図1は、本発明の一実施形態にかかる搭載装置を示している。この搭載装置1は、ワーク90に設けられた複数の電極90aの上に導電性のボールBeを搭載するための装置であって、ボールマウンタ、ボール搭載装置などとも呼ばれる。本例の搭載装置1は、表面に、複数のランド状(凸状)の電極(以下、ランドという、図3参照)90aが設けられた、公称12インチの円形の半導体ウエハ(以下、単にウエハという)をワーク(対象物、ワークピース、基板、搭載物対象物)90としてボールを搭載する。ランド90aの上面は、それぞれ円形である。図2に示すように、ウエハ90には、基準マークとして、2つのアライメントマーク90bおよび90cが設けられている。2つのアライメントマーク90bおよび90cは、ボール搭載領域Sの外側に設けられている。
なお、ワークは、これに限定されるものではない。ワークとしては、例えば、電子回路基板(多層基板)を用いることもできる。多層基板には、レジスト層が形成されている。レジスト層は、電極に対応する部分がエッチングなどにより除去されている。このようなワークでは、電極部分が凹状となっている場合もある。
ウエハ90の複数のランド90aの上に搭載される導電性ボールBeは、電気的な接続を得るために機能するものであり、その直径は、例えば1mm以下、具体的には、10〜500μm程度の微小ボール(マイクロボール)とも称されるものである。導電性ボールBeには、半田ボール(銀(Ag)や銅(Cu)などを含む、主成分が錫(Sn)からなるボール)、金あるいは銀などの金属製のボール、さらに、セラミックス製のボールあるいはプラスチック製のボールに導電性のメッキなどの処理が施されたものが含まれる。本例では、導電性ボールとして、直径90μm程度の半田ボールを用いている。
この搭載装置1は、位置決めの基準となるシャーシ(ベース)2と、減圧吸引などの方法によりウエハ90の反りを矯正した状態でウエハ90をベース2に対する所定の位置へ搬送するXYZθ移動ステージ(搬送ステージ)3と、ウエハ90をロード(供給)およびアンロード(収納)するためのローダ/アンローダ装置4と、ウエハ90の粗位置合わせを行うためのアライナ5と、ウエハ搬送装置(ウエハ搬送ロボット)7とを含む。ウエハ搬送ロボット7は、ウエハ90をローダ/アンローダ装置4からアライナ5の上方に搬送し、アライナ5から搬送ステージ3へ搬送し、さらに、搬送ステージ3からローダ/アンローダ装置4へ搬送する。
搭載装置1は、さらに、ウエハ90の反りを矯正するための矯正装置6と、ウエハ90の複数のランド90aにフラックス塗布用マスク11を介してフラックスを塗布するためのフラックス塗布装置(フラックス印刷装置)10と、ウエハ90のアライメントマーク(基準マーク)90bおよび90cをそれぞれ検出するための2つの第1のカメラ51aおよび51bと、ウエハ90の複数のランド90aにボール搭載用マスク21を介して導電性ボールBeを搭載(配列)するためのボール充填装置20とを有し、搬送ステージ3は、ウエハ90を搭載した状態で、これらの装置の間を移動する。さらに、搭載装置1は、搬送ステージ3の移動先を含め、搭載装置1の各装置を制御するための制御ユニット(図9参照)30と、制御ユニット30と電気的あるいは制御情報を送受信できる状態に接続されているメモリ(図9参照)40とを有している。
搭載装置1では、アライナ5において粗位置合わせ(プリアライメント)されたウエハ90は、ウエハ搬送ロボット7により、搬送ステージ3に搭載される。搬送ステージ3は、矯正装置6、フラックス塗布装置10、カメラ51aおよび51b、およびボール充填装置20の間を移動し、これらは、X方向(図1において左右方向)に並んで配置されている。搬送ステージ3は、X軸テーブル、Y軸テーブル、Z軸テーブル、およびθテーブルを備える。したがって、搬送ステージ3により、ウエハ90を、搬送ステージ3の上面(本例ではX−Y平面)の上に保持した状態で、矯正装置6、フラックス塗布装置10、カメラ51aおよび51b、およびボール充填装置20の間の任意の位置に移動可能であり、ウエハ90の位置をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ方向に調整することが可能である。なお、ウエハ90を搬送ステージ3に保持する方法は、減圧吸着に限らず、静電チャックのようなものであってもよく、また、それらを併用することも可能である。
次に、フラックス塗布装置10およびボール充填装置20について詳しく説明する。
図3は、フラックス塗布装置10の一部を示す図であって、フラックスFをフラックス塗布用マスク11に塗布した状態を示している。図4は、フラックスFをウエハ90のランド90aの上に塗布している状態を示している。図5は、ウエハ90のランド90aに対するフラックスFの塗布が終了した状態を示している。
フラックス塗布装置10は、スクリーン印刷装置であって、ウエハ90の上面のうちの複数のランド90aの上に、ウエハ90と導電性ボールBeとを結合させるための素材(フラックスF)を塗布するためのものである。図1、および図3ないし図5に示すように、フラックス塗布装置10は、フラックス塗布用マスク11を保持するフラックス塗布用マスクホルダ12と、フラックス塗布用ヘッド(スキージ)13と、フラックス塗布用ヘッド13を移動させるためのヘッド移動機構14とを備えている。
図3ないし図5に示すように、フラックス塗布用マスク11は、ウエハ90にフラックスFを塗布するための複数の微小開口(アパーチャ、マイクロアパーチャ)11aを備えている。フラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aのパターンは、ウエハ90の複数のランド90aのパターンと対応しており、フラックス塗布用マスク11の各微小開口11aの径は、ウエハ90の各ランド90aの上面の径と同じあるいは各ランド90aの上面の径よりも若干大きい。
また、図1に示すように、フラックス塗布用マスク11には、基準マークとして、2つのアライメントマーク11bおよび11cが設けられている。2つのアライメントマーク11bおよび11cは、ウエハ90のボール搭載領域Sと対応するフラックス塗布領域の外側に設けられている。2つのアライメントマーク11bおよび11cは、Y方向(図1において上下方向)に並んで配置されている。フラックス塗布用マスク11は、フラックス塗布用マスクホルダ12にセットされる。その状態で、マスク11のアライメントマーク11bおよび11cが後述のカメラ53により観測され、その位置が、ベース2に対するフラックス塗布用マスク11の基準位置(第3の位置)として記録される。すなわち、フラックス塗布用マスク11は、フラックス塗布用マスクホルダ12により、ベース2に対して第3の位置に保持される。
