JP4890455B2 - イチイ属植物からパクリタキセルを得る方法 - Google Patents

イチイ属植物からパクリタキセルを得る方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4890455B2
JP4890455B2 JP2007520696A JP2007520696A JP4890455B2 JP 4890455 B2 JP4890455 B2 JP 4890455B2 JP 2007520696 A JP2007520696 A JP 2007520696A JP 2007520696 A JP2007520696 A JP 2007520696A JP 4890455 B2 JP4890455 B2 JP 4890455B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paclitaxel
acetone
fraction
extract
obtaining
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007520696A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008505946A (ja
Inventor
ブルーノ ガベッタ、
ジャンフランコ ズィーニ、
Original Assignee
インデナ エッセ ピ ア
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by インデナ エッセ ピ ア filed Critical インデナ エッセ ピ ア
Publication of JP2008505946A publication Critical patent/JP2008505946A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4890455B2 publication Critical patent/JP4890455B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D305/00Heterocyclic compounds containing four-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atoms
    • C07D305/14Heterocyclic compounds containing four-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atoms condensed with carbocyclic rings or ring systems
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Description

本発明は、一般に、パクリタキセル(paclitaxel)を含有する植物からパクリタキセルを得る方法に関する。より詳細には、本発明は、メディアイチイ(Taxus media)などのイチイ属(Taxus)植物を始めとするイチイ科(Taxaceae)植物からパクリタキセルを抽出する方法を対象とし、該方法は、パクリタキセルに関する一連のカラムクロマトグラフィー段階、それに続く結晶化を含む。
パクリタキセルは、主として太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の樹皮から得られる抗ガン化合物である。1960年代に、米国国立ガン研究所は、抗ガンまたは抗新生物活性を示す植物抽出物の研究を開始した。太平洋イチイの樹皮から得られる粗抽出物が各種の腫瘍を抑制することが見出された。1971年、M.C Waniらによってパクリタキセルが単離され、発表され(J.Am.Chem.Soc.93巻、2325頁(1971年))、彼らは、化学的方法およびX線結晶解析を使用してパクリタキセルの構造を明らかにした。1979年、Schiffおよび共同研究者らは、パクリタキセルの新規な作用機構を立証した。この機構には、微小管へ結合すること、および通常であれば脱重合が起こる条件下における微小管の脱重合を防止することが含まれる。パクリタキセルは、現在、卵巣ガン、乳ガンおよび非小細胞肺ガンの治療に使用される。
パクリタキセルは、太平洋イチイ(T.brevifolia)の樹皮から主として抽出される天然物であるが、カナダイチイ(T.canadensis)および雲南イチイ(T.yunnanensis)を始めとするイチイ科(Taxaceae)の他の品種中にも見出される。パクリタキセルは、その針状葉がパクリタキセルおよび類似体を含むヨーロッパイチイ(T.baccata)、アジアイチイ(インドイチイ(T.wallichiana)および中国イチイ(T.chinensis))、および鑑賞目的で栽培されるイチイ樹を始めとするその他のイチイ種の地上部および根にも存在している。次の様々なイチイ栽培品種も、パクリタキセルを含むことが見出されている。すなわち、T.x media「Henryi」、T.x media「Runyan」、T.cuspidata、T.x media「Halloran」、T.x media「Hatfield」、T.x media「Hicksii」、T.x media「Tauntonii」、T.x media「Dark Green Spreader」、T.x media「Wardii」、T.x media「Brownii」、T.x media「Densiformis」、T.x media「Nigra」、T.x cuspidata「Brevifolia」、およびT.cuspidata「Spreader」。
これらの種はすべて、極めて限られた量のパクリタキセル含有する。例えば、太平洋イチイ(T.brevifolia)および雲南イチイ(T.yunnanensis)樹の樹皮には、約0.02%のパクリタキセルが含まれており、T.media「Hicksii」潅木の針状葉および根には、約0.005%〜約0.1%のパクリタキセルが含まれている。
したがって、植物材料から高純度のパクリタキセルを抽出する効率的な方法を開発することには大きな利益がある。本発明は、パクリタキセルのクロマトグラフィー、それに続く結晶化を利用して植物材料から高純度パクリタキセルを抽出する方法を提供する。
[発明の要約]
したがって、本発明の目的は、パクリタキセルを含有する植物から高純度パクリタキセルを得る方法を提供する。これらの方法は、パクリタキセルの安定性を確実にするという利点を有し、パクリタキセルの含有量とは無関係にイチイの各種栽培品種またはその一部を使用することが可能になり、かつバイオマス中に存在するパクリタキセルを最大限に回収することが可能になる。本発明に記載する方法は、これまでの方法に優る幾つかの利点を提供する。例えば、パクリタキセルは、7位でのエピマー化(epimerization)、10位での脱アセチル化、および13位での側鎖の脱離などの劣化反応を受ける場合のあることが知られている。単離されるパクリタキセルの品質および収率の双方に影響を及ぼすこれらの劣化反応は、加熱、特に大量のアルコール系溶媒を含有する媒質中での加熱により生じる。本発明に記載する方法では、アルコールを、限られた量で、かつ希釈された状態で使用し、一般に、抽出工程中に加熱を必要としない。それゆえ、本明細書に記載する方法は、パクリタキセルの安定性を高める。
