従来の輝度ムラの補正方法により、輝度ムラを抑えることができるが、図11(c)に示したように画面全体として輝度レベルが低下される。したがって、高輝度が要求される表示装置に対して図11の説明図に示した補正方法を適用することは難しい。
また、色ムラの補正においても、上述のような従来の輝度ムラに対する補正方法を各色成分の強度夫々について適用することも可能である。色成分毎に強度に対する補正量を記憶しておき、各強度を補正量に基づいて補正することにより、画面全体で色の均一化を図ることが可能になる。しかしながら、色ムラの補正でも各色成分の強度を領域毎に、強度が低い領域に揃えるように補正するのでは、結果的に輝度レベルが低下することになる。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、画像信号が表わす色成分毎の強度の補正量に対する補正度合いを示す補正係数を記憶しておき、補正係数によって補正量を加減して強度を補正する構成とすることにより、輝度を維持しつつ、輝度ムラ及び色ムラの補正を適切に行なうことができる補正方法、表示装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、各色成分の強度が最大強度に近い程、補正が少なくなるように各色成分の強度に対する補正量又は補正係数を調整することにより、各色成分の強度が最大強度に等しい場合に補正しないようにしたときの色ムラ、輝度ムラの顕現化を抑え、輝度を維持しつつ、輝度ムラ、色ムラの補正を適切に行なうことができる補正方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、各色成分の強度が最大強度に等しい場合は補正しないようにすることにより、輝度を維持しつつ輝度ムラ、色ムラの補正を適切に行なうことができる補正方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、色温度の設定に対応する各色成分の強度比率に応じて、記憶した補正量又は補正係数を調整し、調整後の補正係数及び補正係数に基づいて補正を行なう構成により、各色成分の強度が色温度の設定に応じた最大強度に夫々近い程、その強度に対する補正の度合いが少なくなるように補正量を再設定すべきことを考慮して、輝度ムラ、色ムラの補正を色温度に応じて適切に行なうことができる補正方法、表示装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、各色成分の強度が、設定されている色温度における最大強度に近い程補正が少なくなるように、更に等しい場合は補正しないように補正量又は補正係数の差分によって補正の度合いを調整することにより、輝度を維持しつつ、色温度に応じた輝度ムラ、色ムラの補正を適切に行なうことができる補正方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、設定されている色温度に応じて色成分の強度比が低い場合には、画像信号が表わす色成分の強度が低いときでも過度に補正を行なわないよう補正量又は補正係数の比率を強度比に相当させることにより、輝度レベルを無駄に落とすことなく色温度に応じた輝度ムラ、色ムラの補正を適切に行なうことができる補正方法を提供することにある。
第1発明に係る補正方法は、画像信号が表わす一又は複数の色成分毎の強度、及び表示画面の色温度の設定に従って画像を表示するに際し、画像信号が表わす強度、及び画像信号が相当する画像中における領域夫々に対応付けて、強度に対する補正量を記憶しておき、前記強度を該強度に対応付けて記憶してある前記補正量に基づいて補正する補正方法において、前記補正量による補正度合いを示す補正係数を前記画像信号が階調値により表わす強度に対応付けて記憶しておき、画像信号が表す強度が、対応する色成分の最大強度に近い程、強度に対する補正が少なくなるように補正量又は補正係数を調整してあり、画像信号が夫々階調値により表わす色成分毎の強度を、該強度に対応付けて記憶してある前記補正量及び前記補正係数に基づいて補正することを特徴とする。
第2発明に係る補正方法は、画像信号が表わす強度が、対応する色成分の最大強度に等しい場合、前記強度が補正されないようにすべく補正量又は補正係数を調整することを特徴とする。
第3発明に係る補正方法は、表示画像の色温度の設定に対応する色成分の強度比率を取得し、取得した色成分の強度比率に応じて、前記画像信号が表わす各色成分の強度に対応付けて記憶してある前記補正量又は補正係数を調整し、調整後の前記補正量及び補正係数に基づいて強度を補正することを特徴とする。
第4発明に係る補正方法は、表示画像の色温度の設定に対応する各色成分の最大強度を取得し、前記強度比率は、前記最大強度の強度比から求めることを特徴とする。
第5発明に係る補正方法は、色温度の設定に対応する色成分毎の最大強度に対応付けて記憶してある補正量又は補正係数を読み出し、画像信号が表わす各色成分の強度に対応付けて記憶してある補正量又は補正係数を読み出し、読み出した二つの補正量又は補正係数の差分を算出し、算出した差分を調整後の補正量又は補正係数とし、前記強度を、該強度に対応付けて記憶してある補正量及び調整後の補正係数、又は調整後の補正量に基づいて補正することを特徴とする。
第6発明に係る補正方法は、画像信号が表わす強度に対応付けて記憶してある補正量又は補正係数を読み出し、読み出した色成分毎の補正量又は補正係数の比率が、色温度の設定に対応する色成分の強度比率となるように前記補正量又は補正係数を調整し、前記強度を、該強度に対応付けて記憶してある補正量及び調整後の補正係数、又は調整後の補正量に基づいて補正することを特徴とする。
第7発明に係る補正方法は、画像信号が表わす強度に対応付けて記憶してある補正量又は補正係数を読み出し、読み出した色成分毎の補正量又は補正係数に夫々、色温度の設定に対応する色成分の強度比率に対応する係数を乗算し、乗算結果を調整後の補正量又は補正係数とし、前記強度を、該強度に対応付けて記憶してある補正量及び調整後の補正係数、又は調整後の補正量に基づいて補正することを特徴とする。
