JP4816066B2 - 切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は着脱可能な切刃部を装着した切削工具に関し、特に被加工物の表面の鋳巣を防止する切削工具に関する。
この種の切削工具としては、図12及び図13に例示するものがある。図12に示した研削用カッタは、ディスク状の形態からなるカッタボデー2と、当該カッタボデー2の、その周縁部に、着脱自在なように設けられる複数のスローアウェイチップ1と、からなるスローアウェイチップ式の研削用カッタに関して、上記スローアウェイチップ1を、その切削刃面11上に、ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素(CBN)のうち、少なくともいずれか一方のものにて形成される砥粒を有するものである(例えば、特許文献1参照)。
図13に示した補修工具は、鋳物の鋳巣の補修工具10であり、薄い矩形板状で側面12、端面11及び下面22を有し、前記側面12上の下面22寄りに形成されたすくい面13が長細い矩形状を持ち、端面視で該側面12と直角な平面に対して45から80度を成し、前記側面12上の端面11寄りに形成された前記横切れ面17は三角形状を持ち、平面視で該側面12に対して5から10度を成すものである(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−253915号公報 特開2004−202562号公報
特許文献1に記載された研削用カッタ(図12参照)により鋳鉄、アルミニウム合金等からなる鋳造部品を切削加工した場合、上記鋳造部品の内部に存在する鋳巣が切削加工面の表面にあらわれるため、例えば、シリンダブロックとシリンダヘッドとの合わせ面では上記鋳巣が気密性を悪化し問題となることがあった。
特許文献2に記載された補修工具(図13参照)は、上記の問題を解決するためになされたものであるが、切刃部のすくい面13が大きな負のすくい角を付されていることから、研削加工中の研削抵抗が増大するほか、排出されない切屑がすくい面13に強固に付着するため、切削加工面の精度不良が生じたり加工面が傷付いたりするおそれがあった。乾式切削ではすくい面13における潤滑性が著しく低下するため該すくい面13ならびに加工面への切屑付着の問題はいっそう深刻となる。
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は鋳造部品の加工面の表面における鋳巣をなくし、切削中の切削抵抗を低減するとともに、切屑の排出性を高めた切削工具を提供することにある。
上記の課題を解決するため本発明は、工具軸心まわりに回転させられる工具本体の先端外周部に1つ又は複数の切刃部を設けた切削工具において、前記切刃部は、工具回転方向前方側を向くすくい面と、このすくい面の周縁部であって該切削工具の外周面から突出する外周切刃と、この外周切刃に連なり前記工具回転方向後方側に延在し該切削工具の外周側を向く外周逃げ面と、前記すくい面の周縁部であって該切削工具の先端面から突出し且つ前記工具軸心に略直交する正面切刃と、この正面切刃に連なり前記工具回転方向後方側に延在し前記工具軸心に略直交する平面もしくは曲面であって被加工物の表面に面接触する接触面と、を備え、前記接触面の面積を0.1mm2〜100mm2の範囲とし、前記すくい面と前記工具軸心とのなす角度であらわされるすくい角を−15°〜+45°の範囲に設定したことを特徴とする切削工具である。前記接触面が工具軸心に略直交するとは、具体的には該工具軸心とのなす角度が90°〜91°の範囲に設定されることをいう。