さらに、本明細書に記載する方法は、出発原料として種々のタイプの植物部分を使用できる。より具体的には、本発明で使用される出発材料は、パクリタキセル含有植物の葉、茎、枝、樹皮、根の単独、またはそれらの混合物でよい。出発材料は、植物部分の比率、イチイ栽培品種の性質、およびパクリタキセル含有量とは無関係に選択できる。本発明の方法は、同じ処理効率を提供し、かつパクリタキセルの一定で高い品質を保証する。また、本明細書に記載する方法により、パクリタキセルの高収率が可能となる。
これらの方法は、植物材料からパクリタキセルを抽出することによって、パクリタキセル抽出物を調製することを含む。パクリタキセルは、該パクリタキセル抽出物から、それぞれ固定相および溶離溶媒を含むカラムクロマトグラフィー装置群を使用し、かつ最終のクロマトグラフィー段階で得られる少なくとも1つの画分中に含まれているパクリタキセルを結晶化することによって分離される。若干の実施形態において、パクリタキセルは、最終のカラムクロマトグラフィー段階から得られるすべての画分から結晶化される。得られたパクリタキセルの結晶を乾燥してもよい。上述のように、出発植物材料として幾つかのバイオマスを使用できる。バイオマスとしてメディアイチイの植物全体を使用する場合、植物材料は、典型的には、約40〜約60(w/w)%の空中部分および約60〜約40(w/w)%の根を含む。さらに、固定相および溶離溶媒は、異なる装置の間で相違してもよい。
本発明の方法では、植物材料からパクリタキセルを抽出してパクリタキセル抽出物を形成する。パクリタキセルは、植物材料から水と有機溶媒の組合せなどの溶媒を使用して抽出される。該パクリタキセル抽出物から、カラムクロマトグラフィー装置を使用し、それぞれのクロマトグラフィー分離後に少なくとも1つのパクリタキセル含有画分を得ること、および場合によってはその少なくとも1つの画分を減圧にさらして溶離溶媒を除去することによってパクリタキセルを分離する。それぞれの分離に続いて1つを超える画分が捕集される場合には、パクリタキセルを含有する少なくとも幾つかの画分を合わせた後に、この合わせたものから溶離溶媒を除去することができる。さらに、結晶化は、24時間にわたって行うことができ、室温で行うことができる。本発明は、さらに、メディアイチイ(Taxus media)から、室温で約40〜約60(v/v)%のアセトンを含む水溶液を用いて植物材料を抽出することによってパクリタキセルを抽出する方法を提供する。
一実施形態において、本発明の方法は、植物材料からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製すること、次いで、該パクリタキセル抽出物から第1固定相および第1溶離溶媒を備えた第1カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを分離し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ることを含む。次いで、その少なくとも1つの画分から第2固定相および第2溶離溶媒を備えた第2のカラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを分離し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得る。その後、その少なくとも1つの画分から第3固定相および第3溶離溶媒を備えた第3のカラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを分離し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得る。さらに、その少なくとも1つの画分から第4固定相および第4溶離溶媒を備えた第4のカラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを分離し、少なくともセファロマニンを除去し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得る。次いで、その少なくとも1つの画分から結晶化溶媒を使用してパクリタキセルを結晶化し、パクリタキセルの結晶を得る。
他の実施形態において、本発明の方法は、植物材料からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製することを含む。次いで、該パクリタキセル抽出物から第1固定相および第1溶離溶媒を備えた第1カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、およびその少なくとも1つの画分から溶離溶媒を除去して第1残留物を形成することによって、パクリタキセルを分離する。その後、該第1残留物から、第2固定相および第2溶離溶媒を備えた第2カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および、次いで、その少なくとも1つの画分から第2溶離溶媒を除去して第2残留物を形成することによって、パクリタキセルを分離する。引き続き、該第2残留物から、第3固定相および第3溶離溶媒を備えた第3カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、次いで、その少なくとも1つの画分から第3溶離溶媒を除去して第3残留物を形成することによって、パクリタキセルを分離する。次いで、該第3残留物から、第4固定相および第4溶離溶媒を備えた第4カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、次いで、その少なくとも1つの画分から第4溶離溶媒を除去して第4残留物を形成することによって、パクリタキセルを分離する。次いで、該第4残留物から結晶化溶媒を使用してパクリタキセルを結晶化し、パクリタキセル結晶を得る。
