図10は、カラー表示を行う液晶表示素子の内部構成例を示す概略的な分解斜視図である。
液晶表示素子は、略平行に対向配置される上側基板50a及び下側基板50b、及び、その間に挟持される液晶層55を含んで構成される。上側基板50a及び下側基板50bは、たとえば平板なガラス基板(上側及び下側ガラス基板51a、51b)、その対向面上に、ITO(indium tin oxide)等の透明導電材で形成され、所定のパタンを有する電極(上側及び下側透明電極52a、52b)、及び各電極を覆って形成された配向膜(上側及び下側配向膜53a、53b)を備える。液晶層55は、たとえば正の誘電率異方性(Δε>0)をもつネマティック液晶で形成されるツイストネマティック(twisted nematic,TN)液晶層であり、上側及び下側配向膜53a、53bのラビング方向によって定まるツイスト角は、たとえば90°である。なお、上側及び下側透明電極52a、52bは、液晶層55を挟んで重なり合って表示部を画定する。
上側基板50aと液晶層55との間に、液晶層55側からエリアカラーフィルタ60とブラックマスク59が配置されている
エリアカラーフィルタ60は、赤色部60r、緑色部60g、青色部60b、及び白色部60wを含んで構成される。たとえば赤色部60rは、赤色の波長領域の光を透過させる。
ブラックマスク59は、色領域の境界を覆って遮光し、コントラストや色純度を高めるために配置される。
上側基板50a及び下側基板50bの外側に、一対の上側及び下側偏光板54a、54bが配置される。上側及び下側偏光板54a、54bは、それぞれ面内方向に透過軸を有し、透過軸の方向に偏光する光だけを透過させる。両者は、ラビング方向に沿って直交ニコル状態に配置される。本図には、透過軸の方向を矢印で示した。
白色バックライト57が、下側偏光板54bの外側に配置される。白色バックライト57は、たとえば冷陰極蛍光管(cold cathode fluorescent lamp;CCFL)を用いて構成され、白色光を発光する。無機白色LED(light emitting diode)、有機白色LED等を用いて構成される場合もある。
白色バックライト57から発せられ、下側偏光板54bに入射した光は、下側偏光板54bの透過軸方向に偏光方向を有する光となって、液晶層55に入射する。
上側及び下側透明電極52a、52bに電圧を印加しない状態においては、入射光の偏光方向は液晶分子の配向に従って90°回転するため、直交ニコル配置された上側偏光板54aを透過した光により、ノーマリオン表示が行われる。
図示の液晶表示素子においては、白色バックライト57から発せられた光が、エリアカラーフィルタ60の異なる色の領域(各色部60r,g,b,w)を透過することで着色光となり、透過した領域ごとに異なる色の表示が可能になる。
上側及び下側透明電極52a、52bに電圧を印加した状態においては、液晶層55の液晶分子は、上側及び下側基板54a、54bにほぼ垂直に立ち上がり、液晶層55に入射した光は、偏光方向を変化させないで液晶層55を出射する。このため直交ニコル配置された上側偏光板54aに遮られ、黒表示が行われる。
本図に示す構造を用いて、セグメント表示やドット表示が可能である。また、エリアカラーフィルタ60に用いる色により、複数色による色表示が可能となる。
しかしながら、ある1つの表示セグメントまたはドットにおいては、ある特定の色(そのセグメントまたはドットに対応するエリアカラーフィルタ60の色部の色)と黒色とによる表示しか行うことができない。
この欠点を解消する表示素子として、マイクロカラーフィルタ方式の液晶表示素子が知られている。マイクロカラーフィルタ方式は、特にフルドットタイプの液晶表示素子に採用され、微細なドットを赤(R)、緑(G)、青(B)に色分けし、3ドットを1画素としてカラー表示を行う表示方式である。
ただ、表示セグメントやドットが大きい場合には、観察者に、1画素が分割されていることが認識され、表示品位が低下することがある。また、1画素を複数のドットで構成するため、光利用効率が低下し、結果としてライト(光源)の輝度を向上させる必要が生じ、消費電力が増大する。
たとえばセグメント表示を行う液晶表示素子において、表示領域の色をセグメント単位で独立して変化させる方法として、フィールドシーケンシャル(field sequential;FS)駆動法が周知である。
図11(A)は、FS駆動を行うことの可能な液晶表示素子の内部構成例を示す概略的な分解斜視図であり、図11(B)は、液晶表示素子の表示部を示す平面図である。
図11(A)を参照する。図10に示した液晶表示素子と異なるのは、白色バックライト57に代えて、マルチカラーバックライト56が使用されている点、上側基板50aと液晶層55との間に、エリアカラーフィルタ60と、ブラックマスク59が配置されていない点、及び、バックライト同期駆動回路75が加入されている点である。
マルチカラーバックライト56は、複数の色の光を出射することが可能なバックライトであり、たとえばRGBマルチカラーLED光源を備える。FS駆動においては、マルチカラーバックライト56は、たとえば赤(R)、緑(G)、青(B)の順に時分割発光を繰り返す。バックライト同期駆動回路75は、たとえばマルチカラーバックライト56と上側及び下側透明電極52a、52bとの間に接続され、マルチカラーバックライト56の発光タイミングに同期させて、液晶セルのスイッチング(光を透過させる/させないのオンオフ)を行う。
FS駆動法においては、画像データをR、G、Bの各色データに分解し、これを時間軸上で合成(加法混色)することにより表示を行う。マルチカラーバックライト56の発光を、人間の目には分解できないほど高速に切り替えることで、人間の目にその混色画像を認識させる。
図11(B)を参照する。液晶表示素子の表示は、たとえば7セグメントの表示部30で行われる。表示部30は、表示単位(各セグメント)31〜37、及び背景領域38を含んで構成される。表示単位31〜37の各々には、それぞれ独立に駆動可能な電極が対応して設けられている。それらの電極に選択的に電圧を印加することにより、電極に対応する液晶層の液晶分子の配向状態を変化させ、たとえば「0」〜「9」の各数字を表示することができる。
本明細書においては、たとえば各数字の表示に用いられる表示単位を表示領域と呼び、それ以外の表示単位及び背景領域を非表示領域と呼ぶ。たとえば、数字の「7」を表示するとき、表示領域とは、表示単位31〜33を意味し、非表示領域とは、表示単位34〜37、及び背景領域38を意味する。
図12は、FS駆動方式を用いた液晶表示素子における表示制御の一例を示すタイミングチャートである。図12を参照して、FS方式の液晶駆動方法を説明する。
FS駆動法では、前述のように、マルチカラーバックライトが、たとえばR、G、Bの順に時分割発光を繰り返す。R、G、Bの各々が、順次1回ずつ発光する期間を1フレームという。1フレームは、たとえば16.7msである。フレーム単位で、1つの画像が表示される。R、G、Bの光を加法混色するためには、1フレームはたとえば20ms以下(フレーム周波数が50Hz以上)であることが望ましい。
1フレームは複数(3つ)のサブフレーム(sub−frame;SF)に分割される。1SFは、たとえば5.57msである。
「マルチカラーバックライト」の段を参照する。1つのSFは、発光期間とブランク期間とに分けられる。それぞれのSF(SF1〜SF3)の発光期間に、R、G、Bのいずれか1つの発光が行われる。図12に示すタイミングチャートにおいては、SF1、SF2、及びSF3の各発光期間に、それぞれR、G、及びBの発光が行われる。
