JP4850461B2 - ディジタル制御における位相進み補償装置 - Google Patents

ディジタル制御における位相進み補償装置 Download PDF

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Description

本発明は,ディジタル制御における位相進み補償装置に係り,特に離散化された信号の位相進み補償に用いて好適な技術に関する。
例えば,鉄鋼製造プロセスのような,金属材料の熱間連続圧延装置の張力制御などに代表されるアクチュエータの制御においては,負帰還ループを用いた,いわゆるフィードバック制御が大半を占めている。このフィードバック制御においては,実際のアクチュエータ(制御対象)の動作状態を検出器で検出し,この検出値(以下検出信号ともいう)と目標値との偏差を取り除くような指令を出力することによってアクチュエータの制御を行う。
このフィードバック制御を実際の製造設備へ実装するにあたり,検出器の応答速度や,計算機での処理時間及び伝送系の遅れに起因する時間的遅れが問題となる。検出信号の時間的遅れは制御系の一巡伝達関数の位相遅れとなり,そのために制御系が不安定となることがある。そのため,この位相遅れを相殺するために位相進み補償が行われる。図4を用いて従来の位相進み補償を説明する。図4(a)の41はラプラス演算子sを用いたアナログ系(連続系)の位相進み補償の伝達関数を示す。これを実装する場合のブロック図の例が42である。アナログ系にて実現した場合のボード線図の一例は図4(b)に示したようになる。ここでTは,位相進み角度が最大となる中心周波数である。なお,以下の説明では角周波数[rad/sec]を周波数と呼ぶ。
一般的に検出信号にはノイズ成分も多く含まれているため,通常の位相進み補償では上記の図4(b)で示したように高周波数側でゲインが大きくなるので高周波領域のノイズ成分を増幅してしまい,却って系が振動的となる問題がある。これに対して,例えば特許文献1にはオブザーバーを用いて制御対象の遅れを補償する方法が開示されている。
ところで,近年のディジタル制御法の発展により,アクチュエータの制御方法は従来のアナログ制御からディジタル制御への移行が急速に進んでおり,離散化された検出信号を利用してディジタル制御することが一般的となってきている。ディジタル制御における位相進み補償に関しては,例えば特許文献2にはディジタルフィルターによって位相の進みまたは遅れを低減化する装置が開示されている。しかし,特許文献2では,フィルターを構成する際の位相進みまたは遅れを低減するのみであり,既に遅れの生じている系の位相進み補償方法に関しては言及されていない。
特開2002−182705号公報 特開平10−145186号公報
例えば鉄鋼における鋼板の連続圧延設備の張力制御に用いられるようなディジタルシーケンス制御においては,制御周期Tごとにディジタル演算の1ステップを実行して処理を進める。フィードバックループ内にある位相進み補償をディジタル演算にて実現する場合,位相進み補償の入力信号をI(nT)(nは整数),出力信号をY(nT)とするとき,位相進み補償自体の負帰還ループへ返される値はY(nT)であるため,位相進み補償の負帰還ループから入力へ加算する時点で1ステップ分(すなわち1制御周期T)遅れる。位相進みを行うべき信号周波数が制御周波数((2π/T)で定義する)に比べて十分に小さい場合は,上記1ステップ分遅れは無視することができるが,位相進みを行うべき周波数が制御周波数に近い場合は無視できない。
すなわち,例えば鋼板の熱間連続圧延装置の張力制御に用いられているディジタル制御装置では,Plogramable Logic Computer(以下ではPLCと記す)を用いてディジタル信号処理によってディジタル制御することが多い。PLCの制御周期は例えば20〜50msec(制御周波数で表すと50Hz〜20Hz)であるが,近年の鋼板の高張力化によって,熱間連続圧延装置内の各圧延スタンド間における鋼板の張力変動は2〜8Hz程の高周波成分を多く含むようになってきている。そのために,20〜50msecの制御周期でのディジタル制御では,鋼板の高周波領域の張力変動を制御しきれず,圧延が不安定となり,通板性に大きな支障を来す場合がある。