他の実施形態において、本発明の方法は、室温で約40〜約60(v/v)%のアセトンを含有する水性溶媒で植物材料を抽出することによってメディアイチイ(Taxus media)から植物材料抽出物を調製すること、次いで、該植物材料抽出物からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製することを含む。次いで、該パクリタキセル抽出物から、固定相としてのシリカゲル、およびジクロロメタン単独またはジクロロメタンとメタノールの混合物を含む溶離溶媒を備えた第1クロマトグラフィー装置を使用することを含めてパクリタキセルを分離し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得る。次いで、その少なくとも1つの画分を減圧にさらし、ジクロロメタンおよび/またはメタノールを除去する。次いで、その少なくとも1つの画分から、固定相としての中性アルミナ、およびアセトンを含む溶離溶媒を備えた第2カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、次いで、その少なくとも1つの画分を減圧にさらしてアセトンを除去することによってパクリタキセルを分離する。その後、その少なくとも1つの画分から、固定相としてのシリカゲル、およびn−ヘキサンとアセトンの混合物を含む溶離溶媒を備えた第3カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、次いで、その少なくとも1つの画分を減圧にさらしてn−ヘキサンおよびアセトンを除去することによってパクリタキセルを分離する。さらに、その少なくとも1つの画分から、固定相としてのシリカゲル、および酢酸t−ブチルを含む溶離溶媒を備えた第4カラムクロマトグラフィーを使用して少なくともセファロマニンを除去し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、およびその少なくとも1つの画分を減圧にさらして酢酸t−ブチルを除去することによってパクリタキセルを分離する。その少なくとも1つの画分を、結晶化溶媒としてシクロヘキサンとアセトンの混合物を使用し、室温で24時間にわたって結晶化し、パクリタキセルの結晶を得る。その後、パクリタキセルの結晶を真空下で48時間乾燥する。
他の実施形態において、本発明の方法は、室温で約40〜約60(v/v)%のアセトンを含有する水性溶媒で植物材料を抽出することによってメディアイチイ(Taxus media)から植物材料抽出物を調製すること、次いで、該植物材料抽出物からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製することを含む。次いで、該パクリタキセル抽出物から、固定相としてのシリカゲル、およびジクロロメタンとメタノールの混合物を含む溶離溶媒を備えた第1クロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、次いで、その少なくとも1つの画分を減圧にさらして残留物を得ること、次いで、該残留物をアセトンに溶解して組成物(アセトン−残留物)を得ることによってパクリタキセルを分離する。続いて、該組成物(アセトン−残留物)から、固定相としての中性アルミナ、およびアセトンを含む溶離溶媒を備えた第2カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ることによってパクリタキセルを分離する。その少なくとも1つの画分を減圧にさらしアセトンを除去する。次いで、その少なくとも1つの画分から、固定相としてのシリカゲル、およびn−ヘキサンとアセトンを含む溶離溶媒を備えた第3カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および、その少なくとも1つの画分を減圧にさらしてn−ヘキサンおよびアセトンを除去することによってパクリタキセルを分離する。その少なくとも1つの画分から、固定相としてのシリカゲル、および酢酸t−ブチルを含む溶離溶媒を備えた第4カラムクロマトグラフィーを使用して少なくともセファロマニンを除去し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、およびその少なくとも1つの画分を減圧にさらして酢酸t−ブチルを除去することによってパクリタキセルを分離する。その少なくとも1つの画分を、結晶化溶媒としてシクロヘキサンとアセトンの混合物を使用し、室温で24時間にわたって結晶化し、パクリタキセルの結晶を得る。パクリタキセルの結晶を真空下で48時間乾燥する。
一実施形態において、本発明の方法は、室温で約40〜約60(v/v)%のアセトンを含有する水性溶液で植物材料を抽出することによってメディアイチイ(Taxus media)から植物材料抽出物を調製すること、および、該植物材料抽出物からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製することを含む。該パクリタキセル抽出物から、固定相としての中性アルミナ、およびジクロロメタンとメタノールを含む溶離溶媒を備えた第1クロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および、その少なくとも1つの画分を減圧にさらしてジクロロメタンおよびメタノールを除去することによってパクリタキセルを分離する。その少なくとも1つの画分から、固定相としてのシリカゲル、およびジクロロメタンおよびメタノールを含む溶離溶媒を備えた第2カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、およびその少なくとも1つの画分を減圧にさらして残留物を得ること、および該残留物をアセトンに溶解して組成物(アセトン−残留物)を得ることによってパクリタキセルを分離する。その後、該組成物(アセトン−残留物)から、固定相としてのシリカゲル、およびn−ヘキサンとアセトンを含む溶離溶媒を備えた第3カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、およびその少なくとも1つの画分を減圧にさらしn−ヘキサンとアセトンの混合物を除去することによってパクリタキセルを分離する。続いて、その少なくとも1つの画分から、固定相としてのシリカゲル、および酢酸t−ブチルを含む溶離溶媒を備えた第4カラムクロマトグラフィー装置を使用して少なくともセファロマニンを除去し、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、およびその少なくとも1つの画分を減圧にさらして酢酸t−ブチルを除去することによってパクリタキセルを分離する。その後、その少なくとも1つの画分を、結晶化溶媒としてシクロヘキサンとアセトンの混合物を使用し、室温で24時間にわたって結晶化し、パクリタキセルの結晶を得る。パクリタキセルの結晶を真空下で48時間乾燥する。
[図面の簡単な説明]
図1は、本発明方法の実施形態の概略を示す流れ図である。
[発明の詳細な説明]
本発明の方法には、パクリタキセルを含有する植物からパクリタキセルを得る方法が含まれる。図1は、本発明方法の実施形態の段階を略記した流れ図である。段階Aは、パクリタキセルを含有する植物材料からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製することを含む。次いで、カラムクロマトグラフィー分離装置を使用する段階B〜Eで、該パクリタキセル抽出物中のその他の構成成分からパクリタキセルを分離する。(i)の記号を付したそれぞれの段階は、パクリタキセル抽出物またはクロマトグラフィー画分から、固定相および溶離溶媒を備えたカラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを分離することを含む。(ii)の記号を付したそれぞれの段階は、前のクロマトグラフィー段階で得られる少なくとも1つの画分から、溶離溶媒を除去することを含む。好ましい実施形態では、その少なくとも1つの画分を、減圧にさらして溶離溶媒を除去する。図1中の標識(a)および(b)は、二者択一の経路を示す。例えば、各分離段階に対して経路(a)が続く場合には、少なくとも1つのパクリタキセル画分から溶離溶媒を除去しない。これと対照的に、各分離段階に対して経路(b)を採用する場合には、少なくとも1つのパクリタキセル画分から溶離溶媒を除去する。特定の実施形態では、特定の分離段階に対して経路(a)が続き、他の分離段階に対して経路(b)が続く場合もある。例えば、段階Bでは、経路(b)を採用して段階Bで得られる画分から溶離溶媒を除去することができ、一方、段階Cでは、経路(a)を採用して段階Cの溶離溶媒を除去しないで、その画分を直接的に段階Dでの分離にかける。段階Fは、最後のクロマトグラフィー段階から得られる少なくとも1つの画分を結晶化させることを含む。特定の実施形態では、段階E(ii)から得られる少なくとも1つの画分を段階Fで結晶化させる。図1には4つのクロマトグラフィー段階だけを示したが、結晶化の前にさらなるクロマトグラフィー段階が存在してもよい。結晶化段階に続いて乾燥段階があってもよい。
