JP4799885B2 - 金属化合物粉末の製造法 - Google Patents

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本発明は、ナノ粒子を1次粒子にもつ金属酸化物含有粉末、およびその製造法に関する。なお、本明細書では粒径100nm(0.1μm)以下の粒子をナノ粒子と呼んでいる。
近年、いわゆるナノテクノロジーの研究が盛んに行われ、種々の分野において用途開発が進められている。なかでも金属酸化物のナノ粒子については、医療分野での活用や新たな工業材料の創出に期待が寄せられている。
例えば、酸化鉄のナノ粒子は、温熱療法による抗癌技術への適用が試みられている。すなわち、癌細胞は熱に弱いが、患部を加熱することは体温上昇につながるため、治療効果の高い加熱を行うことには限界がある。そこで、酸化鉄のナノ粒子を特殊な方法で癌細胞だけに取り込ませ、電磁誘導によりその酸化鉄粒子を発熱源として癌細胞を死滅させる研究が進められている。
また、酸化鉄と酸化ニッケルの混合粉は高透磁率材料として知られるFe−Ni合金粉末を得るための前駆体になりうるが、その前駆体粒子が極めて微細であれば従来よりも磁気特性の優れた磁性粉を製造できることが期待される。
金属酸化物ナノ粒子の製造例として、特許文献1には、粒径6nm程度のナノ粒子からなるマグネタイトが記載されている。このマグネタイト粒子は、脂溶性アミン類を含有する有機相と水和酸化鉄ヒドロゾルとを接触させることにより水和酸化鉄粒子を有機相に抽出する第1工程、その水和酸化鉄粒子を溶融した有機化合物中で200〜400℃で加熱する第2工程を含む方法で得られるものであり、表面には表面修飾分子(結合性有機化合物)を伴っている。
特許文献2には、粒径2〜20nmのナノ粒子からなるマグネタイトを製造する方法が記載されている。これは、鉄塩をアルコール、カルボン酸、アミンと有機溶媒中で混合し、混合物を200〜360℃に加熱するというものである。
特開2003−112925号公報 特開2004−43287号公報 特公平6−33939号公報
特許文献1、2に見られるように、従来、金属酸化物のナノ粒子は、湿式反応を利用したプロセスで製造されていた。しかし、その反応には有機溶媒を必要とし、また得られた粉末の取り扱いにも繊細さが要求されるなど、作業性・生産性が低い。このため、ビーカー試験では実施できても大量生産に移行することには多くの困難がある。
本発明はこのような問題に鑑み、大量生産が可能であり、低コストで取り扱い性に優れた金属酸化物ナノ粒子含有粉末を提供することを目的とする。
発明では、Feイオン含有水溶液または水酸化鉄が水に分散した液にパルス衝撃波を伴う超音速のジェット噴流を衝突させることにより生成した結合性有機化合物を伴わない粒径50nm以下の1次粒子をもつFe成分含有粉末に対し、還元熱処理を施す、粒径50nm以下の1次粒子をもつマグネタイト粉末の製造法が提供される。
ここで、「パルス衝撃波を伴うジェット噴流」は、例えば特許文献3に開示されるようなパルスジェットエンジンによって発生させることができる。粒径は粒子の長軸長である。「Fe成分」にはヘマタイト:αFe23、マグヘマイト:γFe23などの3価のFe化合物が含まれる。
また、水酸化アルミニウムが水に分散した液にパルス衝撃波を伴う超音速のジェット噴流を衝突させることにより生成した結合性有機化合物を伴わない粒径50nm以下の1次粒子をもつAl化合物含有粉末を、1150℃以下(例えば1100℃±50℃)の温度で焼成するアルミナの製造法が提供される。
さらに、原料溶液中に含まれる塩素分や硫黄分を効果的に除去したナノ粒子原料の製造法として、金属イオン含有水溶液または金属水酸化物が水に分散した液にパルス衝撃波を伴う超音速のジェット噴流を衝突させることにより生成した結合性有機化合物を伴わない粒径50nm以下の1次粒子をもつ前記金属の化合物含有粉末、またはその粉末に熱処理を加えた粒径50nm以下の1次粒子をもつ粉末に対し、「溶媒を用いた粉砕処理」を施す粒径50nm以下の1次粒子をもつ化合物含有粉末の製造法が提供される。
