以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
図1は、炊飯器の模式的な全体構成を示している。同図において、1は本体、2は本体1の外郭を成す外枠で、外枠2の底部には、その開口を覆い本体1の底面外郭を形成する底板3が嵌合し固定されている。また、外枠2の内部には、有底筒状の鍋収容部4が配設され、この鍋収容部4に被炊飯物を収容する容器たる鍋5が着脱自在に装着される。鍋5の上部には、水平方向外側に延出したフランジ部6が形成されており、このフランジ部6の下面を外枠2の内周上端部に載置することで、鍋収容部4の内部にて鍋5が吊設状態に収容される。
7は、鍋5の外側に設けられた鍋加熱手段としての加熱コイルである。加熱コイル7は、鍋5の外底面部から外側面下部にかけて、鍋収容部4の外側に配置されており、この加熱コイル7に所定の高周波電流を供給することで、鍋5の外面に接合した磁性金属材料からなる発熱体(図示せず)を発熱させて、鍋5を電磁誘導加熱する構成となっている。また、鍋収容部4の開口する底部中央には、鍋温度検出手段たる鍋温度センサ8が設けられる。鍋温度センサ8は鍋5の外底面に当接しており、鍋5の温度を検出するようになっている。
本体1の内部には、加熱コイル7に高周波電流を供給し、且つ加熱コイル7の加熱出力を調節するインバータ回路や、電源電圧を検知する電源電圧検知回路(図示せず)などを備えた加熱ユニット11が、基板13に実装される。また、その他に本体1の内部には、本体1の前面に設けた操作パネル14に対向して制御ユニット15が設けられると共に、電源電線巻取り機構に相当するコードリール16が、本体1の後方に位置して設けられる。なお、操作パネル14を後述する蓋体21に設けてもよい。
21は、本体1ひいては鍋5の上面開口部を覆う蓋体である。この蓋体21は、蓋体21の外観部品となる外蓋22と、蓋体21の外周下部にあって、鍋5の上部を覆う外蓋カバー23と、蓋体21の下面(蓋体下面)をなし、鍋5の上面開口部に対向する部分を形成する蓋下面部材24とを主な構成部品としている。また、蓋下面部材24を覆うようにして、鍋5の上面開口部を直接覆う内蓋25が設けられる。内蓋25の外周には、図示しない環状の蓋パッキンが装着され、この内蓋25および蓋パッキンを含む内蓋組立体が、蓋下面部材24に対し着脱可能に設けられる。
蓋体21は、本体1の後方に設けたヒンジスプリングを有するヒンジ部26によって、本体1と軸支される。また、ヒンジ部26と反対側にある本体1の前側には、蓋体係止部たるクランプボタン27が設けられており、このクランプボタン27によって蓋体21の前方部を係止することで、内蓋25の外周に設けた前記蓋パッキンが鍋5のフランジ部6上面に当接する状態になる。なお、本実施例では、内蓋25が鍋5の上面開口部を直接覆っているが、内蓋25を無しにして、蓋下面部材24により鍋5の上面開口部を直接覆う構成としてもよい。
蓋体21の内部には、蓋下面部材24または内蓋25を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ28と、内蓋25の上面に当接してこの内蓋25ひいては蓋体21の温度を検出する蓋温度検出手段としての蓋温度センサ29などが設けられる。なお、蓋温度センサ29は、内蓋25の温度ではなく、蓋下面部材24の温度を検出するようにしてもよい。
31は、前記内蓋25に開口形成された連通孔で、これは内蓋25により閉ざされた鍋5の内外を連通させるためのものである。また、この連通孔31に対向して、管状の連通部32の一端に位置する吸込孔33が、蓋下面部材24に開口形成される。連通孔31と吸込孔33の周囲に位置して、蓋下面部材24と内蓋25との間には、弾性を有する環状のパッキン34が密着状態に設けられ、これにより連通孔31から吸込孔33に至る連通路が形成される。
