JP4889834B2 - プラズマ処理装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱プラズマを基材に照射して基材を処理する熱プラズマ処理、又は、反応ガスによるプラズマ又はプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材を処理する低温プラズマ処理などのプラズマ処理を行う、プラズマ処理装置及び方法に関するものである。
従来、多結晶シリコン(poly−Si)等の半導体薄膜は、薄膜トランジスタ(TFT :Thin Film Transistor)又は太陽電池に広く利用されている。とりわけ、poly−SiTFTは、キャリア移動度が高いうえ、ガラス基板のような透明の絶縁基板上に作製できるという特徴がある。この特徴を活かして、例えば、液晶表示装置、液晶プロジェクタ又は有機EL表示装置などの画素回路を構成するスイッチング素子として、或いは、液晶駆動用ドライバの回路素子として、poly−SiTFTが広く用いられている。
ガラス基板上に高性能なTFTを作製する方法としては、一般に「高温プロセス」と呼ばれる製造方法がある。TFTの製造プロセスの中でも、工程中の最高温度が1000℃程度の高温を用いるプロセスを、一般的に「高温プロセス」と呼んでいる。高温プロセスの特徴は、シリコンの固相成長により、比較的良質の多結晶シリコンを成膜することができる点、シリコンの熱酸化により良質のゲート絶縁層を得ることができる点、及び、清浄な多結晶シリコンとゲート絶縁層との界面を形成できる点である。高温プロセスでは、これらの特徴により、高移動度でしかも信頼性の高い高性能TFTを安定的に製造することができる。
他方、高温プロセスは、固相成長によりシリコン膜の結晶化を行うプロセスであるために、600℃程度の温度で48時間程度の長時間の熱処理を必要とする。これは大変長時間の工程であり、工程のスループットを高めるためには必然的に熱処理炉を多数必要とし、低コスト化が難しいという点が課題である。加えて、耐熱性の高い絶縁性基板として石英ガラスを使わざるを得ないため、基板のコストが高く、大面積化には向かないとされている。
一方、工程中の最高温度を下げ、安価な大面積のガラス基板上にpoly−SiTFTを作製するための技術が「低温プロセス」と呼ばれる技術である。TFTの製造プロセスの中でも、最高温度が概ね600℃以下の温度環境下において比較的安価な耐熱性のガラス基板上にpoly−SiTFTを製造するプロセスは、一般に「低温プロセス」と呼ばれている。低温プロセスでは、発振時間が極短時間のパルスレーザーを用いてシリコン膜の結晶化を行うレーザー結晶化技術が広く使われている。レーザー結晶化とは、基板上のシリコン薄膜に高出力のパルスレーザー光を照射することによってシリコン薄膜を瞬時に溶融させ、この溶融したシリコン薄膜が凝固する過程で結晶化する性質を利用する技術である。
しかしながら、このレーザー結晶化技術には幾つかの大きな課題がある。一つは、レーザー結晶化技術によって形成したポリシリコン膜の内部に局在する多量の捕獲準位である。この捕獲準位の存在により、電圧の印加によって能動層を本来移動するはずのキャリアが捕獲され、電気伝導に寄与できず、TFTの移動度の低下、閾値電圧の増大といった悪影響を及ぼす。更に、レーザー出力の制限によって、ガラス基板のサイズが制限されるといった課題もある。レーザー結晶化工程のスループットを向上させるためには、一回で結晶化できる面積を増やす必要がある。しかしながら、現状のレーザー出力には制限があるため、第7世代(1800mm×2100mm)といった大型基板にこの結晶化技術を採用する場合には、基板一枚を結晶化するために長時間を要する。
また、レーザー結晶化技術は一般的にライン状に成形されたレーザーが用いられ、これを走査させることによって結晶化を行なう。このラインビームは、レーザー出力に制限があるため基板の幅よりも短く、基板全面を結晶化するためには、レーザーを数回に分けて走査する必要がある。これによって基板内にはラインビームの継ぎ目の領域が発生し、二回走査されてしまう領域ができる。この領域は一回の走査で結晶化した領域とは結晶性が大きく異なる。そのため両者の素子特性は大きく異なり、デバイスのバラツキの大きな要因となる。最後に、レーザー結晶化装置は装置構成が複雑であり且つ、消耗部品のコストが高いため、装置コスト及びランニングコストが高いという課題がある。これによって、レーザー結晶化装置によって結晶化したポリシリコン膜を使用したTFTは製造コストが高い素子になってしまう。
このような基板サイズの制限、及び、装置コストが高いといった課題を克服するため、「熱プラズマジェット結晶化法」と呼ばれる結晶化技術が研究されている(例えば、非特許文献1を参照)。本技術を以下に簡単に説明する。タングステン(W)陰極と水冷した銅(Cu)陽極とを対向させ、DC電圧を印加すると、両極間にアーク放電が発生する。この電極間に大気圧下でアルゴンガスを流すことによって、銅陽極に空いた噴出孔から熱プラズマが噴出する。熱プラズマとは、熱平衡プラズマであり、イオン、電子、及び、中性原子などの温度がほぼ等しく、それらの温度が10000K程度を有する超高温の熱源である。このことから、熱プラズマは、被熱物体を容易に高温に加熱することが可能であり、a−Si膜を堆積した基板が超高温の熱プラズマ前面を高速走査することによって、a−Si膜を結晶化することができる。
このように装置構成が極めて単純であり、且つ大気圧下での結晶化プロセスであるため、装置をチャンバー等の高価な部材で覆う必要が無く、装置コストが極めて安くなることが期待できる。また、結晶化に必要なユーティリティは、アルゴンガスと電力と冷却水であるため、ランニングコストも安い結晶化技術である。
図16は、この熱プラズマを用いた半導体膜の結晶化方法を説明するための模式図である。
図16において、熱プラズマ発生装置31は、陰極32と、この陰極32と所定距離だけ離間して対向配置される陽極33とを備えて構成される。陰極32は、例えばタングステン等の導電体で構成される。陽極33は、例えば銅などの導電体で構成される。また、陽極33は、中空に形成され、この中空部分に水を通して冷却可能に構成されている。また、陽極33には噴出孔(ノズル)34が設けられている。陰極32と陽極33の間に直流(DC)電圧を印加すると、両極間にアーク放電が発生する。この状態において、陰極32と陽極33の間に大気圧下でアルゴンガス等のガスを流すことによって、上記の噴出孔34から熱プラズマ35を噴出させることができる。ここで、「熱プラズマ」とは、熱平衡プラズマであり、イオン、電子、及び、中性原子などの温度がほぼ等しく、それらの温度が10000K程度を有する超高温の熱源である。
このような熱プラズマを、半導体膜の結晶化のための熱処理に利用することができる。具体的には、基板36上に半導体膜37(例えば、アモルファスシリコン膜)を形成しておき、当該半導体膜37に熱プラズマ(熱プラズマジェット)35を当てる。このとき、熱プラズマ35は、半導体膜37の表面と平行な第1軸(図示の例では左右方向)に沿って相対的に移動させながら半導体膜37に当てられる。すなわち、熱プラズマ35は、第1軸方向に走査しながら半導体膜37に当てられる。ここで「相対的に移動させる」とは、半導体膜37(及びこれを支持する基板23)と熱プラズマ35とを相対的に移動させることを言い、一方のみを移動させる場合と両者を共に移動させる場合のいずれも含まれる。このような熱プラズマ35の走査により、半導体膜37が熱プラズマ35の有する高温によって加熱され、結晶化された半導体膜38(本例ではポリシリコン膜)が得られる(例えば、特許文献1を参照)。
図17は、最表面からの深さと温度の関係を示す概念図である。図17に示すように、熱プラズマ35を基板36上で高速で移動させることにより、基板36の表面近傍のみを高温で処理することができる。熱プラズマ35が通り過ぎた後、加熱された領域は速やかに冷却されるので、表面近傍はごく短時間だけ高温になる。
このような熱プラズマは、点状領域に発生させるのが一般的である。熱プラズマは、陰極32からの熱電子放出によって維持されており、プラズマ密度の高い位置では熱電子放出がより盛んになるため、正のフィードバックがかかり、ますますプラズマ密度が高くなる。つまり、アーク放電は陰極の1点に集中して生じることとなり、熱プラズマは点状領域に発生する。
半導体膜の結晶化など、平板状の基材を一様に処理したい場合には、点状の熱プラズマを基材全体に渡って走査する必要があるが、走査回数を減らしてより短時間で処理できるプロセスを構築するには、熱プラズマの照射領域を広くすることが有効である。このため、古くから熱プラズマを大面積に発生させる技術が検討されている。
例えば、プラズマトーチの外ノズルより噴射するプラズマジェットに、外ノズルの中心軸線と交差する方向でプラズマジェットを広幅化させるための広幅化ガスを2ケ所から同時に噴出し、プラズマジェットを広幅化させる方法が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。あるいは、ノズル通路の口部が、当該ノズル通路の軸芯に対して所定角度で傾斜していることを特徴とするプラズマノズルを設け、ノズル通路を構成するケーシング、又は、そのケーシングの一部を、その長手軸芯回りに高速で回転させ、プラズマノズルをワークピースに沿って通過移動させる方法が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。また、少なくとも一つの偏芯して配置されたプラズマノズルを持つ回転ヘッドを設けたものが開示されている(例えば、特許文献4を参照)。