ここで、前記金属としては遷移金属が好適な対象となる。「溶媒」には水の他、トルエン等の有機溶媒が含まれる。また、粉砕処理は粒子を砕いて細かくする処理であり、現象的には「解砕」である場合も含まれる。
本発明によれば、ナノ粒子を1次粒子にもつ種々の金属酸化物含有粉末が大量生産に適した効率的な方法で提供できるようになった。この粉末は外見的には一般的な金属酸化物粉末と大差なく、取り扱い性に優れる。それにもかかわらずナノ粒子で構成されているところに特徴がある。この金属酸化物含有粉末は、還元処理等の種々の処理にそのまま供することができ、それによって多少の造粒が認められることもあるが、基本的にはナノ粒子を保ったまま種々の物質に変化させることができる。また、溶媒を用いた粉砕を行うと、原料溶液に含まれる塩素分や硫黄分が除去され、各分野で利用しやすい形態のナノ粒子素材が得られる。
パルス衝撃波を利用して含水材料を乾燥させる技術は既に知られており、ごみ、土壌、肥料原料などの乾燥処理に適用が検討されている。このパルス衝撃波は例えば特許文献3に開示されているようなパルスジェットエンジンにより発生させることができる。すなわち、高圧エアーとケロシン等の灯油系燃料とを混合して爆発的燃焼(急激な膨張)を連続的に生じさせるジェットエンジンの原理において、膨張排ガスをノズルで絞ることにより超音速の噴流を生み出すと、衝撃波がパルス状に連続して発生する。このジェット噴流を含水材料に衝突させると、含水材料はパルス衝撃波によるアタックを受けながら高温高速の気流に曝され、粉体化と乾燥が一挙に進む。得られた粉体は気流に乗って系外に排出され、回収される。
しかし、このようにして得られた粉体をナノオーダーで観察した事例はなく、その微視的構造は明らかにされていない。また、このようなパルス衝撃波を伴うジェット噴流による乾燥(以下「パルス衝撃波乾燥」という)の手段は、従来、スラリー状の含水材料の処理に使用されており、これを遷移金属イオン含有液や遷移金属水酸化物の熱分解に応用した例はない。
発明者らは、パルス衝撃波乾燥の技術を金属イオン含有液または金属水酸化物含有液に適用した。その結果、種々の金属種において、熱分解による結晶化が生じ、従来知られている噴霧熱分解法と同じように、金属化合物を含む粉末が被処理液から直接得られることを知見した。その平均粒径は1〜30μmのオーダーであり、この点も噴霧熱分解法とそれほど大差ないレベルであった。
ところが驚いたことに、パルス衝撃波乾燥により熱分解させて得た金属化合物含有粉末は、1次粒子がナノ粒子で構成されるものであることが判明した。従来、粒径が1〜30μmオーダーの金属化合物含有粉末において、1次粒子がナノ粒子で構成されるようなものは見出されていない。パルス衝撃波乾燥により得た金属化合物含有粉末は、一般的な金属化合物含有粉末と同様に取り扱い性に優れ、従来と同様の各種熱処理に供することができる。つまり、ナノ粒子に対して従来と同様の簡便な手法で乾式の還元処理や焼成処理等を施すことができるというメリットがある。
1次粒子であるナノ粒子のサイズは、粒径50nm以下であることが望ましい。これより粒径が大きいと、湿式粉砕で得られる0.2μm(200nm)程度の1次粒子を有するものと比べ、顕著な優位性を出しにくい。パルス衝撃波乾燥の技術を使うことで、1次粒子の粒径を50nm以下にすることが十分可能である。
被処理液をパルス衝撃波乾燥に供する際は、ジェット噴流が衝突する位置に被処理液を水溜まり状に供給しても良いし、噴霧状に供給しても良い。前者を「プール方式」、後者を「噴霧方式」と呼ぶ。