液晶表示素子においては、印加電圧に対する液晶層の応答に要する時間は、マルチカラーバックライトの発光色の切り替えに要する時間よりも長い。ブランク期間とは、いずれの色の光も発光されない期間であり、印加された電圧によって液晶層の液晶分子が、実質的に配向状態を変化させるのに必要な時間である。
「表示単位31」の段を参照する。以下用いる「表示単位31」、「表示単位32」等の表記は、図11(B)に示した各表示単位を表すものとする。また、本図では、駆動タイミングチャートの表示単位の段における「ON」は、表示単位が光を透過する状態にあることを示し、「OFF」は、表示単位が光を透過しない状態にあることを示す。
表示単位31は、SF1及びSF2において光を透過する。したがって、RとGの混色である黄(Y)が観察者に認識される。
「表示単位32」の段を参照する。表示単位32は、SF1及びSF3において光を透過する。したがって、RとBの混色であるマゼンダ(M)が観察者に認識される。
「表示単位37」の段を参照する。表示単位37は、SF2において光を透過する。したがって、緑(G)が観察者に認識される。
しかし、2色以上の加法混色により得られる表示部分から視線を逸らせた場合、液晶表示素子に振動が加わった場合等には、通常は観察者の目に認識されない各SFの画像が分離して観察される現象、いわゆるカラーブレーク現象が生じることがある。カラーブレーク現象は周囲が暗いとき顕著に起こる。カラーブレーク現象の発生は、観察者の心理に及ぼす影響からも好ましくない。
そこで本願発明者らは、SFごとに所望の色の光を形成して発光させ、あるSFで透光状態とされた表示単位は他のSFでは遮光状態とすることによって、カラーブレーク現象を防止した液晶表示素子の駆動方法(当該駆動方法もFS駆動方法に含める。)を提案した。(たとえば、特許文献1参照。)
図13は、先の提案による液晶表示素子の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
「マルチカラーバックライト」の段を参照する。図示した1フレームにおいて、SF1では、複数色の光源の同時点灯により白、SF2ではオレンジ、そしてSF3では単光源発光による青色の光が出射される。なお、本図においては、5.57msの1SF期間のうち、ブランク期間を3msとした。
「表示単位31」の段を参照する。表示単位31においては、SF1のみが透光状態とされる。したがって、白色による表示が行われる。
「表示単位32」の段を参照する。表示単位32においては、すべてのSFで遮光状態とされる。したがって、表示色は黒となる。
「表示単位37」の段を参照する。表示単位37においては、SF2のみが透光状態とされる。したがって、オレンジ色による表示が行われる。
特許文献1記載の液晶表示素子の駆動方法によれば、カラーブレーク現象が防止されるとともに、フレームごとにマルチカラーバックライトの点灯色を変えることが可能であるため、多様な色表示が可能である。
本願発明者らは、特願2004−118870号において、新規な構造の液晶表示装置とその表示方法を提案している(特願2004−118870号 発明の開示[0010]段〜[0042]段)。
図1(A)〜(E)を用いて、特願2004−118870号に係る液晶表示装置に関して簡単に説明する。
図1(A)に、液晶表示装置の表示部を示す。表示部は、たとえば3つのセグメント部(「STANLEY R&D」、及び左右の7セグメント部)を含んで構成される。当該液晶表示装置によれば、たとえばセグメント部ごとに、色調を変化させることが可能である。たとえば、左の7セグメント部において「5」を赤色で、右の7セグメント部において「7」を黄色で、「STANLEY R&D」を青色で表示することができる。本図においては、赤色、黄色、または青色で表示される領域に斜線を付して示した。
図1(B)に、液晶表示装置の内部構成例を示す概略的な分解斜視図を示す。
本図に示す液晶表示装置は、表示用液晶セル76及びエリア分割用液晶セル77を含んで構成される。両セル76、77は、表示用液晶セル76が上側に、エリア分割用液晶セル77が下側に、位置合わせして配置される。
両セル76、77ともに、略平行に対向配置される上側基板50a及び下側基板50b、そしてその間に挟持される液晶層55を含んで構成される。
セル76、77の双方について、上側基板50a及び下側基板50bは、たとえば平板なガラス基板(上側及び下側ガラス基板51a、51b)、その対向面上に、ITO等の透明導電材で形成され、所定のパタンを有する電極(上側及び下側透明電極52a、52b)、及び各電極を覆って形成された配向膜(上側及び下側配向膜53a、53b)を備える。
また、液晶層55は、たとえば正の誘電率異方性(Δε>0)をもつネマティック液晶で形成されるTN液晶層であり、上側及び下側配向膜53a、53bのラビング方向によって定まるツイスト角は、たとえば90°である。
上側透明電極52aと下側透明電極52bとの間には、両電極52a、52b間に任意の電圧を印加することのできる電圧印加手段68が接続されている。電圧印加手段68で両電極52a、52b間に印加された電圧により、両電極52a、52b間の液晶層55の液晶分子の配向状態を変化させることができる。
電圧無印加時においては、セル76、77に入射した光は、液晶層55で、偏光方向を90°変化されて、セル76、77を出射する。電圧印加時においては、セル76、77に入射した光は、偏光方向を変化されることなく、セル76、77を出射する。
表示用液晶セル76とエリア分割用液晶セル77とは、電極の形状において相違する。表示用液晶セル76の電極は、図1(A)に示したセグメント部の形状に対応する形状を有する。エリア分割用液晶セル77の電極については、次図を参照して説明する。
表示用液晶セル76の上側基板50aの外側に上側偏光板54aが、エリア分割用液晶セル77の下側基板50bの外側に下側偏光板54bが、そして両セル76、77の間には、中央偏光板54iが、相互に平行に配置される。これらの偏光板54a、54b、54iは、各々面内方向に透過軸を有し、透過軸の方向に偏光する光だけを透過させる。図には、透過軸の方向を矢印で示した。偏光板54a、54b、54iの透過軸方向は、相互に平行である。
マルチカラーバックライト56が、下側偏光板54bの外側に配置される。マルチカラーバックライト56は、複数の色の光を選択的に出射することが可能なライトであり、たとえば側方にRGBマルチカラーLED光源を有し、入射する光を液晶層に向かって照射する。カラー光源としては、有機LED、無機LED、CCFL、FEランプ等を用いて構成することが可能である。出射光色の変化は、互いに異なる発光色の単色光源を複数用いる構成で実現してもよいし、発光色を変化することのできる単一光源を用いる構成で実現してもよい。
マルチカラーバックライト56と、表示用液晶セル76及びエリア分割用液晶セル77の電圧印加手段68との間に、同期回路78が接続される。同期回路78は、マルチカラーバックライト56の点消灯と、表示用液晶セル76及びエリア分割用液晶セル77の両電極52a、52bへの電圧の印加(液晶層55の液晶分子の配向状態の変化)を同期させることができる。
図1(C)〜(E)を参照して、図1(B)に示した液晶表示装置の動作を説明する。たとえば1フレームをSF1〜SF3の3つのSFに分けたFS駆動法を用いて駆動を行う。