本発明の切削工具によれば、所定の面積に形成した前記接触面が前記工具軸心方向に作用する切削抵抗(スラスト力)を伴って被加工物の加工面に接触することから、前記接触面と前記加工面との間に生じる摩擦力により該加工面の表面近傍に塑性流動が生じる。この塑性流動によって鋳巣が覆われるため、気密性に優れた高品位の加工面が得られる。前記接触面の面積を0.1mm2〜100mm2の範囲としたのは、0.1mm2未満では、鋳巣を覆うほどの十分な塑性流動が生じ得ないおそれがあり、100mm2を超えると、切削抵抗が増大し加工面のうねりや主軸モータへの過負荷を招くおそれがあるからである。ここで、接触面と工具軸心とは互いに略直交するが、具体的には両者のなす角度は90°〜91°の範囲に設定されるものである。これは、90°未満になると、接触面の加工面に接触する面積が小さくなり、塑性流動が十分に生じないおそれがあり、91°を超えると、加工面の深さ方向において塑性流動する領域が大きくなるため、切屑排出が悪化し加工面に切屑が付着したり傷を付けたりするおそれがあるからである。
また、加工面の表面粗さを良好にすることと、加工面の塑性流動を十分に生じさせることに配慮して、接触面に連設した正面切刃を工具回転方向の法線上に投影した長さが、切削工具の1回転当たりの送り以上であり、さらに、接触面の工具回転方向の幅が0.1mmを超え10mm以下の範囲となるように形成されるのが望ましい。前記正面切刃を前記工具回転方向の法線上に投影した長さが、切削工具の1回転当たりの送り未満になると、加工面の表面粗さを悪化させるおそれがあり、過度に長くなると加工面の塑性流動が重複して生じるため該加工面の表面粗さや外観品位が悪化するおそれがあるため、前記1回転当たりの送りの3倍以下、好ましくは2倍以下の長さにすべきである。接触面の工具回転方向の幅が0.1mm未満になると、塑性流動が十分に生じないおそれがあり、10mmを超えると、切削抵抗の増大により加工面にうねりが生じる、接触面が被加工物から離脱する際にばりを生じさせる、等の問題が生じるおそれがある。なお、接触面を曲率の小さい曲面で形成しても加工面の表面近傍に塑性流動を生じさせることができる。加工面に塑性流動を生じさせるためには、前記曲面は、工具回転方向に沿って工具先端側(加工面側)に突出する凸曲面状とされ、その曲率半径が50mm以上に設定されるのが望ましい。
さらに、すくい面のすくい角を−15°〜+45°の範囲に設定したことにより、切屑の排出性を高めるとともに、すくい面、正面切刃及び接触面への被加工物の凝着(溶着、圧着)を抑制することができるので、乾式切削が可能となる。すくい角を上記の範囲に限定したのは、−15°よりもさらに負側になると、切削抵抗、特に軸方向分力(スラスト力)が増大するため、加工面にうねりが生じるおそれがあり、45°を超えると、正面切刃の刃先が鋭利になって欠損等の損傷が生じるおそれがあるからである。なお、前記すくい角は、前記すくい面が工具軸心と平行である場合を0°とし、すくい面が切削工具の工具先端側に向かうにつれ回転方向前方側に向かうように傾斜した場合を正としている。
本発明において、切削工具は工具軸心まわりに回転するとともに、その工具軸心に直交する方向に送られて切削加工することになるが、このとき外周面と被加工物との接触による切削抵抗の増大を防止するため、外周逃げ面と被加工物との間に逃げを設けることが望ましい。
さらに、工具本体の先端外周部に2つ以上の切刃部を設ける場合には、これら切刃部に設けた正面切刃の工具軸心方向の振れを小さくして高精度な加工面を形成するため、前記切刃部を前記工具軸心方向に進退可能とする微調整手段を備えることが望ましい。
さらに、工具軸心方向の切込みを増し高能率な加工を行うことに配慮して、前記切刃部に先行して切削を行う先行切刃部を1つ又は複数備えることが望ましい。
次に、本発明を適用した実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は第1実施形態である切削工具の正面図である。図2は図1に示す切削工具の底面図である。図3の(a)及び(b)は図1に示す切削工具に装着される切刃部材の正面図である。図4は図3に示す切刃部材の底面図である。