パルス衝撃波乾燥により金属イオン含有水溶液または金属水酸化物が水に分散した液(被処理液)が熱分解して金属化合物が生成するメカニズムについては、未解明の部分が多いが、以下の3段階の過程が考えられる。
(第1段階) 被処理液がパルス衝撃波のアタックと噴流の衝突によるダブル効果で極めて微細に分解され、被処理液中の溶質は分解された極微細の液滴の中に取り込まれる。
(第2段階) 噴霧熱分解法と同様の原理で熱分解が起こり、溶質が乾燥して結晶化する。その際、液滴が極微細であることに対応して結晶はナノ粒子となる。
(第3段階) 個々のナノ粒子は瞬時に凝集して1〜30μm程度の粉末粒子が生成する。
被処理液として、例えばFeイオン含有溶液または水酸化鉄が水に分散した液を使用すれば酸化鉄または水酸化鉄を主体としたFe化合物を含有する粉末が得られる。また、NiイオンおよびFeイオンを含有する水溶液またはそれらの水酸化物が水に分散した液を使用すればNiおよびFeを含有する粉末が得られる。このうち後者の粉末は、高透磁率Fe−Ni合金として知られるパーマロイ(登録商標)の前駆体となるものである。
また、被処理液として水酸化アルミニウムが水に分散した液を使用すれば、アルミナの前駆体となるAl化合物含有粉末が得られる。この粉末は、1150℃以下といった低い焼成温度でアルミナに変えることができ、得られたアルミナもまたナノ粒子を1次粒子にもつものとなるのである。
磁性鉄粉であるマグネタイト(Fe34)について、1次粒子がナノ粒子である粉末を得るには以下のようにすればよい。
被処理液として、塩化第一鉄や硫酸第一鉄などのFeイオン含有水溶液や、これらの鉄塩を中和して得た水酸化鉄を含有する液を使用することができる。ただし、大量生産に対応するためには、鉄鋼メーカーの酸洗ラインから出る廃酸を利用することがコスト面およびリサイクル面で有利である。例えば普通鋼の酸洗廃液は塩化第一鉄を主体とする水溶液であり、これを濃縮したものが使用できる。また、例えば塩化第一鉄含有溶液を苛性ソーダなどで中和して、水酸化鉄が分散した液を作り、これを被処理液とすることもできる。
このFeイオン含有水溶液または水酸化鉄が水に分散した液をプール方式または噴霧方式でパルス衝撃波乾燥装置に供給し、パルス衝撃波を伴うジェット噴流を衝突させることにより、粒径50nm以下(例えば3〜50nm)の1次粒子をもつFe成分含有粉末を作り、回収する。このFe成分含有粉末は、3価のFeを含むものであり、その例としてヘマタイト(αFe23)やマグヘマイト(γFe23)といった酸化鉄が挙げられる。
次に、このFe成分含有粉末を還元処理に供する。これにより3価のFeの一部が還元され、ほぼ全部がマグネタイトで構成される粉末を得ることができる。マグネタイトへの還元は、基本的には水素等の還元雰囲気中で加熱することによって行われる。ただし、パルス衝撃波乾燥により生成したFe成分含有粉末は粒度分布がブロードであり、粉末の中にはサブミクロンの微粒子も含まれる点に注意する必要がある。すなわち、粉体の乾燥や焙焼処理に使われる一般的な炉(ロータリーキルンなど)を用いると、サブミクロンの微細なFe成分含有粒子がライニングの目地に入り込み、滞留時間が長くなると金属鉄にまで過剰還元されてしまう恐れがある。この微細な金属鉄粉が製品中に混入すると大気中で発火することもあり、危険である。また、炉内開放時には炉内で発火し、ライニングを損傷することがある。
発明者は種々検討の結果、このようなトラブルを引き起こさずに安全にマグネタイトの段階で還元を終了し、目的のマグネタイト粉末製品を得るためには、以下のような構成を備えた還元炉を使用すればよいことを見出した。
すなわち、還元性ガスを導入して炉内を還元雰囲気に保てるロータリーキルンにおいて、
i) 微細なFe成分含有粒子の飛散を防止するため、加熱は外熱式のラジアル方式とし、
