JP4861229B2 - 摩擦駆動装置 - Google Patents
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Description
近年の光ディスクの高密度化に伴い、より高解像の露光を実現するために従来のレーザービームから電子線等を用いた露光が登場し、真空環境への対応やより高精度な送りが必要になってきている。このような高精度の送りを行うためには、従来のボイスコイル型のリニアモータでは十分に対応することができず、駆動軸と、当該駆動軸に対して傾き角度をもって傾斜する複数の従動軸に設けられて当該駆動軸の外周にころがり接触するローラと、当該駆動軸の回転により前記従動軸及びローラとともに移動する移動体とを有する摩擦駆動装置を使用することが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
この特許文献1記載のものでは、軸体と、この軸体を相対的に回転および進退自在に貫通させた進退部品とを備え、進退部品は、その本体内に、軸体に転接する樽形のローラを周方向に並べて複数個設ける。これらローラは、両端面でボールを介して進退部品本体と予圧板との間に回転自在に支持する。進退部品本体とローラ端面の少なくとも一方、及び予圧板とローラ端面との少なくとも一方は、ボールが回転自在に嵌合する円錐面状のボール支持凹部でボールの支持を行わせる。また、予圧板をローラ側へ付勢すると共に円周方向に付勢する弾性体を設けて、耐外乱性が高く、速度むらがなく、安定送りが行え、また駆動源が停止時の静止性能の向上が図れる装置としている。
本発明者は、このような特許文献1記載のものの欠点、即ち、駆動軸とローラの接触点は、駆動軸の外周上におけるローラの転動軌跡が、各ローラで異なるため、駆動軸の加工誤差などによる微小な曲がり、あるいは駆動軸の軸心と進退部品の案内機構間に組立誤差などによる誤差がある場合、リードLを大きく取ると大きなすべりを生じるという問題点を改良するために、前記各ローラの前記駆動軸外周に対する軸線方向の設置位置を当該駆動軸外周との当該ローラの各ころがり接触点が当該駆動軸外周上の実質的に同一軌跡上を転動するように設定することを提案した。(特許文献2参照)
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、上記特許文献2における問題点を解消して駆動軸のローラによる偏摩耗を抑制することのできる摩擦駆動装置を提供することを目的とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の摩擦駆動装置において、前記接触点移動制御手段は、前記駆動軸の両端をそれぞれ支持するハウジングの端部に対向して設けられ、前記駆動軸の軸心方向へ伸縮自在な伸縮手段を有し、前記移動体の位置データに基づいて、前記伸縮手段の伸縮量を制御して前記ころがり接触点の移動量を設定することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の摩擦駆動装置において、前記接触点移動制御手段は、前記移動体のストローク端において作動し、前記駆動軸が1回転した時の移動体のリード量の範囲内において前記ころがり接触点を前記駆動軸の軸線方向に移動させることを反復するように構成したことを特徴とする。
図1は、本発明による一実施形態の摩擦駆動装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施例による摩擦駆動装置においては、空気圧によるサーボマウンタなどからなる除振機構(図示せず)上に設けられたベース90には、移動体13の送り方向と直角方向に離間して下端が固定された複数の支柱89a、89bが立設されており、各支柱89a、89bの上端には、移動体13を矢印Aで示す送り方向に配置した案内機構を構成するころがり軸受(例えば球体、円筒ローラ等)14を介して移動体13が取り付けられている。従って、移動体13は、後述する摩擦駆動機構によって、矢印A方向及びB方向にスライド自在に支柱89a、89b上に取り付けられている。
