従来より使用されている固体撮像装置には、光電変換素子で発生した光電荷を読み出す手段によってCCD型とCMOS型に大きく分けられる。CCD型は光電荷をポテンシャルの井戸に蓄積しつつ、転送するようになっており、又、CMOS型はフォトダイオードのpn接合容量に蓄積した電荷をMOSトランジスタを通して読み出すようになっている。そして、CMOS型の固体撮像装置について、本出願人は、そのダイナミックレンジを広くするために対数変換動作を行う構成とした固体撮像装置や、線形変換動作と対数変換動作とを切り換えることが可能な固体撮像装置を提案している(特許文献1、特許文献2参照)。
このような固体撮像装置は、同一行に配置された各画素から出力される画像信号を電圧信号として各行毎にサンプリングするとともにサンプリングされた1行分の画像信号を各列毎に装置外部に出力するCDS回路が備えられる。即ち、CDS回路では、1行分の画素からの画像信号が読み出されてサンプリングされるととともに、この1行分の各画素の感度バラツキを表すノイズ信号が読み出されてサンプリングされる。そして、このサンプリングされた画像信号及びノイズ信号が1画素毎に読み出されて、ノイズ除去された画像信号が装置外部に出力される。
このようなCDS回路を備えた固体撮像装置の一般的な構成を、図1に示す。図1の固体撮像装置は、行列配置(マトリクス配置)された画素G11〜Gmnを備えるとともに、この画素G11〜Gmnに垂直走査回路1が行(ライン)3−1〜3−nを通じて信号を与えることで、垂直方向に順次走査していく。又、水平走査回路2によって、読み出し回路5−1〜5−mを駆動させることで、画素から出力信号線4−1〜4−mに導出された光電変換信号を画素ごとに水平方向に順次読み出す。尚、出力信号線4−1〜4−mそれぞれには、定電流源6−1〜6−mが接続されているため、画素G11〜Gmnからの光電変換信号が電圧信号として出力される。
そして、この読み出し回路5−1〜5−mでは、1行分における各画素から出力された画像信号(撮像情報とノイズ成分とを含む電気信号)とノイズ信号(ノイズ成分から成る電気信号)とがサンプルホールドされる。その後、読み出し回路5−1〜5−mが順番に、サンプルホールドした画像信号とノイズ信号とを補正回路7に送出する。こうして、補正回路7では、読み出し回路5−a(a:1≦a≦mの自然数)より画像信号が与えられるとき、この画像信号に対して、読み出し回路5−aより与えられたノイズ信号に基づいて補正処理を施して、ノイズ除去した画像信号を外部に出力する。このとき、読み出し回路5−1〜5−m及び補正回路7によってCDS回路が構成される。
図1の固体撮像装置において、従来の読み出し回路5(図1の読み出し回路5−1〜5−mに相当する)が、図12のように、出力信号線4(図1の出力信号線4−1〜4−mに相当する)に一端が接続されるキャパシタC1と、キャパシタC1の他端に一端が接続されるキャパシタC2と、キャパシタC1,C2の接続ノードにソースが接続されたMOSトランジスタT16と、MOSトランジスタT16のソース及びドレインそれぞれにゲート及びドレインそれぞれが接続されたMOSトランジスタT11と、MOSトランジスタT11のドレインにドレインが接続されたMOSトランジスタT12a,T12bと、MOSトランジスタT12a,T12bそれぞれのソースに一端が接続されたキャパシタC3a,C3bと、MOSトランジスタT12a,T12bのソースにゲートが接続されたMOSトランジスタT13a,T13bと、MOSトランジスタT13a,T13bのソースにドレインが接続されたMOSトランジスタT14a,T14bと、キャパシタC2の他端にドレインが接続されたMOSトランジスタT17と、MOSトランジスタT17のドレインにドレインが接続されたMOSトランジスタT15と、MOSトランジスタT16,T11,T12a,T12bのドレインの接続ノードに一端が接続された定電流源20と、を備える。
又、MOSトランジスタT13a,T13bのドレインと定電流源20の他端に直流電圧VDDが印加されるとともに、キャパシタC3a,C3bの他端とMOSトランジスタT11のソースに直流電圧VSSが印加される。そして、MOSトランジスタT17のソースに直流電圧Vrefが印加され、MOSトランジスタT15のソースがMOSトランジスタT12a,T12bのドレインの接続ノードに接続される。又、MOSトランジスタT12a,T16,T17のそれぞれのゲートに信号φVr1,φVr3,φVr4が入力され、MOSトランジスタT12b,T15のそれぞれのゲートに信号φVs1,φVs10が入力される。更に、MOSトランジスタT14a,T14bのゲートに信号φH1〜φHmのいずれかが与えられる。
尚、信号φVr1,φVr3,φVr4,φVs1,φVs10が垂直走査回路1より与えられるとともに、信号φH1〜φHmが水平走査回路2より与えられる。又、MOSトランジスタT11,T12a,T12b,T13a,T13b,T14a,T14b,T15〜T17はそれぞれ、バックゲートに直流電圧VSSが印加されたNチャネルのMOSトランジスタである。
又、補正回路7は、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれに備えられるMOSトランジスタT14a,T14bそれぞれのソースに一端が接続される定電流源23a,23bと、MOSトランジスタT14aのソースに非反転入力端子が接続されるとともにMOSトランジスタT14bのソースに反転入力端子が接続された差動増幅回路22と、を備える。この補正回路7において、定電流源23a,23bの他端にはが印加され、MOSトランジスタT13a,T13bに対して定電流負荷として動作する。
このような構成の読み出し回路5−1〜5−mと補正回路7によってCDS回路が構成される固体撮像装置によると、まず、画素G1b〜Gmb(b:1≦b≦nの自然数)から各画素の感度バラツキを示すノイズ信号が出力されるとき、まず、リセット動作がなされて出力信号線4にノイズ信号となるリセット電圧Vnが現れる。その後、入射光量に対して光電変換された値を示す画像信号となる信号電圧Vsnが出力信号線4に現れる。このとき、実際に入射された入射光量に応じた光電変換信号電圧Vsが電圧値Vsn−Vnとなる。この電圧値Vsn−Vnによる光電変換信号電圧Vsがノイズ除去された画像信号に相当する。
画素G1b〜Gmbがこのように動作しているとき、読み出し回路5−1〜5−mに垂直走査回路1からの信号φVr1,φVr3,φVr4,φVs1,φVs10が同時に与えられる。この信号φVr1,φVr3,φVr4,φVs1,φVs10の変遷を、図13のタイミングチャートに示す。尚、図13のタイミングチャートには、画素Gab(a:1≦a≦mの自然数)に接続された出力信号線4−aに現れる電圧値、読み出し回路5−aに与える信号φHa、読み出し回路5−aのMOSトランジスタT11のドレイン及びMOSトランジスタT13a,13bのソースに現れる電圧値も示す。
まず、画素G1b〜Gmbがリセット動作を行うため、読み出し回路5−1〜5−mに与えられる信号φVr1,φVs1,φVr3,φVr4がハイとされて、MOSトランジスタT12a,T12b,T16,T17がONとされる。これにより、MOSトランジスタT11のドレイン及びゲートが電気的に接続されて自己バイアスがかかった状態となるとともに、キャパシタC2の他端には、MOSトランジスタT17を介して基準電圧Vrefが印加される。このとき、MOSトランジスタT15がOFFの状態である。そして、画素G1b〜Gmbにおいてリセット動作が行われて、出力信号線4にノイズ信号となるリセット電圧Vnが現れる。そのため、キャパシタC2の両端には、MOSトランジスタT11のドレイン電圧Vdrと基準電圧Vrefとの差が印加された状態となる。
尚、MOSトランジスタT11を、ゲートを入力とするとともにドレインを出力とする増幅率Aの増幅回路Eとするとともに、MOSトランジスタT16をスイッチS1、MOSトランジスタT17をスイッチS2、MOSトランジスタT15をスイッチS3とした場合、MOSトランジスタT11とキャパシタC1,C2による反転増幅回路が図14のような構成となる。よって、リセット動作を行うときは、図14(a)に示すように、スイッチS1,S2がONとなるとともに、スイッチS3がOFFとなる。これにより、増幅回路Eの入出力が電気的に接続されるとともに、キャパシタC2に基準電圧Vrefが印加される。又、増幅回路Eの入力側には、容量値Cinとなる入力容量Cが形成される。更に、キャパシタC1,C2の容量値をCa,Cbとする。