フラックス塗布用ヘッド13は、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11の上から、複数の微小開口11aを介してフラックスFを塗布するためのものである。図1に示すように、ヘッド移動機構14は、一対のY軸テーブル14aおよび14bを備えている。フラックス塗布用ヘッド13は、X方向に沿って延びており、一対のY軸テーブル14aおよび14bを跨ぐように設けられている。したがって、ヘッド移動機構14は、フラックス塗布用ヘッド13をY方向に沿って移動させることができる。
塗布用ヘッド13にはカメラ53が取り付けられており、ヘッド移動機構14により塗布用ヘッド13を移動すると、カメラ53も移動される。すなわち、カメラ53は、ヘッド移動機構14により移動可能である。したがって、ヘッド移動機構14により、カメラ53を、塗布用マスク11の上のY軸方向の任意の位置へ動かすことができる。ヘッド移動機構14は、制御ユニット30と電気的あるいは制御情報を送受信できる状態に接続されており、ヘッド移動機構14の動き、すなわち、フラックス塗布用ヘッド13の動きは、制御ユニット30により制御される。また、カメラ53による画像は制御ユニット30により解析され、アライメントマーク11bおよび11cにより第3の位置が決定され、メモリ40に格納できる。
このフラックス塗布装置10は、以下のようにして、ウエハ90の複数のランド90aの上にフラックスFを塗布する。まず、図3に示すように、フラックス塗布用マスク11の上にフラックスFを塗布する。そして、図4に示すように、フラックス塗布用ヘッド13によりフラックス塗布用マスク11をウエハ90に押し付けるようにして、フラックスFをウエハ90のランド90aの上に塗布する。フラックス塗布用ヘッド13は、フラックス塗布用マスク11を押し下げるようにしながら、Y方向に沿って、プラス側からマイナス側に移動する。これにより、フラックス塗布用ヘッド13で押し下げられたフラックス塗布用マスク11の一部がウエハ90のランド90aに接した状態となり、フラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aを介して、フラックスFがウエハ90の複数のランド90aの上に順次塗布される。フラックス塗布領域の一方の端から他方の端に向けて、フラックス塗布用ヘッド13をY方向に沿って移動させることにより、図5に示すように、フラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aのパターンに基づいた位置、すなわち、ウエハ90の複数のランド90aの上に、フラックスFが塗布される。
図6は、ボール搭載用マスク21を示し、直径が90μmの微小ボールBeを配置するための、各々の直径が90〜100μm程度の複数の微小開口は、ボール充填領域S1に、微小ボールBeを配置するための所定のパターンで設けられている。図7は、ボール充填装置20の一部を示している。図8は、図7の一部を拡大して示している。
ボール充填装置20は、ボール搭載用マスク21のボール充填領域S1に設けられた微小開口にボールBeを充填することにより、ウエハ90の複数のランド90aの上に、フラックスFを介して、導電性ボールBeを搭載(配置)するためのものである。ボール充填装置20は、ボール搭載用マスク21を保持するボール搭載用マスクホルダ22と、2つのボールディスペンサ23aおよび23bと、2つのボールディスペンサ23aおよび23bを支持する支持部材24と、支持部材24を介して2つのボールディスペンサ23aおよび23bをXおよびY方向へ移動させるためのディスペンサ移動機構25とを備えている。
図7および図8に示すように、ボール搭載用マスク21は、ウエハ90の複数のランド90aの上に、フラックスFを介して、導電性ボールBeを搭載するための複数の微小開口(アパーチャ、マイクロアパーチャ)21aを備えている。ボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aのそれぞれに導電性ボールBeを充填することにより導電性ボールBeの位置が決まる。したがって、このボール搭載用マスク21を介して、ウエハ90の複数のランド90aの上に導電性ボールBeを搭載できる。ボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aのパターンは、ウエハ90の複数のランド90aのパターンと対応しており、ボール搭載用マスク21の各微小開口21aの径は、ウエハ90の各ランド90aの上面の径よりも若干大きい。
図1および図6に示すように、ボール搭載用マスク21には、基準マークとして、2つのアライメントマーク21bおよび21cが設けられている。2つのアライメントマーク21bおよび21cは、ウエハ90のボール搭載領域Sと対向するボール充填領域S1の外側に設けられている。2つのアライメントマーク21bおよび21cは、X方向(図1および図6において左右方向)に並んで配置されている。なお、2つのアライメントマーク21bおよび21cは、Y方向(図1および図6において上下方向)に並んで配置されていても、XY方向に斜めに配置されていてもよい。
ボール搭載用マスク21は、ある程度の張力(テンション)が与えられた状態で、マスク枠21dに固定されている。ボール搭載用マスク21は、マスク枠21dを介してボール搭載用マスクホルダ22にセットされる。その状態で、マスク21のアライメントマーク21bおよび21cが後述のカメラ52により観測され、その位置が、ベース2に対するボール搭載用マスク21の基準位置(第1の位置P1)として記録される。すなわち、ボール搭載用マスク21は、ボール搭載用マスクホルダ22により、ベース2に対して第1の位置P1に保持される。
2つのボールディスペンサ23aおよび23bは、ボール搭載用マスク21の表面に2つの動区域A1およびA2を形成する。このため、独立した2つの導電性ボールBeの集団Bgが、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の表面の異なる場所A1およびA2にそれぞれ保持される。そして、2つのボールディスペンサ23aおよび23bは、動区域A1およびA2を独立または連動して動かし、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の上から、複数の微小開口21aにそれぞれボールBeを充填する。
詳しくは、2つのボールディスペンサ23aおよび23bは、ウエハ90の半径と同程度の所定の間隔を保った状態で、支持部材24に支持されている。ディスペンサ移動機構25は、X軸テーブル26および一対のY軸テーブル27aおよび27bを備えている。X軸テーブル26は、一対のY軸テーブル27aおよび27bを跨ぐように設けられている。2つのボールディスペンサ23aおよび23bは、支持部材24を介して、X軸テーブル26に支持されている。したがって、ディスペンサ移動機構25は、2つのボールディスペンサ23aおよび23bを、ウエハ90の半径と同程度の所定の間隔を保った状態で、ボール搭載用マスク21の上面、すなわち、X−Y平面上において、2次元方向の任意の位置に移動させることができる。
