JP4779727B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
ところで、不特定多数のユーザーが使用する印刷装置では、要求される印刷方法も多種多様である。
しかし、用途を限定した特殊な印刷装置を除き、汎用的な印刷装置は、様々な使用態様を想定する必要がある。このため、汎用的な印刷装置には、最も負荷がかかる場合を想定して大容量の電源(主電源)が搭載されている。
特許文献1には、画像定着機の立ち上げ時間の短縮又は温度維持を目的として、主電源とは別に補助電源を搭載する複写機が開示されている。
(a)インクジェット方式の印刷ヘッド
(b)画像データを処理して前記印刷ヘッドに供給する画像処理部
(c)商用電源に接続され、印刷ヘッドに第1の電力を供給する主電源
(d)印刷実行中に印刷ヘッドの駆動に必要な電力が第1の電力を超える場合に、第1の電力を補う第2の電力を印刷ヘッドに供給する充電式の副電源であって、印刷ヘッドで最大電力が消費された直後に要する充電時間が第1の電力のみで印刷が実行される場合の印刷直後の待ち時間よりも短くなるように充電容量を設定した充電式の副電源
(e)電力の供給線路上に位置し、印刷ヘッドの駆動に必要な電力が第1の電力を超えるとき、電力の供給線路に副電源を電気的に接続するスイッチ部
また、主電源と副電源の容量の最適化により、最大電力が消費された直後に要する充電時間が第1の電力のみで印刷が実行される場合の印刷直後の待ち時間よりも短くなる。このため、印刷待機時間中に副電源をフル充電する場合にも、印刷待機時間長を通常印刷時と同じ時間に保つことができる。よって、印刷内容や印刷態様によって印刷時間が変動しない印刷装置を実現できる。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する実施形態は、発明の一つの実施形態であって、これらに限定されるものではない。
(A−1)全体構成
図1に、印刷装置100を用いた印刷システムの機能ブロック構成を示す。
なお、印刷装置100は、インクジェット方式の印刷装置である。また、印刷装置100は、シリアルバスやネットワーク経由でホストコンピュータ200と接続される。
印刷装置100は、主電源111、電源供給スイッチ部113、副電源115、昇圧DC−DCコンバータ117、印刷ヘッド119、モーター駆動部121、モーター123、システム制御部125、A/D変換部127、センサー129、コンピュータI/F部131、メモリカードI/F部133、画像処理部135、印刷ヘッド制御部137で構成する。
主電源111は、商用電源のコンセントに電源ケーブル経由で接続される電源である。主電源111は、印刷装置内の各部に電力を分配する。例えばヘッド電源より電源供給スイッチ部113を通じて印刷ヘッド119に電力を供給する。また例えば、ロジック電源より装置内の各部に電力を供給する。また例えば、モーター電源よりモーター駆動部121に電力を供給する。
電源供給スイッチ部113は、ヘッド電源が供給する電源(主電源)と副電源115が供給する電源(副電源)を選択的に印刷ヘッド119に供給する回路部である。
なお、主電源から延びる電源供給線と副電源から延びる電源供給線とは、電源供給スイッチ部113内で1本の電源供給線に接続される。電源供給スイッチ部113は、この1本の電源供給線に対する副電源の電気的な接続を制御する。
これに対し、印刷ヘッド119で消費される電力が主電源111から供給される電流で十分でない場合、電源供給スイッチ部113は、主電源と副電源の両方を印刷ヘッド119に供給する。この際、副電源から印刷ヘッド119に対しては、主電源の不足分を補うように電流が流れる。
一方、印刷ヘッド119で必要な電流が定格10.45Aを超える場合、電源供給スイッチ部113は、主電源分の10.45Aに加え、副電源分の電流を加えた最大20.9Aの電流を供給する。
副電源115は、印刷ヘッド119で消費される電力が通常時以上になる場合の電力不足を補うために用意される予備の電源である。副電源115は、ファラッド単位の大容量を有する電気二重層コンデンサや二次電池で構成する。すなわち、充電式の電源である。この例の場合、副電源115の電力供給容量は、DC負荷換算で10.45Aの電流を供給できるものを使用する。