よって、出力信号線4にノイズ信号となるリセット電圧Vnが現れたときに、増幅回路E及び出力信号線4にランダムノイズが現れるため、キャパシタC1の両端にはノイズ電圧v1,v2が発生することとなる。これにより、増幅回路Eの入力(キャパシタC1,C2の接続ノード)には、ノイズ電圧v1,v2に基づくノイズ電荷Qn(=Ca×(v2−v1)+(Cb+Cin)×v2)が生じる。
このようにして、ノイズ信号が出力信号線4に与えられた後、信号φVr3をローとしてMOSトランジスタT16をOFFとする。これにより、MOSトランジスタT11のゲート・ドレイン間の電気的な接続が切断される。即ち、図14(b)に示すように、スイッチS1がOFFとなって、増幅回路Eの入出力間における電気的な接続が切断される。よって、増幅回路Eの入力(キャパシタC1,C2の接続ノード)には、図14(a)の接続関係で生じたノイズ電荷Qnが残留することとなる。
その後、信号φVr4をローとしてMOSトランジスタT17をOFFとすることで、キャパシタC2に対する基準電圧Vrefとの接続を切断した後、信号φVs10をハイとしてMOSトランジスタT15をONとする。これにより、MOSトランジスタT11のドレインとキャパシタC2とが電気的に接続され、MOSトランジスタT11のドレイン・ゲート間にキャパシタC2が接続された負帰還回路が構成される。よって、MOSトランジスタT11とキャパシタC1,C2とによって、反転増幅回路が構成されることとなる。
このMOSトランジスタT11による負帰還回路のループゲインが十分に大きいと、MOTトランジスタT11のゲート電圧は電圧Vdrのままでほとんど不変の状態となる。よって、キャパシタC2の他端には基準電圧Vrefが保持された状態となるため、MOSトランジスタT11のドレインには基準電圧Vrefが現れる。
このとき、MOSトランジスタT11のゲート・ソース間の動作電圧(閾値電圧)とは無関係に、MOSトランジスタT13のソースに現れる基準電圧Vrefが設定される。そのため、各列毎において、MOSトランジスタT11の閾値電圧にバラツキが生じても、出力となるMOSトランジスタT11のドレインに現れる電圧にバラツキを生じさせることがない。これにより、MOSトランジスタT11の閾値電圧による縦筋FPN(固定パターンノイズ)の発生を抑制することができる。
又、このように反転増幅回路が形成されるときの等価回路が、図14(c)のように表される。即ち、図14(b)のような接続関係から、スイッチS2がOFFとなるとともにスイッチS3がONされて、基準電圧Vrefとの接続が切断されたキャパシタC2が増幅回路Eの入出力間に接続されて、負帰還ループが形成される。これにより、増幅回路Eの入力側に残留しているノイズ電荷Qnの影響が増幅回路Eの出力側に現れる。このとき、増幅回路EのゲインAが十分に大きいものとされるため、増幅回路Eの出力側に現れるノイズ電圧Vqnが電圧値(−Qn/Cb)となる。
これにより、MOSトランジスタT11のドレイン電圧は、基準電圧Vrefにノイズ電圧Vqnが重畳された電圧値Va(=Vref+Vqn)となる。その後、信号φVr1をローとしてMOSトランジスタT12aがOFFとなると、キャパシタC3aによってMOSトランジスタT11のドレイン電圧となる電圧値Vaがサンプルホールドされる。そして、画素G1b〜Gmbにおいて光電変換されて得られた光電荷の転送が成されることで、画像信号となる信号電圧Vsnが出力信号線4に現れる。
今、キャパシタC1,C2とMOSトランジスタT11とで形成される反転型増幅回路は、そのゲインが(−Ca/Cb)となる。そして、キャパシタC1での電圧の変化分となる電圧Vs(=Vsn−Vn)が反転増幅されて、キャパシタC2での電圧の変化分となる電圧Vas(=Vs×(−Ca/Cb))が得られる。これにより、MOSトランジスタT11のドレイン電圧が電圧値Vb(=Va+Vas=Vref+Vqn+Vs×(−Ca/Cb))となる。
そして、信号φVs1をローとしてMOSトランジスタT12bがOFFとなると、キャパシタC3bによってMOSトランジスタT11のドレイン電圧となる電圧値Vbがサンプルホールドされる。その後、信号φVs10をローとしてMOSトランジスタT15をOFFとすることによって、MOSトランジスタT13a,T13bとキャパシタC3a,C3bとで構成されるサンプルホールド回路と、MOSトランジスタT11とキャパシタC1,C2とで構成される反転型増幅回路との電気的な接続を切断する。
このようにして、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれにおいて、キャパシタC3aにノイズ信号に応じた電圧がサンプルホールドされるとともに、キャパシタC3bに画像信号に応じた電圧がサンプルホールドされる。その後、信号φH1,φH2,…,φHmの順にハイとされて、読み出し回路5−1〜5−mにおけるMOSトランジスタT14a,T14bが、5−1,5−2,…,5−mの順にONとされる。
これにより、画素G1b〜Gmbの画像信号及びノイズ信号に応じた電圧信号が各画素毎に補正回路7の差動増幅回路22に入力される。そして、差動増幅回路22において、画像信号とノイズ信号との減算処理を行い、ノイズ除去された画像信号を、画素G1b,G2b,…,Gmbの順に出力する。この差動増幅回路22における減算処理によって、ノイズ信号に応じた電圧値Vaと画像信号に応じた電圧値Vbそれぞれに含まれる電圧成分Vref+Vqnが消去される。これにより、減算処理後の画像信号において、ノイズ電荷Qnと基準電圧Vrefを除去することができるため、ノイズ電荷Qnによる各列毎の信号のバラツキを低減し、縦筋FPNを抑制することができる。
又、読み出し回路5−1〜5−mの別の構成として、図15に示すように、図14に示す増幅回路E及びキャパシタC1,C2による反転増幅回路の後段に、差動型の増幅回路Fによるクランプ回路が設けられた構成とするものもある。この増幅回路Fは、反転入力端子に一端が増幅回路Eの出力が接続されたキャパシタC4aの他端が接続され、非反転入力端子に一端に基準電圧Vrefが印加されたキャパシタC4bの他端が接続される。そして、増幅回路Fの反転入力端子と非反転出力端子との間に、並列に接続されたスイッチS4a及びキャパシタC5aが接続され、増幅回路Fの非反転入力端子と反転出力端子との間に、並列に接続されたスイッチS4b及びキャパシタC5bが接続される。
このスイッチS4a,S4b、キャパシタC4a,C4b,C5a,C5b、及び増幅回路Fによってクランプ回路が構成される。尚、増幅回路Eを備える反転増幅回路が前段のクランプ回路となる。又、キャパシタC4a,C4bの容量値をCcとし、キャパシタC5a,C5bの容量値をCdとすると、増幅回路Fを備える後段のクランプ回路におけるゲインが(−Cc/Cd)となる。以下では、増幅回路Eを備える反転増幅回路におけるゲイン(−Ca/Cb)が十分に大きいものとすることで、容量値Cc,Cdを等しい値とする。即ち、増幅回路Fを備える後段のクランプ回路におけるゲインが−1であるものとする。
このように増幅回路Fによるクランプ回路を備えるとき、まず、リセットした後に、反転増幅回路側で図14(c)のように、スイッチS1,S2をOFFとするとともに、スイッチS3をONとして、電圧値Vnとなるノイズ信号が出力信号線4を介してキャパシタC1の一端に与えられる。このとき、後段のクランプ回路側では、図15(a)のように、スイッチS4a,S4bがONとされ、増幅回路Fの差動入力端子と差動出力端子のそれぞれが接続された状態となる。これにより、増幅回路Eの出力とキャパシタC4aとの接続ノードに電圧Va(=Vref+Vqn)が現れるが、このノイズ電圧Vqnの大きさに関係なく、増幅回路Fの差動出力端子に現れる電圧が0となる。
その後、電圧値Vsnとなる画像信号が出力信号線4を介してキャパシタC1の一端に与えられるとき、後段のクランプ回路側では、図15(b)のように、スイッチS4a,S4bがOFFとされ、増幅回路Fの差動入力端子と差動出力端子のそれぞれの接続が切断された状態となる。これにより、増幅回路Fを備えるクランプ回路が反転増幅回路として動作する。よって、増幅回路Eの出力とキャパシタC4aとの接続ノードに電圧Vb(=Vref+Vqn+Vas)が現れるが、ノイズ信号が出力信号線4より与えられたときに増幅回路Fからの差動出力電圧が0であることから、その差動出力電圧が−Vasが出力されることとなる。このように、増幅回路Fによるクランプ回路によりノイズ電圧Vqnがキャンセルされ、各列毎の特性のバラツキによる縦筋FPNを防ぐことができる。
特開平11−313257号公報
特開2002−77733号公報
<固体撮像装置の構成>
まず、本発明の各実施形態における固体撮像装置の構成の概略について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の各実施形態において共通となる二次元のMOS型固体撮像装置(以下、「エリアセンサ」とする)の構成の概略を示すブロック図である。