マルチカラーバックライト56からは、SF1において赤、SF2において青、SF3において黄の光が出射される。出射された光は、下側偏光板54bの透過軸方向に偏光方向をもつ偏光となって、エリア分割用液晶セル77に入射する。
エリア分割用液晶セル77は、入射したマルチカラーバックライト56からの光を、電極の形状によって上側基板50a側に画定される所定のエリア(図1(C)〜(E)においては、エリア81〜83の3つのエリア)ごとに区切って出射することが可能である。すなわち、エリア分割用液晶セル77の電極の形状は、エリア81〜83の形状に対応して形成されている。
エリア81及び82は、それぞれ図1(A)に示した左及び右の7セグメント部に対応するエリアである。エリア81、82を出射した光によって、それぞれ「0」〜「9」の数字を表示することができる。
エリア83は、図1(A)に示したセグメント部のうち、「STANLEY R&D」の文字列に対応するエリアであり、エリア83を出射した光によって当該文字列を表示することができる。
SF1〜SF3を通して、表示用液晶セル76においては、所定の電極に電圧を印加しておく。左の7セグメント部にあっては、「5」を表示する表示単位31、33、34、36、及び37に対応する電極に電圧を印加する。また、右の7セグメント部にあっては、「7」を表示する表示単位31〜33に対応する電極に電圧を印加する。更に、「STANLEY R&D」の文字列に対応する電極に電圧を印加する。
図1(C)を参照する。SF1においては、エリア分割用液晶セル77のエリア81に対応する電極52a、52b間に電圧を印加する。このため、マルチカラーバックライト56を出射した赤色の光のうち、エリア81を出射する光のみが、下側偏光板54bで定められた偏光状態を保ったまま、中央偏光板54iを透過する。
中央偏光板54iを透過した光のうち、表示用液晶セル76の左の7セグメント部において、「5」を表示する表示単位31、33、34、36及び37を画定する電極52a、52bに対応する液晶層55を透過した光(「5」の文字を表示する赤色の光)のみが、そのままの偏光状態で上側偏光板54aを透過して観察者の目に到達する。
図1(D)を参照する。SF2においては、前述のように、マルチカラーバックライト56から青色の光を出射する。また、エリア分割用液晶セル77のエリア82に対応する電極52a、52b間に電圧を印加する。表示用液晶セル76においては、右の7セグメント部の「7」を表示する表示単位31〜33に対応する電極に電圧を印加する。
このため、右の7セグメント部において「7」の文字を表示する青色の光のみが、上側偏光板54aを透過して観察者の目に到達する。
図1(E)を参照する。SF3においては、前述のように、マルチカラーバックライト56から黄色の光が出射する。また、エリア分割用液晶セル77のエリア83に対応する電極52a、52b間に電圧を印加する。表示用液晶セル76においては、「STANLEY R&D」の文字列を表示する電極52a、52b間に電圧が印加されるので、「STANLEY R&D」の文字を表示する黄色の光のみが、上側偏光板54aを透過して観察者の目に到達する。
このように、特願2004−118870号に係る液晶表示装置を用いると、たとえばセグメント部ごとに色調を変化させることができる。
図2は、実施例による液晶表示素子の内部構成例を示す概略的な分解斜視図である。
実施例による液晶表示素子は、図1(B)に示した液晶表示装置に用いられたセルと同様の構成の表示用液晶セル76及びエリア分割用液晶セル77を含んで構成される。図1(B)に示した液晶表示装置においては、電圧無印加時においては、エリア分割用液晶セル77に入射した光は、液晶層55で偏光方向を90°変化されて、セル77を出射するように、エリア分割用液晶セル77の液晶層55のリタデーションを定めたが、実施例による液晶表示素子においては、たとえば電圧無印加時に入射した光が液晶層55を二度通過すると、偏光方向が90°変化(たとえば、x成分が1/2波長遅相)するように、液晶層55のリタデーションを定める。
表示用液晶セル76の上側基板50aの外側には、上側偏光板54aが配置され、エリア分割用液晶セル77の下側基板50bの外側には、入射した光を反射する反射板67が配置される。反射板67は、たとえば金属で形成される。反射板67は、鏡面を備えていてもよいし、たとえばアンチグレア処理を施した散乱反射表面を備えていてもよい。更に、反射板67は、エリア分割用液晶セル77の下側ガラス基板51bの外側に配置される代わりに、内側に配置することもできる。
表示用液晶セル76の下側基板50bとエリア分割用液晶セル77の上側基板50aの間に、マルチカラーライト66、中央偏光板54i、及び1/4波長板69が、この順に、表示用液晶セル76側から位置合わせして配置される。
マルチカラーライト66は、たとえば板状の光源であり、エリア分割用液晶セル77に向けて光を照射することができる。1/4波長板69は、たとえば1/2波長板と1/4波長板の組み合わせにより構成され、入射光のx成分に1/4波長の遅相を与えて出射する。中央偏光板54iと1/4波長板69とで、円偏光板が構成される。
図には、矢印で、偏光板54a、54iの透過軸方向、及び、1/4波長板69の遅相軸方向を示した。偏光板54a、54iは、たとえば平行ニコルに配置され、表示用液晶セル76(マルチカラーライト66を考慮に入れず、上側偏光板54a、上側基板50a、液晶層55、下側基板50b、及び中央偏光板54iで構成される部分)は、ノーマリオフタイプの素子を構成する。1/4波長板69の遅相軸方向と、中央偏光板54iの透過軸方向のなす角は、たとえば45°である。
また、実施例においては、表示用液晶セル76の下側基板50bとエリア分割用液晶セル77の上側基板50aとの間に、偏光板を1枚挿入した(中央偏光板54i)が、表示用液晶セル76側とエリア分割用液晶セル77側に、それぞれ1枚ずつ挿入する構成とすることも可能である。更に、表示用液晶セル76は、外光入射時の表示の見栄えを考慮し、非表示領域を黒表示とすることが望ましい。この点、実施例においては、表示用液晶セル76をノーマリオフタイプの素子としたが、背景領域全体を遮光するブラックマスクを含む構成として実現してもよい。
なお、中央偏光板54i、1/4波長板69、エリア分割用液晶セル77、及び反射板67で構成される液晶素子部分は、ノーマリオンである。
マルチカラーライト66と、表示用液晶セル76及びエリア分割用液晶セル77の電圧印加手段68との間に、同期回路78が接続される。同期回路78は、1フレームを複数のSFに時分割し、各SF内でマルチカラーライト66の点消灯と、表示用液晶セル76及びエリア分割用液晶セル77の両電極52a、52bへの電圧の印加(液晶層55の液晶分子の配向状態の変化)を同期させることができる。また、マルチカラーライト66が、1フレーム中のすべてのSFにおいて、相互に異なる色の光を発光するように制御することもできる。
なお、図2に示す実施例においては、中央偏光板54i、1/4波長板69、エリア分割用液晶セル77、及び反射板67で構成される液晶素子部分をTN型のノーマリオン構成としたが、たとえば1/4波長板69とエリア分割用液晶セル77との間に、エリア分割用液晶セル77とは液晶ねじれ方向が逆で、液晶層の厚さ方向の中央分子の配向方向が、エリア分割用液晶セル77のそれと直交する液晶セルを挿入し、ノーマリオフ構成としてもよい。当該液晶セルのかわりに、同等の機能を有する光学フィルム、たとえば(株)ポラテクノ製のTwistarを用いることもできる。
また、エリア分割用液晶セル77を、ネガタイプの液晶材料を用いて形成し、垂直配向型とすることもできる。