なお、主電源側から分岐した電源供給線には、電流制限用の抵抗R1と逆流防止用のダイオードDが直列に接続される。抵抗R1は、過剰な電流が流入するのを防止する抵抗である。また、ダイオードDは、大容量コンデンサの電流が主電源方向に逆流しないように配置される。
昇圧DC−DCコンバータ117は、副電源115の電源供給線に接続されており、放電により電圧低下した大容量コンデンサの電圧を昇圧して出力するスイッチング電源である。昇圧後の電圧は、主電源と同じく電源供給スイッチ部113に供給される。なお、副電源115が二次電池の場合、昇圧DC−DCコンバータは不要である。以下では、副電源115が大容量コンデンサであるものとして説明する。
印刷ヘッド119は、微細なインク滴をノズルから被印刷媒体に吐出する方式のヘッド構造を有する。印刷ヘッド119で採用するインク滴の吐出方式は任意である。例えば、ヒーターの加熱で発生した気泡の膨張力でインク滴を吐出する方式を用いても良いし、圧電素子の形状変化に伴う圧力でインク滴を吐出する方式を用いても良い。
また、印刷ヘッド119は、シリアルヘッドでもラインヘッドでも良い。
図2に、印刷ヘッド119の等価回路を示す。印刷ヘッド119は、ヘッドチップ1191に対して平滑用のコンデンサ1193を並列に接続した回路と電気的には等価である。
モーター駆動部121は、印刷装置内に搭載されたモーター123の駆動動作を制御するデバイスである。なお、モーター123の駆動内容や駆動タイミング等は、システム制御部125を通じて制御される。
システム制御部125は、システム全体の動作を制御する処理ユニットである。システム制御部125は、コンピュータで構成される。すなわち、CPU、ROM、RAMを主要な構成要素とする。ROMには、処理プログラムが格納されている。CPUは、ROMから読み出した処理プログラムを実行し、システム全体の動作を制御する。RAMは、演算処理の作業領域である。
なお、ホストコンピュータ200と印刷装置100との接続は、コンピュータインターフェース部131を通じて実行される。
これらインターフェースとシステム制御部125の接続は、制御バス経由で実行される。
A/D変換部127は、大容量コンデンサの出力電圧をシステム制御部125で監視できるようにアナログ電圧値をデジタル電圧値に変換する回路である。
(i)センサー
センサー129は、印刷装置内に配置された各種の温度センサー、印刷エラーセンサー、インク残量センサーである。これらの検出値は、システム制御部125に供給される。
画像処理部135は、システム制御部125を通じて供給される画像データに各種の信号処理及び出力特性変換を加える処理デバイスである。
図3に、画像処理部135の構成例を示す。画像処理部135は、色分解処理部1351、黒摘出下色除去部1353、色及び階調修正部1355、シャープネス修正部1357、多値化ディザ処理部1359で構成される。
黒摘出下色除去部1353は、CMY信号から黒(K)成分を抽出してCMYK信号を生成する処理デバイスである。
色及び階調修正部1355は、必要に応じてCMYK信号に色調整と階調修正処理を実行する処理デバイスである。
多値化ディザ処理部1359は、鮮鋭化処理等を経たCMYK信号に対して多値階調誤差拡散法等の多階調ディザ処理を実行し、印刷データ(ドットパターンデータ)を生成する処理デバイスである。
印刷ヘッド制御部137は、印刷データをヘッド駆動信号に変換し、印刷ヘッド119の吐出動作を制御する処理デバイスである。この印刷ヘッド制御部137の制御により、印刷ヘッド119を構成する個々のノズルは1発又は複数発のインク滴を被印刷媒体に向けて吐出する。
ここでは、電源供給スイッチ部113の具体的な構成例を説明する。前述したように、電源供給スイッチ部113は、通常印刷時には主電源から優先的に電流を供給し、ベタ塗り印刷や高速連続印刷のように主電源だけでは電力が不足する場合には、電力が不足する間だけ副電源が補助的に電力を供給する動作を実行する。
図4に、電源供給スイッチ部113を論理回路として実現する場合の回路構成例を示す。
この場合、電源供給スイッチ部113は、主電源から延びる電源供給線上のダイオード素子D11と、副電源(昇圧後)から延びる電源供給線上のダイオード素子D12とで構成される。
ダイオード素子D11及びD12は、アノードとカソード間の電位差によりオン又はオフ動作する。すなわち、ダイオード素子D11及びD12は、スイッチとして機能する。もっとも、ダイオードD11は、逆電流を防止するような事態が発生する場合を除いて常にオン状態で動作する。