前記連通孔31の上方には、連通部32を開閉する連通開閉切替手段部として、電磁弁による開閉手段35が設けられる。開閉手段35は連通部32の途中にあって、内蓋25の連通孔31に連通する連通口35Aと、排出用の排出口35Bとをそれぞれ備えており、排出口35Bは蓋体21の内部に設けた減圧手段37と連通している。つまり、連通部32は、開閉手段35の連通口35Aと連通孔31とを繋ぐと共に、開閉手段35の排出口35Bと減圧手段37とを繋いでいる。
減圧手段37は、例えば電動機による動力を利用したポンプでもよいし、コンプレッサーなどで構成してもよい。本実施例では、ポンプ式の減圧手段37を使用する形態とする。また、減圧手段37は蓋体21の内部後方に設けられるが、鍋5を収納する本体1の内部に設けてもよい。その場合、連通部32を蓋体21から本体1の内部にかけて延設することになるので、連通部32の途中にある開閉手段35は、蓋体21にではなく本体1の内部に設けても構わない。開閉手段35の排出口35Bと減圧手段37との間を連結する連通部32は、例えば可撓性を有するチューブで構成される。
次に、図2のブロック図を参照して、本実施例における炊飯器の電気的構成を説明する。同図において、38は、炊飯,保温,予約,時計および切などの炊飯動作に関わる複数のスイッチからなる操作部である。また39は、時計の時刻や予約炊飯の予約時刻のみならず、例えばLCDなどで各種炊飯メニューや炊飯行程などを表示する表示部である。これらの操作部38や表示部39は、何れも操作パネル14に設けられる。
41は例えばマイクロコンピュータからなる制御手段で、この制御手段41は、予め記憶手段(図示せず)に格納記憶した制御シーケンスにしたがって、炊飯や保温に関わる一連の加熱動作を行なう機能を有している。また、加熱手段である加熱コイル7の加熱量を可変制御するために、制御手段41の出力側には、加熱コイル7に供給する高周波電流を可変調節する電流調節手段42と、加熱コイル7を通断電する通断電手段43が接続される。さらに、制御手段41は加熱コイル7のみならず、蓋ヒータ28を通断電制御したり、制御ユニット15に実装される操作パネル14の表示部39を表示制御するように構成している。通断電手段43は、加熱コイル7による鍋5の加熱を断続的に調節可能とするものであり、インバータ回路と共に加熱ユニット11に設けられる。
制御手段41の入力側には、前記鍋温度センサ8,蓋温度センサ29が接続され、これらの各情報と、制御手段41に内蔵する計時手段(図示せず)の時間管理に基づき、加熱コイル7の出力および通電率を適切に調節して、炊飯や保温時に鍋5を電磁誘導加熱する構成となっている。制御手段41は、炊飯器として所定の加熱動作を行なわせるために、鍋5内の水温を60℃以下の高温にして米の吸水を促進するひたし工程と、鍋5内の水を沸騰温度にまで上昇させ、その後加熱コイル7の加熱量を減じて沸騰を維持させる沸騰工程と、鍋5の温度が所定の温度上昇を示した場合(炊上げ検出)に、さらに加熱量を減じて行なうむらし工程を順次実行する炊飯制御手段45を備えている。また、この炊飯制御手段45による炊飯加熱の後に、鍋5内の被炊飯物を所定の保温温度(例えば73℃)に保持する保温制御手段46を備えている。この保温制御手段46による被炊飯物の保温は、炊飯後自動的に行なうか、若しくは操作部38の操作で保温から開始するいずれかを選択できるようになっている。そして、蓋ヒータ28は、少なくとも炊飯中と保温を開始した後に内蓋25を加熱して、結露を抑制する構成になっている。なお、蓋加熱手段たる蓋ヒータ28は、本実施例のような電熱式のヒータでも電磁誘導加熱式のものでもよい。
制御手段41は、加熱コイル7や蓋ヒータ28に対する制御とは別に、前記開閉手段35や減圧手段37の動作を制御する減圧制御手段47を備えている。この減圧制御手段47は、制御手段41に内蔵する計時手段(図示せず)の時間管理と、好ましくは減圧手段37に供給する電気量として、例えば電流を検知する検知手段48からの検知信号とを加味しながら、開閉手段35による連通部32の開閉タイミングと、減圧手段37の駆動タイミングをそれぞれ制御する機能を有している。なお検知手段48は、減圧手段37に供給する電圧や電力を検知するものであってもよい。こうして、制御手段41からの信号を受けて、加熱コイル7や蓋ヒータ28のみならず、開閉手段35や減圧手段37などが駆動するようになっている。
