しかし、従来の電源装置300を並列運転した場合、電源装置300,310ごとに有効電力偏差検出回路304,314を用いて、それぞれの電源装置300,310の出力を監視すると共に、信号共有線308を介して相互に有効電力偏差の情報を交換する必要がある。
そのため、従来の電源装置300では、自装置の有効電力及び無効電力並びに力率の制御を他の電源装置301からの情報無しでは、制御できない。
そこで、本発明では、複数台を並列に接続して並行運転する場合においても、個々の装置の自律平行運転が可能で、出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御でき、また非干渉に力率をゼロ又は1にして動作可能な三相電圧型交直変換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、三相出力電力の有効成分及び無効成分を交流出力端のみによってそれぞれ独立に制御するようにした。
具体的には、本願第一発明に係る三相電圧型交直変換装置は、交流端子から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて発生させたゲート信号のパルス幅に応じて直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して前記交流端子から出力する三相電圧型交直変換回路と、前記交流端子の三相出力電圧を当該三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第一UM変換回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトルが入力され、入力された前記電力指令ベクトル及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数に関する情報を有する上位指令ベクトルとして出力する電力制御回路と、前記電力制御回路からの上位指令ベクトル及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数が前記上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する上位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトル並びに前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルに基づいて、前記三相出力電圧の振幅及び位相が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号を前記PWM指令として出力する下位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の周波数を規定する規準周波数、及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に基づいて生成した生成値を前記第一UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させる周波数制御回路と、を備える。
本願第一発明では、電圧源として動作しても電力系統に接続して運転可能なように内部等価インピーダンスを持つ。また、周波数制御回路により第一UM変換回路での変換行列の回転角度に三相出力電圧の周波数差に関わる成分から生成した生成値を同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路において、電力系統の振幅及び周波数が電力制御回路からの上位指令ベクトルによる指令値に近づくように電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。よって、下位電圧制御回路において電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置の振幅及び位相を制御して当該偏差分を補償することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力制御回路では、電力指令ベクトル及び第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように上位指令ベクトルを生成して出力する。つまり、電力制御回路が第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
上記三相電圧型交直変換装置において、前記電力制御回路は、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数並びに前記交流端子の三相出力電力への有効電力指令値及び無効電力指令値で表される前記交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と前記上位指令ベクトルに基づく前記上位電圧制御回路及び前記下位電圧制御回路による前記交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で前記上位指令ベクトルを演算して出力する電力制御演算器と、を備え、前記上位電圧制御回路は、前記上位指令ベクトルから前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第一減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記上位指令ベクトルによる前記指令値に近づくように前記第一減算器からの出力ベクトルを増幅して前記電圧指令ベクトルとして出力する上位制御増幅器と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記規準電圧ベクトルを設定して出力する規準電圧ベクトル設定器と、前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルと前記規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルとを加算して出力する第一加算器と、前記第一加算器からの出力ベクトルから前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第二減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの前記合成値に近づくように前記第二減算器からの出力ベクトルを変換して出力する電圧制御器と、前記電圧制御器からの出力ベクトルを前記dq回転座標空間上からの逆変換をして前記PWM指令として出力する逆U変換器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記規準周波数を設定する規準周波数設定器と、前記規準周波数設定器からの規準周波数を時間積分して出力する第一時間積分器と、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に低域濾過要素を付加して出力するループフィルタと、前記ループフィルタからの出力値を時間積分して出力する第二時間積分器と、前記第一時間積分器からの出力値と前記第二時間積分器からの出力値とを加算して前記生成値として出力する第二加算器と、を備え、前記生成値を前記第一UM変換回路及び前記逆U変換器での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明は、本願第一発明に係る三相電圧型交直変換装置の各構成をより具体的にしたものである。本発明では、周波数制御回路のループフィルタにおいて三相出力電圧の周波数差に関わる成分であるq軸成分に低域濾過要素を付加し第二時間積分器で時間積分して出力する。また、規準周波数設定器から出力される規準周波数を第一時間積分器において時間積分した積分値に第二時間積分器からの積分値を加算して生成した生成値を第一UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路の減算器において第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように上位制御増幅器で増幅して電圧指令ベクトルを生成して出力する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出し、下位電圧制御回路において当該偏差分を補償することができる。具体的には、下位電圧制御回路において規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルに上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルを加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、偏差の補償分を追加したベクトルから第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を電圧制御器で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して出力する。さらに、電圧制御器からの2相の出力ベクトルを逆U変換器において三相に変換し三相電圧型交直変換回路へのPWM指令として出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように制御することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力制御回路では、上位指令ベクトルを生成して出力する。具体的には、三相出力電圧の振幅及び周波数並びに有効電力指令値及び無効電力指令値で表される三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と上位指令ベクトルに基づく上位電圧制御回路及び下位電圧制御回路による三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算して出力する。三相出力電力の有効電力及び無効電力は、三相出力電圧と三相出力電流との関係で定まる。また、上記のように上位電圧制御回路及び下位電圧制御回路は、出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能であるため、出力電圧と相互関係にある三相出力電流についても所定の値に制御可能である。そのため、有効電力及び無効電力が目標値(指令値)となったときの三相出力電流(制御目標)が上位指令ベクトルに基づく制御結果に等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算すると、電力指令ベクトルに対する上位指令ベクトルを決定することができる。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
また、本願第二発明に係る三相電圧型交直変換装置は、交流端子から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて発生させたゲート信号のパルス幅に応じて直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して前記交流端子から出力する三相電圧型交直変換回路と、前記交流端子の三相出力電圧を前記三相出力電圧のうち1つを基準として互いに直交するα軸及びβ軸とするαβ静止座標空間上に変換するM変換回路と、前記M変換回路の出力電圧ベクトルを前記三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力するU変換回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトルが入力され、入力された前記電力指令ベクトル及び前記U変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数に関する情報を有する上位指令ベクトルとして出力する電力制御回路と、前記電力制御回路からの上位指令ベクトル及び前記U変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数が前記上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を前記dq回転座標空間上から前記αβ静止座標空間上へ逆U変換をして電圧指令ベクトルとして出力する上位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、前記M変換回路からの出力電圧ベクトル並びに前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルに基づいて、前記三相出力電圧の振幅及び位相が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号を前記PWM指令として出力する下位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の周波数を規定する規準周波数、及び前記U変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に基づいて生成した生成値を前記U変換回路及び前記上位電圧制御回路での変換行列の回転角度に同期させる周波数制御回路と、を備える。
本願第二発明は、本願第一発明との対比において、下位電圧制御回路内での信号処理をαβ静止座標空間上で行う点が異なっている。本願第二発明でも、電圧源として電力系統に接続して運転可能なように内部等価インピーダンスを持つ。また、周波数制御回路によりU変換回路での変換行列の回転角度に三相出力電圧の周波数差に関わる成分から生成した生成値を同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路において、電力系統の振幅及び周波数が電力制御回路からの上位指令ベクトルによる指令値に近づくように電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。よって、下位電圧制御回路において電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置の振幅及び位相を制御して当該偏差分を補償することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力制御回路では、電力指令ベクトル及びU変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように上位指令ベクトルを生成して出力する。つまり、電力制御回路がU変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
