JP4849434B2 - 金属表面修飾セラミックス系スキャフォールドとその用途 - Google Patents
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(1)セラミックスからなる基材とその表面に固定化された金属粒子とを有するスキャフォールド、
(2)固定化手段が金属粒子の付着および焼結である上記(1)記載のスキャフォールド、
(3)金属粒子が貴金属粒子である、上記(1)または(2)記載のスキャフォールド、
(4)貴金属が金である、上記(3)記載のスキャフォールド、
(5)セラミックスが多孔質である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のスキャフォールド、
(6)下記の工程(a)および(b)を含む、スキャフォールドの作製方法;
(a)セラミックスからなる基材に金属粒子を付着させる工程、
(b)該基材を加熱することにより、基材と金属粒子とを焼結させる工程、
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のスキャフォールドを用いることを含む、細胞または組織の培養方法、
(8)以下の工程を含む、細胞に結合し得る物質のスクリーニング方法;
(a)被験物質を結合させた上記(1)〜(5)のいずれかに記載のスキャフォールドを、細胞と接触させる工程、
(b)上記工程(a)におけるスキャフォールドに結合した細胞数を測定し、被験物質を結合させていない上記(1)〜(5)のいずれかに記載のスキャフォールドに結合した細胞数とを比較する工程、および
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、細胞に結合し得る物質を選択する工程、
(9)被験物質がペプチドまたはタンパク質である、上記(8)記載の方法、
(10)以下の工程を含む、細胞機能を向上し得る物質のスクリーニング方法;
(a)被験物質を結合させた上記(1)〜(5)のいずれかに記載のスキャフォールドを、細胞と接触させる工程、
(b)上記工程(a)におけるスキャフォールドに結合した細胞の機能を測定し、被験物質を結合させていない上記(1)〜(5)のいずれかに記載のスキャフォールドに結合した細胞の機能と比較する工程、および
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、細胞機能を向上し得る物質を選択する工程、
(11)以下の工程を含む、試料から特定の細胞を回収する方法;
(a)特定の細胞と結合する物質を結合させた上記(1)〜(5)のいずれかに記載のスキャフォールドを、試料と接触させる工程、
(b)該スキャフォールドと該試料を分離する工程、および
(c)該スキャフォールドに結合した細胞を回収する工程。
(a)セラミックスからなる基材に金属粒子を付着させる工程、
(b)該基材を加熱することにより、基材と金属粒子とを焼結させる工程。
(a)被験物質を結合させた本発明のスキャフォールドを、細胞と接触させる工程、
(b)上記工程(a)におけるスキャフォールドに結合した細胞数を測定し、被験物質を結合させていない本発明のスキャフォールドに結合した細胞数と比較する工程、および
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、細胞に結合し得る物質を選択する工程。
(a)被験物質を結合させた本発明のスキャフォールドを、細胞と接触させる工程、
(b)上記工程(a)におけるスキャフォールドに結合した細胞の機能を測定し、被験物質を結合させていない本発明のスキャフォールドに結合した細胞の機能と比較する工程、および
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、細胞機能を向上し得る物質を選択する工程。
(a)特定の細胞と結合する物質を結合させた本発明のスキャフォールドを、試料と接触させる工程、
(b)該スキャフォールドと該試料を分離する工程、および
(c)該スキャフォールドに結合した細胞を回収する工程。
(1)0.1wt%Au-SiO2の調製(コロイド法)
培養スキャフォールドの基材である金属酸化物(セラミックス)SiO2は、ここでは透明性を示す無定形の多孔質シリカゲル(球状、粒子径64μm〜210μm:Wako製)を使用した。
