JP4777873B2 - 親油性薬物送達ビヒクルおよびこれらの使用方法 - Google Patents

親油性薬物送達ビヒクルおよびこれらの使用方法 Download PDF

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Description

(技術分野)
本出願は生物活性剤の送達のための組成物および方法に関する。特に本出願は脂質結合ポリペプチド、脂質2層および生物活性剤を含む生物活性剤送達粒子に関する。
(関連出願)
本出願は2003年2月14日に出願された米国出願60/447,508および2003年10月1日出願の60/508,035の利益を請求し、これら両者は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(連邦資金提供の研究開発に関する陳述)
本発明は米国国立衛生研究所の認定番号HL65159により資金提供された研究の間に部分的には作成されている。政府は本発明における特定の権利を有する。
(背景技術)
生物活性物質、例えば治療薬、ワクチン免疫原および栄養物質は純粋な形態で投与できない場合が多いが、生物活性物質の溶解度を増強し、望ましくない副作用を最低限にしながら最適な利益的作用を達成するために適当な形態にそれをパッケージする生体適合性の処方に配合されなければならない。生物活性剤の効率的な送達は身体内における薬剤の短いクリアランス時間、作用部位へのターゲティングが不十分であること、または、生物活性剤そのものの性質、例えば水性媒体中の低い溶解度または疎水性により、遮蔽されてしまう場合が多い。即ち、多くの処方手法、例えば、制御放出処方、乳液およびリポソーム処方が、送達を改善するために開発されている。
リポソームの医薬品送達システムが報告されている。リポソームは捕獲された水性の内容物を含有する完全に閉鎖された球状の脂質2層膜である。脂質2層は疎水性のテール領域および親水性のヘッド領域を有する脂質よりなる2つの脂質単層を含む。膜2層の構造は、共にリポソームの外部および内部において、脂質分子の疎水性で非極性のテールが2層の中心部に配向し、一方、親水性のヘッドが水相に配向しているものである。リポソームの水性の親水性コア領域は溶解した生物活性物質を含有して良い。
薬学的に有用な疎水性物質の送達はそれらが水性環境において不溶性であるか貧溶性であるために特に問題となる場合が多い。医薬品として使用される疎水性化合物に関しては、直接の注射が不可能であるか、大きい問題を生じる場合があり、溶血、静脈炎、過敏症、臓器不全および/または死亡のような危険な状態をもたらす。水性環境において安定性を促進し、所望の作用部位へ疎水性生物活性物質の効率的な送達を可能にするこのような物質のための進歩した処方が必要とされている。
(発明の開示)
本発明は個体への生物活性剤の送達のための組成物および方法を提供する。
1つの特徴において本発明は脂質結合ポリペプチド、疎水性領域を含む内層を有する脂質2層、および、脂質2層の疎水性領域に会合した生物活性剤を含む生物活性剤送達粒子を提供する。生物活性剤送達粒子は一般的には親水性または水性のコアを含まない。
生物活性剤送達粒子は、疎水性領域少なくとも1つを含み脂質2層の疎水性内部に取り込まれるかこれと会合している生物活性剤1つ以上を含む。生物活性剤の疎水性領域は一般的に、例えば脂肪アシル鎖のような、脂質2層の内部の疎水性の表面に会合している。1つの実施形態においては、生物活性剤はアンホテリシンB(AmB)である。別の実施形態においては生物活性剤はカンプトテシンである。
粒子は典型的にはディスク型であり、直径は約7〜約29mmである。
生物活性剤送達粒子は2層形成脂質、例えばリン脂質を含む。一部の実施形態において、生物活性剤送達粒子は2層形成および非2層形成の脂質を含む。一部の実施形態においては、生物活性剤送達粒子の脂質2層はリン脂質を含む。1つの実施形態においては、送達粒子に取り込まれたリン脂質はジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)を包含する。1つの実施形態においては、脂質2層はDMPCおよびDMPGを7:3のモル比で含有する。
好ましい実施形態においては、脂質結合ポリペプチドはアポリポタンパク質である。脂質結合ポリペプチド、例えばアポリポタンパク質分子と脂質2層との間の主な相互作用は一般的には両親媒性構造、例えば脂質結合ポリペプチドのα−へリックスの疎水性の面の上の残基と粒子の周界における外部表面上の脂質の脂肪アシル鎖との間の疎水性相互作用である。本発明の粒子は交換可能および/または非交換可能なアポリポタンパク質を包含する。1つの実施形態においては、脂質結合ポリペプチドはアポリポタンパク質A−I(ApoA−I)である。
一部の実施形態においては、粒子の安定性を向上させるように修飾された脂質結合ポリペプチド分子、例えばアポリポタンパク質を含有する粒子が提供される。1つの実施形態においては、修飾は分子内および/または分子間のジスルフィド結合を形成するためのシステイン残基の導入を包含する。
別の実施形態においては、結合した官能性部分1つ以上、例えばターゲティング部分1つ以上および/または送達粒子に取り込まれる生物活性剤の活性を増強するかそれと相乗的に作用し得る、所望の生物学的活性、例えば抗微生物活性を有する分子1つ以上を有するキメラ脂質結合ポリペプチド分子、例えばキメラアポリポタンパク質分子を含む粒子が提供される。
別の実施形態においては、生物活性剤送達粒子を薬学的に受容可能なキャリア中に含む薬学的組成物が提供される。個体に生物活性剤を投与するための方法も提供され、それは個体に対し、薬学的に受容可能なキャリア中に生物活性剤送達粒子を含有する薬学的組成物を投与する工程を包含する。一部の実施形態においては、生物活性剤の治療有効量を薬学的に受容可能なキャリア中で投与する。一部の実施形態においては、投与は非経口、例えば静脈内、筋肉内、経粘膜または脊髄内である。別の実施形態においては、粒子はエアロゾルとして投与する。一部の実施形態においては、生物活性剤は制御放出のために処方される。1つの実施形態において、個体における真菌感染症を治療するための方法が提供され、これは、多くの場合は、薬学的に受容可能なキャリア中、治療有効量で、本発明の生物活性剤送達粒子中に取り込まれた抗真菌剤、例えばAmBを投与する工程を包含する。別の実施形態においては、個体における腫瘍を治療するための方法が提供され、これは、多くの場合は、薬学的に受容可能なキャリア中、治療有効量で、本発明の生物活性剤送達粒子中に取り込まれた抗腫瘍剤、例えばカンプトテシンを投与する工程を包含する。1つの実施形態において、生物活性剤送達粒子は結合した血管作用性腸ペプチドターゲティング部分を有する脂質結合ポリペプチドを含み、そして腫瘍は乳房腫瘍である。
さらに別の実施形態においては、前述した生物活性剤送達粒子を処方するための方法が提供される。1つの実施形態においては、処方の方法は2層形成脂質および生物活性剤を含む混合物を接触させて脂質ベシクル生物活性剤混合物を形成する工程、および、脂質ベシクル生物活性剤混合物を脂質結合ポリペプチドに接触させる工程を包含する。別の実施形態においては、処方の方法は適切な溶媒中に溶解した生物活性剤を添加するあらかじめ形成された2層含有脂質ベシクルの分散液の形成を包含する。この操作法のための生物活性剤を可溶化するための適切な溶媒は、極性または親水性を有し、生物活性剤を可溶化して本発明の送達粒子に取り込ませることができる溶媒を包含する。適当な溶媒の例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルホルムアミドであるが、これらに限定されない。ベシクル/生物活性剤混合物には脂質結合ポリペプチドを添加し、その後、インキュベーション、超音波処理またはその両方を行う。1つの実施形態においては、上記した方法の何れかにより送達粒子内に取り込まれる生物活性剤はアンホテリシンBである。1つの実施形態においては、アンホテリシンBは、DMSO中に可溶化される。別の実施形態においては、生物活性剤はカンプトテシンである。1つの実施形態においては、カンプトテシンをDMSOに溶解する。
本発明は上記した方法の何れかに従って調製された生物活性剤送達粒子、および、上記方法の何れかに従って調製された粒子および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を包含する。