第8発明に係る表示装置は、画像信号が表わす一又は複数の色成分毎の強度、及び表示画面の色温度の設定に従って画像を表示する手段と、画像信号が表わす強度及び画像信号が相当する画像中における領域夫々に対応付けて強度に対する補正量を記憶する手段と、前記強度を該強度に対応付けて記憶してある前記補正量に基づいて補正する手段とを備える表示装置において、前記補正量による補正度合いを示す補正係数を前記画像信号が階調値により表わす強度に対応付けて記憶する手段を備え、前記画像信号が表す強度が、対応する色成分の最大強度に近い程、強度に対する補正が少なくなるように補正量又は補正係数を調整してあり、画像信号が夫々階調値により表わす色成分毎の強度を、該強度に対応付けて記憶してある前記補正量及び前記補正係数に基づいて補正するようにしてあることを特徴とする。
第9発明に係るコンピュータプログラムは、画像表示手段に画像信号を出力する手段を備えるコンピュータに、画像信号が表わす一又は複数の色成分毎の強度及び表示画面の色温度の設定に従って前記画像表示手段に画像を表示させるステップ、画像信号が表わす強度及び画像信号が相当する画像中における領域に対応付けて、強度に対する補正量を記憶しておくステップ、及び、画像信号が表わす強度を該強度に対応付けて記憶してある前記補正量に基づいて補正するステップを実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記補正量による補正度合いを示す補正係数を前記画像信号が階調値により表わす強度に対応付けて記憶するステップ、前記画像信号が表す強度が、対応する色成分の最大強度に近い程、強度に対する補正が少なくなるように補正量又は補正係数を調整するステップ、及び、画像信号が夫々階調値により表わす強度を、該強度に対応付けて記憶してある前記補正量及び前記補正係数に基づいて補正するステップを実行させることを特徴とする。
本発明では、強度及び領域に対応付けて記憶してある補正量に基づいて単に補正を行なわず、強度及び領域に対応付けて補正量に対する補正度合いを示す補正係数が更に記憶され、強度の補正の際には補正量のみならず、補正量に対する補正度合いも考慮されて補正が行なわれる。なお、本発明では各色成分の強度は階調値で表わされてもよい。
本発明では、強度がその色成分の最大強度に近い程、強度に対する補正が少なくなるように調整がされる。強度が低い値であっても最大強度に近い場合は、補正の量が少なくなる。
本発明では、強度がその色成分の最大強度に等しい場合、強度に対する補正が行なわれないように調整される。画像信号が最大輝度に相当する場合は補正は行なわれない。
本発明では更に、強度及び領域に対応付けて記憶してある補正量及び補正係数に対し、色温度の設定に対応した各色成分の強度比率に応じて適宜補正量又は補正係数の調整が行なわれ、調整後の補正量及び補正係数に基づいて各色成分の強度の補正が行なわれる。
本発明では、色温度の設定に対応した各色成分の強度比率は、各色成分の最大強度が取得され、その最大強度の比から求められる。
本発明では、最大強度に対応付けられている補正量又は該補正量による補正度合いを示す補正係数と、強度に対応付けられている補正量又は補正係数との差分が算出される。算出される補正量又は補正係数の差分は、強度が、設定されている色温度における最大強度に近い程小さい値となる。補正量又は補正係数の差分を調整後の補正量又は補正係数とすることにより、強度に対応付けられている補正量による補正度合いを、設定されている色温度における最大強度に近い程小さくすることが可能になる。また、画像信号が表わす強度が、設定されている色温度における最大強度と等しい場合は、算出される差分はほぼゼロになるので、補正量がほぼゼロとなり、補正がされないように調整することが可能となる。
本発明では、画像信号が表わす各色成分の強度夫々に対応付けられている補正係数の比率が、設定されている色温度に対応する色成分の強度比率に相当するように調整される。画像信号が表わす強度が低い場合でも、色温度の設定により強度比率も他の色成分よりも低いときは、その色成分の強度に対応する補正係数も、補正の度合いが少なくなるように調整される。
本発明では、画像信号が表わす各色成分の強度夫々に対応付けられている補正係数に、設定されている色温度に対応する色成分の強度比率が係数として乗算されて調整される。これにより、色温度の設定により強度比率が他の色成分よりも低い色成分の強度については、その強度が低い場合でも補正の度合いが少なくなるように調整される。
本発明による場合、画像信号が表わす各色成分の強度が、実測のムラに基づく補正量のみならず補正量に対する補正度合いを示す補正係数をも考慮し、各色成分の強度が最大強度に近い場合に過度に補正しないよう補正係数により補正量が加減されて補正されることにより、無駄に輝度レベルを落とすことなく輝度を維持して輝度ムラ、色ムラの補正を適切に行なうことができる。
本発明による場合、画像信号が表わす各色成分の強度が、最大強度に近い程、補正量が少なくなるように調整されることにより、無駄に輝度レベルを落とすことなく輝度を維持しつつ、且つ各色成分の強度が最大輝度レベルに相当する場合は補正が行なわれないことによる輝度ムラ及び色ムラが顕現化することを回避して適切に補正を行なうことができる。
本発明による場合はまた、画像信号が表わす各色成分の強度が最大強度に等しいときは補正しないようにすることができ、逆に、最大強度に対して充分に小さい強度である場合は補正度合いを大きくしてできる限り補正することができる。これにより、輝度を維持しつつ適切に補正を行なうことができる。
本発明による場合、色温度の設定に対応して各色成分の最大強度が異なる場合は、各色成分に対する補正の度合いを、夫々最大強度に近い程少なくなるように夫々色成分毎に再設定すべきであることを考慮して補正を行なうことができる。
また、本来は色温度の設定別に必要な強度及び領域毎に補正量を予め測定して記憶しておくことなく、一の色温度の設定下で実測に基づき求めた補正量を、他の色温度の設定下でも適宜補正量又は補正係数の調整により対応させることができる。したがって、予め測定する情報量及び記憶しておく情報量を低減させ、色温度の設定に柔軟に応じて輝度ムラ、色ムラの補正を対応させることが可能になる。
本発明による場合、画像信号が表わす各色成分の強度が夫々の最大強度に近い程、補正係数又は補正量が少なくなる。これにより、最大輝度を維持しつつ、且つ各色成分の強度が最大輝度レベルに相当する場合は補正が行なわれないことによる輝度ムラ及び色ムラが顕現化することを回避し、適切な補正を行なうことができる。
