以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る経食道プローブ10を模式的に示した図である。図1に示すように、経食道プローブ10は、被検者の食道に入れ易いようにその先頭部分が丸く形成されたプローブヘッド12を備える。プローブヘッド12は、振動子20と、ヘッド拡張部22とを内蔵する。また、経食道プローブは、屈曲自在な挿入管14、操作者が手に持って操作する操作部16、各種の電気信号を伝送する信号伝送ケーブル17、超音波診断装置の装置本体40に接続するためのコネクタボックス19を有する。そして、操作部16には、操作者が手で回して操作する多段ハンドル27と、操作者が視認できるように設けられたプローブ側表示部34が装備される。プローブ側表示部34は、操作部16の表面上に実装された2つのLED33、35を有する。ここまでは、経食道プローブ10の外観から判別される部分の説明を示した。次にブロック図を用いて機能の詳細を説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る経食道プローブ及びそれを備えた超音波診断装置のブロック図である。図2に示す超音波診断装置は、経食道プローブ10と、そのプローブが接続された装置本体40とから構成される。経食道プローブ10はプローブヘッド12、挿入管14、操作部16を有する。
プローブヘッド12は、その内部に振動子20、ヘッド拡張部22を備える。生体組織に当接させるための当接部材18は、超音波を送受信する振動子20の近くに配置される。振動子20はプローブヘッド12の小型化のために2Dアレイ振動子を用いるが、それ以外の振動子、例えば1Dアレイ振動子であってもよい。当接部材18の反対の位置には、柔軟性のある膜で形成された背面部材26が配置される。ヘッド拡張部22は、本実施形態において、この背面部材26をヘッド内側から押圧するための機構である。その機構については後述する。
プローブヘッド12に連なる挿入管14は、長さ1メートル程度のフレキシブルチューブである。挿入管14はプローブヘッド12に近い側に関節部15を備え、挿入管14の内部にはワイヤ28と束線ケーブル25が収められる。ワイヤ28は、それ自身が伸張しない素材で形成され、ヘッド拡張部22と操作部16に設けられるヘッド駆動部30との間に架けられる。束線ケーブル25は、その一端がプローブヘッド12の内部で端末処理されて振動子に接続される。また、束線ケーブル25の他端はコネクタボックス19(図1参照)内でコネクタターミナル群に接続される。束線ケーブル25は、特に、超音波の送受信信号を伝送するために用いられる。関節部15は、プロ−ブヘッド12の方向と位置を変えるために用いられる。
操作部16は、ヘッド駆動部30、検出回路32、プローブ側表示部34及び関節駆動部29などを備える。ヘッド駆動部30は、ワイヤ28によって掛架されたヘッド拡張部22を操作させるための機構部である。その機構部の詳細は図5,6,7を用いて後述する。関節駆動部29は、挿入管14の関節部15を屈曲させるための機構であり、プローブヘッド12の方向を定め、関節部15の形状を一時的に固定する機能を備える。
ここで、関節部15とヘッド拡張部22との用途の相違点について示す。関節部15は食道に挿入したプローブヘッド12を食道壁に接触させるためにも使用される。つまり、関節部15は当接部材18を食道壁に接触させるために不可欠な機構部であるが、関節部15を動作させるだけで、当接部材18を食道壁に完全に密着させられるかどうかは不確実である。特に、2Dアレイ振動子によってプローブヘッドが小型になった場合にその傾向が強い。そこで、当接部材18を確実に食道壁に密着させるためには関節部15を動作させることと合わせて、ヘッド拡張部22を用いてプローブヘッド12の厚みを増加させる必要がある。
構成の説明に戻る。図1に示した多段ハンドル27は、ヘッド駆動部30と関節駆動部29の一機構部品である。また、操作部16は、センサ31、検出回路32、プローブ側表示部34を有する。センサ31は、リミットスイッチあるいは可変抵抗器などで構成され、ヘッド駆動部30の運動量を検出するための部品である。センサ31の検出結果は、検出回路32に出力される。検出回路32は、主に電子部品で構成されており、センサ31の出力結果に応じてヘッド拡張部22の動作状態を検出する部品である。検出回路32の検出結果は、プローブ側表示部34及び装置本体40に内蔵される検出信号処理部42の双方に出力される。なお、検出回路32の検出結果は、プローブ側表示部34あるいは検出信号処理部42のいずれか一方に出力する形態であってもよい。プローブ側表示部34は、ヘッド拡張部22の拡張状態を表示するための部品である。これらのセンサ31、検出回路32及びプローブ側表示部34の詳細についても後述する。