以下、実施例による液晶表示素子の動作を説明する。ここでは表示用液晶セル76の光出射面(たとえば、表示用液晶セル76の上側基板50a面)に、図1(A)に示した表示部が画定され、エリア分割用液晶セル77の光出射面(たとえば、エリア分割用液晶セル77の上側基板50aの1/4波長板69側の面)に、図1(C)に示したエリア81〜83が画定され、更に、最終的に「5」を赤で、「7」を青で、「STANLEY R&D」を黄で表示するものとして説明を行う。液晶表示素子は、たとえば1フレームをSF1〜SF3の3つのSFに分けたFS駆動法を用いて駆動する。
マルチカラーライト66からは、エリア分割用液晶セル77に向けて、SF1において赤、SF2において青、SF3において黄の光が出射される。出射された光は、まず中央偏光板54iを透過することによって、中央偏光板54iの透過軸方向に偏光方向をもつ偏光となって1/4波長板69に入射し、x成分に1/4波長の遅相を受けて、エリア分割用液晶セル77に入射する。
エリア分割用液晶セル77に入射し、これを透過した光は、反射板67で反射され、下側基板50b側からエリア分割用液晶セル77に再入射する。エリア分割用液晶セル77を透過した光は、下側から1/4波長板69に入射する。
エリア分割用液晶セル77においては、SF1で、エリア82及び83に対応する電極52a、52b間に電圧を印加する。このため、エリア82及び83に対応する液晶層55部分の液晶分子だけが、上側及び下側基板50a、50bにほぼ垂直に配向し、その他の部分(エリア81を含む。)に対応するそれは配向状態を変えない。したがって、エリア分割用液晶セル77を透過し、反射板67で反射され、エリア分割用液晶セル77を再透過する過程において、エリア82及び83以外の部分から出射する光(エリア81を出射する光を含む。)は、液晶層55によって、x成分に1/2波長の遅相を受ける。また、エリア82及び83を出射する光は、偏光状態に変化を受けない。
エリア分割用液晶セル77の上側基板50aを出射した光(エリア81〜83を出射した光を含む。)は、一律に、1/4波長板69により、x成分に1/4波長の遅相を受ける。
このように、中央偏光板54iを出射後、反射板67で反射され、再び中央偏光板54iに入射するまでに、エリア82及び83以外の部分(エリア81を含む。)に入射し、出射された光は、x成分に合計1波長分の遅相を受ける。また、エリア82及び83に入射し、出射された光は、x成分に合計1/2波長分の遅相を受ける。
したがって、エリア82及び83以外の部分(エリア81を含む。)に入射し、出射された光が、下側から中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過し、表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。エリア82及び83に入射し、出射された光は、中央偏光板54iによって遮られる。
表示用液晶セル76においては、SF1〜SF3を通して、所定の電極に電圧を印加しておく。左の7セグメント部にあっては、「5」を表示する表示単位31、33、34、36、及び37に対応する電極に電圧を印加する。また、右の7セグメント部にあっては、「7」を表示する表示単位31〜33に対応する電極に電圧を印加する。更に、「STANLEY R&D」の文字列に対応する電極に電圧を印加する。
表示用液晶セル76において、電圧を印加された電極に対応する液晶層55部分の液晶分子だけが、上側及び下側基板50a、50bにほぼ垂直に配向するため、「5」、「7」、「STANLEY R&D」に対応する位置に入射した光のみが、入射時と等しい偏光状態で上側基板50aを出射して、上側偏光板54aを透過し、観察者の目に到達することになる。
SF1においては、エリア82及び83以外の部分(エリア81を含む。)を出射した光のみが、表示用液晶セル76の下側基板50bに入射し、このうち「5」に対応する位置に入射した光のみが、上側偏光板54aを透過する。したがって、「5」を表す光が、観察者の目に到達する。
SF2においては、エリア分割用液晶セル77のエリア81及び83に対応する電極52a、52b間に電圧を印加する。このため、SF1についての場合と同様に、中央偏光板54iを出射後、反射板67で反射され、再び中央偏光板54iに入射するまでに、エリア81及び83以外の部分(エリア82を含む。)に入射し、出射された光は、x成分に合計1波長分の遅相を受ける。また、エリア81及び83に入射し、出射された光は、x成分に合計1/2波長分の遅相を受ける。
したがって、エリア81及び83以外の部分(エリア82を含む。)に入射し、出射された光が、下側から中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過し、表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。エリア81及び83に入射し、出射された光は、中央偏光板54iによって遮られる。
したがって、SF2においては、エリア81及び83以外の部分(エリア82を含む。)を出射した光のうち「7」に対応する位置に入射した光のみが、上側偏光板54aを透過する。このため、「7」を表す光が、観察者の目に到達する。
SF3においては、エリア分割用液晶セル77のエリア81及び82に対応する電極52a、52b間に電圧を印加する。このため、SF1についての場合と同様に、中央偏光板54iを出射後、反射板67で反射され、再び中央偏光板54iに入射するまでに、エリア81及び82以外の部分(エリア83を含む。)に入射し、出射された光は、x成分に合計1波長分の遅相を受ける。また、エリア81及び82に入射し、出射された光は、x成分に合計1/2波長分の遅相を受ける。
したがって、エリア81及び82以外の部分(エリア83を含む。)に入射し、出射された光が、下側から中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過し、表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。エリア81及び82に入射し、出射された光は、中央偏光板54iによって遮られる。
したがって、SF3においては、エリア81及び82以外の部分(エリア83を含む。)を出射した光のうち「STANLEY R&D」に対応する位置に入射した光のみが、上側偏光板54aを透過する。このため、「STANLEY R&D」を表す光が、観察者の目に到達する。
以上のような動作により、観察者は、赤の「5」、青の「7」、黄の「STANLEY R&D」を視認することができる。
上述の動作説明からも理解されるように、表示用液晶セル76には、必ずしもライトの発光に高速応答する液晶セルを用いることを要しない。したがってたとえば、単純マトリクス駆動のドット表示セルを採用することができるので、製造コストを低減することができる。
一方、エリア分割用液晶セル77は、高速応答が求められるため、低デューティ駆動であること、特にスタティック駆動を行うことが好ましい。エリア分割用液晶セル77は、表示用液晶セル76に比べると電極構成が細緻ではないため、スタティック駆動セルとすることは容易である。
なお、上述のように、エリア分割用液晶セル77とマルチカラーライト66とは、たとえばSFごとに同期させるのに対し、表示用液晶セル76とマルチカラーライト66とは、たとえば表示を変化させるごとに同期させる。