[背景技術]で説明したように、図1に示す固体撮像装置は、画像信号及びノイズ信号を出力する画素G11〜Gmnと、画素G11〜Gmnを行毎に信号を与えて動作させる垂直走査回路1と、画素G11〜Gmnからの画像信号及びノイズ信号を各列毎に出力されるように動作する水平走査回路2と、垂直走査回路1から行単位で画素に信号を与えるためのライン3−1〜3−nと、画素G11〜Gmnからの画像信号及びノイズ信号が出力される出力信号線4−1〜4−mと、画素G11〜Gmnからの画像信号及びノイズ信号をサンプルホールドする読み出し回路5−1〜5−mと、出力信号線4−1〜4−mそれぞれに接続された定電流負荷となる定電流源6−1〜6−mと、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれでサンプルホールドされた画像信号とノイズ信号とが与えられて画像信号のノイズ除去を行う補正回路7と、を備える。尚、後述するように、ライン3−1〜3−nはそれぞれ、複数の信号線によって構成される。
このような固体撮像装置において、画素Gabからの出力となる画像信号及びノイズ信号が、それぞれ、出力信号線4−aを介して出力されるとともに、この出力信号線4−aに接続された定電流源6−aによって電圧増幅される。即ち、出力信号線4−aに接続された定電流源6−aが定電流負荷として働く。又、画素G11〜Gmnには、後述するように、これらの画素で発生した光電荷に基づく信号を出力するMOSトランジスタT3が設けられている。このMOSトランジスタT3と定電流源6−aとが出力信号線4−aを介して接続されるとき、定電流源6−aは定電流負荷と等価であり、このMOSトランジスタT3と定電流源6−aとによる回路はソースフォロワ型の増幅回路となる。
このようにソースフォロワ型の増幅回路を構成することにより、出力信号線4−aよりこの増幅がない場合に比べて大きな信号を増幅して出力することができる。従って、画素がダイナミックレンジ拡大のために感光素子から発生する光電流を自然対数的に変換しているような場合は、そのままでは出力信号が小さいが、本増幅回路を設けることにより結果として増幅回路がない場合に比べて大きな信号が得られるため、後続の信号処理回路(図示せず)での処理が容易になる。又、増幅回路の負荷抵抗部分を構成する定電流源6−1〜6−mを画素内に設けずに、列方向に配置された複数の画素が接続される出力信号線4−1〜4−m毎に設けることにより、定電流負荷の数を低減でき、半導体チップ上で増幅回路が占める面積を少なくできる。
そして、画素Gabから出力された画像信号及びノイズ信号が順番に読み出し回路5−aに送出されるとともに、この読み出し回路5−aにおいて、送出された画像信号及びノイズ信号がサンプルホールドされる。その後、読み出し回路5−aより、サンプルホールドされた画像信号が補正回路7に送出された後、同じくサンプルホールドされたノイズ信号が補正回路7に送出される。補正回路7では、読み出し回路5−aより与えられた画像信号を、同じく読み出し回路5−aより与えられたノイズ信号に基づいて補正処理して、ノイズ除去した映像信号を外部に出力する。
図1の各画素が備える画素回路の一例を図2に示す。図2に示す画素は、カソードに直流電圧VSSが印加されたフォトダイオードPDのアノードにMOSトランジスタT1のソースが接続され、このMOSトランジスタT1のドレインにMOSトランジスタT4のソース及びMOSトランジスタT2のゲートが接続される。そして、MOSトランジスタT2のソースにMOSトランジスタT3のドレインが接続されるとともに、MOSトランジスタT3のソースが出力信号線4(図1の出力信号線4−1〜4−mに相当する)に接続される。
MOSトランジスタT2,T4のドレインには、直流電圧VDDが印加される。そして、MOSトランジスタT1,T3,T4それぞれのゲートには、垂直走査回路1からの信号線31〜33のそれぞれとソースが接続されたMOSトランジスタT5〜T7のドレインが接続される。このMOSトランジスタT5〜T7のゲートには、信号φXが与えられる。よって、信号φXがハイとされて、MOSトランジスタT5〜T7それぞれがONとなることで、信号線31〜33(この3本の信号線31〜33が図1の信号線3−1〜3−nそれぞれに相当する)より信号φTX,φV,φRSがMOSトランジスタT1,T3,T4それぞれのゲートに与えられる。このMOSトランジスタT1〜T7は、バックゲートが接地された(直流電圧VSSを印加)NチャネルのMOSトランジスタである。尚、MOSトランジスタT1〜T7をPチャネルのMOSトランジスタとするときは、電源電圧が印加される。
このように構成される画素G11〜Gmnは、図3のタイミングチャートに従って動作することで、画像信号及びノイズ信号を出力する。尚、図3のタイミングチャートは、1水平期間の信号の状態を示すものであるとともに、出力信号線4−aに現れる電圧値をも示す。今、b行目の各画素G1b〜Gmbがノイズ信号及び画像信号を出力するとき、垂直走査回路2より図1の信号線3−bに相当する信号線31〜33の信号φTX,φV,φRSを有効とするため、垂直走査回路2よりMOSトランジスタT5〜T7に与える信号φXをハイとする。よって、MOSトランジスタT5〜T7がONとなり、信号線31〜33それぞれとMOSトランジスタT1,T3,T4のゲートが電気的に接続される。
そして、ハイとなる信号φVを信号線32及びMOSトランジスタT6を通じてMOSトランジスタT3のゲートに与えることで、MOSトランジスタT3をONとする。尚、フォトダイオードPDでは、光電変換動作を行うことによって、その露光量に応じた電荷を発生して蓄積する。その後、ハイとなる信号φRSを信号線33及びMOSトランジスタT7を通じてMOSトランジスタT4のゲートに与えることで、MOSトランジスタT4をONとする。よって、MOSトランジスタT2のゲートにおいて蓄電された電荷が再結合されて、MOSトランジスタT2のゲート電圧がリセットされる。
このとき、リセットされたMOSトランジスタT2のゲート電圧に応じたドレイン電流がMOSトランジスタT2に流れる。そのため、リセットされたMOSトランジスタT2のゲート電圧に比例した電圧信号となるノイズ信号が出力信号線4−1〜4−mに現れる。その後、信号φRSをローとしてMOSトランジスタT4をOFFとした後、次に、ハイとなる信号φTXを信号線31及びMOSトランジスタT5を通じてMOSトランジスタT1のゲートに与えることでMOSトランジスタT1をONとするまで、出力信号線4−1〜4−mにはノイズ信号であるリセット電圧(出力信号線4−aにおける電圧Vnに相当)が現れる。尚、このリセット電圧となるノイズ信号は、信号φRSをローとした直後に現れる。
そして、信号φTXをハイとして、MOSトランジスタT1がONとされると、MOSトランジスタT2のゲートにフォトダイオードPDに蓄電されていた電荷が転送される。よって、信号φTXをローとしてMOSトランジスタT1をOFFとした後も、MOSトランジスタT2のゲートにフォトダイオードPDで光電変換されて得られた電荷が蓄積された状態となるため、MOSトランジスタT2のゲート電圧がフォトダイオードPDにおける露光量に応じた電圧となる。
よって、MOSトランジスタT2に保持されたゲート電圧に応じたドレイン電流が流れるため、フォトダイオードPDにおける露光量に線形的に比例する信号電圧(出力信号線4−aにおける電圧Vsnに相当)となる画像信号が出力信号線4−1〜4−mに現れる。尚、この信号電圧となる画像信号は、信号φTXをローとした直後に現れる。又、この信号電圧Vsnとなる画像信号は、実際に入射された入射光量に応じた光電変換信号電圧Vsがリセット電圧Vnに加算された信号である。
その後、信号φXをローとすることで、MOSトランジスタT5〜T7をOFFとして、垂直走査回路1からb行目の各画素G1b〜Gmbに信号φTX,φV,φRSが供給されることが禁止される。このように、b行目の各画素G1b〜Gmbが動作されて画素信号及びノイズ信号が出力されて読み出し回路5−1〜5−mにサンプルホールドされた後、読み出し回路5−1,5−2,…,5−mから順に、画素G1b,G2b,…,Gmbの画像信号とノイズ信号とが補正回路6に与えられることで、画素G1b,G2b,…,Gmbのノイズ除去された画像信号が順に出力される。
そして、b+1行目の各画素G1(b+1)〜Gm(b+1)に接続されるライン3−(b+1)に相当する信号線31〜33を有効とするために、このライン3−(b+1)に相当する信号線31〜33に接続されたMOSトランジスタT5〜T7のゲートに与える信号φXをハイとする。その後、画素G1(b+1)〜Gm(b+1)内の各素子が図4のタイミングチャートに応じた動作をすることで、画素G1(b+1)〜Gm(b+1)の画像信号が出力される。