本発明による場合、画像信号が表わす一の色成分の強度が低い場合でも、色温度の設定に応じてその強度比率が他の色成分よりも低いときは補正の度合いが少なくなる。これにより、色温度に応じて過度に補正が行なわれないようにすることができ、輝度レベルを無駄に落とすことなく適切に輝度ムラ、色ムラの補正を行なうことができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る表示装置の構成を示すブロック図である。表示装置1は、後述する画像信号出力装置2からの画像信号の入力を受け付けるインタフェースである入力部11と、画像信号が表わす各色成分の強度を表わす階調値を適宜変換する変換部12と、輝度ムラ及び色ムラを補正するムラ補正部13と、補正後の階調値を表示部15に出力する出力部14と、LCDパネル、PDPパネル等とそれらを駆動する駆動回路を含む表示部15と、各情報を記憶する書き換え可能な記憶部16と、各構成部を制御するCPU、MPU等である制御部10とを備えている。変換部12、ムラ補正部13及び出力部14はASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途集積回路)で構成されている。
画像信号出力装置2は、PC(Personal Computer)、テレビ用チューナー、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤー、ゲーム機等の画像信号を出力する装置である。表示装置1は、画像信号出力装置2から出力される制御信号及び画像信号を入力部11により受け付け、画像信号が表わす各画素の各色成分、又は輝度及び色差の階調値に基づき、表示部15に対応する画像信号を出力部14により出力し、表示部15に画像を表示させる。
制御部10は画像信号出力装置2からの制御信号、又は表示装置1自体に備えられた図示しないインタフェースにより受け付けられた制御信号により色温度の設定を受け付ける。制御部10は色温度の設定を表わす信号を変換部12及びムラ補正部13へ入力する。変換部12及びムラ補正部13は制御信号を受け付けることにより、表示装置1で設定されている色温度に応じた処理を行なう。
変換部12では、表示部15に表示させる画像を構成する各画素の色成分をR(Red:赤成分)G(Green:緑成分)B(Blue:青成分)で表わし、且つそのRGB夫々の階調値(R,G,B)を8ビット、即ち0から255までの256段階で表わした24ビットのRGB信号の入力を受け付ける。したがって入力部11は、入力部11で受け付ける画像信号の種類によってはアナログ/デジタル変換の機能、RGB信号へ変換する機能等を有していてもよい。なお、変換部12が受け付ける画像信号は上述のような24ビットのRGB信号とは限らず、他の色成分を含む信号でもよく、更に、変換処理によっては例えば各色成分を10ビット、14ビット等で表わした画像信号でもよい。
変換部12は、入力部11を介して入力された各色成分の階調値を適宜変換して出力する。変換部12には色空間の変換のための係数(カラーマトリックス)が複数用意されている。変換部12は制御部10からの指示に応じた係数を用い、入力された各色成分の入力階調値に対する変換を実行する。変換部12に用意されている係数には、入力される各色成分の階調値R,G,Bを色温度の設定に応じた強度比率となるように変換するための係数が含まれている。
例えば変換部12は、夫々0から255までの256段階の階調値で表わされるRGB信号の入力を受け付ける場合に、色温度がR,G,B夫々の最大階調値(Tr,Tg,Tb)=(255,192,128)となるように設定されたときは、入力される各RGB成分の階調値を(1(=255/255),0.75(=192/255),0.5(=128/255))の係数により変換して比率を変更する。この場合、入力されるRGB成分の階調値が(R,G,B)=(192,170,128)であるときは、変換部12により(R’,G’,B’)=(192,128,64)へ変更される。
ムラ補正部13は、変換部12から出力された各色成分の階調値(R’,G’,B’)に対し、輝度ムラ及び色ムラの補正を行なって出力する。ムラ補正部13が変換部12の後段に配置されるのは、色空間の変換がされた上でムラ補正を行なう必要があるからである。ムラ補正部13は、本発明に係る補正方法を実施するために後述の記憶部16に記憶されている補正量Cr,Cg,Cb、補正量による補正度合いを示す補正係数Kr,Kg,Kb、及びセンター輝度を基準としたムラ量を読み出し、それらを使用して補正を行なう。ムラ補正の詳細については後述にて説明する。
記憶部16には、ムラ補正部13により使用される各色成分に対する補正量、補正係数、センター輝度を基準としたムラ量が記憶されている。本発明では、補正量のみならず補正量に対する補正度合いを示す補正係数を記憶しておくことにより、輝度レベルが高い場合には補正量を少なくし、輝度レベルを無駄に落とすことなく輝度ムラ、色ムラを補正する。
図2は、本発明に係る補正方法の補正係数による補正量の加減のされ方を模式的に示す説明図である。図2は、従来技術について説明した図10と同様に、模式的に本発明の補正方法の概要を示しており、3×3の9領域に区分された画面の各領域における(a)補正前の輝度レベル、(b)各領域に対応付けられる補正量、(c)補正量による補正度合いを示す補正係数、(d)補正係数が加味された補正量、(e)補正後の輝度レベルを模式的に水平に並べて示す画面上に表わし、夫々を階調値別に3層に重ねて表わしている。
図2(c)に示す補正係数は、階調値が最大階調値に近づく程、補正を少なくするための係数である。例えば、図2(b)に示すように入力された階調値が255である場合、この階調値に対しては、中央部分の輝度レベルと周辺部分の輝度レベルとを同程度に相当させるために輝度レベルを20%低下させるべく補正量が記憶されている。しかし、この場合、階調値が最大階調値であるため階調値を補正しないように0%と記憶されている。また、階調値が224である場合、中央部分の領域に対応付けて輝度レベルを20%低下させるための補正量が記憶されているが、補正係数は補正量を少なくするために80%と記憶されている。これにより、図2(d)に示すように、階調値が224である場合は、中央部分の階調値については、輝度レベルを16%(20%×80%)低下させる程度に補正する。一方で、階調値が192である場合は、中央部分は輝度レベルを20%低下させる補正量が記憶されており、補正係数を100%として目標輝度レベルまで完全に補正するように調整される。