植物材料
本発明の段階Aで使用する出発材料は、パクリタキセルを含有する植物材料である。適切な植物材料は、イチイ科(Taxaceae)すなわちイチイ属植物の植物部分から得ることができる。好ましくは、植物材料は、メディアイチイ(Taxus media)から準備される。適切なメディアイチイの変種には、T.x media「Hill」、T.x media「Henryi」、T.x media「Runyan」、T.cuspidata、T.x media「Halloran」、T.x media「Hatfield」、T.x media「Hicksii」、T.x media「Tauntonii」、T.x media「Dark Green Spreader」、T.x media「Wardii」、T.x media「Brownii」、T.x media「Densiformis」、T.x media「Nigra」、T.x cuspidata「Brevifolia」およびT.x cuspidata「Spreader」が含まれる。さらに、植物材料は、生または乾燥した、根、葉、枝、種子、樹皮、茎、またはこれらの混合物など、イチイ属植物の種々の部分から準備できる。好ましくは、植物材料は、約40〜約60(w/w)%の空中部分および約60〜約40(w/w)%の根から準備できる。植物材料は、パクリタキセルを含有する植物部分から、例えば、抽出、破砕または切断することによって得られる。具体的な実施形態において、抽出される予定の植物材料は、例えば直径10mmの網を備えたブレード式粉砕ラインを使用して破砕される。一実施形態において、植物材料は、少なくとも1種の抽出溶媒を使用して抽出される。適切な抽出溶媒としては、水性有機溶媒、例えばアセトン水などの水性溶媒が挙げられる。好ましくは、約40〜約60容積%のアセトンと約60〜約40容積%の水との混合物が使用される。水性アセトンは、パクリタキセルの劣化を防止できる。好ましくは、室温で抽出する。室温で抽出すると、パクリタキセルの劣化を防止できる。
パクリタキセルおよび類縁物の抽出
最初のクロマトグラフィー段階、例えば段階Bに先立って、段階Aのようにしてパクリタキセル抽出物を調製する。一実施形態において、パクリタキセル抽出物は、溶媒を用いて植物材料からパクリタキセルを抽出することによって調製される。具体的な実施形態において、パクリタキセル抽出物は、植物材料の水性アセトン抽出物を処理することによって調製される。適切な抽出溶媒としては、限定はしないが、酢酸エチルなどの脂肪族エステル、またはクロロホルムもしくはジクロロメタンなどの塩素化溶媒が挙げられる。好ましい抽出溶媒は、ジクロロメタンである。具体的な実施形態では、上記溶媒の1つを用いてパクリタキセルを抽出する前に、水性アセトン抽出物を真空下で濃縮してアセトンを除去する。次いで、濃縮物を溶媒で希釈できる。この希釈溶媒としては、メチルアルコール、またはエチルもしくはプロピルアルコールなどの水溶性アルコール系溶媒が挙げられる。次いで、この希釈された濃縮物から、ジクロロメタンおよびその他上述の抽出溶媒などの抽出溶媒を使用してパクリタキセルを抽出する。パクリタキセル抽出物が形成される。
一実施形態では、溶媒を排除するために、真空下でパクリタキセル抽出物を濃縮する。濃縮されたパクリタキセル抽出物は、パクリタキセルおよびその類縁物、クロロフィル、脂肪、リグナン、フラボノイド、フェノール類、および各種極性不純物を含有している。類縁物としては、例えば、セファロマニン、N−デベンゾイル−N−ヘキサノイル−パクリタキセル、N−デベンゾイル−N−ヘキサノイル−N−メチル−パクリタキセル、N−デベンゾイル−N−フェニルアセチル−パクリタキセル、N−デベンゾイル−N−シンナモイル−パクリタキセル、および2−デベンゾイル−2−チグロイル−パクリタキセルが挙げられる。これらのそれぞれは、それぞれ7−エピ、10−デアセチルおよび7−0−キシロシル誘導体が付随していてもよい。パクリタキセルの対応する後者の誘導体も存在する。これらの非パクリタキセル成分または不純物は、以下で考察するようにクロマトグラフィー技術を使用して除去できる。
クロマトグラフィーによるパクリタキセルの精製
パクリタキセルは、パクリタキセル抽出物から、段階B〜Eのような図1に示した少なくとも4つのカラムクロマトグラフィー段階を適用することによって分離される。段階B(i)〜E(i)のそれぞれは、固定相および溶離溶媒を備えたクロマトグラフィー装置の使用を含む。それぞれの装置は、異なる固定相および溶離溶媒を用いる同一の装置でよい。適切な固定相としては、限定はしないが、中性アルミナおよびシリカゲルが挙げられる。考え得る溶離溶媒としては、限定はしないが、アセトン、ジクロロメタン、メタノール、n−ヘキサン、酢酸t−ブチル、クロロホルム、および酢酸エチルが挙げられる。
それぞれのクロマトグラフィー段階は、固定相および溶離溶媒を備えたカラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ることを含む。その少なくとも1つの画分は、クロマトグラフィー段階から得られる複数の画分の組合せを含むことができる。例えば、クロマトグラフィー段階から1つを超える画分を得ることができる。次いで、これらの画分を合わせ、この合わせた画分について次のクロマトグラフィー段階を実施する。
一実施形態では、少なくとも1つの画分から溶離溶媒を除去する。段階B(ii)〜E(ii)において、少なくとも1つの画分を減圧にさらして溶離溶媒を除去する。溶媒を除去することには、必ずしも、少なくとも1つの画分の溶媒をすべて除去することだけではなく、溶媒の一部だけを除去することが含まれる。
一実施形態において、第1のクロマトグラフィー段階、段階B(i)では、一般に、パクリタキセルから、脂肪、クロロフィル、低分子量フェノール系化合物および高極性不純物を分離する。第2のクロマトグラフィー段階、段階C(i)では、一般に、パクリタキセルから、さらなる不純物、特にフラボノイドおよびリグナンを分離する。第3のクロマトグラフィー段階、段階D(i)では、一般に、パクリタキセルからその他のタキサン類を分離する。このようなタキサン類には、前に述べたタキサン類、特にセファロマニン、および前に考察したような少量のその他タキサン類が含まれる。第4のクロマトグラフィー段階、段階E(i)では、パクリタキセルから類縁物セファロマニンを分離する。セファロマニンを除去するのに適した固定相としては、シリカゲルが挙げられる。有用な溶離溶媒の例には、酢酸t−ブチル、酢酸i−ブチル、ギ酸n−ブチル、ギ酸i−ブチル、ギ酸t−ブチル、およびギ酸s−ブチルが含まれる。その内容が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,333,419号を参照のこと。