図1及び図2に示すように、切削工具は、工具軸心CLまわりに回転させられる略円板状の工具本体10の先端外周部を切欠くように形成された1つの取付け溝11に、切刃部30を備えた切刃部材20がねじ部材40によって着脱可能に装着されてなる。工具本体10の工具基端側には、図示しない工作機械の主軸に直接又は保持具を介して連結するための中央貫通穴12と基端面10aとが形成されている。図3及び図4に示すように切刃部材20は、略直方体をなし、上面20aの中央部に厚さ方向に沿って延びる取付け穴21が上下面20a、20bを貫通するように形成され、長方形をなす下面20bの1つの短辺には、該下面20bから厚さ方向に突出する突条からなる切刃部30が形成されている。切刃部30は、前記突出する方向を向く長方形の平坦面からなる接触面31と、この接触面31に交差する周面20cからなるすくい面32と、このすくい面32と接触面31との交差稜線に形成された正面切刃33と、すくい面32の前記正面切刃33に略直交する一辺に形成された外周切刃35と、この外周切刃35に続く周面20eに形成された外周逃げ面36とから構成される。なお、突条の切刃部30に対して凹んだ下面20bは正面逃げ面34となる。切刃部30の材質は、被加工物の材質や加工条件に応じて、超硬合金、サーメット、セラミックス等の硬質材料やダイヤモンド又はcBNを含有した多結晶焼結体等の超硬質材料から選択される。
切刃部材20は、その上面20aが工具本体10の取付け溝11の底面11aに当接するとともに、そのすくい面32に対向する周面20d及び外周逃げ面36に対向する周面20fが対応する前記取付け溝11の壁面11b、11cにそれぞれ衝合し、その取付け穴21に挿通されたねじ部材40を前記取付け溝11の底面11aに設けた雌ねじ穴(図示しない)にねじ込むことによって着脱自在に装着されている。工具本体10に装着された切刃部材20において、正面切刃33は工具本体10の先端面10bから突出するとともに工具軸心CLに略直交し、外周切刃35は工具本体10の外周面10cから突出するとともに工具軸心CLと略平行となっている。図1において、工具回転K方向を向くすくい面32は、工具先端側に向かうにつれ前記工具回転K方向後方側に向かうように傾斜し、工具軸心CLに対する傾斜角度であらわしたすくい角αが−7°の負角とされている。正面切刃33を挟んで前記すくい面32と交差し工具先端側を向く接触面31は、前記工具軸心CLに略直交し、被加工物の加工面と面接触するように形成されている。前記接触面31が工具軸心CLに略直交するとは、具体的には該工具軸心CLとのなす角度γが90°〜91°の範囲に設定されることをいう。さらに、被加工物の加工面と面接触する接触面31の面積Sは、0.1mm2〜100mm2の範囲とされている。図2において、外周逃げ面36は工具回転K方向の接線Tよりも内側に向かって傾斜しており、正の逃げ角βが付されている。さらに好適には、工具回転K方向の法線N上に投影された正面切刃33の長さLwは、本切削工具の1回転当たりの送り量よりも大きく設定される。工具本体10には、切刃部材20のすくい面32の工具回転K方向前方側に該すくい面32に連続して切屑ポケット14が形成されている。
以上に説明した切削工具は、その工具軸心CLまわりに回転させられるとともに、前記工具軸心CLに直交する方向に送られることにより、主に外周切刃35が被加工物を切削し、正面切刃33が被加工物の加工面を形成し、正面切刃33に続いて接触面31が加工面表面に面接触する。このとき、接触面31は、工具軸心CL方向の切削抵抗(スラスト力)によって加工面表面に押し付けられているため、該加工面表面との間で生じる摩擦力によって該加工面表面近傍を塑性流動させる。それと同時にバニッシュ作用により加工面表面の平坦化ならびに平滑化させる。前記接触面31と工具軸心CLとのなす角度γが90°未満になると、該接触面31の加工面に接触する面積が小さくなり、前記塑性流動が十分に生じないおそれがあり、91°を超えると、前記バニッシュ作用が大きくなりすぎて該接触面31に被加工物が付着し、加工面の表面粗さを低下させるおそれがある。