上記三相電圧型交直変換装置において、前記電力制御回路は、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数並びに前記交流端子の三相出力電力への有効電力指令値及び無効電力指令値で表される前記交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と前記上位指令ベクトルに基づく前記上位電圧制御回路及び前記下位電圧制御回路による前記交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で前記上位指令ベクトルを演算して出力する電力制御演算器と、を備え、前記上位電圧制御回路は、前記上位指令ベクトルから前記U変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第一減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記上位指令ベクトルによる前記指令値に近づくように前記第一減算器からの出力ベクトルを増幅して出力する上位制御増幅器と、前記上位制御増幅器からの出力ベクトルを前記dq回転座標空間上から前記αβ静止座標空間上へ逆U変換をして前記電圧指令ベクトルとして出力する逆U変換器と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記規準電圧ベクトルを設定して出力する規準電圧ベクトル設定器と、前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルと前記規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルとを加算して出力する第一加算器と、前記第一加算器からの出力ベクトルから前記M変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第二減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの前記合成値に近づくように前記第二減算器からの出力ベクトルを変換して前記PWM指令として出力する電圧制御器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記規準周波数を設定する規準周波数設定器と、前記規準周波数設定器からの規準周波数を時間積分して出力する第一時間積分器と、前記U変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に低域濾過要素を付加して出力するループフィルタと、前記ループフィルタからの出力値を時間積分して出力する第二時間積分器と、前記第一時間積分器からの出力値と前記第二時間積分器からの出力値とを加算して前記生成値として出力する第二加算器と、を備え、前記生成値を前記U変換回路及び前記逆U変換器での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明は、本願第二発明に係る三相電圧型交直変換装置の各構成をより具体的にしたものである。本発明では、周波数制御回路のループフィルタにおいて三相出力電圧の周波数差に関わる成分であるq軸成分に低域濾過要素を付加し第二時間積分器で時間積分して出力する。また、規準周波数設定器から出力される規準周波数を第一時間積分器において時間積分した積分値に第二時間積分器からの積分値を加算して生成した生成値をU変換回路での変換行列の回転角度に同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路の減算器においてU変換回路からの出力電圧ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように上位制御増幅器で増幅し逆U変換器においてαβ静止座標空間上に変換して電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出し、下位電圧制御回路において当該偏差分を補償することができる。具体的には、下位電圧制御回路において規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルに上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルを加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、偏差の補償分を追加したベクトルからM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を電圧制御器で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して三相電圧型交直変換回路へのPWM指令として出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように制御することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力制御回路では、上位指令ベクトルを生成して出力する。具体的には、三相出力電圧の振幅及び周波数並びに有効電力指令値及び無効電力指令値で表される三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と上位指令ベクトルに基づく上位電圧制御回路及び下位電圧制御回路による三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算して出力する。三相出力電力の有効電力及び無効電力は、三相出力電圧と三相出力電流との関係で定まる。また、上記のように上位電圧制御回路及び下位電圧制御回路は、出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能であるため、出力電圧と相互関係にある三相出力電流についても所定の値に制御可能である。そのため、有効電力及び無効電力が目標値(指令値)となったときの三相出力電流(制御目標)が上位指令ベクトルに基づく制御結果に等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算すると、電力指令ベクトルに対する上位指令ベクトルを決定することができる。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
また、本願第三発明に係る三相電圧型交直変換装置は、交流端子から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて発生させたゲート信号のパルス幅に応じて直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して前記交流端子から出力する三相電圧型交直変換回路と、前記交流端子の三相出力電圧を当該三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第一UM変換回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトルが入力され、入力された前記電力指令ベクトル及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数に関する情報を有する上位指令ベクトルとして出力する電力制御回路と、前記電力制御回路からの上位指令ベクトル及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数が前記上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を前記dq回転座標空間上から逆UM変換して電圧指令ベクトルとして出力する上位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、前記交流端子の三相出力電圧並びに前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルに基づいて、前記三相出力電圧の振幅及び位相が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号を前記PWM指令として出力する下位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の周波数を規定する規準周波数、及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に基づいて生成した生成値を前記第一UM変換回路及び前記上位電圧制御回路での変換行列の回転角度に同期させる周波数制御回路と、を備える。
本願第三発明は、本願第一発明との対比において、下位電圧制御回路内での信号処理を三相のまま行う点が異なっている。本願第三発明でも、電圧源として電力系統に接続して運転可能なように内部等価インピーダンスを持つ。また、周波数制御回路により第一UM変換回路での変換行列の回転角度に三相出力電圧の周波数差に関わる成分から生成した生成値を同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路において、電力系統の振幅及び周波数が電力制御回路からの上位指令ベクトルによる指令値に近づくように電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。よって、下位電圧制御回路において電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置の振幅及び位相を制御して当該偏差分を補償することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力制御回路では、電力指令ベクトル及び第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように上位指令ベクトルを生成して出力する。つまり、電力制御回路が第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
上記三相電圧型交直変換装置において、前記電力制御回路は、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数並びに前記交流端子の三相出力電力への有効電力指令値及び無効電力指令値で表される前記交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と前記上位指令ベクトルに基づく前記上位電圧制御回路及び前記下位電圧制御回路による前記交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で前記上位指令ベクトルを演算して出力する電力制御演算器と、を備え、前記上位電圧制御回路は、前記上位指令ベクトルから前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第一減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記上位指令ベクトルによる前記指令値に近づくように前記第一減算器からの出力ベクトルを増幅して前記電圧指令ベクトルとして出力する上位制御増幅器と、前記上位制御増幅器からの出力ベクトルを前記dq回転座標空間上から逆UM変換して前記電圧指令ベクトルとして出力する逆UM変換器と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記規準電圧ベクトルを設定して出力する規準電圧ベクトル設定器と、前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルと前記規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルとを加算して出力する第一加算器と、前記第一加算器からの出力ベクトルから前記交流端子の三相出力電圧を減算する第二減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの前記合成値に近づくように前記第二減算器からの出力ベクトルを変換して前記PWM指令として出力する電圧制御器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記規準周波数を設定する規準周波数設定器と、前記規準周波数設定器からの規準周波数を時間積分して出力する第一時間積分器と、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に低域濾過要素を付加して出力するループフィルタと、前記ループフィルタからの出力値を時間積分して出力する第二時間積分器と、前記第一時間積分器からの出力値と前記第二時間積分器からの出力値とを加算して前記生成値として出力する第二加算器と、を備え、前記生成値を前記第一UM変換回路及び前記逆UM変換器での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明は、本願第三発明に係る三相電圧型交直変換装置の各構成をより具体的にしたものである。本発明では、周波数制御回路のループフィルタにおいて三相出力電圧の周波数差に関わる成分であるq軸成分に低域濾過要素を付加し第二時間積分器で時間積分して出力する。また、規準周波数設定器から出力される規準周波数を第一時間積分器において時間積分した積分値に第二時間積分器からの積分値を加算して生成した生成値を第一UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路の減算器において第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように上位制御増幅器で増幅し逆UM変換器によりdq回転座標空間上からの逆変換を行って電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出し、下位電圧制御回路において当該偏差分を補償することができる。具体的には、下位電圧制御回路において規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルに上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルを加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、偏差の補償分を追加したベクトルから三相出力電圧を減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を電圧制御器で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して三相電圧型交直変換回路へのPWM指令として出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように制御することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力制御回路では、上位指令ベクトルを生成して出力する。具体的には、三相出力電圧の振幅及び周波数並びに有効電力指令値及び無効電力指令値で表される三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と上位指令ベクトルに基づく上位電圧制御回路及び下位電圧制御回路による三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算して出力する。三相出力電力の有効電力及び無効電力は、三相出力電圧と三相出力電流との関係で定まる。また、上記のように上位電圧制御回路及び下位電圧制御回路は、出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能であるため、出力電圧と相互関係にある三相出力電流についても所定の値に制御可能である。そのため、有効電力及び無効電力が目標値(指令値)となったときの三相出力電流(制御目標)が上位指令ベクトルに基づく制御結果に等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算すると、電力指令ベクトルに対する上位指令ベクトルを決定することができる。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
また、本願第四発明に係る三相電圧型交直変換装置は、交流端子から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて発生させたゲート信号のパルス幅に応じて直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して前記交流端子から出力する三相電圧型交直変換回路と、前記交流端子の三相出力電圧を当該三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第一UM変換回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効成分及び無効成分を検出する電力検出回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトルが入力され、入力された前記電力指令ベクトル及び前記電力検出回路からの出力電力ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数に関する情報を有する上位指令ベクトルとして出力する電力制御回路と、前記電力制御回路からの上位指令ベクトル及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数が前記上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する上位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトル並びに前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルに基づいて、前記三相出力電圧の振幅及び位相が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号を前記PWM指令として出力する下位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の周波数を規定する規準周波数、及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に基づいて生成した生成値を前記第一UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させる周波数制御回路と、を備える。
本願第四発明では、電圧源として動作しても電力系統に接続して運転可能なように内部等価インピーダンスを持つ。また、周波数制御回路により第一UM変換回路での変換行列の回転角度に三相出力電圧の周波数差に関わる成分から生成した生成値を同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路において、電力系統の振幅及び周波数が電力制御回路からの上位指令ベクトルによる指令値に近づくように電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。よって、下位電圧制御回路において電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置の振幅及び位相を制御して当該偏差分を補償することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力検出回路では、第一UM変換回路からの出力電圧ベクトル及び交流端子の三相出力電流から、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力を演算して出力電力ベクトルとして出力する。また、電力制御回路では、電力指令ベクトル及び電力検出回路からの出力電力ベクトルに基づいて、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように上位指令ベクトルを生成して出力する。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