なお、図2の説明図では、中央部分の輝度レベルを周辺部分の輝度レベルに揃えるように低下させることにより補正を行なうように説明した。しかしながら、本発明はこれに限らず、補正量、即ち輝度レベルの変化量に応じて輝度レベルを上げることにより、輝度レベルが均一化するように補正を行なってもよい。
このように、補正係数を使用して階調値に対する補正量に傾斜をつけることにより、図2の説明図では最大輝度に相当する階調値が入力された場合の輝度を維持しつつ、更に、この場合に補正が行なわれないことによる色ムラ、輝度ムラを顕現化させないよう、最大輝度に近い輝度に相当する階調値が入力された場合は補正を緩めることが可能となる。
なお、本実施の形態1では、表示装置1に入力される画像信号はRGBの色成分の強度夫々階調値で表わすカラー信号である。したがって、本実施の形態1ではRGB成分夫々に対し、その階調値毎及び区分された各領域毎に、補正量及び補正係数が対応付けられて記憶されている。
図3は、本発明に係る表示装置1の記憶部16に記憶されている補正量の例を模式的に示す説明図である。図3の説明図は、各RGB成分の階調値別に、区分された各領域毎における実測輝度に基づく目標輝度への変化量により、補正量Cr,Cg,Cbを示している。図3の説明図では、ムラ補正部13に入力されたR成分の階調値R’が領域A1に含まれる画素の階調値であり、且つ階調値R’が255である場合は補正量Crは10%であり、階調値R’が192である場合は補正量Crは5%であることが示されている。また、入力されたR成分の階調値R’が領域A2に含まれる画素の階調値であり、且つ階調値R’が255である場合は補正量Crは20%であり、階調値R’が192である場合は補正量Crは25%であることが示されている。なお、階調値が255,192,128,64以外である場合については図示を省略しているが、全階調値に対応付けて補正量を記憶してもよい。
ムラ補正部13は、入力されたR成分の階調値R’が、領域A1に含まれる画素の階調値であり階調値R’が255である場合は、図3の説明図に示した補正量Cr=10%を記憶部16から読み出し、基本的には、その読み出した補正量Cr=10%に基づき、入力されたR成分の階調値R’を、輝度を10%増減させるに相当する分増加又は減少させることにより補正する。
図4は、本発明に係る表示装置1の記憶部16に記憶されている補正係数の例を模式的に示す説明図である。補正係数Kr,Kg,Kbは、入力される階調値R’,G’,B’が最大階調値Tr,Tg,Tbに近づくにつれて補正量Cr,Cg,Cbによる補正の度合いを小さくするための係数であり、入力される階調値に対応付けて各領域毎に記憶されている。図4の説明図は、入力される階調値R’,G’,B’が255である場合は、いずれの色成分の階調値であっても、いずれの領域に含まれる画素の階調値であっても、補正係数Kr,Kg,Kbは0%であり、入力階調値R’,G’,B’が192である場合は同様に補正係数Kr,Kg,Kbは32%、入力階調値R’,G’,B’が128である場合は同様に補正係数Kr,Kg,Kbは66%、入力階調値R’,G’,B’が64以下である場合は同様に補正係数Kr,Kg,Kbは100%である。なお、図4の説明図でも、階調値255,192,128,64以外の階調値については図示を省略しているが、全階調値に対応付けて補正係数を記憶してもよい。
図5は、本発明に係る表示装置1の記憶部16に記憶されているムラ量の例を模式的に示す説明図である。図5の説明図は、画面全体に単一色(白色)の画像信号を入力した場合の、センター領域の輝度を基準とした各領域の輝度の低下率によりムラ量を示している。図5の説明図では、画面全体に輝度の階調値が255に相当する単一色の画像信号を入力した場合の、領域A1におけるムラ量は85%であり、領域A2におけるムラ量は同様に80%であることが示されている。また、画面全体に輝度の階調値が192に相当する単一色の画像信号を入力した場合の領域A1におけるムラ量は90%であり、領域A2におけるムラ量は80%であることが示されている。
ムラ補正部13は、入力される各色成分の階調値に対応する輝度の階調値が255であり、その輝度の階調値が領域A1に含まれる画素の階調値である場合にムラ量が85%であることを読み出す。85%というムラ量は、そのまま表示部15で表示させたときは領域A1における輝度レベルが、センター領域の輝度を基準として85%の輝度レベルとなることから、センター輝度との差分に相当する分、輝度を補正するために各色成分の階調値夫々の補正が必要であることを示す。
図2乃至図5の説明図では補正量、補正係数及び目標輝度に対するムラ量を夫々百分率で表わした数値により模式的に示した。しかしながら、実際の装置では演算処理の軽減、高速化のために、例えば入力階調値と同様に8ビットの数値でそれらを表わして記憶しておき、加減算及びシフト演算により適切に補正後のRGB信号を出力することができるようにしてある。
また、図2乃至図5の説明図では、階調値255,192,128,64の64階調ステップで補正量、補正係数及びムラ量を対応付けて記憶してあることを示し、他の階調値については図示を省略した。他の階調値については上述のように全階調値に対応付けて補正量、補正係数及びムラ量を記憶するようにしてもよいし、ムラ補正部13又は制御部10が補間によって補正量、補正係数及びムラ量を求める構成でもよい。また、ムラ補正部13は、入力された階調値の値が含まれる範囲の上限又は下限の階調値に対応付けられた補正量、補正係数及びムラ量を読み出す構成、つまり、例えば階調値が224である場合は階調値255又は192いずれかに対応付けられた補正量、補正係数及びムラ量を読み出すようにしてある構成でもよい。
なお、輝度ムラ、色ムラは個々の表示装置1の表示部15の特性によって異なるので、図3及び図5の説明図に示した補正量及びムラ量は、表示装置1の製造工程で実際に輝度ムラ、色ムラを測定した結果に基づいて記憶される。