なお、前記検知手段48は、制御手段41の一部として設けてもよいし、制御手段41と別体としてもよい。ここでの検知手段48は、減圧手段37に供給する電気量(電流、電圧、電力など)を何らかの状態で検知できれば、どのような構成であっても構わない。
図3は、制御手段41に相当するマイコン51周辺の回路構成を示したものである。同図において、52はマイコン51を含む炊飯器の各回路すなわち炊飯器回路であり、53は炊飯器回路52に電力を供給する主電源としての商用電源である。炊飯器回路52は、前記マイコン51の他に、商用電源53からの交流電圧(例えば)AC100Vを直流電圧(例えばDC5V)に変換する電源回路54と、電源回路54で変換した電圧よりも低い電圧(例えば、初期状態でDC3.3V)を発生するバックアップ用の電池55と、電源回路54からの出力電圧(商用電源53の通電時にはDC5V,停電時には0V)と、電池55からの出力電圧の何れか高い方をマイコン51に供給する電源切替回路56と、前記操作部38を含むスイッチ回路57と、前記鍋温度センサ8や蓋温度センサ29を含む温度検出回路58と、商用電源53の有無を検出する停電検出回路59と、前記表示部(LCDやLED)39を含む表示回路60と、加熱コイル7や蓋ヒータ28の駆動回路としての加熱手段駆動回路61と、源振となるセラミック発振子62および水晶発振子63とを備えている。
マイコン51は、炊飯器としてシステム全体の動作制御を司るもので、ここでは各種プログラムやデータを記憶するRAMやROMなどの記憶手段たる記憶回路71と、記憶回路71から読み出したプログラムを実行する演算手段としてのコア回路72と、入出力回路73とを備えている。入出力回路73は、マイコン51と他の回路との信号のやり取りを行なうためのもので、その入力ポートには、前記スイッチ回路57と、温度検出回路58と、停電検出回路59がそれぞれ接続されると共に、その出力ポートには、表示回路60と加熱手段駆動回路61がそれぞれ接続される。この中で停電検知回路59は、商用電源53が正常に電力を供給している時、すなわち商用電源53から炊飯器回路52にAC100Vが供給されている時に、通常の通電時であると判断して、マイコン51に例えばHレベル(DC5V)の通電信号を送り、商用電源53からの電力供給が途絶えている時、すなわち商用電源53から炊飯器回路52に供給される電圧が低下または遮断されると、停電時であると判断して、例えば別なLレベル(0V)の停電信号を送るようになっている。なお、マイコン51の入出力回路73に接続する各回路は、この図3で示したものに限定される訳ではない。
マイコン51は、その他に発振回路としてメイン発振回路75とサブ発振回路76を内蔵しており、メイン発振回路75には前記セラミック振動子62が接続され、サブ発振回路76には前記水晶発振子63が接続される。メイン発振回路75は、セラミック振動子62からの発振信号を、一定間隔でオン・オフを繰り返すクロック信号に変換するものであり、またサブ発振回路76は、水晶発振子63からの発振信号を、一定間隔でオン・オフを繰り返すクロック信号に変換するものである。ここで、第1の発振子であるセラミック振動子62は、第2の振動子である水晶発振子63よりも高速で、高い発振周波数(例えば8MHz)を有し、水晶発振子63はセラミック振動子62よりも低速で、低い発振周波数(例えば32.768kHz)を有する。したがって、メイン発振回路75で生成されるクロック信号は、サブ発振回路76で生成されるクロック信号よりも高速なものとなる。