移動体13には、上部にターンテーブル18を取り付け、図示しない外部より供給される圧縮空気によりラジアル、スラスト方向に静圧浮上するエアスピンドル19が取り付けられている。エアスピンドル19には回転駆動モータ20を介して、出力が1周を数千等分割したA相、B相パルス、及び1周に1回発生するZ相パルスとから構成される光学式ロータリーエンコーダ21が取り付けられており、ターンテーブル18は、外部からの回転駆動モータ20への通電信号により回転されるようになっている。
なお、本実施例では、スケール15bが移動体13に固定され、受光部15aがベース90に固定されているが、受光部15aを移動体13に固定し、スケール15bをベース90に固定する構成にしてもよい。
図1に示すように、移動体13の送り方向に延出する突出部13aの下部には、駆動軸1が貫通する通孔部を設けた相対向する一対の固定板22及び23が固定されている。駆動軸1の外周には、同心状に設けた3つの従動軸7a、7b、7cが駆動軸1の軸線に対して円周方向に等角配置され、さらに、駆動軸1の軸心と従動軸7a、7b、7cの軸心とが微小角度θで交叉するように配設されている。各従動軸7a、7b、7cには、駆動軸1に対してころがり接触するローラ8a、8b、8cが、対向したころがり軸受(例えばアンギュラ軸受など)9a、9b、9cを介して回転自在に取り付けられ、また、軸受止め体20にて各従動軸7a、7b、7cの軸線方向に固定するように取り付けられている。
この場合に、各ローラ8a、8b、8cの配置位置関係は、図3及び図4に示すように、固定板22にとりつけられた従動軸7a、7b、7cの球状軸受26a、26b、26cの回動支持点24a、24b、24cから、各ローラ8a、8b、8cと駆動軸1の外周との接触点(1a、1b、1c)までの距離をそれぞれLa、Lb、Lcとし、駆動軸1の軸心と各従動軸7a、7b、7cの軸心とのなす角度をθとし、駆動軸15の直径をDとした場合に、下記の(1)及び(2)式を満足するように各部材が配設されている。
Lb=La−(π・D/3)・θ (1)
Lc=Lb−(π・D/3)・θ=La−(2・π・D/3)・θ (2)
また、駆動軸1の第2の段付部1eの外周は、カップリング部材(例えばオルダム式など)4を介して送り駆動モータ5に連結されている。送り駆動モータ5は、ハウジング10の右側円筒孔部に固定され、また出力が1周を数千等分割したA相、B相パルスと、1周に1回発生するZ相パルスとから構成されるロータリーエンコーダ6を具備している。
さらに、駆動軸1の左側端部1fは、ベース90に固定されたハウジング11の貫通孔に、同心状にかつ外輪が軸心方向に移動可能となるように固定されたころがり軸受(例えば深溝玉軸受など)12の内輪に嵌合されている。
従って、駆動軸1は、後述する送り制御回路で制御されながら送り駆動モータ5に通電すると、所定の速度で時計回り、または反時計回りに回転される。この駆動軸1の回転に伴って、駆動軸1の外周に前記接触点1a〜1cにて接触しているローラ8a、8b、8cが転動し、移動体13が送り方向AまたはB方向に移動する。
各従動軸7a、7b、7cの右側端部は、図7に示すように、一方の固定板23の凹部に、駆動軸1の軸線に対して円周方向に等角配置されて固定され、ローラ8a、8b、8cが駆動軸1の外周から離間する方向に従動軸7a、7b、7cを押圧する第1の押圧板36a、36b、36cと、駆動軸1の外周接線方向に従動軸7a、7b、7cを押圧する第2の押圧板40a、40b、40cが設けられている。第1の押圧板36a、36b、36cと第2の押圧板40a、40b、40cには、それぞれ押圧端部に球42a、42b、42c、42d、42e、42fが設けられたコイルスプリングなどの弾性体35a、35b、35c及び38a、38b、38cが設けられており、各従動軸7a、7b、7cの右側端部を自由支持する構成となっている。
他方の固定板22の右側面には、図1に示すように、各従動軸7a、7b、7cの左側端部外周を、その内周に嵌合する軸受(例えば球面軸受など)26a、26b、26cが駆動軸1の軸線に対して円周方向に等角配置されて固定されており、各従動軸7a、7b、7cは、前記軸受26a、26b、26cの回動支持点24a、24b、24cを含む平面内において回動可能な構成となっている。