一実施形態において、第1のカラムクロマトグラフィー装置は、シリカゲルを含む固定相、および塩化メチレン、続いて比率が99:1または98:2(v/v)である塩化メチレン−メタノールの混合物を含む溶離溶媒を備えている。他の実施形態において、第2のカラムクロマトグラフィー装置は、中性アルミナを含む固定相、およびアセトンを含む溶離溶媒を備えている。さらに他の実施形態において、第3のカラムクロマトグラフィー装置は、シリカゲルを含む固定相、および比率が4:1(v/v)のn−ヘキサンおよびアセトンを含む溶離溶媒を備えている。他の実施形態において、第4のカラムクロマトグラフィー装置は、シリカゲルを含む固定相、および酢酸t−ブチルを含む溶離溶媒を備えている。
場合によっては、異なる順序で不純物を排除することも可能である。例えば、アルミナ上でフェノール系化合物を除去した後、固定相としてシリカゲルを使用してクロロフィルおよび脂肪を排除できる。
パクリタキセルの結晶化
最後のクロマトグラフィー段階に続いて、その段階から得られる、パクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を段階Fで結晶化溶媒を使用して結晶化させ、パクリタキセルの結晶を得る。適切な結晶化溶媒としては、シクロヘキサン、アセトン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、酢酸t−ブチル、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、比率が1:1のシクロヘキサンとアセトンの混合物が使用される。一実施形態において、結晶化は、室温で行われる。一般に、結晶化は、24時間にわたって行われる。しかし、結晶化は、異なった時間にわたって行われる場合もある。結晶化に続いて、パクリタキセルの結晶を真空下に約50℃〜約60℃の温度で乾燥する。好ましくは、結晶を約48時間乾燥する。
実施例1
T.media「Hicksii」から得られた、約500kgの根ならびに約500kgの葉および小枝を含む、乾燥し、粉砕した植物材料1トンを、15,000Lの50%アセトン水を使用し、室温で抽出した。抽出物を真空下で約300Lまで濃縮した。次いで、150Lのメタノールを添加し、200Lのジクロロメタンで5回、抽出を実施した。一緒にした有機層を真空下で柔らかい残留物が得られるまで濃縮し、その残留物をジクロロメタンに再溶解し、180kgのシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにかけた。カラムを通して約2,700Lのジクロロメタンを流し、廃棄した。
次いで、99:1(v/v)のジクロロメタン−メタノール混合物を用いてパクリタキセルを溶離した。次いで、溶液を真空下で蒸発させ、柔らかい残留物を得た。残留物を8Lのアセトンに溶解してアセトン−残留物を得た。このアセトン−残留物を、30kgの中性アルミナを含むカラムに通し、同一溶媒で溶離した。パクリタキセルを含有する画分を一緒にして真空下で8Lまで濃縮した。
次いで、アセトン溶液を、4:1のn−ヘキサン−アセトン混合物を用いて充填した180kgのシリカゲルを含むカラムに仕込んだ。同溶離液で溶離すると、セファロマニンは別として、他のタキサン類のほとんどを含まないパクリタキセルが得られた。パクリタキセルを含有する画分を一緒にして真空下で5Lまで濃縮した。
次いで、この溶液を、酢酸t−ブチルを用いて充填した180kgのシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけ、同溶媒で溶離した。パクリタキセルを含有する画分を一緒にし、柔らかい残留物が得られるまで真空下で蒸発させた。さらに、酢酸t−ブチルでカラムを溶離すると、少なくともセファロマニンが除去された。パクリタキセルを含有する柔らかい残留物(約300g)を、2Lのアセトンに溶解し、1.2Lのシクロヘキサンで希釈し、放置して結晶化させた。濾過し、50℃で48時間乾燥すると、99%を超える純度を有する255gのパクリタキセルが得られた。
実施例2
Taxus media「Dark Green Spreader」全植物からの約40kgの根、ならびに約60kgの葉および小枝からなる乾燥し、粉砕した植物材料100kgを、1,500Lの50%アセトン水を用い、室温で抽出した。抽出物を真空下で30Lまで濃縮した。次いで、15Lのメタノールを添加し、20Lのジクロロメタンで5回、抽出を実施した。ジクロロメタン抽出液を一緒にして、真空下で15Lまで濃縮した。
メタノール(150ml)を添加し、溶液を、13kgの中性アルミナを含むカラムに通し、99:1(v/v)のジクロロメタン−メタノールで溶離した。パクリタキセルを含有する画分を集め、真空下で5Lまで濃縮した。
濃縮した溶液を9kgのシリカゲルを含むカラムに仕込み、99:1(v/v)のジクロロメタン−メタノールで溶離した。極性不純物を溶離した後、パクリタキセルを含有する220Lの画分を集め、一緒にして、真空下で蒸発させ、柔らかい残留物(190g)を得た。
残留物を400mlのアセトンに溶解し、アセトン−残留物を形成した。このアセトン−残留物を、9kgのシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけ、4:1のn−ヘキサン−アセトンを用いて溶離した。パクリタキセルを含有する画分を集め、実施例2に記載したように、シリカゲル上、酢酸t−ブチルで溶離するカラムクロマトグラフィーにかけた。1:1のシクロヘキサン−アセトン混合物から結晶化し、55℃で乾燥すると、99%を超える純度を有する18.5gのパクリタキセルが得られた。
本発明方法の実施形態の概略を示す流れ図である。

Claims (6)

  1. メディアイチイ(Taxus media)からパクリタキセルを得る方法であって、
    (a)約40〜約60(v/v)%のアセトンを含む水性溶媒を用い、室温で植物材料を抽出することによって、メディアイチイ(Taxus media)から植物材料抽出物を調製すること、
    (b)(a)で得られる植物材料抽出物からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製すること、
    (c)該パクリタキセル抽出物から
    (i)固定相としてのシリカゲル、およびジクロロメタン単独またはジクロロメタンとメタノールの混合物を含む溶離溶媒を備えた第1カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(c)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、ジクロロメタンおよび/またはメタノールを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (d)段階(c)(ii)で得られる少なくとも1つの画分から