カメラ52は、ボールディスペンサ23aと連動して動くように、ボールディスペンサ23aに搭載されている。すなわち、カメラ52は、ディスペンサ移動機構25により移動可能である。したがって、ディスペンサ移動機構25により、ボールディスペンサ23aを動かすことにより、カメラ52は、ボール搭載用マスク21の上方において、X−Y平面上の任意の位置(2次元方向の任意の位置)に移動する。
ディスペンサ移動機構25は、制御ユニット30と電気的あるいは制御情報を送受信できる状態に接続されており、ディスペンサ移動機構25の動き、すなわち、ボールディスペンサ23aおよび23bの動きは、制御ユニット30により制御される。また、カメラ52による画像は制御ユニット30により解析され、アライメントマーク21bおよび21cにより第1の位置P1が決定され、メモリ40に格納できる。
図7に示すように、2つのボールディスペンサ23aおよび23bは、実質的に同一の構成である。ボールディスペンサ23aおよび23bは、それぞれ、円盤状のスキージサポート28aと、スキージサポート28aの下面から、ボール搭載用マスク21の上面に向かって突き出た、スキージ28bとを備えている。スキージサポート28aの中心は、それぞれ、ボール搭載用マスク21に対して垂直方向に延びたシャフト28cに繋がっている。
スキージ28bは、ボール搭載用マスク21の上面に比較的柔らかく接し、ボール搭載用マスク21の上の導電性ボールBeを掃き集めることができるものであれば良い。好ましくは、スキージ28bは、ボール搭載用マスク21の微小開口21aに一旦挿入された導電性ボールBeを掻き出さない程度の弾性を備えたものであるとよい。このようなスキージ28bの一例としては、ボール搭載用マスク21の上面に接するように曲げられたワイヤー、ボール搭載用マスク21の上面に接するような形状のゴムプレートあるいはスポンジのような弾性部材、ボール搭載用マスク21の上面に接する程度に伸びた無数のワイヤーなどを挙げることができる。
ボールディスペンサ23aおよび23bは、それぞれ、モータ(不図示)により、シャフト28cを中心として、回転駆動される。ボールディスペンサ23aおよび23bが回転することにより、導電性ボールBeは、逸散しないように、ボールディスペンサ23aおよび23bにより、動区域A1およびA2の周囲の領域から、動区域A1およびA2内に集められる。したがって、ボールディスペンサ23aおよび23bにより形成される円形の動区域A1およびA2に、それぞれ、複数の導電性ボールBeからなる導電性ボールBeの集団Bgが保持される。
また、2つボールディスペンサ23aおよび23bは、ディスペンサ移動機構25により、所定の間隔を保った状態で、それぞれがシャフト28cを中心に回転しながら、ボール搭載用マスク21の上を任意の軌跡を描くように移動する。これに伴い、ボールディスペンサ23aおよび23bに保持された導電性ボールBeの集団Bgも移動する。そして、円形の動区域A1およびA2に保持された導電性ボールBeは、ボール搭載用マスク21の微小開口21aに順次充填され、ウエハ90のランド90aの上に搭載される。
動区域A1およびA2に保持される導電性ボールBeは、微小開口21aに充填されることにより消費される。このため、本例のボール充填装置20では、消費されるボールBeの量に基づいて、導電性ボールBeがボール補給装置(不図示)からシャフト28cの中を通じて、動区域A1およびA2内に投入されるようになっている。なお、本例では、ボール充填装置20が2つのボールディスペンサ23aおよび23bを備えているが、ボール充填装置20が備えるボールディスペンサの数は、1つであっても、3つ以上であってもよい。また、ボールディスペンサの形状は、上記に限定されるものではなく、ボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aにボールBeを充填できるものであればよい。
図1に戻り、この搭載装置1は、搬送ステージ3に対するウエハ90の位置をウエハ基準位置Pwとしてメモリ40に記録可能な2つの第1のカメラ51aおよび51bを備えている。また、搭載装置1は、ベース2に対するボール搭載用マスク21の第1の位置P1を記録可能であるとともに、ボール搭載用マスク21の微小開口21aを介して対向するウエハ90のランド90aの画像を取得可能な第2のカメラ52を備えている。さらに、搭載装置1は、ベース2に対するフラックス塗布用マスク11の第3の位置P3を記録可能であるとともに、フラックス塗布用マスク11の微小開口11aを介して対向するウエハ90のランド90aの画像を取得可能な第3のカメラ53とを有している。
2つの第1のカメラ51aおよび51bは、フラックス塗布装置10とボール充填装置20との間に固定されている。2つの第1のカメラ(固定カメラ)51aおよび51bは、Y方向に沿って並んで配置されている。2つの第1のカメラ51aおよび51bは、ウエハ90の2つのアライメントマーク90bおよび90cが離間している距離と同程度離間して、配置されている。2つの第1のカメラ51aおよび51bは、それぞれ、搬送ステージ3に搭載された状態のウエハ90の2つのアライメントマーク90bおよび90cを上方から検出する。
制御ユニット30は、搬送ステージ3をX、Yおよび/またはθ方向に動かして2つのアライメントマーク90bおよび90cをカメラ51aおよび51bにそれぞれ検出させることにより、ウエハ90が搬送ステージ3に搭載された状態を詳細に把握する。すなわち、制御ユニット30は、2つのアライメントマーク90bおよび90cをカメラ51aおよび51bに検出することにより、搬送ステージ3に対するウエハ90の位置を、ウエハ基準位置Pwとしてメモリ40に記録する。このウエハ基準位置Pwには、アライナ5により搬送ステージ3に粗位置合わせされたウエハ90の位置からのオフセット量、搬送ステージ3の中心座標および基準角度からのオフセット量などが含まれる。ウエハ基準位置Pwの一例は、ウエハ90の中心のXY座標と、搬送ステージ3の基準線からの傾きθ(ウエハ90の傾きθ)とであり、制御ユニット30により演算された結果が位置情報としてメモリ40に格納される。
第2のカメラ52は、ボール充填装置20が備える、ディスペンサ23aに付随して移動する。したがって、第2のカメラ52は、ディスペンサ移動機構25により、ボール搭載用マスク21の上方において、X−Y平面上の任意の位置(2次元方向の任意の位置)に移動する。第2のカメラ(移動カメラ)52は、X−Y方向に沿って移動しながら、ボール搭載用マスク21の2つのアライメントマーク21bおよび21cを上方から順次検出し、ベース2に対するボール搭載用マスク21の第1の位置P1をメモリ40に記録する。第1の位置P1の一例は、ベース2に対するマスク21またはボール充填領域S1の中心のXY座標と、傾きθとを含む位置情報である。