以上のような構成により、適当な通電電圧を圧電素子27a、27b、27cに印加すると、従動軸7a、7b、7cの軸心は駆動軸1の軸心とに対してある角度θで交差した状態で、ローラ8a、8b、8cの外周と駆動軸1の外周がころがり接触する。従って、圧電素子27a、27b、27cに対する通電電圧を押圧駆動回路107で適当に制御することによって、交叉角θを調整することが可能となり、加工,組み付け誤差などによる機械的な位置誤差のために、各従動軸7a、7b、7cの軸心と駆動軸15の軸心とがなす交差角度にばらつきが生じても、各従動軸7a、7b、7cの角度位置を補正することができる。
即ち、図10(A)に示すように、ストローク左端においては、リード量Lの範囲内でS1分だけ右方に転動軌跡を移動させ、1’a、1’b、1’cの軌跡D2となるようにしている。また、図10(B)に示すように、ストローク右端においては、S2分だけ左方に転動軌跡を移動させ、1’a、1’b、1’cの軌跡E2となるようにしている。この移動量S1及びS2の制御は、図11で示す接触点移動制御回路110を使用して行うことができる。
予めストローク左右端における位置検出手段16の出力データは、ROM101内にプログラム定数として記載されている。位置検出手段16の出力データに基づいて送り制御回路106による前進指令によりストローク左端方向に移動体13を移動する。ストローク左端データと比較してストローク左端で停止させる。その後、第1の押圧手段47a、47b、47cに対して、前述のように、CPU100から押圧開放量に相当する印加電圧データがD/A変換回路105に対して送出され、押圧駆動回路107を介して通電される。その後、図10(A)に示すように、入力手段103から予め入力された接触転移動量S1だけ位置検出手段16の出力データを参照しながら移動体13を右側方向に移動し、押圧手段47a、47b、47cに対してCPU100から押圧に相当する印加電圧データがD/A変換回路105に対して送出され、押圧駆動回路107を介して通電される。図9及び図10(B)では、右側ストローク端を示すが上記説明と同様となる。
以上のようにして、リード量L範囲内において、自在に接触点1a、1b、1cを移動できる。リード量Lの範囲内において駆動軸1の外周とのころがり接触点1a、1b、1cが駆動軸1外周上の略同一軌跡上を転動する軌跡を維持したまま転動軌跡を変更することができるので、固定軌跡に対して駆動軸1の磨耗を減らすことができる。
Claims (3)
- 駆動軸と、該駆動軸に対して傾き角度をもって傾斜する複数の従動軸に設けられ前記駆動軸の外周にころがり接触するローラと、前記駆動軸の回転により前記従動軸及びローラとともに移動する移動体と、該移動体を前記駆動軸の軸線方向に案内する案内機構と、前記移動体の進退位置を検出する位置検出手段と、を備えた摩擦駆動装置において、
前記各ローラの前記駆動軸外周に対する軸線方向の設置位置を、前記駆動軸外周と前記ローラの各ころがり接触点が前記駆動軸外周上の実質的に同一軌跡上を転動するように設定し、かつ、前記駆動軸が1回転した時の前記移動体のリード量の範囲内で前記ころがり接触点を前記駆動軸の軸線方向に移動させる接触点移動制御手段を備えたことを特徴とする摩擦駆動装置。 - 請求項1記載の摩擦駆動装置において、
前記接触点移動制御手段は、前記駆動軸の両端をそれぞれ支持するハウジングの端部に対向して設けられ、前記駆動軸の軸心方向へ伸縮自在な伸縮手段を有し、前記移動体の位置データに基づいて、前記伸縮手段の伸縮量を制御して前記ころがり接触点の移動量を設定することを特徴とする摩擦駆動装置。 - 請求項1又は2記載の摩擦駆動装置において、
前記接触点移動制御手段は、前記移動体のストローク端において作動し、前記駆動軸が1回転した時の移動体のリード量の範囲内において前記ころがり接触点を前記駆動軸の軸線方向に移動させることを反復するように構成したことを特徴とする摩擦駆動装置。
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