鋳鉄、アルミニウム合金等の鋳造部品においては、加工面の表面近傍の塑性流動によって鋳巣が覆われるため、加工面の気密性が改善する。ここで、鋳巣を完全に覆う程度の十分な塑性流動を生じさせることに配慮して、接触面31の面積Sは0.1mm2〜100mm2の範囲に設定されている。前記面積Sが0.1mm2未満では、塑性流動が不十分なため鋳巣が完全に覆われないおそれがあり、100mm2を超えると、切削抵抗が増大し加工面のうねりや工作機械の主軸モータへの過負荷を招くおそれがある。好適には、図3の(a)に示すように、接触面31の短辺に沿う方向の幅、言い換えれば、工具回転K方向に延在する幅Lgは、0.1mm〜10mmの範囲とされる。これは、前記幅Lgが0.1mm未満になると、塑性流動が十分に生じないおそれがあり、10mmを超えると、切削抵抗の増大により加工面にうねりが生じる、接触面31が被加工物から離脱する際にばりを生じさせる、等の問題があるからである。また、図3の(b)に示すように、接触面31を曲面に形成しても加工面の表面近傍に塑性流動を生じさせることができる。加工面に鋳巣が完全に覆われる程度の十分な塑性流動を生じさせることに配慮して、前記曲面は、接触面31の短辺の方向(工具回転K方向)に沿って工具先端側(加工面側)に突出する凸曲面状とされ、その曲率半径Rが50mm以上に設定されるのが望ましい。
さらに、すくい面32のすくい角αを−7°に設定したことにより、該すくい面32の工具回転K方向前方側には十分に大きな切屑排出スペースが確保されて切屑排出性が高められることから、すくい面32ならびに加工面への被加工物の付着がなく傷付きがなく表面粗さに優れた加工面が得られ、切削液を用いない乾式切削でもすくい面ならびに加工面への切屑の付着が抑制される。前記すくい角αの好ましい範囲は、−15°〜45°の範囲であった。この理由は、比較的切屑排出性に劣りすくい面32に切屑が付着しやすい鋳造アルミニウム合金を用いて評価を行った結果、−15°よりもさらに大きな負角になると、切削抵抗、特に軸方向分力(スラスト力)が増大するため、加工面にうねりが生じたりすくい面32や接触面31に切屑が強固に付着したりするからであり、45°よりもさらに大きい正角になると、正面切刃33の刃先が鋭利になって欠損等の損傷が生じてしまうからである。
さらに、工具回転K方向の接線Tに対して外周逃げ面36は、正の逃げ角βが付されることにより、外周逃げ面36と被加工物との間には逃げが設けられて、前記外周逃げ面36の接触が最小限に抑えられ切削抵抗の増大が抑制される。例えば、前記逃げ角βは0°よりも大きく且つ20°以下の範囲に設定されている。したがって、切込み増大に対する切削抵抗の増大が緩やかになるため、切込みの大きい加工が可能となる。
次に、本発明を適用した第2実施形態について図面を参照しながら説明する。図5は第2実施形態である切削工具の正面図である。図6は図5に示す切削工具の底面図である。図7は図5に示す切削工具に装着される切刃部材を説明する図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図、(c)はB矢視図、(d)は(b)のA矢視図におけるC部拡大図である。なお、以下の説明において既述した第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5及び図6に示す切削工具は、工具本体10の先端外周部に、円周方向に沿って略等間隔に6つの取付け溝11が形成され、これら取付け溝11に切刃部30を備えた切刃部材20が楔部材50によって着脱可能に装着されてなる。図7に示すように切刃部材20は、略四角形板状をなす台金20Aの上面20aの一辺部に切欠き形成された段部22に略長方形板状をなす切刃部30がろう付けにより固着されてなる。切刃部30は、その長方形状の上面からなるすくい面32と、台金20Aの前記一辺部から突出する前記長方形状の一つの長辺に形成された正面切刃33と、この正面切刃33に連なる側面の途中までに形成された平坦な接触面31と、前記正面切刃33に交差する前記長方形状の一つの短辺に、台金20Aの周面20eから突出するように形成された外周切刃35と、この外周切刃35に連なる側面に形成された外周逃げ面36と、から構成されている。さらに、前記接触面31に続いて該接触面31から内側に向かって傾斜した正面逃げ面34が形成されている。台金20Aは超硬合金で製作され、切刃部30はダイヤモンドを含有する多結晶焼結体で製作されている。