装置本体40は、検出信号処理部42、表示処理部47及び装置側表示部48を有する。検出信号処理部42には、検出回路32において検出された信号が入力される。検出信号処理部42では入力される信号の処理を行い、その結果を画像形成部46に出力する。表示処理部47では、検出信号処理部42から入力される信号に応じて、ヘッド拡張部22の状態を表す部分画像を形成する。
また、装置本体40は、送受信部44、エコー信号処理部45及び画像形成部46を有する。送受信部44では、振動子20に対して送信信号群を出力し、振動子20が検出する受信信号群を入力する。送受信部44は、入力した受信信号群について整相加算等の処理を行い、次段のエコー信号処理部45に信号を出力する。エコー信号処理部45は、入力信号の対数圧縮、検波等の処理を行い、次段の画像形成部46に信号を出力する。画像形成部46は、入力信号の座標変換処理等を行って超音波画像を形成し、次段の表示処理部47に出力する。表示処理部47では、検出信号処理部42で形成された部分画像と、画像形成部46で形成された超音波画像とを合成する。表示処理部47において合成された合成画像は、装置側表示部48に表示される。このように、本発明の実施形態に係る経食道プローブ10は、プローブヘッド12の内部のヘッド拡張部22の状態を、操作部16の上のプローブ側表示部34に表示する機能を有している。あるいは、本発明の実施形態に係る超音波診断装置は、ヘッド拡張部22の状態を装置本体40の装置側表示部48の画面上に表示する機能を有している。
次に、この経食道プローブ10の構成について、その主要な構成部分ごとに分けて説明を示す。具体的には、プローブヘッドの構成について2つの構成例を示し、操作部について2つの構成例を示す。また、操作部の上に実装されるプローブ側表示部34の構成例について4つを例示する。
図3は、プローブヘッドの第1の構成例を示す断面図である。図3(A)はプローブヘッド12が非拡張状態にある場合の断面図を示しており、図3(B)は拡張状態での断面図を示している。(A)及び(B)はいずれも、プローブヘッド12を生体の食道に挿入した状態を示しており、食道の内壁を符号49A、49Bとして表している。(A)に示すように、プローブヘッド12の外装ケース50は、食道壁に当接させるための当接部材18を有し、その反対側の位置に背面部材26を有する。外装ケース50の中には、三角柱の形状をした三角ガイド52が外装ケース50に固着して設けられる。三角ガイド52の一部分は斜面60となっており、その斜面60は、(A)に示すように、Y軸の座標が増加するにつれてZ軸の座標が減少する左下がりの傾斜面となっている。そして、斜面60には曲面を持つスライド部材58が遊着される。スライド部材58は、断面が楕円形である円筒部材をその楕円形の短軸方向に沿って半分に分割した立体形状である。斜面60とYZ平面とが交差する直線の方向に凹型のガイド溝が掘られており、スライド部材58にはその凹型のガイド溝に沿って擦動する凸型の突起が設けられる。三角ガイド52には、2本のガイドピン54A,54BがX軸方向に立設されており、また外装ケース50にもガイドピン56が立設される。これら3本のガイドピンは、プローブヘッド内で不動のピンであり、挿入管14の内部から伸張するワイヤ28A、28Bが掛架される。ワイヤ28Aは、ガイドピン54Bと54Aに架けられて、スライド部材58の曲面部分58Aの近傍にある結節点59Aに結ばれる。また、もう1本のワイヤ28Bは、ガイドピン56に架けられ、曲面部分58Aの近傍にある結節点59Bに結ばれる。
上記の構成のもとにおいて、片方のワイヤ28Aを牽引すると、ワイヤ28Aがガイドピン54B、54Aの表面を滑って引き出されるので、牽引力を与えられたスライド部材58は斜面60に沿って斜め下方にスライドする。スライド部材58がスライドすると、もう一方のワイヤ28Bはプローブヘッド12の内部に送り出される。スライド部材58が移動すると、(B)に示す状態が形成され、曲面部分58Aが背面部材26を内側から押圧するので、背面部材26の形状が変形する。プローブヘッド12の厚みは、非拡張状態での厚さd1から、拡張状態での厚さd2に増加する。拡張状態でのプローブヘッド12の厚さd2は食道の内壁の間隔より大きくなり、背面部材26は食道壁49Bを押圧する。そして、当接部材18は食道壁49Aに密着し、振動子20が送受信する超音波の伝播経路が形成される。