SiO2は、まず始めに加熱処理として小型電気炉(マッフル炉)を用いて大気中1000℃で6時間の仮焼成を行った。次に、SiO2を1.158g秤量して、これにAuコロイド溶液(粒子径20nm:SIGMA製)を20ml及び蒸留水を加えた後、スターラーでの数時間の攪拌においてSiO2表面にAuコロイド粒子を吸着させながら蒸発乾固させた。得られた試料は、十分な乾燥及び乳鉢等で混合を行った後、小型電気炉を用いて大気中900℃で3時間の貴金属−セラミックス界面の焼結処理により、SiO2の表面上にAuナノ粒子を高分散に固定化させた。この仕様によるスキャフォールド(Au-SiO2系)の全重量に対するAuの担持重量の割合(wt%)は0.1wt%である。
(2)0.1wt%Pd-SiO2の調製(含浸法)
培養スキャフォールドの基材である金属酸化物(セラミックス)SiO2は、ここでは透明性を示す無定形の多孔質シリカゲル(球状、粒子径64μm〜210μm:Wako製)を使用した。
SiO2は(1)の方法と同様、まず始めに加熱処理として小型電気炉を用いて大気中1000℃で6時間の仮焼成を行った。次に、SiO2を1.5g秤量して、これに酢酸パラジウム((CH3COO)2Pd:Wako製(99.9%))0.0027gを塩酸で溶解した溶液を加えた後室温で数時間攪拌を行った後、溶媒を蒸発させてSiO2に酢酸パラジウムを含浸固化させた。得られた試料は、十分な乾燥及び乳鉢等で混合を行った後、小型電気炉を用いて大気中900℃で3時間の貴金属化合物の加熱分解処理および貴金属−セラミックス界面の焼結処理により、SiO2の表面上にPdナノ粒子を高分散に固定化させた。この仕様によるスキャフォールド(Pd-SiO2系)の全重量に対するPdの担持重量の割合(wt%)は0.1wt%である。
実施例1と同様の方法で製造した0.1wt%Au-SiO2スキャフォールド(0.025ml/mL)、金属酸化物のイットニア(Y2O3)を表面修飾したシリカ系スキャフォールド(0.025ml/mL)、3D calcium phosphateスキャフォールド(BDバイオサイエンス)(0.029ml/mL)、細胞培養用glass fiber(Wako)(0.025ml/mL)、CKHF (wood) cellulose(Norske Skog Canada Scale Inc.)(0.025ml/mL)、cotton cellulose(CHIYODA Co., LTD.)(0.025ml/mL)の各スキャフォールドとハムスターCHO細胞(2.5×105細胞/mL)を、それぞれ10%FBSを含むDMEM培地中で混和し、CO2インキュベーター(5% CO2/95%大気)中37℃で静置培養した。培養24時間後、各スキャフォールドに結合した細胞数をセルカウンターで測定し、それらの細胞固定能力を評価した。0.1wt%Au-SiO2スキャフォールドは、他のスキャフォールドに比し細胞固定能力が高いことが示された(図1)。
CHO細胞(2.5×105細胞/mL)と、実施例1と同様の方法で製造した種々の担持量(0.001wt%、0.01wt%、0.1wt%、1.0wt%、5.0wt%)の金表面修飾シリカ系スキャフォールド(各0.025ml/mL)を、10%FBSを含むDMEM培地中で混和し、CO2インキュベーター(5% CO2/95%大気)中37℃で静置培養した。培養24時間後に、スキャフォールドに結合した細胞数をセルカウンターにより測定することで、細胞固定能力を評価した(図2(A))。また、同様の方法でEGFP-CHO細胞(蛍光タンパク質を発現しているCHO細胞)を培養し、蛍光顕微鏡で観察した(図2(B))。
CHO細胞(2.5×105細胞/mL)と、実施例1と同様の方法で製造した0.1wt%Auおよび0.1wt%Pd表面修飾シリカ系スキャフォールド(各0.025ml/mL)を、10%FBSを含むDMEM培地中でそれぞれ混和し、CO2インキュベーター(5% CO2/95%大気)中37℃で静置培養した。培養24時間後に、スキャフォールドに結合した細胞数をセルカウンターにより測定することで、細胞固定能力を評価した(図3(A))。また、同様の方法で0.1wt%Pd-SiO2スキャフォールドを用いて、EGFP-CHO細胞(蛍光タンパク質を発現)を培養し、蛍光顕微鏡で観察した(図3(B))。Auを表面修飾したものよりも細胞固定能力は低いが、Pdを表面修飾することで多くの細胞がスキャフォールドに接着していることが観察された。