図3乃至図5の説明図に示した各情報に基づいて、入力される各RGB成分の階調値の補正する方法の概要について説明する。入力されるRGB信号が表わす領域A1に含まれる画素の各RGB成分の階調値R,G,Bが、夫々(R,G,B)=(255,255,255)であり変換部12に入力され、色温度の設定に対応させて変換部12により(R’,G’,B’)=(255,192,128)に変換されて出力された後に、記憶してある補正量、補正係数を単に使用して補正する場合について説明する。
領域A1に含まれる画素のR成分の階調値R’が255であるので、図3に示したように補正量Crは10%であるが、補正係数Krが0%であるために補正は行なわれない。G成分の階調値G’は192であるので補正量Cgは15%であり、補正係数Kgは32%であるから4.8%(=Cg×Kg)補正されることになる。B成分の階調値B’は128であるので補正量Cbは25%であり、補正係数Kbは66%であるから16.5%(=Cb×Kb)補正されることになる。
色温度の設定によりRGB成分が(R’,G’,B’)=(255,192,128)に変換され、各RGB成分は設定されている色温度に応じた最大階調値に等しいので、本来はいずれも補正しないことが望ましい。しかしながら、上述のように単に、対応付けてある補正量Cr,Cg,Cb及び補正係数Kr,Kg,Kbに基づいて補正した場合、本来は白を表示させるべきであるにも拘らず、色温度の設定に対応させた色バランスよりも余計にバランスが崩れて逆に色ムラが生じてしまう可能性がある。
そこで本発明では更に、ムラ補正部13又は制御部10の処理により補正係数Kr,Kg,Kbを色温度の設定に応じて調整し、ムラ補正部13は調整後の補正係数Kr’,Kg’,Kb’により補正量Cr,Cg,Cbによる補正度合いに傾斜をつけて、図2に示したように入力階調値R’,G’,B’の補正を行なう。
以下に補正係数の調整処理の概要について説明する。
本発明では、後述の図6に示すように、0から255までの階調値の範囲に対応付けられている補正係数を、0から設定されている色温度における最大階調値までの範囲に投影するように調整し、最大階調値に近い程補正が少なくなるようにする。
図6は、本発明に係る補正方法によって補正される各色成分の階調値を模式的に示す説明図である。図6(a)は、従来の補正方法によって補正される各色成分の階調値を模式的に示しており、図6(b)は、本発明に係る補正方法によって補正される各色成分の階調値を模式的に示している。図6(a)(b)はいずれも、ムラ補正部13へ入力される各色成分の階調値の範囲、各階調値に対応付けられている補正係数の範囲、対応する補正係数によって補正された後にムラ補正部13から出力される各色成分の階調値の範囲、及び、ムラ補正部13から出力された各色成分の階調値を、0から255までの256段階の範囲に再度投影した場合の階調値の範囲を示している。
図6(a)に示すように調整前の補正係数を使用して補正した場合は、入力された階調値が最大階調値に相当しているにも拘わらず補正がされてしまい、変換部12により変換される前の階調値が等しい場合でも補正の度合いが色成分によって異なり、色ムラが発生する可能性があることが模式的に示されている。
図6(b)では、0から255までの範囲の階調値に対応付けられていた補正係数が、設定されている色温度における最大階調値までの範囲の階調値に投影されていることが示されている。このように調整後の補正係数を使用して補正した場合は、設定されている色温度における最大階調値に対応させた補正係数により補正量に傾斜がつけられて最大輝度を維持しつつ、適切に色ムラ、輝度ムラの補正が行なわれることが示されている。
なお、図6の説明図では、最大階調値に対応させて補正係数の0%から100%までの変化全体の目盛りを縮小するように示しているが、この場合も、設定されている色温度における最大階調値が255又は128であっても、入力階調値が例えば64である場合は補正の度合いが100%となるように調整することが望ましい。
本発明の補正方法による場合、色温度の設定に応じて階調値の比率が変更されても、変換部12による変換前の階調値が同一であればほぼ等しい補正係数により補正することが可能になる。例えば、階調値192に対する補正係数は80%であるとする。変換部12に入力される緑成分の階調値Gが192である場合、色温度によってRGBの階調範囲が(0〜255,0〜224,0〜192)と変換される場合、入力された階調値G=192は、192×224/255=168に変更される。階調値168に対する補正係数が100%である場合、そのまま補正係数を使用して補正すると補正が過剰になりその領域だけ青みがかったようになる可能性がある。しかしながら、もともとの階調値192は256階調における192であり、変更後の階調値168も224階調における168であることを考慮して、例えば192/255=168/224=3/4=0.75の場合は補正係数を80%とするように割合に応じて調整することにより、色温度の設定に応じた補正係数、補正量を使用して補正が可能である。なお、前記割合はオフセット値を用いて求め、(入力階調値−64)/(最大階調値−64)の割合に応じて補正係数を調整するようにしてもよい。
この場合、例えばグレー(R,G,B)=(192,192,192)の画像を表示すべく画像出力装置2からRGB信号が入力された場合、色温度が最大階調値が(Tr,Tg,Tb)=(255,224,192)となるように設定されている場合、階調値は変換部12により(R’,G’,B’)=(192,168,144)に変換される。これに対し等しい値の補正係数を使用するべきところ、単に(192,168,144)に対応付けられている補正係数を使用した場合、B成分のみ大きく補正され、青みがかったグレー又は赤みがかったグレーに補正されてしまい、逆に色ムラが発生してしまう。しかしながら上述のように最大階調値に対する入力階調値の割合に応じて補正係数が調整することにより、各色成分でほぼ等しい補正係数を使用することができ、色ムラの発生を回避して色温度の設定に応じて適切な輝度ムラ、色ムラの補正を行なうことができる。