プローブヘッドを元の状態に戻す場合には、ワイヤ28Bを引いて、スライド部材58を(A)に示す元の位置に戻す。プローブヘッド12の厚みがd1の長さに戻ると、食道内を前後に移動させることが可能となる。
このように、第1の構成例によれば、スライド部材58がプローブヘッド12のYZ断面の対角線に沿って移動するので、移動のストロークを長く取ることが可能となり、ワイヤ28A,28Bの移動量を大きく確保することができる。スライド部材58が直線の軌跡でスライドするので、ワイヤの変位量と、プローブヘッドの厚みの変化量とが線形の関係になり、厚み量を容易に把握することができる。背面部材26に対して斜めに力が加わるので、背面部材26を直接に押下するよりも、少ない力で押し出すことができる。
図4は、プローブヘッドの第2の構成例を示す断面図である。図4(A)はプローブヘッド13が非拡張状態にある場合の断面図を示しており、図4(B)は拡張状態にある場合の断面図を示している。(A),(B)において、図3に示す第1の構成例と同一の部品については、同じ符号を付しその説明を省略する。(A)に示すように、第2構成例においては、曲面部分64Aを有する回転材64が背面部材26の近傍に配置される。回転材64は、断面が楕円形である円筒部材をその楕円形の短軸方向に沿って半分に分割した立体形状を有している。その回転材64には、曲面部分64Aの反対側の平面近傍に、1つの貫通穴が設けられる。その貫通穴には、外装ケース50に固着された回転軸66が連接され、回転材64は回転軸66の周りを回動する。また、貫通穴を挟んでその両端には、ワイヤを結節するための結節点70A,70Bが設けられる。つまり、結節点70Aではワイヤ62Aが結び付けられ、結節点70Bではワイヤ62Bが結び付けられる。ワイヤ62Aは、外装ケース50に固定されたガイドピン68Aの上側を経由して付置される。また同様に、ワイヤ62Bは外装ケース50に固定されたガイドピン68Bの上側を経由して付置される。
非拡張状態において、ワイヤ62Aを引くと、結節点70Aに牽引力が加わる。結節点70Aと回転軸66は離れているので、ワイヤの牽引力は、回転軸66を中心とした回転モーメント力に転換される。よって、回転材64は反時計方向に回り始め、柔軟性のある膜で形成された背面部材26を押し下げる。テコの作用により、回転軸66が支点となり、結節点70Aが力点となって動作している。そして、回転材64が背面部材26と接触する部分が作用点となって、背面部材26を押し下げる力が発生する。その結果、(B)に示すような拡張状態が形成される。次に、もう一方のワイヤ62Bを引くと、回転材64は(A)に示す元の位置に戻る。これに伴って、プローブヘッド13は本来の原形状態すなわち非拡張状態の厚さに戻り、食道内を前後に移動させられる状態となる。
第2の構成例のプローブヘッド13においては、テコの原理が働くので、小さなワイヤ牽引量で大きな回転材64の移動量を得ることができる。また、第2の構成例におけるワイヤ牽引力は第1実施例よりも大きな力が必要となるが、回転材64の長さの設定に自由度があるので、拡張状態での厚みd2を非拡張状態での厚みd1の2倍以上に大きく確保することができる。また、背面部材26に弾力性の高い膜素材を使用すれば、ワイヤ62Aの牽引力を弱めた場合に、膜の弾力により回転材64を自然にプローブヘッド内に格納することができる。また、背面部材26を使用することにより、プローブヘッド内の防水を保つことができて、鋭利な形状で食道壁を押圧しないための緩衝材として活用することもできる。
第1及び第2のいずれの構成例を用いても食道壁を押圧することができる。本実施例においては、スライド部材58あるいは回転材64を用いているが、プローブヘッドを拡張させるためにはその他の手段を用いることもできる。例えば、水や空気の媒体を注入することにより伸縮自在なバルーンや、アコーディオン式に折り畳み可能な水袋あるいは空気袋を用いてプローブヘッドを拡張できる。
食道壁を押圧し、当接部材18を密着させれば、明瞭な超音波画像を形成することができる。但し、当然ながら、食道内のプローブヘッドの変形の様子を直接に目視することはできない。次には、プローブヘッドの状態を体外で確認できる表示機能を備えた操作部の構成について示す。