図3(A)及び(B)を参照する。以下、シミュレーションを通じて、実施例による液晶表示素子についてより深く考察し、奏する効果についても言及する。
図3(A)に、シミュレーションに用いた実施例による液晶表示素子を示す。図2に示した素子において、1/4波長板69を、1/2波長板69aと1/4波長板69bとで構成した。1/2波長板69a及び1/4波長板69bは、遅相軸が、中央偏光板54iの透過軸に対して、それぞれ反時計回り75°及び15°の位置に位置するように、配置した。また、1/2波長板69aと1/4波長板69bとは、ともに、ポリカーボネート製と想定した。なお、本図に示す液晶表示素子は、前述のように、反射板67を備える反射型の液晶表示素子である。
図3(B)に、比較例による液晶表示素子を示す。比較例による液晶表示素子は、透過型の液晶表示素子である。図1(B)に示した液晶表示素子は、マルチカラーバックライト56側から、エリア分割用液晶セル77、表示用液晶セル76の順に配置され、表示は表示用液晶セル76の上側基板50aから取り出される光で行われるのに対し、比較例による液晶表示素子においては、マルチカラーフロントライト70側から、表示用液晶セル76、エリア分割用液晶セル77の順に配置され、表示はエリア分割用液晶セル77の下側基板50bから取り出される光で行われる。また、図1(B)に示した液晶表示素子においては、エリア分割用液晶セル77、表示用液晶セル76の双方について、偏光板は平行ニコル配置されていたが、比較例による液晶表示素子においては、エリア分割用液晶セル77については、偏光板が直交ニコル配置されている点において異なる。エリア分割用液晶セルをノーマリホワイトに変更し、提案する反射型のものと同じ光学構成とした。なお、エリア分割用液晶セル77の液晶層55の厚さ方向の中央に位置する液晶分子の配向方向は、中央偏光板54iの透過軸方向、及び、下側偏光板54bの透過軸方向と、それぞれともに、45°をなす。
図3(A)に示す実施例による液晶表示素子、及び、図3(B)に示す比較例による液晶表示素子に用いられる偏光板としては、(株)ポラテクノ製のSHC125Uを想定した。また、両液晶表示素子のエリア分割用液晶セル77の液晶層55は、誘電率異方性Δε=5.1のポジ型液晶を用いて構成した。液晶層55内の液晶分子配列は水平TN配向とし、上側及び下側基板50a、50b面のプレティルト角は1°とした。また、液晶層55厚dと液晶層55内カイラルピッチpとの比は、0.1とした。なお、ツイスト方向は左回りに設定した。
本願発明者は、図3(A)及び(B)に示す実施例及び比較例について、(株)シンテック製のシミュレータ「LCD MASTER 6」を用いて解析した。シミュレーションを行うに当たって、エリア分割用液晶セル77のツイスト角を60°〜110°の範囲で変化させた。
図4(A)〜(C)に、実施例及び比較例のエリア分割用液晶セル77について解析した結果を示す。
図4(A)を参照する。本願発明者は、エリア分割用液晶セル77のツイスト角を変化させた場合に、実施例については、反射板67で反射し、偏光板54iに達した光の最大反射率、比較例については、下側偏光板54bにおける最大透過率(以下、最大反射率/最大透過率)を与えるエリア分割用液晶セル77の液晶層55厚dを求めた。図4(A)には、液晶層55厚dと液晶材料の複屈折率Δnとの積(リタデーションΔnd)のツイスト角依存性を示した。
グラフの横軸は、ツイスト角を単位「°(度)」で示す。縦軸は、リタデーションΔndを単位「μm」で示す。曲線aは、図3(A)に示した実施例による液晶表示素子についての両者の関係、曲線bは、図3(B)に示した比較例による液晶表示素子についての両者の関係を示す。
比較例(曲線b)においては、ツイスト角の増加にしたがって、最大透過率の得られるリタデーションΔndも増加する。それに対し、実施例(曲線a)においては、最大反射率の得られるリタデーションΔndは、顕著にはツイスト角に依存しない。また、リタデーションΔndの値も小さく、比較例と比べたとき、ツイスト角が70°〜110°の範囲では、実施例において得られた値は、比較例において得られた値の、概ね0.38倍〜0.55倍であり、たとえばツイスト角が90°のときには、約0.5倍である。
このことから、反射型構成を採用する実施例による液晶表示素子は、透過型構成を採用する比較例による液晶表示素子に比べ、たとえば液晶材料の複屈折率Δnが等しい場合において、エリア分割用液晶セル77の液晶層55厚dを、0.38倍〜0.55倍とすることができる。
液晶分子の立下り応答速度は、液晶層厚の2乗に反比例する。また、液晶素子の応答速度の高速化のためには、液晶分子の立下り応答速度を高速化することが有効である。したがって、実施例による液晶表示素子は、エリア分割用液晶セル77を高速で駆動することが可能な液晶表示素子であるということができる。
図4(B)は、コントラストのツイスト角依存性を示すグラフである。本グラフを作成するためのシミュレーションは、リタデーションΔndを一定とするのではなく、各ツイスト角で最大反射率/最大透過率を与えるリタデーションΔndを用いて行った。すなわち図4(B)は、各ツイスト角で最大反射率/最大透過率を与えるリタデーションΔndを備える液晶セルについてのコントラストを計算したものである。
グラフの横軸は、ツイスト角を単位「°(度)」で示す。縦軸は、コントラストを単位「a.u.(任意単位)」で示す。曲線cは、図3(A)に示した実施例による液晶表示素子についての両者の関係、曲線dは、図3(B)に示した比較例による液晶表示素子についての両者の関係を示す。
実施例(曲線c)においても、比較例(曲線d)においても、ツイスト角90°〜100°においてコントラストの極大値(ピークコントラスト)が存在する。実施例(曲線c)は、比較例(曲線d)に比べ、ピークコントラストの値が小さく、黒表示性能が良好とはいえないことがわかる。これは円偏光板の波長分散特性による影響が現れているためである。図3(A)に示す実施例による液晶表示素子の2枚の波長板(1/2波長板69a及び1/4波長板69b)を波長分散特性の小さい材料(たとえばノルボルネン系樹脂)で形成することにより、コントラストを改善することが可能である。
図4(C)は、最大反射率/最大透過率のツイスト角依存性を示すグラフである。グラフの横軸は、ツイスト角を単位「°(度)」で示す。縦軸は、最大反射率/最大透過率を単位「%」で示す。曲線eは、図3(A)に示した実施例による液晶表示素子についての両者の関係、曲線fは、図3(B)に示した比較例による液晶表示素子についての両者の関係を示す。
比較例(曲線f)においては、最大透過率はツイスト角にかかわらずほぼ一定である。それに対し、実施例(曲線e)においては、最大反射率は約70°をピークに大きく変化する。
たとえばカラー表示を行うFS駆動においては、最大反射率/最大透過率は表示品位を決定づける重要な要素であるため、できるだけ高いことが望ましい。一方、カラー表示の色純度を高めるには、黒表示の黒さが重要である。図4(A)〜(C)に示した結果を考慮し、両者ともに好ましいといえる領域を判断すると、図3(A)に示した実施例による液晶表示素子のエリア分割用液晶セル77については、ツイスト角は60°〜90°、リタデーションΔndは0.18μm〜0.26μmとなる。
本願発明者は、実施例の変形例を4種類作製し、そのそれぞれについてFS駆動を行い、表示状態を確認した。
図5(A)〜(C)を参照して、4種類の変形例による液晶表示素子に共通する構成及び動作について説明する。