例えば主電源が9.9Vの場合、副電源の電圧は9.7V程度に設定する。すなわち、0.2Vのオフセット電圧を用意する。
なお、ここでのダイオード素子は、スイッチング動作を説明するためのもので、等価的にダイオード回路として機能すればトランジスタ回路その他の論理回路として実現することが可能である。
また、この回路構成では、印刷ヘッドで消費される実際の負荷状態に応じ、副電源の供給又は供給停止を切り替えることができる。
図5に、電源供給スイッチ部113をスイッチの開閉制御により実現する場合の機能回路構成を示す。
この場合、少なくとも副電源と印刷ヘッドとを接続する電源供給線上に外部からの制御信号で開閉動作するスイッチSW1を配置する。スイッチSW1は、例えばトランジスタで構成する。
図5の場合、スイッチSW1の開閉制御による供給電力の制御機能は、システム制御部125の機能の一部として実現する。この機能をスイッチ制御部1251と表す。スイッチ制御部1251は、処理対象である画像データの印刷に必要な電力を逐次算出する処理と、算出された電力が主電源より供給される電力を超えるか否かを判定する処理と、判定結果に応じてスイッチSW1の開閉を制御する処理とを実行する。
なお、印刷ヘッドで消費される電力は、印刷内容(画像データ)だけでなく環境温度や印刷ヘッドの温度、印刷済み枚数、総印刷枚数等も影響する。従って、予測精度を高める上では、温度情報や印刷済み枚数等を参照することが望ましい。
勿論、この制御手法の場合も、電力不足の原因によらず、不足分の電力を実時間で補充することが可能になる。
ここでは、副電源の搭載を前提に印刷装置の使い勝手を更に向上させる制御技術の一つを説明する。
副電源による不足電力の供給後は、当然ながら副電源の再充電が必要になる。この際、常に充電が完了した後に次頁の印刷が開始されれば良いが、実際には副電源の充電が完了しない段階で次頁の印刷が開始される場合がある。
そこで、システム制御部125の機能の一部として、印刷開始タイミングの制御機能を実現する。この機能を、印刷開始タイミング制御機能と呼ぶ。
充電状態測定部1253は、少なくとも次頁の印刷が開始される前に副電源の充電量を測定する処理デバイスである。ここでの次頁は、1つの印刷ジョブ内に複数頁が含まれる場合に限らず、単頁の印刷が複数連続する場合も含む意味で使用する。
副電源が大容量コンデンサの場合、副電源の貯蔵エネルギー(充電量)Eと出力電圧との間には図7に示す関係が成立する。この場合、貯蔵エネルギー(充電量)Eは、CV2 /2で算出することができる。
従って、副電源が大容量コンデンサの場合には、図8に示すように副電源の出力電圧VをA/D変換部127でA/D変換し、その値を充電状態測定部1253に与える手法を採用する。
すなわち、副電源の電源供給線路と接地線GNDの間に、検出用スイッチSW2とダミー抵抗R21、R22で形成した直列回路を挿入し、検出用スイッチSW2が閉じた場合にダミー抵抗R21、R22に流れる電流により生じる電圧値をA/D変換部127で検出する手法を採用する。
ここで、検出用スイッチSW2の開閉は、充電状態測定部1253が制御する。
印刷開始制御部1255は、測定された充電量が基準値(満充電量)に満たないとき、印刷ヘッド119による次頁の印刷開始を停止し、測定された充電量が基準値(満充電量)を満たすとき、印刷ヘッド119による次頁の印刷開始を許可する。
なお、印刷開始制御部1255が印刷開始を停止すると、その間を利用して副電源の充電が進むので容量一杯まで電力を蓄えることができる。例えば10.45Aの出力が可能な状態まで電力を蓄積することができる。
ここでも、副電源の搭載を前提に印刷装置の使い勝手を更に向上させる制御技術の一つを説明する。
直前の説明では、次頁の印刷開始後に電力不足が発生しないように、次頁の印刷開始前に副電源の充電状態を確認する場合について説明した。
ただし、次頁の印刷開始前に副電源の充電状態を確認する方法は、以下の点を注意する必要がある。
充電状態測定部1257は、少なくとも各頁の印刷が終了した時点で(印刷終了後に)副電源の充電量を測定する処理デバイスである。副電源の構成に応じて測定方法が異なる点は、印刷開始前に副電源の充電量を測定する充電状態測定部1253(図6)と同じである。
例えば測定直前の印刷が主電源のみで実行された場合、待機時間制御部1259は、給排紙に要する時間と最大印刷電流への立ち上がりや立ち下がりに要する時間の総和を印刷待機時間とする。