    (i)固定相としての中性アルミナ、およびアセトンを含む溶離溶媒を備えた第2カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(d)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、アセトンを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (e)段階(d)(ii)で得られる少なくとも1つの画分から
    (i)固定相としてのシリカゲル、およびn−ヘキサンとアセトンの混合物を含む溶離溶媒を備えた第3カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(e)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、n−ヘキサンおよびアセトンを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (f)段階(e)(ii)で得られる少なくとも1つの画分から
    (i)固定相としてのシリカゲル、および酢酸t−ブチルを含む溶離溶媒を備えた第4カラムクロマトグラフィー装置を使用して、少なくともセファロマニンを除去し、かつパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(f)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、酢酸t−ブチルを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (g)段階(f)(ii)で得られる少なくとも1つの画分を、結晶化溶媒としてシクロヘキサンとアセトンの混合物を使用して、室温で24時間にわたって結晶化させ、パクリタキセルの結晶を得ること、ならびに
    (h)(g)で得られるパクリタキセルの結晶を真空下で48時間乾燥すること、
    を含む方法。
  2. 段階(b)におけるパクリタキセル抽出物の調製が、さらに
    (a)植物材料抽出物を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、濃縮物を形成すること、
    (b)該濃縮物をメチルアルコールで希釈すること、
    (c)該濃縮物をジクロロメタンで抽出してジクロロメタン抽出物を形成すること、および
    (d)該ジクロロメタン抽出物を減圧下で濃縮してパクリタキセル抽出物を形成すること、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. メディアイチイ(Taxus media)からパクリタキセルを得る方法であって、
    (a)約40〜約60(v/v)%のアセトンを含む水性溶媒を用い、室温で植物材料を抽出することによって、メディアイチイ(Taxus media)から植物材料抽出物を調製すること、
    (b)(a)で得られる植物材料抽出物からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製すること、
    (c)該パクリタキセル抽出物から
    (i)固定相としてのシリカゲル、およびジクロロメタンとメタノールの混合物を含む溶離溶媒を備えた第1カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、
    (ii)段階(c)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、残留物を得ること、および
    (iii)段階(c)(ii)で得られる残留物をアセトンに溶解してアセトン−残留物の組成物を得ること
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (d)段階(c)(iii)で得られるアセトン−残留物の組成物から
    (i)固定相としての中性アルミナおよびアセトンを含む溶離溶媒を備えた第2カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(d)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、アセトンを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (e)段階(d)(ii)で得られる少なくとも1つの画分から
    (i)固定相としてのシリカゲル、およびn−ヘキサンおよびアセトンを含む溶離溶媒を備えた第3カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(e)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、n−ヘキサンおよびアセトンを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (f)段階(e)(ii)で得られる少なくとも1つの画分から
    (i)固定相としてのシリカゲル、および酢酸t−ブチルを含む溶離溶媒を備えた第4カラムクロマトグラフィー装置を使用して、少なくともセファロマニンを除去し、かつパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(f)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、酢酸t−ブチルを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (g)段階(f)(ii)で得られる少なくとも1つの画分を、結晶化溶媒としてシクロヘキサンとアセトンの混合物を使用して、室温で24時間にわたって結晶化させ、パクリタキセルの結晶を得ること、ならびに
    (h)(g)で得られるパクリタキセルの結晶を真空下で48時間乾燥すること、
    を含む方法。
  4. 前記メディアイチイ(Taxus media)が、T.media Hicksiiを含む、請求項3に記載の方法。
  5. メディアイチイ(Taxus media)からパクリタキセルを得る方法であって、
    (a)約40〜約60(v/v)%のアセトンを含む水溶液を用い、室温で植物材料を抽出することによって、メディアイチイ(Taxus media)から植物材料抽出物を調製すること、
    (b)(a)で得られる植物材料抽出物からパクリタキセルを抽出することによってパクリタキセル抽出物を調製すること、
    (c)該パクリタキセル抽出物から
    (i)固定相としての中性アルミナ、およびジクロロメタンおよびメタノールを含む溶離溶媒を備えた第1カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(c)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、ジクロロメタンおよびメタノールを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (d)段階(c)(ii)で得られる少なくとも1つの画分から