図5(A)は、液晶表示素子の表示部を示す平面図である。表示用液晶セル76の上側透明電極52aと下側透明電極52bとで、上側基板50a側に表示部(表示を行う複数の表示単位、及び背景領域)を画定することができる。表示部は、表示単位であるドット88a〜88uとセグメント89、及び背景領域90を含んで構成される。ドット88a〜88uとセグメント89の各々には、表示用液晶セル76にそれぞれ独立に駆動可能な電極が対応して設けられている。それらの電極に選択的に電圧を印加することにより、電極に対応する液晶層55の液晶分子の配向状態を変化させ、様々に表示を行うことができる。
表示単位は、表示用液晶セル76の上側透明電極52aと下側透明電極52bとが対向する位置に対応して画定され、背景領域は、表示用液晶セル76の上側透明電極52aと下側透明電極52bとが対向しない位置に対応して画定される。
図5(B)は、エリア分割用液晶セル77の上側基板50a側に画定されたエリアを示す平面図である。
エリア分割用液晶セル77は、入射した光を、電極の形状によって画定される所定のエリア(図5(B)においては、エリア86、87の2つのエリア)ごとに区切って出射することが可能である。エリア86及び87の形状は、エリア分割用液晶セル77の電極の形状に対応し、エリア分割用液晶セル77の上側透明電極52aと下側透明電極52bとが対向する位置に画定される。
エリア86を出射した光は、ドット88a〜88uを含む領域に入射し、エリア87を出射した光は、セグメント89を含む領域に入射するように、エリア分割用液晶セル77と表示用液晶セル76とは位置合わせして配置される。
図5(C)に、4種類の変形例をFS駆動により動作させることにより実現した表示を示す。ドット88a〜88e、88j、88p、及び88u(本図においては、左下がりの斜線を付して示した。)により、赤色で「L」の文字を表示するとともに、セグメント89(本図においては、右下がりの斜線を付して示した。)により、黄色で「ST」の文字を表示した。なお、この場合、ドット88a〜88e、88j、88p、88u及びセグメント89が表示領域となり、残りの表示領域ではないドットと背景領域とが非表示領域(黒色)となる。
4種類の変形例をFS駆動するに当たっては、1フレームを16.7msとし、それぞれ8.35msである2つのSF(SF1及びSF2)に分けた。両SFの最初の3msをブランク期間(マルチカラーライト66の消灯期間)とし、残りの5.35msを発光期間とした。表示用液晶セル76については、常に、後述する所定電極にのみ電圧を印加し続けた。エリア分割用液晶セル77については、後述するタイミングで、電圧を印加した。
図6(A)〜(C)を参照して、第1の変形例による液晶表示素子及びその駆動方法について説明する。
図6(A)は、第1の変形例による液晶表示素子の内部構成例を示す概略的な分解斜視図である。第1の変形例は、ノーマリオフの表示用液晶セル76部分とノーマリオンのエリア分割用液晶セル77部分とを有する液晶表示素子である。
第1の変形例は、図3(A)に示した実施例と類似しているが、表示用液晶セル76を、上側及び下側基板50a、50b表面でほぼ垂直配向するネガ型液晶材料を用いた垂直配向セルとした点において異なる。また、表示用液晶セル76の上側及び下側基板50a、50b外側の2枚の偏光板(上側偏光板54a及び中央偏光板54i)を直交ニコルに配置した点においても異なる。また、第1の変形例においては、TN型の分割用液晶セル77の液晶層55について、液晶分子のツイスト角を70°、リタデーションΔndを0.245μmとした。
図6(B)は、表示用液晶セル76の電極への電圧の印加/無印加を示す表である。図5(A)に示すドット88a〜88u及びセグメント89に対応する電極ごとのそれらを示した。図中の「ON」は、SF1〜SF3を通じて電圧を印加することを示し、「OFF」は、SF1〜SF3を通じて電圧を印加しないことを示す。
ドット88a〜88uの20個のドットに対応する電極のうち、電圧を印加するのは、ドット88a〜88e、88j、88p、及び88uの8個のドットに対応する電極で、電圧を印加する電極に対応するドットを連ねると「L」字形となる。また、「ST」を表示するセグメント89に対応する電極にも電圧を印加する。
上側偏光板54a、表示用液晶セル76、及び中央偏光板54iで構成される液晶素子部分は、ノーマリオフである。したがって、当該液晶素子部分は、ドットによる「L」、及びセグメントによる「ST」に入射する光のみを透過させる。
図6(C)は、エリア分割用液晶セル77への電圧の印加/無印加、及びマルチカラーライト66の点消灯についてまとめた表である。
エリア分割用液晶セル77への電圧の印加/無印加については、図5(B)に示したエリア86及び87に対応する電極ごとに示した。「エリア分割用液晶セル77」の列について「ON」は、該当するSFで対応する電極に電圧を印加したことを示し、「OFF」は、該当するSFで対応する電極に電圧を印加しなかったことを示す。
また、「マルチカラーライト66点灯色」の列については、該当するSFで点灯した色を記した。
中央偏光板54i、1/4波長板69(1/2波長板69a及び1/4波長板69b)、エリア分割用液晶セル77、及び反射板67とで構成された液晶素子部分は、ノーマリオン(エリア分割用液晶セル77に電圧を印加しない状態で、中央偏光板54iに入射した光は、反射板67で反射された後、再び中央偏光板54iを透過する。)である。このため、当該液晶素子部分は、対応する電極に電圧が印加されていないエリアに入射した光のみが、反射板67で反射された後、再び中央偏光板54iを透過する。
SF1の行を参照する。SF1においては、マルチカラーライト66から赤色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86には電圧を印加せず、エリア87に電圧を印加する。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア87に入射した赤色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア87以外の部分(エリア86を含む。)に入射した赤色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、ドットによる「L」に入射する赤色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
SF2の行を参照する。SF2においては、マルチカラーライト66から黄色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86に電圧を印加し、エリア87には電圧を印加しない。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア86に入射した黄色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア86以外の部分(エリア87を含む。)に入射した黄色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、セグメントによる「ST」に入射する黄色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
このようにして、図5(C)に示したように、黒色の背景の中に、赤色で「L」の文字をドット表示するとともに、黄色で「ST」の文字をセグメント表示することができる。