この図1に示す固体撮像装置の構成、図2に示す画素の構成、及び図3に示す画素の動作は、以下に示す各実施形態で共通の構成及び動作である。よって、以下に示す各実施形態においては、各実施形態において異なる構成及び動作となる読み出し回路5−1〜5−m及び補正回路7について、説明する。尚、この読み出し回路5−1〜5−m及び補正回路7によって、図1の固体撮像装置におけるCDS回路が構成される。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、以下に、図面を参照して説明する。図4は、本実施形態における固体撮像装置における読み出し回路と補正回路の内部構成を示す回路図である。尚、図4によって示される読み出し回路及び補正回路の構成において、図12と同一の構成と成る部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の固体撮像装置における読み出し回路5x(図1に示す読み出し回路5−1〜5−mに相当する)は、図4に示すように、出力信号線4(図1に示す出力信号線4−1〜4−mに相当する)に一端が接続されるキャパシタC1と、キャパシタC1の他端に一端が接続されるキャパシタC2と、キャパシタC1,C2の接続ノードにゲートが接続されたMOSトランジスタT11と、MOSトランジスタT11のドレインにドレインが接続されるMOSトランジスタT12a,12bと、MOSトランジスタT12a,12bそれぞれのソースに一端が印加されたキャパシタC3a,C3bと、キャパシタC3a,C3bそれぞれの一端にゲートが接続されるMOSトランジスタT13a,T13bと、MOSトランジスタT13a,T13bそれぞれのソースにドレインが接続されるMOSトランジスタT14a,T14bと、MOSトランジスタT11,T12a,T12bのドレインの接続ノードに一端が接続された定電流源20と、を備える。
更に、この読み出し回路5xは、キャパシタC1,C2の接続ノードにドレインが接続されるとともにキャパシタC2の他端にソースが接続されたMOSトランジスタT10と、MOSトランジスタT10のソースとキャパシタC2の他端との接続ノードにドレインが接続されたMOSトランジスタT15a,T15bと、MOSトランジスタT10のソースとキャパシタC2の他端との接続ノードに一端が接続された定電流源21と、を備える。そして、MOSトランジスタT15a,T15bそれぞれのソースがMOSトランジスタT13a,T13bそれぞれのソースに接続される。
MOSトランジスタT10,T11,T12a〜T15a,T12b〜T15bは、バックゲートが接地された(直流電圧VSSが印加された)NチャネルのMOSトランジスタで構成される。そして、MOSトランジスタT11のソースとキャパシタC3a,C3b及び定電流源21の他端に直流電圧VSSが印加され、MOSトランジスタT13a,T13bのドレインと定電流源20の他端とに直流電圧VDDが印加される。
更に、MOSトランジスタT12a,T12b,T15a,T15b,T10それぞれのゲートには信号φVr1,φVs1,φVr2,φVs2,φVr3が入力され、MOSトランジスタT14a,T14bのゲートには信号φH(読み出し回路5−1〜5−mそれぞれに与えられる信号φH1〜φHmに相当する)が入力される。そして、垂直走査回路1より信号φVs1,φVs2,φVr1〜φVr3が与えられ、水平走査回路2より信号φH(φH1〜φHm)が与えられる。
補正回路7は、図12に示す回路と同一の構成であり、MOSトランジスタT14a,T14bのソースに一端が接続されるとともに他端に直流電圧VSSが印加された定電流源23a,23bと、MOSトランジスタT14a,T14bそれぞれのドレインに反転入力端子及び非反転入力端子が接続された差動増幅回路22と、を備える。そして、図4に示す回路構成の読み出し回路5−1〜5−mと補正回路7とで、図1に示す固体撮像装置内のCDS回路が構成される。このCDS回路を構成する読み出し回路5−1〜5−mと補正回路7の動作について、画素G11〜Gmnの動作とともに、図5のタイミングチャートを参照して説明する。
図3のタイミングチャートに従って動作する各行の画素と同期して、1水平期間毎に垂直走査回路1から読み出し回路5−1〜5−mに信号が与えられることで、読み出し回路5−1〜5−mにノイズ信号及び画像信号がサンプルホールドされた後、1画素分毎に補正回路7に出力される。この読み出し回路5−1〜5−mと補正回路7との動作について、図5のタイミングチャートを参照して説明する。尚、図5には、画素G1b〜Gmbに与える信号φX,φTX,φV,φRS、読み出し回路5−aに与える信号φHa、出力信号線4−aに現れる電圧値、及び読み出し回路5−aのMOSトランジスタT11のドレイン及びMOSトランジスタT13a,13bのソースそれぞれに現れる電圧値を示す。
画素G1b〜Gmbが、上述したように、図3のタイミングチャートに従って動作を行うとき、b行目の信号φXがハイとされて信号φTX,φV,φRSが供給可能な状態とされるとともに、MOSトランジスタT3のゲートに与えられる信号φVがハイとされる。このとき、同時に、読み出し回路5−1〜5−mに対して垂直走査回路1から与えられる信号φVr1〜φVr3,φVs1がハイとされる。
これにより、信号φVr1〜φVr3,φVs1がゲートに与えられるMOSトランジスタT12a,T15a,T10,T12bがONとなる。尚、信号φVs2がローのままであるため、この信号φVs2がゲートに与えられるMOSトランジスタT15bはOFFである。よって、MOSトランジスタT10,T15aによって、MOSトランジスタT11のゲートとMOSトランジスタT13aのソースとが定電流源21と接続され、又、MOSトランジスタT12a,T12bにより、MOSトランジスタT11のドレインにMOSトランジスタT13a,T13bのゲートが接続される。
尚、読み出し回路5xの等価回路を図6に示す。この図6の等価回路において、図14の等価回路と同様、MOSトランジスタT11を増幅回路Eとし、MOSトランジスタT11のゲート及びドレインをそれぞれ増幅Eの入力及び出力とする。そして、MOSトランジスタT10,T12a,T12b,T15a,T15bそれぞれが、スイッチSW1,SW2a,SW2b,SW3a,SW3bに相当する。更に、増幅回路Eの入力側には、容量値Cinとなる入力容量Cが形成される。
よって、ハイとなる信号φVr1〜φVr3,φVs1が与えられるとき、図6(a)の等価回路のように、スイッチSW1,SW2a,SW2b,SW3aがONとなり、スイッチSW3bがOFFとなる。即ち、増幅回路Eの入力とMOSトランジスタT13aのソースとが定電流源21に接続されるとともに、増幅回路Eの出力がMOSトランジスタT13a,T13bのゲートに接続される。
このとき、定電流源21によって電流値Idshとなる定電流が流れることにより、図7に示すMOSトランジスタT13aのゲート・ソース間電圧とドレイン電流との関係より、MOSトランジスタT13aのゲート・ソース間電圧が電圧値VgsshAに設定される。又、定電流源20から定電流が与えられるMOSトランジスタT11のゲート・ソース間電圧がVgs1となるとき、増幅回路Eの入力となるMOSトランジスタT11のゲートに電圧値Vgs1が現れる。
これにより、MOSトランジスタT13aのソースに対して、スイッチSW1,SW3aに相当するMOSトランジスタT10,T15aを介して、MOSトランジスタT11のゲート電圧Vgs1が与えられる。よって、増幅回路Eの出力となるMOSトランジスタT11のドレイン及びMOSトランジスタT13aのゲートに現れる電圧値が、Vgs1+VgsshAとなる。
そして、ハイとなるパルス信号φRSが与えられて、画素G1b〜Gmbより出力信号線4−1〜4−mにリセット電圧となるノイズ信号が現れる。即ち、出力信号線4−aに接続されるキャパシタC1の両端には、リセット電圧Vnと初期電圧Vgs1とによる電圧差が印加された状態となる。このとき、従来と同様、増幅回路E及び出力信号線4にランダムノイズが現れるため、キャパシタC1の両端にはノイズ電圧v1,v2が発生することとなる。このとき、キャパシタC1の両端に発生するノイズ電圧v1,v2によるノイズ電荷Qn(=Ca×(v2−v1)+(Cb+Cin)×v2)が、キャパシタC1,C2の接続ノードに発生する。
その後、まず、信号φVr3をローとすることで、MOSトランジスタT10をOFFとして、MOSトランジスタT11のゲートと定電流源21及びMOSトランジスタT13aのソースとの電気的な接続を切断する。即ち、図6(b)のように、増幅回路Eの入力とMOSトランジスタT13a及び定電流源21との接続を切断する。このとき、キャパシタC1の両端に発生するノイズ電圧v1,v2によるノイズ電荷Qnが、キャパシタC1,C2の接続ノードに残留する。