また、第2のカメラ52は、ボール充填領域S1に移動する。このため、第2のカメラ52により、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の上から、ボール搭載用マスク21の微小開口21aを撮像できる。さらに、カメラ52により、微小開口21aを介して、その微小開口21aに対向する、ウエハ90のランド90aの画像を取得可能である。一例では、制御ユニット30が、第2のカメラ52を、ディスペンサ移動機構25により、X−Y方向に沿って移動しながら、その軌道上にある複数の微小開口21aの画像を取得する。例えば、ボール搭載用マスク21の所定の、または任意の3つ微小開口21aを介して、この3つの微小開口21aにそれぞれ対向する、ウエハ90の3つのランド90aの画像が順次取得される。
第3のカメラ53は、フラックス塗布装置10が備える、塗布用ヘッド13に搭載されている。したがって、第3のカメラ53は、ヘッド移動機構14により、フラックス塗布用マスク11の上方において、Y方向に移動する。第3のカメラ(移動カメラ)53は、Y方向に沿って移動しながら、Y方向に沿って設けられたフラックス塗布用マスク11の2つのアライメントマーク11bおよび11cを上方から順次検出し、ベース2に対するフラックス塗布用マスク11の第3の位置P3をメモリ40に記録する。フラックス塗布用マスク11の2つのアライメントマーク11bおよび11cは、第3のカメラ53がY方向に沿って移動したときに、第3のカメラ53の撮像範囲に入るように設けられている。第3の位置P3の一例は、ベース2に対するマスク11の中心のXY座標と、傾きθとを含む位置情報である。
また、第3のカメラ53は、ウエハ90のボール搭載領域Sに対向する領域に移動する。このため、第3のカメラ53により、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11の上から、フラックス塗布用マスク11の微小開口11aを撮像可能である。さらに、カメラ53により、微小開口11aを介して、その微小開口11aに対向する、ウエハ90のランド90aの画像を取得可能である。一例では、制御ユニット30が、第3のカメラ53を、ヘッド移動機構14により、Y方向に沿って移動しながら、その軌道上にある、フラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aの画像を取得する。例えば、所定の3つ微小開口11aを介して、この3つの微小開口11aにそれぞれ対向する、ウエハ90の3つのランド90aの画像を順次取得する。これら3つの測定ポイントは、第3のカメラ53がY方向に沿って移動したときに、第3のカメラ53によりランド90aの画像が取得可能な範囲内に位置するものである。
図9に、搭載装置1の制御系統の概略構成を示している。搭載装置1は、制御セクション60を備えている。制御セクション60は、制御ユニット30とメモリ40とを含んでいる。制御ユニット30とメモリ40とは、電気的あるいは制御情報を送受信できる状態に接続されている。制御セクション60は、図示していないが、さらに、搭載装置1の動作状態を示すディスプレイ、上述した各カメラが撮像した画像を示すディスプレイ、搬送ステージ3を含む、搭載装置1の各装置を手動で制御できる操作パネルなどを含んでいても良い。
制御ユニット30の多くは、コンピュータあるいはマイクロコンピュータを用いて構成される。制御用のプログラムは、メモリ40に記録されている。なお、制御用のプログラムは、ROMなどの適当な記録媒体に記録して提供することができる。搭載装置1は、制御セクション60にLANインターフェイスを設けることにより、LANなどのコンピュータネットワークを介して制御することも可能である。また、制御プログラムをネットワーク上のサーバなどから提供することも可能である。本例のメモリ40は、プログラム格納領域41と、画像および位置情報の記録領域42とを含んでいる。記録領域42には、第1、第2、および第3のカメラ51a、51b、52および53により取得された画像や、位置情報が記録される。
制御ユニット30は、ヘッド移動機構14を含むフラックス塗布装置10、ディスペンサ移動機構25を含むボール充填装置20、第1のカメラ51aおよび51b、第2のカメラ52、および第3のカメラ53、搬送ステージ3、アライナ5などと、電気的あるいは制御情報を送受信できる状態に接続されており、これらの動作を制御する。
図9に示すように、制御ユニット30は、以下の6つ機能31〜36を有している。まず、マスク位置取得機能31は、第2のカメラ52により、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21のアライメントマーク21bおよび21cを検出し、メモリ40に、ベース2に対するボール搭載用マスク21の第1の位置P1を記録する。さらに、第3のカメラ53により、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11のアライメントマーク11bおよび11cを検出し、メモリ40に、ベース2に対するフラックス塗布用マスク11の第3の位置P3を記録する。
ウエハ位置取得機能32は、第1のカメラ51aおよび51bにより、搬送ステージ3に搭載された状態のウエハ90のアライメントマーク90bおよび90cを検出し、メモリ40に、搬送ステージ3に対するウエハ90の位置をウエハ基準位置Pwとして記録する。
塗布用マスクとウエハとの位置合わせ情報取得機能(第3の機能)33は、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11の下へ、搬送ステージ3により、ウエハ基準位置Pwが、第3の位置P3により決められる位置になるように、ウエハ90を移動する。さらに、第3のカメラ53を介して、フラックス塗布用マスク11の3つの微小開口11aと、その3つの微小開口11aにそれぞれ対向する3つのランド90aとを位置合わせする。この位置合わせの処理は、第3のカメラ53の画像を見ながらオペレータが手動で行なっても良い。位置合わせされたときの、ウエハ基準位置Pwのベース2に対する第4の位置P4を取得してメモリ40に記録する。
第4の位置P4の一例は、ベース2に対するウエハ90の中心のX座標、ベース2に対するウエハ90の中心のY座標、および傾きθ(ウエハ90のノッチの方向θ)である。この第4の位置P4には、マスク11のアライメントマーク11bおよび11cから得られた第3の位置P3と、ウエハ90のアライメントマーク90bおよび90cから得られたウエハ基準位置Pwとにより位置合わせした位置からのオフセット量が含まれる。
フラックス塗布機能(第4の機能)34は、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11の下へ、搬送ステージ3により、ウエハ基準位置Pwが、第4の位置P4になるように、ウエハ90を移動する。搬送ステージ3を移動して、搬送ステージ3に対する、すなわち、搬送ステージ上のウエハ90のウエハ基準位置Pwを、ベース2に対する第4の位置P4にセットすることにより、上記の第3の機能33により得られた状態を再現できる。フラックス塗布用マスク11にドリフト現象が発生しないことを前提にすれば、他のウエハ90についても、それぞれのウエハ90を搬送ステージ3に乗せた状態で、それぞれの基準位置Pwを、第4の位置P4にセットすることにより、上記の第3の機能33により得られた状態を再現できる。したがって、塗布用ヘッド13によりウエハ90の複数のランド90aに、フラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aを介して、それぞれフラックスFを塗布することにより、高い精度でフラックスをウエハ90の所定の位置に塗布できる。