上記三相電圧型交直変換装置において、前記電力検出回路は、前記交流端子の三相出力電流を検出し前記三相出力電流の大きさに応じて生成した信号を出力する第一電流検出回路と、前記第一電流検出回路の検出電流信号を当該検出電流信号の有効成分をd軸成分とし無効成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第二UM変換回路と、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトル及び前記第二UM変換回路からの出力電流ベクトルから、前記交流端子の三相出力電力の有効電力値及び無効電力値を算出して前記出力電力ベクトルとして出力する電力算出回路と、を備え、前記電力制御回路は、前記電力指令ベクトルから前記電力検出回路からの出力電力ベクトルを減算する第一減算器と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように前記第一減算器からの出力ベクトルを調整して前記上位指令ベクトルとして出力する電力制御調整器と、を備え、前記上位電圧制御回路は、前記上位指令ベクトルから前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第二減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記上位指令ベクトルによる前記指令値に近づくように前記第二減算器からの出力ベクトルを増幅して前記電圧指令ベクトルとして出力する上位制御増幅器と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記規準電圧ベクトルを設定して出力する規準電圧ベクトル設定器と、前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルと前記規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルとを加算して出力する第一加算器と、前記第一加算器からの出力ベクトルから前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第三減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの前記合成値に近づくように前記第三減算器からの出力ベクトルを変換して出力する電圧制御器と、前記電圧制御器からの出力ベクトルを前記dq回転座標空間上からの逆変換をして前記PWM指令として出力する逆U変換器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記規準周波数を設定する規準周波数設定器と、前記規準周波数設定器からの規準周波数を時間積分して出力する第一時間積分器と、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に低域濾過要素を付加して出力するループフィルタと、前記ループフィルタからの出力値を時間積分して出力する第二時間積分器と、前記第一時間積分器からの出力値と前記第二時間積分器からの出力値とを加算して前記生成値として出力する第二加算器と、を備え、前記生成値を前記第一UM変換回路、前記第二UM変換回路及び前記逆U変換器での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明は、本願第四発明に係る三相電圧型交直変換装置の各構成をより具体的にしたものである。本発明では、周波数制御回路のループフィルタにおいて三相出力電圧の周波数差に関わる成分であるq軸成分に低域濾過要素を付加し第二時間積分器で時間積分して出力する。また、規準周波数設定器から出力される規準周波数を第一時間積分器において時間積分した積分値に第二時間積分器からの積分値を加算して生成した生成値を第一UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路の減算器において第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように上位制御増幅器で増幅して電圧指令ベクトルを生成して出力する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出し、下位電圧制御回路において当該偏差分を補償することができる。具体的には、下位電圧制御回路において規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルに上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルを加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、偏差の補償分を追加したベクトルから第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を電圧制御器で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して出力する。さらに、電圧制御器からの2相の出力ベクトルを逆U変換器において三相に変換し三相電圧型交直変換回路へのPWM指令として出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように制御することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力検出回路では、三相出力電力の有効電力及び無効電力を演算して出力電力ベクトルとして出力する。具体的には、第一電流検出回路で検出され第二UM変換回路で変換された交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分と第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルとに基づいて交流端子の三相出力電力の有効電力値及び無効電力値を算出する。また、電力制御回路では、上位指令ベクトルを生成して出力する。具体的には、電力指令ベクトルから電力検出回路からの出力電力ベクトルを減算した出力ベクトルを、電力制御調整器において、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように増幅して上位指令ベクトルとして出力する。これにより、交流端子の三相出力電力を直接フィードバックして上位指令ベクトルを決定することができる。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、力率を非干渉に制御でき、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
また、本願第五発明に係る三相電圧型交直変換装置は、交流端子から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて発生させたゲート信号のパルス幅に応じて直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して前記交流端子から出力する三相電圧型交直変換回路と、前記交流端子の三相出力電圧を前記三相出力電圧のうち1つを基準として互いに直交するα軸及びβ軸とするαβ静止座標空間上に変換するM変換回路と、前記M変換回路の出力電圧ベクトルを前記三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力するU変換回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効成分及び無効成分を検出する電力検出回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトルが入力され、入力された前記電力指令ベクトル及び前記電力検出回路からの出力電力ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数に関する情報を有する上位指令ベクトルとして出力する電力制御回路と、前記電力制御回路からの上位指令ベクトル及び前記U変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数が前記上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を前記dq回転座標空間上から前記αβ静止座標空間上へ逆U変換をして電圧指令ベクトルとして出力する上位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、前記M変換回路からの出力電圧ベクトル並びに前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルに基づいて、前記三相出力電圧の振幅及び位相が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号を前記PWM指令として出力する下位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の周波数を規定する規準周波数、及び前記U変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に基づいて生成した生成値を前記U変換回路及び前記上位電圧制御回路での変換行列の回転角度に同期させる周波数制御回路と、を備える。
本願第五発明は、本願第四発明との対比において、下位電圧制御回路内での信号処理をαβ静止座標空間上で行う点が異なっている。本願第二発明でも、電圧源として電力系統に接続して運転可能なように内部等価インピーダンスを持つ。また、周波数制御回路によりU変換回路での変換行列の回転角度に三相出力電圧の周波数差に関わる成分から生成した生成値を同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路において、電力系統の振幅及び周波数が電力制御回路からの上位指令ベクトルによる指令値に近づくように電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。よって、下位電圧制御回路において電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置の振幅及び位相を制御して当該偏差分を補償することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力検出回路では、U変換回路からの出力電圧ベクトル及び交流端子の三相出力電流から、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力を演算して出力電力ベクトルとして出力する。また、電力制御回路では、電力指令ベクトル及び電力検出回路からの出力電力ベクトルに基づいて、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように上位指令ベクトルを生成して出力する。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
上記三相電圧型交直変換装置において、前記電力検出回路は、前記交流端子の三相出力電流を検出し前記三相出力電流の大きさに応じて生成した信号を出力する第一電流検出回路と、前記第一電流検出回路の検出電流信号を当該検出電流信号の有効成分をd軸成分とし無効成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第一UM変換回路と、前記U変換回路からの出力電圧ベクトル及び前記第一UM変換回路からの出力電流ベクトルから、前記交流端子の三相出力電力の有効電力値及び無効電力値を算出して前記出力電力ベクトルとして出力する電力算出回路と、を備え、前記電力制御回路は、前記電力指令ベクトルから前記電力検出回路からの出力電力ベクトルを減算する第一減算器と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように前記第一減算器からの出力ベクトルを調整して前記上位指令ベクトルとして出力する電力制御調整器と、を備え、前記上位電圧制御回路は、前記上位指令ベクトルから前記U変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第二減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記上位指令ベクトルによる前記指令値に近づくように前記第二減算器からの出力ベクトルを増幅して出力する上位制御増幅器と、前記上位制御増幅器からの出力ベクトルを前記dq回転座標空間上から前記αβ静止座標空間上へ逆U変換をして前記電圧指令ベクトルとして出力する逆U変換器と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記規準電圧ベクトルを設定して出力する規準電圧ベクトル設定器と、前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルと前記規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルとを加算して出力する第一加算器と、前記第一加算器からの出力ベクトルから前記M変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第三減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの前記合成値に近づくように前記第三減算器からの出力ベクトルを変換して前記PWM指令として出力する電圧制御器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記規準周波数を設定する規準周波数設定器と、前記規準周波数設定器からの規準周波数を時間積分して出力する第一時間積分器と、前記U変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に低域濾過要素を付加して出力するループフィルタと、前記ループフィルタからの出力値を時間積分して出力する第二時間積分器と、前記第一時間積分器からの出力値と前記第二時間積分器からの出力値とを加算して前記生成値として出力する第二加算器と、を備え、前記生成値を前記U変換回路、前記第一UM変換回路及び前記逆U変換器での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明は、本願第第五発明に係る三相電圧型交直変換装置の各構成をより具体的にしたものである。本発明では、周波数制御回路のループフィルタにおいて三相出力電圧の周波数差に関わる成分であるq軸成分に低域濾過要素を付加し第二時間積分器で時間積分して出力する。また、規準周波数設定器から出力される規準周波数を第一時間積分器において時間積分した積分値に第二時間積分器からの積分値を加算して生成した生成値をU変換回路での変換行列の回転角度に同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路の減算器においてU変換回路からの出力電圧ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように上位制御増幅器で増幅し逆U変換器においてαβ静止座標空間上に変換して電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出し、下位電圧制御回路において当該偏差分を補償することができる。具体的には、下位電圧制御回路において規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルに上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルを加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、偏差の補償分を追加したベクトルからM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を電圧制御器で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して三相電圧型交直変換回路へのPWM指令として出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように制御することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力検出回路では、三相出力電力の有効電力及び無効電力を演算して出力電力ベクトルとして出力する。具体的には、第一電流検出回路で検出され第一UM変換回路で変換された交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分とU変換回路からの出力電圧ベクトルとに基づいて交流端子の三相出力電力の有効電力値及び無効電力値を算出する。また、電力制御回路では、上位指令ベクトルを生成して出力する。具体的には、電力指令ベクトルから電力検出回路からの出力電力ベクトルを減算した出力ベクトルを、電力制御調整器において、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように増幅して上位指令ベクトルとして出力する。これにより、交流端子の三相出力電力を直接フィードバックして上位指令ベクトルを決定することができる。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、力率を非干渉に制御でき、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