ii) 炉心管はライニングを施す必要のないステンレス鋼等の高耐食・耐熱合金で作り、
iii) 粉末粒子がガスとできるだけ均一に接触するように攪拌機構を設け、
iv) 金属鉄粉が生成した場合の発火を防止するため、炉心管の後面(粉体取り出し側)に強力な冷却機構(水冷装置など)を設ける。
このような特殊構造のロータリーキルンによってマグネタイト粉末を安全かつ安定的に得ることができる。
還元雰囲気は、例えばH2やCOなどの還元性ガスを連続的に導入しながら、温度を400〜650℃程度に維持した雰囲気が採用できる。400℃未満では還元反応が進行し難い。650℃を超えると過剰還元を防止するための滞留時間のコントロールが難しくなる。つまり、滞留時間遅延によりマグネタイトを超えてウスタイトあるいはさらに金属鉄にまで還元され易くなる。また、温度が高いと1次粒子の造粒が進行しやすく、目的のナノ粒子が得られないことがある。本発明では500℃±50℃に管理された雰囲気で還元することが好ましい。適正な還元滞留時間は概ね数分〜30分程度の範囲で設定することが可能であり、工業生産に適用できる。
以上のようにして、多少の造粒が認められても、粒径3〜50nmの1次粒子で構成されるマグネタイト粉末を得ることができる。このマグネタイト粉末は、後述実施例で示すように、ナノ粒子からなる1次粒子で構成されるものである。
ただし、通常、この状態では被処理液中に含まれていた塩素分あるいは硫黄分が抜け切れておらず、用途によっては利用しにくい場合もある。そこで発明者らは種々検討の結果、溶媒を用いた機械的粉砕処理に供することにより、塩素分あるいは硫黄分を効果的に除去できることを見出した。溶媒としては水または有機溶媒が使用できる。粉砕機は例えばビーズミルが使用できる。
発明者らは、通常の熱分解→還元の工程で得られたマグネタイトを同様の手法で粉砕する実験を過去に数多く繰り返した。その場合、1次粒子がナノ粒子であるような粉末を得ることは到底不可能であった。ところが、本発明の手法で熱分解→還元の処理を行って得たマグネタイトは、この粉砕処理後の観察で、1次粒子がナノ粒子であることが確認できる。このことから、当該粉砕処理は、もともと1次粒子がナノ粒子で構成されている大きな粒子を、小さな粒子に分解するプロセスが主体となっていると考えられ、その意味で、現象的には「解砕」的な要素を含んでいると考えられる。
このような溶媒を用いた粉砕処理は、マグネタイトに限らず、アルミナその他の化合物においても塩素分や硫黄分を除去するための有効な手段となる。
塩化第一鉄40kgを水20L(リットル)中に溶解し、苛性ソーダでpH=7に中和した微細水酸化鉄粒子の分散液を用意し、この被処理液をパルス衝撃波乾燥に供した。
パルス衝撃波乾燥装置は神和工業社製のものを使用した。この装置は前述したジェットエンジンの原理で超音速の噴流を生成してパルス衝撃波を発生させるジェットバーナーと、パルス衝撃波を伴うジェット噴流を含水材料に衝突させるチャンバーと、噴流に乗って運ばれた粉末を回収する回収機構を備えており、ジェットバーナーをチェンバーの上方に配置した「垂直型」のタイプである。含水材料を約500〜1000kg/hrで乾燥処理する能力がある。ジェット噴流はノズル出口近傍で温度約1000℃以上、速度マッハ3程度となるが、得られる粉末自体は比較的低温(例えば200℃以下)に保つことができ、不用意に熱処理されることはない。
このパルス衝撃波乾燥装置のチャンバーに上記の被処理液を水溜まり状に連続供給して、パルス衝撃波を伴うジェット噴流を衝突させ、乾燥・粉末化した。操業条件は、被処理液供給量:3.0L/min、灯油系燃料供給量:0.5L/min、空気供給量:10.0Nm3/min、系内2次側温度:150℃とした。
得られた粉末を「粉末A」と呼ぶ。図1に、粉末Aの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。粉末Aは平均粒径約5μmの球状で流動性の良いものであった。