これに対して既存の位相進み補償回路または特許文献1および2をPLC内の制御ロジックに適用しようとした場合,補償回路そのものに負帰還ループが存在する,即ち,出力信号Y(nT)を入力部に帰還させる必要が生じるために,負帰還ループにて返される値は定常的に1ステップ分遅れた値となる。より具体的に説明すると,図4(a)に示した従来の位相進み補償回路において,負帰還ループのブロック42の各要素を制御周期Tでディジタル信号処理によって実行するとき,負帰還ループにて差分演算部44に返される値は,係数手段の出力44から43へ正帰還する場合と比較して常に1ステップ分遅れた値となる。
図5は制御周期20msecの場合の,位相進み補償の負帰還ループ部の値が1ステップ遅れている場合の位相進み補償回路のボード線図の例である。位相進みの中心周波数が1rad/secの場合は,図5中で(a)に示したように問題なく位相進み補償が可能であるが,中心周波数が20rad/secの場合は,(b)に示したようにゲインに急峻なピークが現れ,位相も遅れに転じる。上記の例のように,進み補償回路自身の負帰還ループ部に1ステップ遅れがあると,制御信号の制御周波数に近い帯域の位相を改善することが困難である。なお,ディジタル制御の場合は制御周期以上の周波数領域は無視できることを考えると,位相進み補償回路に一次遅れ要素が存在しなくても制御ゲインが∞になることはないため,制御周期の周波数までを考えればよい。
上記の問題に鑑みて本発明は,ディジタル制御器において制御周波数に近い周波数領域,特に制御周波数の1/10程度以上の帯域の位相特性及び振幅特性を改善することが可能な位相進み補償装置を提供することを第一の目的とする。また,ディジタル制御器において演算するに際して演算負荷が軽いことを第二の目的とする。
本願第一の発明は,制御周期Tで1ステップずつ処理するディジタル制御における入力信号の位相を進める位相進み補償装置において,入力信号I(nT)に係数a1を乗算して出力する第1の乗算手段と,前記入力信号I(nT)を1ステップ遅延させた遅延信号I{(n−1)T}を出力する第1の遅延手段と,遅延信号に係数a2を乗算して出力する第2の乗算手段と,前記第1の乗算手段が出力した出力信号から,前記第2の乗算手段が出力した出力信号を減算し,当該減算結果に係数a3を乗算して出力する第3の乗算手段と,前記入力信号I(nT)と,前記第3の乗算手段が出力した出力信号とを加算し,式(1)で表される出力信号Y(nT)を出力する第1の加算手段とを備えることを特徴とする,ディジタル制御における位相進み補償装置である。
Y(nT)=I(nT)+[a1×I(nT)−a2×I{(n−1)T}]×a3 (1)
[ただし,nは整数,ai(iは1〜3)は非零の実数で1+(a1−a2)×a3>0である。]
また,第二の発明は,上記の発明の請求項1に記載のディジタル制御における位相進み補償装置において,さらに,前記入力信号I(nT)に係数a4を乗算して出力する第4の乗算手段と,前記入力信号I(nT)を1ステップ遅延させて遅延信号I{(n−1)T}を出力する第2の遅延手段と,前記第2の遅延手段が出力した遅延信号に係数a5を乗算して出力する第5の乗算手段と,前記第4の乗算手段が出力した出力信号と,前記第5の乗算手段が出力した出力信号とを加算し,信号I2(nT)として出力する第2の加算手段とを備え,前記第1の乗算手段及び前記第1の遅延手段において,前記入力信号I(nT)の代わりに前記第2の加算手段が出力した前記I2(nT)を入力して演算処理させることにより,前記式(1)で表される出力信号Y(nT)に代えて,式(2)で表される出力信号Y(nT)を出力することを特徴とする,ディジタル制御における位相進み補償装置である。
Y(nT)=I(nT)+[[a4×I(nT)+a5×I{(n−1)T}]×a1−[a4×I{(n−1)T}+a5×I{(n−2)T}]×a2]×a3 (2)
[ただし,nは整数,ai(iは1〜3)は非零の実数で1+{(a1−a2)×(a4+a5)}×a3>0である。]
