JP4892423B2 - クローラ式走行装置 - Google Patents
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Description
特許文献1記載のクローラ式走行装置にあっては、トラックフレームに前端側が左右軸回りに回動自在に枢支された前傾状の支持アームを設け、この支持アームの後端側にスクレーパの前端側が所定範囲で上下揺動するように枢支されていると共に、支持アームをバネによって下方に回動付勢していて、路面の凹凸に伴うクローラベルトの上下動に伴ってスクレーパが水平姿勢で上下動可能となるよう構成されている。
前記スクレーパは、可撓性を有していて、該スクレーパが使用状態での所定位置にある状態において、クローラベルトの循環回走時にクローラベルトの内周面に付着した泥に押圧されることにより該泥をクローラベルトの外側方に排出するように撓むよう構成され、
前記スクレーパが取り付けられた取付フレームを前記トラックフレームに対してクローラベルトの周方向前後に揺動可能に支持し、
前記スクレーパが前記使用状態での所定位置にあるときにクローラベルトの回走方向前方から所定荷重を受けると前記取付フレームがクローラベルトの回走方向へ揺動するように、スクレーパが前記使用状態での所定位置にある状態で取付フレームを位置決めする係合部を設けたことを特徴とする。
また、前記スクレーパはクローラベルトの接地する部位の内周面上方に配置されており、前記取付フレームを下方に付勢する付勢手段を設け、前記取付フレームはスクレーパに作用する下方からの所定荷重によって付勢手段の付勢力に抗して上方に逃げるようにトラックフレームに対して上下動自在に支持されているのがよい。
図1において、1は、四輪駆動トラクタの後輪の替わりにクローラ式走行装置2(セミクローラ)を左右独立して設けた半履帯トラクタ(車輌)であり、前輪3は操向輪とされている。
このトラクタ1は、車体(走行機体)4の後部にキャビン5が搭載されたキャビン付きトラクタが例示されており、キャビン5内の後部には、運転席6が設けられ、運転席6の前方には、操縦ハンドル7が設けられている。
前輪3は前車軸ケースの左右両側に設けられ、前車軸ケースは、エンジン8から前方に突出するように、該エンジン8に取付固定された前車軸フレーム10に、前後軸回りに揺動自在に支持されている。
図2及び図3において、クローラ式走行装置2は、角材、板材、パイプ材等で形成されたトラックフレーム12に、テンション調整用前アイドラ(調整輪)13と遊転の後アイドラ14とそれらの中間の転輪15とを前後方向に配列支持し、前記転輪15の上方に駆動輪16を配置し、これら全輪に無端帯状のクローラベルト17を巻き掛け、前記トラックフレーム12を駆動輪16の軸芯と平行でかつその下方に位置する揺動支軸18回りに揺動自在に後車軸ケース11に支持している。
トラックフレーム12の後端側は二股形状に構成され、該トラックフレーム12の後端に設けられた左右一対の軸受部材23に支軸24を介して後アイドラ14が回転自在に支持されている。
前記3つの転輪15の内の前側の1輪の転輪15は、トラックフレーム12の下面に固定のブラケット26に転輪支軸25を介して支持されている。
駆動輪16は、後車軸(駆動軸)33の外端面に装着されたスプロケット(円板の外周に係合歯を有する駆動伝動体)で構成されている。
駆動輪16は、後車軸33側の取付部34に着脱自在に取り付けられる内輪体35と、この内輪体35に着脱自在に取り付けられる外輪体36と、この外輪体36の外周部に取り付けられる外周係合輪37とを備えてなる。
このクローラベルト17には、芯金の各間に駆動輪16の外周側の係合歯38が挿入される係合孔が形成されていて、駆動輪16を回転駆動することにより芯金を介して駆動輪16からクローラベルト17に回転動力が伝達されて該クローラベルト17が周方向に循環回走されてトラクタ1が前後進されるよう構成されている。
このクローラベルト17は、内周側の左右方向(帯幅方向)中央側に脱輪防止用(クローラベルト17の外れ防止用)の左右一対の係合突起39がクローラベルト17の周方向に間隔をおいて且つ全周にわたって一体形成されており(図4参照)、駆動輪16,前後アイドラ13,14は左右の係合突起39の間を通過し、各転輪15は左右の係合突起39の左右両側を転動し、駆動輪16,前後アイドラ13,14及び各転輪15が左右方向で係合突起に係合することにより、クローラベルト17の外れが防止される。
前記トラックフレーム12には、本体部分から走行機体4側へ突出した板材等で形成された延設台40が立設され、この延設台40上に揺動支持体41がボルトナット等の締結具で着脱自在に固定されている。
このスクレーパ装置46は、図4〜図11に示すように、先頭の転輪15を支持するブラケット26の後部側に着脱自在に取り付けられるメインフレーム47と、このメインフレーム47の左右両側に固定された左右一対の支持プレート48と、この左右支持プレート48に上下動自在で且つ前後揺動自在に支持された取付フレーム49と、この取付フレーム49に取り付けられたスクレーパ50と、取付フレーム49を下方に付勢する付勢手段51とを備えている。
このメインフレーム47は、板材によって形成され、前壁52と、この前壁52の左右両端側から後方に延出された左右の側壁53と、前壁52の左右方向中央側の上端から後方に延出された上壁54と、前壁52の前面側の左右方向中央側に固着された左右一対の取付片55(取付部)を備えている。