別の特徴において、本発明は上記の生物活性剤送達粒子または薬学的組成物の何れか、または、上記方法の何れかにより調製された送達粒子、および/または、粒子を処方するための試薬、および/または個体に生物活性剤を投与するための方法における使用に関する説明書を含むキットを提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明は個体に生物活性剤を送達するための組成物および方法を提供する。脂質結合ポリペプチドおよび脂質2層を含む粒子内に取り込まれた生物活性剤の形態の送達ビヒクルが提供される。粒子の内部は脂質分子の疎水性部分、例えば脂質の脂肪アシル鎖を含む脂質2層の疎水性領域を含んでおり、これは2層の脂質親水性表面により包囲された完全に封入された水性の内部を含むリポソームとは対照的である。本発明の粒子の内部の疎水性の性質は例えば2層の脂質分子の間の挿入、または、2層のリーフレット間の疎水性領域内部への封鎖により、疎水性分子の取り込みを可能にする。疎水性領域少なくとも1つを含む生物活性剤は粒子の疎水性の内部に取り込んでよい。本明細書においては、脂質2層の疎水性領域内部への生物活性剤の「取り込み」とは、2層の脂質分子の疎水性領域または疎水性部分、例えば2層を形成する脂質の脂肪アシル鎖の中への可溶化、または、それとの会合、または、脂肪アシル鎖への挿入を指す。
粒子は一般的にはディスク型であり、例えばBlancheら(1981)Biochim.Biophys.Acta.665(3):408−19に記載の知られたストークスの直径の標準と比較して、ネイティブの細孔制限勾配ゲル電気泳動により測定した場合には約7〜29nmの範囲の直径を有する。一部の実施形態においては、粒子は溶液中で安定であり、そして長期の保存のために凍結乾燥した後に水溶液中に希釈再調製してよい。脂質結合ポリペプチド成分はディスク様の2層の境界を明確化し、粒子に構造性と安定性を与える。
キメラ脂質結合ポリペプチド分子(例えばアポリポタンパク質分子)もまた提供され、本発明の送達粒子内に種々の機能的特性を取り込むために使用してよい。
粒子は個体への生物活性剤の送達のために個体に投与してよい。
(生物活性剤送達粒子)
本発明は脂質結合ポリペプチド1つ以上、2層形成脂質の1つ以上の種類を含む脂質2層、および、生物活性剤1つ以上を含む「粒子」(本明細書においては「送達粒子」または「生物活性剤送達粒子」とも称する)を提供する。一部の実施形態においては、送達粒子は非2層形成脂質の1つ以上の種類も含む。粒子を含む組成物もまた提供される。1つの実施形態においては、送達粒子および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物が提供される。
粒子の内部は疎水性領域(例えば脂質脂肪アシル鎖よりなる)を含む。本発明の粒子は典型的には親水性または水性のコアを含まない。粒子は一般的にはディスクの周界を包囲する2層の疎水性表面に会合した、脂質結合ポリペプチドの両親媒性のα−へリックスおよび/またはβ−シートにより限局された平板のディスク様の概ね円形の脂質2層を有するディスク型である。本発明のディスク型生物活性剤送達粒子の代表例を図6に模式的に示す。
典型的には、ディスク型の送達粒子の直径は約7〜約29nm、しばしば約10〜約25nm、しばしば約15〜約20nmである。「直径」とはディスクの概ね円形の面の1つの直径を指す。
脂質結合ポリペプチド
本明細書においては、「脂質結合ポリペプチド」とは、脂質表面との安定な相互作用をもたらし、そして、本発明の粒子の脂質2層を安定化させるために機能することができる、何れかの合成または天然に存在するペプチドまたはタンパク質を指す。粒子は脂質結合ポリペプチドの1つ以上の種類を含んでよく、即ち、単一の粒子内の脂質結合ポリペプチドは同一であってよいか、または、2種以上の異なるポリペプチド配列よりなるものであってよい。脂質結合ポリペプチドは粒子の周界を限局する。
一部の実施形態においては、本発明の送達粒子を製造するために有用な脂質結合ポリペプチドは、天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列を有するタンパク質、またはそのフラグメント、天然の変異体、アイソフォーム、類縁体またはキメラ型、天然に存在しない配列を有するタンパク質、または、既知のアポリポタンパク質に合致した脂質結合特性を有する何れかの長さのタンパク質またはペプチドを包含し、そして天然原料から精製するか、組み換え生産するか、または合成により製造してよい。天然に存在するタンパク質の類縁体を使用してよい。脂質結合ポリペプチドは非天然のアミノ酸(例えばD−アミノ酸)1つ以上、アミノ酸類縁体、または、ペプチド結合が代謝分解に対してより耐性の構造により置き換えられている、または、個々のアミノ酸が類似の構造により置き換えられているペプチドミメテック構造を包含してよい。
好ましい実施形態においては、脂質結合ポリペプチドはアポリポタンパク質である。脂質2層と会合してディスク型粒子を形成できる何れかのアポリポタンパク質またはそのフラグメントまたは類縁体を使用してよい。粒子は交換可能、非交換可能であるか、または交換可能および非交換可能なアポリポタンパク質分子の混合物であってよい。
アポリポタンパク質は一般的にはクラスAの両親媒性のα−ヘリックス構造モチーフ(Segrestら(1994)Adv.Protein Chem.45:303−369)および/またはβ−シートモチーフを有する。アポリポタンパク質は一般的にはα−ヘリックスの二次構造の高含量を有し、疎水性表面に結合する能力を有する。これらのタンパク質の特徴は特定の脂質2層ベシクルと相互作用し、そして、それらをディスク型複合体に変換するというそれらの能力である(例えばNarayanaswami and Ryan(2000)Biochimica et Biophysica Acta 1483:15−36参照)。脂質と接触することにより、タンパク質はコンホーメーションの変化を起こし、その構造を脂質との相互作用に適合させる。
一般的に粒子中のアポリポタンパク質と脂質2層の間の主な相互作用はアポリポタンパク質分子の両親媒性αヘリックスの疎水性表面上の残基と生物活性剤送達粒子の周囲における2層の端部の例えばリン脂質脂肪アシル鎖のような脂質の疎水性表面との間の疎水性相互作用を介したものである。アポリポタンパク質分子の両親媒性αヘリックスは、粒子の周囲の脂質2層の疎水性表面と接触した疎水性表面、および、粒子の外部に面し、粒子が水性媒体中に懸濁した場合には水性の環境と接触する親水性の表面の両方を包含する。一部の実施形態においては、アポリポタンパク質はβ−シートの疎水性残基がディスクの周囲における脂質疎水性表面と相互作用する両親媒性のβ−シート構造を含んでよい。
生物活性剤送達粒子は粒子あたりアポリポタンパク質の1つ以上の種類を約1〜約10分子含む場合が多い。粒子内でアポリポタンパク質により寄与される両親媒性α−ヘリックスの量は一般的にはディスク型脂質2層の端部(即ち粒子の周囲)に位置する脂質分子のその他の態様で露出した疎水性の表面を被覆するのに十分な量である。アポリポタンパク質がヒトアポリポタンパク質A−I(ApoA−I)であり脂質2層はパルミトイルオレオイルホスファチジルコリンを含む1つの実施形態においては、粒子はリン脂質約80分子対ApoA−I約1分子の比率で2ApoA−I分子を含む。
本発明の送達粒子を形成するために使用してよいアポリポタンパク質の例は、ApoA−I、アポリポタンパク質E(ApoE)およびアポリポホリンIII(ApoIII),アポリポタンパク質A−IV(ApoA−IV)、アポリポタンパク質A−V(ApoA−V)、アポリポタンパク質C−I(ApoC−I)、アポリポタンパク質C−II(ApoC−II)、アポリポタンパク質C−III(ApoC−III)、アポリポタンパク質D(ApoD)、アポリポタンパク質A−II(ApoA−II)、アポリポタンパク質B−100(ApoB−100),アポリポタンパク質J(ApoJ)、アポリポタンパク質H(ApoH)またはそのフラグメント、天然の変異体、アイソフォーム、類縁体またはキメラ型を包含するが、これらに限定されない。一部の実施形態においては、アポリポタンパク質はヒトApoA−Iである。別の実施形態においては、アポリポタンパク質はアポリポタンパク質E3のC末端またはN末端のドメインまたはそのアイソフォームである。一部の実施形態においては、アポリポタンパク質はターゲティング部分またはアポリポタンパク質に内因性ではない生物学的活性を有する部分のような合成または組み換えにより結合されている機能的部分を含む(図7参照)。
