JP4779669B2 - 流体圧縮機 - Google Patents
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Description
このような流体圧縮機の例は、特許文献1に示される。
この流体圧縮機においては、シール室と作動室の吸入圧領域とが連通孔によって連通するので、シール室に溜まった水分が連通孔を経由して吸入圧領域へと排出される。
作動室は、ロータのそれぞれの回転軸方向の両端に対向する軸方向内面を有し、ロータのそれぞれの両端は、軸方向内面と対向する位置に、基部と、基部より軸方向内面に向かうにつれ、ロータの径方向内側に向かうように張り出した段差部とを有してもよい。
段差部は、縁部およびテーパ面からなり、縁部はテーパ面をもって基部たる平面部に接続されてもよい。
作動室は、ロータのそれぞれの回転軸方向の両端に対する軸方向内面を有し、軸方向内面には複数のくぼみが形成されてもよい。
軸方向内面の法線方向から見て、くぼみの径は段差部の幅よりも小さいものであってもよい。
参考例1.
この実施形態の流体圧縮機は燃料電池のスタックへ水素ガスを供給するための水素ポンプであり、圧縮機の形式としては電動式のルーツ式圧縮機である。このルーツ型圧縮機が取り扱うガスは水素を含む。また、ガスにはスタック内の反応によって生じた水分が含まれる。
ハウジング11内には、電動モータ19と、電動モータ19により駆動され回転する駆動軸20と、駆動軸20に同期して回転する従動軸21と、駆動軸20の回転を従動軸21に伝達する駆動側ギヤ26および従動側ギヤ27と、駆動軸20に同軸に取り付けられて一体的に回転するロータ22と、従動軸21に同軸に取り付けられて一体的に回転するロータ23と、駆動軸20を軸支する第1ラジアル軸受28および第2ラジアル軸受29と、従動軸21を軸支する第3ラジアル軸受30と、駆動軸20の外周に取り付けられるリップシールである軸シール部材31および32と、従動軸21の外周に取り付けられるリップシールである軸シール部材33とが収容されている。
ここで、駆動軸20に関してロータ22側を圧縮機10の前面側とし、電動モータ19側を圧縮機10の後面側とする。
モータハウジング体12とギヤハウジング体13とが画定する空間がモータ室16であり、ここに電動モータ19が収容される。ギヤハウジング体13と中間ハウジング体14とが画定する空間がギヤ室17であり、ここに駆動側ギヤ26および従動側ギヤ27が収容される。中間ハウジング体14とロータハウジング体15とが画定する空間が作動室18であり、ここにロータ22および23が収容される。
駆動軸20は、中間ハウジング体14に備えられた別の駆動側軸受としての上述の第2ラジアル軸受29によりさらに軸支されている。駆動軸20においてロータ22と電動モータ19との間に駆動側ギヤ26が配置されている。
一方、従動軸21は、ギヤ室17から作動室18に至るように、駆動軸20に対して平行に配置されている。
図2に示すように、作動室18は前面から見て略眼鏡状の空間部となっている。作動室18の上側、すなわち図1における紙面手前側の中央に吸入口24が設けられ、作動室18の下側、すなわち図1における紙面奥側の中央に吐出口25が設けられている。
ロータ22およびロータ23は、それぞれが回転するにつれ、一方の膨出部が、他方の陥没部と係合するように配置される。図2では、ロータ22の膨出部22bが、ロータ23の陥没部23cと係合している。
駆動軸20と連通孔35との距離、および、従動軸21と連通孔36との距離は等しい。また、この距離は、駆動軸20と膨出部22bの最外端との距離よりも小さく、駆動軸20と陥没部22cとの距離よりも大きい。すなわち、ロータ22の回転位置に応じて、連通孔35がロータ22によって塞がれるタイミングと、ロータ22によっては塞がれず露出して、作動室18とシール室32aとを連通するタイミングとがある。このように、連通孔35は、ロータ22の回転に対応して、作動室18に連通する期間と、作動室18に連通しない期間とを有する。ロータ23と連通孔36との関係も同様である。
なお、実際には、ロータ22および23と作動室18の軸方向内面18aとの間にはクリアランス22fおよび23fが設けられているが、このクリアランス22fおよび23fの幅は、連通孔35および36の径と比較して無視できるほど小さいものとする。