本発明の位相進み補償装置は,負帰還ループを持たない機能ブロック構成を用いた装置であるため,ディジタル制御において1ステップ分の遅れがなく,従来の位相進み補償回路では補償できなかった制御周期近辺の高周波領域の位相改善が可能である。特に,ディジタル制御器において制御周波数に近い周波数領域,特に制御周波数の1/10程度以上の帯域の位相特性及び振幅特性を改善することが可能となる。また,ブロック構成が非常に単純であるため,演算量が少なくコンピュータ等で実装するときの演算処理の負荷を軽くすることができる。
以下,本発明の実施の形態を図を用いて詳細に説明する。なお,各図の符号について,対応する部分を示す符号は同一として理解し易くした。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態として,金属材料の一つである鋼板の熱間連続圧延機におけるスタンド間張力制御系に本発明を適用した場合の一例を説明する。
図1の(a)は,請求項1に記載の第一の発明の実施の形態のブロック構成の例である。F(z)はディジタル制御装置,G(s)は制御対象を表している。G(s)の出力からの負帰還ループ部に12で示された第一の発明の位相進み補償装置12を実装する。G(s)の出力信号を位相進み補償装置12の入力信号I(nT)とし,Y(nT)を位相進み補償装置12の出力信号とする。第一の実施の形態に係る位相進み補償装置12は,入力された入力信号I(nT)に対して,以下のような演算を行い,出力信号Y(nT)を出力する。まず,入力された入力信号I(nT)に係数a1を乗算(第1の乗算手段11)する。また,入力信号I(nT)を1ステップ遅延(第1の遅延手段13)させて得られる信号I{(n-1)T}に係数a2を乗算(第2の乗算手段14)する。第1の乗算手段11による乗算結果a1×I(nT)から第2の乗算手段による乗算結果a2×I{(n−1)T}を減算し,この減算結果[a1×I(nT)−a2×I{(n−1)T}]に係数a3を乗算(第3の乗算手段15)する。入力信号I(nT)と,第3の乗算手段15による乗算結果[a1×I(nT)−a2×I{(n−1)T}]×a3とを加算(第1の加算手段16)し,加算結果I(nT)+[a1×I(nT)−a2×I{(n−1)T}]×a3を出力信号Y(nT)として出力する。以上の第一の実施の形態によれば,位相進み補償装置12は,出力信号Y(nT)の演算に出力信号Y{(n-1)T}を含まない,すなわち,内部に負帰還ループを持たない位相進み補償が実現される。
本実施の形態では式(1)に示すように,出力信号Y(nT)は入力信号I(nT)の関数にて表現される。
ai(iは1〜3)は非零の実数として,
Y(nT)=I(nT)+[a1×I(nT)−a2×I{(n−1)T}]×a3 (1)
なお,上式によると,a3=0とした場合にY(nT)=I(nT)となり,本発明を実装する前の状態へ簡単に戻すことが可能である。
また,上式によると,入力信号の周波数が限りなく0に近くなった場合,I(nT)≒I{(n−1)T}となる。すなわち,低周波成分の出力ゲインは,1+(a1−a2)×a3の値に漸近する。出力0になると,Y(nT)=0となり,制御対象のフィードバック信号が0となる。また,この値が負の値になると,制御対象のフィードバック信号の符号が反転して正帰還となる。よって,1+(a1−a2)×a3>0が条件である。さらに,a1=a2とすることで,低周波成分の出力ゲインは1(0dB)となる。
仮に制御周期20(msec)(すなわち制御周波数2π/0.02(rad/sec))の場合,各係数をa1=0.9,a2=1.0,a3=1.0と設定することにより周波数位相特性はボード線図1(b)に示したようになり,周波数20(rad/sec)付近以上の位相を改善することが可能である。
そして,図1(b)の矢印で示す制御周波数17にて位相が0に収束し,高周波ゲインの増加も制御周期までを考えればよいため,位相進み補償が成り立つ。図4の従来型の位相進み補償をディジタル演算によって同じ制御周波数で実行したときのボード線図である図5(b)のような位相の遅れやゲインピークは発生しない。