一部の実施形態においては、交換可能なアポリポタンパク質を使用する。「交換可能なアポリポタンパク質」とは、粒子の一体性を破壊することなく、脂質結合親和性を有する別のタンパク質またはペプチドにより、本発明の予備形成されたディスク様の粒子から排除されたものであってよい。交換可能なアポリポタンパク質は脂質と安定な結合相互作用をもたらすことができる合成または天然のペプチドまたはタンパク質を包含する。10種を超える交換可能なアポリポタンパク質が脊椎動物および無脊椎動物において発見されている(例えばNarayanaswami and Ryan、上出、参照)。
一部の実施形態においては、非交換可能なアポリポタンパク質を使用する。本明細書においては、「非交換可能なアポリポタンパク質」とは脂質表面と安定な相互作用をもたらし、そして本発明の粒子のリン脂質2層を安定化する機能を有し得るが、粒子の内因性の構造を破壊することなく粒子の表面から除去することができないタンパク質またはペプチドを指す。
生物活性剤
送達粒子は生物活性剤1つ以上を含む。本明細書においては、「生物活性剤」とは治療または診断を含む生物学的な活性を有する何れかの化合物または組成物を指す。生物活性剤は医療上の治療、診断または予防において有用である医薬品、薬剤、化合物または組成物であってよい。
本明細書に記載した送達粒子に取り込まれる生物活性剤は一般的には脂質2層の疎水性部分と会合するか、これに組み込むことができる少なくとも1つの疎水性(例えば親油性)の領域を含む。一部の実施形態においては、生物活性剤の少なくとも一部は送達粒子の内部の脂質分子の間に挿入されている。本発明の送達粒子内に取り込んでよい生物活性剤の例は、抗生物質または抗微生物剤(例えば抗細菌剤、抗真菌剤および抗ウィルス剤)、抗代謝剤、抗新生物剤、ステロイド、ペプチド、タンパク質、例えば細胞受容体タンパク質、酵素、ホルモン、および、神経伝達物質、放射標識、例えば放射性同位体および放射性同位体標識化合物、蛍光化合物、麻酔薬、生物活性脂質、抗癌剤、抗炎症剤、栄養物質、抗原、農薬、殺虫剤、除草剤または光力学的治療に用いられる光増感剤を包含するが、これらに限定されない。1つの実施形態においては、生物活性剤は抗真菌剤AmBである。別の実施形態においては、生物活性剤はカンプトテシン、全トランスレチン酸、アンナマイシン、ニスタチン、パクリタキセル、ドセタキセルパまたはエチオプルプリンである。少なくとも1つの疎水性領域を含む生物活性剤は当該分野で知られており、例えばイブプロフェン、ジアゼパム、グリセオフルビン、シクロスポリン、コルチゾン、プロロイキン、エトポシド、タキサン、α−トコフェロール、ビタミンE、ビタミンAおよびリポ多糖類を包含するが、これらに限定されない。例えばKagkadisら(1996)PDA J Pharm Sci Tech 50(5):317−323;Dardel(1976)Anaesth Scand 20:221−24;Sweetana and Akers(1996)PDA J Pharm Sci Tech 50(5):330−342;米国特許6,458,373を参照できる。
一部の実施形態においては、本発明の送達粒子に取り込まれる生物活性剤は非ポリペプチドである。一部の実施形態においては、個体への投与のためには、生物活性剤および生物活性剤を含む送達粒子は個体へ投与された場合に実質的に非免疫原性である。
脂質2層
本発明の粒子は粒子の内部から遠ざかる方向に面した極性のヘッド基を含むディスクの全般的に環状の面、および、2層形成脂質および存在する場合他の脂質成分の疎水性部分を含有する脂質2層の疎水性領域を含む粒子の内部(即ち環状の面の間の空間)を有する脂質2層を包含する。2層の端部の脂質分子の疎水性表面は(生物活性剤送達粒子の周囲の表面)は上記した通り粒子の脂質結合ポリペプチドに接している。粒子は1つ以上の種類の2層形成脂質、または、1つ以上の種類の2層形成脂質および1つ以上の種類の非2層形成脂質の混合物を含んでよい。本明細書において「脂質」とは、有機溶媒に可溶または部分的に可溶であるか、または、水相中に存在する場合に疎水性の環境内に分配できる生物学的または合成起源の物質を指す。
脂質結合ポリペプチドと会合してディスク型の構造を形成することができる何れかの2層形成脂質を本発明において使用してよい。本明細書においては、「2層形成脂質」とは疎水性の内部および親水性の外部を有する脂質2層を形成することができる脂質を指す。2層形成脂質は例えばリン脂質、スフィンゴリピド、糖脂質、アルキルホスホリピド、エーテル脂質およびプラズマロゲンを包含するが、これらに限定されない。2層形成脂質の1つの種類を使用するか、または2つ以上の種類の混合物を使用してよい。一部の実施形態においては、脂質2層はリン脂質を包含する。適当なリン脂質は、例えば、DMPC、DMPG、POPC、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、カルジオリピン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、卵黄ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカチオン性リン脂質を包含するが、これらに限定されない。他の適当な2層形成脂質の例はカチオン性脂質および糖脂質を包含する。1つの実施形態において、粒子は多くの場合、約7:3のモル比でDMPCおよびDMPGのリン脂質2層を含む。別の実施形態において、粒子はPOPCのリン脂質2層を含む。一部の実施形態においては、2層形成脂質の混合物を少なくとも約1:100、1:50、1:20、1:10、1.5、3:7、1:2または1:1の何れかのモル比で使用してよい。
粒子はまた2層形成脂質ではない脂質中に含有させてもよい。このような脂質は、例えばコレステロール、カルジオリピン、ホスファチジルエタノールアミン(この脂質は特定の状況下に2層を形成し得る)、オキシステロール、植物ステロール、エルゴステロール、シトステロール、カチオン系脂質、セレブロシド、スフィンゴシン、セラミド、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、トリアシルグリセロール、ガングリオシド、エーテル脂質、アルキルリン脂質、プラズマロゲン、プロスタグランジンおよびリソリン脂質を包含するが、これらに限定されない。一部の実施形態においては、送達粒子を調製するために使用する脂質は1つ以上の結合した官能性部分、例えばターゲティング部分、生物活性剤または精製または検出のためのタグを含んでよい。
(キメラ脂質結合ポリペプチド)
本発明は上記した送達粒子を調製するために使用してよいキメラ脂質結合ポリペプチドを提供する。キメラ脂質結合ポリペプチドは1つ以上の結合した「官能性部分」、例えば1つ以上ターゲティング部分、所望の生物学的活性を有する部分、精製のためのアフィニティータグ、および/または、特性化または位置決めの試験のためのレポーター分子を含んでよい。生物学的活性を有する結合した部分は送達粒子に取り込まれた生物活性剤の生物学的活性の増強および/または相乗作用が可能な活性を有してよい。例えば生物学的活性を有する部分は抗微生物(例えば抗真菌、抗細菌、抗原虫、細菌殺傷、真菌殺傷、または抗ウィルス)活性を有してよい。1つの実施形態においては、キメラ脂質結合ポリペプチドの結合した官能性部分は、脂質結合ポリペプチドが生物活性剤送達粒子内に取り込まれているときには脂質2層の疎水性表面と接触していない。別の実施形態においては、結合した官能性部分は、脂質結合ポリペプチドが生物活性剤送達粒子内に取り込まれているときには脂質2層の疎水性表面と接触している。一部の実施形態においては、キメラ脂質結合ポリペプチドの官能性部分は天然のタンパク質に内因性のものであってよい。一部の実施形態においては、キメラ脂質結合ポリペプチドは細胞表面の受容体または他の細胞表面部分により認識されるか、または、これと相互作用ができるリガンドまたは配列を含む。
一部の実施形態においては、キメラ脂質結合ポリペプチドはキメラアポリポタンパク質である。1つの実施形態において、キメラアポリポタンパク質はネイティブのアポリポタンパク質に内因性ではないターゲティング部分、例えばS.cerevisiaeのα−交配因子ペプチド、葉酸、トランスフェリンまたはラクトフェリンを含む。別の実施形態においては、キメラアポリポタンパク質は送達粒子に取り込まれた生物活性剤の活性の増強および/または相乗作用をもたらす所望の生物学的活性を有する部分、例えばヒスタチン−5、マガイニンペプチド、メリチン、デフェンシン、コリシン、N−末端ラクトフェリンペプチド、エキノカンジン、ヘプチジン、バクテニシンまたはシクロスポリンを含む。1つの実施形態においてキメラ脂質結合ポリペプチドはアポリポタンパク質に内因性の官能性部分を含んでよい。アポリポタンパク質内因性官能性部分の一例は、ヒトApoEのアミノ酸130〜150により概ね形成された内因性のターゲティング部分であり、これは低密度リポタンパク質受容体ファミリーのメンバーにより認識される受容体結合領域を含む。アポリポタンパク質内因性官能性部分の別の例は低密度リポタンパク質受容体と相互作用するApoB−100の領域およびスカベンジャー受容体B1型と相互作用するApoA−Iの領域を包含する。別の実施形態においては、官能性部分を合成により、または、組み換えにより付加してキメラ脂質結合ポリペプチドを製造してよい。