電動モータ19により駆動軸20が回転すると、駆動側ギヤ26が従動側ギヤ27を介して従動軸21にその回転を伝達する。これによって従動軸21は駆動軸20とは反対方向へ、駆動軸20と同期して回転する。駆動軸20と従動軸21とが互いに異なる方向へ回転することにより、作動室18におけるロータ22および23が互いに反対方向へ回転する。図2において、ロータ22は矢印Bの方向に、ロータ23は矢印Cの方向に回転する。こうして、ロータ22および23の回転により吸入口24からガスが矢印Dの方向に作動室18へ吸入されるとともに、作動室18内のガスが矢印Eの方向に吐出口25から吐出される。
このため、比較的小さいトルクで圧縮機10を起動することが可能となる。したがって、電動モータ19に必要とされるモータトルクを下げることができる。また、これによって、電動モータ19を小型化し、これに伴って圧縮機10を小型化することができる。また、従来技術のように、水分がシール室32a、33aに残留して凍結した氷の剥離時に、氷が軸シール部材32、33を損傷するおそれがなくなる。
実施の形態2は、参考例1として図2に示される圧縮機10において、吐出圧領域18dにも連通孔を設けるものである。以下、図4を用いて実施の形態2における構成を説明する。
図4に示すように、作動室18と、軸シール部材32を収容するシール室32aとを連通する連通孔として、参考例1の連通孔35に加え、さらに同様の連通孔37が設けられる。また、同様に、作動室18と、軸シール部材33を収容するシール室33aとを連通する連通孔として、参考例1の連通孔36に加え、さらに同様の連通孔38が設けられる。
駆動軸20と連通孔35および連通孔36との距離、ならびに、従動軸21と連通孔37および連通孔38との距離は、すべて等しい。
連通孔37および38は、ロータ22および23の位置によって、作動室18を介して吐出口25と連通する期間があるが、吸入口24とは連通しない。すなわち、連通孔37および38は、吐出側の連通孔として、作動室18の吐出圧領域18dと連通する。
図4におけるロータ22および23の位置を、0°の位置とする。ここからロータ22は矢印Bの方向に、ロータ23は矢印Cの方向にそれぞれ回転する。図4に示される0°の位置では、連通孔35のみが露出して作動室18と連通するが、連通孔36〜38はロータ22または23によって塞がれ、作動室18とは連通しない。
ロータ22および23が回転すると、まず連通孔35がロータ22によって塞がれる。この時点で連通孔35〜38はすべて塞がれている。さらにロータ22および23が回転すると連通孔37が露出する。45°の位置においてはこの連通孔37が露出しているが、連通孔35、36、および38は塞がれたままである。
さらにロータ22および23が回転すると、ロータ22によって連通孔37が塞がれ、その後連通孔36が露出する。90°の位置においては連通孔36のみが露出している。
以下、同様にして、順に、連通孔36が塞がれ、連通孔38が露出し(135°の位置)、連通孔38が塞がれ、連通孔35が露出する(180°の位置)。180°の位置において、ロータ22および23は、図4に示される0°の位置と同じ形の配置となる。
連通孔35〜38は、ロータ22および23の回転位置に応じてそれぞれ作動室18と連通する。作動室18内の吐出口25側、すなわち吐出圧領域18dにおけるガスの圧力は比較的高いので、吐出側の連通孔37あるいは38が連通している間は、ガスが作動室18からシール室32aあるいは33aへと流れ込む。また、作動室18内の吸入口24側、すなわち吸入圧領域18cにおけるガスの圧力は比較的低いので、吸入側の連通孔35あるいは36が連通している間は、ガスがシール室32aあるいは33aから作動室18へと流れ出す。
このように、ロータ22および23が回転するにつれて、ガスの一部が作動室18の吐出圧領域18dからシール室32aおよび33aを経由して吸入圧領域18cへと逆流する。このガスによって水分も搬送されるので、シール室32aおよび33aに溜まった水分は吸入圧領域18cへと積極的に排出される。
このため、比較的小さいトルクで圧縮機を起動することが可能となる。したがって、電動モータ19に必要とされるモータトルクを下げることができる。また、これによって、電動モータ19および圧縮機を小型化することができる。また、従来技術のように、水分がシール室32a、33aに残留して凍結した氷の剥離時に、氷が軸シール部材32、33を損傷するおそれがなくなる。
実施の形態3.