なお、大面積を短時間で処理することを目的としたものではないが、熱プラズマを用いた溶接方法として、帯状電極を用い、その幅方向が溶接線方向となるように配置して溶接することを特徴とする高速ガスシールドアーク溶接方法が開示されている(例えば、特許文献5を参照)。
また、扁平な直方体状の絶縁体材料を用いた、線状の細長い形状をなす誘導結合型プラズマトーチが開示されている(例えば、特許文献6を参照)。
なお、長尺の電極を用いた細長い線状のプラズマを生成する方法が開示されている(例えば、特許文献7を参照)。熱プラズマを発生させるものと記載されているが、これは低温プラズマを発生させるものであり、熱処理に適した構成ではない。仮に熱プラズマを発生させたとすると、電極を用いた容量結合型であるため、アーク放電が一箇所に集中し、長尺方向に均一な熱プラズマを発生させることは困難と推察される。一方、低温プラズマ処理装置としては、エッチングガス又はCVD(Chemical Vapor Depo sition)用のガスをプラズマ化することにより、エッチング又は成膜などのプラズマ処理が可能な装置である。
特開2008−53634号公報 特開平08−118027号公報 特開2001−68298号公報 特表2002−500818号公報 特開平04−284974号公報 特表2009−545165号公報 特開2007−287454号公報
"Crystallization of Si in Millisecond Time Domain Induced by Thermal Jet Irradiation" S.Higashi, H.Kaku, T.Okada, H.Murakami, and S.Miyazaki, Japanese Journal of Applied Physics, Vol.45,No.5B,(2006)pp.4313−4320
しかしながら、半導体の結晶化など、ごく短時間だけ基材の表面近傍を高温処理する用途に対して、従来の熱プラズマを大面積に発生させる技術は有効ではなかった。
従来例に示した特許文献2に記載の、熱プラズマを大面積に発生させる技術においては、広幅化はされるものの、広幅化された領域における温度分布は100℃以上となっており、均一な熱処理の実現は不可能である。
また、従来例に示した特許文献3、4に記載の、熱プラズマを大面積に発生させる技術においては、本質的には熱プラズマを揺動させるものであるから、実質的に熱処理されている時間は、回転させずに走査した場合と比べて短くなるので、大面積を処理する時間が特段短くなるものではない。また、均一処理のためには回転速度を走査速度に比べて十分に大きくする必要があり、ノズルの構成が複雑化することは避けられない。
また、従来例に示した特許文献5に記載の技術は溶接技術であり、大面積を均一に処理するための構成ではない。仮にこれを大面積処理用途に適用しようとしても、この構成においては点状のアークが帯状電極に沿って振動するので、時間平均すると均一にプラズマが発生するものの、瞬間的には不均一なプラズマが生じている。したがって、大面積の均一処理には適用できない。
また、従来例に示した特許文献6に記載の技術は、非特許文献1又は特許文献1に開示されているDCアーク放電を用いたものと異なり、誘導結合型の高周波プラズマトーチであることが特徴である。無電極放電であることから、熱プラズマの安定性に優れ(時間変化が小さい)、電極材料の基材への混入(コンタミネーション)が少ないという利点がある。
さて、誘導結合型プラズマトーチにおいては、高温プラズマから絶縁体材料を保護するために、絶縁体材料を二重管構成としてその間に冷媒を流す方法が一般的に採用されている。しかしながら、従来例に示した特許文献6に記載の技術においては、絶縁体材料が扁平な直方体状をなしていることから、これを単純に二重管構成としただけでは、十分な流量の冷媒を流すことができない。なぜなら、絶縁体材料は一般に金属に比べて機械的強度に劣るため、絶縁体材料を長尺方向に余りに長くすると、二重管の内圧を高くできなくなるからである。このため、大面積を均一に処理するのに限界がある。
また、仮に絶縁体材料の冷却の問題がないと仮定しても、従来例に示した特許文献6に記載の技術においては、絶縁体材料の内部空間に形成した高温プラズマは、その最下部から噴出するごく一部のみが基材に直接作用する構成であるため、電力効率が悪いという問題点がある。また、絶縁体材料の内部空間においては、中心付近のプラズマ密度が高くなるので、長尺方向にプラズマが不均一となり、基材を均一に処理することができないという問題点がある。
なお、点状の熱プラズマであっても、その直径が大きければ大面積処理の際の走査回数を減らせるため、用途によっては短時間で処理できる。しかし、熱プラズマの直径が大きいと、走査時に熱プラズマが基材上を通過する時間が実質的に長くなるため、ごく短時間だけ基材の表面近傍のみを高温処理することはできず、基材のかなり深い領域までが高温になり、例えばガラス基板の割れ又は膜剥がれなどの不具合を生じることがある。
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、あるいは、反応ガスによるプラズマ又はプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材を低温プラズマ処理するに際して、基材の所望の被処理領域全体を短時間で処理することのできるプラズマ処理装置及び方法を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。
本発明のプラズマ処理装置は、スリット状の開口部を備える筒状チャンバと、
前記チャンバ内にガス導入口を介してガスを供給するガス供給装置と、
前記開口部の長手方向と平行なコイル延出方向を有しかつ前記チャンバ内に高周波電磁界を発生させるソレノイドコイルと、
前記コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記開口部と対向して配置され、かつ基材を基材載置面に載置する基材載置台と、
前記開口部の長手方向と前記基材載置台の前記基材載置面とが平行な状態を維持しながら、前記チャンバと前記基材載置台とを相対的に移動させる移動装置と、を備えることを特徴とする。
このような構成により、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、あるいは、反応ガスによるプラズマ又はプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材を低温プラズマ処理するに際して、基材の所望の被処理領域全体を短時間で処理することができる。
本発明のプラズマ処理装置において、前記移動装置は、前記開口部の長手方向に対して直交する方向沿いに、前記チャンバと前記基材載置台とを相対的に移動させるようにしてもよい。このようにすれば、基材の所望の被処理領域全体をより短時間で処理することができる。
また、本発明のプラズマ処理装置において、前記筒状チャンバは誘電体の円筒で構成されるとともに、前記チャンバの外側に前記コイルが設けられてなるように構成してもよい。また、本発明のプラズマ処理装置において、前記筒状チャンバは金属の円筒で構成されるとともに、前記チャンバの内側に前記コイルが設けられてなるように構成してもよい。特に、後者の場合、プラズマ噴射口と基材載置台との間にソレノイドコイルが位置しない構成となるので、長手方向の処理の均一性が高くなるという利点がある。
また、本発明のプラズマ処理装置において、前記ガス供給装置から前記チャンバにガスを供給する複数のガス導入口は、前記開口部の長手方向と平行に設けられ、かつ前記開口部と対向する面に設けられているように構成してもよい。ことが望ましい。
このような構成により、ガス噴出口から基材載置台に向かうガスの流れがスムーズになって層流化しやすく、安定したプラズマ処理が可能となる利点がある。
また、本発明のプラズマ処理装置において、前記コイルの両端部の線状部は、前記コイルの延出方向に対して垂直な向きに曲げられ、前記筒状チャンバの開口部とは逆の向き、かつ前記チャンバの外側に引出されているように構成してもよい。
このような構成により、組み立てやすい装置を実現できる。
また、本発明のプラズマ処理装置において、前記チャンバを前記コイルの延出方向に対して垂直な面で切った断面形状のうち、前記チャンバ内部の空間は、環状であるように構成してもよい。また、本発明のプラズマ処理装置において、前記チャンバを前記コイルの延出方向に対して垂直な面で切った断面形状のうち、前記チャンバ内部の空間は、U字状であるように構成してもよい。特に、後者の場合、ガス噴出口から基材載置台に向かうガスの流れがスムーズになって層流化しやすく、安定したプラズマ処理が可能となる利点がある。
また、本発明のプラズマ処理装置において、前記コイルは絶縁部材のコイルケースの空間内に収納され、前記空間内の絶縁性流体に前記コイルが浸され、かつ、前記絶縁性流体が前記空間内で流れることによって前記コイルが冷却される構成としてもよい。
このような構成により、ソレノイドコイルと、ソレノイドコイルを格納した絶縁部材の双方を、効果的に冷却することが可能となる。
また、本発明のプラズマ処理装置において、前記ガス供給装置から前記ガス導入口を介して前記チャンバ内に供給する前記ガスの供給系統は、シースガス用とプラズマガス用との2系統以上で構成されてなるようにしてもよい。
このような構成により、プラズマ生成に適したプラズマガスと、筒状チャンバの内壁、又は、ソレノイドコイルを格納した絶縁部材の壁面を保護するシースガスとに分けて、ガス種又はガス流量などを適宜調整することにより、安定したプラズマ処理が可能となる利点がある。