本願発明者が、上述のように第1の変形例による液晶表示素子を駆動したところ、実際に、赤色の「L」をドット表示で、黄色の「ST」をセグメント表示で、黒色の背景の中に実現することができた。なお、本願発明者の研究の結果、表示用液晶セル76をノーマリオフモードとする場合、表示用液晶セル76としては、垂直配向型の液晶セルを採用すると、見栄えがよいことがわかった。これは垂直配向型の液晶セルが視角特性に優れているためと考えられる。
図7(A)〜(C)を参照して、第2の変形例による液晶表示素子及びその駆動方法について説明する。
図7(A)は、第2の変形例による液晶表示素子の内部構成例を示す概略的な分解斜視図である。第2の変形例は、ともにノーマリオフの表示用液晶セル76部分とエリア分割用液晶セル77部分とを有する液晶表示素子である。
第2の変形例は、分割用液晶セル77を、上側及び下側基板50a、50b表面でほぼ垂直配向するネガ型液晶材料を用いた垂直配向セルとした点において、第1の変形例と異なる。また、第2の変形例においては、垂直配向型の分割用液晶セル77の液晶層55のリタデーションΔndを0.2μmとした。
図7(B)は、表示用液晶セル76の電極への電圧の印加/無印加を示す表である。
第1の変形例の場合と同様に、ドット88a〜88uの20個のドットに対応する電極のうち、電圧を印加するのは、ドット88a〜88e、88j、88p、及び88uの8個のドットに対応する電極で、電圧を印加する電極に対応するドットを連ねると「L」字形となる。また、「ST」を表示するセグメント89に対応する電極にも電圧を印加する。
第1の変形例と同様に、上側偏光板54a、表示用液晶セル76、及び中央偏光板54iで構成される液晶素子部分は、ノーマリオフであるため、当該液晶素子部分は、ドットによる「L」、及びセグメントによる「ST」に入射する光のみを透過させる。
図7(C)は、エリア分割用液晶セル77への電圧の印加/無印加、及びマルチカラーライト66の点消灯についてまとめた表である。
中央偏光板54i、1/4波長板69(1/2波長板69a及び1/4波長板69b)、エリア分割用液晶セル77、及び反射板67とで構成された液晶素子部分は、ノーマリオフ(エリア分割用液晶セル77に電圧を印加しない状態で、中央偏光板54iに入射した光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iで遮られる。)である。このため、当該液晶素子部分は、対応する電極に電圧が印加されたエリアに入射した光のみが、反射板67で反射された後、再び中央偏光板54iを透過する。
SF1の行を参照する。SF1においては、マルチカラーライト66から赤色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86に電圧を印加し、エリア87には電圧を印加しない。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア86以外の部分(エリア87を含む。)に入射した赤色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア86に入射した赤色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、ドットによる「L」に入射する赤色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
SF2の行を参照する。SF2においては、マルチカラーライト66から黄色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86には電圧を印加せず、エリア87に電圧を印加する。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア87以外の部分(エリア86を含む。)に入射した黄色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア87に入射した黄色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、セグメントによる「ST」に入射する黄色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
このようにして、図5(C)に示したように、黒色の背景の中に、赤色で「L」の文字をドット表示するとともに、黄色で「ST」の文字をセグメント表示することができる。
本願発明者が、上述のように第2の変形例による液晶表示素子を駆動したところ、実際に、赤色の「L」をドット表示で、黄色の「ST」をセグメント表示で、黒色の背景の中に実現することができた。
図8(A)〜(C)を参照して、第3の変形例による液晶表示素子及びその駆動方法について説明する。
図8(A)は、第3の変形例による液晶表示素子の内部構成例を示す概略的な分解斜視図である。第3の変形例は、ともにノーマリオンの表示用液晶セル76部分とエリア分割用液晶セル77部分とを有する液晶表示素子である。
第3の変形例は、図3(A)に示した実施例と類似しているが、表示用液晶セル76の上側及び下側基板50a、50b外側の2枚の偏光板(上側偏光板54a及び中央偏光板54i)を直交ニコルに配置した点において異なる。また、表示用液晶セル76の上側基板50aの液晶層55側に、背景領域を覆うブラックマスク59を配置した点においても異なる。また、第3の変形例においては、TN型の分割用液晶セル77の液晶層55について、液晶分子のツイスト角を70°、リタデーションΔndを0.245μmとした。
図8(B)は、表示用液晶セル76の電極への電圧の印加/無印加を示す表である。
ドット88a〜88uの20個のドットに対応する電極のうち、電圧を印加しないのは、ドット88a〜88e、88j、88p、及び88uの8個のドットに対応する電極で、電圧を印加しない電極に対応するドットを連ねると「L」字形となる。また、「ST」を表示するセグメント89に対応する電極にも電圧は印加しない。
上側偏光板54a、表示用液晶セル76、及び中央偏光板54iで構成される液晶素子部分は、ノーマリオンである。したがって、当該液晶素子部分は、ドットによる「L」、及びセグメントによる「ST」に入射する光のみを透過させる。
図8(C)は、エリア分割用液晶セル77への電圧の印加/無印加、及びマルチカラーライト66の点消灯についてまとめた表である。
中央偏光板54i、1/4波長板69(1/2波長板69a及び1/4波長板69b)、エリア分割用液晶セル77、及び反射板67とで構成された液晶素子部分は、ノーマリオン(エリア分割用液晶セル77に電圧を印加しない状態で、中央偏光板54iに入射した光は、反射板67で反射された後、再び中央偏光板54iを透過する。)である。このため、当該液晶素子部分は、対応する電極に電圧が印加されているエリア以外の部分に入射した光が、反射板67で反射された後、再び中央偏光板54iを透過する。
SF1の行を参照する。SF1においては、マルチカラーライト66から赤色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86には電圧を印加せず、エリア87に電圧を印加する。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア87に入射した赤色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア87以外の部分(エリア86を含む。)に入射した赤色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、ドットによる「L」に入射する赤色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