図5は操作部の第1の構成例を示す断面図である。操作部16は、挿入管14と信号伝送ケーブル17との間に設けられた流線形状の保持ケース74を支持部としている。保持ケース74には貫通穴が設けられ、その貫通穴にはハンドル76の回転軸78が貫入される。回転軸78には、プローブヘッドの厚みを変えるためのハンドル76と、ワイヤを架けるためのプーリ80が結合される。図5には1つのハンドル76を示しているが、実際のハンドルは関節部15(図2参照)を操作するためのハンドルを重ねて設置した多段ハンドルが用いられる。つまり、図5では、関節部15を操作するための関節駆動機構は図示省略している。本実施形態においては、回転軸78とハンドル76とプーリ80によってヘッド駆動部が構成される。そして、ヘッド駆動部とワイヤ28とによって駆動機構が構成される。(図5では1本のワイヤ28をプーリ80での折り返し位置から28A、28Bと区別している。)回転軸78の下端には、更に、回転軸の回転量を検出するためのセンサ82が設置される。センサ82には、装置本体40から直流電圧Vを供給するための電源供給線84が接続される。その直流電圧Vは、センサ82の出力信号を処置する検出回路85にも供給される。検出回路85からは信号線86A、86Bが引き出され、それらの信号線は保持ケース74の表面に実装された緑色のLED88と赤色のLED90とに接続されている。2個のLED88、90は本実施形態においてプローブ側表示部34として機能する。
操作部16の作用を示す。ハンドルを時計方向または反時計方向のいずれかの方向に回転させると、その回転量はプーリ80を介してワイヤ28に伝達される。プーリ80の回転に伴って、ワイヤ28A、28Bは、ある変位量Lだけ片側のワイヤが引き込まれ、他方のワイヤが同じ変位量Lだけ送り出される。ワイヤ28の変位量はスライド部材58あるいは回転材64の移動量に換算できるので、ハンドル76の回転量からプローブヘッド12の厚みを求めることができる。よって、プローブヘッド12の厚みを検出するためには、可動部を動かすための駆動機構の運動量をモニタすればよい。駆動機構の運動量としては、例えば、回転軸78の回転量、あるいはワイヤ28の変位量等が挙げられる。次に、図6を用いて回転軸78の回転量を検出するための手段について示す。
図6は、図5に示す回転軸78の下端部の拡大図である。図6に示す状態は、プローブヘッドが非拡張状態にある場合を示している。回転軸78には、扇形の遮光板92が接合される。遮光板92には、凹形状で光学検出式のリミットスイッチ94が近接して設置される。リミットスイッチ94は、その受光面と発光面の間の間隙に遮光板92を挟んで設置される。リミットスイッチ94の背面に接続されるコネクタ96には、電源供給線84、コモングランド線83、出力線81が接続される。
リミットスイッチ94は、その間隙に遮光板92が有るかどうかを検出するためのセンサである。つまり、遮光板92が挟まっている図6の状態では、出力線81にHighのレベル信号を出力する。回転軸78が回転して遮光板92の縁92Aが間隙から外れると、出力線81にはLowのレベル信号を出力する。なお、本実施例では、回転軸78の回転量は1回転以内であるが、回転軸78を多回転させる場合には遮蔽板92にスリットを設けて、回転量を検出する位相差パルスエンコーダをセンサとして用いてもよい。この場合には位相差パルスエンコーダの検出結果に応じてHigh/Lowのいずれかのレベル信号を出力する。
図5に戻って操作部16の作用を続けて示す。センサ82からの出力線81の信号は、検出回路85に入力される。検出回路85では、入力される信号がHigh/Lowのいずれかに応じて、2個のLED88、90の片方だけを点灯させる。本構成例においては、例えば、出力線81がHighである場合には、緑のLED88が点灯し、赤のLED90は消灯する。逆に、出力線81がLowである場合には、緑のLED88が消灯し、赤のLED90は点灯する。なお、検出回路85の具体的な回路構成については、後述する図11に示す。
このように、操作部の第1の構成例によると、操作部16の中においてヘッド駆動部の運動量を検出するので、プローブヘッド12の中に検出装置を設ける必要がなく、プローブヘッド12を小型のままに維持できる。また、操作部16に表示機能を付加したので、操作者の視界に確実に入る位置に、安全に関する有益な情報を表示できる。また、LEDをプローブ側表示部に採用したので視認性がよい。特に、超音波診断を行なうために薄暗くした診察室の中においてはLEDが有効である。