又、MOSトランジスタT10がOFFとされることで、MOSトランジスタT11,T12a,T13a,T15a及びキャパシタC2による負帰還回路が形成される。そして、この負帰還回路とキャパシタC1とによって、出力信号線4と接続されたキャパシタC1の一端を入力とするとともにMOSトランジスタT13aのソースを出力とする反転型増幅回路が形成される。そして、この反転型増幅回路のゲインが、キャパシタC1,C2の容量値Ca,Cbによって、(−Ca/Cb)に設定される。
このように、MOSトランジスタT11,T12a,T13a,T15a及びキャパシタC1,C2による反転型増幅回路が形成されるとき、上述のように、キャパシタC1,C2の接続ノードに残留したノイズ電荷Qnにより、MOSトランジスタT11のゲートである増幅回路Eの入力電圧が影響を受ける。即ち、この増幅回路Eの入力電圧におけるノイズ電荷Qnによる電圧をVqとし、ノイズ電荷Qnによって発生するMOSトランジスタT13aのソース電圧をVqnとすると、以下の(1)、(2)式の関係が得られる。尚、増幅回路Eの増幅率をAとする。
Qn=(Ca+Cin)×Vq+Cb×(Vq−Vqn) …(1)
Vq×A=Vqn …(2)
よって、キャパシタC2の他端とMOSトランジスタT13aのソースとの接続部分に現れる電圧Vqnは、Qn×A/(Ca+Cin+Cb×(1−A))となる。そして、増幅回路EのゲインAが十分に大きい値とすることで、キャパシタC2の他端とMOSトランジスタT13aのソースとの接続部分に現れる電圧Vqnが、−Qn/Cbと表すことができる。
このキャパシタC1,C2の接続ノードに残留したノイズ電荷QnによりMOSトランジスタT13aのソースとキャパシタC2の接続部分に現れた電圧Vqnが、MOSトランジスタT10をONとしているときにMOSトランジスタT13aのソースに現れるVgs1に重畳することとなる。これにより、MOSトランジスタT13aのソースとキャパシタC2の接続部分には、電圧VsA2(=Vgs1+Vqn)が現れることとなる。よって、MOSトランジスタT11のドレインとMOSトランジスタT13aのゲートの接続部分には、MOSトランジスタT13aのソース電圧VsA2にMOSトランジスタT13aのソース・ゲート電圧VgsshAが加算された電圧Vd2(=VsA2+VggshA=Vgs1+VgsshA+Vqn)が現れる。
その後、信号φVr1をローとしてMOSトランジスタT12aをOFFとすることで、MOSトランジスタT11のドレインとMOSトランジスタT13aのゲートとの電気的な接続が切断される。このとき、MOSトランジスタT13aのゲートに接続されたキャパシタC3aに、MOSトランジスタT11のドレイン電圧Vd2がサンプルホールドされる。これにより、出力信号線4−aに現れる電圧Vnとなるノイズ信号に応じた電圧Vd2がMOSトランジスタT13aのゲートに接続されたキャパシタC3aにサンプルホールドされる。
そして、信号φVr2をローとしてMOSトランジスタT15aをOFFとすることで、MOSトランジスタT13aのソースとキャパシタC2及び定電流源21の接続ノードとの電気的な接続を切断する。このとき、キャパシタC2と定電流源21との接続ノードには、電圧VsA2(=Vgs1+Vqn)が保持されることとなる。
続いて、信号φVs2をハイとしてMOSトランジスタT15bをONとすることで、MOSトランジスタT13aのソースとキャパシタC2及び定電流源21の接続ノードとを電気的に接続する。このとき、図6(c)の等価回路のように、スイッチSW3aがOFFとなるとともにスイッチSWbがONとなる。これにより、MOSトランジスタT11,T12a,T13a,T15a及びキャパシタC2による負帰還回路を、MOSトランジスタT11,T12b,T13b,T15b及びキャパシタC2による負帰還回路に切り換える。即ち、MOSトランジスタT11,T12b,T13b,T15b及びキャパシタC1,C2による反転増幅回路を形成する。
このように、MOSトランジスタT11のドレインにゲートが接続されるMOSトランジスタが、MOSトランジスタT13aからMOSトランジスタT13bに切り替わる。このとき、MOSトランジスタT13a,T13bそれぞれの閾値電圧に差があれば動作電圧も異なるため、MOSトランジスタT13a,T13bの動作電圧の差をΔVgsとすると、ΔVgs/AだけMOSトランジスタT11のゲート・ソース間電圧に変化が生じる。しかしながら、MOSトランジスタT11による増幅回路Eの増幅率Aを十分大きいものとするため、負帰還の改善効果により、MOSトランジスタT13a,T13bの動作電圧の差ΔVgsによる影響がほとんどないものとなる。よって、MOSトランジスタT11のゲート・ソース間電圧がVgs1で不変とみなすことができる。
これにより、MOSトランジスタT11のゲート電圧は、電圧値Vgs1のままでほとんど不変となるため、図6(c)に示すように、MOSトランジスタT13bのソース電圧VsB3として、キャパシタC2と定電流源21との接続ノードにおいてサンプルホールドされた電圧VsA2が現れることとなる。又、このとき、定電流源21によって電流値Idshとなる定電流が流れることにより、図7に示すMOSトランジスタT13bのゲート・ソース間電圧とドレイン電流との関係より、MOSトランジスタT13bのゲート・ソース間電圧が電圧値VgsshBに設定される。よって、MOSトランジスタT13bのゲートには、電圧Vd3(=VsB3+VgsshB=Vgs1+VgsshB+Vqn)が現れる。即ち、増幅回路Eの出力となるMOSトランジスタT11のドレインに、この電圧Vd3が現れることとなる。
そして、ハイとなるパルス信号φTXが与えられ、画素G1b〜Gmbより出力信号線4−1〜4−mに信号電圧となる画像信号が現れる。即ち、出力信号線4−aに接続されるキャパシタC1の一端に現れる電圧がリセット電圧Vnから信号電圧Vsnに変化する。よって、キャパシタC1の両端に印加される電圧が、フォトダイオードPDに入射された入射光に応じた電圧値Vs(=Vsn−Vn)だけ変化することとなる。
このキャパシタC1の両端に印加される電圧が電圧値Vsだけ変化するため、キャパシタC2の両端に印加される電圧が電圧値Vas(=Vs×(−Ca/Cb))だけ変化する。このとき、MOSトランジスタT11のゲートとキャパシタC1,C2との接続ノードにおける電圧が電圧値Vgs1に保持されているため、MOSトランジスタT13bのソースとキャパシタC2との接続部分に現れる電圧が電圧値VsB3から電圧値VsB4(=VsB3+Vas=Vgs1+Vqn+Vs×(−Ca/Cb))に変化することとなる。よって、MOSトランジスタT13bのゲートに接続されるMOSトランジスタT11のドレイン電圧(増幅回路Eの出力)が、電圧値Vd3から電圧値Vd4(=VsB4+VgsshB=Vgs1+VgsshB+Vqn+Vs×(−Ca/Cb))に変化する。
その後、信号φVs1をローとしてMOSトランジスタT12bをOFFとすることで、MOSトランジスタT11のドレインとMOSトランジスタT13bのゲートとの電気的な接続が切断される。このとき、MOSトランジスタT13bのゲートに接続されたキャパシタC3bに、MOSトランジスタT11のドレイン電圧Vd4がサンプルホールドされる。これにより、出力信号線4−aに現れる電圧Vsnとなる画像信号に応じた電圧Vd4がMOSトランジスタT13bのゲートに接続されたキャパシタC3bにサンプルホールドされる。
そして、信号φVs2をローとしてMOSトランジスタT15bをOFFとし、MOSトランジスタT13bのソースとキャパシタC2及び定電流源21の接続ノードとの電気的な接続を切断する。このとき、信号φVもローとされて、画素G1b〜GmbのMOSトランジスタT3がOFFとされる。
その後、ハイとなるパルス信号φH1〜φHmが水平走査回路2より読み出し回路5−1〜5−mに順番に与えられることによって、読み出し回路5−1〜5−m内のMOSトランジスタT14a,T14bが順番にONとなって、画素G1b〜Gmbの画像信号及びノイズ信号が順番に補正回路7に出力される。即ち、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれから、キャパシタC3a,C3bにサンプルホールドされた電圧値に応じた電圧信号が、ノイズ信号及び画像信号として補正回路7に入力されることとなる。