上記の各係数の例の導出はディジタルでのボード線図を描写可能なソフトにて周波数位相特性を見ながら探索的に導出した。a1,a2,及びa3の値を決めるに際し,図6にはa1,a2,及びa3の値をそれぞれ変化させた場合の周波数位相特性の変化を表したものである。(a)はa2=1.0,a3=1.0として,a1の値を1.5(実線),1.0(点線),0.5(破線)と変化させた場合の周波数特性である。また,(b)はa1=1.0,a3=1.0として,a2の値を1.5(実線),1.0(点線),0.5(破線)と変化させた場合の周波数特性である。さらに,(c)はa1=1.0,a2=1.0として,a3の値を1.5(実線),1.0(点線),0.5(破線)と変化させた場合の周波数特性である。a1とa2にて入力信号の低周波成分のゲインを決定し,a3にて高周波成分のゲインを決定することが望ましい。
<第二の実施の形態>
次に,第二の実施の形態について説明する。第一の実施の形態の場合,20(rad/sec)付近の位相をさらに進めようと,位相進みの立ち上がり周波数を下げた場合,図1(b)の矢印で示す制御周波数17付近のゲインがさらに増幅されてしまい,実装する場合に高周波のノイズ成分を助長してしまう。そこで,図2(a)に示すように,上記第一の発明の位相進み補償装置を多段構成にした第二の発明の構成とすることが望ましい。
第二の実施の形態に係る位相進み補償装置22は,入力された入力信号I(nT)に対して,以下のような演算を行い,出力信号Y(nT)を出力する。まず,入力された入力信号I(nT)に係数a4を乗算(第4の乗算手段21)する。また,入力信号I(nT)を1ステップ遅延(1/Z)(第2の遅延手段23)させて得られる信号I{(n-1)T}に係数a5を乗算(第5の乗算手段24)する。第4の乗算手段21による乗算結果a4×I(nT)と,第5の乗算手段24による乗算結果a5×a5×I{(n-1)T}とを加算(第2の加算手段25)して得られた加算結果[a4×I(nT)+a5×I{(n-1)T}]を出力する。そして,位相進み補償装置22は,この加算結果[a4×I(nT)+a5×I{(n-1)T}]を入力信号として,上記の第一の実施の形態と同様の演算を行う。即ち,位相進み補償装置22は,入力された入力信号[a4×I(nT)+a5×I{(n-1)T}]に係数a1を乗算(第1の乗算手段11)する。
また,入力信号[a4×I(nT)+a5×I{(n-1)T}]を1ステップ遅延(1/Z)(第1の遅延手段13)させた信号[a4×I{(n−1)T}+a5×I{(n-2)T}]に係数a2を乗算(第2の乗算手段14)する。第1の乗算手段11による乗算結果[a4×I(nT)+a5×I{(n-1)T}]×a1から第2の乗算手段による乗算結果[a4×I{(n−1)T}+a5×I{(n-2)T}]×a2を減算し,この減算結果[[a4×I(nT)+a5×I{(n−1)T}]×a1−[a4×I{(n−1)T}+a5×I{(n−2)T}]×a2]に係数a3を乗算(第3の乗算手段15)する。入力信号I(nT)と,第3の乗算手段15による乗算結果[[a4×I(nT)+a5×I{(n−1)T}]×a1−[a4×I{(n−1)T}+a5×I{(n−2)T}]×a2]×a3とを加算(第1の加算手段16)し,加算結果I(nT)+[[a4×I(nT)+a5×I{(n−1)T}]×a1−[a4×I{(n−1)T}+a5×I{(n−2)T}]×a2]×a3を出力信号Y(nT)として出力する。以上の第二の実施の形態によれば,位相進み補償装置12は,高周波ゲインを抑えつつディジタル制御における制御周期付近の位相改善を図ることが可能となる。
上記装置構成の実施の形態は以下の式にて表されるように,入力信号I(nT)の関数にて表現される。
ai(iは1〜3)は非零の実数として,
Y(nT)=I(nT)+[[a4×I(nT)+a5×I{(n-1)T}]×a1−[a4×I{(n-1)T}+a5×I{(n−2)T}]×a2]×a3 (2)