本明細書においては、「キメラ」とは個別に存在することが可能であり、そして相互に接合されてその構成成分分子の全ての所望の機能を有する単一の分子を形成する2個以上の分子を指す。キメラ分子の構成成分分子は化学的コンジュゲート形成により合成により接合するか、または、構成成分分子が全てポリペプチドまたはその類縁体である場合は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、単一の連続したポリペプチドが発現されるように組み換えにより相互に融合させてよい。このようなキメラ分子は融合タンパク質と称する。「融合タンパク質」とは構成成分分子が全てポリペプチドであり、そしてキメラ分子が連続した単一の鎖を形成するように相互に接合(融合)しているキメラ分子である。種々の構成分子を直接相互に結合することができ、または、1つ以上のリンカーを介してカップリングすることもできる。
本明細書においては、キメラ分子に関して「リンカー」または「スペーサー」とは、キメラ分子の構成成分分子に連結または接合する何れかの分子を指す。多くのリンカー分子が例えばPierce Chemical Company,Rockford Illinois等から市販されている。適当なリンカーは当業者の知る通りであり、例えば直鎖または分枝鎖の炭素リンカー、複素環炭素リンカーまたはペプチドリンカーが包含されるが、これらに限定されない。キメラ分子が融合タンパク質である場合は、リンカーは融合タンパク質を含むタンパク質に接合するペプチドであってよい。スペーサーは一般的にはタンパク質に接合するか、またはある程度の最小距離または他の空間的関連性をそれらの間に温存する以外の生物学的活性は特に有さないが、ペプチドスペーサーの構成成分であるアミノ酸は分子の何らかの性質、例えば折りたたみ構造、実質電荷または疎水性に影響するように選択してよい。
一部の実施形態においては、キメラ脂質結合ポリペプチド、例えばキメラアポリポタンパク質は脂質結合ポリペプチド分子と、結合すべき官能性部分とを化学的にコンジュゲートすることにより調製する。分子を化学的にコンジュゲートする手段は当該分野でよく知られている。このような手段は結合すべき部分の構造に従って変化するが、当業者が容易に確認できるものである。
ポリペプチドは典型的には種々の官能性の基、例えばカルボン酸(−COOH)、遊離アミノ(−NH)、またはスルヒドリル(−SH)基を含み、これらは官能性の部分上またはその部分を結合するためのリンカー上の適当な官能基との反応に使用できる。官能性部分はアポリポタンパク質分子のN末端、C末端または内部の残基(例えばNおよびC末端の間の中間的な位置における残基)上の官能性の基において結合してよい。あるいは、アポリポタンパク質および/またはタグ付けすべき部分を別の反応性官能基の曝露または結合が起こるように誘導することができる。
一部の実施形態においては、ポリペプチド官能性部分を含む脂質結合ポリペプチド融合タンパク質は組み換え発現系を用いて合成する。典型的には、これには脂質結合ポリペプチドおよび官能性部分をコードする核酸(例えばDNA)配列を、2つのポリペプチドが発現されればインフレームとなるように作成すること、プロモーターの制御下にDNAをおくこと、宿主細胞内でタンパク質を発現すること、および、発現されたタンパク質を単離することが包含される。
本明細書に記載する脂質結合ポリペプチド配列および官能性部分をコードする配列をクローニングするか、または、インビトロの方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写系増幅系(TAS)または自己持続性配列複製系(SSR)により増幅してよい。広範な種類のクローニングおよびインビトロの増幅方法が当該分野で知られている。インビトロの増幅法を介して当業者に指示できる手法の例は、例えば、Mullisら(1987)の米国特許4,683,202;PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Innisら編)Academic Press Inc.San Diego,CA(1990)(Innis);Arnheim&Levinson(October 1,1990)C&EN 36−47;The Journal Of NIH Research(1991)3:81−94;(Kwohら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:1173;Guatelliら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,1874;Lomellら(1989)J.Clin.Chem.,35:1826;Landegrenら(1988)Science,241:1077−1080;Van Brunt(1990)Biotechnology,8:291−294;Wu and Wallace,(1989)Gene,4:560;およびBarringerら(1990)Gene,89:117に記載されている。
さらに、所望の融合タンパク質配列をコードするDNAは当該分野でよく知られた方法、例えばNarangら(1979)Meth.Enzymol.68:90−99のホスホトリエステル法、Brownら(1979)Meth.Enzymol.68:109−151のホスホジエステル法、Beaucageら)(1981)Tetra.Lett.,22:1859−1862のジエチルホスホアミダイト法、または、米国特許4,458,066の固体支持体法を用いて合成的に調製してよい。
キメラ脂質結合ポリペプチド融合ポリペプチドをコードする核酸は宿主細胞内における発現に適する形態の組み換え発現ベクター内に取り込むことができる。本明細書においては、「発現ベクター」とは適切な宿主細胞に導入されれば転写され翻訳されてポリペプチドとなり得る核酸である。ベクターはまたプロモーター、エンハンサーまたは他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)のような調節配列を含んでよい。このような調節配列は当該分野でよく知られている(例えばGoeddel(1990)Gene Expression Technology:Meth.Enzymol.185,Academic Press,San Diego,CA;Berger and Kimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology 152 Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Sambrookら(1989)Molecular Cloning−A Laboratory Manual(第2版)Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press,NY,etc.参照)。
一部の実施形態においては、キメラ脂質結合ポリペプチドの製造のための組み換え発現ベクターはプラスミドまたはコスミドである。他の実施形態において、発現ベクターはウィルス核酸内に導入された核酸によりコードされるタンパク質の発現を可能とするウィルスまたはその部分である。例えば複製欠損レトロウィルス、アデノウィルスおよびアデノ関連ウィルスを使用できる。発現ベクターは全てのDNAおよびRNAファージ(例えばコスミド)を含むバクテリオファージから誘導してよく、あるいは、ウィルスベクターは全ての真核生物のウィルス、例えばバキュロウィルスおよびレトロウィルス、アデノウィルスおよびアデノ関連ウィルス、ヘルペスウィルス、ワクシニアウィルスおよび全ての1本鎖、2本鎖および部分2本鎖のDNAウィルス、全ての正鎖および負鎖のRNAウィルス、および複製欠損レトロウィルスから誘導する。発現ベクターの別の例は酵母人工染色体(YAC)であり、これは動原体と2つのテロメアの両方を含んでおり、小型線状染色体としてYACが複製できるようになっている。別の例は細菌人工染色体(BAC)である。