搭載用マスクとウエハとの位置合わせ情報取得機能(第1の機能)35は、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の下へ、搬送ステージ3により、ウエハ基準位置Pwが、第1の位置P1により決められる位置になるように、ウエハ90を移動する。さらに、第2のカメラ52を介して、ボール搭載用マスク21の3つの微小開口21aと、その3つの微小開口11aにそれぞれ対向する3つのランド90aとを位置合わせする。この位置合わせの処理は、第2のカメラ52の画像を見ながらオペレータが手動で行なっても良い。位置合わせされたときの、ウエハ基準位置Pwのベース2に対する第2の位置P2を取得してメモリ40に記録する。
第2の位置P2の一例は、ベース2に対するウエハ90の中心のX座標、ベース2に対するウエハ90の中心のY座標、および傾きθ(ウエハ90のノッチの方向θ)である。この第2の位置P2には、マスク21のアライメントマーク21bおよび21cから得られた第1の位置P1と、ウエハ90のアライメントマーク90bおよび90cから得られたウエハ基準位置Pwとにより位置合わせした位置からのオフセット量が含まれる。
ボール搭載機能(第2の機能)36は、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の下へ、搬送ステージ3により、ウエハ基準位置Pwが、第2の位置P2になるように、ウエハ90を移動する。搬送ステージ3に対するウエハ90のウエハ基準位置Pwを、第2の位置P2にセットすることにより、上記の第1の機能35により得られた状態を再現できる。マスク21にドリフト現象が発生しないことを前提にすれば、他のウエハ90についても、搬送ステージ上のウエハ基準位置Pwが、第2の位置P2になるように搬送ステージ3を移動することにより、上記の第1の機能35により得られた状態を再現できる。したがって、ボールディスペンサ23aおよび23bによりボールBeをボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aに充填することにより、ウエハ90の複数のランド90aにそれぞれ、高い精度でボールBeを搭載できる。
図10は、搭載装置1の制御方法の一例をフローチャートにより示している。制御ユニット30は、以下のように搭載装置1を制御する。まず、ステップ101において、フラックス塗布用マスク11がフラックス塗布用マスクホルダ12にセット済みであることを確認する。また、ボール搭載用マスク21がボール搭載用マスクホルダ22にセット済みであることを確認する。マスク11および21をそれぞれのマスクホルダにセットすることは、通常、人為的に行なわれる。複数種類のマスクを、ウエハの種類により自動的に交換できるものであっても良い。制御ユニット30は、ステップ101が確認されると、ステップ102において、マスク位置取得機能31により、フラックス塗布用マスク11の位置(第3の位置P3)を測定・記録する。また、ボール搭載用マスク21の位置(第1の位置P1)を測定・記録する。フラックス塗布用マスク11のベース2に対する第3の位置P3の測定・記録と、ボール搭載用マスク21のベース2に対する第1の位置P1の測定・記録とは、どちらを先に行ってもよく、並行して行うことも可能である。
次に、ステップ103において、ローダ/アンローダ装置4からウエハ90をロードし、ウエハ搬送装置(ウエハ搬送ロボット)7により搬送し、アライナ5の上方にセットする。ステップ104において、アライナ5でウエハ90のオリフラまたはノッチなどを用いて粗位置合わせを行う。この粗位置合わせは、後に行われる、2つの第1のカメラ(固定カメラ)51aおよび51bによるウエハ90の2つのアライメントマーク90bおよび90cの検出の際、第1のカメラ51aおよび51bの画像取得可能領域からウエハ90のアライメントマーク90bおよび90cが外れないようにするためのものである。このアライナ5においては、ウエハ90を回転させ、光センサにより、ウエハ90のノッチ端を検出する。そして、基準位置に対するウエハ90の角度(回転角度、ノッチの方向)θおよびウエハ90の中心のXY座標を演算し、ウエハ90を補正位置に移動させる。精度は、例えば、θが±0.1°、X座標、Y座標がそれぞれ±0.2mm程度である。
ステップ105において、ウエハ90をウエハ搬送装置7により搬送し、搬送ステージ3にセットする。ステップ106において、搬送ステージ3を第1のカメラ51aおよび51bの下方まで移動させ、ウエハ位置取得機能32により、ウエハ90の位置(ウエハ基準位置Pw)を測定・記録する。
ステップ107において、ウエハ90とフラックス塗布用マスク11との位置合わせ、およびウエハ90とボール搭載用マスク21との位置合わせが必要かどうか判断される。例えば、マスク11および21をマスクホルダ12および22にセットした直後は、ウエハ90にボールBeを搭載する前に、位置合わせが必要とされる。また、マスク11および21をマスクホルダ12および22にセットした後、ある程度の時間(例えば、6時間程度)は、マスク11および21の位置が安定し難い。すなわち、一旦マスク11および21とウエハ90との位置合わせを行い、以下のようにマスク11および21とウエハ90との間のずれ(オフセット値、オフセット量、補正値、微調整値)を取得しても、ある程度の時間は、そのオフセット値が時間とともに変化(ドリフト)する。ドリフト値は、例えば、20〜50μm程度である。ドリフトが起こる原因としては、マスク11および21の温度変化に伴うマスク位置のずれなどが考えられるが、定かではない。ドリフト値は、装置の稼働時間の経過とともに小さくなる。したがって、マスク11および21の位置が安定するまでの間は、1または数枚のウエハ90にボールBeを搭載する毎に、位置合わせが必要とされる場合がある。
ステップ107において、ウエハ90とフラックス塗布用マスク11との位置合わせ、およびウエハ90とボール搭載用マスク21との位置合わせが必要であるとの判断は、オペレータが行なっても良く、制御ユニット30が、初期設定であるか否か、スケジュール、経過時間などの条件に基づき行なっても良い。位置合わせが必要であれば、ステップ108以降において、位置合わせ情報取得機能33および35により、位置合わせの処理を行う。この工程は、以下に説明するように、初期位置合わせの工程(ステップ108、ステップ110)と微調整の工程(ステップ109、ステップ111)とを含む。