図7は操作部の第2の構成例を示す断面図である。図7において、図5に示す操作部16と同一の部品については、同じ符号を付しその説明を省略する。図7に示す操作部102は、操作部16と比較して駆動機構の運動量の検出手段が異なる。つまり、操作部16においては回転軸78の回転量を検出するが、操作部102においてはワイヤ28の変位量を検出する。具体的な手段として、直線方向に移動するワイヤ28A、28Bの移動量を電気抵抗の変化として検出するスライド式の可変抵抗器106A、106Bを設けている。それらの可変抵抗器に接続される信号線104Aには緑色のLED88が接続され、信号線104Bには赤色のLED90が接続される。可変抵抗器106A、106Bの本体部分は保持ケース74に固着されており、各スライド抵抗の擦動片108A、108Bはワイヤに固定されている。ここで、2つの擦動片108A、108Bは、プーリ80を挟んで手前側と奥側とで、互いに移動方向が異なるワイヤにそれぞれが固定されている。よって、ワイヤ28Aがプーリ80に引き込まれる方向に移動すると擦動片108Aはプーリ80に近づき、同時に、ワイヤ28Bに固定された擦動片108Aはプーリ80から離れる方向に移動する。2つの擦動片108A、108Bの移動量は方向が異なるだけで移動距離は一致する。なお、回転軸78の下端に回転量検出方式のポテンショメータを結合させて、回転軸78の回転量をポテンショメータで直接検出してもよい。
このように、ワイヤの移動量を電気抵抗の変化として検出すれば、LEDを流れる電流値を増減させられるので、緑色のLED88及び赤色のLED90の輝度を連続的に変化させるグラデーション表示が可能となる。また、緑色のLED88の輝度を低下させつつ、同時に赤色のLED90の輝度を高めるような、相反する輝度変化を発生させることができる。経食道プローブを操作する操作者にとっては、緑と赤の2個のLEDの輝度の強弱を見ることによって、プローブヘッドの膨らみ具合の大小を判断することができる。なお、2つの可変抵抗器106A、106Bを用いた検出回路の具体的な回路構成については、後述する図12に示す。
図8は操作部の表面上に実装されるLEDについて、実装の態様について4つの例を示した図である。まず基本的に、LEDの実装の位置は操作部を持つ手に隠れてしまわないような位置に表示することが望ましい。図8(A)に示すLED116は、流線型形状の保持ケースの上で、挿入管14に近い位置に実装されている。この1個のLED116は、緑色あるいは赤色などの単色発光用のLEDであってもよいし、2つの発光素子を1つのパッケージにまとめた2色発光用のLEDであってもよい。図8(B)に示すLED118はハンドル上で、中心軸からずれた位置に実装される。この態様によれば、ハンドルの回転に伴ってLED118の位置が変わるので、プローブヘッドの拡張レベルをLED118の位置によって判断することができる。例えば、ハンドルを回すことにより、LED118が円周上のある一定の位置まで移動した時に、LED118の発光色が切り替わるように設定されていたとする。すると、このプローブを操作する操作者は、ハンドル上のLEDの位置からプローブヘッドの膨らみ具合を想起することができ、ハンドルの回転角度からLEDが発光するまでどの程度の余裕があるのかを予め知ることができる。ハンドルを多回転させる場合には、LEDを点滅させ、点滅のパルス間隔を長短に変化させることで、プローブヘッドの膨らみ具合を判別できるようにしてもよい。図8(C)は、保持ケースの上で挿入管14に近い位置に色相の異なる2つのLED120、121を実装した例を示す。図8(D)は、同じく保持ケース上で、LED群122を直線に並べて実装した例を示す。図8(D)の態様においては、可動部の変位量に応じて、LEDの発光数を増減することにより、レベルメータとしての機能を備えることができる。なお、プローブ側表示部34としては数値を表示するための7セグメントディスプレイや液晶パネルなどの発光表示手段を使用してもよい。また、ブザーやスピーカなどの音響生成手段を用いることにより、音を発生させて操作者に注意を促すこともできる。