工具本体10の各取付け溝11の工具回転K方向後方側には、これら取付け溝11に連続した楔部材挿入溝12が形成されており、各楔部材50は、これら楔部材50に螺合したねじ部材51を前記楔部材挿入溝12の底面12aに設けられた雌ねじ穴(図示しない)に螺合することによって各楔部材挿入溝12に設置されている。さらに、各取付け溝11の工具基端側に位置する壁面11cに設けられた雌ねじ穴(図示しない)には、微調整手段となる微調整部材60が前記雌ねじ穴の軸心方向に進退自在に螺入されている。各切刃部材20は、それらのすくい面32を工具回転K方向に向け、正面切刃33及び外周切刃35を工具本体10の先端面10b及び外周面10cからそれぞれ突出するように、各取付け溝11内に配されていて、その台金20Aの上面20aを取付け溝11の工具回転K方向前方側に位置する壁面11bに当接し、工具内周側を向く周面20fを前記取付け溝11の底面11aに衝合し、さらに工具基端側を向く周面20dを微調整部材60に接触した状態で、該切刃部材20の工具回転K方向後方側に設置した楔部材50をねじ部材51の操作により楔部材挿入溝12の底面12a側に沈下させることにより、該切刃部材20の下面20bが前記楔部材50によって取付け溝11の工具回転K方向前方側に位置する壁面11b側に押圧されて取付け溝11に装着されている。各取付け溝11の工具回転K方向前方側には、切刃部材20のすくい面32に連続して切屑ポケット14がそれぞれ切欠き形成されている。
工具本体10に装着された切刃部材20において、正面切刃33は工具本体10の先端面10bから突出するとともに工具軸心CLに略直交し、外周切刃35は工具本体10の外周面10cから突出するとともに工具軸心CLと略平行となっている。工具回転K方向を向くすくい面32は工具先端側に向かうにつれ前記工具回転K方向前方側に向かうように傾斜し、すくい角αが本発明の範囲内である10°の正角となるように工具軸心CLに対して傾斜している。工具先端側を向く接触面31は、工具軸心CLとのなす角度が90°であり、被加工物の加工面と面接触するように形成されている。ここで、被加工物の加工面と面接触する接触面31の面積Sは、0.1mm2〜100mm2の範囲とされている。外周逃げ面36は外周切刃35の接線Tよりも内側に向かって傾斜しており、正の逃げ角βが付されている。さらに好適には、工具回転K方向の法線N上に投影された正面切刃33の長さLwは、本切削工具の1回転当たりの送り量よりも大きく設定される。
以上に説明した第2実施形態の切削工具は、既述した第1実施形態と同じように以下の作用効果を奏する。接触面31が加工面表面を切削するとともに該加工面表面近傍を塑性流動させ鋳巣を覆うことにより、気密性に優れた高品位の加工面が得られる。さらに、該すくい面32の工具回転K方向前方側には十分に大きな切屑排出スペースが確保されて切屑排出性が高められることから、すくい面32ならびに加工面への被加工物の付着がなく傷付きがなく表面粗さに優れた加工面が得られ、切削液を用いない乾式切削でもすくい面32ならびに加工面への切屑の付着が抑制される。しかも、外周逃げ面36と被加工物との間に逃げが設けられるため、切削抵抗の増大が抑制され切込みを大きくした切削加工が可能となる。これらの効果に加えて第2実施形態においては、全ての切刃部材20は、微調整部材60を雌ねじ穴に対して螺出することによって、工具先端側にせり出し可能となっているため、各正面切刃33の工具本体10の先端面10bから突出する量をほぼ揃えることができる。そのため、送りの高い高能率加工において、加工面の表面粗さが悪化するのを防止する。