    (i)固定相としてのシリカゲルおよびジクロロメタンおよびメタノールを含む溶離溶媒を備えた第2カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、
    (ii)段階(d)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、残留物を得ること、および
    (iii)段階(d)(ii)で得られる残留物をアセトンに溶解してアセトン−残留物の組成物を得ること、
    を含めてパクリタキセルを分離すること、
    (e)段階(d)(iii)で得られるアセトン−残留物の組成物から
    (i)固定相としてのシリカゲル、およびn−ヘキサンおよびアセトンを含む溶離溶媒を備えた第3カラムクロマトグラフィー装置を使用してパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(e)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、n−ヘキサンとアセトンの混合物を除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (f)段階(e)(ii)で得られる少なくとも1つの画分から
    (i)固定相としてのシリカゲル、および酢酸t−ブチルを含む溶離溶媒を備えた第4カラムクロマトグラフィー装置を使用して、少なくともセファロマニンを除去し、かつパクリタキセルを含有する少なくとも1つの画分を得ること、および
    (ii)段階(f)(i)で得られる少なくとも1つの画分を減圧にさらし、酢酸t−ブチルを除去すること、
    を含めて、パクリタキセルを分離すること、
    (g)段階(f)(ii)で得られる少なくとも1つの画分を、結晶化溶媒としてシクロヘキサンとアセトンの混合物を使用して、室温で24時間にわたって結晶化させ、パクリタキセルの結晶を得ること、ならびに
    (h)(g)で得られるパクリタキセルの結晶を真空下で48時間乾燥すること、
    を含む方法。
  6. 前記メディアイチイ(Taxus media)が、T.media「dark green spreader」を含む、請求項5に記載の方法。
JP2007520696A 2004-07-13 2005-06-24 イチイ属植物からパクリタキセルを得る方法 Active JP4890455B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP04016493.1 2004-07-13
EP04016493A EP1616868B1 (en) 2004-07-13 2004-07-13 Methods for obtaining paclitaxel from taxus plants
PCT/EP2005/006846 WO2006005429A1 (en) 2004-07-13 2005-06-24 Methods for obtaining paclitaxel from taxus plants

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008505946A JP2008505946A (ja) 2008-02-28
JP4890455B2 true JP4890455B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=34925739

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007520696A Active JP4890455B2 (ja) 2004-07-13 2005-06-24 イチイ属植物からパクリタキセルを得る方法

Country Status (20)

Country Link
EP (1) EP1616868B1 (ja)
JP (1) JP4890455B2 (ja)
KR (1) KR101142565B1 (ja)
CN (1) CN100546986C (ja)
AT (1) ATE372993T1 (ja)
AU (1) AU2005261970B2 (ja)
CA (1) CA2573601C (ja)
CY (1) CY1107803T1 (ja)
DE (1) DE602004008903T2 (ja)
DK (1) DK1616868T3 (ja)
ES (1) ES2293129T3 (ja)
HK (1) HK1101822A1 (ja)
IL (1) IL180643A (ja)
NO (1) NO20070192L (ja)
NZ (1) NZ552549A (ja)
PL (1) PL1616868T3 (ja)
PT (1) PT1616868E (ja)
RU (1) RU2373198C2 (ja)
SI (1) SI1616868T1 (ja)
WO (1) WO2006005429A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102250047B (zh) * 2011-08-26 2013-06-05 贺金凤 一种紫杉醇化合物的制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000204090A (ja) * 1999-01-07 2000-07-25 Jean Rioult ポリマ―樹脂カラムを用いる工業用分取低圧クロマトグラフィ―によるパクリタキセルおよび他の関連タキサンの分離および精製
JP2003502414A (ja) * 1999-06-22 2003-01-21 チャイケム・ファーマシューティカル・インターナショナル 天然資源からのパクリタキセルの抽出および精製プロセス
JP2004514715A (ja) * 2000-11-28 2004-05-20 インデナ エッセ ピ ア パクリタクセルとセフアロマンニンのクロマトグラフ分離法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1258838B (it) * 1992-01-31 1996-02-29 Indena Spa Processo per l'estrazione di tassolo e derivati da cultivar del genere taxus
US6136989A (en) * 1998-12-30 2000-10-24 Phytogen Life Sciences, Incorporated Method for high yield and large scale extraction of paclitaxel from paclitaxel-containing material