即ち、読み出し回路5−aにおいて、ハイとなるパルス信号φHaが与えられてMOSトランジスタT14a,T14bそれぞれがONとされると、MOSトランジスタT13a,T13bそれぞれのソースに定電流源23a,23bが接続される。よって、MOSトランジスタT13a,T13bには定電流源23a,23bによる定電流Idroが流れることとなる。この定電流IdroがMOSトランジスタT13a,T13bの動作電流となるため、図7の関係より、MOSトランジスタT13a,T13bのゲート・ソース間電圧が電圧値VgsroA,VgsroBに決定される。
よって、MOSトランジスタT13aのゲートには、キャパシタC3aによってサンプルホールドされた電圧値Vd2が印加されているため、MOSトランジスタT13aのソースに現れる電圧値VsA3がVd2−VgsroA(=Vgs1+Vqn+(VgsshA−VgsroA))となる。又、MOSトランジスタT13bのゲートには、キャパシタC3bによってサンプルホールドされた電圧値Vd4が印加されているため、MOSトランジスタT13bのソースに現れる電圧値VsB5がVd4−VgsroB(=Vs×(−Ca/Cb)+(Vgs1+Vqn)+(VgsshB−VgsroB))となる。
即ち、MOSトランジスタT13aに現れる電圧値VsA3となる電圧信号がノイズ信号として差動増幅回路22の反転入力端子に入力されるとともに、MOSトランジスタT13bに現れる電圧値VsB5となる電圧信号が画像信号として差動増幅回路22の非反転入力端子に入力される。差動増幅回路22では、入力されるノイズ信号と画像信号との減算処理が行われ、その出力電圧Vcds(=VsB5−VsA3)が得られる。このとき、ノイズ信号及び画像信号それぞれに共通に有する電圧成分(Vgs1+Vqn)については除かれる。
以下では、ノイズ信号に含まれる電圧成分(VgsshA−VgsroA)と画像信号に含まれる電圧成分(VgsshB−VgsroB)との関係について説明する。まず、MOSトランジスタのドレイン電流Idとゲート・ソース間電圧Vgsとの関係について説明する。MOSトランジスタのドレイン電流Idとゲート・ソース間電圧Vgsとの関係は、下の(3)式のように表される。尚、VthがMOSトランジスタの閾値電圧であり、Kは比例定数である。これにより、MOSトランジスタのゲート・ソース間電圧Vgsが、下の(4)式のように表される。
Id=K×(Vgs−Vth)2 …(3)
Vgs=(Id/K)1/2+Vth …(4)
よって、MOSトランジスタT13aのゲート・ソース間電圧となる電圧値VgsshA,VgsroAがそれぞれ、その動作電流となる電流値Idsh,Idroに対して、下の(5)、(6)式のように表される。そのため、読み出し回路5−aより出力されるノイズ信号となる電圧値VsA3に含まれる項(VgsshA−VgsroA)が、(7)式のように表され、電流値Idsh,Idroが定常値であることから、(VgsshA−VgsroA)による項で表される電圧値も定常値となる。
VgsshA=(Idsh/K)1/2+Vth …(5)
VgsroA=(Idro/K)1/2+Vth …(6)
VgsshA−VgsroA=(Idsh/K)1/2−(Idro/K)1/2 …(7)
又、読み出し回路5−aより出力される画像信号となる電圧値VsB5に含まれる項(VgsshB−VgsroB)についても、(8)式のように表され、ノイズ信号となる電圧値VsA3に含まれる項(VgsshA−VgsroA)と同一の定常値となる。よって、ノイズ信号となる電圧値VsA3に含まれる項(VgsshA−VgsroA)及び画像信号となる電圧値VsB5に含まれる項(VgsshB−VgsroB)それぞれを、定常値Pによって表すことができる。
VgsshB−VgsroB=(Idsh/K)1/2−(Idro/K)1/2 …(8)
そのため、ノイズ信号となる電圧値VsA3と画像信号となる電圧値VsB5において、定常値Pとなる電圧成分が共通となるため、差動増幅回路22からの出力電圧Vcsdが電圧値Vs×(−Ca/Cb)となる。これにより、読み出し回路5−aより出力される画像信号及びノイズ信号が補正回路7で減算処理されることで、MOSトランジスタT13a,T13bの動作電圧(閾値電圧)のバラツキやノイズ電荷Qnに影響されることなく、縦筋FPNやランダムノイズの発生を抑制することができる。
このようにして、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれから出力されるノイズ信号及び画像信号が補正回路7に与えられることで、MOSトランジスタT11,T13a,T13bの動作電圧のバラツキやノイズ電荷Qnによる影響を小さくした電圧信号として、補正回路7から出力することができる。その後、パルス信号φHmが読み出し回路5−mに与えられて、画素Gmbの画像信号が補正回路7より出力されると、b行目の信号φXをローとして画素G1b〜Gmbと接続されたMOSトランジスタT5〜T7をOFFとする。このとき、b+1行目の信号φXをハイとして画素G1(b+1)〜Gm(b+1)と接続されたMOSトランジスタT5〜T7をONとして、b+1行目の画素G1(b+1)〜Gm(b+1)による撮像動作を行い、画素G1(b+1)〜Gm(b+1)の画像信号を順番に出力する。このような動作を、画素G11〜Gm1,G12〜Gm2,…,G1n〜Gmn毎に繰り返し行うことによって、1フレーム分の画像信号を出力する。
本実施形態によると、上述のように動作するため、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれを構成する各MOSトランジスタの動作電圧(閾値電圧)のバラツキやノイズ電圧が存在していても、その影響を補正回路7でキャンセルすることができる。これにより、撮像された画像の品位を下げる縦筋FPNやランダムノイズが低減される。又、読み出し回路5−1〜5−mにおけるMOSトランジスタT11のゲートとなる増幅回路Eの入力に与える初期電圧は、サンプルホールド回路として動作するMOSトランジスタT13aの出力から与えるものとしたので、従来のような基準電圧Vrefを発生する電圧源が不要となる。よって、電源ノイズの影響の回避及び回路の小規模化に有効に働くこととなる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、以下に、図面を参照して説明する。図8は、本実施形態における固体撮像装置における読み出し回路と補正回路の内部構成を示す回路図である。尚、図8によって示される読み出し回路及び補正回路の構成において、図4の構成と同一の構成と成る部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の固体撮像装置における読み出し回路5y(図1に示す読み出し回路5−1〜5−mに相当する)は、図8に示すように、読み出し回路5x(図4参照)の回路構成から、MOSトランジスタT10が除かれるとともに、MOSトランジスタT11のドレイン及びゲートそれぞれにドレイン及びソースが接続されたMOSトランジスタT16と、MOSトランジスタT15a,T15bのドレインの接続ノードにドレインが接続されソースに基準電圧Vrefが印加されたMOSトランジスタT17と、が付加された構成となる。
又、MOSトランジスタT16,T17それぞれのゲートに信号φVr3,φVr4が与えられるとともに、MOSトランジスタT16,T17が、バックゲートが接地された(直流電圧VSSを印加)NチャネルのMOSトランジスタとされる。その他の構成については、第1の実施形態の固体撮像装置における読み出し回路5x(図4参照)と同様の構成である。尚、MOSトランジスタT16,T17をPチャネルのMOSトランジスタとするときは、電源電圧が印加される。
このように構成される読み出し回路5y及び補正回路7による動作について、図9のタイミングチャートを参照して説明する。尚、垂直走査回路1より読み出し回路5yに与えられる信号のうち、信号φVr1,φVs1,φVs2については、第1の実施形態における読み出し回路5xに与える信号と同一のタイミング(図5のタイミングチャート参照)で切り替わる。又、信号φVr3,φVr4については、従来の読み出し回路5に与える信号と同一のタイミング(図13のタイミングチャート参照)で切り替わる。
画素G1b〜Gmbが、上述したように、図3のタイミングチャートに従って動作を行うとき、b行目の信号φXがハイとされて信号φTX,φV,φRSが供給可能な状態とされるとともに、MOSトランジスタT3のゲートに与えられる信号φVがハイとされる。このとき、同時に、読み出し回路5−1〜5−mに対して垂直走査回路1から与えられる信号φVr1,φVr3,φVr4,φVs1がハイとされる。