マイコン51のコア回路71は、停電検知回路59からHレベルの通電信号が出力される場合に、メイン発振回路75からのクロック信号で、プログラムを高速に動作させる。一方、このコア回路71は、停電検知回路59からLレベルの停電信号が出力される場合に、メイン発振回路75を停止させ、代わりにメイン発振回路75よりも低電圧および低消費電力で動作が可能なサブ発振回路76からのクロック信号で、プログラムを低速に動作させる。
マイコン51は、さらにタイマ回路77を内蔵している。タイマ回路77は、セラミック振動子62や水晶発振子63を源振として時計カウントを行なう時計手段としての機能を備えており、定期的に処理するプログラム(タイマ割り込みプログラム)の時間設定や、信号間隔の時間測定を行なう機能を備えており、複数(2〜10程度)の機能毎のタイマ部で構成される。本実施例では、1ms間隔に処理するタイマ割り込みプログラム用に、1ms毎に時計カウントを行なう第1タイマ部77Aと、1s間隔に処理するタイマ割り込みプログラム用に、1s毎に時計カウントを行なう第2タイマ部77Bとを備えている。
前記第1タイマ部77Aは、メイン発振回路75からのクロック信号を利用して、このクロック信号を8000分周(8MHz÷1000=1kHz=1msの周期)させたもので動作する。第1タイマ部77Aによるタイマ割り込みでは、停電検出回路59からの検出信号に基づく停電の監視や、炊飯制御の時間カウントや、LCDまたはLEDを点滅させるタイミングのカウントなどを行なっているが、これは商用電源53から電力が供給される通常の通電時にのみ動作し、停電時には消費電力を抑えるため停止する。
一方、第2タイマ部77Bは、サブ発振回路76からのクロック信号を利用して、このクロック信号を32768分周(32.768kHz÷32768=1Hz=1sの周期)させたもので動作する。第2タイマ部77Bによるタイマ割り込みでは、時計のカウントや、停電中のLCDによる時刻表示の更新処理などを行なっており、通常の通電時は勿論、停電時においても、停止することなく動作が継続する。
図4は、セラミック振動子62や水晶発振子63周辺の回路図を示している。マイコン51は、通常の通電時には電源回路54からの動作電圧(DC5.0V)が供給され、停電時には電池55からの動作電圧(DC3.0V)が供給されるようになっている。また、メイン発振回路75に接続するセラミック発振子62はコンデンサ内蔵型で、その一端である入力端子と、他端である出力端子に、例えば15pFの静電容量を有するコンデンサ81,82がそれぞれ接続される。セラミック発振子62の両端間には例えば10MΩの帰還抵抗83が接続される。一方、水晶発振子63の一端である入力端子と、他端である出力端子には、例えば22pFの静電容量を有するコンデンサ83と、例えば18pFの静電容量を有するコンデンサ84がそれぞれ接続される。水晶発振子63の両端間には例えば10MΩの帰還抵抗85が接続されると共に、水晶発振子63の出力端子と帰還抵抗85の一端との間に挿入接続するダンピング抵抗86は、その抵抗値を0Ωとしている。
特に、水晶発振子63に関し、抵抗86,87の各抵抗値と、コンデンサ83,84の静電容量は、停電時において、電池55からの動作電圧(DC3.0V)が供給される場合に、その発振周波数が32.768kHzとなり、通常の通電時において、電源回路54からの動作電圧(DC5.0V)が供給される場合に、その発振周波数が32.768kHzに極力近づくように定数設定されている。
本実施例において、実際の水晶発振子63の発振周波数を測定したところ、停電時は日差+0.5秒(32.768000kHz)であり、通常の通電時は日差+0.5秒((32.768×1000回)×60秒×60分×24時間+(32.768×1000回)×0.5秒)/(60秒×60分×24時間)=32.76818963kHz)、即ち2日間で1秒進む周波数となっている。