実施例1と同様の方法で製造した0.1wt%Au表面修飾シリカ系スキャフォールド(各0.025ml/mL)を、各種ペプチド(ペプチドD4、ペプチドC3、ペプチドB7、ペプチドA2:各1.0mg/mL)を含むHEPES水溶液(1.0mL)中で混和し、CO2インキュベーター(5% CO2/95%大気)中37℃で10分間インキュベートし、各種ペプチドを第三成分として表面修飾した0.1wt%Au表面修飾シリカ系スキャフォールドを得た。
CHO細胞(2.5×105細胞/mL)と上記ペプチド表面修飾スキャフォールドを10%FBSを含むDMEM培地中で混和し、CO2インキュベーター(5% CO2/95%大気)中37℃で静置培養した。培養24時間後に、スキャフォールドに結合した細胞数をセルカウンターにより測定することで細胞固定能力を評価した(図4)。図4に示すように、生体分子を第三成分として修飾することで細胞固定能力をさらに向上させることが可能であった。これはAuが生体分子(特にペプチド・タンパク質)と高い親和性を持つために、多種多様なペプチドが効率よくスキャフォールド表面に修飾され、その結果、生体に近い足場(細胞にとって最適な足場条件)を提供でき、細胞固定能力の向上につながったものと考えられる。また、図4に示した評価系は、ペプチド・タンパク質ライブラリーを利用した各種細胞・組織のためのスキャフォールドの調製並びに、各種細胞・組織と相互作用を示す生体分子のスクリーニングに応用できると考えられる。加えて、スクリーニングにより得られた細胞・組織特異的分子を第三成分として修飾したスキャフォールドを用いて、血液などの組織や細胞混合液から目的の細胞種を特異的に回収することができるものと考えられる。
ヒト正常胎児肝細胞(HC細胞)(2.5×105細胞/mL)と実施例1と同様の方法で製造した0.1wt%Au-SiO2スキャフォールド(0.025ml/mL)を、10%FBSを含むDMEM/F−12培地中で混和し、CO2インキュベーター(5% CO2/95%大気)中37℃で静地培養した。培養5日後のHC細胞を顕微鏡で観察し、スキャフォールド上でHC細胞が成育しているのを確認した(図5)。
Claims (10)
- 粒子径が10〜1000μmの球状または粒状のセラミックスに粒子径が1nm〜100nmの貴金属粒子を付着させたものを焼結してなる、球状または粒状のスキャフォールド。
- 貴金属が金である、請求項1記載のスキャフォールド。
- 貴金属がパラジウムである、請求項1記載のスキャフォールド。
- 貴金属の担持量が0.001wt%〜10wt%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
- セラミックスが多孔質である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスキャフォールドを用いることを含む、細胞または組織の培養方法。
- 以下の工程を含む、細胞に結合し得る物質のスクリーニング方法;
(a)被験物質を結合させた請求項1〜5のいずれか一項に記載のスキャフォールドを、細胞と接触させる工程、
(b)上記工程(a)におけるスキャフォールドに結合した細胞数を測定し、被験物質を結合させていない請求項1〜5のいずれか一項に記載のスキャフォールドに結合した細胞数と比較する工程、および
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、細胞に結合し得る物質を選択する工程。 - 被験物質がペプチドまたはタンパク質である、請求項7記載の方法。
- 以下の工程を含む、細胞機能を向上し得る物質のスクリーニング方法;
(a)被験物質を結合させた請求項1〜5のいずれか一項に記載のスキャフォールドを、細胞と接触させる工程、
(b)上記工程(a)におけるスキャフォールドに結合した細胞の機能を測定し、被験物質を結合させていない請求項1〜5のいずれか一項に記載のスキャフォールドに結合した細胞の機能と比較する工程、および
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、細胞機能を向上し得る物質を選択する工程。 - 以下の工程を含む、試料から特定の細胞を回収する方法;
(a)特定の細胞と結合する物質を結合させた請求項1〜5のいずれか一項に記載のスキャフォールドを、試料と接触させる工程、
(b)該スキャフォールドと該試料を分離する工程、および
(c)該スキャフォールドに結合した細胞を回収する工程。
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