また、本願第六発明に係る三相電圧型交直変換装置は、交流端子から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて発生させたゲート信号のパルス幅に応じて直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して前記交流端子から出力する三相電圧型交直変換回路と、前記交流端子の三相出力電圧を当該三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第一UM変換回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効成分及び無効成分を検出する電力検出回路と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトルが入力され、入力された前記電力指令ベクトル及び前記電力検出回路からの出力電力ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数に関する情報を有する上位指令ベクトルとして出力する電力制御回路と、前記電力制御回路からの上位指令ベクトル及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルに基づいて、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び周波数が前記上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を前記dq回転座標空間上から逆UM変換して電圧指令ベクトルとして出力する上位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、前記交流端子の三相出力電圧並びに前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルに基づいて、前記三相出力電圧の振幅及び位相が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号を前記PWM指令として出力する下位電圧制御回路と、前記交流端子の三相出力電圧の周波数を規定する規準周波数、及び前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に基づいて生成した生成値を前記第一UM変換回路及び前記上位電圧制御回路での変換行列の回転角度に同期させる周波数制御回路と、を備える。
本願第六発明は、本願第四発明との対比において、下位電圧制御回路内での信号処理を三相のまま行う点が異なっている。本願第三発明でも、電圧源として電力系統に接続して運転可能なように内部等価インピーダンスを持つ。また、周波数制御回路により第一UM変換回路での変換行列の回転角度に三相出力電圧の周波数差に関わる成分から生成した生成値を同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路において、電力系統の振幅及び周波数が電力制御回路からの上位指令ベクトルによる指令値に近づくように電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。よって、下位電圧制御回路において電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置の振幅及び位相を制御して当該偏差分を補償することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力検出回路では、第一UM変換回路からの出力電圧ベクトル及び交流端子の三相出力電流から、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力を演算して出力電力ベクトルとして出力する。また、電力制御回路では、電力指令ベクトル及び電力検出回路からの出力電力ベクトルに基づいて、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように上位指令ベクトルを生成して出力する。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
上記三相電圧型交直変換装置において、前記電力検出回路は、前記交流端子の三相出力電流を検出し前記三相出力電流の大きさに応じて生成した信号を出力する第一電流検出回路と、前記第一電流検出回路の検出電流信号を当該検出電流信号の有効成分をd軸成分とし無効成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第二UM変換回路と、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトル及び前記第二UM変換回路からの出力電流ベクトルから、前記交流端子の三相出力電力の有効電力値及び無効電力値を算出して前記出力電力ベクトルとして出力する電力算出回路と、を備え、前記電力制御回路は、前記電力指令ベクトルから前記電力検出回路からの出力電力ベクトルを減算する第一減算器と、前記交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように前記第一減算器からの出力ベクトルを調整して前記上位指令ベクトルとして出力する電力制御調整器と、を備え、前記上位電圧制御回路は、前記上位指令ベクトルから前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルを減算する第二減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記上位指令ベクトルによる前記指令値に近づくように前記第二減算器からの出力ベクトルを増幅して前記電圧指令ベクトルとして出力する上位制御増幅器と、前記上位制御増幅器からの出力ベクトルを前記dq回転座標空間上から逆UM変換して前記電圧指令ベクトルとして出力する逆UM変換器と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記規準電圧ベクトルを設定して出力する規準電圧ベクトル設定器と、前記上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルと前記規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルとを加算して出力する第一加算器と、前記第一加算器からの出力ベクトルから前記交流端子の三相出力電圧を減算する第三減算器と、前記交流端子の三相出力電圧が前記規準電圧ベクトルと前記電圧指令ベクトルとの前記合成値に近づくように前記第三減算器からの出力ベクトルを変換して前記PWM指令として出力する電圧制御器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記規準周波数を設定する規準周波数設定器と、前記規準周波数設定器からの規準周波数を時間積分して出力する第一時間積分器と、前記第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルの前記q軸成分に低域濾過要素を付加して出力するループフィルタと、前記ループフィルタからの出力値を時間積分して出力する第二時間積分器と、前記第一時間積分器からの出力値と前記第二時間積分器からの出力値とを加算して前記生成値として出力する第二加算器と、を備え、前記生成値を前記第一UM変換回路、前記第二UM変換回路及び前記逆UM変換器での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明は、本願第六発明に係る三相電圧型交直変換装置の各構成をより具体的にしたものである。本発明では、周波数制御回路のループフィルタにおいて三相出力電圧の周波数差に関わる成分であるq軸成分に低域濾過要素を付加し第二時間積分器で時間積分して出力する。また、規準周波数設定器から出力される規準周波数を第一時間積分器において時間積分した積分値に第二時間積分器からの積分値を加算して生成した生成値を第一UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。また、上位電圧制御回路の減算器において第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように上位制御増幅器で増幅し逆UM変換器によりdq回転座標空間上からの逆変換を行って電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出し、下位電圧制御回路において当該偏差分を補償することができる。具体的には、下位電圧制御回路において規準電圧ベクトル設定器からの規準電圧ベクトルに上位電圧制御回路からの電圧指令ベクトルを加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、偏差の補償分を追加したベクトルから三相出力電圧を減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を電圧制御器で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して三相電圧型交直変換回路へのPWM指令として出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように制御することができる。このように、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、電力制御回路からの上位指令ベクトルに基づいて出力電圧の振幅及び周波数を自律して制御することが可能である。そのため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償し装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、装置を複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。
ここで、電力検出回路では、三相出力電力の有効電力及び無効電力を演算して出力電力ベクトルとして出力する。具体的には、第一電流検出回路で検出され第二UM変換回路で変換された交流端子の三相出力電流の有効成分及び無効成分と第一UM変換回路からの出力電圧ベクトルとに基づいて交流端子の三相出力電力の有効電力値及び無効電力値を算出する。また、電力制御回路では、上位指令ベクトルを生成して出力する。具体的には、電力指令ベクトルから電力検出回路からの出力電力ベクトルを減算した出力ベクトルを、電力制御調整器において、交流端子の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように増幅して上位指令ベクトルとして出力する。これにより、交流端子の三相出力電力を直接フィードバックして上位指令ベクトルを決定することができる。つまり、電力制御回路が電力指令ベクトルを上位指令ベクトルに変換するため、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、本発明に係る三相電圧型交直変換装置は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、力率を非干渉に制御でき、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
上記三相電圧型交直変換装置において、前記電力制御回路は、前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号にさらに前記交流端子の三相出力電圧の振幅に相当する大きさの電圧ベクトルを加算して前記上位指令ベクトルとして出力することが望ましい。具体的な構成としては、前記電力制御回路は、前記電力制御調整器からの出力ベクトルに前記交流端子の三相出力電圧の振幅に相当する大きさの電圧ベクトルを加算して前記上位指令ベクトルとして出力する第三加算器をさらに備えることが望ましい。三相出力電圧の振幅に相当する大きさの電圧ベクトルを加算することにより、電力指令ベクトルを起動する時に三相出力電圧、三相出力電流及び三相出力電力に影響が少ないショックレスで起動することが可能となる。
上記第一から第三発明に係る三相電圧型交直変換装置において、前記三相電圧型交直変換回路は、前記交流端子から見て前記内部等価インピーダンスを持ち前記ゲート信号のパルス幅に応じて前記直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して出力する三相電圧型交直変換部と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電流を検出し前記三相出力電流の大きさに応じて生成した信号を出力する第二電流検出回路と、前記PWM指令と前記第二電流検出回路からの出力との差分がゼロに近づくように前記ゲート信号を発生させて出力するゲート信号発生器と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電圧から前記三相電圧型交直変換部での前記ゲート信号に起因する高周波成分を除去して出力する三相交流フィルタ回路と、を備えることが望ましい。
本発明では、三相交流フィルタ回路を備えることから、三相電圧型交直変換部からの出力から三相電圧型交直変換部でのゲート信号に起因する高周波成分を除去することができる。また、電流検出回路において三相電圧型交直変換部からの電流を検出し、ゲート信号発生器においてPWM指令と電流検出回路からの出力との差分がゼロに近づくようにゲート信号を発生させることで電流誤差が許容範囲内に収まるように制御することができる。
また、上記第一から第三発明に係る三相電圧型交直変換装置において、前記三相電圧型交直変換回路は、前記交流端子から見て前記内部等価インピーダンスを持ち前記ゲート信号のパルス幅に応じて前記直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して出力する三相電圧型交直変換部と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電圧を検出し前記三相出力電圧の大きさに応じて生成した信号を出力する電圧検出回路と、前記PWM指令と前記電圧検出回路からの出力との差分がゼロに近づくように前記ゲート信号を発生させて出力するゲート信号発生器と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電圧から前記三相電圧型交直変換部での前記ゲート信号に起因する高周波成分を除去して出力する三相交流フィルタ回路と、を備えることが望ましい。
本発明では、三相交流フィルタ回路を備えることから、三相電圧型交直変換部からの出力から三相電圧型交直変換部でのゲート信号に起因する高周波成分を除去することができる。また、電圧検出回路において三相電圧型交直変換部からの電圧を検出し、ゲート信号発生器においてPWM指令と電圧検出回路からの出力との差分がゼロに近づくようにゲート信号を発生させることで出力電圧をPWM指令に追従させることができる。