SF2の行を参照する。SF2においては、マルチカラーライト66から黄色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86に電圧を印加し、エリア87には電圧を印加しない。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア86に入射した黄色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア86以外の部分(エリア87を含む。)に入射した黄色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、セグメントによる「ST」に入射する黄色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
このようにして、図5(C)に示したように、黒色の背景の中に、赤色で「L」の文字をドット表示するとともに、黄色で「ST」の文字をセグメント表示することができる。
本願発明者が、上述のように第3の変形例による液晶表示素子を駆動したところ、実際に、赤色の「L」をドット表示で、黄色の「ST」をセグメント表示で、黒色の背景の中に実現することができた。
図9(A)〜(C)を参照して、第4の変形例による液晶表示素子及びその駆動方法について説明する。
図9(A)は、第4の変形例による液晶表示素子の内部構成例を示す概略的な分解斜視図である。第4の変形例は、ノーマリオンの表示用液晶セル76部分とノーマリオフのエリア分割用液晶セル77部分とを有する液晶表示素子である。
第4の変形例は、上側偏光板54a、表示用液晶セル76(ブラックマスク59を含む。)、及び中央偏光板54iで構成される液晶素子部分については、第3の変形例と同一である。また、中央偏光板54i、1/4波長板69(1/2波長板69a及び1/4波長板69b)、エリア分割用液晶セル77、及び反射板67とで構成される液晶素子部分については、第2の変形例と同一である。
図9(B)は、表示用液晶セル76の電極への電圧の印加/無印加を示す表である。
ドット88a〜88uの20個のドットに対応する電極のうち、電圧を印加しないのは、ドット88a〜88e、88j、88p、及び88uの8個のドットに対応する電極で、電圧を印加しない電極に対応するドットを連ねると「L」字形となる。また、「ST」を表示するセグメント89に対応する電極にも電圧は印加しない。
上側偏光板54a、表示用液晶セル76、及び中央偏光板54iで構成される液晶素子部分は、ノーマリオンである。したがって、当該液晶素子部分は、ドットによる「L」、及びセグメントによる「ST」に入射する光のみを透過させる。
図9(C)は、エリア分割用液晶セル77への電圧の印加/無印加、及びマルチカラーライト66の点消灯についてまとめた表である。
中央偏光板54i、1/4波長板69(1/2波長板69a及び1/4波長板69b)、エリア分割用液晶セル77、及び反射板67とで構成された液晶素子部分は、ノーマリオフ(エリア分割用液晶セル77に電圧を印加しない状態で、中央偏光板54iに入射した光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iで遮られる。)である。このため、当該液晶素子部分は、対応する電極に電圧が印加されたエリアに入射した光のみが、反射板67で反射された後、再び中央偏光板54iを透過する。
SF1の行を参照する。SF1においては、マルチカラーライト66から赤色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86に電圧を印加し、エリア87には電圧を印加しない。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア86以外の部分(エリア87を含む。)に入射した赤色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア86に入射した赤色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、ドットによる「L」に入射する赤色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
SF2の行を参照する。SF2においては、マルチカラーライト66から黄色の光を出射する。エリア分割用液晶セル77は、エリア86には電圧を印加せず、エリア87に電圧を印加する。
このため、マルチカラーライト66から出射し、エリア87以外の部分(エリア86を含む。)に入射した黄色の光は、反射板67で反射された後、中央偏光板54iに遮られる。一方、エリア87に入射した黄色の光は、中央偏光板54i、及びマルチカラーライト66を透過して表示用液晶セル76の下側基板50bに入射する。このうち、セグメントによる「ST」に入射する黄色の光のみが、表示用液晶セル76の上側偏光板54aを透過し、観察者に視認される。
このようにして、図5(C)に示したように、黒色の背景の中に、赤色で「L」の文字をドット表示するとともに、黄色で「ST」の文字をセグメント表示することができる。
本願発明者が、上述のように第4の変形例による液晶表示素子を駆動したところ、実際に、赤色の「L」をドット表示で、黄色の「ST」をセグメント表示で、黒色の背景の中に実現することができた。
上述の駆動方法によると、マルチカラーライトから任意の色の光を出射することができるという点において、多様な色表示が可能である。また、実施例に見るように、エリアごとに、異なった色による表示が可能である。たとえばエリア及びSFをそれぞれ3つ設け、各SFでマルチカラーライトから異なる色の光を出射すれば、エリアごとに異なった色で表示を行うことができる。1フレームをn個のSFに分けたとき、非表示領域色(黒色)も含め、n+1色での表示が可能である。
また、1つのエリアに属する表示単位は、高々1つのSFにおいてのみライトからの光で表示が行われるため、カラーブレークを防止することができる。
更に、実施例及び変形例による液晶表示素子は、前述のように、エリア分割用液晶セルを薄くすることができ、したがって高速動作が可能な液晶表示素子である。このため1フレーム中のSFの数を増加させることが容易となり、この点においても多様な色表示が可能となる。
実施例及び変形例による液晶表示素子の特徴として、マルチカラーライトを表示用液晶セルとエリア分割用液晶セルとの間に配置した点があげられる。
たとえばライトを光取り出し面側に配置する構成においては、ライトからの漏れ光が観察される場合があるが、本実施例及び変形例による液晶表示素子によれば、この点が改善され、表示品質を向上させることができる。
また、たとえばライトを光取り出し面側に配置する構成においては、表示位置がライトの厚みの分だけ奥まってしまうが、本実施例及び変形例による液晶表示素子によれば、表示位置を奥まらせることがないため、表示品質を向上させることができる。
以上、実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。 種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。