また、前記コイルの単位長さ当たりの巻き数は、前記コイルが延出方向において不均一であるように構成してもよいし、あるいは、前記ソレノイドコイルは、前記コイルの延出方向において複数に分割されて構成されてなるようにしてもよい。
このような構成により、長手方向の処理の均一性を高めることができる。
第2発明のプラズマ処理方法は、筒状チャンバ内にガスを供給しつつ、前記チャンバに形成されたスリット状の開口部から、基材載置台の基材載置面に載置された基材に向けてガスを噴出すると共に、前記開口部の長手方向と平行なコイル延出方向を有するソレノイドコイルに高周波電力を供給することで、前記チャンバ内に高周波電磁界を発生させ、
前記開口部の長手方向と前記基材載置台の前記基材載置面とが平行な状態を維持しながら、前記チャンバと前記基材載置台とを相対的に移動しながら、前記基材の表面を熱処理するプラズマ処理方法である。
本発明のプラズマ処理方法において、筒状チャンバの長手方向をなす壁が誘電体で構成され、ソレノイドコイルが筒状チャンバの外側に設けられている状態で基材を処理してもよいし、あるいは、筒状チャンバの長手方向をなす壁が金属で構成され、ソレノイドコイルが筒状チャンバの内側に設けられている状態で基材を処理してもよい。特に、後者の場合、プラズマ噴射口と基材載置台との間にソレノイドコイルが位置しない構成となるので、長手方向の処理の均一性が高くなるという利点がある。
また、本発明のプラズマ処理方法において、前記ガス供給装置から前記チャンバにガスを供給する複数のガス導入口は、前記開口部の長手方向と平行に設けられ、かつ前記開口部と対向する面に設けられている状態で基材を処理することが望ましい。
このような構成により、ガス噴出口から基材載置台に向かうガスの流れがスムーズになって層流化しやすく、安定したプラズマ処理が可能となる利点がある。
また、本発明のプラズマ処理方法において、前記コイルの両端部の線状部は、前記コイルの延出方向に対して垂直な向きに曲げられ、前記筒状チャンバの開口部とは逆の向き、かつ前記チャンバの外側に引出されている状態で基材を処理することが望ましい。
このような構成により、組み立てやすい装置での処理を実現できる。
また、本発明のプラズマ処理方法において、前記チャンバを前記コイルの延出方向に対して垂直な面で切った断面形状のうち、前記チャンバ内部の空間は、環状である状態で基材を処理してもよいし、あるいは、前記チャンバを前記コイルの延出方向に対して垂直な面で切った断面形状のうち、前記チャンバ内部の空間は、U字状である状態で基材を処理してもよい。特に、後者の場合、ガス噴出口から基材載置台に向かうガスの流れがスムーズになって層流化しやすく、安定したプラズマ処理が可能となる利点がある。
また、本発明のプラズマ処理方法において、前記コイルは絶縁部材のコイルケースの空間内に収納され、前記空間内の絶縁性流体に前記コイルが浸され、かつ、前記絶縁性流体が前記空間内で流れることによって前記コイルが冷却される状態で基材を処理する構成としてもよい。
このような構成により、ソレノイドコイルと、ソレノイドコイルを格納した絶縁部材の双方を、効果的に冷却することが可能となる。
また、本発明のプラズマ処理方法において、前記ガス供給装置から前記ガス導入口を介して前記チャンバ内に供給する前記ガスの供給系統は、シースガス用とプラズマガス用との2系統以上で構成されてなる状態で基材を処理することが望ましい。
このような構成により、プラズマ生成に適したガスと、筒状チャンバの内壁、又は、ソレノイドコイルを格納した絶縁部材の壁面を保護するガスとに分けて、ガス種又はガス流量などを適宜調整することにより、安定したプラズマ処理が可能となる利点がある。
また、本発明のプラズマ処理方法において、前記コイルの単位長さ当たりの巻き数は、前記コイルが延出方向において不均一である状態で基材を処理してもよく、あるいは、前記ソレノイドコイルは、前記コイルの延出方向において複数に分割されて構成されてなる状態で基材を処理してもよい。
このような構成により、長手方向の処理の均一性を高めることができる。
本発明によれば、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、基材の所望の被処理領域全体を短時間で処理することができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1Aは、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図1Bは、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置と四角形の基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図であり、 図1Cは、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置と円形の基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図であり、 図2Aは、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す、図1AのA−A線の切断部端面図であり、 図2Bは、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の移動装置を示す斜視図であり、 図3は、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図4は、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す、図3のB−B線の切断部端面図であり、 図5Aは、本発明の第2実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図5Bは、図5Aの本発明の第2実施形態におけるプラズマ処理装置と基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図であり、 図6は、本発明の第2実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す、図5AのC−C線の切断部端面図であり、 図7は、本発明の第3実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図8は、本発明の第3実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す、図7のD−D線の切断部端面図であり、 図9Aは、本発明の第4実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図9Bは、図9Aの本発明の第4実施形態におけるプラズマ処理装置と基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図であり、 図10Aは、本発明の第4実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す、図9AのE−E線の切断部端面図であり、 図10Bは、図9Aの本発明の第4実施形態におけるプラズマ処理装置と基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図であり、 図11は、本発明の第5実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図12は、本発明の第5実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図13は、本発明の第6実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図14は、本発明の第7実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図15Aは、本発明の第9実施形態第8実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図15Bは、本発明の前記種々の実施形態において、螺旋形のソレノイドコイルに代えて使用可能な、多重の螺旋形のコイルを示す図であり、 図16は、従来例の熱プラズマを用いた半導体膜の結晶化方法を説明するための模式図であり、 図17は、従来例における最表面からの深さと温度の関係を示す概念図であり、 図18は、本発明の第9実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図19Aは、本発明の実施形態の第1変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図19Bは、本発明の実施形態の第1変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図20は、本発明の実施形態の第1変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す斜視図であり、 図21は、本発明の実施形態の第2変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図22は、本発明の実施形態の第3変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図23は、本発明の実施形態の第4変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す斜視図であり、 図24は、本発明の実施形態の第5変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、 図25は、本発明の実施形態の第6変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す斜視図であり、 図26は、本発明の実施形態の第7変形例におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図ある。