また、上記第一から第六発明に係る三相電圧型交直変換装置において、前記交流端子の三相出力電流を検出する第二電流検出回路と、前記第二電流検出回路の検出電流信号を当該検出電流信号の有効成分をd軸成分とし無効成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第三UM変換回路と、をさらに備え、前記三相電圧型交直変換回路は、前記交流端子から見て前記内部等価インピーダンスを持ち前記ゲート信号のパルス幅に応じて前記直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して出力する三相電圧型交直変換部と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電流を検出し前記三相出力電流の大きさに応じて生成した信号を出力する第三電流検出回路と、前記PWM指令と前記第三電流検出回路からの出力との差分がゼロに近づくように前記ゲート信号を発生させて出力するゲート信号発生器と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電圧から前記三相電圧型交直変換部での前記ゲート信号に起因する高周波成分を除去して出力する三相交流フィルタ回路と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記三相交流フィルタ回路における電流損失分を補償するように規定された電流補償ベクトルを出力するフィルタ電流補償器と、前記三相電圧型交直変換回路からの三相出力電流の電流偏差を補償するように規定された電流偏差補償ベクトルを出力するPWM電流偏差補償器と、前記第三UM変換回路からの出力電流ベクトルを前記交流端子の負荷に対する電流を補償するように所定のフィードフォワードゲインで増幅して出力するフィードフォワード増幅器と、前記フィルタ電流補償器からの電流偏差補償ベクトル、前記PWM電流偏差補償器からの電流偏差補償ベクトル及び前記フィードフォワード増幅器からの出力ベクトルを前記電圧制御器からの出力ベクトルに加算する第三加算器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記生成値を前記第三UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明では、PWM指令をゼロ指令としたときの三相電圧型交直変換回路における電流偏差分を予めPWM電流偏差補償器において設定し、電圧制御器からの出力ベクトルに加算することで当該電流偏差を補償することができる。また、三相電圧型交直変換回路における三相交流フィルタ回路における電流損失分を予めフィルタ電流補償器において設定し、電圧制御器からの出力ベクトルに加算することで当該損失を補償することができる。さらに、交流端子の三相出力電流を検出しdq変換して得た出力電流ベクトルを予めフィードフォワード増幅器から出力し、電圧制御器からの出力ベクトルに加算することで、出力電流が変化しても安定した出力電圧を発生させることができる。
また、上記第一から第六発明に係る三相電圧型交直変換装置において、前記交流端子の三相出力電流を検出する第二電流検出回路と、前記第二電流検出回路の検出電流信号を当該検出電流信号の有効成分をd軸成分とし無効成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する第三UM変換回路と、をさらに備え、前記三相電圧型交直変換回路は、前記交流端子から見て前記内部等価インピーダンスを持ち前記ゲート信号のパルス幅に応じて前記直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換して出力する三相電圧型交直変換部と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電圧を検出し前記三相出力電圧の大きさに応じて生成した信号を出力する電圧検出回路と、前記PWM指令と前記電圧検出回路からの出力との差分がゼロに近づくように前記ゲート信号を発生させて出力するゲート信号発生器と、前記三相電圧型交直変換部の三相出力電圧から前記三相電圧型交直変換部での前記ゲート信号に起因する高周波成分を除去して出力する三相交流フィルタ回路と、を備え、前記下位電圧制御回路は、前記三相交流フィルタ回路における電流損失分を補償するように規定された電流補償ベクトルを出力するフィルタ電流補償器と、前記三相電圧型交直変換回路からの三相出力電流の電流偏差を補償するように規定された電流偏差補償ベクトルを出力するPWM電流偏差補償器と、前記第三UM変換回路からの出力電流ベクトルを前記交流端子の負荷に対する電流を補償するように所定のフィードフォワードゲインで増幅して出力するフィードフォワード増幅器と、前記フィルタ電流補償器からの電流偏差補償ベクトル、前記PWM電流偏差補償器からの電流偏差補償ベクトル及び前記フィードフォワード増幅器からの出力ベクトルを前記電圧制御器からの出力ベクトルに加算する第三加算器と、を備え、前記周波数制御回路は、前記生成値を前記第三UM変換回路での変換行列の回転角度に同期させることが望ましい。
本発明では、PWM指令をゼロ指令としたときの三相電圧型交直変換回路における電流偏差分を予めPWM電流偏差補償器において設定し、電圧制御器からの出力ベクトルに加算することで当該電流偏差を補償することができる。また、三相電圧型交直変換回路における三相交流フィルタ回路における電流損失分を予めフィルタ電流補償器において設定し、電圧制御器からの出力ベクトルに加算することで当該損失を補償することができる。さらに、交流端子の三相出力電流を検出しdq変換して得た出力電流ベクトルを予めフィードフォワード増幅器から出力し、電圧制御器からの出力ベクトルに加算することで、出力電流が変化しても安定した出力電圧を発生させることができる。
また、上記第一から第六発明に係る三相電圧型交直変換装置において、前記交流端子が1又は複数のインバータを含む三相電圧源に接続されていることが望ましい。
交流端子が1又は複数のインバータを含む三相電圧源に接続されることにより、他の電源装置と共に連系運転を行うことができる。
また、上記第一から第六発明に係る三相電圧型交直変換装置において、前記電力指令ベクトルの有効電力指令値又は無効電力指令値のいずれか一方がゼロであることが望ましい場合がある。さらに、前記電力制御回路が前記三相出力電圧のq軸成分をゼロとする条件で生成した信号を前記上位指令ベクトルとして出力することが望ましい場合がある。
本発明に係る三相電圧型交直変換装置では、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
本発明では、複数台を並列に接続して並行運転する場合においても、個々の装置の自律平行運転が可能で、出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御でき、また非干渉に力率をゼロ又は1にして動作可能な三相電圧型交直変換装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態で説明する三相電圧型交直変換装置が自装置の有効電力Pと無効電力Qとを制御することから、これらの制御は、便宜上「PQ制御」と称する。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(第1実施形態)
図1及び図2に、本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置の概略構成図を示す。図1及び図2は、交流端子22の三相出力電力をフィードバックせずに制御することから開ループで制御する場合の構成を示している。
図1に示す三相電圧型交直変換装置11は、交流端子22から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて直流電圧源(不図示)からの電力を直流端子21で受けて三相交流電力に変換して交流端子22から出力する三相電圧型交直変換回路40と、交流端子22の三相出力電圧をdq回転座標空間上に変換して出力するUM変換回路31と、電力指令ベクトル140及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて生成した信号を上位指令ベクトルとして出力する第一電力制御回路130と、第一電力制御回路130からの上位指令ベクトル及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する第一上位電圧制御回路70と、規準電圧ベクトル、UM変換回路31からの出力電圧ベクトル及び第一上位電圧制御回路70からの電圧指令ベクトルに基づいて生成した信号をPWM指令として出力する第一下位電圧制御回路60と、規準周波数、及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルのq軸成分に基づいて生成した生成値をUM変換回路31での回転座標変換行列52の回転角度に同期させる周波数制御回路50と、を備える。本実施形態では、交流端子22は、1又は複数のインバータを含む電圧源150と接続されている。
三相電圧型交直変換回路40は、PWM指令に基づいてゲート信号発生器41により発生させたゲート信号のパルス幅に応じて不図示の直流電圧源からの電力を三相交流電力に変換する。直流電圧源は、バッテリ等の単独で直流電圧を出力する電圧源、風力発電等の発電方法で発電し整流して直流電圧を出力する電圧源、又は直流コンデンサの電圧を制御して直流電圧を出力する電圧源を例示することができる。この場合、UM変換回路31の接続点と交流端子22との間にさらにブロッキングインダクタを備え、三相出力電圧のそれぞれをブロッキングインダクタを介して交流端子22から電圧源150に向けて出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換回路40でのPWM成分の交流端子22への流出を防止することができる。
図19及び図20に三相電圧型交直変換回路の概略構成図を示す。
図19に示す三相電圧型交直変換回路40−1は、交流端子22から見て内部等価インピーダンスを持ちゲート信号のパルス幅に応じて直流電圧源からの電力を直流端子21で受けて三相交流電力に変換して出力する三相電圧型交直変換部42と、三相電圧型交直変換部42の三相出力電流を変流器38を介して検出し三相出力電流の大きさに応じて生成した信号を出力する電流検出回路43と、PWM指令と電流検出回路43からの出力との差分がゼロに近づくようにゲート信号を発生させて出力するゲート信号発生器41と、三相電圧型交直変換部42の三相出力電圧から三相電圧型交直変換部42でのゲート信号に起因する高周波成分を除去して出力する三相交流フィルタ回路45と、を備える。
また、図20に示す三相電圧型交直変換回路40−2は、図19の電流検出回路43に代えて、三相電圧型交直変換部42の三相出力電圧を検出し三相出力電圧の大きさに応じて生成した信号を出力する電圧検出回路44を備える。この場合、ゲート信号発生器41は、PWM指令と電圧検出回路44からの出力との差分がゼロに近づくようにゲート信号を発生させて出力する。
図19及び図20に示す三相電圧型交直変換部42の持つ内部等価インピーダンスは、後述するように図1の三相電圧型交直変換装置11内の制御変数により持たせることもできるし、図19及び図20の三相電圧型交直変換回路40−1,40−2の出力に抵抗、リアクトル若しくは三相変圧器又はこれらの組み合わせを接続して持たせることもできる。例えば、三相電圧型交直変換回路40−1,40−2の三相出力にそれぞれ抵抗又はリアクトルを直列に接続してもよいし、さらに抵抗を接続した場合には抵抗の後段にリアクトルをそれぞれ直列に接続してもよい。また、三相電圧型交直変換回路40−1,40−2の三相出力に三相変圧器を接続してもよい。また、三相電圧型交直変換回路40−1,40−2の三相出力にそれぞれリアクトルを接続した場合には、リアクトルの後段に三相変圧器を接続してもよい。さらに、三相電圧型交直変換回路40−1,40−2の三相出力にそれぞれ抵抗を接続し、抵抗の後段にリアクトルをそれぞれ直列に接続した場合には、当該リアクトルの後段に三相変圧器を接続してもよい。このように、三相電圧型交直変換部42が内部等価インピーダンスを持つことにより、図1の三相電圧型交直変換装置11は、電圧源として電力系統に接続して運転することが可能となる。
図1の三相電圧型交直変換回路40を図19又は図20に示す構成とすることにより、三相電圧型交直変換装置11は、三相交流フィルタ回路45(図19及び図20)を備えることから、三相電圧型交直変換部42からの出力から三相電圧型交直変換部42でのゲート信号に起因する高周波成分を除去することができる。また、電流検出回路43又は電圧検出回路44において三相電圧型交直変換部42からの電流又は電圧を検出し、ゲート信号発生器41においてPWM指令と電流検出回路43又は電圧検出回路44からの出力との差分がゼロに近づくようにゲート信号を発生させることで電流誤差が許容範囲内に収まるように制御すること、或いは出力電圧をPWM指令に追従させることができる。なお、図19及び図20において交流端子22は、図1又は後述する図2から図18において電圧源150に接続される交流端子22に対応する。
ここで、図21に、図19及び図20における三相電圧型交直変換部の概略構成図を示す。また、図22に、図19及び図20における三相交流フィルタ回路の概略構成図を示す。
図21に示す三相電圧型交直変換部42は、6個の自己消弧型スイッチ46g−46lと、6個のダイオード46a−46fと、を備え、三相ブリッジを構成する。自己消弧型スイッチ46g−46lは、入力信号のオン/オフに応じてスイッチのオン/オフを切替る素子で、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)やIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を例示できる。三相電圧型交直変換部42は、図19又は図20に示すゲート信号発生器41からの指令に応じて6つのスイッチのオン/オフを6つの自己消弧型スイッ46g−46lごとにパルス信号により切替えることで、直流電圧源23からの電力を三相交流電力に変換して3つの交流端子24,25,26から出力することができる。出力電圧は、パルス信号のパルス幅を変えることで変化させることができる。なお、図21において直流端子21−1,21−2は、概略図である図19又は図20の直流端子21に対応する。
図22に示す三相交流フィルタ回路45は、図19又は図20の三相電圧型交直変換部42からの三相出力を入力側の交流端子24,25,26で受けて出力側の交流端子22−1,22−2,22−3から出力する間で、各相における電流を制御する電流制御用インダクタ47d,47e,47fと、各相間に接続された抵抗47a,47b,47cと、コンデンサ47g,47h,47iと、を有する。電流制御用インダクタ47d,47e,47f、抵抗47a,47b,47c及びコンデンサ47g,47h,47iの各容量は、出力側の交流端子22−1,22−2,22−3からの出力信号の周波数特性に応じて適宜定めることができる。なお、抵抗47a,47b,47cはなくてもよい。図19及び図20の三相電圧型交直変換回路40−1,40−2では、三相交流フィルタ回路45として図22の三相交流フィルタ回路45を適用して三相電圧型交直変換部42でのゲート信号に起因する高周波成分を除去することができる。なお、図22において交流端子22−1,22−2,22−3は、概略図である図19又は図20の交流端子22に対応する。
図1のUM変換回路31は、以下の数式(1)から(3)により、交流端子22の三相出力電圧を当該三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する。数式(3)では、UM変換回路31に入力される三相出力電圧を(Va,Vb,Vc)とし、UM変換回路31からの出力電圧ベクトル(d軸成分,q軸成分)を(Vd,Vq)とした。図1では、UM変換回路31は、周波数制御回路50、第一下位電圧制御回路60、第一上位電圧制御回路70及び第一電力制御回路130にそれぞれ出力する。ここで、数式(1)〜(3)によりUM変換の演算を行うにあたり交流端子22の三相出力電圧を検出することになる。この場合、三相出力電圧のうち三相とも検出することとしてもよいが、三相出力電圧はいずれか2つの電圧が定まれば残りの1つの電圧が定まるため、UM変換回路31は、三相出力電圧のうちいずれか2つを検出することとしてもよい。また、UM変換回路31の前段にローパスフィルタを備え、UM変換回路31への三相出力電圧をローパスフィルタを介して検出することとしてもよい。三相出力電圧からPWM成分を除去して三相電圧型交直変換装置11の制御を安定化させることができる。また、UM変換回路31の後段にローパスフィルタを備え、UM変換回路31からの出力電圧ベクトルをローパスフィルタを介して出力することとしてもよい。UM変換回路31からの出力電圧ベクトルからPWM成分を除去して三相電圧型交直変換装置11の制御を安定化させることができる。
周波数制御回路50は、交流端子22の三相出力電圧の周波数を規定する規準周波数、及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルのq軸成分に基づいて生成した生成値をUM変換回路31での回転座標変換行列52の回転角度に同期させる。具体的には、図2に示すように、ループフィルタ53において三相出力電圧の周波数差に関わる成分であるq軸成分に低域濾過要素を付加し第二時間積分器55で時間積分して出力する。ループフィルタ53において付加する低域濾過要素は、一次遅れ要素等の遅れ要素を例示できる。これにより、フィードバックループを安定化させることができる。
また、規準周波数設定器51から出力される規準周波数を第一時間積分器54において時間積分した積分値に第二時間積分器55からの積分値を加算器56において加算して生成した生成値57をUM変換回路31での回転座標変換行列52の回転角度に同期させる。これにより、当該回転角度を電力系統の周波数に追従させることができる。同期させるには、第一時間積分器54からの積分値と第二時間積分器55からの積分値とを加算した生成値57を数式(3)のθdqとする。