図7は、本発明に係る補正方法によって調整される補正係数と入力階調値との関係を示すグラフである。図7の横軸は変換部12から入力される変換後の階調値、縦軸は補正の度合いを示す補正係数を表わしている。線G1は色温度の設定により最大階調値が255である場合の入力階調値に対する補正係数を示し、線G2は最大階調値が192である場合の入力階調値に対する補正係数を示し、線G3は最大階調値が128である場合の入力階調値に対する補正係数を示している。
従来の補正方法では、最大階調値が192又は128である場合であっても、線G1に示される関係に従って入力階調値に対応する補正係数が使用された。一方、本発明の補正方法による場合は、設定されている色温度における最大階調値に応じて入力階調値に対応する補正係数の関係は、線G2又は線G3に示すような関係となるように調整される。これにより、入力階調値が、設定されている色温度における最大階調値が等しい又は極めて近い場合は入力階調値を補正せず、更に入力階調値が最大階調値に近い程、補正の度合いを小さくするようにして入力階調値の値に応じて緩やかに補正できる。これにより、高輝度を維持しつつも輝度ムラ及び色ムラを色温度の設定に応じて適切に補正することが可能になる。
なお、図7のグラフでは、各色温度の設定に応じて入力階調値に対する補正の度合いが線型の関係を示すように表わされているが、線型の関係になるとは限らない。また、各直線G1,G2,G3の傾き、即ち補正係数の変化率の傾きは、図7に示されているように色温度の設定に応じて変化させ、入力階調値が充分小さい値、例えば64である場合は、色温度の設定如何に拘わらず補正係数が100%となるように調整することが望ましい。これらは、入力される階調値に対する補正係数の内容を色温度に応じて用意すること、または更に別のテーブルの用意すること等によって、入力階調値の各成分の最大階調値に対する割合に応じた調整方法を適宜最適化することにより実現することができる。
図7の説明図に示すように、設定されている色温度における最大階調値に応じて補正係数を調整することにより、入力階調値が最大階調値に近いほど補正の度合いを少なくし、入力階調値が充分に低い場合は完全に補正を行なうようにムラ補正部13による補正を制御することが可能になる。
また、図7の説明図に示すように、色温度の設定に応じて色成分の強度比率が低くなる場合には、補正係数もそれに相当して低くなるように調整する。これにより、ある色成分の入力階調値が他の色成分の階調値よりも小さい値であっても、強度比率が低い場合は過度に補正しすぎないようにして輝度を維持することができる。
次に、本発明に係る表示装置1において補正係数が調整される具体的な処理の一例をフローチャートを用いて説明する。図8は、実施の形態1における表示装置1において補正係数が調整され、調整後の補正係数が加味された補正量が算出される処理手順の一例を示すフローチャートである。
ムラ補正部13は、制御部10からの制御信号により色温度に応じた各RGB成分の最大階調値(Tr,Tg,Tb)を取得する(ステップS101)。ムラ補正部13は、取得した各RGB成分の最大階調値(Tr,Tg,Tb)に対応付けられている補正係数(Ktr,Ktg,Ktb)を記憶部16から読み出す(ステップS102)。ムラ補正部13は、入力されている画像信号が表わす画素の各色成分の階調値(R’,G’,B’)、及び画素が含まれる領域に対応付けられている補正量(Cr,Cg,Cr)を記憶部16から読み出す(ステップS103)。ムラ補正部13は、入力されている各色成分の階調値に対応付けられている補正係数(Kr,Kg,Kb)を読み出す(ステップS104)。
次に、ムラ補正部13は、各色成分毎にステップS104で読み出した補正係数(Kr,Kg,Kb)とステップS102で読み出した最大階調値に対応付けられている補正係数(Ktr,Ktg,Ktb)との差分を算出する(ステップS105)。ステップS105によって算出された補正係数の差分が調整後の補正係数(Kr’,Kg’,Kb’)に相当する。ムラ補正部13は、ステップS103で読み出した入力されている各色成分の階調値に対する補正量(Cr,Cg,Cb)にステップ105で算出した各色成分毎の補正係数(Kr’,Kg’,Kb’)を乗算する(ステップS106)。ステップS106の乗算結果は、調整後の補正係数が加味された補正量(Cr’,Cg’,Cb’)に相当する。
次に、ムラ補正部13は、入力されている各色成分の階調値(R’,G’,B’)に基づいて、輝度の階調値に対応するムラ量を記憶部16から読み出す(ステップS107)。ムラ補正部13は、読み出したムラ量に対し、ステップS106の乗算結果である補正量(Cr’,Cg’,Cb’)を加算した場合に100%を超えるか否かを判断する(ステップS108)。
ムラ補正部13は、ムラ量に補正量を加算した場合100%を超えると判断した場合(S108:YES)、100%を超えないように補正量(Cr’,Cg’,Cb’)を再度調整し(ステップS109)、調整後の補正量(Cr”,Cg”,Cb”)に基づき入力されている各色成分の階調値(R’,G’,B’)を補正して出力し(ステップS110)、処理を終了する。
一方ムラ補正部13は、ムラ量に補正量を加算した場合100%を超えないと判断した場合(S108:NO)、ステップS106の乗算結果である調整後の補正量(Cr’,Cg’,Cb’)に基づいて入力されている各色成分の階調値(R’,G’,B’)を補正して出力し(S110)、処理を終了する。
ステップS108及びステップS109の処理は、当該画素のムラ量に表わされる階調値に対して必要な補正量を、調整後の補正係数が加味された補正量が超えてしまう場合は、超えない程度に補正量を調整する目的で行なう。例えばセンター輝度にあわせるように周辺部分の階調値を補正しようとしている場合に、センター輝度を超えるように階調値を補正する必要がないからである。
図8のフローチャートに示した処理を具体例に挙げて以下に説明する。具体例として、色温度が設定されてRGB夫々の階調値に対する最大階調値が(Tr,Tg,Tb)=(255,192,128)である場合に、変換部12に入力されるRGB夫々の階調値が(R,G,B)=(255,255,255)であるとき、及び、(R,G,B)=(192,170,128)であるときを挙げて説明する。なお、当該階調値(R,G,B)は図3乃至図5の説明図における領域A1の領域に含まれる画素の階調値であるとする。