以下、図面を参照して本発明における第1実施形態を詳細に説明する。
以下、本発明の実施の形態における熱プラズマ処理装置について図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1A〜図4を参照して説明する。
図1Aは、本発明の第1実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すものである。図1Bは、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置と四角形の基材2及び基材載置台1との関係を示すプラズマ処理装置の底面図である。図1A及び図1Bは、誘導結合型プラズマトーチユニット3の長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル9の中心軸10を含み、かつ、基材2の表面に対して垂直な面で切った断面図である。また、図2Aは、図1Aに示した破線A−Aで切った切断部端面図である。なお、以下の説明では、基材2は四角形で説明しているが、図1Cに示すように、本発明の第1実施形態におけるプラズマ処理装置は円形の基材2A(基材載置台1は図示を省略)にも適用可能である。
基材2の一例としては、半導体基板などが挙げられる。
図1A及び図2Aにおいて、基材載置台1の矩形又は円形の基材載置面1a上に基材2が載置されている。誘導結合型プラズマトーチユニット3は、筒状チャンバ7と、ガス導入口の一例としてのガス噴出口8と、ソレノイドコイル9とで構成されている。
筒状チャンバ7は、長方形のスリット状のプラズマ噴出口4(これを「開口部」と称する場合もある。)が下端面に設けられ、絶縁体材料で構成される円筒5、及び、円筒5の両端をそれぞれ塞ぐ蓋6とで構成されている。
ガス噴出口8は、各蓋6の中央部から筒状チャンバ7内に挿入されたガス噴出管で構成されて、筒状チャンバ7内にガス供給装置40からガスを一定流速で供給する。
ソレノイドコイル9は、円筒5の外側に、円筒5の中心軸10と同心に配置されて、高周波電力を高周波電源41から供給して筒状チャンバ7内に高周波電磁界を発生させる。
基材載置台1(或いは、基材載置台1の基材載置面1a上に載置された基材2)は、プラズマ噴出口4と対向して配置されている。この状態で、筒状チャンバ7内にガス噴出口8よりガスを供給しつつ、プラズマ噴出口4から基材2に向けてガスを噴出させながら、高周波電源41よりソレノイドコイル9に高周波電力を供給することにより、筒状チャンバ7内にプラズマPを発生させ、プラズマ噴出口4からプラズマPを基材2に照射する。
ソレノイドコイル9の中心軸10の方向と、プラズマ噴出口4(開口部)の長手方向と、基材載置台1の基材載置面1a(基材2の表面)とは、平行に配置されている。ソレノイドコイル9の中心軸10の方向とは、ソレノイドコイル9が延びる方向(コイル延出方向)を意味する。また、プラズマ噴出口4(開口部)の長手方向とは交差する向き、例えば、生産効率を向上させる観点からは、プラズマ噴出口4(開口部)の長手方向とは垂直な(直交する)向き(図1Aにおける紙面と垂直な向き、図2Aにおける矢印の向き)に、筒状チャンバ7を含むプラズマトーチユニット3と基材載置台1とを、移動装置42により、均一速度で相対的に移動しながら基材表面を熱処理することができる。このようにして、基材2の表面近傍11を均一に熱処理することができる。
固定された基材載置台1上の基材2に対して、プラズマトーチユニット3を均一速度で移動させる移動装置42の一例を図2Bに示す。図2Bにおいて、移動装置42は、プラズマトーチユニット3を両端で支持するプラズマトーチユニット支持アーム42aが固定されるブラケット42bと、移動装置42の移動方向(コイル延出方向)沿いに延在したレール42cと、ブラケット42bが固定され、かつ移動駆動装置の一例として備えられた移動駆動用モータ42dを正逆回転させて、モータ42dに係合したネジ軸が固定されたレール42c沿いにブラケット42bを均一速度で移動させる移動ステージ42eとより構成されている。よって、制御装置43の制御の元に、移動駆動用モータ42dが正回転することにより移動ステージ42eがレール42c沿いに均一速度で前進又は後退して、ブラケット42b及び一対の支持アーム42aを介してプラズマトーチユニット3を基材2に対して移動させることができる。
このように、制御装置43での制御の元に、移動装置42でプラズマトーチユニット33を基材2上で均一速度で移動させつつ、プラズマ処理を行わせることができる。
移動装置42でプラズマトーチユニット33を基材2上で移動させるとき、移動方向は一方向でもよいし、往復移動させるようにしてもよい。
この移動装置42は、後述する他の実施形態又は変形例にも適用可能である。
制御装置43は、ガス供給装置40と、高周波電源41と、移動装置42などとの動作をそれぞれ制御して、所望のプラズマ処理を行うように制御している。
ソレノイドコイル9は、円筒5と同軸にかつ円筒5の外側に配置された螺旋形の銅管であり、内部に冷却水を流して冷却している。プラズマへの銅の混入を防ぐとともにアーク放電を抑制するため、ソレノイドコイル9の表面は絶縁膜で被覆されている。また、円筒5を構成する部材の内部及び蓋6の内部にも水冷配管がそれぞれ設けられ、水冷配管内に冷却水を流すことにより、円筒5及び蓋6の冷却を行い、プラズマPからの熱ダメージを低減している。円筒5を直径の異なる2つの絶縁材料の円筒部材で構成することで、それらの2つの円筒部材間の隙間で水冷配管を構成してもよい。
この構成においては、筒状チャンバ7の長手方向をなす壁が誘電体(円筒5)で構成され、ソレノイドコイル9が筒状チャンバ7の外側に設けられており、プラズマ噴射口4と基材載置台1との間にソレノイドコイル9の一部が位置する構成となっている。
また、プラズマ噴射口4の長尺方向の長さが、基材2の幅より大きくなっているので、一度の走査(プラズマトーチユニット3と基材載置台1とを相対的に移動すること)で基材2の表面近傍11の全体を熱処理することができる。
また、筒状チャンバ7内にガスを供給するガス噴出口8が、2つの蓋6の両方に、ソレノイドコイル9の中心軸方向(延出方向)と垂直な面に設けられている。
このような熱プラズマ処理装置において、ソレノイドコイル9の内部に冷却水を流しかつ円筒5及び蓋6の内部の水冷配管内にも冷却水を流して冷却をそれぞれ行いつつ、筒状チャンバ7内にガス噴出口8よりAr又はAr+Hガスを供給しつつ、プラズマ噴出口4から基材2に向けてガスを噴出させながら、高周波電源41より13.56MHzの高周波電力を、ソレノイドコイル9に供給することにより、筒状チャンバ7内にプラズマPを発生させ、プラズマ噴出口4からプラズマPを基材2に照射するとともに走査することで、半導体膜の結晶化などの熱処理を行うことができる。
このように、ソレノイドコイル9の中心軸10の方向と、プラズマ噴出口4の長手方向と、基材載置台1の基材載置面1a(基材2の表面)とが平行に配置されたまま、プラズマ噴出口4の長手方向とは垂直な向きに、筒状チャンバ7と基材載置台1とを相対的に移動するので、生成すべきプラズマPの長さと、基材2の処理長さがほぼ等しくなるように構成することが可能となる。このように構成すれば、筒状チャンバ7と基材載置台1とを相対的に1回移動させれば、基材2の熱処理が終了するので、生産効率が高くなる。ただし、生成すべきプラズマPの長さを基材2の処理長さよりも短くしても、筒状チャンバ7と基材載置台1とを相対的に2,3回移動させるだけでよい場合には、数百回往復移動させていた従来の場合よりも、生産効率が高くすることができる。
また、筒状チャンバ7をその中心軸に垂直な面で切った断面の幅(図2A及び図4における、筒状チャンバ7の内部空間の幅)は、プラズマ噴出口4の幅(図2A及び図4における隙間の長さ)より少しでも大きければよい。つまり、生成すべきプラズマPの体積を、従来と比較して極めて小さくすることができる。その結果、電力効率が飛躍的に高まる。
また、ソレノイドコイル9の中心軸10の方向と、プラズマ噴出口4の長手方向とが平行に配置されている状態を維持するのは、熱プラズマの長尺方向の均一性を確保するため、筒状チャンバ7の内部空間においては、中心軸10の向きに比較的均一なプラズマを生成することができるので、長尺方向にプラズマが均一となり、基材2を均一に処理することができる。すなわち、ソレノイドコイル9の中心軸10の方向と、プラズマ噴出口4の長手方向とが平行に配置されている状態を維持するのは、熱プラズマの長尺方向の均一性を確保するためである。この平行関係が大幅に崩れると、熱プラズマが長尺方向に不均一となってしまい、好ましくない。また、ソレノイドコイル9の中心軸10の方向と、プラズマ噴出口4の長手方向と、基材載置台1の基材載置面1a(基材2の表面)とが平行に配置されている状態を維持するのは、生産効率を上げるためである。よって、ソレノイドコイル9の中心軸10の方向と、プラズマ噴出口4の長手方向と、基材載置台1の基材載置面1a(基材2の表面)との平行関係は、本実施形態のみならず、他の実施形態でも維持されることが好ましい。