ここで、UM変換回路31では、前述したように三相出力電圧の周波数差に関わる成分(q軸成分)を出力する。そのため、UM変換回路31での信号処理は、三相出力電圧と第一時間積分器54からの積分値と第二時間積分器55からの積分値とを加算した生成値57との位相を比較する位相比較処理に相当すると考えられる。また、第一時間積分器54からの積分値と第二時間積分器55からの積分値とを加算することによる信号処理は、ループフィルタ53からの出力電圧に応じて生成値の値を可変するVCO(Voltage Controlled Oscillator)の信号処理に相当すると考えられる。そのため、UM変換回路31及び周波数制御回路50は、全体として、第一時間積分器54からの積分値と第二時間積分器55からの積分値とを加算した生成値57が交流端子22の三相出力電圧の周波数に同期するPLLとしての動作を行っていると考えられる。そのため、同期を維持する周波数範囲(同期保持範囲(ロックレンジ))と周波数引込み範囲(キャプチャレンジ)は、PLLの場合と同様にして求めることができる。
図1の第一上位電圧制御回路70には、上位指令ベクトルが第一電力制御回路130から入力される。上位指令ベクトルは、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び周波数に関する情報を有する。そして、入力された上位指令ベクトル及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する。具体的には、図2に示すように、減算器71においてUM変換回路31からの出力ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように第一上位制御増幅器72で増幅して電圧指令ベクトルを生成して出力する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置11の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。ここで、第一上位制御増幅器72では、減算器71からの出力ベクトルに低域濾過要素を付加することとしてもよい。これにより、フィードバックループを安定化させることができる。また、第一上位制御増幅器72の後段にさらにリミッタを備え、第一上位制御増幅器72からの出力ベクトルをリミッタを介して出力することとしてもよい。過出力を防止して制御を安定化させることができる。
図1の第一下位電圧制御回路60は、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、UM変換回路31からの出力電圧ベクトル並びに第一上位電圧制御回路70からの電圧指令ベクトルに基づいて、三相出力電圧の振幅及び位相が規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号をPWM指令として出力する。また、規準電圧ベクトルは、第一規準電圧ベクトル設定器61により予め設定する。この規準電圧ベクトルは二相で交流端子22の三相出力電圧の振幅と位相の規準となる。
具体的には、図2に示すように、第一規準電圧ベクトル設定器61において予め設定された規準電圧ベクトルに第一上位電圧制御回路70からの電圧指令ベクトルを加算器62において加算して電力系統の振幅及び位相の偏差の補償分を追加する。また、UM変換回路31からの出力電圧ベクトルを減算器63において減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を第一電圧制御器64で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して出力する。さらに、第一電圧制御器64からのdq空間上の出力ベクトルを第一逆U変換器65においてαβ空間上に変換し三相電圧型交直変換回路40へのPWM指令として出力する。これにより、第一上位電圧制御回路70で検出した偏差分を補償すると共に、三相電圧型交直変換装置11の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置11の振幅及び位相を制御することができる。第一電圧制御器64は、例えば増幅器を適用することができる。ここで、減算器63と第一電圧制御器64との間にさらにローパスフィルタを備え、減算器63からの出力ベクトルをローパスフィルタを介して出力することとしてもよい。PWM成分を除去して第一電圧制御器64での制御を安定化させることができる。また、減算器63と第一電圧制御器64との間(この位置にローパスフィルタを備えた場合は、ローパスフィルタと第一電圧制御器64との間)にさらに電圧リミッタを備え、減算器63からの出力ベクトルを電圧リミッタを介して出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換装置11の起動時の出力電圧の過渡変動を抑制することができる。また、第一電圧制御器64と第一逆U変換器65との間(後述のフィルタ電流補償器、PWM電流偏差補償器及びフィードフォワード増幅器を設けた場合には、これらの出力を加算する加算器と第一逆U変換器65との間)にさらに電流リミッタを備え、第一電圧制御器64からの出力ベクトルを電流リミッタを介して出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換装置11のスイッチングデバイスに流れる過電流を定常時、過渡時共に防止することができる。
図1の第一電力制御回路130は、交流端子22の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトル140が入力される。そして、入力された電力指令ベクトル140及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子22の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を第一上位電圧制御回路70への上位指令ベクトルとして出力する。具体的には、図2に示すように、第一電力制御演算器131により、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び周波数並びに交流端子22の三相出力電力への有効電力指令値及び無効電力指令値で表される交流端子22の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と電力指令ベクトル140に基づく第一上位電圧制御回路70及び第一下位電圧制御回路60による交流端子22の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算して出力する。
第一電力制御演算器131は、例えば、次のようにして上位指令ベクトルを演算する。
交流端子22の三相出力電力の有効電力P及び無効電力Qは、交流端子22の三相出力電圧の振幅を表すd軸成分VFILd及び周波数差を表すq軸成分VFILq並びに三相出力電流のd軸成分Id及びq軸成分Iqにより、次の数式(4)と表される。
電力指令ベクトル140の有効電力指令値をP*及び無効電力指令値をQ*とすると、数式(4)より、以下の数式(5)の右辺となるように三相出力電流の有効成分Id及び無効成分Iqを制御できれば三相出力電力の有効電力及び無効電力を電力指令ベクトル140の各電力指令値へと制御することができる。
ここで、図2の第一上位制御増幅器72において、増幅率をd軸成分についてKvdとし、q軸成分についてKvqとし、第一規準電圧ベクトル設定器61において、規準電圧ベクトルを(Vco,0)とし、三相電圧型交直変換回路40の後述する内部等価インピーダンスをRiとすると、三相出力電流のd軸成分Id及びq軸成分Iqは、上位指令ベクトル(VFILd *,VFILq *)により、次の数式(6)と表される。
よって、数式(5)の三相出力電流のd軸成分Id及びq軸成分Iqと数式(6)の三相出力電流のd軸成分Id及びq軸成分Iqとが等しくなる条件で上位指令ベクトル(VFILd *,VFILq *)を決定すれば、三相出力電力の有効電力及び無効電力を電力指令ベクトル140の各電力指令値へと制御することができる。つまり、第一上位制御増幅器72では、次の数式(7)に示すように上位指令ベクトル(VFILd *,VFILq *)を決定すればよい。
例えば、図2の回路条件を次の表1に示す条件とした上で、(P*,Q*)=(2kW,0VA)とし、VCO=200Vとして上位指令ベクトル(VFILd *,VFILq *)を決定する場合には、上位指令ベクトル(VFILd *,VFILq *)を次の数式(8)と決定することができる。
また、有効電力指令値P*又は無効電力指令値Q*のいずれか一方がゼロである場合、さらに第一電力制御回路130が三相出力電圧のq軸成分をゼロとする条件で生成した信号を上位指令ベクトルとして出力する場合についてそれぞれ説明する。まず、無効電力指令値Q*がゼロである場合には、数式(7)は、次の数式(9)となる。
ここで、三相出力電圧のq軸成分をゼロとする条件は、VFILdがVFILqより充分大きいことを考慮してVFILqの2乗値をゼロとすることで実現できる。これにより、数式(9)は数式(10)となる。
この場合、上記の上位指令ベクトル(VFILd *,VFILq *)により制御される三相出力電流の無効成分Iqはゼロとなる。そのため、図2の三相電圧型交直変換装置11は、力率が1の連系運転が可能であることが分かる。
一方、有効電力指令値P*をゼロとした場合には、数式(7)は、次の数式(11)となる。
ここで、数式(9)と同様にVFILdがVFILqより充分大きいことを考慮してVFILqの2乗値をゼロとすると数式(11)は、数式(12)となる。
この場合、上記の上位指令ベクトル(VFILd *,VFILq *)により制御される三相出力電流の有効成分Idはゼロとなる。そのため、図2の三相電圧型交直変換装置11は、力率がゼロの連系運転が可能であることが分かる。
図3に、他の形態に係る三相電圧型交直変換装置の概略構成図を示す。図3は、図1及び図2で説明した三相電圧型交直変換装置と同様に、交流端子22の三相出力電力をフィードバックせずに制御することから開ループで制御する場合の構成を示している。
図3の三相電圧型交直変換装置11は、図2に示す三相電圧型交直変換装置11に交流端子22の三相出力電流を変流器36を介して検出する電流検出回路34と、電流検出回路34の検出電流信号をdq回転座標空間上に変換して出力するUM変換回路35と、をさらに備え、第一電圧制御器64からの出力ベクトルにさらにフィルタ電流補償器66、PWM電流偏差補償器67及びフィードフォワード増幅器68からの出力ベクトルを加算器69において加算した形態である。この場合、三相電圧型交直変換回路40は、図19又は図20で説明したいずれかの三相電圧型交直変換回路40−1,40−2を適用することができる。そのため、図3では、図19又は図20のいずれかの三相電圧型交直変換回路40−1,40−2が適用されているものとする。また、UM変換回路35でのdq変換は、数式(1)から(3)で説明した座標変換と同様である。つまり、UM変換回路35は、電流検出回路34の検出電流信号を当該検出電流信号の有効電力に関わる成分をd軸成分とし無効電力に関わる成分をq軸成分として出力する。
フィルタ電流補償器66は、三相電圧型交直変換回路40内の三相交流フィルタ回路45(図19又は図20)における電流損失分を補償するように規定された電流補償ベクトルを出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置11では、図19又は図20の三相交流フィルタ回路45における電流損失分を予めフィルタ電流補償器66において設定し、第一電圧制御器64からの出力ベクトルに加算することで当該損失を補償することができる。また、PWM電流偏差補償器67は、三相電圧型交直変換回路40からの三相出力電流の電流偏差を補償するように規定された電流偏差補償ベクトルを出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置11では、PWM指令をゼロ指令としたときの三相電圧型交直変換回路40における電流偏差分を予めPWM電流偏差補償器67において設定し、第一電圧制御器64からの出力ベクトルに加算することで当該損失を補償することができる。また、フィードフォワード増幅器68は、UM変換回路35からの出力電流ベクトルを交流端子22を流れる電流を補償するように所定のフィードフォワードゲインで増幅して出力する。これにより、三相電圧型交直変換装置11では、電流検出回路34において交流端子22の三相出力電流を検出しdq変換することで三相出力電流の有効・無効成分を検出し、それらの値をフィードフォワード増幅器68をとおして、第一電圧制御器64からの出力ベクトルに加算することで負荷電流が変化しても安定した出力電圧を発生することができる。
ここで、図3に示す三相電圧型交直変換装置に図19の三相電圧型交直変換回路を適用した場合の電圧制御特性について説明する。
図19の三相電圧型交直変換部42での電流アンプとしてのゲインをGPWMとし、ゼロ指令ベクトルに対する三相電圧型交直変換部42からの三相出力電流の電流偏差を−GPWMM1[D](但し、[ ]は明細書本文中においてベクトルを意味するものとする。以下同様である。)とする。ここで、M1はαβ空間から三相成分への変換行列で以下の数式(13)で表される。
−GPWMM1[D]は、電流検出回路43で検出した電流の大きさに応じて出力した信号をゲート信号発生器41に帰還させたことにより生じる固有な値である。また、三相交流フィルタ回路45を流れる三相電流を[ip]とする。この場合、図3のPWM電流偏差補償器67での電流補償分はU[D]である。また、図3において第一電圧制御器64を増幅器とし、当該増幅器のフィードバックゲインをα、フィードフォワード増幅器68でのフィードフォワードゲインをβとする。また、上位指令ベクトルを[Vmu]とし、第一上位制御増幅器72のゲインをκとする。交流端子22の三相出力電流を[is]、三相出力電圧を[V]とする。また、第一規準電圧ベクトル設定器61での規準電圧ベクトルを[Vc]とする。なお、図19の三相交流フィルタ回路45での電流損失分をゼロとし、三相交流フィルタ回路45のインピーダンスをZFとする。上記前提の下で図3の第一下位電圧制御回路60からのPWM指令[j]は、以下のように導出できる。
上記数式(14)から三相出力電圧Vに関して次の式が導出できる。
上記数式(15)から、図19に示す三相電圧型交直変換回路40−1の内部等価インピーダンスを以下の数式(16)で表すことができる。つまり、図3の三相電圧型交直変換装置11内の制御パラメータα、β及びκにより、三相電圧型交直変換回路40−1の三相電圧型交直変換部42に内部等価インピーダンスを持たせることができる。
以上説明したように、図1から図3の三相電圧型交直変換装置11は、内部等価インピーダンスを持つことから、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、周波数制御回路50、第一上位電圧制御回路70及び第一下位電圧制御回路60を備えるため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償する自律平行運転が可能である。そのため、装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。また、第一電力制御回路130を備え、UM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて電力指令ベクトル140を上位指令ベクトルに変換するため、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、三相電圧型交直変換装置11は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
ここで、図3に示す三相電圧型交直変換装置11(規準電圧:200V,規準周波数:50Hz)を電圧振幅:200V,周波数:50Hzの理想電圧源と系統連系させた場合の動作例について説明する。図3の回路条件は、上記表1の通りとした。
上記表1の回路条件の下、図23に、電力指令ベクトル140の(有効電力指令値,無効電力指令値)を(2kW,0VA)として三相電圧型交直変換装置11を運転したときのシミュレーション結果を示す。また、図24に、電力指令ベクトル140の(有効電力指令値,無効電力指令値)を(1.7kW,1kVA)として三相電圧型交直変換装置11を運転したときのシミュレーション結果を示す。また、図25に、力率が1の場合のシミュレーション結果を示し、図26に、力率が0の場合のシミュレーション結果を示す。
図23から、三相出力電圧(Va,Vb,Vc)及び三相出力電流(Isa,Isb,Isc)の位相が揃い、略力率1の運転を実現できることが分かる。一方、図24から、三相出力電力の有効成分が1.65kW、無効電力が919VAと略有効電力指令値及び無効電力指令値通りの値となっており、力率0.86の運転を実現できることが分かる。