なお,上式によると,a3=0とした場合にY(nT)=I(nT)となり,本発明を実装する前の状態へ簡単に戻すことが可能である。また,上式によると,入力信号の周波数が限りなく0に近くなった場合,I(nT)≒I{(n−1)T}≒I{(n−2)T}となる。すなわち,低周波成分の出力ゲインは1+{(a1−a2)×(a4+a5)}×a3の値に漸近する。出力ゲインが0になると,Y(nT)=0となり,制御対象のフィードバック信号が0となる。また,この値が負の値になると,制御対象のフィードバック信号の符号が反転して正帰還となる。よって,1+{(a1−a2)×(a4+a5)}×a3>0が条件である。
さらに,入力I(nT)の周波数が限りなく0に近い場合,図2の(a)の第2の加算手段25におけるゲインが1となるように,a4+a5=1とすることが望ましい。なお,a4=1,a5=0とすることで,第一の発明の形態である図1の(a)と同様の構成となる。仮に各係数をa1=0.7,a2=1.0,a3=1.0,a4=0.6,a5=0.4と設定することにより,周波数位相特性は図2(b)となり,周波数20(rad/sec)付近以上の位相を改善しつつ,高周波ゲインを抑えることが可能である。また,請求項1,2の装置共,係数a3を零とすることにより,簡単に本発明の制御ロジックを不使用とすることが可能である。
図7はa4並びにa5を変化させた場合の周波数位相特性の変化を表したものである。制御周期直近のゲイン特性を変化させるために,a1=0.7,a2=1,a3=1,で一定とし,a4=1.0,a5=0.0(実線),a4=0.5,a5=0.5(点線),a4=0.3,a5=0.7(破線)と変化させた場合である。a1,a2,a3の値の変化による周波数位相特性の変化は第一の実施の形態と同様である。a4の値を小さくすることによって,図7の矢印で示す制御周波数17近辺の高周波成分のゲインを下げることができるが,同時に位相遅れも大きくなるため,本例では実際にアクチュエータが反応できない102(rad/sec)以上の位相遅れは許容できるため,a4=0.6,a5=0.4を採用した。
図3は熱間連続圧延機のスタンド間張力ILQ制御(ILQ:Inverse Linear Quadratic)の張力検出値をフィードバックする部分に本発明の位相進み補償装置を配備した場合のシミュレーション結果である。このスタンド間張力制御方法は,圧延スタンドロール速度及びルーパ高さを制御して張力を一定に保つ制御方法であり,制御周期20msec,圧延スタンドロール速度制御用のミルモータの応答30(rad/sec),ルーパ高さ制御用モータの応答10(rad/sec)としてシミュレーションを行った。条件は,張力指令値,ルーパ高さ指令値を一定とし,外乱として一様分布ランダム外乱を張力変動として与えた。
(a)は本発明の装置不使用の場合のシミュレーション結果である。張力フィードバック信号の検出に遅れがあるために制御系が発散する場合を模擬している。チャートは上から順に,実際の張力偏差,ディジタル化された張力偏差のフィードバック信号(補償器前),ディジタル化された張力偏差のフィードバック信号(補償器後),及び実際のルーパ角度偏差である。ただし,(a)では本発明の補償器を使用していないため,上記フィードバック信号(補償器前)とフィードバック信号(補償器後)のチャートは同一となっている。(b)は,(a)の制御系の張力検出値のフィードバック部分に上述した第一の実施の形態の装置を配備した場合であり,ハンチングが収まり,安定化している。しかし,補償器前後の張力偏差のフィードバック信号を比較すると,補償器後の信号に高周波の成分が大きく乗っていることがわかる。そこで,さらに(c)は上述した第二の実施の形態の装置を配備した場合であり,(b)に比べて補償器後の張力偏差のフィードバック信号の高周波のノイズ成分の増加を軽減できている。