実施の形態3は、参考例1として図2に示される圧縮機10において、ロータ22および23の形状を変更するものである。以下、図5および図6を用いて実施の形態3における構成を説明する。
図5は、図1におけるロータ22および23周辺に相当する部分の拡大図を示し、図6は図5のVI−VI線における断面図を示す。
ロータ22’は、その軸方向の両端側それぞれにおいて、基部たる平面部22dと、この平面部22dからロータ22’の軸方向に、軸方向内面18aに向けて突出する段差部である縁部22aを有する。縁部22aおよび平面部22dは、それぞれ、軸方向内面18aと平行である。
縁部22aは、端面の縁に沿って、ロータ22’の径方向に一定の幅をもって形成される。縁部22aの、径方向外側の面は、ロータ22’の軸に平行な面によるロータ22’の断面が、常に直線となるように構成される。
縁部22aと軸方向内面18aとの間にはクリアランス22fが設けられる。すなわち、縁部22aと軸方向内面18aとはわずかに離間して配置される。
図7は、図6のVII−VII線における断面図であり、圧縮機10’の起動時において、氷片40が縁部22aと軸方向内面18aとに接して固着している状態を示す図である。ここで、圧縮機10’が起動してロータ22’に回転しようとする力が加わり、これによって縁部22aには、図7においてロータ22’の径方向内側、すなわち矢印A側に向かおうとする力の成分が働くとする。
縁部22aのテーパ面22eは、鋭角をもって軸方向内面18aに対している。このため、テーパ面22eは、比較的小さい力で氷片40を軸方向内面18aから剥離させ、ロータ22’を起動させる。
なお、ここで、氷片40が比較的小さい力で剥離できるのは、縁部22aが矢印A方向に移動すると、テーパ面22eは、氷片40を矢印A方向に押すとともに、氷片40を軸方向内面18aから剥離させる方向にも押すからである。テーパ面22eの先端は、氷片40を軸方向内面18aから削り取る、すなわち氷片40を軸方向内面18aから掬うことにより、ロータ22’および23’を始動させやすくする。
しかしながら、実施の形態3に係る圧縮機10’では、ロータ22’の縁部22aが鋭角をもって作動室18の軸方向内面18aに対する。また、ロータ23’も同様である。このため、圧縮機10’の起動時に、ロータ22’およびロータ23’と作動室18の軸方向内面18aとの間に大量の氷が付着している場合であっても、その氷をくさび効果で容易に剥ぎ取ることができるので、比較的小さいトルクで起動することが可能となる。したがって、圧縮機10’によれば、起動時においてロータ22’および23’と軸方向内面18aとの間に凍結した氷を剥離させるために、電動モータ19に必要とされるモータトルクを、小さいままとすることができる。また、これによって、電動モータ19の肥大化を回避し、これに伴って圧縮機10’の肥大化を回避することができる。また、従来技術のように、水分がシール室32a、33aに残留して凍結した氷の剥離時に、氷が軸シール部材32、33を損傷するおそれがなくなる。
実施の形態4は、参考例1における作動室18の軸方向内面18aの形状を、図8および図9に示す形状としたものである。
図8は、図1におけるロータ22および23周辺に相当する部分の拡大図を示し、図9は図8のIX−IX線における断面図を示す。
以下、図8および図9を用いて実施の形態4に係る圧縮機110を説明する。
駆動軸120および従動軸121に、それぞれロータ122および123が取り付けられ、ロータ122および123は作動室118内に配置されている。ロータ122および123の形状は、それぞれの軸方向両端面を除いて参考例1と同様である。
ここで、氷片140はその一部がディンプル118b内に入り込んでいるので、その分だけクリアランス122f内の体積が減少し、それに応じて面積Saが小さくなっている。
図11の氷片140’は、図10の氷片140と同一の体積を有する。ここで、氷片140’はその全体がクリアランス122’f内に存在するので、端面140’aの面積Sbは比較的大きくなる。すなわち、図11の面積Sbは図10の面積Saよりも大きい。
なお、図10および図11における面積の減少に関する説明は、ロータ123の端面123aについても同様である。
なお、圧縮機110が起動した後の動作については、上述の参考例1と同様であるので、説明を省略する。
しかしながら、実施の形態4に係る圧縮機110においては、作動室118の軸方向内面118aと、ロータ122および123の端面122aおよび123aとの間に付着する氷片140は、その一部がディンプル118bの内部に入り込む。このため、ロータ122および123の端面122aおよび123aと接する氷片140の端面140aは、その面積Saが比較的小さくなる。
