池セル23が固定されている。フレネルレンズ12により集光された太陽光が太陽電池23に照射される。太陽光の集光倍率は最大で700倍程度である。図2には、太陽電池セル23の固定部分の拡大斜視図を示した。太陽電池セル23は半田により電極板42に固定され、電極板42は放熱電気絶縁層41を介して支持板部11aと電気絶縁性ねじ27により固定される。
放熱電気絶縁層41は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を主材料とすることが望ましく、添加剤として金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ステンレス等の金属や、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボン等を1つ以上添加したものが使用される。電極板42の材質は熱伝導率の大きな金属あるいは合金を主材料としたものが望ましい。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、錫、ステンレス等の金属単体や、それらの合金とすることができる。特に銅は、商業上安価に入手し易く熱伝導率が大きく、半田と接合性が良好であるため電極板42の材料として適している。
電極板42の上面中央部の電気絶縁層24が設けられていない部分に半田43により太陽電池セル23の裏面電極全面を接合する。電極板42は放熱電気絶縁層41を介して支持板部11aに電気絶縁性ねじにより固定される。
(放熱シミュレーション)
以下に放熱シミュレーションについて詳述する。
Autodesk Inventor(R)7で3Dモデルを作成し、シュミレーションソフトCOSMOS Design STAR 4.0を用いて熱伝導解析(定常解析、反復回数はWNR(修正ニュートン−ラプソン法)、初期温度は摂氏25℃)を行った。
支持板部11aは160mm×200mm×2mmtのアルミニウム6061Alloy板(熱伝導率170W/K/m)、放熱電気絶縁層41はシリコーン樹脂に金属添加剤を含有したもの(熱伝導率0.65W/K/m)、電極板42は外形サイズ60mm角の銅板(熱伝導率390W/K/m)とし、その上面に7mm×7mmサイズで厚み0.1mmの半田43(熱伝導率31.1W/K/m)、その上面に外形7mm角、160μm厚の太陽電池セル23(熱伝導率59.9W/K/m:InGaP/InGaAs/Geの3接合型化合物太陽電池)を接合した構成を基本とし、入力熱源として太陽電池セル23に体積発熱量17.15W(1000W/m2)(直達日射強度)×0.000049(m2)(集光スポット面積)×500(sun)(500倍集光)×0.7(1−太陽電池発電消費量))を与え、支持板部11a裏面のみ対流25℃と設定した。太陽電池セル23表面、電極板42表面の空間は、空気の対流が小さいため、本シミュレーションにおいては表面側からの放熱は考慮していない。上記条件を初期状態とし、電極板42の厚みを変化させた。以下の結果はそれぞれの太陽電池セル23の最高温度の比較である。
太陽電池セル23の形状は、加工容易性、材料の有効利用性から矩形形状が一般的であるが、円形、楕円形、多角形等の形状でも良い。また、太陽電池セル23のサイズはフレネルレンズのサイズと所望の集光倍率から決定されるものであり、どのような大きさでも良い。
電極板42、放熱電気絶縁層41と支持板部11aは、電気絶縁性ねじ27により固定した。
上記構造において実際に850W/m2の太陽光13を集光し前記太陽電池セル23に照射した場合、太陽電池セル23の温度は60℃程度に抑えることができた。
また、太陽電池セル23の裏面電極一面を半田付けにより銅板に固定した場合、その熱膨張係数の差によりセルに応力が掛かり、セル割れあるいはセル特性低下といった問題が懸念されるが、本実施例の構造において、液体窒素温度(−約195℃)から120℃までの熱サイクル試験を行った結果、30サイクルにおいても、セル割れ、特性低下等の問題は生じなかった。
12 フレネルレンズ
13 太陽光
11a 支持板部
21a 金属箔
21b ワイヤーボンディング
22 太陽電池セルの表面電極
23 太陽電池セル
24 電気絶縁層
25 表面電極取り出し線
26 裏面電極取り出し線
27 電気絶縁性ねじ
29 封止用の材料
41 放熱電気絶縁層
42 電極板
43 半田
Claims (7)
- 集光型太陽電池モジュールケースと、
前記集光型太陽電池モジュールケースの上面に配置される200〜500倍の集光レンズと、
前記集光レンズに対向する面である集光型太陽電池モジュールケースの支持板上に配置される、表面と裏面にそれぞれ電極を有する太陽電池セルと、
前記太陽電池セルと支持板の間に配置され、太陽電池セルの裏面電極と半田によって電気的に接合される電極板と、
前記電極板と前記支持板の間に介在する放熱電気絶縁層と、
前記電極板に接続される裏面電極取り出し線と、
前記電極板上に電気絶縁層を介して配置される導電体の一端に接続される太陽電池表面電極と、導電体の他端に接続される表面電極取り出し線と
を備えた太陽電池モジュールであって、
前記電極板の外形サイズは、太陽電池セルの外形サイズの3〜10倍であり、かつ前記電極板の厚みt(mm)、前記電極板の熱伝導率λ(W/K/m)とした場合、厚みtを調整してλ×tは、160以上、2000以下とすることにより、太陽電池セルの温度上昇を抑制し、かつ重量増加を抑えたことを特徴とする集光型太陽電池モジュール。 - 前記電極板のλ×tは、400以上、1200以下であることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池モジュール。
- 前記電極板の外形サイズは前記太陽電池セルの外形サイズの6倍以上、9倍以下である特徴とする請求項1または2に記載の集光型太陽電池モジュール。
- 前記電極板は金属を主材料とすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の集光型太陽電池モジュール。
- 前記電極板は銅を主材料とすることを特徴とする請求項4に記載の集光型太陽電池モジュール。
- 前記電極板の厚みが1mmから3mmであることを特徴とする請求項5に記載の集光型太陽電池モジュール。
- 前記電気絶縁層はアクリル系樹脂を主成分とするレジストであることを特徴とする請求項6に記載の集光型太陽電池モジュール。
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