なお、図3及び図4に示すように、筒状チャンバ7内にガスを供給するガス噴出口8の配列方向が、ソレノイドコイル9の中心軸10の方向と平行(言い換えれば、ガス噴出口8からのガスの噴出方向がソレノイドコイル9の中心軸10の方向と直交する方向)で、かつ、プラズマ噴出口4(開口部)と対向する面に設けられている構成も可能である。この構成においては、筒状チャンバ7内のガス流れの向きが、ソレノイドコイル9の中心軸10とは垂直な方向になる。このような構成により、ガス噴出口8から基材載置台1側に向かうガスの流れがスムーズになって層流化しやすく、安定したプラズマ処理が可能となる利点がある。なお、図4は、図3に示した破線B−Bで切った切断部端面図である。
なお、これまでは、円筒5の全部を絶縁体材料から構成する場合を例示している。しかしながら、ソレノイドコイル9に高周波電力を供給することによって発生する高周波電磁界を、筒状チャンバ7内に放射できればよいので、金属材料から構成した筒に、絶縁体材料で構成される窓を設けて、円筒5を構成する構造であってもよい。例えば、ソレノイドコイル9の中心軸10に平行な、複数の短冊状の窓であれば、高周波電磁界の透過効率をさほど落とさずに、プラズマを発生させることができる。
また、熱処理を可能な限り短くする観点から、一例として、プラズマ噴出口4の幅を1mmとし、移動速度を1〜数mm/secとするのが好ましい。
本発明の第1実施形態によれば、基材2の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、基材2の所望の被処理領域全体を短時間で処理することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図5A〜図6を参照して説明する。
図5Aは、本発明の第2実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニット3Aの長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル9Aの中心軸10Aを含み、かつ、基材2の表面に対して垂直な面で切った断面図である。また、図5Bは、図5Aの本発明の第2実施形態におけるプラズマ処理装置と基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図である。図6は、図5Aに示した破線C−Cで切った切断部端面図である。
図5A及び図6において、基材載置台1の基材載置面1a上に基材2が載置されている。誘導結合型プラズマトーチユニット3Aは、筒状チャンバ7Aと、ガス導入口の一例としてのガス噴出口8Aと、ソレノイドコイル9Aとで構成している。
筒状チャンバ7Aは、長方形のスリット状のプラズマ噴出口4A(開口部)が下端面の中央部に設けられ、金属材料で構成され、外形が四角柱状で内部に円形空間が形成されている円筒12、及び、金属材料で構成されかつ円筒12の両端を塞ぐ蓋6Aで構成されている。
ガス噴出口8Aは、各蓋6Aの上部から筒状チャンバ7A内に挿入されたガス噴出管で構成されて、筒状チャンバ7A内にガスを供給する。
ソレノイドコイル9Aは、円筒12の内側の円形空間内に、円筒12の中心軸10Aと同心に配置されて、高周波電力を高周波電源41から供給して筒状チャンバ7A内に高周波電磁界を発生させる。2つの蓋6Aの中央部には、絶縁材料で構成されるブッシュ13が軸方向に挿入され、ソレノイドコイル9Aへの給電のために、ソレノイドコイル9Aの両端部の銅などの導電材料で構成される線状部14が、筒状チャンバ7Aの外部に引出されている。筒状チャンバ7A内にガス噴出口8Aよりガスを供給しつつ、プラズマ噴出口4Aから基材2に向けてガスを噴出させながら、高周波電源41よりソレノイドコイル9Aに高周波電力を供給することにより、筒状チャンバ7内にプラズマPを発生させ、プラズマ噴出口4AからプラズマPを基材2に照射する。
ソレノイドコイル9Aの中心軸10Aの方向と、プラズマ噴出口4A(開口部)の長手方向と、基材載置台1の基材載置面1a(基材2の表面)とは、平行に配置されている。ソレノイドコイル9Aの中心軸10の方向とは、ソレノイドコイル9Aが延びる方向(コイル延出方向)を意味する。また、プラズマ噴出口4A(開口部)の長手方向とは交差する向き、例えば、生産効率を向上させる観点からは、プラズマ噴出口4(開口部)の長手方向とは垂直な(直交する)向き(図5Aにおける紙面と垂直な向き、図6における矢印の向き)に、筒状チャンバ7Aを含むプラズマトーチユニット3Aと基材載置台1とを、移動装置42により、相対的に移動しながら基材表面を熱処理することができる。このようにして、基材2の表面近傍11を均一に熱処理することができる。
ソレノイドコイル9Aは、円筒12と同軸にかつ円筒12の内側の円形空間内に配置された螺旋形の銅管であり、内部に冷却水を流して冷却している。プラズマへの銅の混入を防ぐとともにアーク放電を抑制するため、ソレノイドコイル9Aの表面は絶縁膜で被覆されている。また、円筒12を構成する部材の内部及び蓋6Aの内部にも水冷配管がそれぞれ設けられ、水冷配管内に冷却水を流すことにより、円筒12及び蓋6Aの冷却を行い、プラズマPからの熱ダメージを低減している。
この構成においては、筒状チャンバ7Aの長手方向をなす壁が金属(円筒12)で構成され、ソレノイドコイル9Aが筒状チャンバ7Aの内側に設けられており、プラズマ噴射口4Aと基材載置台1との間にソレノイドコイル9Aの一部が位置しない構成となるので、長手方向の処理の均一性が、第1実施形態の構成よりも高くなるという利点がある。
また、プラズマ噴射口4Aの長尺方向の長さが、基材2の幅より大きくなっているので、一度の走査(プラズマトーチユニット3Aと基材載置台1とを相対的に移動すること)で基材2の表面近傍11の全体を熱処理することができる。
また、筒状チャンバ7A内にガスを供給するガス噴出口8Aが、2つの蓋6Aの両方に、ソレノイドコイル9Aの中心軸方向(延出方向)と垂直な面に設けられている。
このような熱プラズマ処理装置において、筒状チャンバ7A内にガス噴出口8AよりAr又はAr+Hガスを供給しつつ、プラズマ噴出口4Aから基材2に向けてガスを噴出させながら、高周波電源41より13.56MHzの高周波電力を、ソレノイドコイル9Aに供給することにより、筒状チャンバ7A内にプラズマPを発生させ、プラズマ噴出口4AからプラズマPを基材2に照射するとともに走査することで、半導体膜の結晶化などの熱処理を行うことができる。
先の第1実施形態では、ソレノイドコイル9が、内部に冷却水の流路を設けた絶縁材料で構成される円筒5を介してプラズマと結合している。これに対して、第2実施形態では、ソレノイドコイル9Aは直接プラズマに触れるほど近接した配置でプラズマと結合するため、第1実施形態よりも、電力効率に優れるという利点がある。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図7〜図8を参照して説明する。
図7は、本発明の第3実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニット3Bの長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル9Bの中心軸10Bを含み、かつ、基材2の表面に対して垂直な面で切った断面図である。また、図8は、図7に示した破線D−Dで切った切断部端面図である。
図7及び図8において、基材載置台1の基材載置面1a上に基材2が載置されている。誘導結合型プラズマトーチユニット3Bは、筒状チャンバ7Bと、下向き凸形状でかつ先端が半円形状の絶縁部材のコイルケース16とで大略構成されている。
筒状チャンバ7Bは、ベースブロック15と細長いリング17とで構成されている。
ベースブロック15は、長方形のスリット状のプラズマ噴出口4B(開口部)が下端面に設けられ、かつ、上面で開口しかつ大きく下向きに湾曲した凹部15aを有する四角柱状の金属材料(例えば、真ちゅう)で構成される。凹部15aの下端面にはプラズマ噴出口4B(開口部)が形成されている。
細長いリング17は、ベースブロック15とコイルケース16との間に配置される四角枠形状の部材であり、筒状チャンバ7B内にガスをそれぞれ供給する多数のシースガス噴出口18と多数のプラズマガス噴出口19とが下向きに、すなわち、基材載置台1に向けて吐出されるように、形成されている。シースガス噴出口18及びプラズマガス噴出口19は、それぞれ、細長いリング17に挿入されたガス噴出管で構成されて、筒状チャンバ7B内にガス供給装置40からのガスをそれぞれ独立して一定流速で供給する。シースガス噴出口18及びプラズマガス噴出口19は、例えば、それぞれ、複数個の開口をコイル延出方向と平行に配置するか、又は、それぞれ、1個又は複数個のスリット形状の開口をコイル延出方向と平行に配置することが好ましい。ガス供給装置40からシースガス噴出口18を経て一定流速で供給されるシースガスは、ソレノイドコイル9Bを格納した絶縁部材(コイルケース16)の壁面を保護するために供給され、Ar+Hガスなどが使用される。ガス供給装置40からプラズマガス噴出口19を経て一定流速で供給されるプラズマガスは、プラズマ生成に必要なために供給され、Arガスなどが使用される。
コイルケース16は、ソレノイドコイル9Bを内蔵した絶縁材料(例えば、誘電体(セラミック、石英など))で構成されている。コイルケース16は、ベースブロック15の凹部15aに上部から挿入されて、凹部15aの底面とコイルケース16との間に、断面U字形状の空間45を構成している。
ソレノイドコイル9は、筒状チャンバ7内に高周波電磁界を発生させるものである。コイルケース16は、例えば誘電体で構成される。
ソレノイドコイル9Bへの給電のために、ソレノイドコイル9Bの両端部の線状部14Bが、ソレノイドコイル9Bの中心軸10Bの方向とは垂直な向きに曲げられ、プラズマ噴出口4Bとは逆の向きにコイルケース16の外部に引出されている。