したがって、圧縮機110によれば、起動時においてロータ122および123と軸方向内面118aとの間に凍結した氷を、端面140aにおいて剥離させるためのモータトルクを、小さいままとすることができる。また、これによって、電動モータの肥大化を回避し、これに伴って圧縮機110の肥大化を回避することができる。また、従来技術のように、水分がシール室32a、33aに残留して凍結した氷の剥離時に、氷が軸シール部材32、33を損傷するおそれがなくなる。
実施の形態5は、実施の形態3のように段差部を有するロータと、実施の形態4のようにディンプルを有する作動室の軸方向内面とを組み合わせたものである。すなわち、実施の形態3において図5および図6に示される、ロータ22’および23’周辺を、図12および図13に示す構成としたものである。すなわち、図13は図12のXIII−XIII線における断面図である。以下、図12および図13を用いて実施の形態5に係る圧縮機210を説明する。
駆動軸220および従動軸221に、それぞれロータ222および223が取り付けられ、ロータ222および223は作動室218内に配置されている。
また、作動室218の軸方向内面218aの形状は、図8および図9に示される実施の形態4と同様である。すなわち、軸方向内面218aには、軸方向のくぼみである、複数のディンプル218bが形成される。
しかしながら、実施の形態5に係る圧縮機210は、実施の形態3と同様にして、縁部222aのテーパ面222eが氷片(図示せず)を軸方向内面218aから剥離させることができる。また、実施の形態4と同様にして、氷片が縁部222aと接する端面の面積を比較的小さくすることができる。
このため、比較的小さいトルクで圧縮機210を起動することが可能となる。したがって、電動モータに必要とされるモータトルクを小さいままとすることができる。また、これによって、電動モータの肥大化を回避し、これに伴って圧縮機210の肥大化を回避することができる。また、従来技術のように、水分がシール室32a、33aに残留して凍結した氷の剥離時に、氷が軸シール部材32、33を損傷するおそれがなくなる。
また、軸に平行な断面において、ディンプル118bおよび218bの表面は半楕円状であるが、これは円弧状であってもよく、また、矩形等、直線を含む形状であってもよい。
Claims (6)
- 外部と連通する吸入口および吐出口を有する作動室と、
前記作動室の外部と内部とに延在され、互いに逆方向に回転する一対の軸と、
前記作動室の内部に配置され、前記一対の軸によって駆動され、互いに係合しつつ回転する一対のロータと、
前記一対の軸の外周面を取り巻いて設けられ、前記作動室の外部と内部とをシールするシール部材と、
前記シール部材を収容する空間であるシール室と
を備え、
前記吸入口から前記作動室に流入する流体を、前記一対のロータの回転によって搬送し、前記吐出口から吐出する
流体圧縮機において、
前記作動室は、前記一対のロータの前記回転に応じて変動する吸入圧領域であって、前記吸入口と連通する領域である吸入圧領域を有し、
前記流体圧縮機は、前記シール室と前記吸入圧領域とを連通する、吸入側の連通孔を有し、
前記作動室は、さらに、前記一対のロータの前記回転に応じて変動する吐出圧領域であって、前記吐出口と連通する領域である吐出圧領域を有し、
前記流体圧縮機は、前記シール室と前記吐出圧領域とを連通する、吐出側の連通孔を有する
流体圧縮機。 - 前記吸入側の連通孔および前記吐出側の連通孔は、それぞれ、前記一対のロータの前記回転に対応して、前記作動室に連通する期間と、前記作動室に連通しない期間とを有し、
前記吸入側の連通孔が前記作動室に連通する期間と、前記吐出側の連通孔が前記作動室に連通する期間とは、互いに重ならない
請求項1に記載の流体圧縮機。 - 前記作動室は、前記ロータのそれぞれの回転軸方向の両端に対向する軸方向内面を有し、
前記ロータのそれぞれの両端は、前記軸方向内面と対向する位置に、基部と、前記基部より前記軸方向内面に向かうにつれ、前記ロータの径方向内側に向かうように張り出した段差部とを有する
請求項1または2に記載の流体圧縮機。 - 前記段差部は、縁部およびテーパ面からなり、前記縁部は前記テーパ面をもって前記基部たる平面部に接続されることを特徴とする請求項3に記載の流体圧縮機。
- 前記作動室は、前記ロータのそれぞれの回転軸方向の両端に対する軸方向内面を有し、
前記軸方向内面には複数のくぼみが形成される
請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体圧縮機。 - 前記軸方向内面の法線方向から見て、前記くぼみの径は前記段差部の幅よりも小さい、請求項5に記載の流体圧縮機。
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