まず、ステップ108において、制御ユニット30は、塗布用マスクとウエハとの位置合わせ情報取得機能33により、ウエハ90をフラックス塗布装置10に移動させる。詳しくは、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11の下へ、搬送ステージ3により、ウエハ基準位置Pwが、第3の位置P3により決められる位置になるように、ウエハ90を移動させる。例えば、搬送ステージ3を動かして、ベース2に対するウエハ基準位置Pwに含まれる中心のXY座標と傾きθとを、フラックス塗布用マスク11の第3の位置P3に含まれる中心のXY座標と傾きθとに一致させる(初期位置合わせ)。
この初期位置合わせは、上述したように、アライメントマークをベースにした位置合わせであり、ボール径が小さくなると、位置合わせ精度が十分ではなく、また、ドリフト(時間の経過とともに起こるマスク位置のずれ)等の要因により、フラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aの位置と、ウエハ90の複数のランド90aの位置とがずれている場合がある。
このため、ステップ109において、第3のカメラ53により、フラックス塗布用マスク11の微小開口11aを介して、対応するウエハ90のランド90aの画像を取得することにより、初期位置合わせに対して微調整を行う。すなわち、フラックス塗布用マスク11の微小開口11aの画像と、それに対応するウエハ90のランド90aの画像とが一致する(たとえば、ランド90aの画像が微小開口11aの中に納まる)ようにする。そして、そのときのウエハ基準位置Pwのベース2に対する第4の位置P4を取得する。
続けて、制御ユニット30は、搭載用マスクとウエハとの位置合わせ情報取得機能35により、第1の位置P1を取得する。搭載用マスクとウエハとの位置合わせ情報の取得は、上述した塗布用マスクとウエハとの位置合わせ情報の取得よりも先に行なっても良い。まず、ステップ110において、ウエハ90をボール充填装置20に移動させる。例えば、搬送ステージ3を動かして、ベース2に対するウエハ基準位置Pwに含まれる中心のXY座標と傾きθとを、ボール搭載用マスク21の第1の位置P1に含まれる中心のXY座標と傾きθとに一致させる(初期位置合わせ)。
ボール搭載用マスク21においても、この初期位置合わせは、上述したように、アライメントマークをベースにした位置合わせであり、ボール径が小さくなると、位置合わせ精度が十分ではなく、また、ドリフトなどにより、ボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aの位置と、ウエハ90の複数のランド90aの位置とがずれている場合がある。
このため、ステップ111において、第2のカメラ52により、ボール搭載用マスク21の微小開口21aを介して、対応するウエハ90のランド90aの画像を取得することにより、初期位置合わせに対して微調整を行う。すなわち、ボール搭載用マスク21の微小開口21aの画像と、それに対応するウエハ90のランド90aの画像とが一致する(たとえば、ランド90aの画像が微小開口21aの中に納まる)ようにする。そして、そのときのウエハ基準位置Pwのベース2に対する第2の位置P2を取得する。
その後、ステップ112において、制御ユニット30は、フラックス塗布機能34により、ウエハ90をフラックス塗布装置10にセットし、ウエハ90にフラックスを塗布する。詳しくは、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11の下へ、搬送ステージ3により、ウエハ基準位置Pwが、上記第4の位置P4になるように、ウエハ90を移動する。そして、ステップ113において、塗布用ヘッド13によりウエハ90の複数のランド90aにフラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aを介してフラックスFを塗布する。
その後、ステップ114において、制御ユニット30は、ボール搭載機能36により、ウエハ90をボール充填装置20にセットし、ウエハ90にボールBeを搭載する。詳しくは、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の下へ、搬送ステージ3により、ウエハ基準位置Pwが、上記第2の位置P2になるように、ウエハ90を移動する。そして、ステップ115において、ボールディスペンサ23aおよび23bによりボールBeをボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aに充填し、ウエハ90の複数のランド90aの上にフラックスFを介してボールBeを搭載する。
ステップ116において、ウエハ90をローダ/アンローダ装置4にアンロードする。ステップ117において、続けてウエハ90に導電性ボールBeを搭載する場合(未処理のウエハ90が残っている場合)には、ステップ103に戻って、次のウエハ90を処理する。ステップ117において、続けてウエハ90に導電性ボールBeを搭載しない(未処理のウエハ90が残っていない)場合には、ジョブを終了する。
それぞれのマスク11および21の状態が安定した後は、位置合わせ情報を、ワークであるウエハ90が変わる都度取得しなくても、前に取得した第2の位置P2および第4の位置P4を用いて、高い精度でマスク11および21とウエハ90とを位置合わせできる。そのような場合は、ステップ107において、ウエハ90とフラックス塗布用マスク11との位置合わせ、ウエハ90とボール搭載用マスク21との位置合わせが不要であると判断され、位置合わせの工程(ステップ108〜ステップ111)は省略される。
マスクとウエハとの微調整の例として、ボール搭載用マスク21に関するステップ111について、さらに詳しく説明する。なお、フラックス塗布用マスク11に関するステップ109は、ステップ111と同様に行うことができる。図11は、ステップ109およびステップ111における制御方法の一例を示している。図12は、ステップ111において画像を取得するポイントを示している。
本例では、図12に示した、ポイントA、ポイントB、ポイントCの3箇所において、ポイントA、ポイントB、およびポイントCにある微小開口21aを通じて、それぞれに対応するランド90aの画像を取得し、マスク21に対するウエハ90の位置を微調整する。これら3つの測定ポイントA、BおよびCは、Y方向に沿って一列に並ぶように設けられている。
ポイントBは、ボール充填領域(振込み領域)S1の略中心を示している。ポイントAは、ポイントBからY方向に+y1cm離れた位置を示している。ポイントCは、ポイントBからY方向に−y1cm離れた位置を示している。なお、ポイントAおよびポイントCは、離れていることが好ましい。12インチのウエハに直径90μmの導電性ボールを搭載する場合、y1の値の一例は5cmである。すなわち、本例では、ポイントAとポイントCとは10cm離れている。