このような構成により、ソレノイドコイル9Bをあらかじめコイルケース16に組み込んだ状態で、コイルケース16と、ベースブロック15と、リング17とを組み立てることができるので、組み立てやすい装置を実現できる。
筒状チャンバ7B内にガス供給装置40からガス噴出口18及び19よりガスをそれぞれ一定流速で供給しつつ、プラズマ噴出口4Bから基材2に向けてガスを噴出させながら、高周波電源41よりソレノイドコイル9Bに高周波電力を供給することにより、筒状チャンバ7Bの空間45内にプラズマPを発生させ、プラズマ噴出口4BからプラズマPを基材2に照射する。ソレノイドコイル9Bの中心軸10Bの方向と、プラズマ噴出口4B(開口部)の長手方向と、基材載置台1の基材載置面1aとは、平行に配置されている。プラズマ噴出口4B(開口部)の長手方向とは垂直な向き(図7における紙面を貫通する垂直な向き、図8における矢印の向き)に、筒状チャンバ7Bを含むプラズマトーチユニット3Bと基材載置台1とを移動装置42により相対的に移動しながら基材表面を熱処理することができる。このようにして、基材2の表面近傍11を均一に熱処理することができる。
ソレノイドコイル9Bは、螺旋形の銅管であり、内部に冷却水を流して冷却している。これにより、コイルケース16の冷却も実現される。また、ベースブロック15とリング17との内部にも水冷配管がそれぞれ設けられ、水冷配管内に冷却水を流すことにより、ベースブロック15とリング17との冷却を行い、プラズマPからの熱ダメージを低減している。
この構成においては、筒状チャンバ7Bの長手方向をなす壁が金属(ベースブロック15及びリング17)で構成され、ソレノイドコイル9Bが筒状チャンバ7Bの内側に設けられており、プラズマ噴射口4Bと基材載置台1との間に障害物は無く、長手方向の処理の均一性が高くなる。
また、プラズマ噴射口4Bの長尺方向の長さが、基材2の幅より大きくなっているので、一度の走査(プラズマトーチユニット3Bと基材載置台1とを相対的に移動すること)で基材2の表面近傍11の全体を熱処理することができる。
また、筒状チャンバ7B内にガスを一定流速で供給するガス噴出口18、19が、ソレノイドコイル9Bの中心軸10Bの方向と平行で、かつ、プラズマ噴出口4Bと対向する面に設けられている。
この構成においては、筒状チャンバ7B内のガス流れの向きが、ソレノイドコイル9Bの中心軸10Bとは垂直な方向になる。このような構成により、ガス噴出口18、19から基材載置台1側に向かうガスの流れがスムーズになって層流化しやすく、安定したプラズマ処理が可能となる。
また、図8に示すように、ベースブロック15の基材載置台1の基材載置面1aに対向する面に、プラズマ噴出口4Bを挟むように、複数のシールドガス噴射口20が設けられている。プラズマ噴出口4B(開口部)の長手方向とは垂直な向き(図7における紙面を貫通する垂直な向き、図8における矢印の向き)沿いに、プラズマ噴出口4Bに対して、複数のシールドガス噴射口20が等間隔離れて(言い換えれば、プラズマ噴出口4Bの長手方向中心軸に対して対称に)配置されるのが好ましい。制御装置43で制御されるガス供給装置40Bから複数のシールドガス噴射口20を経て一定流速で供給されるシールドガスは、大気中の酸素又は二酸化炭素など、処理に不要、あるいは、悪影響を及ぼすガスのプラズマ照射面への混入を低減するために供給され、Nガスなどが使用される。シールドガス噴射口20は、例えば、それぞれ、複数個の開口をコイル延出方向と平行に配置するか(図9B参照)、又は、それぞれ、1個又は複数個のスリット形状の開口をコイル延出方向と平行に配置することが好ましい。
このような構成により、プラズマ生成に適したプラズマガスと、筒状チャンバ7Bの内壁、又は、ソレノイドコイル9Bを格納した絶縁部材(コイルケース16)の壁面を保護するシースガスとに分けて、ガス種又はガス流量などを適宜調整することにより、安定したプラズマ処理を可能とするほか、複数のシールドガス噴射口20からシールドガスを別途供給して、大気中の酸素、二酸化炭素など、処理に不要、あるいは悪影響を及ぼすガスのプラズマ照射面への混入を低減することが可能となる。
このような熱プラズマ処理装置において、筒状チャンバ7B内にシースガス噴出口18よりAr+Hガス、プラズマガス噴出口19よりArガス、シールドガス噴出口20からNガスをそれぞれ一定流速で供給しつつ、プラズマ噴出口4から基材2に向けてガスを噴出させながら、高周波電源41より13.56MHzの高周波電力を、ソレノイドコイル9Bに供給する。このように動作させることにより、筒状チャンバ7内にプラズマPを発生させ、プラズマ噴出口4からプラズマPを基材2に照射するとともに誘導結合型プラズマトーチユニット3Bを基材2に対して相対的に走査することで、半導体膜の結晶化などの熱処理を行うことができる。
第3実施形態においては、ソレノイドコイル9Bはプラズマに近接した配置でプラズマと結合するため、電力効率に優れるという利点がある。また、ソレノイドコイル9Bはコイルケース16に格納されているので、プラズマPとソレノイドコイル9Bとが接触せず、プラズマPへの銅の混入又はアーク放電が非常に起きにくい。
また、筒状チャンバ7Bをソレノイドコイル9Bの中心軸10Bとは垂直な面で切った断面(図8)における筒状チャンバ7Bの内部の空間45の縦断面がU字状形状となっており、ガス噴出口18、19から基材載置台1側に向かうガスの流れが極めてスムーズになって層流化しやすく、非常に安定したプラズマ処理が可能となる。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について、図9A〜図10Bを参照して説明する。
図9Aは、本発明の第4実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニット3Cの長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル9Cの中心軸10Cを含み、かつ、基材に垂直な面で切った断面図である。図9Bは、図9Aの本発明の第4実施形態におけるプラズマ処理装置と基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図であって、シールドガス噴射口の配置を示す図である。また、図10Aは、図9Aに示した破線E−Eで切った切断部端面図である。図10Bは、図9Aの本発明の第4実施形態におけるプラズマ処理装置と基材及び基材載置台との関係を示すプラズマ処理装置の底面図であって、シールドガス噴射口20の図示を省略して、代わりに、シースガス噴出口18とプラズマガス噴出口19との配置関係を示す図である。
図9A及び図10において、コイルケース16は内部にソレノイドコイル9Cを収納する空間16Caがあり、その空間16Ca内に絶縁性流体21が満たされている。よって、ソレノイドコイル9Cは、絶縁性流体21に浸され、かつ、絶縁性流体21がチラーによって循環し、コイルケース16C内を流れることで、ソレノイドコイル9C及びコイルケース16Cが冷却される。
このような構成により、ソレノイドコイル9Cと、ソレノイドコイル9Cを格納した絶縁部材としてのコイルケース16Cの双方を、効果的に冷却することが可能となる。また、ソレノイドコイル9Cとしてチューブ形のパイプを用いる必要がないので、成形がしやすいという利点がある。絶縁性流体21としては、市水、純水、還元水、又は、絶縁オイルなどを用いることができる。
なお、それ以外の構成については、第3実施形態と同じであるため、同じ符号を付して、ここでは説明を省略する。
(第5実施形態)
以下、本発明の第5実施形態について、図11〜図12を参照して説明する。
図11、図12は、本発明の第5実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すものである。これらの図において、ソレノイドコイル9Dの中心軸に垂直な面で切った切断部端面図である。誘導結合型プラズマトーチユニット3Dの長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル9Dの中心軸を含み、かつ、基材2に垂直な面で切った切断部端面図は、第3実施形態における図7と同じであり、図11及び図12は、図7に示した破線D−Dで切った切断部端面図である。
図11において、ベースブロック15Dは、上面で開口しかつ大きく下向きにくぼんだ凹部15Daを有する四角柱状の金属材料(例えば真鍮)で構成されている。るベースブロック15Dの凹部15Daの内部形状は、縦断面形状において、上部から中央部までは下向きに真っ直ぐな一対の側壁15Dbで構成し、中央部から下端に向けて、下端面の中央に配置されたスリット状のプラズマ噴出口4Bに近いほど狭くなるように一対の傾斜面15Dcで構成されている。
第3実施形態では、ベースブロック15の内部断面を円弧状としているが、第5実施形態のベースブロック15では、図11及び図12のように、上部から中央部までは下向きに真っ直ぐな一対の側壁15Dbで構成し、中央部から下端に向けて、下端面の中央に配置されたスリット状のプラズマ噴出口4Bに近いほど狭くなるように一対の傾斜面15Dcで三角形状に構成するようになっている。このような構成により、ガス噴出口18、19から基材載置台1側に向かうガスの流れがさらにスムーズになって層流化しやすく、非常に安定したプラズマ処理が可能となる。なお、それ以外の構成については、第3実施形態と同じであるため、同じ符号を付して、ここでは説明を省略する。また、制御装置43などの装置も、第3実施形態と同じであるため、ここでは図示及び説明を省略する。