本発明のキメラ脂質結合ポリペプチド融合タンパク質は宿主細胞内で発現できる。本明細書においては、「宿主細胞」という用語は上記したキメラアポリポタンパク質融合タンパク質の製造のための組み換え発現ベクターを発現のためにトランスフェクトしてよい何れかの細胞または細胞系統を指す。宿主細胞は単一の宿主細胞の子孫を包含し、そして子孫は天然、偶発的または意図的な突然変異により必ずしも元の親の細胞と完全に同一(形態学的または全ゲノムDNA相補性において)である必要はない。宿主細胞は上記した発現ベクターでインビボでトランスフェクトまたは形質転換された細胞を包含する。適当な宿主細胞は、例えば、細菌細胞(例えばE.coli)、真菌細胞(例えばS.cerevisiae)、無脊椎動物細胞(例えばSF9細胞のような昆虫細胞)、および哺乳類細胞を含む脊椎動物細胞を包含するが、これらに限定されない
キメラ脂質結合ポリペプチド融合タンパク質をコードする発現ベクターは標準的な手法で宿主細胞にトランスフェクトすることができる。「トランスフェクション」または「形質転換」とは、宿主細胞への外因性ポリヌクレオチドの挿入を指す。外因性ポリヌクレオチドは非組み込みベクター、例えばプラスミドとして維持されるか、または、宿主細胞ゲノム内に組み込んでよい。トランスフェクション方法の例は、リン酸カルシウム共沈降法、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションを包含するが、これらに限定されない。宿主細胞をトランスフェクトするための適当な方法はSambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory pressおよび他の実験テキストに記載されている。核酸もまたインビボの細胞への核酸の導入に適する送達機序を介して、例えばレトロウィルスベクター(例えばFerryら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,88:8377−8381;およびKayら(1992)Human Gene Therapy 3:641−647参照)、アデノウィルスベクター(例えばRosenfeld(1992)Cell 68:143−155;およびHerz and Gerard(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,90:2812−2816参照)、受容体媒介DNA取り込み(例えばWu and Wu(1988)J.Biol.Chem.263:14621;Wilsonら(1992)J.Biol.Chem.267:963−967;および米国特許5,166,320参照)、DNAの直接注入(例えばAcsadiら(1991)Nature 332:815−818;およびWolffら(1990)Science 247:1465−1468)または粒子衝突(バイオリスティックス)(例えばChengら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,90:4455−4459;およびZeleninら(1993)FEBS Letts.315:29−32参照)を介して細胞に転移できる。
発現された後、キメラ脂質2層ポリペプチドは当該分野で標準的な操作法、例えばアフィニティー精製、硫酸アンモニウム沈殿、イオン交換クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動により精製してよい。
一部の実施形態においては、キメラ脂質結合ポリペプチドは無細胞発現系を用いて、または、固相ペプチド合成により製造してよい。
(修飾脂質結合ポリペプチド)
一部の実施形態においては、脂質結合ポリペプチドが上記した生物活性剤送達粒子に取り込まれた場合に修飾により粒子の安定性が増大するかターゲティング能力が付与されるように修飾されたポリペプチドが提供される。一部の実施形態においては、修飾は粒子の脂質結合ポリペプチドが粒子のディスク型構造またはコンホーメーションを安定化できるようにする。1つの実施形態においては、修飾は例えば部位指向的突然変異誘発による分子内または分子間のジスルフィド結合の形成を可能にするアポリポタンパク質分子へのシステイン残基の導入を包含する。別の実施形態においては、化学的交差結合剤を用いてアポリポタンパク質分子の間に分子間連結を形成することにより粒子の安定性を増大させる。分子間の交差結合は粒子からのアポリポタンパク質分子の解離を防止または低減、および/または粒子を投与する個体内におけるアポリポタンパク質分子による置換を防止する。
別の実施形態において、脂質結合ポリペプチドはアミノ酸残基1つ以上の化学誘導によるか、または、部位指向的突然変異誘発により、細胞表面受容体に対するターゲティング能力またはそれによる認識がもたらされるように修飾される。
(個体への生物活性剤の送達のための送達系)
本発明は上記した生物活性剤送達粒子およびキャリア、場合により薬学的に受容可能なキャリアを含む個体への生物活性剤の送達のための送達系を提供する。一部の実施形態においては、送達系は生物活性剤有効量を含む。
本明細書においては、「個体」とは生物活性剤を送達することが望まれる何れかの原核生物または真核生物を指す。一部の実施形態においては、個体は細菌のような原核生物である。別の実施形態においては、個体は真核生物、例えば真菌、植物、無脊椎動物、例えば昆虫、または脊椎動物である。一部の実施形態においては、個体は脊椎動物、例えばヒト、非ヒト霊長類、実験動物、例えばマウスまたはラット、愛玩動物、例えばネコまたはイヌ、または農業用動物、例えばウマ、ヒツジ、ウシまたはブタ、トリ(即ち鳥類の個体)または爬虫類(即ち爬虫類の個体)である。
一部の実施形態においては、送達粒子は個体への投与に適するキャリア中に処方される。本明細書においては、「キャリア」とは生物活性剤の投与を容易にする比較的不活性である物質を指す。例えばキャリアは組成物に形状またはコンシステンシーを付与し得るか、または、希釈剤として作用し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは生体適合性を有し(即ち宿主に対して毒性でない)、そして薬理学的に有効な物質の投与の特定の経路に適しているキャリアを指す。適当な薬学的に受容可能なキャリアは、例えば安定化剤、水和および乳化剤、浸透圧調節用の塩、カプセル化剤、緩衝液および皮膚浸透増強剤を包含するが、これらに限定されない。薬学的に受容可能なキャリアの例はRemington’s Pharmaceutical Sciences(Alfonso R.Gennaro編,第18版,1990)に記載されている。
本明細書においては、「有効量」とは所望の結果を得るために十分な生物活性剤の量を指す。「治療有効量」または「治療用量」とは、有益な臨床結果、例えば疾患の症状の低減または緩解、真菌または細菌の感染の低減または緩解等を得るために十分な生物活性剤の量を指す。
一部の実施形態においては、送達系は生物活性剤送達粒子および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物である。一部の実施形態においては、薬学的組成物は非ポリペプチド生物活性剤を含有する生物活性剤送達粒子および薬学的に受容可能なキャリアを含む。一部の実施形態においては、生物活性剤送達粒子および生物活性剤は個体に投与された場合に非免疫原性である。免疫原性は当該分野で知られた方法により測定してよい。例えば、免疫原性はELISA法により、例えば免疫吸着プレートに結合した等価な生物活性剤送達粒子に結合した抗体について、生物活性剤送達粒子を投与してある個体から得た血清をプローブすることにより試験してよい。
(使用方法)
本発明は個体に生物活性剤を投与するための方法を提供する。本発明の方法は脂質結合ポリペプチド、脂質2層および生物活性剤を含有する上記した送達粒子を投与することを包含し、ここで粒子の内部は脂質2層の疎水性表面を含む。場合により、薬学的に受容可能なキャリア中において粒子の治療有効量を投与する。一般的には、粒子はネイティブの細孔制限勾配ゲル電気泳動により測定した場合には約7〜29nmの範囲の直径を有するディスク形状である。典型的には、生物活性剤は少なくとも1つの疎水性領域を含み、これは脂質2層の疎水性領域内に組み込まれていてよい。