システム制御部125は、この印刷待機時間に応じて次頁の印刷準備を進行させる。この結果、印刷用紙の給紙タイミングも最適化され、給紙の完了から実際の描画が開始されるまでの時間を一定にできる。すなわち、印刷品質を一定に保つことができる。
ここでは、主電源の電源供給容量と副電源の電源供給容量の最適化技術について説明する。
直前の2つの説明では、いずれも頁間の印刷待機時間が副電源の充電態様(充電無しからフル充電まで)に応じて変動することが前提になる。このため、印刷待機時間が変動すると、単位時間当たりの印刷枚数も変動してしまう。
例えば全面ベタ塗り印刷を連続する場合では、どうしても副電源の充電に要する時間が長くなり、結果的に1分当たりの印刷枚数が低下してしまう。
そこで、副電源の充電時間が、印刷動作の実行に不可欠な時間(給排紙と演算に要する時間)内に吸収されるように、主電源と副電源の容量比率を最適化する方法を提案する。
図12に、主電源と副電源の容量比率と副電源の充電時間との間に確認された実験結果を示す。
図12は、9.9Vの一定電圧下で最大負荷が印加された場合(20.90Aの印刷電流が流れた場合)に、主電源と副電源との容量比率(負担比率)の違いにより充電時間がどのように推移するかを示す図である。
従って、この形態例で前提とする駆動条件に関する限り、容量14.93A以上の主電源と、容量5.97A以下の副電源を印刷装置に搭載することで、印刷待ち時間を常に一定に保つことができる。
勿論、これらの数値は一例であり、印加電圧、最大印刷電流、許容充電時間等が異なれば、主電源と副電源の容量比率は異なるものになる。
また、前述したように主電源が大きくなりすぎると、主電源の小容量化に反することになるので主電源の電源供給容量の最大値は実装上の条件を考慮して設定する必要がある。
(a)前述した技術は、印刷装置が業務用か個人用かを問わずに適用できる。例えば、オフィス用印刷機、医療用印刷機、写真印刷機、複写機、ファックス機、汎用印刷機、ビデオ印刷機等にも適用できる。
なお、印刷装置は、印刷機能以外のデバイス、例えば表示デバイス、スキャナ等を搭載しても良い。
また、印刷装置は、画像データを格納する大容量記憶装置を搭載しても良い。大容量記憶装置には、例えばハードディスク駆動装置、半導体メモリ、光学式記憶媒体等を使用する。
また、これらの処理機能の全てをハードウェア又はソフトウェアで実現するだけでなく、その一部はハードウェア又はソフトウェアを用いて実現しても良い。すなわち、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ構成としても良い。
(c)前述の形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される各種の変形例及び応用例も考えられる。
111 主電源
113 電源供給スイッチ部
115 副電源
125 システム制御部
1251 スイッチ制御部
1253 充電状態測定部
1255 印刷開始制御部
1257 充電状態測定部
1259 待機時間制御部
Claims (3)
- インクジェット方式の印刷ヘッドと、
画像データを処理して前記印刷ヘッドに供給する画像処理部と、
商用電源に接続され、前記印刷ヘッドに第1の電力を供給する主電源と、
印刷実行中に前記印刷ヘッドの駆動に必要な電力が前記第1の電力を超える場合に、前記第1の電力を補う第2の電力を印刷ヘッドに供給する充電式の副電源であって、前記印刷ヘッドで最大電力が消費された直後に要する充電時間が第1の電力のみで印刷が実行される場合の印刷終了後から次の印刷開始までの時間よりも短くなるように充電容量を設定した充電式の副電源と、
電力の供給線路上に位置し、前記印刷ヘッドの駆動に必要な電力が前記第1の電力を超えるとき、電力の供給線路に前記副電源を電気的に接続するスイッチ部と
を有することを特徴とする印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置において、
前記充電容量は、前記主電源と前記副電源の容量比率が規定の比率を満たすように設定される
ことを特徴とする印刷装置。 - 請求項2に記載の印刷装置において、
前記充電容量は主電源の容量に対して2.5分の1以下に設定される
ことを特徴とする印刷装置。
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