また、図12においては、金属材料で構成されるベースブロック15の内部形状が、前記したようにスリット状のプラズマ噴出口4に近いほど狭くなるように構成されていることに加え、コイルケース16Dの外形も、プラズマ噴出口4に近いほど狭くなるように下向き凸形状でかつ先端が三角形状に構成されている。第3実施形態では、コイルケース16の外形断面を円弧状としたが、第5実施形態では、図12のように、三角形状となっている。このような構成により、ベースブロック15の凹部15Daの底面とコイルケース16Dとの間に形成される空間45Dの下部が断面V字形状となり、ガス噴出口18、19から基材載置台1側に向かうガスの流れがさらにスムーズになって層流化しやすく、非常に安定したプラズマ処理が可能となる。この構成では、ソレノイドコイル9Dを円筒状の螺旋形状とするのではなく、三角柱状の螺旋形状としてもよい。
なお、それ以外の構成については、第3実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
(第6実施形態)
以下、本発明の第6実施形態について、図13を参照して説明する。なお、この第6実施形態においては、制御装置43とガス供給装置40と高周波電源41と移動装置42となどとの関係は先の実施形態と同様であるため、図示は省略する。
図13は、本発明の第6実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニット3Eの長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル9Eの中心軸10を含み、かつ、基材2に垂直な面で切った断面図である。
図13においては、処理したい基材2の幅が大きい(例えば、幅又は直径が100mm以上)場合の熱プラズマ処理装置の構成を示している。第3実施形態における図7との違いは、誘導結合型プラズマトーチユニット3Eが長尺方向に長くなるとともに、ソレノイドコイル9Eの長さも長くなり、また、ソレノイドコイル9Eの巻き数も多くなっている。なお、それ以外の構成については、第3実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
(第7実施形態)
以下、本発明の第7実施形態について、図14を参照して説明する。なお、この第7実施形態においては、制御装置43とガス供給装置40と高周波電源41と移動装置42となどとの関係は先の実施形態と同様であるため、図示は省略する。
図14は本発明の第7実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニット3Fの長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル9Fの中心軸10を含み、かつ、基材2に垂直な面で切った断面図である。
図14においては、処理したい基材2の幅が大きい(例えば、幅又は直径が100mm以上)場合の熱プラズマ処理装置の構成を示している。第6実施形態における図13との違いは、ソレノイドコイル9Fの巻き方である。第7実施形態においては、ソレノイドコイル9Fの中央部9Faの単位長さ当たりの巻き数よりも、両端部9Fbの単位長さ当たりの巻き数を増している。つまり、ソレノイドコイル9Fの単位長さ当たりの巻き数を、意図的に、ソレノイドコイル9Fの長手方向に不均一としている。さらに言い換えると、ソレノイドコイル9Fの単位長さ当たりの巻き数に関して、ソレノイドコイル9Fの中央部9Faよりも両端部9Fbの方が密となるように構成している。
トーチユニット3Fは、その構造上、筒状チャンバ7内のプラズマ密度が長手方向の両端部では低くなりがちである。これは、両端部ではベースブロック15の内壁面へのプラズマの損失が生じるためである。そこで、第7実施形態では、ソレノイドコイル9Fの中央部9Faよりも両端部9Fbの方が密となるようにソレノイドコイル9Fを巻くことにより、両端部のプラズマ生成量を高め、長手方向の処理の均一性を高めている。
ソレノイドコイル9Fの巻き方(単位長さ当たりの巻き数を、どのように長手方向に不均一とするか)は、筒状チャンバ7の大きさ、用いるガス種などによって、適宜選択することができる。なお、それ以外の構成については、第6実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
(第9実施形態第8実施形態)
以下、本発明の第9実施形態第8実施形態について、図15Aを参照して説明する。
図15Aは、本発明の第9実施形態第8実施形態における熱プラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニット3Gの長尺方向に平行で、かつ、ソレノイドコイル22,23,24の中心軸10を含み、かつ、基材2に垂直な面で切った断面図である。
図15Aにおいては、処理したい基材2の幅が大きい(例えば、幅又は直径が100mm以上)場合の熱プラズマ処理装置の構成を示している。第6実施形態における図13との違いは、3つのソレノイドコイル22、23、24でトーチユニット3Gを構成している点である。つまり、長手方向に複数に分割されたソレノイドコイル22,23,24を用いている。これらのソレノイドコイル22〜24は、別個の高周波電源41a,41b,41cによって制御され、筒状チャンバ7内のプラズマ密度分布を長手方向に制御することができる。なお、この場合も、ソレノイドコイルの単位長さ当たりの巻き数に関して、図14のように、中央部のソレノイドコイル23よりも両端部のソレノイドコイル22,24の方が密となるように構成してもよい。
ソレノイドコイル22〜24の長さを異なるものの組合せとすること、ソレノイドコイルの数を3以外の任意数とすること、複数のソレノイドコイルを直列又は並列に接続し、1つの高周波電源41で駆動すること、なども可能である。なお、それ以外の構成については、第6実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
(第9実施形態)
以下、本発明の第9実施形態について、図18を参照して説明する。
図18は、本発明の第9実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニットTの長尺方向に垂直な面で切った断面図であり、図19Aに相当する。
図18において、石英ブロック64に、長尺チャンバに平行に設けられ、かつ、誘電体で囲まれた長尺の穴が設けられ、その内部に長尺のソレノイドコイル63が収納されている。プラズマガスは、プラズマガスマニホールド69から、真鍮ブロック65及び石英ブロック64を貫通するプラズマガス供給配管70、プラズマガス供給穴71を介して、トーチユニットTの側方から長尺チャンバ内部の空間67に供給される。また、石英ブロック64が、空気層を介して、接地された導体ケースとしての真鍮ブロック65の内部に収納されている。
このような構成によれば、石英製部品の点数を少なくすることができ、簡単な構成のプラズマ処理装置を実現できる。さらに、石英ブロック64と真鍮ブロック65又は真鍮蓋66の間の隙間にArなどの不活性ガスが侵入することで発生する恐れのある異常放電を、効果的に避けることができる。Arなどの不活性ガスの滞留をより確実に抑制するには、空気層をトーチユニット外部の空間と連通させる穴を設けたり、ファンなどを使って、空気層の気体とトーチユニット外部の空間にある気体との交換を促進したりすることも有効である。
なお、ここでは、トーチユニット外部の空間の雰囲気が空気であることを前提に説明したが、トーチユニット外部の空間の雰囲気がNなどの不活性かつ大気圧での放電開始電圧が高いガスである場合も、同様の効果がある。あるいは、この空気層に空気やNなどを流量制御機器を用いて供給し、Arなどの不活性ガスの滞留を避けることも有効である。
また、本第9実施形態においては、石英ブロック64、ひいては誘導結合型プラズマトーチユニットTの軽量化を図ることができるという利点もある。
なお、プラズマガス供給穴71は、プラズマ噴出口68と平行なスリット状のガス出口であってもよいし、プラズマ噴出口68と平行に配置された多数の穴状のガス出口であってもよい。
図19A〜図26には、前記実施形態の種々の変型例を示している。なお、61は基材載置台、62は基材、66は真鍮蓋、72は石英管、73はシールドガスノズル、74はシールドガスマニホールド、75は冷却水配管、76は真鍮ブロック、77は樹脂ケース、78は冷却水マニホールド、79は銅ブロック、80はプラズマガス供給管、81は薄膜、82は石英管である。
また、プラズマガス供給配管70が接地された導体に囲まれる構成としてもよい。プラズマガス供給配管70が誘電体製である場合は、配管内部に高周波電磁界が照射され、配管内部で望ましくない放電を生じることがある。プラズマガス供給配管70が接地された導体に囲まれる構成とすることにより、このような望ましくない放電を効果的に抑制できる。
以上述べた熱プラズマ処理装置は、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。
本発明の種々の構成によって、基材2の表面近傍を高温処理することが可能となるが、従来例で詳しく述べたTFT用半導体膜の結晶化又は太陽電池用半導体膜の改質に適用可能であることは勿論、プラズマディスプレイパネルの保護層の清浄化若しくは脱ガス低減、又は、シリカ微粒子の集合体で構成される誘電体層の表面平坦化若しくは脱ガス低減、又は、種々の電子デバイスのリフロー、又は、固体不純物源を用いたプラズマドーピングなど、様々な表面処理に適用できる。また、本発明は、太陽電池の製造方法において、シリコンインゴットを粉砕して得られる粉末を基材上に塗布し、これにプラズマを照射して溶融させ多結晶シリコン膜を得る方法にも適用可能である。
また、プラズマトーチユニット3,3A,3B,又は,Tなどを、固定された基材載置台1又は61に対して走査する場合を例示したが、固定されたプラズマトーチユニット3,3A,3B,又は,Tなどに対して、基材載置台1又は61を移動装置で走査するようにしてもよい。