まず、ステップ121において、まず、傾きθ(θ位置、ノッチの方向)が一致しているかどうか判断する。詳しくは、以下のように行う。まず、図13に示すように、搬送ステージ3をZ方向に沿って上昇させ、ウエハ90をマスク21の下面に接触させる。これにより、第2のカメラ52の焦点がウエハ90のランド90aに合うようになっている。ディスペンサ移動機構25により第2のカメラ52をY方向に沿って移動させながら、3つの測定ポイントA、BおよびCにおいて、第2のカメラ52により、マスク21の微小開口21aを介して、対応するウエハ90のランド90aの画像を順次取得する。そして、得られた3つのランド90aの画像から、3つのランド90aの位置と面積を比較することにより、θ位置が一致しているかどうか判断する。なお、取得されるランドの画像はぼやけるが、搬送ステージ3をZ方向に沿って上昇させることなく、ウエハ90をマスク21から離した状態(図14参照)で、ランド90aの画像を取得してもよい。
図15は、θ位置、X位置、およびY位置を補正していない状態を示す図であって、図15(A)はポイントAにおいて取得された画像を示しており、図15(B)はポイントBにおいて取得された画像を示しており、図15(C)はポイントCにおいて取得された画像を示している。例えば、これらの図に示すように、3つのランド90aの面積が異なる画像が得られたとする。この場合、ステップ122において、まず、3つのランド90aの位置および面積が等しくなるように、θ位置を微調整する。すなわち、ウエハ90を、ウエハ90の中心の回りに回転させる。
3つのランド90aの位置および面積の比較は、カメラ52により取得された画像をコントロールセクション60に用意されたディスプレイに表示し、オペレータが目視により行うことができる。また、カメラ52により取得された画像データを画像処理(画像認識)し、上記および以下に示す操作を制御ユニット30により自動的に行ってもよい。また、ウエハ90がマスク21の下面に接触した状態でウエハ90を回転させると、ウエハ90のランド90aによりマスク21が傷つけられてしまうおそれがある。したがって、ウエハ90を回転させるときには、図14に示すように、搬送ステージ3をZ方向に沿って下降させ、ウエハ90がマスク21の下面に接触していない状態としてから行う。
なお、θ位置を微調整する量(θの移動量)は、オペレータが計算してもよく、画像処理も含めて制御ユニット30により自動的に行なっても良い。また、θの移動量を適当に設定し、トライアンドエラーにより、適切なθ位置を求めても良い。θ位置の微動(回転)は、コントロールセクション60に予め用意されたスイッチあるいはボタンを操作することにより、手動で行ってもよく、また、3つのランド90aの位置および面積の比較結果を用いて、自動で行ってもよい。以下でウエハ90をX方向に移動したり、Y方向に移動したりする場合についても同様である。
ステップ122において、θ位置を微動(回転)した後、ステップ121に戻り、再び、θ位置が一致しているかどうか判断する。これを、θ位置が一致するまで繰り返す。θ位置が一致していると判断されると、ステップ123において、そのθ位置、または、初期合わせした位置からウエハ90を回転させた角度の合計(オフセット値)が記録される。
図16は、θ位置を補正した状態を示す図である。図16(A)、(B)および(C)は、それぞれポイントA、BおよびCにおいて取得された画像を示している。θ位置の微調整が完了すると、図16に示すように、ランド90aが微小開口21aを介して見えている形状、面積がほぼ一致する。
次に、θ位置が一致していると判断された、3つのランド90aの画像である図16(A)〜(C)を用いて、ステップ124において、X位置およびY位置が一致しているかどうか判断する。図16(A)〜(C)では、ランド90aの位置が開口21aに対してXまたはY方向にずれている。したがって、ステップ125において、図14に示すように、搬送ステージ3をZ方向に沿って下降させ、ウエハ90がマスクの下面に接触していない状態としてから、X位置および/またはY位置を微動させる。この微動のための処理は、θ位置の微動と共通するので、詳しい説明は省略する。
ステップ125において、X位置および/またはY位置を微動した後、ステップ124に戻り、再び、X位置およびY位置が一致しているかどうか判断する。すなわち、図13に示すように、搬送ステージ3をZ方向に沿って上昇させ、ウエハ90をマスク21の下面に接触させ、第2のカメラ52の焦点を、ウエハ90のランド90aに合わせる。ディスペンサ移動機構25により第2のカメラ52をY方向に沿って移動させながら、3つの測定ポイントA、BおよびCにおいて、第2のカメラ52により、マスクの微小開口21aを介して、対応するウエハ90のランド90aの画像を順次取得する。そして、得られた3つのランド90aの画像より、X位置およびY位置が一致しているかどうか判断する。これを、X位置およびY位置がそれぞれ一致するまで繰り返す。X位置およびY位置が一致していると判断されると、ステップ126において、そのX位置およびY位置、または、初期合わせした位置からウエハ90をX方向およびY方向に移動させた合計量(オフセット値)が記録される。
θ位置、X位置およびY位置が一致したことは、図17に示したように、各ポイントA〜Cにおいて、微小開口21aの中が、ランド90aにより占有されるか、あるいは、微小開口21aの中に、ランド90aが納まった画像が得られることにより、容易に判断できる。したがって、この状態で、ボールBeをマスクの開口21aに振り込めば、高い精度で、ボールBeをランド90aの上に搭載できる。
フラックスを塗布した後は、ランド90aの画像がクリアに得られなかったり、ウエハ90を微動させたり、マスク21とウエハ90とを重ねる際に、フラックスがマスク21に付着する可能性がある。したがって、この例では、フラックスが塗布される前のウエハ90により、ボール搭載用マスク21によりウエハ90にボールBeを搭載する状態を実現し、ボールBeを実際に充填する代わりにカメラ52の画像により、ボールBeが搭載された結果をシミュレートしている。このため、フラックスが塗布された後のウエハ90を、シミュレーション通りに、マスク21に対してセットすることにより、高精度でボールBeをウエハ90に搭載できる。
以上のように、この搭載装置1および制御方法によれば、ウエハ基準位置Pwが第1の位置P1により決められる位置になるようにウエハ90を移動させたときに、ボール搭載用マスク21の微小開口21aの位置とウエハ90のランド90aの位置とがずれていたとしても、第2のカメラ52により、微小開口21aを通じて、それに対向するランド90aの画像を取得し、微小開口21aの位置と、それに対向するランド90aの位置とが一致するように、ウエハ90を搬送ステージ3とともに移動させる、すなわち、ウエハ90の位置を微調整することができる。このため、ウエハ90のランド90aの上にボールBeを、ずれが無い状態、またはごく少ない状態で、良好に搭載することができる。
