JP4849418B2 - セラミックフィルタエレメントの製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、内燃機関用排気ガスフィルタにおけるセラミックフィルタエレメントの製造方法に関する。

特許文献１（特開昭６３−１３４０２０号公報）の要約書に、波状のフィルタシートを渦巻き状に巻いて形成した内燃機関の排気ガスフィルタ用のフィルタエレメントが開示されている。このフィルタシートを製作するには、耐熱性無機繊維を水に懸濁させたスラリにセラミック原料粉末を混合し、シートに抄造する。多数の重なり合うシートが所要のフィルタ体の形状に巻かれるが、その際隣り合うフィルタシートによってハニカム状の流路が形成される。そして、該フィルタ体は高温で焼成される。

この製造方法の欠点は、比較的に手間がかかることである。というのは、まず第１の工程で耐熱性無機繊維の懸濁液とセラミック原料粉末とからフィルタシートを製作しなければならず、ついで第２の工程で所要のフィルタ体形状に形成した後に、第３の工程で焼結されるからである。さらなる欠点は、完成したフィルタ体において無機繊維は濾過性能を減ずることがあることである。
特開昭６３−１３４０２０号公報

本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、製造が容易で、濾過性能に優れた内燃機関の排気ガスフィルタ用のセラミックフィルタエレメントを提供することを目的とする。この種のフィルタエレメントは、高い安定性と耐熱性を有することが必要であり、特に多様な形状に形成可能でなければならない。

この課題は、本発明の請求項１に記載の特徴によって解決される。そして、目的にかなう、さらなる方法が付属項に記載されている。

本発明による内燃機関の排気ガスフィルタ用のセラミックフィルタの製造方法においては、第１の工程で可燃性で非セラミックの担持シートにセラミックスラッジが浸透される。これらの非セラミック担持シートには有機材料あるいはまた無機材料を使用することができる。担持シートとしては紙を用いるのが特に有利である。

続く第２の工程では、セラミックスラッジが浸透され、所要の形状に形成された担持シートは、該担持シートの材料が焼失されて堅固なフィルタ体が形成されるまで焼成される。セラミックスラッジが担持シートに完全に浸透しているので、担持シートの材料が焼失した後には、担持シートの幾何学形状を保つセラミック材料からなる完全なコピーが残る。

この方法は、一つにはセラミックフィルタエレメントの製造には基本的に２つの工程のみで足りる点で優れている。他には、担持シートは所要の幾何学構成に、例えば排気ガスの流路を形成するためにうねり状あるいは波状にしておくことができるので、セラミックスラッジを浸透させた後にさらに形状を与える必要がなくなる点で有利である。最後に、セラミックスラッジを浸透させた後にフィルタ体は幾何学形状を保持しており、したがって硬化および焼成後にさらに加工を施すことなく所定の形状のフィルタエレメントが得られる、あるいは所定の形状が保持されるので有利である。そのほか、該フィルタエレメントは、エレメントの清浄化に影響する可能性のある物質を含むことなく、原則的にセラミック材料のみで構成することで足りるので、フィルタエレメントの清浄化機能が改善される。

このようにして製作されたフィルタエレメントは、特にディーゼル煤煙フィルタおよび触媒担持体として使用できる。

さらに有利な実施形態では、担持シートへのセラミックスラッジと触媒物質の浸透を一工程で行うことができるようにするために、セラミックスラッジに触媒物質を添加する。

セラミックスラッジの浸透に際して望ましくない変形を避けるために欠くことができない担持シートの安定性を確保するために、担持シートに支持体を設けること、例えば担持シートに支持格子を取り付けるのがよい。この支持体自体はフィルタ体の焼成の際に焼失する可燃性の材料とすることができる。また、支持体をセラミック材料製として、フィルタ完成体に該支持体が残り、濾過に参加するようにすることも可能である。最後に、前記支持体を、例えば加熱線形状の加熱用部材として形成してフィルタ体の焼成後にフィルタ体に残り、フィルタエレメントの定期的再生のために加熱エレメントを加熱するようにすることも可能である。

フィルタ体をその断面を波状構造にしてフィルタ体の軸方向に延びる清浄化すべき排気ガスの流路を形成するために、２枚の重なり合う担持シートが接合されるが、その際両担持シートの少なくとも１枚は前記流路を形成するためにうねり状あるいは波状に形成される。重なり合う担持シートの接合はセラミックスラッジを浸透させる前に行うのが得策である。２枚の重なり合う担持シートは略円筒体のフィルタ体に巻き上げられて巻きフィルタに形成される。前記流路の一正面側を閉鎖して排気ガスがフィルタを半径方向に流過させるために、セラミック接着剤を重なり合う担持シートの前記流路の一正面領域に付着するのが有効である。該セラミック接着剤は焼成により硬化し、前記流路の前記一正面部分
に閉鎖栓として残存する。

重なり合う担持シートを焼成前に所要の形状にするために、これら担持シートの硬化時に少なくとも広範囲に亘って残留物することなしに焼失してしまう接着剤で接合するのが有利である。接着剤としては、例えばポリマー接着剤が考慮される。