図9は、装置側表示部48に表示されるプローブヘッドの状態表示機能を示す図である。図9に示す各表示画像は、食道内にあるプローブヘッドを挿入管の軸方向に移動させても良いか否かの情報を操作者に提供するものである。図9(A)が非拡張状態における表示画像を示しており、図9(B)が拡張状態における表示画像を示している。図9(A)は、装置側表示部48に表示される1枚の画像124を模式的に示している。画像124の中央には、セクタ形状の超音波画像126が表示される。画像124の右上に示されるマークが、プローブヘッドの状態を示す部分画像128である。部分画像128の拡大図を図9(C)に示す。操作者は、この部分画像128を見て、プローブヘッドを挿入管の軸方向に動かせる移動許可の状態にあると認識する。図9(C)に示すように、プローブヘッドの先端部を模式的に示した形状132を中央部に配置し、その上下には食道壁を模式的に示した直線134A,134Bが記してある。また、食道内でのプローブヘッドの前後への移動を表す双方向の矢印136が記してある。ここで、符号132、134A、134B、136に示される図形を一括して図形137とする。その図形137の上には丸印138が重ねて表示される。カラー表示が可能な場合には、この丸印138は緑色又は青色のような寒色系の色で表示することが好ましい。
非拡張状態を示す図9(A)に対して、図9(B)には拡張状態における装置側表示部48の画像が示されている。そして、図9(D)は図9(B)の右上に示した部分画像130の拡大図である。図9(D)の部分画像は、図9(C)との比較で判るように図形137の上にバツ印140を重ねて表示してある。この図9(D)は、プローブヘッドが移動禁止の状態にあり、挿入管の軸方向に動かしてはならないことを意味している。カラー表示が可能な場合には、このバツ印140は赤色又は桃色のような暖色系の色で表示することが望ましい。このように、図9に示す画像表示は、プローブヘッドの非拡張状態を丸印138で代表的に表し、拡張状態をバツ印140で表す態様となっている。
なお、他の形態としては、図9(C)に示す図形137及び丸印138の表示色を変える態様であってもよい。つまり、部分画像を全て緑色で表示しておき、拡張状態に移行した場合には部分画像を全て赤色に変化させるようにしてもよい。また、本実施形態においては、非拡張状態と拡張状態とを区別することで、2つの部分画像の表示切り替え処理を行っている。よって、プローブヘッドがわずかに拡張しただけで、拡張状態を示す部分画像に切り替わる。ちなみに、部分画像の表示切り替え処理は、プローブヘッドがある規定の拡張レベルを上回ったときに実行されるように、閾値のレベルを高くしてもよい。このような態様によれば、プローブヘッドがわずかに拡張していても、食道内を安全に移動できる拡張レベルであることを確認しながら、プローブヘッドを移動させることができる。
このような部分画像の表示機能を備えることによって、超音波画像で診断対象の部位を観察しながら、同時にプローブヘッドの状態を確認できる。また、画像の明瞭さの判断を行なう上で、プローブヘッドの膨らみ具合を参照することができる。
図10は、装置側表示部48に表示される画像の右上の位置の部分画像について、他の表示例を示した図である。図10(A)が非拡張状態として表示される部分画像であり、図10(B)が拡張状態として表示される部分画像を示す。図10(A)には、プローブヘッドが拡張していない状態を意味する模式的な形状158が記されている。この形状158は緑色で表示される。図10(B)には、プローブヘッドが拡張している状態であることを示す形状162が記されている。この形状162は、プローブヘッドの背面部材の側が拡張していることを想起させるような形状となっている。この形状162は赤色で表示される。この表示例では、色相の区別を利用しているので、安全色と危険色を直感的に認識できる。なお、検出信号処理部42(図2参照)において、非拡張状態から拡張状態へ推移する中間の状態を判別して、緑と赤の中間色(例えば黄色や橙色)で中間状態を表示してもよい。部分画像の個々の図形デザインは、設計上の制約が少ないため、これら例示したもの以外にも様々な態様を適用することができる。
次に、図11から図15を用いて、センサ31、検出回路32、プローブ側表示部34(いずれも図2参照)において用いられる具体的な回路構成を示す。図11、図12、図13は、プローブ側表示部34としてLEDを用いる場合の回路構成を示している。図14、図15はプローブ側表示部34として、装置側表示部48を用いる場合の回路構成を示している。なお、本実施形態においては、リミットスイッチと可変抵抗器が検出手段に該当する。