US6452024B1 (en) * 2000-02-22 2002-09-17 Chaichem Pharmaceuticals International Process for extraction and purification of paclitaxel from natural sources
US6229027B1 (en) * 2000-03-10 2001-05-08 Jian Liu Process for manufacturing paclitaxel and 13-acetyl-9-dihydrobaccatin IV

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000204090A (ja) * 1999-01-07 2000-07-25 Jean Rioult ポリマ―樹脂カラムを用いる工業用分取低圧クロマトグラフィ―によるパクリタキセルおよび他の関連タキサンの分離および精製
JP2003502414A (ja) * 1999-06-22 2003-01-21 チャイケム・ファーマシューティカル・インターナショナル 天然資源からのパクリタキセルの抽出および精製プロセス
JP2004514715A (ja) * 2000-11-28 2004-05-20 インデナ エッセ ピ ア パクリタクセルとセフアロマンニンのクロマトグラフ分離法

Also Published As

Publication number Publication date
AU2005261970A1 (en) 2006-01-19
HK1101822A1 (en) 2007-10-26
WO2006005429A1 (en) 2006-01-19
PL1616868T3 (pl) 2008-02-29
KR20060005958A (ko) 2006-01-18
DE602004008903D1 (de) 2007-10-25
ES2293129T3 (es) 2008-03-16
CY1107803T1 (el) 2013-06-19
RU2373198C2 (ru) 2009-11-20
ATE372993T1 (de) 2007-09-15
CA2573601A1 (en) 2006-01-19
JP2008505946A (ja) 2008-02-28
EP1616868B1 (en) 2007-09-12
PT1616868E (pt) 2007-12-10
IL180643A0 (en) 2007-06-03
KR101142565B1 (ko) 2012-05-03
CN1984896A (zh) 2007-06-20
AU2005261970B2 (en) 2011-04-21
RU2007101233A (ru) 2008-08-20
SI1616868T1 (sl) 2008-02-29
EP1616868A1 (en) 2006-01-18
NO20070192L (no) 2007-02-13
IL180643A (en) 2010-12-30
NZ552549A (en) 2008-12-24
DK1616868T3 (da) 2008-01-21
CN100546986C (zh) 2009-10-07
DE602004008903T2 (de) 2008-06-19
CA2573601C (en) 2012-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100301236B1 (ko) 10-데아세틸박카틴iii을얻기위한방법
US5279949A (en) Process for the isolation and purification of taxol and taxanes from Taxus spp
US5969165A (en) Isolation and purification of paclitaxel and other related taxanes by industrial preparative low pressure chromatography on a polymeric resin column
EP0580759B1 (en) Methods and compositions for isolating taxanes
HU225969B1 (en) Method of obtaining 10-deacetylbaccatine iii
US5453521A (en) Process for obtaining 10-deacetylbaccatin III
US7112687B2 (en) Methods for obtaining paclitaxel from taxus plants
US6469186B1 (en) Process for mass production of GMP paclitaxel and related taxanes
US7169307B2 (en) Process for the extraction of paclitaxel and 9-dihydro-13-acetylbaccatin III from Taxus
EP1818328A1 (en) Chromatographic method for the isolation and purification of taxane derivatives
JP4890455B2 (ja) イチイ属植物からパクリタキセルを得る方法
US5965752A (en) Preparative scale isolation and purification of taxanes
US6878832B2 (en) Isolation of taxanes
Phuc et al. Screening for paclitaxel and other taxanes in kernel and shell of Corylus avellana (Hazelnut)
KR100259396B1 (ko) 택서스속 식물체로부터 택솔의 대량 추출 정제방법
CA2258066C (en) Isolation and purification of paclitaxel, and other related taxanes by industrial preparative low pressure chromatography on a polymeric resin column
CA2536000C (en) Process for the extraction of paclitaxel and 9-dihydro-13-acetylbaccatin iii from taxus
JPH0940657A (ja) タキソールおよびタキサンテルペノイド類の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111021

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111115

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4890455

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250