(a)は第一の実施の形態のディジタル制御における位相進み補償装置,(b)はそのボード線図である。 (a)は第二の実施の形態のディジタル制御における位相進み補償装置,(b)はそのボード線図である。 (a)は熱間連続圧延機におけるスタンド間ルーパ制御シミュレーション結果(位相進み補償装置なし)で,グラフ上から実績張力,フィードバックの張力信号,同左,ルーパ角度実績を表す。(b)は(a)のシミュレーションの張力フィードバック部分に第一の実施の形態の位相進み補償装置を付加した場合のシミュレーション結果で,グラフ上から実績張力,フィードバックの張力信号,進み補償回路を通した後の張力信号,ルーパ角度実績を表す。(c)は(a)のシミュレーションの張力フィードバック部分に第二の実施の形態の位相進み補償装を付加した場合のシミュレーション結果で,グラフ上から実績張力,フィードバックの張力信号,進み補償回路を通した後の張力信号,ルーパ角度実績を表す。 (a)は従来の位相進み補償装置,(b)はそのボード線図である。 従来型の負帰還ループ構成を持つ,ディジタル信号処理による位相進み補償装置の周波数位相特性の例(制御周期20(msec))で,(a)は中心周波数1(rad/sec),(b)は中心周波数20[rad/sec]のボード線図である。 第1の実施の形態において,(a)はa1を変化させた場合の周波数位相特性の変化を表した図,(b)はa2を変化させた場合の周波数位相特性の変化を表した図,(c)はa3を変化させた場合の周波数位相特性の変化を表した図である。 第2の実施の形態において,a4並びにa5を変化させた場合の周波数位相特性の変化を表した図である。
符号の説明
11 第1の乗算手段
12 第1の実施の形態の位相進み補償装置
13 第1の遅延手段
14 第2の乗算手段
15 第3の乗算手段
16 第1の加算手段
17 制御周波数
21 第4の乗算手段
22 第2の実施の形態の位相進み補償装置
23 第2の遅延手段
24 第5の乗算手段
25 第2の加算手段
41 一般的な位相進み補償の表現
42 実際に使用する際のブロック線図
43 負帰還ループの入力点
44 負帰還ループの出力点

Claims (2)

  1. 制御周期Tで1ステップずつ処理するディジタル制御における入力信号の位相を進める位相進み補償装置において,
    入力信号I(nT)に係数a1を乗算して出力する第1の乗算手段と,
    前記入力信号I(nT)を1ステップ遅延させた遅延信号I{(n−1)T}を出力する第1の遅延手段と,
    遅延信号に係数a2を乗算して出力する第2の乗算手段と,
    前記第1の乗算手段が出力した出力信号から,前記第2の乗算手段が出力した出力信号を減算し,当該減算結果に係数a3を乗算して出力する第3の乗算手段と,
    前記入力信号I(nT)と,前記第3の乗算手段が出力した出力信号とを加算し,式(1)で表される出力信号Y(nT)を出力する第1の加算手段とを備えることを特徴とする,ディジタル制御における位相進み補償装置。
    Y(nT)=I(nT)+[a1×I(nT)−a2×I{(n−1)T}]×a3 (1)
    [ただし,nは整数,ai(iは1〜3)は非零の実数で1+(a1−a2)×a3>0である。]
  2. 請求項1に記載のディジタル制御における位相進み補償装置において,
    さらに,
    前記入力信号I(nT)に係数a4を乗算して出カする第4の乗算手段と,
    前記入力信号I(nT)を1ステップ遅延させて遅延信号I{(n―1)T}を出力する第2の遅延手段と,
    前記第2の遅延手段が出力した遅延信号に係数a5を乗算して出力する第5の乗算手段と,
    前記第4の乗算手段が出力した出力信号と,前記第5の乗算手段が出力した出力信号とを加算し,信号I2(nT)として出力する第2の加算手段とを備え,
    前記第1の乗算手段及び前記第1の遅延手段において,前記入力信号I(nT)の代わりに前記第2の加算手段が出力した前記I2(nT)を入力して演算処理させることにより,前記式(1)で表される出力信号Y(nT)に代えて,式(2)で表される出力信号Y(nT)を出力することを特徴とする,ディジタル制御における位相進み補償装置。
    Y(nT)=I(nT)+[[a4×I(nT)+a5×I{(n―1)T}]×a1−[a4×I{(n―1)T}+a5×I{(n―2)T}]×a2]×a3 (2)
    [ただし,nは整数,ai(iは1〜3)は非零の実数で1+{(a1−a2)×(a4+a5)}×a3>0である。]
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