粉末Aの微細構造を調べる目的で、粉末Aを0.3mmの微小ジルコニアビーズを用いて高速湿式粉砕ミルで機械的湿式粉砕した。粉砕処理後の粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、粉末Aは3〜50nmの1次粒子をもつ粉末であることが確認された。
塩化第一鉄40kgを水20L(リットル)中に溶解した液を用意し、未中和のままFeイオン含有水溶液の状態でパルス衝撃波乾燥に供した。パルス衝撃波乾燥装置は実施例1と同じものを使用し、操業条件も実施例1と同じにした。
得られた粉末を「粉末B」と呼ぶ。図2に、粉末Bの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。粉末Bは平均粒径約5μmの球状で流動性の良いものであった。
粉末Bの微細構造を調べる目的で、粉末Bを実施例1と同様に機械的湿式粉砕したのち透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、粉末Bは3〜50nmの1次粒子をもつ粉末であることが確認された。
塩化ニッケルと塩化第一鉄を4:1の質量比で混合した20%濃度の水溶液を用意し、未中和のままNiイオンおよびFeイオン含有水溶液の状態でパルス衝撃波乾燥に供した。パルス衝撃波乾燥装置は神和工業社製のものであり、ジェットバーナーをチェンバーの横に配置した「水平型」のタイプである。この装置の処理能力は実施例1のものと同等である。操業条件は、被処理液供給量:2.5L/min、灯油系燃料供給量:0.4L/min、空気供給量:8.0Nm3/min、系内2次側温度:180℃とした。
得られた粉末を「粉末C」と呼ぶ。これは平均粒径約5μmの球状で流動性の良いものであった。
粉末Cの微細構造を調べる目的で、 粉末Cを実施例1と同様に機械的湿式粉砕したのち透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、粉末Cは3〜50nmの1次粒子をもつ粉末であることが確認された。
硫酸アルミニウムを苛性ソーダで中和して20%濃度の水酸化アルミニウムが分散した液を用意した。この液を実施例3と同じパルス衝撃波乾燥装置を用いてパルス衝撃波乾燥に供した。操業条件は、被処理液供給量:2.0L/min、灯油系燃料供給量:3.0L/min、空気供給量:6.0Nm3/min、系内2次側温度:170℃とした。
得られた粉末を「粉末D」と呼ぶ。これは平均粒径約5μmの球状で前記粉末A、Bよりもさらに流動性の良いものであった。組成同定のためのX線回折を行ったところ、回折ピークが極めて弱いために特定は困難であるが、ピーク位置から水酸化アルミニウムAl(OH)3を含む物質が生成したものと考えられる。
後述実施例でこの粉末Dを焼成して得た粉末が粒径50nm以下のナノ粒子で構成されていたことから、この粉末Dも粒径50nm以下のナノ粒子を1次粒子にもつものであると考えられる。
実施例1で得られた粉末Aを、前述したような特殊構造を有するロータリーキルン、すなわち炉心管が耐熱耐食性の合金鋼で構成されたラジアル式特殊焙焼炉を用いて、水素ガスにより500℃で10minの還元処理に供した。
その結果、若干の造粒が生じたが、粉末Aとほぼ同等の粒径を有する流動性の良い粉末が得られた。この粉末を「粉末E」と呼ぶ。X線回折の結果、粉末Eはほぼ全部がマグネタイト(Fe34)で構成されることが確認された。
粉末E(マグネタイト)について、実施例1で行ったのと同様の機械的湿式粉砕を施した。このスラリーは粉砕途中からゲル状を呈した。粉砕の結果得られたマグネタイト微粉末を「粉末F」と呼ぶ。
図3に、粉末Fの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