次に、上記構成についてその作用を説明する。図5は、鍋5内部の温度推移を示したものである。同図において、炊飯制御手段45による炊飯を開始すると、鍋5内の水温を60℃以下の高温にして米の給水を促進するひたし工程を行なう。その後、沸騰工程に移行して加熱コイル7をフル通電して鍋5を強加熱する。鍋5内に被炊飯物から蒸気が発生するのに伴ない、内蓋25の温度が上昇し、内蓋25の温度を検知する蓋温度センサ29の検知温度が、90℃を超えて所定の温度上昇率(例えば、100秒で5℃以内)になったら、鍋5内が沸騰したと判定し、その時点での加熱コイル7への加熱出力を低下させつつ、鍋5内の沸騰状態を継続させる。やがて、鍋5内の被炊飯物の水分が蒸発して、鍋温度センサ8の検知温度が所定温度上昇したら、鍋5内がドライアップすなわち炊上げ状態であると判定して、加熱コイル7の加熱量をさらに減じるむらし工程に移行する。この一連の炊飯動作において、炊飯制御手段45は、少なくとも沸騰を検出した後、蓋ヒータ28により内蓋25を加熱して、この内蓋25に対する結露を抑制するようにしている。このため、沸騰継続時において、鍋5内からの水分の蒸発が次第に少なくなると、蓋ヒータ28からの加熱により、蓋温度センサ29の検知温度は沸騰温度を超えるようになる。
むらし工程中は蓋温度センサ29の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ28を通断電し、内蓋25への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋5の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段46による保温に移行する。
保温になると、加熱コイル7にて鍋5の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋5内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ28により蓋体21の下面を加熱する。鍋5内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時において、鍋温度センサ8や蓋温度センサ29の検知温度が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
保温制御手段46による保温経過時間が予め設定した時間に達すると、減圧制御手段47は鍋5内の圧力が大気圧よりも低くなるように、開閉手段35により連通部32を開放すると共に、減圧手段37を駆動させ、連通部32から減圧手段37を通して、密閉状態にある鍋5内の空気を炊飯器の外部に放出する減圧制御を行なう。こうした動作は、保温工程の所定時間後にではなく、保温工程で鍋5内が所定温度に到達したのを鍋温度センサ8が検出したときに、行なわれるようにしてもよい。こうして、鍋5内を大気圧未満の状態にすることで、鍋5内で雑菌が増殖したり、被炊飯物である米や水の腐敗が起きたりするのを効果的に防止でき、最終的には炊上がり時に食味のよいご飯を得ることができる。また減圧制御は、保温工程時だけでなく、鍋5内で米や水が長時間晒される予約炊飯時に適用してもよい。
上述した減圧制御手段47の減圧制御は、所定時間若しくは鍋5内が所定の圧力に低下するのを圧力検知手段(図示せず)が検知するまで行なわれるが、その後、鍋5内には僅かではあるが空気が侵入し(スローリーク)、鍋5内の圧力が減圧制御の終了時点から次第に上昇する。そのため減圧制御手段47は、一定の経過時間に達するか、或いは鍋5内の圧力が減圧制御の終了時点から所定値まで上昇すると、再び減圧制御を行なって、鍋5内から空気を排出し、鍋5内を大気圧未満の状態に維持する。
次に、保温工程における鍋内の圧力状態と、開閉手段35および減圧手段37の動作状態の各例を、図6〜図9のグラフに基づき説明する。なお、図7〜図9では、検知手段48の検知出力(検出値)も併せて示されている。これらの各図で、「開閉手段の動作」に対応するグラフで、斜線部分は連通部32が開放しており、それ以外の部分では連通部32が閉じていることを示している。また、「減圧手段の駆動」に対応するグラフでは、斜線部分で減圧手段37が作動していることを示している。