また、螺旋形のソレノイドコイル9,9A〜9F,22〜24などは、図15Bに示すように、特開平8−83696号公報に開示されているような、多重の螺旋形のコイル9Hであってもよい。このような構成とすることにより、ソレノイドコイルのインダクタンスを低減し、電力効率の改善を図ることができる。これは、処理したい基材2の幅が大きい場合、すなわち、誘導結合型プラズマトーチユニット又はソレノイドコイルが長尺方向に長くなる場合に特に有効である。
また、ガス供給装置40,40Bから各ガス噴出口18,19,20へガスを供給するとき、各ガス噴出口18,19,20の複数の開口から均一なガス供給を行うため、マニホールドを介して供給するようにしてもよい。
また、図9B又は図10Bに示すように、コイル延出方向と平行に、各ガス噴出口18,19,20は点状の開口が複数並べられて配置されていてもよく、あるいは、コイル延出方向と平行に線状(スリット状)の開口が配置されていてもよい。
また、金属材料で構成される部品を用いた構成を例示したが、金属材料で構成される部品のうち、筒状チャンバ7の内壁にあたる部分を絶縁体材料でコーティングすることにより、プラズマへの金属材料の混入を防ぐとともにアーク放電を抑制することも可能である。
また、プラズマの着火を容易にするために、着火源を用いることも可能である。着火源としては、ガス給湯器などに用いられる点火用スパーク装置などを利用できる。
また、この明細書においては、簡単のため「熱プラズマ」という言葉を用いているが、熱プラズマと低温プラズマとの区分けは厳密には難しく、また、例えば、非特許文献(田中康規ほか、「熱プラズマにおける非平衡性」プラズマ核融合学会誌、Vol.82、No.8(2006)pp.479−483)において解説されているように、熱的平衡性のみでプラズマの種類を区分することも困難である。本発明は、基材2を熱処理することを一つの目的としており、熱プラズマ、熱平衡プラズマ、高温プラズマなどの用語にとらわれず、高温のプラズマを照射する技術に関するものに適用可能である。
また、基材2の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理する場合について詳しく例示したが、反応ガスによるプラズマ又はプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材を低温プラズマ処理する場合においても、本発明は適用できる。プラズマガス又はシースガスに反応ガスを混ぜることにより、反応ガスによるプラズマを基材へ照射し、エッチング又はCVDが実現できる。あるいは、プラズマガス又はシースガスとしては希ガス又は希ガスに少量のHガスを加えたガスを用いつつ、シールドガスとして反応ガスを含むガスを供給することによって、プラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射し、エッチング又はCVD又はドーピングなどのプラズマ処理を実現することもできる。プラズマガス又はシースガスとしてアルゴンを主成分とするガスを用いると、実施例で詳しく例示したように、熱プラズマが発生する。
一方、プラズマガス又はシースガスとしてヘリウムを主成分とするガスを用いると、比較的低温のプラズマを発生させることができる。このような方法で、基材をあまり加熱することなく、エッチング又は成膜などの処理が可能となる。
エッチングに用いる反応ガスとしては、ハロゲン含有ガス、例えば、C(x、yは自然数)、SFなどがあり、シリコン又はシリコン化合物などをエッチングすることができる。反応ガスとしてOを用いれば、有機物の除去、レジストアッシングなどが可能となる。CVDに用いる反応ガスとしては、モノシラン、ジシランなどがあり、シリコン又はシリコン化合物の成膜が可能となる。
あるいは、TEOS(Tetraethoxysilane)に代表されるシリコンを含有した有機ガスとOの混合ガスを用いれば、シリコン酸化膜を成膜することができる。その他、撥水性又は親水性を改質する表面処理など、種々の低温プラズマ処理が可能である。従来技術(例えば、特許文献7に記載のもの)に比較すると、誘導結合型であるため、単位体積あたり高いパワー密度を投入してもアーク放電に移行しにくいため、より高密度なプラズマが発生可能であり、その結果、速い反応速度が得られ、基材の所望の被処理領域全体を短時間で処理することが可能となる。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
以上のように、本発明にかかるプラズマ処理装置及び方法は、TFT用半導体膜の結晶化又は太陽電池用半導体膜の改質に適用可能であることは勿論、プラズマディスプレイパネルの保護層の清浄化若しくは脱ガス低減、又は、シリカ微粒子の集合体で構成される誘電体層の表面平坦化若しくは脱ガス低減、又は、種々の電子デバイスのリフローなど、様々な表面処理において、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、基材の所望の被処理領域全体を短時間で処理する上で有用な発明である。
また、本発明にかかるプラズマ処理装置及び方法は、種々の電子デバイスなどの製造における、エッチング又は成膜又は表面改質などの低温プラズマ処理において、基材の所望の被処理領域全体を短時間で処理する上で有用な発明である。

Claims (13)

  1. スリット状の開口部を備える筒状チャンバと、
    前記チャンバ内にガス導入口を介してガスを供給するガス供給装置と、
    前記開口部の長手方向と平行なコイル延出方向を有しかつ前記チャンバ内に高周波電磁界を発生させるソレノイドコイルと、
    前記コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
    前記開口部と対向して配置され、かつ基材を基材載置面に載置する基材載置台と、
    前記開口部の長手方向と前記基材載置台の前記基材載置面とが平行な状態を維持しながら、前記チャンバと前記基材載置台とを相対的に移動させる移動装置と、を備えるプラズマ処理装置。
  2. 前記移動装置は、前記開口部の長手方向に対して直交する方向沿いに、前記チャンバと前記基材載置台とを相対的に移動させる、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記筒状チャンバは誘電体の円筒で構成されるとともに、前記チャンバの外側に前記コイルが設けられてなる、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記筒状チャンバは金属の円筒で構成されるとともに、前記チャンバの内側に前記コイルが設けられてなる、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記ガス供給装置から前記チャンバにガスを供給する複数のガス導入口は、前記開口部の長手方向と平行に設けられ、かつ前記開口部と対向する面に設けられている、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記コイルの両端部の線状部は、前記コイルの延出方向に対して垂直な向きに曲げられ、前記筒状チャンバの開口部とは逆の向き、かつ前記チャンバの外側に引出されている、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記チャンバを前記コイルの延出方向に対して垂直な面で切った断面形状のうち、前記チャンバ内部の空間は、環状である、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記チャンバを前記コイルの延出方向に対して垂直な面で切った断面形状のうち、前記チャンバ内部の空間は、U字状である、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記コイルは絶縁部材のコイルケースの空間内に収納され、前記空間内の絶縁性流体に前記コイルが浸され、かつ、前記絶縁性流体が前記空間内で流れることによって前記コイルが冷却される、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  10. 前記ガス供給装置から前記ガス導入口を介して前記チャンバ内に供給する前記ガスの供給系統は、シースガス用とプラズマガス用との2系統以上で構成されてなる、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記コイルの単位長さ当たりの巻き数は、前記コイルが延出方向において不均一である、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記ソレノイドコイルは、前記コイルの延出方向において複数に分割されて構成されてなる、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  13. 筒状チャンバ内にガスを供給しつつ、前記チャンバに形成されたスリット状の開口部から、基材載置台の基材載置面に載置された基材に向けてガスを噴出すると共に、前記開口部の長手方向と平行なコイル延出方向を有するソレノイドコイルに高周波電力を供給することで、前記チャンバ内に高周波電磁界を発生させ、
    前記開口部の長手方向と前記基材載置台の前記基材載置面とが平行な状態を維持しながら、前記チャンバと前記基材載置台とを相対的に移動しながら、前記基材の表面を熱処理するプラズマ処理方法。
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