投与経路は投与すべき生物活性剤の性質、個体または治療すべき状態により変動し得る。個体が哺乳類である場合は、一般的には投与は非経口である。投与経路は例えば静脈内、筋肉内、皮下、経粘膜、経鼻、脊髄内、局所および経皮を包含するが、これらに限定されない。1つの実施形態においては、粒子はエアロゾルとして投与する。送達粒子は場合により薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤中の、個体への投与のために薬学的に許容される形態において処方してよい。本発明は非経口投与のための溶液中の送達粒子の形態の薬学的組成物を提供する。このような組成物の調製のためには、当該分野でよく知られた方法を使用してよく、そして、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤または当該分野で通常使用されるその他の添加物を使用してよい。
本発明の送達粒子は適切な医薬品用のキャリアまたは希釈剤と組み合わせることにより薬学的組成物に調製できる。例えば送達粒子を注射用溶液の製造に通常用いられている溶媒、例えば生理食塩水、水、または水性デキストロースに溶解し得る。他の適当な薬学的キャリアおよびその処方は上記したRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。このような処方は乾燥粉末または凍結乾燥粉末の形態における送達粒子および場合により賦形剤を含有する滅菌バイアル中に製造され得る。使用前に、生理学的に許容される希釈剤を添加し、そして溶液をシリンジで採取して個体への投与に付す。
送達粒子は制御放出のために処方できる。本明細書においては、「制御放出」とは個体内の生物活性剤の血中濃度が数時間、数日、数週間またはそれ以上の期間に渡る長期間、治療範囲内に維持されるような速度における処方からの生物活性剤の放出を指す。送達粒子は生態分解性または非生態分解性の制御マトリックス中に処方してよく、それらの多くは当該分野で知られている。制御放出マトリックスは例えばヒドロゲルの形態の合成重合体または共重合体を包含し得る。このような重合体の例はポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、多糖類、ポリ(ホスホエステル)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(イミドカーボネート)およびポリ(ホスファゼン)およびポリラクチドコグリコリド(PLGA)、即ちポリ(乳酸)とポリ(グリコール酸)の共重合体を包含する。コラーゲン、アルブミンおよびフィブリノーゲン含有物質も使用してよい。
送達粒子は多くの状態、例えば細菌感染症、真菌感染症、疾患状態、代謝障害を治療するため、または、例えば細菌または真菌の感染(例えば術前または術後)を防止するための予防的投与として、本明細書に記載の方法に従って投与してよい。送達粒子は例えば腫瘍に抗腫瘍剤(例えば化学療法剤、放射性核種)を送達するために使用してよい。1つの実施形態において、脂質結合ポリペプチドは特定の腫瘍に対して粒子をターゲティングする部分を含む。送達粒子はまた栄養保健物質、即ち健康上の利益をもたらす食品または食餌補給物の投与のために使用してよい。一部の実施形態においては、送達粒子は他の従来の治療薬と共に、例えば複数の薬剤「カクテル」の部分として、または、例えば真菌感染の治療のための経口投与薬剤1つ以上と組み合わせて、同時投与される。送達粒子はまた殺虫剤または除草剤として投与してよい。
1つの特徴において、本発明は個体における真菌感染症を治療するための方法を提供する。方法は個体に薬学的に受容可能なキャリア中の抗真菌剤の治療有効量を投与することを包含し、ここで抗真菌剤は脂質結合ポリペプチドおよび脂質2層を含む粒子内に取り込まれており、ここで脂質2層の内部は疎水性である。1つの実施形態において、抗真菌剤は脂質2層の疎水性の内部に取り込まれているAmBである。一部の実施形態においては、脂質結合ポリペプチドはターゲティング部分および/または生物活性剤を有する部分を含むキメラタンパク質である。1つの実施形態においては、脂質結合ポリペプチドはターゲティング部分の酵母α−交配因子ペプチドを包含する。別の実施形態において、脂質結合ポリペプチドは抗微生物ペプチドヒスタチン5を包含する。
別の特徴において、本発明は個体における腫瘍を治療するための方法を提供する。方法は薬学的に受容可能なキャリア中の上記した生物活性剤送達粒子中の化学療法剤の治療有効量を投与することを包含する。1つの実施形態においては、化学療法剤はカンプトテシンである。送達粒子の脂質結合ポリペプチド成分は腫瘍細胞に粒子をターゲティングするためのターゲティング部分を含んでよい。1つの実施形態においては、血管作用性腸ペプチド(VIP)を脂質結合ポリペプチドに結合させる。乳癌細胞はVIP受容体を過剰発現する場合が多いため、1つの実施形態においては、カンプトテシンおよび脂質結合ポリペプチド−VIPキメラを含む生物活性剤送達粒子は乳癌の治療の方法において使用される。
(ターゲティング)
本発明の送達粒子は例えば特定の細胞または組織の型に対して、または、それ自体感染物質に対して、粒子をターゲティングするためのターゲティング機能を有し得る。一部の実施形態においては、粒子は脂質結合ポリペプチドまたは脂質成分に結合したターゲティング部分を含む。一部の実施形態においては、粒子に取り込まれる生物活性剤はターゲティング能力を有する。
一部の実施形態においては、受容体認識特性を脂質結合ポリペプチド、例えばアポリポタンパク質分子に組み込むことにより、粒子を特定の細胞表面受容体にターゲティングすることができる。例えば、生物活性剤送達粒子は、例えば粒子の脂質結合ポリペプチド成分を修飾してこれがターゲティングされるべき細胞型の表面上の受容体と相互作用できるようにすることにより、感染性物質の特定の型を保有することがわかっている特定の細胞型にターゲティングさせてよい。
1つの特徴において、受容体媒介ターゲティング手法を用いて、リーシュマニア属由来の原虫寄生虫に関する感染の原発部位であるマクロファージに抗リーシュマニア剤を送達してよい。このような種の例は、熱帯リーシュマニア、ドノバンリーシュマニアおよびブラジルリーシュマニアを包含する。抗リーシュマニア剤を含有する生物活性剤送達粒子は粒子の脂質結合ポリペプチド成分を改変してマクロファージ細胞内クラスAスカベンジャー受容体(SR−A)による認識をもたらすことにより、マクロファージにターゲティングしてよい。例えばSR−Aと相互作用するように化学的または遺伝子的に修飾されているアポリポタンパク質を、リーシュマニア種に対して有効な生物活性剤1つ以上、例えばAmB、5価アンチモニーおよび/またはヘキサデシルホスホコリンを含有する送達粒子内に取り込んでよい。マクロファージに特異的に抗リーシュマニア剤を含有する送達粒子をターゲティングすることは、リーシュマニア種の生育および増殖を抑制する手段として使用してよい。
1つの実施形態において、AmBを含有するSR−Aターゲティングされた生物活性剤送達粒子をリーシュマニア感染の治療の必要な個体に投与する。別の実施形態においては、別の抗リーシュマニア剤、例えばヘキサデシルホスホコリンをAmB含有粒子の投与の前、同時または後に投与する。
一部の実施形態においては、ターゲティングは脂質結合ポリペプチド、例えばアポリポタンパク質を生物活性剤送達粒子に取り込まれるように修飾し、これにより粒子にSR−A結合能力を付与することにより達成する。一部の実施形態においては、例えばアルカリpHにおいてマロンジアルデヒド、無水マレイン酸または無水酢酸を用いてリジン残基1つ以上を化学修飾することにより脂質結合ポリペプチドの電荷密度を改変することによりターゲティングを達成する(例えばGoldsteinら(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.98:241−260)。1つの実施形態においてApoB−100またはそのトランケーションされた形態、例えばApoB−100のN末端17%(apoB−17の残基1〜782)をマロンジアルデヒドとの反応により修飾する。1つの実施形態においては、アポリポタンパク質分子、例えば本明細書に記載したアポリポタンパク質の何れかはまた、例えばアセチル化またはマレイル化により化学修飾して、抗リーシュマニア剤を含有する生物活性剤送達粒子に取り込んでもよい。
1つの実施形態においては、中性または負荷電のアミノ酸で正荷電アミノ酸1つ以上を置き換えるための部位指向性突然変異誘発により脂質結合ポリペプチドを修飾することにより送達粒子にSR−A結合能力を与える。