左右各取付片55は、板厚方向が左右方向に一致するようにして設けられ、該取付片55の下部には、左右方向に貫通するピン孔56が形成されている。
そして、取付片55のピン孔56と、取付壁部57のピン孔58とにわたって取付ピン59が挿通されていると共に、前壁52の前面下部が取付壁部57の後端面に接当することによりメインフレーム47の取付ピン59回りの下方への回動が規制されている。
そして、固定ボルト61をナット部材60に対して緩める方向に(固定ボルト61を前進させる方向に)回動させて固定ボルト61を当て板62に押しつけることにより、メインフレーム47がブラケット26に対してしっかりと固定されるよう構成されている。
左右の支持プレート48は、メインフレーム47の、左右方向で同じ側に位置する側壁53の左右方向外方側(クローラベルト17の左右方向中央側とは反対側)に、板厚方向が左右方向に一致するようにして配置されている。
また、左右各支持プレート48の下部には、ガイド溝63が左右方向に貫通状に形成されている。
前逃がし部66は、上下方向ガイド部64の下端から前方に延びる上縁66aと、係合部65の前端から前斜め上方に延びると共に上端部が前記上縁66aの前端部に接続されたガイド面66b(これを前ガイド面という)とから構成され、後逃がし部67は、上下方向ガイド部64の下端から後方に延びる上縁67aと、係合部65の後端から後斜め上方に延びると共に上端部が前記上縁67aの後端部に接続されたガイド面67b(これを後ガイド面という)とから構成されている。
係止部68は、上下方向ガイド部64及び連通部69よりもやや下位に位置している。
前記取付フレーム49は、スクレーパ50が取り付けられる取付ステー70と、上横軸71と、下横軸72と、上横軸71に一体形成された把持部73とを備えている。
上横軸71及び下横軸72は左右方向の軸心を有し、下横軸72は、上横軸71の真下に平行状として配置されている。
また、上横軸71と下横軸72とは取付ステー70の側壁70aに固着されている。
前記スクレーパ50は、可撓性を有する(弾性変形可能な)金属製板材や樹脂製又はゴム製の板材等によって形成されている。
本実施の形態では、左右一対設けられており、左側のスクレーパ50は左側の係合突起39より左方で且つクローラベルト17の接地する部位の内周面17a上方に配置され、右側のスクレーパ50は右側の係合突起39より右方で且つクローラベルト17の接地する部位の内周面17a上方に配置されている。
また、左右各スクレーパ50の主要部分50aの下縁はクローラベルト17の内周面17aの形状に沿った(合致した)形状に形成されている。
この取付壁50bは、前記取付ステー70の底壁70b下面に重合されて該底壁70bに着脱自在にボルト固定されている。
なお、左右のスクレーパ50は係合突起39の上方側で連結されていてもよい。
バネ受け部材75は、メインフレーム47の上壁54の下方に配置されており、前壁75aと、この前壁75aの背面下部から後方に延出された受壁75bと、この受壁75bの後縁から下方に延出された係合壁75cとから構成されていて、該バネ受け部材75の下部が側面視で下方に向けて開放状のコ字形に形成されており、該バネ受け部材75の下部は、前壁75aの下部と係合壁75cとの間に前記上横軸71が配置されるように上横軸71に上方側から係合(嵌合)している。
また、各ロッド76の上端側には、メインフレーム47の上壁54の上面に係合してロッド76の抜止めをする抜止め部材79が設けられている。
本実施の形態では、バネ74の上端はメインフレーム47の上壁54の下面に接当しており、バネ74の下端はロッド76の頭部に接当している(ロッド76の下端はバネ受け部材75の受壁75bの上面に接当していてもよい)。
また、図5の仮想線は一例を示しており、スクレーパ50の撓み量・撓ませ方等は適宜設計変更自在である。
また、取付フレーム49は上下動自在であり、クローラベルト17に地面側からの突上げ力が作用した場合に、スクレーパ50及び取付フレーム49が上方移動して逃げ、クローラベルト17の接地面の下方側からの過大な荷重に対して逃げることにより装置自体を保護している。
なお、スクレーパ50は前記所定位置において、バネ74の付勢力が作用しない程度にスクレーパ50の下縁をクローラベルト17の内周面17aに摺接させるようにしてもよいし、スクレーパ50の下縁とクローラベルト17の内周面17aとの間に若干の隙間があくようにしてもよいし、バネの付勢力によってクローラベルト17の内周面17aに密着させるようにしてもよい。
このレバー77は、前後の壁部77a,77bと、前後壁部77a,77bの上縁側を連結する上壁77cとを備え、下方に開放状のコ字形に形成されている。
このレバー77の長手方向中途部とメインフレーム47の前壁52との間には左右方向の軸心を有する筒状のスペーサ部材80が介在され、メインフレーム47の前壁52,スペーサ部材80及びレバー77の前後壁77a,77bを貫通する枢支軸81を介して、該レバー77の長手方向中途部が前後方向の軸心回りに回動操作自在に支持されている。
また、本実施の形態では、右側の支持プレート48も左側の支持プレート48と同様の形状に形成されていて、切欠部82及び係止凹部83が形成されている。