別の有効な実施形態では、硬化後の前記フィルタ体の多孔性細孔の大きさが皮膜形成により、例えばゾル−ゲル技法により変えられる。ラッカー形態のゾルが、例えば浸漬、吹き付け、あるいは遠心力による従来公知の方法で表面に塗布さて層が形成される。該ゲル層が続く過程でセラミック層に焼結あるいは硬化される。

さらなる利点および目的にかなう実施形態が付属項、および図面と符号により読み取ることができる。

図１に示すように、内燃機関の排気ガスフィルタ用のフィルタエレメントを製作するために、２枚の担持シート１および２が重ねて置かれ、セラミック接着剤５で互いに接合される。これらの担持シート１および２は、ペーパシートとして形成され、セルロースからなるが、その他の可燃性の有機あるいは無機物質も考慮の対象になる。下側の担持シート２は波状に形成されることにより流路３が形成される。上側に重ねられる担持シート１は平滑面状に形成される。両担持シートは、漏斗４から流路３の正面側領域に供給される接着剤５により互いに接合され、さらに該接着剤は流路３の一端側を閉鎖する追加機能を果たす。

セラミック接着剤を使用すると、接着剤がつづく焼成において焼失されることがなく、流路３が確実に閉鎖されたままに保たれるという利点がある。この流路の一端側を閉鎖する追加機能を要せず単に両担持シート１および２を接合するだけの場合には、両担持シート間の相対位置を確保し焼成後には完全に消失される可燃性の接着剤、例えばポリマー接着剤が考えられる。

両担持シート１および２は、図２に示すように渦巻状に巻かれて最終形状に形成される。この形成は、好ましくはセラミックスラッジを浸透させて担持シートを硬化、焼成する前に行われる。場合によっては、先ず互いに接合された両担持シートにセラミックスラッジをしみ込ませ、その後にフィルタエレメントの完成形状に巻回し、最後に硬化、焼成を行ってもよい。

さらに、図３の正面図から分かるように、巻回されたフィルタエレメントの安定性を向上するために、中心の巻回始端部７に気密剤や接着剤などを注入するのが特に有効である。

スラッジ状のセラミック材としては、酸化アルミニューム、コージライト、ムライト、あるいはシリコンカーバイドを用いることができる。さらに有利な実施形態では、フィルタエレメントのエレメント再生を可能とするために、フィルタエレメント６に加熱用部材、例えば加熱線が取り付けられる。

２枚の担持シートを示し、これらの担持シートはセラミックスラッジが浸透され接着剤あるいは気密材により互いに接合されることによりこれら担持シートの間に流路が形成される。 図１の接合された両担持シートが渦巻状に巻かれて円筒体に巻き上げられたフィルタエレメントの斜視図である。 フィルタエレメントの正面図である。

Claims (11)

1. 先ず可燃性の非セラミック製の２枚の担持シート（１、２）をセラミック接着剤（５）で接合し、一端側が前記セラミック接着剤（５）で閉鎖された流路（３）を前記担持シート（１、２）間に形成した後、前記担持シート（１、２）にセラミックスラッジを浸透させ、ついで所要の形状において前記担持シート（１、２）が焼失するまで焼成して強固なフィルタ体を形成する内燃機関排気ガスフィルタ用のフィルタエレメント（６）の製造方法。
2. 前記セラミックスラッジに触媒物質を混入することを特徴とする請求項１記載のフィルタエレメント製造方法。
3. 前記担持シート（１、２）は有機材料、例えばセルロースからなることを特徴とする請求項１あるいは２記載のフィルタエレメント製造方法。
4. 前記担持シート（１、２）は合成材料からなることを特徴とする請求項１あるいは２記載のフィルタエレメント製造方法。
5. 前記担持シート（１、２）は、セラミックスラッジを浸透させる前に前記所要の形状に成形され、浸透の間および続く焼成の間、前記所要の形状が保持されることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のフィルタエレメント製造方法。
6. 前記支持シート（１、２）は支持体により支持されており、該支持体によって、セラミックスラッジを浸透させる際の前記担持シート（１、２）の変形を防止して、前記担持シート（１、２）を前記所要の形状に保持することを特徴とする請求項５に記載のフィルタエレメント製造方法。
7. 前記支持体は、前記担持シート（１、２）に取り付けられたセラミック材料からなる支持格子であり、焼成の後も前記フィルタ体に残存して濾過に寄与することを特徴とする請求項６に記載のフィルタエレメント製造方法。
8. 前記支持体を電導体の加熱部材として構成したことを特徴とする請求項６に記載のフィルタエレメント製造方法。
9. 前記スラッジのセラミック材としては、酸化アルミニューム、コージライト、ムライト、あるいはシリコンカーバイドが用いられることを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１項に記載のフィルタエレメント製造方法。
10. 硬化後の前記フィルタ体の多孔性細孔の大きさが皮膜形成により、例えばゾル−ゲル技法により変えられることを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載のフィルタエレメント製造方法。
11. 前記担持シート（１、２）は、セラミックスラッジを浸透させる前に、略円筒体に巻き上げられ巻きフィルタに成形され、前記流路（３）は前記巻きフィルタの軸方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項５に記載のフィルタエレメント製造方法。

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