また、上位指令ベクトルのうち、VFILd *が0Vとなるように設定することにより(VFILdは215Vとした。)、図25に示すように力率1の運転を実現することができ、VFILd *を0Vと設定することにより(VFILq *は40Vとした。)、図26に示すように力率0の運転を実現することができる。
(第2実施形態)
図4及び図5に、本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置の概略構成図を示す。図4及び図5は、交流端子22の三相出力電力をフィードバックせずに制御することから開ループで制御する場合の構成を示している。
図4に示す三相電圧型交直変換装置12は、交流端子22から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて直流電圧源(不図示)からの電力を三相交流電力に変換して交流端子22から出力する三相電圧型交直変換回路40と、交流端子22の三相出力電圧をαβ静止座標空間上に変換するM変換回路32と、M変換回路32の出力電圧ベクトルをdq回転座標空間上に変換して出力するU変換回路33と、電力指令ベクトル140及びU変換回路33からの出力電圧ベクトルに基づいて生成した信号を上位指令ベクトルとして出力する第一電力制御回路130と、第一電力制御回路130からの上位指令ベクトル及びU変換回路33からの出力電圧ベクトルに基づいて生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する第二上位電圧制御回路90と、規準電圧ベクトル、M変換回路32からの出力電圧ベクトル並びに第二上位電圧制御回路90からの電圧指令ベクトルに基づいて生成した信号をPWM指令として出力する第二下位電圧制御回路80と、規準周波数、及びU変換回路33からの出力電圧ベクトルのq軸成分に基づいて生成した生成値をU変換回路33での回転座標変換行列52の回転角度に同期させる周波数制御回路50と、を備える。本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置12は、第1実施形態で説明した三相電圧型交直変換装置11と比較して、第二下位電圧制御回路80内での信号処理をαβ静止座標空間上で行う点が異なっている。また、図4及び図5において、交流端子22は、図1及び図2の三相電圧型交直変換装置11と同様に1又は複数の電圧源150と接続されている。また、図1及び図2と符号が同一の構成要素は、相互に同一のものを示すため、説明は省略する。
M変換回路32は、交流端子22の三相出力電圧のうち1つを基準として互いに直交するα軸及びβ軸とするαβ静止座標空間上に変換する。変換行列は、上記数式(2)により表記できる。また、U変換回路33は、M変換回路32の出力電圧ベクトルを三相出力電圧の振幅に関わる成分をd軸成分とし周波数差に関わる成分をq軸成分とするdq回転座標空間上に変換して出力する。変換行列は、上記数式(1)により表記できる。そのため、U変換回路33からの出力は、M変換回路32を介しているため、図1のUM変換回路31からの出力と同質のベクトルが出力される。また、M変換回路32の前段にローパスフィルタを備え、三相出力電圧をM変換回路32へローパスフィルタを介して入力することとしてもよい。三相出力電圧からPWM成分を除去して三相電圧型交直変換装置12の制御を安定化させることができる。U変換回路33の後段にローパスフィルタを備え、U変換回路33からの出力電圧ベクトルをローパスフィルタを介して出力することとしてもよい。U変換回路33からの出力電圧ベクトルからPWM成分を除去して三相電圧型交直変換装置12の制御を安定化させることができる。また、M変換回路32の接続点と交流端子22との間にさらにブロッキングインダクタを備え、三相出力電圧をブロッキングインダクタを介して交流端子22から出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換回路40が発生するPWM成分が交流端子22に流出するのを防止することができる。
図4の第二上位電圧制御回路90は、交流端子22の三相出力電圧の振幅に対する電圧振幅指令値及び周波数に対する周波数指令値からなる上位指令ベクトルが第一電力制御回路130から入力される。そして、入力された上位指令ベクトル及びU変換回路33からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する。具体的には、図5に示すように、減算器92においてU変換回路33からの出力ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように第二上位制御増幅器93で増幅し第一逆U変換器91においてαβ静止座標空間上に変換して電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。ここで、第二上位制御増幅器93では、減算器92からの出力ベクトルに低域濾過要素を付加することとしてもよい。フィードバックループを安定化させることができる。また、第二上位制御増幅器93と第一逆U変換器91の後段にさらにリミッタを備え、第二上位制御増幅器93からの出力ベクトルをリミッタを介して出力することとしてもよい。過出力を防止して制御を安定化させることができる。
図4の第二下位電圧制御回路80は、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、M変換回路32からの出力電圧ベクトル並びに第二上位電圧制御回路90からの電圧指令ベクトルに基づいて、三相出力電圧の振幅及び位相が規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号をPWM指令として出力する。
具体的には、図5に示すように、第一規準電圧ベクトル設定器81において予め設定された規準電圧ベクトルに第二上位電圧制御回路90からの電圧指令ベクトルを加算器82において加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、M変換回路32からの出力電圧ベクトルを減算器83において減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を第二電圧制御器84で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して三相電圧型交直変換回路40へのPWM指令として出力する。これにより、第二上位電圧制御回路90で検出した偏差分を補償すると共に、三相電圧型交直変換装置12の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置12の振幅及び位相を制御することができる。第二電圧制御器84は、例えば増幅器を適用することができる。ここで、減算器83と第二電圧制御器84との間にさらにローパスフィルタを備え、減算器83からの出力ベクトルをローパスフィルタを介して出力することとしてもよい。PWM成分を除去して第二電圧制御器84での制御を安定化させることができる。また、減算器83と第二電圧制御器84との間(この位置にローパスフィルタを備えた場合は、ローパスフィルタと第二電圧制御器84との間)にさらに電圧リミッタを備え、減算器83からの出力ベクトルを電圧リミッタを介して出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換装置12の起動時の出力電圧の過渡変動を抑制することができる。また、第二電圧制御器84の後段(後述するように前述の図3のフィルタ電流補償器66、PWM電流偏差補償器67及びフィードフォワード増幅器68を設けた場合には、これらからの出力を加算する加算器の後段)にさらに電流リミッタを備え、第二電圧制御器84からの出力ベクトルを電流リミッタを介して出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換装置12のスイッチングデバイスに流れる過電流を定常時、過渡時共に防止することができる。
図4の第一電力制御回路130は、電力指令ベクトル140及びU変換回路33からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子22の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を第二上位電圧制御回路90への上位指令ベクトルとして出力する。具体的には、図5に示すように、第一電力制御演算器131により、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び周波数並びに交流端子22の三相出力電力への有効電力指令値及び無効電力指令値で表される交流端子22の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と電力指令ベクトル140に基づく第二上位電圧制御回路90及び第二下位電圧制御回路80による交流端子22の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算して出力する。
図5に示す三相電圧型交直変換装置12は、図3で説明したフィードフォワード増幅器68並びにこれに必要な電流検出回路34及びM変換回路32、フィルタ電流補償器66、並びにPWM電流偏差補償器67をさらに有して、これらの回路からの出力を第二下位電圧制御回路80内で第二電圧制御器84からの出力ベクトルに加算することもできる。この場合、図3と同様に図5の三相電圧型交直変換回路40は、図19又は図20で説明したいずれかの三相電圧型交直変換回路40−1,40−2を適用するものとする。
以上説明したように、図4及び図5の三相電圧型交直変換装置12は、内部等価インピーダンスを持つことから電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、周波数制御回路50、第二上位電圧制御回路90及び第二下位電圧制御回路80を備えるため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償する自律平行運転が可能である。そのため、装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。また、第一電力制御回路130を備え、U変換回路33からの出力電圧ベクトルに基づいて電力指令ベクトル140を上位指令ベクトルに変換するため、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、三相電圧型交直変換装置12は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
(第3実施形態)
図6及び図7に、本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置の概略構成図を示す。図6及び図7は、交流端子22の三相出力電力をフィードバックせずに制御することから開ループで制御する場合の構成を示している。
図6に示す三相電圧型交直変換装置13は、交流端子22から見て内部等価インピーダンスを持ち、PWM指令に基づいて直流電圧源(不図示)からの電力を三相交流電力に変換して交流端子22から出力する三相電圧型交直変換回路40と、交流端子22の三相出力電圧をdq回転座標空間上に変換して出力するUM変換回路31と、電力指令ベクトル140及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて生成した信号を上位指令ベクトルとして出力する第一電力制御回路130と、第一電力制御回路130からの上位指令ベクトル及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する第三上位電圧制御回路110と、規準電圧ベクトル、交流端子22の三相出力電圧並びに第三上位電圧制御回路110からの電圧指令ベクトルに基づいて生成した信号をPWM指令として出力する第三下位電圧制御回路100と、規準周波数、及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルのq軸成分に基づいて生成した生成値をUM変換回路31での回転座標変換行列52の回転角度に同期させる周波数制御回路50と、を備える。本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置13は、第1実施形態で説明した三相電圧型交直変換装置11と比較して、第三下位電圧制御回路100内での信号処理を三相のまま行う点が異なっている。また、図6及び図7において、交流端子22は、図1及び図2の三相電圧型交直変換装置11と同様に1又は複数の電圧源150と接続されている。また、図6及び図7において、図1及び図2と符号が同一の構成要素は、相互に同一のものを示すため、説明は省略する。
第三上位電圧制御回路110には、交流端子22の三相出力電圧の振幅に対する電圧振幅指令値及び周波数に対する周波数指令値からなる上位指令ベクトルが第一電力制御回路130から入力される。そして、入力された上位指令ベクトル及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を電圧指令ベクトルとして出力する。ここで、UM変換回路31及び第三下位電圧制御回路100の前段にローパスフィルタを備え、三相出力電圧をローパスフィルタを介して検出することとしてもよい。三相出力電圧からPWM成分を除去して三相電圧型交直変換装置13の制御を安定化させることができる。また、UM変換回路31の後段にローパスフィルタを備え、UM変換回路31からの出力電圧ベクトルをローパスフィルタを介して出力することとしてもよい。UM変換回路31からの出力電圧ベクトルからPWM成分を除去して三相電圧型交直変換装置13の制御を安定化させることができる。また、UM変換回路31の接続点と交流端子22との間にさらにブロッキングインダクタを備え、三相出力電圧のそれぞれをブロッキングインダクタを介して交流端子22から出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換回路40でのPWM成分が交流端子22に流出するのを防止することができる。
具体的な構成は、図7に示すように、減算器112においてUM変換回路31からの出力ベクトルと上位指令ベクトルとを減算し、電力系統の振幅及び周波数が上位指令ベクトルによる指令値に近づくように第三上位制御増幅器113で増幅し、逆UM変換器111においてdq回転座標空間上からの逆変換を行って電圧指令ベクトルを生成する。これにより、電力系統の振幅及び周波数が変化しても、当該振幅及び周波数に対する三相電圧型交直変換装置13の三相出力電力の振幅及び周波数のそれぞれの偏差分を検出できる。ここで、第三上位制御増幅器113では、減算器112からの出力ベクトルに低域濾過要素を付加することとしてもよい。フィードバックループを安定化させることができる。また、第三上位制御増幅器113と逆UM変換器111との間にさらにリミッタを備え、第三上位制御増幅器113からの出力ベクトルをリミッタを介して出力することとしてもよい。過出力を防止して制御を安定化させることができる。
図6の第三下位電圧制御回路100は、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び位相を規定する規準電圧ベクトル、交流端子22の三相出力電圧並びに第三上位電圧制御回路110からの電圧指令ベクトルに基づいて、三相出力電圧の振幅及び位相が規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように生成した信号をPWM指令として出力する。また、規準電圧ベクトルは、第二規準電圧ベクトル設定器101により予め設定する。この規準電圧ベクトルは、交流端子の三相出力電圧の振幅と位相の規準となる。
具体的には、図7に示すように、第二規準電圧ベクトル設定器101において予め設定された規準電圧ベクトルに第三上位電圧制御回路110からの電圧指令ベクトルを加算器102において加算して電力系統の振幅及び周波数の偏差の補償分を追加する。また、交流端子22の三相出力電圧ベクトルを減算器103において減算し、電力系統の振幅及び位相との差分を第三電圧制御器104で規準電圧ベクトルと電圧指令ベクトルとの合成値に近づくように変換して三相電圧型交直変換回路40へのPWM指令として出力する。これにより、第三上位電圧制御回路110で検出した偏差分を補償すると共に、三相電圧型交直変換装置13の三相出力電圧の振幅及び位相を電力系統の振幅及び位相に一致させるように三相電圧型交直変換装置13の振幅及び位相を制御することができる。第三電圧制御器104は、例えば増幅器を適用することができる。ここで、減算器103と第三電圧制御器104との間にさらにローパスフィルタを備え、減算器103からの出力ベクトルをローパスフィルタを介して出力することとしてもよい。PWM成分を除去して第三電圧制御器104での制御を安定化させることができる。また、減算器103と第三電圧制御器104との間(この位置にローパスフィルタを備えた場合は、ローパスフィルタと第三電圧制御器104との間)にさらに電圧リミッタを備え、減算器103からの出力ベクトルを電圧リミッタを介して出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換装置13の起動時の出力電圧の過渡変動を抑制することができる。また、第三電圧制御器104の後段(後述するように前述の図3のフィルタ電流補償器66、PWM電流偏差補償器67及びフィードフォワード増幅器68を設けた場合には、これらからの出力を加算する加算器の後段)にさらに電流リミッタを備え、第三電圧制御器104からの出力ベクトルを電流リミッタを介して出力することとしてもよい。三相電圧型交直変換装置13のスイッチングデバイスに流れる過電流を定常時、過渡時共に防止することができる。