また、レバー77の右側には、前後壁77a,77bに貫通形成された矩形状の開口85が形成され、付勢手段51の受壁75b上面の左右ロッド76間には、レバー77の前後壁77a,77bに形成された開口85を挿通する係合ピン86が固着されている。
なお、レバー77に設けられた係止片84は前後一対設けられ、左右のクローラ式走行装置2で共通のレバー77が使用できるよう構成されている(右側のクローラ式走行装置2に採用される場合は、レバー77は左右逆向きで使用される)。
スクレーパ50を退避位置にするには、先ず、レバー77の係止片84を係止凹部83から離脱させてレバー77を枢支軸81回りに上下揺動操作可能とし、この状態で、レバー77の左側を引き下げる。
この状態(付勢力が解除された状態)で取付フレーム49の把持部73を把持して、該取付フレーム49を引き上げると共に上横軸71をガイド溝63の係止部68に挿入することにより、スクレーパ50が図11に示す退避位置に位置変更される。
したがって、圃場での作業時には、スクレーパ50を退避位置にしておくことにより、スクレーパ50には荷重が作用せず、また、スクレーパ50がクローラベルト17の回走の抵抗となることがない。
これにより、道路走行時に、道路上に泥を落とすなどの問題を解消することができる。
なお、スクレーパ50を退避位置から元の使用状態に戻すには、バネ受け部材75を引き上げて上横軸71をガイド溝63の係止部68から離脱させればよい。
14 後アイドラ
15 転輪
16 駆動輪
17 クローラベルト
17a 内周面
26 ブラケット
47 メインフレーム
48 支持プレート
49 取付フレーム
50 スクレーパ
51 付勢手段
63 ガイド溝
68 係止部
70 取付ステー
71 上横軸
72 下横軸
74 バネ
75 バネ受け部材
A クローラベルトの前進回走方向
B クローラベルトの後進回走方向
Claims (5)
- 駆動輪(16)と、トラックフレーム(12)に支持されたアイドラ(13,14)及び転輪(15)とに巻き掛けられて周方向に循環回走する無端帯状のクローラベルト(17)を備え、このクローラベルト(17)の内周側に、該クローラベルト(17)の内周面(17a)に付着した泥を排除するスクレーパ(50)を備えたクローラ式走行装置において、
前記スクレーパ(50)は、可撓性を有していて、該スクレーパ(50)が使用状態での所定位置にある状態において、クローラベルト(17)の循環回走時にクローラベルト(17)の内周面(17a)に付着した泥に押圧されることにより該泥をクローラベルト(17)の外側方に排出するように撓むよう構成され、
前記スクレーパ(50)が取り付けられた取付フレーム(49)を前記トラックフレーム(12)に対してクローラベルト(17)の周方向前後に揺動可能に支持し、
前記スクレーパ(50)が前記使用状態での所定位置にあるときにクローラベルト(17)の回走方向(A,B)前方から所定荷重を受けると前記取付フレーム(49)がクローラベルト(17)の回走方向(A,B)へ揺動するように、スクレーパ(50)が前記使用状態での所定位置にある状態で取付フレーム(49)を位置決めする係合部(65)を設けたことを特徴とするクローラ式走行装置。 - 前記取付フレーム(49)をトラックフレーム(12)に対してクローラベルト(17)の帯幅方向の軸心回りに揺動可能に支持すると共に上下動自在に支持し、スクレーパ(50)が前記所定荷重を受けた際に取付フレーム(49)を上方移動させながらクローラベルト(17)の回走方向(A,B)へ揺動するようにガイドするガイド面(66b,67b)をトラックフレーム(12)側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のクローラ式走行装置。
- 前記スクレーパ(50)はクローラベルト(17)の接地する部位の内周面(17a)上方に配置されており、前記取付フレーム(49)を下方に付勢する付勢手段(51)を設け、前記取付フレーム(49)はスクレーパ(50)に作用する下方からの所定荷重によって付勢手段(51)の付勢力に抗して上方に逃げるようにトラックフレーム(12)に対して上下動自在に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクローラ式走行装置。
- 前記取付フレーム(49)は、クローラベルト(17)の帯幅方向の軸心を有する上下の横軸(71,72)とこれら上下の横軸(71,72)に固定されると共にスクレーパ(50)が取り付けられる取付ステー(70)とを備えてなり、上横軸(71)を上下移動自在にガイドする上下方向ガイド部(64)と、下横軸(72)が上横軸(71)回りにクローラベルト(17)の周方向前後に揺動するようにガイドするガイド面(66b,67b)とをトラックフレーム(12)側に設けたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載のクローラ式走行装置。
- 前記スクレーパ(50)は、使用状態から取付フレーム(49)を上方に移動させながらクローラベルト(17)の周方向に揺動させることで退避位置に保持可能とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクローラ式走行装置。
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