本実施形態の切削工具を用いて、アルミニウム合金鋳物AC2B−T6(JIS H5202)からなる被加工物を切削加工した実施例を以下に説明する。本切削工具の刃先径は125mm、刃数は6枚、切削条件は、切削速度(周速)が毎分1500m、1刃当たりの送りが0.4mm、切込みが0.4mmの乾式切削である。接触面31の面積Sを0.08mm2、0.1mm2、50mm2と変化させたときに、それぞれの加工面の表面にあらわれる鋳巣を観察した結果を図8に示す。この図からわかるように、接触面31の面積Sを0.08mm2とした場合、鋳巣(図中黒色を呈する部分)は塑性流動によって完全に覆われず加工面表面にあらわれたのに対し、前記面積Sを0.10mm2とした場合には、鋳巣は塑性流動に覆われて加工面表面にあらわれなかった。しかし、図中の黒っぽい部分で示されるように、ぼんやり透けて見えるほど、かろうじて覆われた状態であった。前記面積Sを50mm2とした場合には、鋳巣は十分な厚みの塑性流動層によって覆われるため、まったく鋳巣の形跡が見られず外観上高品位な加工面が得られた。接触面31の面積Sをさらに大きくしても同じ結果が得られたが、100mm2を超えると、切削抵抗の増大により加工面のうねりが発生し、さらに面積Sを大きくしていくと工作機械の主軸モータが過負荷となり切削不能となった。図8に示す全ての加工面において、表面の平滑性は接触面31によるバニッシュ作用により非常に良好であった。
同様な切削工具において、切刃部30の材質をCBNに変更し、接触面31の面積Sを50mm2に固定し、全ての正面切刃33の突出量のばらつきを微調整部材60によって5μm以内に調整して、ねずみ鋳鉄FC250(JIS G5501)を切削加工した。切削条件は、切削速度(周速)が毎分1000m、1刃当たりの送りが0.2mm、切込みが0.2mmの乾式切削である。得られた加工面の断面曲線を図9に示す。この図からわかるように、加工面の表面粗さ(JIS B0601:'01)は、算術平均粗さRaが0.427μm、十点平均粗さRzjisが2.632μm、最大高さRzが3.632μmであり、該加工面の表面に傷付きや切屑付着がなく鋳巣が完全に覆われて外観上高品位な加工面が得られた。さらに、送りを高めた場合においても、正面切刃33の突出量が5μm以内に揃っていたため、うねりや段差等がないきわめて平坦な加工面が維持された。
図10は本切削工具の変形例を説明する正面図である。図11は図10に示す切削工具に装着される先行切刃部材を説明する図であり、(a)は正面図、(b)はX矢視図、(c)はY矢視図である。図10に示すように、この切削工具において、工具本体10に装着された1つの先行切刃部材20Sは、他の5つの切刃部材20よりも外周切刃35の長さが大きく、大きな切込みに対応できるもので、他の全ての切刃部材20よりも先行して被加工物を切削するものである。図11に示すように、この先行切刃部材20Sの先行切刃部30Sにおいて、接触面31は形成されず、すくい面32に続いて被加工物に対して逃げ角を確保するための正面逃げ面34のみが形成されている。外周切刃35に続く外周逃げ面36は、該外周切刃35の接線Tよりも内側に向かって傾斜しており正の逃げ角βが付されているため、該外周逃げ面36と被加工物との間に逃げが設けられて、該外周逃げ面36の接触が最小限に抑えられ切削抵抗の増大が抑制される。
上述したように、先行切刃部材20Sの外周切刃35が先行して被加工物を切削するとともに、他の5つの切刃部材20の接触面31が加工面表面に面接触し塑性流動を生じさせるため、工具本体10上で前記先行切刃部材20Sは、他の5つの切刃部材20に対して、外周切刃35が径方向外側に出っ張り且つ正面切刃33が工具基端側に引っ込んでいる。先行切刃部材20Sの外周切刃35の前記出っ張り量は、本実施形態では切削工具の1回転当たりの送り量よりも大きく、正面切刃33の前記引っ込み量は、他の5つの切刃部材20への切込み負担を小さくすることに配慮して、例えば0.02mm〜0.5mm程度の範囲に設定される。なお、先行切刃部材20Sの外周切刃35の前記出っ張り量は、先行切刃部材20Sの個数によって変更可能であり、例えば、同数の先行切刃部材20Sと切刃部材20を交互に配置した場合には、少なくとも切削工具の1刃当りの送り量よりも大きくなればよい。
このようにした場合には、先行して切削する先行切刃部材20Sが切込みの大きい荒加工切削を行った後、切刃部材20が切込みの小さい仕上げ切削加工を行うと同時に、該切刃部材20の接触面31が加工面表面近傍を塑性流動させることから、1つの切削工具で高能率な切削加工と高品位な加工面を得ることが可能となる。先行切刃部材20Sの個数は1つに限定されず、例えば、工具回転K方向で先行切刃部材20Sと切刃部材20とを交互に装着してもよいし、あるいは、切刃部材20を1つにして、残り全てを先行切刃部材20Sとしてもよい。