ステップS101において、各RGB成分の最大階調値が(Tr,Tg,Tb)=(255,192,128)であることがムラ補正部13により取得される。さらにステップS102において、各色成分の最大階調値の補正係数が夫々(Ktr,Ktg,Ktb)=(0%,32%,66%)であることがムラ補正部13により読み出される。
変換部12に入力されるRGB夫々の階調値が(R,G,B)=(255,255,255)である場合、変換部12から出力されてムラ補正部13に入力される階調値は(R’,G’,B’)=(255,192,128)である。このとき、ムラ補正部13により、入力されている階調値に対応づけられている補正量は(Cr,Cg,Cb)=(10%,15%,25%)であることがステップS103で読み出される。また、ムラ補正部13により、入力されている階調値に対応付けられている補正係数は(Kr,Kg,Kb)=(0%,32%,66%)であることがステップS104で読み出される。
次に、ステップS105において補正係数の差分が(Kr’,Kg’,Kb’)=(0%,0%,0%)と算出され、ステップS103で読み出された補正量Cr,Cg,Cbに乗算される。ステップS106の処理において、調整後の補正係数が加味された補正量は(Cr’,Cg’,Cb)=(0%,0%,0%)となる。
このように、入力されている階調値が設定されている色温度における最大階調値である場合は補正量はゼロとなり、補正がされない。これにより、最大階調値であるにも拘らず補正が行なわれて逆に色ムラ、輝度ムラが発生してしまうことを回避することができる。
一方、変換部12に入力される階調値が(R,G,B)=(192,170,128)である場合、変換部12から出力されてムラ補正部13に入力される階調値は(R’,G’,B’)=(192,128,64)である。このとき、ムラ補正部13により、入力されている階調値に対応付けられている補正量は(Cr,Cg,Cb)=(5%,20%,20%)であることがステップS103で読み出される。また、ムラ補正部13により、入力されている階調値に対応付けられている補正係数は(Kr,Kg,Kb)=(32%,66%,100%)であることがステップS104で読み出される。
次に、ステップS105において補正係数の差分が(Kr’,Kg’,Kb’)=(32%,34%,34%)と算出され、ステップS103で読み出された補正量Cr,Cg,Cbに乗算される。ステップS106の処理により、調整後の補正係数が加味された補正量は(Cr’,Cg’,Cb’)=(1.6%,6.8%,6.8%)となる。
このように、入力されている階調値及び設定されている色温度における最大階調値とに応じて補正係数が調整され、入力されている階調値が最大階調値よりも充分に少ない値である(最大階調値に対する割合が低い)場合は補正すべき階調値を完全に(100%)補正するようにし、入力されている階調値が最大階調値に近い(最大階調値に対する割合が高い)場合は補正量を少なくすることができる。これにより、入力階調値が最大階調値に略等しい場合に補正を行なわないようにしていることから、色ムラ、輝度ムラの発生が顕現化してしまうことを回避しつつ、適切に色ムラ、輝度ムラを補正することが可能になる。
なお、図8のフローチャートに示した処理手順では、補正係数の差分をとることにより調整した。これにより、設定されている色温度における最大階調値に相当する階調値が入力された場合に補正されないようにすべく調整することができる。しかしながら、本発明に係る補正方法の詳細は図8のフローチャートに示した処理手順に限られない。例えば、図3に示したように階調値毎に記憶してある補正量に予め補正係数を加味させておき、即ち乗算しておき記憶しておく構成でもよい。この場合、図8のフローチャートに示した補正係数の調整処理を、補正係数が加味された補正量に対する処理に対応させて実行してもよい。このとき補正量に夫々補正係数を予め乗算しておく処理は制御部10で行なってもムラ補正部13で行なってもよい。
また、本発明の補正方法による補正は、入力階調値に対する補正の加減を、設定される色温度における最大階調値に入力階調値が等しい場合は補正を行なわず、最大階調値に入力階調値が近いほど補正する量を少なく調整し、更に入力階調値が充分に小さい値である場合はできる限り補正しようとすることを目的としている。図8のフローチャートに示した処理手順そのままでは、入力階調値が充分に低い場合に補正係数が100%となるように制御することが難しい。したがって、入力階調値が所定値以下である場合、例えば、最大階調値が255、192,128の内のいずれであっても、入力階調値が64以下である場合は補正係数は100%となるように調整する処理を加えるようにしてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、補正係数を調整する具体的な処理の一例として、別の処理手順について説明する。即ち、表示装置1のムラ補正部13による補正係数の調整処理の具体的な方法の例示以外、ハードウェア構成、補正係数の調整の概要、及び補正方法の概要については、実施の形態1と同様の構成であるため詳細な説明を省略する。
図9は、実施の形態1における表示装置1において補正係数が調整され、調整後の補正係数が加味された補正量が算出される処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、補正係数が調整されて補正量が求められた後の補正処理については、実施の形態1における図8のフローチャートに示した処理手順と同様であるので同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
ムラ補正部13は、制御部10からの制御信号により色温度の設定に応じた各色成分の強度比率(Rr,Rg,Rb)を取得する(ステップS201)。なお、このとき、最大階調値(Tr,Tg,Tb)の比率を求めることによって強度比率を取得してもよい。ムラ補正部13は、入力されている画像信号が表わす画素の各色成分の階調値(R’,G’,B’)、及び画素が含まれる領域に対応付けられている補正量(Cr,Cg,Cr)を記憶部16から読み出す(ステップS202)。ムラ補正部13は、入力されている各色成分の階調値に対応付けられている補正係数(Kr,Kg,Kb)を読み出す(ステップS203)。