図6に示す例では、減圧制御手段47による減圧制御を開始すると、当該減圧制御手段47は、先ず開閉手段35により連通部32を閉塞させた状態で、減圧手段37に駆動信号を供給する。これにより減圧手段37が動作し、それ以前に減圧手段37の内部に残っていた水分である水滴などを外部に逃す。その後、所定時間が経過したら、減圧手段37を引き続き駆動させつつ、開閉手段35に信号を供給して連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にする。これにより、鍋5内から空気が吸い上げられ、鍋5内は大気圧状態から徐々に減圧する。そして減圧制御手段47は、減圧手段37が動作してから一定時間が経過するか、若しくは鍋5内の圧力が一定値にまで低下したら、開閉手段35により連通部32を閉塞し、且つ減圧手段37の動作を停止させて、鍋5に対する減圧制御を中断する。この一連の減圧制御は、前述のように、一定の経過時間に達するか、或いは鍋5内の圧力が減圧制御の終了時点から所定値まで上昇すると、再び行なわれる。
このように本例では、鍋5と、本体1ひいてはこの本体1に収容される鍋5内を大気圧未満に減圧する減圧手段37と、減圧手段37と鍋5との間の連通部32を開閉する開閉手段35とを備え、本体1内を大気圧未満に減圧する際に、連通部32を閉状態にして減圧手段37だけを動作させ、減圧手段37が動作してから所定時間が経過した後に、連通部32を開状態にするように、開閉手段35を動作させる減圧制御手段47を備えている。
こうすると、開閉手段35により鍋5と減圧手段37との間の連通部32を閉塞した状態で、減圧手段37を所定時間動作させ、減圧手段37の内部に残っている水滴を外部に逃す。その後、開閉手段35により連通部32を開放し、鍋5内から空気を吸い上げることで、減圧手段37の内部で過剰な水滴が蓄積するのを抑制でき、減圧手段37の動作寿命を延ばすことができる。
図7に示す例では、減圧制御手段47による減圧制御を開始すると、当該減圧制御手段47は、先ず開閉手段35により連通部32を閉塞させた状態で、減圧手段37に駆動信号を供給する。これにより減圧手段37が動作し、それ以前に減圧手段37の内部に残っていた水滴などを外部に逃す。その後、減圧制御手段47は検知手段48からの検出値を監視し、減圧手段37への電流が所定値以下であったら、その時点で減圧手段37を引き続き駆動させつつ、開閉手段35に信号を供給して連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にする。これにより、鍋5内から空気が吸い上げられ、鍋5内は大気圧状態から徐々に減圧する。そして減圧制御手段47は、減圧手段37が動作してから一定時間が経過するか、若しくは鍋5内の圧力が一定値にまで低下したら、開閉手段35により連通部32を閉塞し、且つ減圧手段37の動作を停止させて、鍋5に対する減圧制御を中断する。この一連の減圧制御は、前述のように、一定の経過時間に達するか、或いは鍋5内の圧力が減圧制御の終了時点から所定値まで上昇すると、再び行なわれる。
このように本例では、減圧手段37に供給する電気量を検知する検知手段48を設け、鍋5内を大気圧未満に減圧する際に、連通部32を閉状態にし、減圧手段37が動作して検知手段48が所定の電気量以下であることを検知したら、その後で連通部32を開状態にするように、開閉手段35を動作させる減圧制御手段47を備えている。
この場合、減圧手段37の内部に水滴が残った状態で、減圧手段37の動作を開始すると、減圧手段37に対する負荷が増加して、過剰な電気量が加わる。このことを検知手段48が検知し、当該電気量が所定値以下の場合に、開閉手段35によって連通部32を閉状態から開状態に切替えるようにすることができ、減圧手段37の内部に水滴を残さない状態で、鍋5内から空気を吸い上げることができる。そのため、減圧手段37の内部で過剰な水滴が蓄積するのを確実に抑制でき、減圧手段37の動作寿命を延ばすことができる。