図11には、第1の回路構成例を示す。この回路は、操作部16の上に実装された緑色のLED1と赤色のLED2のいずれか片側だけを点灯させるための回路である。リミットスイッチ94から出力される信号線81の電圧は、HighあるいはLowのいずれかのレベル信号である。トランジスタTr2はNOT素子166によって反転された信号で駆動される。よって、この回路構成によれば緑色のLED1と赤色のLED2とはいずれかの片側だけが点灯する。
図12には、第2の回路構成例を示す。この回路は、操作部16の上に実装された緑色のLED3と赤色のLED4の輝度の強弱を変化させるための回路である。緑色のLED3の輝度は可変抵抗器VR1の抵抗値の大小によって決定され、赤色のLED4の輝度は可抵抗器VR2の抵抗値の大小によって決定される。ここで、図12の回路図において、二重破線168が示してある。これは、2つの可変抵抗器VR1とVR2の擦動片が機械的に連結されていることを意味する。つまり、VR1の擦動片がノード170に一致すれば、VR1と機械的に結合されたVR2の擦動片はノード174に一致することを意味している。この回路構成において、可変抵抗器VR1の抵抗成分が増えれば、同時に、可変抵抗器VR2の抵抗成分は減ることになる。よって、2つの擦動片に機械的な作用が働くことにより、例えば緑色のLED3の輝度が減少すれば、赤色のLED4の輝度は増加することになる。つまり、この回路構成によれば、LED3及びLED4の輝度を連続的に変化させるグラデーション表示ができる。2色の発光素子が組み込まれたLEDを用いれば、互いの輝度を連続的に変化させて2色の中間色を表示させることができる。
図13には、第3の回路構成例を示す。この回路は、操作部16の上に実装された複数のLEDを駆動するための回路である。この回路は、図8(D)において示した複数のLED122を動作させるための回路に相当する。計10個のLED(LED11〜LED20)は、それぞれがコンパレータ(CMP1〜CMP10)の出力によって動作する。各コンパレータに入力される電圧の大小の判定基準は、9個の固定抵抗器(R11〜R19)によって均等に分圧された電圧値が用いられる。可変抵抗器VR3の抵抗値が変化すると、その抵抗変化に応じた電圧E1が全てのコンパレータに入力される。各コンパレータは比較の基準電圧と電圧E1とを比較して動作する。複数のLEDはいわばデジタル式のレベルメータのように動作する。つまり、この回路構成によれば、点灯するLEDの個数によってプローブヘッドの膨らみ具合を判別することができる。
図14には、第4の回路構成例を示す。この回路は、操作部16内の検出回路32で検出した結果を、装置本体40の検出信号処理部42に伝送するための回路である。リミットスイッチ94の出力結果は、電圧のHighあるいはLowのレベル信号として検出信号処理部42に伝送される。
図15には、第5の回路構成例を示す。この回路は、操作部16内の検出回路32で検出した結果を、連続的な値として検出信号処理部42に出力するための回路である。可変抵抗器VR4に印加されるアナログ電圧E2は、A/D変換器180によってデジタルデータに変換される。そのデジタルデータは検出信号処理部42に伝送される。検出信号処理部42に詳細な数値情報を送れるので、プローブヘッドの厚みの状態をより詳細に把握することができる。なお、A/D変換器180から検出信号処理部42に対して出力されるデータは、n本のデータバスを用いて出力するパラレルデータであってもよいし、あるいは時間的に連続したnビットのシリアルデータであってもよい。
なお、これまで経食道プローブに関する構成例を示したが、上記の構成は体腔内用の他の超音波プローブ(例えば、経直プローブ、経膣プローブ等)に対しても使用可能である。なお、以上述べた各構成例は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、選択的に組み合わせることが可能である。
10 経食道プローブ、12 プローブヘッド、14 挿入管、15 関節部、16 操作部、17 信号伝送ケーブル、18 当接部材、19 コネクタボックス、20 振動子、22 ヘッド拡張部、25 束線ケーブル、26 背面部材、27 多段ハンドル、28 ワイヤ、29 関節駆動部、30 ヘッド駆動部、31 センサ、32 検出回路、34 プローブ側表示部、40 装置本体、42 検出信号処理部、44 送受信部、45 エコー信号処理部、46 画像形成部、47 表示処理部、48 装置側表示部。