図6の第一電力制御回路130は、交流端子22の三相出力電力の有効電力に対する有効電力指令値及び無効電力に対する無効電力指令値からなる電力指令ベクトル140が入力される。そして、入力された電力指令ベクトル140及びUM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて、交流端子22の三相出力電力の有効電力及び無効電力が前記電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号を第三上位電圧制御回路110への上位指令ベクトルとして出力する。具体的には、図7に示すように、第一電力制御演算器131により、交流端子22の三相出力電圧の振幅及び周波数並びに交流端子22の三相出力電力への有効電力指令値及び無効電力指令値で表される交流端子22の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御目標と電力指令ベクトル140に基づく第三上位電圧制御回路110及び第三下位電圧制御回路100による交流端子22の三相出力電流の有効成分及び無効成分に対する制御結果とが等しくなる条件で上位指令ベクトルを演算して出力する。
図7に示す三相電圧型交直変換装置13は、図3で説明したフィードフォワード増幅器68及びこれに必要な電流検出回路34、フィルタ電流補償器66、並びにPWM電流偏差補償器67をさらに有して、これらの回路からの出力を第三下位電圧制御回路100内で第三電圧制御器104からの出力ベクトルに加算することもできる。この場合、図3と同様に図7の三相電圧型交直変換回路40は、図19又は図20で説明した三相電圧型交直変換回路40−1,40−2を適用するものとする。
以上説明したように、図6及び図7の三相電圧型交直変換装置13は、内部等価インピーダンスを持つことから電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、周波数制御回路50、第三上位電圧制御回路110及び第三下位電圧制御回路100を備えるため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償する自律平行運転が可能である。そのため、装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。また、第一電力制御回路130を備え、UM変換回路31からの出力電圧ベクトルに基づいて電力指令ベクトル140を上位指令ベクトルに変換するため、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、三相電圧型交直変換装置13は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
(第4実施形態)
図8から図14に、本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置の概略構成図を示す。図8から図14は、交流端子22の三相出力電力をフィードバックして制御することから閉ループで制御する場合の構成を示している。なお、図1から図3と符号が同一の構成要素は、相互に同一のものを示すため、説明は省略する。
本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置14は、第1実施形態で説明した三相電圧型交直変換装置11のうち第一電力制御回路130に代えて、電力検出回路160及び第二電力制御回路170を適用した構成をしている。つまり、図8から図14に示す三相電圧型交直変換装置14は、図1から図3で説明した第一電力制御回路130に代えて、交流端子22の三相出力電力の有効成分及び無効成分を検出する電力検出回路160と、電力指令ベクトル140及び電力検出回路160からの出力電力ベクトルに基づいて生成した信号を上位指令ベクトルとして第一上位電圧制御回路70に向けて出力する第二電力制御回路170と、を備える。
本実施形態では、図8から図14に示すように、電力検出回路160は、UM変換回路31(図11及び図14では第一UM変換回路31)からの出力電圧ベクトル及び交流端子22の三相出力電流から、交流端子22の三相出力電力の有効電力及び無効電力を演算して出力電力ベクトルとして出力する。具体的には、図11及び図14に示すように変流器37を介して電流検出回路161で検出した交流端子22の三相出力電流の有効成分Id及び無効成分Iq並びに第一UM変換回路31からの出力電圧ベクトル(VFILd,VFILq)から前述の数式(4)に基づいて交流端子22の三相出力電力の有効電力値及び無効電力値を算出する。交流端子22の三相出力電流の有効成分Id及び無効成分Iqは、電流検出回路161で検出され三相出力電流の大きさに応じて生成された信号が第二UM変換回路162において前述の数式(1)〜(3)によりUM変換された出力として得ることができる。
電力検出回路160は、交流端子22の三相出力電圧がUM変換回路31又は後述の図15から図17のU変換回路33を介さずに入力されてもよく、交流端子22の三相出力電圧及び三相出力電流から直接に交流端子22の三相出力電力の有効成分及び無効成分を検出することもできる。
図8から図14の第二電力制御回路170は、電力指令ベクトル140及び電力検出回路160からの出力電力ベクトルに基づいて、交流端子22の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように上位指令ベクトルを生成して出力する。具体的には、電力指令ベクトル140から電力検出回路160からの出力電力ベクトルを減算器171において減算した出力ベクトルを、第二電力制御調整器172において、交流端子22の三相出力電力の有効電力及び無効電力が電力指令ベクトルによる指令値に近づくように調整して出力する。これにより、交流端子22の三相出力電力を直接フィードバックして三相出力電力の電力指令値からの偏差分に応じた上位指令ベクトルを決定できる。ここで、第二電力制御調整器172では、減算器171からの出力ベクトルのd軸成分及びq軸成分をそれぞれ個別に1次遅れ要素(Kd/(1+Tds),Kd/(1+Tqs))(但し、Kd,Kdは比例ゲインを示し、Td,Tdは時定数を示す。)で処理してもよいし、d軸成分及びq軸成分を共通の1次遅れ要素K(1+K’/s)(但し、K,K’は比例ゲインを示す。)で処理してもよい。このように、一次遅れ要素で処理すると三相出力電力を強制的に安定化させることができる。
また、第二電力制御回路170では、電力指令ベクトルによる指令値に近づくように生成した信号にさらに交流端子22の三相出力電圧の振幅に相当する大きさの電圧ベクトルを加算して上位指令ベクトルとして出力することもできる。三相出力電圧の振幅に相当する大きさの電圧ベクトルを加算することにより、電力指令ベクトル140を起動する時に三相出力電圧、三相出力電流及び三相出力電力に影響が少ないショックレスで起動することが可能となる。例えば、第二電力制御回路170は、図9に示すように第一規準電圧ベクトル設定器61からの規準電圧ベクトルを加算することができる。具体的には、図12に示すように、加算器173において第二電力制御調整器172からの出力に第一規準電圧ベクトル設定器61からの規準電圧ベクトルを加算して上位指令ベクトルとして出力することができる。また、第二電力制御回路170は、図10に示すようにUM変換回路31からの出力電圧ベクトルを加算してもよい。具体的には、図13に示すように、加算器173において第二電力制御調整器172からの出力にUM変換回路31からの出力電圧ベクトルを加算して上位指令ベクトルとして出力することができる。三相出力電圧の振幅に相当する大きさの電圧ベクトルを加算して上位指令ベクトルとして出力することは、図14及び後述の図15から図18に記載の第二電力制御回路170についても同様である。
以上説明したように、図8から図14の三相電圧型交直変換装置14は、図1から図3で説明した三相電圧型交直変換装置11と同様に、内部等価インピーダンスを持つことから、電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、周波数制御回路50、第一上位電圧制御回路70及び第一下位電圧制御回路60を備えるため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償する自律平行運転が可能である。そのため、装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。また、電力検出回路160及び第二電力制御回路170を備え、電力検出回路160からの出力電力ベクトルに基づいて電力指令ベクトル140を上位指令ベクトルに変換するため、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、三相電圧型交直変換装置14は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
ここで、図14に示す三相電圧型交直変換装置14(規準電圧:200V,規準周波数:50Hz)を電圧振幅:200V,周波数:52Hzの電圧源と系統連系させた場合の動作例について説明する。図14の回路条件は、上記表1の通りとし、さらに第二電力調整器172内に、比例ゲイン0.1と積分を付加した。
上記表1の回路条件の下、図27に、電力指令ベクトル140の(有効電力指令値,無効電力指令値)を(2kW,0kVA)として三相電圧型交直変換装置14を運転したときのシミュレーション結果を示す。また、図28に、電力指令ベクトル140の(有効電力指令値,無効電力指令値)を(1.7kW,1kVA)として三相電圧型交直変換装置14を運転させたときのシミュレーション結果を示す。
図27から、三相出力電圧(Va,Vb,Vc)及び三相出力電流(Isa,Isb,Isc)の位相が揃い、略力率1の運転を実現できることが分かる。一方、図28から、三相出力電力の有効成分が1.70kW、無効電力が919VAと略有効電力指令値及び無効電力指令値通りの値となっており、力率0.86の運転を実現できることが分かる。
また、図29に、三相出力電圧(Vab,Vbc,Vca)、三相出力電流(Isa,Isb,Isc)及びVFILd *のモニタ後60msの時にVFILd *が200VでVFILq *が0となるように、電力指令ベクトル140の(有効電力指令値,無効電力指令値)を(0kW,0kVA)として図11の三相電圧型交直変換装置14を運転したときのシミュレーション結果を示す。また、図30に、三相出力電圧(Vab,Vbc,Vca)、三相出力電流(Isa,Isb,Isc)及びVFILd *のモニタ後60msの時にVFILd *が200VでVFILq *が0となるように、電力指令ベクトル140の(有効電力指令値,無効電力指令値)を(0kW,0kVA)として図12の三相電圧型交直変換装置14を運転したときのシミュレーション結果を示す。図29及び図30を比較すると、図12の三相電圧型交直変換装置14では、加算器173において規準電圧ベクトルを加算したことから、三相出力電圧(Vab,Vbc,Vca)、三相出力電流(Isa,Isb,Isc)及びVFILd *の波形が歪むことなくショックレスでPQ制御を実現できることが分かる。
(第5実施形態)
図15及び図16に、本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置の概略構成図を示す。図15及び図16は、交流端子22の三相出力電力をフィードバックして制御することから閉ループで制御する場合の構成を示している。なお、図1から図5及び図8から図14と符号が同一の構成要素は、相互に同一のものを示すため、説明は省略する。
本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置15は、第2実施形態で説明した三相電圧型交直変換装置12のうち第一電力制御回路130に代えて、電力検出回路160及び第二電力制御回路170を適用した構成をしている。
また、図16に示す三相電圧型交直変換装置15は、図14の三相電圧型交直変換装置14でも適用可能であり、図3で説明したフィードフォワード増幅器68並びにこれに必要な電流検出回路34及びUM変換回路35、フィルタ電流補償器66、並びにPWM電流偏差補償器67をさらに有して、これらの回路からの出力を第二下位電圧制御回路80内で第二電圧制御器84からの出力ベクトルに加算することもできる。この場合、図3と同様に図16の三相電圧型交直変換回路40は、図19又は図20で説明したいずれかの三相電圧型交直変換回路40−1,40−2を適用するものとする。
以上説明したように、図15及び図16の三相電圧型交直変換装置15は、図1から図5で説明した三相電圧型交直変換装置11,12と同様に、内部等価インピーダンスを持つことから電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、周波数制御回路50、第二上位電圧制御回路90及び第二下位電圧制御回路80を備えるため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償する自律平行運転が可能である。そのため、装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。また、電力検出回路160及び第二電力制御回路170を備え、電力検出回路160からの出力電力ベクトルに基づいて電力指令ベクトル140を上位指令ベクトルに変換するため、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、三相電圧型交直変換装置15は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。
(第6実施形態)
図17及び図18に、本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置の概略構成図を示す。図17及び図18は、交流端子22の三相出力電力をフィードバックして制御することから閉ループで制御する場合の構成を示している。なお、図1から図3、図6及び図7並びに図8から図14と符号が同一の構成要素は、相互に同一のものを示すため、説明は省略する。
本実施形態に係る三相電圧型交直変換装置16は、第3実施形態で説明した三相電圧型交直変換装置13のうち第一電力制御回路130に代えて、電力検出回路160及び第二電力制御回路170を適用した構成をしている。
また、図18に示す三相電圧型交直変換装置15は、図14の三相電圧型交直変換装置14でも適用可能であり、図3で説明したフィードフォワード増幅器68並びにこれに必要な電流検出回路34及びM変換回路32、フィルタ電流補償器66、並びにPWM電流偏差補償器67をさらに有して、これらの回路からの出力を第二下位電圧制御回路80内で第二電圧制御器84からの出力ベクトルに加算することもできる。この場合、図3と同様に図18の三相電圧型交直変換回路40は、図19又は図20で説明したいずれかの三相電圧型交直変換回路40−1,40−2を適用するものとする。
以上説明したように、図17及び図18の三相電圧型交直変換装置16は、図1から図3並びに図6及び図7で説明した三相電圧型交直変換装置11,13と同様に、内部等価インピーダンスを持つことから電圧源として電力系統に接続して運転することができると共に、周波数制御回路50、第三上位電圧制御回路110及び第三下位電圧制御回路100を備えるため、電力系統に対する電力偏差を自律して補償する自律平行運転が可能である。そのため、装置の信頼性が高まると共に分散配置が可能となる。さらに、複数台並列運転させる場合には、台数制限がなく運転させることができる。また、電力検出回路160及び第二電力制御回路170を備え、電力検出回路160からの出力電力ベクトルに基づいて電力指令ベクトル140を上位指令ベクトルに変換するため、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることができる。従って、三相電圧型交直変換装置16は、自律平行運転するに際し、三相出力電力の有効電力及び無効電力を非干渉にかつ正確に制御できる。また、三相出力電力の有効電力及び無効電力の目標値を指令値として与えることから、力率を非干渉に制御でき、電力指令ベクトルの有効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率をゼロにして動作可能であり、一方、電力指令ベクトルの無効電力指令値をゼロとすれば、非干渉に力率を1にして動作可能である。