別の実施形態においては、SR−Aにより認識されるリガンドを有するNまたはC末端または負電荷の残基の高濃度を有するアミノ酸配列を含むキメラ脂質結合ポリペプチドを調製することによりSR−A認識を付与する。負荷電ポリペプチドの伸長部は生物活性剤送達粒子の脂質表面には結合させず、これにより、受容体のリガンド結合部位により接近しやすくする。
(生物活性剤送達粒子の調製方法)
本発明は生物活性剤送達粒子を処方するための方法を提供する。1つの実施形態においては、2層形成脂質および生物活性剤分子を含む混合物に脂質結合ポリペプチド分子を添加することを包含する方法が提供される。
一部の実施形態においては、脂質−生物活性剤混合物はまた、洗剤、例えばコール酸ナトリウム、コール酸またはオクチルグリコシドを含有し、そして方法はさらに脂質結合ポリペプチドを添加した後に洗剤を除去することを包含する。典型的には、洗剤は透析またはゲル濾過により除去する。1つの実施形態においては、方法は、2層形成脂質および生物活性剤分子を溶媒中で組み合わせて生物活性剤混合物を形成すること、混合物を乾燥して溶媒を除去すること(例えばN気流下および/または凍結乾燥による)、乾燥した混合物を洗剤を含有する溶液と接触させて脂質生物活性剤洗剤混合物を形成すること、この混合物に脂質結合ポリペプチド分子を添加すること、および、次いで洗剤を除去する工程を包含する。
一部の実施形態においては、粒子はミクロ流動化プロセッサーを用いて調製する。この操作法は高圧を使用し、成分をともに反応チャンバーに強制投入する。
一部の実施形態においては、粒子はアポリポタンパク質のような脂質結合ポリペプチドの存在下に生物活性剤を含有する脂質ベシクルの懸濁液をインキュベートすることにより調製する。1つの実施形態において懸濁液を超音波処理する。
別の実施形態においては、送達粒子は予備形成されたベシクル分散液から調製する。脂質、例えばリン脂質を緩衝液とともに水和し、撹拌または超音波処理により分散させる。脂質2層ベシクルの分散液に、可溶化された生物活性剤を適当な溶媒中で添加することにより脂質生物活性剤複合体を形成する。一部の実施形態においては、溶媒は脂質2層ベシクル分散液への生物活性剤の添加の後に除去が容易となるように、揮発性または透析可能なものとする。さらに攪拌した後に、脂質結合ポリペプチドを添加し、試料をインキュベートし、撹拌により混合および/または超音波処理する。典型的には、ベシクルおよびアポリポタンパク質を使用する特定の2層形成脂質または2層形成脂質の混合物のゲルから液晶相への遷移温度において、またはその近傍でインキュベートする。相遷移温度は熱量測定により求めてよい。
好ましくは、例えば水性媒体中に分散されると脂質ベシクルが生物活性剤の沈殿や相分離を伴うことなくキャリア溶媒から水性の環境への生物活性剤の遷移に適する環境を与えるような適当な2層形成脂質組成物を使用する。予備形成された脂質2層ベシクルはまた好ましくは、脂質結合ポリペプチド誘導の転換を起こして本発明の送達粒子を形成することが可能なものである。さらにまた、脂質生物活性剤複合体は好ましくは、適切な条件下で脂質結合ポリペプチドとともにインキュベートすることにより生物活性剤送達粒子内への変換を可能にする脂質ベシクルの特性を温存している。脂質基質生物活性剤複合体の組織化および脂質結合ポリペプチドの特性の独特の組み合わせによりある系が創生され、これにより、pH、イオン強度、温度および脂質生物活性剤脂質結合ポリペプチド濃度の適切な条件下で、安定な脂質結合ポリペプチド限局脂質2層が2層の脂質環境内へ取り込まれた生物活性剤とともに創生されるようなこれらの物質の三次構造の再組織化が起こる。ディスク型の粒子への種々のリン脂質ベシクルの変換を誘導する脂質結合ポリペプチドの能力に対するpH、イオン強度および脂質結合ポリペプチド濃度の影響に関する説明は例えば、Weersら(2001)Eur.J.Biochem.268:3728−35を参照できる。
上記した方法の何れかにより調製された粒子はさらに例えば透析、密度勾配遠心分離および/またはゲル透過クロマトグラフィーにより精製してよい。
生物活性剤送達粒子の形成のための製造方法において、操作法において使用される生物活性剤の好ましくは少なくとも約70、より好ましくは少なくとも約80、更に好ましくは少なくとも約90、更により好ましくは少なくとも約95パーセントが粒子内に取り込まれる。
本発明は上記した何れかの方法により製造された生物活性剤送達粒子を提供する。1つの実施形態においては、本発明は上記した方法の何れかにより調製された送達粒子および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
(保存および安定性)
本発明の粒子は種々の条件下において長期間安定である(例えば図5参照)。本発明の粒子または粒子を含む組成物は室温、冷蔵(例えば約4℃)または凍結(例えば約−20℃〜約−80℃)で保存してよい。それらは溶液中または乾燥(例えば凍結乾燥)して保存してよい。生物活性剤送達粒子は不活性雰囲気下凍結乾燥状態で、凍結して、または溶液において4℃で保存してよい。粒子は、個体への生物活性剤の投与の方法において使用するために、液体媒体、例えば緩衝液(例えばリン酸塩または他の適当な緩衝液)中で、または、キャリア、例えば薬学的に受容可能なキャリア中で保存してよい。あるいは、粒子は乾燥、凍結乾燥形態で保存し、その後、使用前に液体媒体中に希釈再調製してよい。
(キット)
本明細書に記載した試薬および粒子はキット形態中にパッケージできる。1つの実施形態においては、本発明は適当なパッケージ中に送達粒子および/または送達粒子を調製するために有用である試薬を含むキットを提供する。本発明のキットは以下の要素、即ち:脂質結合ポリペプチド(例えばアポリポタンパク質)、リン脂質、生物活性剤、ベクター、試薬、酵素、宿主細胞および/または組み換え脂質2層ポリペプチド(例えば組み換えアポリポタンパク質)および/または脂質結合ポリペプチドキメラ(例えばアポリポタンパク質キメラ)のクローニングおよび/または発現のための生育培地、および、個体に投与するための送達粒子を処方するための試薬および/または薬学的に受容可能なキャリアを個別または組み合わせて包含する。
各試薬または処方は固体形態、液体緩衝液、または、保管に適する、または場合により交換、または、反応、培養または注射用の媒体への添加に適する薬学的に受容可能なキャリア中に提供される。適当なパッケージが提供される。本明細書においては、「パッケージ」とは系において慣用的に使用され、そして生物活性剤の送達のための方法において使用するための試薬または成分(例えば送達粒子)1つ以上、または、送達粒子の調製または処方のための試薬1つ以上(例えばアポリポタンパク質分子、リン脂質、生物活性剤)を固定された限界内において保持することができる固体マトリックスまたは物質を指す。このような物質は例えば、ガラスおよびプラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート)のボトル、バイアル、紙、プラスチックおよびプラスチックホイルラミネートの封筒等を包含するが、これらに限定されない
キットは場合により本発明の方法および処方操作法において有用な別の成分、例えば緩衝液、反応表面または送達粒子を精製する手段を提供してよい。
更に、キットは場合により、例えば送達粒子の製造、処方および/または使用に関する、本発明の方法の実施に関する指示(すなわち、プロトコル)を示したラベルおよび/または取扱説明書または解説資料を含む。指示の資料は典型的には形式を特に限定しないが書面による、または印刷された資料を包含する。このような取扱説明書を保存し、それをエンドユーザーまで連絡することができる何れかの媒体が本発明に包含される。そのような媒体は、例えば、電子的保存媒体(例えば磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学的媒体(例えばCDROM)等を包含するが、これらに限定されない。このような媒体はそのような取り扱い説明の資料を与えるインターネットサイトアドレスを含んでよい。
以下の実施例は本発明を説明するものであり、限定する意図はない。
実施例1 ApoA−I−リン脂質−アンホテリシンB粒子の調製および特性化
(組み換えApoA−Iの調製)
組み換えApo−A−IはRyanら(2003)Protein Expression and Purification 27:98−103記載の通り調製し、そして、以下に記載する通りApo−A−I−リン脂質AmB粒子を調製するために使用した。
(ApoA−I−リン脂質−AmB粒子の調製)
ApoA−I−リン脂質−AmB粒子は以下の通り調製した。