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、切刃部材を固定する手段、切刃部材の形状、切刃部の材質等については、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
第1実施形態である切削工具の正面図である。 図1に示す切削工具の底面図である。 (a)及び(b)は図1に示す切削工具に装着される切刃部材の正面図である。 図3に示す切刃部材の底面図である。 第2実施形態である切削工具の正面図である。 図5に示す切削工具の底面図である。 図5に示す切削工具に装着される切刃部材を説明する図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図、(c)はB矢視図である。 図5に示す切削工具による加工面の表面の拡大写真である。 図5に示す切削工具による加工面の断面曲線である。 第2実施形態の切削工具の変形例を説明する正面図である。 図10に示す切削工具に装着される先行切刃部材を説明する図であり、(a)は正面図、(b)はX矢視図、(c)はY矢視図である。 従来の切削用カッタを説明する斜視図である。 従来の鋳巣を補修する補修工具の正面図である。
符号の説明
10 工具本体
11 取付け溝
20 切刃部材
20S 先行切刃部材
30 切刃部
30S 先行切刃部
31 接触面
32 すくい面
33 正面切刃
34 正面逃げ面
35 外周切刃
36 外周逃げ面
60 微調整部材(微調整手段)
CL 工具軸心
α すくい角
S 接触面の面積
K 工具回転方向

Claims (4)

  1. 工具軸心まわりに回転させられる工具本体の先端外周部に1つ又は複数個の切刃部材が設けられた切削工具において、前記切刃部材は
    上面と、
    該上面に平行で且つ上面と同形状の下面と、
    前記上面に連なりその法線が工具回転方向前方を向くすくい面と、
    該すくい面および前記上面に連なり、工具回転方向後方側に延在し、その法線が工具本体の外周側を向く外周逃げ面と、
    該外周逃げ面と前記すくい面との交差稜線部に形成され、前記工具本体の外周面から突出する外周切刃と、
    前記下面に対してそのすくい面側で隣接し、且つ上面との間隔が上面と下面との間隔よりも大きい接触面を有し、該接触面が前記すくい面と交差する切刃部と、
    該切刃部の接触面と前記すくい面との交差稜線部に形成され、前記工具本体の先端面から突出し且つ前記工具軸心に略直交する正面切刃と、を備え、
    前記切刃部の接触面は前記工具本体の工具軸心に対して略直交し、
    該接触面の面積は0.1mm2〜100mm2の範囲であり、
    前記工具本体を先端側から見たとき、 前記外周逃げ面は工具本体の回転方向の接線に対して工具本体の内側に向かって傾斜し、
    前記すくい面と前記工具軸心とのなす角度であらわされるすくい角が−15度から+45度の範囲であることを特徴とする切削工具。
  2. 前記接触面が前記工具本体先端方向に凸な凸曲面であって、その曲率半径が50mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記切刃部材の工具本体先端からの突出量を調整するための微調整部材が、切刃部材よりも工具本体基端側に切刃部材に接触した状態で配設され、該微調整部材は前記工具本体の工具軸心方向に進退可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の切削工具。
  4. 前記切刃部の外周切刃よりも長い外周切刃を有し、且つ被加工物の表面に面接触する接触面を有さない先行切刃部を1つ又は複数備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の切削工具。
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