よって、MOSトランジスタT16,T17がONとなることにより、MOSトランジスタT11のゲートとドレインとが電気的に接続されて自己バイアスがかかるとともに、キャパシタC2と定電流源21との接続ノードに基準電圧Vrefが印加される。又、MOSトランジスタT12a,T12bがONとなることで、MOSトランジスタT13a,T13bのゲートがMOSトランジスタT11のドレインに電気的に接続された状態となる。更に、このとき、信号φVr2,φVs2がローであり、MOSトランジスタT15a,T15bがOFFであることから、負帰還回路が形成されていない状態となる。
これにより、キャパシタC1,C2の接続ノードには、MOSトランジスタT11のドレイン電圧Vdrが初期電圧として印加されるため、キャパシタC2の両端には、初期電圧Vdrと基準電圧Vrefとの電圧差が印加された状態となる。そして、ハイとなるパルス信号φRSが与えられて、画素G1b〜Gmbより出力信号線4−1〜4−mにリセット電圧となるノイズ信号が現れる。即ち、出力信号線4−aに接続されるキャパシタC1の両端に、リセット電圧Vnと初期電圧Vdrとの電圧差が印加された状態となる。
このとき、MOSトランジスタT11のゲート及び出力信号線4にランダムノイズが現れ、キャパシタC1の両端に発生するノイズ電圧v1,v2によるノイズ電荷QnがキャパシタC1,C2の接続ノードに発生する。そして、信号φVr3がローとなってMOSトランジスタT16がOFFとなり、MOSトランジスタT11のゲート・ドレイン間が切断される。よって、キャパシタC1,C2の接続ノードには、ノイズ電荷Qnが残留するため、キャパシタC2と定電流源21との接続ノードには、ノイズ電荷Qnによる電圧Vqnが基準電圧Vrefに重畳される。
その後、信号φVr4がローとなってMOSトランジスタT17がOFFとなり、キャパシタC2への基準電圧Vrefの印加が切断される。よって、キャパシタC2と定電流源21との接続ノードは、電圧Vref+Vqnが保持された状態となる。続いて、信号φVr2をハイとしてMOSトランジスタT15aをONとすると、キャパシタC2とMOSトランジスタT13aのソースとが接続されて、MOSトランジスタT11,T13a及びキャパシタC1,C2による反転増幅回路が形成される。
よって、MOSトランジスタT13aのソース電圧が電圧Vref+Vqnとなるとともに、定電流源21の定電流IshによりMOSトランジスタT13aの動作電圧が電圧値VgsshAとなるため、MOSトランジスタT13aのゲートに電気的に接続されたMOSトランジスタT11のドレイン電圧は、電圧値Vd1(=Vref+Vqn+VgsshA)となる。その後、信号φVr1がローとなりMOSトランジスタT12aがOFFとなることで、キャパシタC3aに電圧Vd1がサンプルホールドされる。
そして、信号φVr2をローとしてMOSトランジスタT15aをOFFとした後、信号φVs2をハイとしてMOSトランジスタT15bをONとする。これにより、MOSトランジスタT11,T13b及びキャパシタC1,C2による反転増幅回路が形成される。よって、MOSトランジスタT13bのソースに電圧Vref+Vqnが印加され、定電流源21の定電流IshによりMOSトランジスタT13bの動作電圧が電圧値VgsshBとなるため、MOSトランジスタT13bのゲートに電気的に接続されたMOSトランジスタT11のドレイン電圧は、電圧値Vd2(=Vref+Vqn+VgsshB)となる。
このとき、ハイとなるパルス信号φTXが与えられ、画素G1b〜Gmbより出力信号線4−1〜4−mに信号電圧となる画像信号が現れる。即ち、出力信号線4−aに接続されるキャパシタC1の一端に現れる電圧がリセット電圧Vnから信号電圧Vsnに変化する。よって、キャパシタC1の両端に印加される電圧が、フォトダイオードPDに入射された入射光に応じた電圧値Vs(=Vsn−Vn)だけ変化するため、キャパシタC2の両端に印加される電圧が電圧値Vas(=Vs×(−Ca/Cb))だけ変化する。
これにより、MOSトランジスタT13bのソースに電圧Vref+Vqn+Vasが印加されることとなり、結果、トランジスタT11のドレイン電圧は、電圧値Vd3(=Vref+Vqn+VgsshB+Vs×(−Ca/Cb))となる。そして、信号φVs1がローとなりMOSトランジスタT12bがOFFとなることで、キャパシタC3aに電圧Vd3がサンプルホールドされた後、信号φVs2がローとなりMOSトランジスタT15bがOFFとなる。このとき、信号φVもローとされて、画素G1b〜GmbのMOSトランジスタT3がOFFとされる。
その後、ハイとなるパルス信号φH1〜φHmが水平走査回路2より読み出し回路5−1〜5−mに順番に与えられることによって、読み出し回路5−1〜5−m内のMOSトランジスタT14a,T14bが順番にONとなって、画素G1b〜Gmbの画像信号及びノイズ信号が順番に補正回路7に出力される。このとき、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれから、キャパシタC3a,C3bにサンプルホールドされた電圧値に応じた電圧信号が、ノイズ信号及び画像信号として補正回路7に入力されることとなる。
即ち、読み出し回路5−aにおいて、ハイとなるパルス信号φHaが与えられてMOSトランジスタT14a,T14bそれぞれがONとされると、MOSトランジスタT13a,T13bには定電流源23a,23bによる定電流Idroが流れることとなる。よって、MOSトランジスタT13a,T13bのゲート・ソース間電圧が電圧値VgsroA,VgsroBに決定される。
これにより、MOSトランジスタT13aのソースに現れる電圧値VsA3がVd1−VgsroA(=Vref+Vqn+(VgsshA−VgsroA))となるとともに、MOSトランジスタT13bのソースに現れる電圧値VsB5がVd3−VgsroB(=Vs×(−Ca/Cb)+(Vref+Vqn)+(VgsshB−VgsroB))となる。ここで、MOSトランジスタT13aから出力されるノイズ信号の電圧成分(VgsshA−VgsroA)と、MOSトランジスタT13bから出力される画像信号の電圧成分(VgsshB−VgsroB)とが略同一の定常値Pとなる。
そして、補正回路7の差動増幅回路22において、MOSトランジスタT13a,T13bから与えられるノイズ信号と画像信号との減算処理が行われると、共通成分となる基準電圧Vref、ノイズ電荷Qnによる電圧成分Vqn、定常値Pのそれぞれがキャンセルされる。これにより、補正回路7の差動増幅回路22からの出力電圧Vcsdが電圧値Vs×(−Ca/Cb)となる。よって、読み出し回路5−aより出力される画像信号及びノイズ信号が補正回路7で減算処理されることで、MOSトランジスタT13a,T13bの動作電圧(閾値電圧)のバラツキやノイズ電荷Qnに影響されることなく、縦筋FPNやランダムノイズの発生を抑制することができる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、以下に、図面を参照して説明する。図10は、本実施形態における固体撮像装置における読み出し回路と補正回路の内部構成を示す回路図である。尚、図10によって示される読み出し回路及び補正回路の構成において、図8の構成と同一の構成と成る部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の固体撮像装置における読み出し回路5z(図1に示す読み出し回路5−1〜5−mに相当する)は、図10に示すように、読み出し回路5y(図8参照)の回路構成におけるMOSトランジスタT17が削除されるとともに、MOSトランジスタT11のソースに基準電圧Vrefが印加された構成となる。その他の構成については、第2の実施形態の固体撮像装置における読み出し回路5y(図8参照)と同様の構成である。
このように構成される読み出し回路5z及び補正回路7による動作について、図11のタイミングチャートを参照して説明する。尚、読み出し回路5zに対して垂直走査回路1から与えられる信号φVr1〜φVr3,φVs1,φVs2及び水平走査回路2から与えられる信号φHのタイミングは、第1の実施形態における図5のタイミングチャートと同一となるので信号の切換動作の詳細は第1の実施形態を参照するものとする。但し、第1の実施形態の読み出し回路5xにおけるMOSトランジスタT11のドレイン電圧、MOSトランジスタT13a,T13bのソース電圧が異なる。
まず、b行目の信号φX,φVがハイとされて、画素G1b〜Gmb内のMOSトランジスタT3がONとされるとき、同時に、信号φVr1〜φVr3,φVs1がハイとされて、MOSトランジスタT12a,T15a,T16,T12bがONとなる。これにより、MOSトランジスタT11のドレイン及びゲートがMOSトランジスタT13a,T13bのゲートに接続され、MOSトランジスタT13aのソースがキャパシタC2と定電流源21との接続ノードに接続される。