図8に示す例では、減圧制御手段47による減圧制御を開始すると、当該減圧制御手段47は、先ず開閉手段35により連通部32を閉塞させた状態で、減圧手段37に駆動信号を供給する。これにより減圧手段37が動作し、それ以前に減圧手段37の内部に残っていた水滴などを外部に逃す。その後、図6で説明した所定時間tが経過する前の時点t’で、検知手段48からの検出値によって減圧手段37への電流が所定値以下であったら、減圧手段37の内部に水滴がほぼ残っていないと判断して、減圧手段37を引き続き駆動させつつ、開閉手段35に信号を供給して連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にする。一方、前記時点t’で、減圧手段37への電流が所定値を越えていたら、減圧手段37の内部に水滴がまだ残っていると判断して、そのまま所定時間tが経過するまで連通部32を閉塞させ、所定時間tが経過した時点で、減圧手段37を引き続き駆動させつつ、開閉手段35に信号を供給して連通部32を開放させ、減圧手段37と鍋5の内部とを連通状態にする。
こうして連通部32が開放すれば、鍋5内から空気が吸い上げられ、鍋5内は大気圧状態から徐々に減圧する。そして減圧制御手段47は、減圧手段37が動作してから一定時間が経過するか、若しくは鍋5内の圧力が一定値にまで低下したら、開閉手段35により連通部32を閉塞し、且つ減圧手段37の動作を停止させて、鍋5に対する減圧制御を中断する。この一連の減圧制御は、前述のように、一定の経過時間に達するか、或いは鍋5内の圧力が減圧制御の終了時点から所定値まで上昇すると、再び行なわれる。
この例では、図6の例で説明した所定時間tが経過する前の時点t’で、検知手段48が所定の電気量以下であることを検知したら、直ちに連通部32を開状態にするように開閉手段35を動作させ、そうでなければ所定時間tが経過したら、そこで連通部32を開状態にするように開閉手段35を動作させる減圧制御手段47を備えている。
こうすれば、減圧手段37が動作して所定時間tが経過する前の時点t’で、検知手段48によって当該電気量を検知することで、所定時間tの経過前の時点t’に減圧手段37の内部に水滴が残っているか否かを判断できる。しかも、当該電気量が所定値以下の場合は、所定時間tが経過するのを待つまでもなく、開閉手段35が連通部32を閉状態から開状態に切替えることができ、減圧手段37の内部に水滴を残さない状態で、鍋5内から直ちに空気を吸い上げることができる一方で、減圧手段37への電流が所定値を越えていたら、減圧手段37の内部に水滴がまだ残っていると判断して、そのまま所定時間tが経過するまで連通部32を閉塞させ、所定時間tが経過した時点で、減圧手段37を引き続き駆動させつつ、開閉手段35が連通部32を開放させることができる。そのため、減圧手段37を無駄に駆動させることなく、減圧手段37の内部で過剰な水滴が蓄積するのを確実に抑制でき、減圧手段37の動作寿命を一段と延ばすことができる。
図9は、前記図6〜図8に共通するもので、所定時間tが経過した後に、検知手段48が所定の電気量以上であることを検知したら、そこで直ちに減圧手段37を動作停止させると共に、開閉手段35により連通部32を閉塞させたままの状態にするように、減圧制御手段47を構成している。
この場合、所定時間tが経過した後も、減圧手段37に加わる電気量が所定値以上であることを検知したら、当該減圧手段37が異常状態であると判断し、その動作を停止させる。よって、減圧機能を失った状態で、減圧手段37を無駄に動作させることによる不要な電力消費を回避し、省エネルギー性を向上させることができる。
さらに各例に共通して、動力源として電動機を備えた減圧手段37を用いることによって、減圧手段37の内部に過剰な水滴を残さずに、減圧手段37を動作させることができるので、余計な負荷をかけずに、広く用いられている電動機を減圧手段37の動力源として利用することができる。