次に、ムラ補正部13は、各色成分毎にステップS203で読み出した補正係数(Kr,Kg,Kb)に、夫々対応する強度比率(Rr,Rg,Rb)を乗算する(ステップS204)。ステップS204によって乗算された結果が調整後の補正係数(Kr’,Kg’,Kb’)に相当する。ムラ補正部13は、ステップS202で読み出した入力されている各色成分の階調値に対する補正量(Cr,Cg,Cb)に、ステップS204における乗算結果である色成分毎の補正係数(Kr’,Kg’,Kb’)を乗算する(ステップS205)。ステップS205の乗算結果は、調整後の補正係数が加味された補正量(Cr’,Cg’,Cb’)に相当する。
図9のフローチャートに示した処理を具体例を挙げて以下に説明する。具体例として、実施の形態1で示した具体例と同様の条件に当てはめて説明する。即ち、階調値(R,G,B)は図3乃至図5の説明図における領域A1の領域に含まれる画素の階調値である。最大階調値(Tr,Tg,Tb)=(255,192,128)、変換部12に入力されるRGB夫々の階調値が(R,G,B)=(255,255,255)、(R,G,B)=(192,170,128)の場合である。この場合、色温度に応じた各色成分の強度比率は(Rr,Rg,Rb)=(1,0.75,0.5)である。
ステップS201において、各色成分の強度比率が(Rr,Rg,Rb)=(1,0.75,0.5)であることが取得される。
変換部12に入力されるRGB夫々の階調値が(R,G,B)=(255,255,255)である場合、変換部12から出力されてムラ補正部13に入力される階調値は(R’,G’,B’)=(255,192,128)である。このとき、ムラ補正部13により、入力されている階調値に対応づけられている補正量は(Cr,Cg,Cb)=(10%,15%,25%)であり、補正係数は(Kr,Kg,Kb)=(0%,32%,66%)であることがステップS202及びステップS203で読み出される。
次に、ステップS204において乗算結果が(Kr’,Kg’,Kb’)=(0%,24%,33%)と算出され、ステップS202で読み出された補正量Cr,Cg,Cbに乗算される。ステップS205の処理により、調整後の補正係数が加味された補正量は(Cr’,Cg’,Cb’)=(0%,4.8%,6.6%)となる。これにより、階調値が補正量によって過度に補正されて輝度が無駄に低下しないように最大輝度を維持しつつも、適切に輝度ムラ、色ムラが補正される。
一方、変換部12に入力される階調値が(R,G,B)=(192,170,128)である場合、変換部12から出力されてムラ補正部13に入力される階調値は(R’,G’,B’)=(192,128,64)である。このとき、ムラ補正部13により、入力されている階調値に対応付けられている補正量は(Cr,Cg,Cb)=(5%,20%,20%)であり、補正係数は(Kr,Kg,Kb)=(32%,66%,100%)であることがステップS202及びステップS203で読み出される。
次に、ステップS204において乗算結果が(Kr’,Kg’,Kb’)=(32%,49.5%,50%)と算出され、ステップS202で読み出された補正量Cr,Cg,Cbに乗算される。ステップS205の処理により、調整後の補正係数が加味された補正量は(Cr’,Cg’,Cb’)=(1.6%,9.9%,10%)となる。これにより、階調値が補正量によって過度に補正されて輝度が無駄に低下しないように輝度を維持しつつも、適切に輝度ムラ、色ムラが補正される。
このように、入力されている階調値が小さい値である場合であっても、色温度における強度比も低い場合は補正量が少なくなるようにすることができる。これにより、過度に補正が行なわれないように輝度を維持しつつも、設定されている色温度に応じて適切に輝度ムラ、色ムラを行なうことができる。
なお、実施の形態1及び2では複数の色成分の階調値に対する補正を例にあげたが、モノクロの画像信号における階調値に対する補正に適用してもよい。
また、実施の形態1及び2では変換部12及びムラ補正部13等は夫々、処理の高速化が要求されていることからASICを構成する各モジュールによって実現する構成とした。しかしながら本発明は、コンピュータ装置に本発明に係る補正方法を実施するコンピュータプログラムをコンピュータ装置に実行させることにより、コンピュータ装置が接続しているモニタで表示する画像の色ムラ、輝度ムラを補正する構成でもよい。図10は、本発明に係る補正方法をコンピュータ装置で実施する場合の構成を示すブロック図である。この場合、コンピュータ装置3は、CPU、MPU等の制御部30と、ハードディスク(Hard Disk)、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の記憶部31と、補正後の画像信号をモニタ4へ出力する出力部32とを備える。
記憶部31には、制御部30が生成する画像信号に対して本発明に係る補正方法を実施させるための制御プログラム3Pが記憶されている。制御プログラム3Pには、制御部30を上述の表示装置1における変換部12及びムラ補正部13として機能させるためのモジュールである変換部33及びムラ補正部34が含まれている。また、記憶部31に記憶される制御プログラム3Pは、図示しないDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体に記録されており、制御部30はDVD/CDドライブ等の補助記憶部(図示せず)を介して可搬型記録媒体に記録されていた制御プログラム3Pを記憶部31へ記憶するようにしてもよい。
このような構成のコンピュータ装置3の制御部30は、記憶部31から制御プログラム3Pを読み出して実行し、制御プログラム3Pに含まれるムラ補正部34の機能により、制御部30が生成した画像信号が表わす各色成分の階調値を、色温度の設定に対応した各色成分の最大階調値に応じて調整した補正量又は補正係数によって補正し、色温度の設定に応じて適切な輝度ムラ、色ムラ補正を行なうことができる。コンピュータ装置3とモニタ4間に通信インタフェースを更に備え、制御プログラム3Pから表示装置1と同様の構成であるモニタ4内の変換部12、ムラ補正部13を制御するようにしてもよい。