即ち、MOSトランジスタT11に自己バイアスがかかり、MOSトランジスタT11,T12a,T13a,T15a及びキャパシタC2によって負帰還回路が形成される。このとき、MOSトランジスタT11のゲート・ソース間電圧Vgs1が現れることにより、MOSトランジスタT11のドレイン電圧及びゲート電圧が電圧値Vref+Vgs1となるため、MOSトランジスタT13aのゲートに電圧Vref+Vgs1が印加される。よって、定電流源21による電流値Idshが流れるMOSトランジスタT13aのゲート・ソース間電圧が電圧値VgsshAであるため、MOSトランジスタT13aのソースには、電圧Vs1(=Vref+Vgs1−VgsshA)が現れる。
そして、ハイとなるパルス信号φRSが与えられて、画素G1b〜Gmbより出力信号線4−1〜4−mにリセット電圧となるノイズ信号が現れる。即ち、出力信号線4−aに接続されるキャパシタC1の両端には、リセット電圧Vnと初期電圧Vgs1+Vrefとによる電圧差が印加された状態となる。尚、キャパシタC2の両端には、初期電圧Vgs1+VrefとMOSトランジスタT13aのソース電圧Vs1による電圧差が印加された状態となる。
その後、信号φVr3をローとしてMOSトランジスタT16をOFFとすることで、MOSトランジスタT11のドレイン・ゲート間の接続を切断させることで、MOSトランジスタT11,T13a及びキャパシタC1,C2の反転増幅回路を形成する。このとき、MOSトランジスタT11のゲート電圧はほとんど不変の状態となるが、ノイズ電荷Qnの発生により、キャパシタC2とMOSトランジスタT13aのソースとの接続ノードにノイズ電圧Vqnが発生する。よって、MOSトランジスタT13aのソースに電圧Vs1+Vqn(=Vref+Vgs1−VgsshA+Vqn)が現れる。
これにより、MOSトランジスタT13aのゲートに接続されるMOSトランジスタT11のドレイン電圧が電圧値Vd1(=Vref+Vgs1+Vqn)となる。その後、信号φVr1をローとしてMOSトランジスタT12aをOFFとし、キャパシタC3aに電圧Vd1をサンプルホールドさせる。
そして、信号φVr2をローとしてMOSトランジスタT15aをOFFとした後、信号φVs2をハイとしてMOSトランジスタT15bをONとすることで、反転増幅回路をMOSトランジスタT11,T13b及びキャパシタC1,C2によるものに切り換える。このとき、MOSトランジスタT13aのソース電圧Vs1+VqnがキャパシタC2と定電流源21に保持されているため、MOSトランジスタT13bのソースに電圧Vs1+Vqnが印加される。よって、定電流源21による電流値Idshが流れるMOSトランジスタT13bのゲート・ソース間電圧が電圧値VgsshBであるため、MOSトランジスタT11のドレインには、MOSトランジスタT13bのゲート電圧Vd2(=Vref+Vqn+Vgs1+VgsshB−VgsshA)が印加される。
そして、ハイとなるパルス信号φTXが与えられ、画素G1b〜Gmbより出力信号線4−1〜4−mに信号電圧となる画像信号が現れる。即ち、出力信号線4−aに接続されるキャパシタC1の一端に現れる電圧がリセット電圧Vnから信号電圧Vsnに変化する。これにより、キャパシタC1の両端に印加される電圧が、フォトダイオードPDに入射された入射光に応じた電圧値Vs(=Vsn−Vn)だけ変化するため、キャパシタC2の両端に印加される電圧が電圧値Vas(=Vs×(−Ca/Cb))だけ変化する。
よって、キャパシタC2と接続されるMOSトランジスタT13bのソース電圧が、電圧値Vs2(=Vs1+Vqn+Vas=Vref+Vgs1−VgsshA+Vqn+Vs×(−Ca/Cb))となる。そのため、MOSトランジスタT11のドレインには、MOSトランジスタT13bのゲート電圧Vd3(=Vref+Vqn+Vgs1+VgsshB−VgsshA+Vs×(−Ca/Cb))が印加される。そして、信号φVs1をローとしてMOSトランジスタT12bをOFFとし、キャパシタC3bに電圧Vd3をサンプルホールドさせた後、信号φVs2をローとしてMOSトランジスタT15bをOFFとする。
その後、ハイとなるパルス信号φH1〜φHmが水平走査回路2より読み出し回路5−1〜5−mに順番に与えられることによって、読み出し回路5−1〜5−m内のMOSトランジスタT14a,T14bが順番にONとなって、画素G1b〜Gmbの画像信号及びノイズ信号が順番に補正回路7に出力される。即ち、読み出し回路5−1〜5−mそれぞれから、キャパシタC3a,C3bにサンプルホールドされた電圧値に応じた電圧信号が、ノイズ信号及び画像信号として補正回路7に入力されることとなる。
このとき、MOSトランジスタT13a,T13bには定電流源23a,23bによる定電流Idroが流れるため、MOSトランジスタT13a,T13bのゲート・ソース間電圧が電圧値VgsroA,VgsroBに決定される。よって、信号φHaが与えられてMOSトランジスタT14a,T14bがONとされるとき、MOSトランジスタT13aのソース電圧VsA(=Vd1−VgsroA=Vref+Vqn+Vgs1−VgsroA)による電圧信号がノイズ信号として、又、MOSトランジスタT13aのソース電圧VsB(=Vd3−VgsroA=Vs×(−Ca/Cb)+Vref+Vqn+Vgs1+VgsshB−VgsroB−VgsshA)による電圧信号が画像信号として、それぞれ補正回路7に入力される。
補正回路7では、差動増幅回路22の反転入力端子に、ノイズ信号となる電圧値VsAが入力されるとともに、差動増幅回路22の非反転入力端子に、画像信号となる電圧値VsBが入力されて、差動増幅回路22が減算処理を行うことで、電圧値Vcsd(=VsB−VsA)となる電圧信号が出力される。この差動増幅回路22から出力される電圧信号の電圧値Vcsdは、以下の(9)式のように表される。このとき、電圧値Vcsdに含まれる項(VgsshA−VgsroA)及び項(VgsshB−VgsroB)はそれぞれ定常値Pとなるため、差動増幅回路22からの出力電圧Vcsdが電圧値Vs×(−Ca/Cb)となる。
Vcsd=(Vs×(−Ca/Cb)+Vref+Vqn+Vgs1+(VgsshB−VgsroB)−VgsshA)−(Vref+Vqn+Vgs1−VgsroA)
=Vs×(−Ca/Cb)+(VgsshB−VgsroB)−(VgsshA−VgsroA) …(9)
このように、本実施形態においても、補正回路7の差動増幅回路22において、MOSトランジスタT13a,T13bから与えられるノイズ信号と画像信号との減算処理が行われると、共通成分となる基準電圧Vref、ノイズ電荷Qnによる電圧成分Vqn、定常値Pのそれぞれがキャンセルされる。これにより、補正回路7の差動増幅回路22からの出力電圧Vcsdが電圧値Vs×(−Ca/Cb)となる。よって、読み出し回路5−aより出力される画像信号及びノイズ信号が補正回路7で減算処理されることで、MOSトランジスタT13a,T13bの動作電圧(閾値電圧)のバラツキやノイズ電荷Qnに影響されることなく、縦筋FPNやランダムノイズの発生を抑制することができる。
尚、上述の第2及び第3の実施形態において、MOSトランジスタT16をMOSトランジスタT11,T13のゲート・ドレイン間に接続して自己バイアス可能な構成とすることで、キャパシタC1,C2の接続ノードに初期電圧が与えられるものとした。しかしながら、このMOSトランジスタT16の代わりに、キャパシタC1,C2の接続ノードにおける電圧を初期化する際に、MOSトランジスタT11が動作可能な動作電圧をMOSトランジスタT11のゲートに与えるものであれば、他の回路構成としても構わない。
又、上述の第1〜第3の実施形態において、固体撮像装置に備える各画素の構成を図2のような構成とし、入射光量の積分値に対して線形的に変化した値となる画像信号を出力する(線形変換動作を行う)ものとしたが、このような構成に限らず、例えば、特許文献1に記載されるように入射光量に対して自然対数的に変化した値となる画像信号を出力する(対数変換動作を行う)画素構成としても構わないし、特許文献2に記載されるように線形変換動作と対数変換動作とを切り換えることができる画素構成としても構わない。
更に、上述の各固体撮像装置の各部を構成するMOSトランジスタにおいて、Nチャネルで構成したものをPチャネルで構成するとともに、Pチャネルで構成したものをNチャネルで構成するものとしても構わない。又、各画素からノイズ信号が出力された後に画像信号が出力されるものとしたが、画像信号からノイズ信号が出力されるものとしても構わない。このとき、読み出し回路の反転増幅回路で反転増幅された光電変換信号(電圧値Vasに相当する)が逆極性となるが、その効果についてかわるものではない。