図4に、粉末Fの透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。粉末Fは粒径5nmオーダーの1次粒子をもつことがわかる。すなわち粉末Fは、マグネタイトのナノ粒子が凝集した2次粒子であると見ることができる。
なお、従来の噴霧熱分解法により得られたヘマタイトを還元したマグネタイトは、同様の機械的湿式粉砕により粒径0.2〜0.3μm程度の1次粒子にまで粉砕可能であるが、ナノ粒子を伴った粒子は観察されないことから、本発明の粉末は従来の熱分解法によるものと基本的に構造が異なる。
実施例3で得られた粉末Cを、実施例5で用いた特殊焙焼炉を用いて、水素ガスにより900℃で30minの還元処理に供した。
得られた粉末を「粉末G」と呼ぶ。粉末Gは、若干の造粒が生じたが、粉末Cとほぼ同等の粒径を有する流動性の良いものであった。X線回折の結果、粉末FはNi3Feのパーマロイ(登録商標)合金組成を有することが判明した。
粉末Fを、実施例1と同様に機械的湿式粉砕したのち透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、粉末Fはやはり3〜50nmの1次粒子をもつ粉末であることが確認された。
実施例4で得られた粉末Dを、電気炉において大気中1100℃で加熱し、焼成処理を施した。
得られた粉末を「粉末H」と呼ぶ。X線回折の結果、粉末Hはほぼ全部がアルミナ(αAl23)で構成されることが確認された。
粉末H(アルミナ)について、実施例1で行ったのと同様の機械的湿式粉砕を施した。このスラリーは粉砕途中からゲル状を呈した。粉末Hを実施例1と同様に機械的湿式粉砕したのち透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、粉末Hは3〜50nmの1次粒子をもつ粉末であることが確認された。
パルス衝撃波乾燥により得られた実施例1の粉末A(ヘマタイト)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真。 パルス衝撃波乾燥により得られた実施例2の粉末B(ヘマタイト+マグヘマイト)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真。 実施例5の粉末F(マグネタイト)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真。 実施例5の粉末F(マグネタイト)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真。

Claims (3)

  1. Feイオン含有水溶液または水酸化鉄が水に分散した液にパルス衝撃波を伴う超音速のジェット噴流を衝突させることにより生成した結合性有機化合物を伴わない粒径50nm以下の1次粒子をもつFe成分含有粉末に対し、還元熱処理を施す、粒径50nm以下の1次粒子をもつマグネタイト粉末の製造法。
  2. Alイオン含有水溶液または水酸化アルミニウムが水に分散した液にパルス衝撃波を伴う超音速のジェット噴流を衝突させることにより生成した結合性有機化合物を伴わない粒径50nm以下の1次粒子をもつAl化合物含有粉末を、1150℃以下の温度で焼成するアルミナの製造法。
  3. 金属イオン含有水溶液または金属水酸化物が水に分散した液にパルス衝撃波を伴う超音速のジェット噴流を衝突させることにより生成した結合性有機化合物を伴わない粒径50nm以下の1次粒子をもつ前記金属の化合物含有粉末、またはその粉末に熱処理を加えた粒径50nm以下の1次粒子をもつ粉末に、溶媒を用いた粉砕処理を施す金属化合物含有粉末の製造法。
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