すなわち、この搭載装置1および制御方法によれば、ウエハ基準位置Pwがベース2に対して第2の位置P2となるようにウエハ90を配置し、実際に、ボール搭載用マスク21を介してウエハ90にボールBeを搭載することにより、基準マーク(例えば、アライメントマーク)同士を用いた位置合わせよりも高い精度で位置合わせした状態でボールBeを搭載できる。このため、この搭載装置1および制御方法では、その後、第2の位置P2を記録したウエハ90およびそれに続く他のウエハ90を、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の下へ、搬送ステージ3により、それぞれのウエハ90のウエハ基準位置Pwが、第2の位置P2になるように、ウエハ90を移動し、ボールディスペンサ23aおよび23bによりボールBeをボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aに充填することにより、ボール搭載用マスク21を介してウエハ90にボールBeを搭載することができる。
しかも、この搭載装置1および制御方法によれば、第2のカメラ52により、微小開口21aを通じて、それに対向するランド90aの画像を取得することにより、ウエハ90のランド90aの上にボールBeを搭載した状態を模擬的につくり出し、ウエハ90の位置を微調整することができる。したがって、実際にボール搭載用マスク21を介してウエハ90にボールBeを搭載することなく、ウエハ90のランド90aの上にボールBeを搭載した状態をシミュレーションし、ボール搭載用マスク21とウエハ90との正確な位置合わせを行うことができる。
また、この搭載装置1および制御方法によれば、ウエハ基準位置Pwが第3の位置P3により決められる位置になるようにウエハ90を移動させたときに、フラックス塗布用マスク11の微小開口11aの位置とウエハ90のランド90aの位置とがずれていたとしても、第3のカメラ53により、微小開口11aを通じて、それに対向するランド90aの画像を取得し、微小開口11aの位置と、それに対向するランド90aの位置とが一致するように、ウエハ90を搬送ステージ3とともに移動させる、すなわち、ウエハ90の位置を微調整することができる。このため、ウエハ90のランド90aの上にフラックスFを、ずれが無い状態、またはごく少ない状態で、良好に塗布することができる。
しかも、この搭載装置1および制御方法によれば、第3のカメラ53により、微小開口11aを通じて、それに対向するランド90aの画像を取得することにより、ウエハ90のランド90aの上にフラックスFを塗布した状態を模擬的につくり出し、ウエハ90の位置を微調整することができる。したがって、実際にフラックス塗布用マスク11を介してウエハ90にフラックスFを塗布することなく、ウエハ90のランド90aの上にフラックスFを塗布した状態をシミュレーションし、フラックス塗布用マスク11とウエハ90との正確な位置合わせを行うことができる。
また、この搭載装置1によれば、第2のカメラ52は、ボール搭載用マスク21の複数の微小開口21aを介して、その複数の微小開口21aに対向する、ウエハ90の複数のランド90aの画像を取得可能であるため、より正確に、ボール搭載用マスク21とウエハ90との位置合わせを行うことができる。
同様に、第3のカメラ53は、フラックス塗布用マスク11の複数の微小開口11aを介して、その複数の微小開口11aに対向する、ウエハ90の複数のランド90aの画像を取得可能であるため、より正確に、フラックス塗布用マスク11とウエハ90との位置合わせを行うことができる。
また、本例のように、画像取得ポイント(測定ポイント)が複数である場合、得られたランド90aの画像を比較することができる。ランド90aの位置と面積を比較することにより、θ位置が一致しているかどうか判断しやすくなる。
さらに、この搭載装置1は、第2のカメラ52をディスペンサ移動機構25に搭載し、第3のカメラ53をヘッド移動機構14に搭載しているため、第2および第3のカメラ52および53を動かす機構をそれぞれ省略することができる。しかも、ボールディスペンサ23aおよび23bを動かしたときに、ボールディスペンサ23aおよび23bが第2のカメラ52に干渉したり、フラックス塗布用ヘッド13を動かしたときに、フラックス塗布用ヘッド13が第3のカメラ53に干渉することがない。
なお、本例では、第2のカメラ52により、3つのポイントにおいて、ボール搭載用マスク21の微小開口21aを介して電極90aの画像を取得したが、第2のカメラ52は、ボール搭載用マスクホルダ22に保持されたボール搭載用マスク21の上から、ボール搭載用マスク21の少なくとも1つの微小開口21aを介して、その少なくとも1つの微小開口21aに対向する、少なくとも1つの電極90aの画像を取得可能であればよく、電極90aの画像を取得するポイントの数は任意である。
同様に、本例では、第3のカメラ53により、3つのポイントにおいて、フラックス塗布用マスク11の微小開口11aを介して電極90aの画像を取得したが、第3のカメラ53は、フラックス塗布用マスクホルダ12に保持されたフラックス塗布用マスク11の上から、フラックス塗布用マスク11の少なくとも1つの微小開口11aを介して、その少なくとも1つの微小開口11aに対向する、少なくとも1つの電極90aの画像を取得可能であればよく、電極90aの画像を取得するポイントの数は任意である。
また、本例では、2つのアライメントマークの座標から中心位置を演算することにより、第1の位置、第3の位置、およびウエハ基準位置を得たが、1つのアライメントマークの座標から、第1の位置、第3の位置、およびウエハ基準位置を得てもよい。したがって、2つのアライメントマーク21bおよび21cを備えるボール搭載用マスク21を用いたが、ボール搭載用マスク21のアライメントマーク21bおよび21cの数は任意である。同様に、本例では、2つのアライメントマーク11bおよび11cを備えるフラックス塗布用マスク11を用いたが、フラックス塗布用マスク11のアライメントマーク11bおよび11cの数は任意である。さらに、本例では、2つのアライメントマーク90bおよび90cを備えるウエハ90を用いたが、ウエハ90のアライメントマーク90bおよび90cの数は任意である。
また、本例では、ワークに基準マークとしてアライメントマークを設けているが、ワークの基準マークはアライメントマークに限定されるものではない。ワークの基準マークとして電極配列(電極パターン)を用いることも可能である。また、マスク側の基準マークとして微小開口の配列(パターン)を用いることが可能である。したがって、ワークとステージとの位置合わせ、ワークとマスクの初期位置合わせは、電極および/または開口のパターンを画像認識することにより行ってもよい。
さらに、本例では、第2のカメラ52をディスペンサ移動機構25に搭載したが、ディスペンサ移動機構25とは異なる移動機構を用意し、第2のカメラ52を、この移動機構に搭載してもよい。また、本例では、第3のカメラ53をヘッド移動機構14に搭載したが、ヘッド移動機構14とは異なる移動機構を用意し、第3の移動カメラを、この移動機構に搭載してもよい。