次に、図10のフローチャートに基づき、前記図3で示したマイコン51の動作手順について説明する。同図において、マイコン51のコア回路71は、記憶回路72から読み出したプログラムを実行するに際し、先ずステップS1〜ステップS5の初期化処理を行なう。この初期化処理では、入出力回路73における入出力ポートの初期化(ステップS1)と、RAMの初期化(ステップS2)を行ない、次に1秒間隔のタイマの設定を行なう(ステップS3)。そして、次のステップS4で通電確認を行なった後、ステップS5で1ms間隔のタイマ割り込みの設定を行ない、その他の初期化設定が終了すると、ステップS11〜ステップS13のメインループ処理を行なう。
メインループ処理では、スイッチ回路57などの入力処理(ステップS11)や、表示回路60や加熱手段駆動回路61への出力処理(ステップS12)や、炊飯制御に関わる処理(ステップS13)などを行なう。
本実施例におけるマイコン51に搭載されたプログラムは、前述したように、メインループ処理とは別に、定期的に行なう2つのタイマ割り込み処理を備えている。その一つは、ステップS21〜ステップS27に示す1s間隔のタイマ割り込み処理であり、もう一つはステップS31〜ステップS32に示す1ms間隔のタイマ割り込み処理である。
1s間隔のタイマ割り込み処理では、ステップS21における時計のカウントを行なった後、停電検出回路59からの検出信号により、通常の通電中であるか停電であるかをステップS22で判断し、通常の通電中であれば通電積算時間測定回路79により通電中の積算時間をカウントする(ステップS23)。そして、次のステップS24で、この積算時間が一定時間に達しているか否かを判断し、一定時間に達していれば、通電積算時間を0にクリアして(ステップS25)、次のステップS26で、時計を一定時間戻す時計補正の処理を行なう。本実施例では、通常の通電時において、水晶発振子63の発振周波数が2日間で1秒進むことが事前にわかっていることから、通電積算時間測定回路79で測定した通電積算時間が60秒×60分×24時間×2日=172800カウントしたら、第2タイマ部77Bによる時間のカウントを1秒戻す処理を行なう。なお、前記ステップS22で、停電中であると判断したら、ステップS23〜ステップS26の手順を行なわず、代わりにステップS27に移行して、LCDによる時刻表示を行なう。
また、1ms間隔のタイマ割り込み処理では、ステップS31において、停電検出回路59からの検出信号を受け付ける停電検知を行ない、次のステップS32で、各種制御時間のカウントを行なう。
このように本例では、発振子である水晶発振子63を備えた発振手段としてのサブ発振回路76と、水晶発振子63を源振として時計カウントを行なう時計手段としての第2タイマ部77Bと、主電源である商用電源53の電気量が所定値以下になると動作するバックアップ電源としての電池55とを有し、商用電源53で動作する場合と、電池55で動作する場合に、水晶発振子63に与えられる動作電圧(電気量)ひいては水晶発振子63の発振周波数が異なる炊飯器において、商用電源53で動作する積算時間を、所定時間として測定する測定手段としての通電積算時間測定回路79を有し、この所定時間が一定値になったら、第2タイマ部77Bが前記時計カウントを例えば1s戻して調整するように構成している。
この場合、商用電源53で動作する通常の通電中に所定時間を測定し、その所定時間が一定値に達したら、第2タイマ部77Bが行なう時計カウントの補正を行なうようになっている。そのため、コストアップを伴う別な回路の追加や部品の変更を行なわなくても、所定時間が一定値に達すれば、時計カウントを意図的に調整する処理を行なうだけで、停電時のみならず通常の通電時において、時計カウントの精度を上げることが可能になる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上記発振子の発振周波数などはあくまでも一例であり、適宜修正することが可能である。