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)の7:3モル比をクロロホルム:メタノール(3:1、v/v)に溶解した。DMPC/DMPG混合物10mgに、AmB(2mg/ml;酸性化クロロホルム:メタノール(3:1、v/v)中に溶解)0.25mlを添加した。混合物をNガス気流下に乾燥し、容器の壁面上に薄膜を形成した。次に乾燥した試料を16時間凍結乾燥に付し、痕跡量の溶媒を除去した。
乾燥した脂質混合物を0.5mlのTris−食塩水緩衝液(10mMTris塩基150mMNaCl、pH8)に再懸濁し、混合物を30秒間撹拌混合した。
再懸濁した脂質混合物に、22mMコール酸ナトリウム0.5mlを添加し、3分間撹拌混合した。この混合物を1.25時間、または混合物が透明となるまで、10分おきに撹拌混合しながら37℃でインキュベートした。透明な溶液に、実施例1の通り調製した2mlの単離組み換えApoA−Iを1.5mg/mlの濃度で添加し、混合物を更に1時間37℃でインキュベートした。コール酸ナトリウムを除去するために、24時間おきに透析緩衝液を交換しながらTris−食塩水4リットルで4℃で72時間試料を透析した。
試料を密度勾配超遠心分離により更に精製した。1.5ml中固体KBrの添加により1.30g/mlの密度にまで溶液を調節した。試料を3ml遠沈管に写し、食塩水で覆い、BeckmanL7−55遠心分離機中3時間275,000×gで遠心分離した。
(粒子の安定性)
本操作法に従って調製した粒子は凍結乾燥形態において3ヶ月より長く安定であった。
(粒子の特性化)
UV/可視光線走査をAmBを加えない以外は上記した通り調製したApoA−I−リン脂質粒子に対して実施し、AmB含有粒子について走査した場合と比較した。図1はAmBを含有しない粒子の走査結果を示す。観察された唯一のピークは280nm周囲のタンパク質ピークであった。図2は上記した通り調製したAmB含有粒子の走査結果を示す。280nm周囲のピークのほかに、スペクトルの300〜400nmの範囲に多くの別のピークが観察され、AmBの存在が確認された。遊離のAmBは水性媒体中不溶性であり、図2に観察されるものとは異なるスペクトル特性を有する。Maddenら(1990)Chemistry and Physics of Lipids,52:189−98。
特性化試験によればApoA−I、リン脂質およびAmBは、密度勾配超遠心分離に付した際には個別の粒子集団として移行したことがわかった(図3)。複合体は粒子中のタンパク質/脂質の比に依存する勾配の特徴的な密度で浮遊する。
更にまた、非変性条件下における勾配ゲル電気泳動によれば、生成した主な複合体は均一な粒径を有し、ストークス直径は8.5nmであった(図4)。単離された粒子の分析によればAmB、リン脂質およびアポリポタンパク質の元のモル比からの大きな変動はなかった。
実施例2 Saccharomyces cerevisiaeに対する生物活性剤送達粒子を含有するAmBの抗真菌活性
ApoA−I−DMPC/DMPG−AmB粒子は実施例1に記載の通り調製し、複合体の抗真菌活性を調べるために使用した。種々の量のApoA−I−DMPC/DMPG−AmB粒子(0〜25μgAmB/ml)の存在下、YPD培地中にS.cerevisiaeの培養物を成育させた。培養物を30℃で16時間生育させ、そして培養物の生育の程度を分光光度計によりモニタリングした。図8に示す通り、AmB含有粒子は用量依存的な態様における真菌生育の抑制において極めて有効であった。
実施例3 生物活性剤送達粒子の長期安定性
組み換えApoE3NT末端ドメイン(ApoE3NT)をFisherら(1997)Biochem Cell Biol 75:45−53に記載の通り調製した。ApoR3NT−AmB含有粒子は実施例1に記載の通りコレート透析法により調製し、長期安定性の評価に用いた。
図5は4℃のリン酸塩緩衝液中に保存(レーン1)、−20℃のリン酸塩緩衝液中に保存(レーン2)、または−80℃のリン酸塩緩衝液中に凍結、凍結乾燥し、水に再溶解した後に分析した粒子のネイティブのPAGE4〜20%勾配スラブゲルを示す。AmB含有粒子の粒径および移動性は凍結と解凍により、または凍結乾燥および再溶解により影響を受けず、これらの条件下で粒子がその一体性を保持していたことを示している。これらはAmB送達粒子のスケールアップおよび長期保存に関して重要なパラメーターである。
実施例4 POPCを用いたAmB含有生物活性剤送達粒子の調製
ApoA−I−POPC粒子を実施例1に記載したコレート透析法により調製した。ApoA−I−POPC粒子のネイティブのPAGE勾配ゲル分析を図4に示す。AmBを有さない粒子はレーン1に示し、AmBを有する粒子はレーン2に示す。ゲルは粒子へのAmBの取り込みがその粒径を改変しなかったことを示している。しかしながらゲルはPOPC含有粒子がレーン3に示すDMPC/DMPG粒子とは異なる粒径であることを示している。
実施例5 ミクロ流動化プロセッサーを用いたAmB含有粒子の調製
ApoA−I、AmB、卵PC、DPPGおよびコレステロールをミクロ流動化試料ホルダー内であわせ、ミクロ流動化プロセッサーの反応チャンバーに18000psiで通した。得られた溶液を収集し、粒子の形成、疎水性物質の取り込み、粒径および安定性について特性化した。直径約16nmのAmB含有粒子が得られ、これは凍結乾燥および水溶液希釈再調製に対して安定であった。
実施例6 リン脂質ベシクルからのAmB含有粒子の調製
2.5mgのAmBに相当するDMSO中のAmBの20〜40mg/ml溶液の一部を7:3のモル比でDMPC:DMPGを含有する予備形成されたリン脂質水性分散液に添加することによりAmB含有リン脂質ベシクルの懸濁液を調製した。ベシクルはリン脂質のゲルから液相への遷移温度(約24℃)でインキュベートした。4mgのアポリポタンパク質を添加することにより試料の濁度は時間依存的に低下し、AmB含有生物活性剤送達粒子の形成と合致していた。完全な試料の透明性は1〜20分間21〜25℃で穏やかなバス内超音波処理を行うか、超音波処理しない場合は24℃で4〜16時間以内に達成された。得られた粒子は>90%のAmB取り込み効率、即ち、送達粒子内に回収されたAmB原料の比率を示し、濾過、遠心分離または透析による原料の損失はなかった。その他の試験によれば、5mg/10mgリン脂質の高濃度に調節したAmB濃度の場合に同じ結果が得られることがわかる。この操作法は試験した5種のアポリポタンパク質(ApoA−I、ApoE3NT、Bombyx mori ApoIIIおよび抗真菌ペプチド、ヒスタミン5を含むC末端伸長部を含むヒトApoA−Iの変異体型、および、S.cerevisiaeα−交配因子ペプチドを含むC末端伸長部を含むヒトApoA−Iの変異体型)のいずれを用いた場合も等しく良好に機能した。
ApoA−IまたはApoE3NT含有粒子の密度勾配超遠心分離によれば、1.12g/mlの範囲の特徴的な密度まで浮遊した粒子の単一の集団が明らかになり、脂質タンパク質複合体の形成と合致した。密度勾配超遠心分離の後に得られた画分の特性化によれば、リン脂質、AmBおよびアポリポタンパク質は勾配の同じ位置まで移行し、AmB含有粒子の形成と合致していた。
ApoA−I−AmB含有粒子の相対的移行を既知標準物質とネイティブPAGE上で比較したところ、90%を超える粒子が約8.5nmのストークス直径を有していた。この値は、AmBの非存在下に生成した粒子と同様であり、この生物活性剤の添加により粒子の粒径分布を大きく改変しなかったことを示している。
ApoA−I−AmB含有生物活性剤送達粒子の全体的な安定性の尺度として、粒子を−20℃に凍結するか、凍結乾燥した。凍結/解凍により粒子の粒径分布に影響はなかった。同様に粒子を凍結乾燥および水中の再溶解にふした場合でも粒径分布および試料の外観に影響しなかった。
これらのデータはAmB、リン脂質およびアポリポタンパク質が組み合わさってAmBが粒子の2層部分内に完全に組み込まれた生物活性剤送達粒子の均質な集団が形成されたことを強力に示唆している。AmB含有粒子の分光光度計分析によれば生物活性剤送達粒子内のAmB可溶化に合致して可視光範囲におけるピークの特徴的なセットが明らかになった。
実施例7 別の操作法により調製した粒子との実施例6の通り調製されたAmB含有粒子の比較
実施例6に記載した方法を用いた生物活性剤送達粒子内への生物活性剤の取り込みを以下の通りShoutenら(1993)Molecular Pharmacology 44:486−492に従って調製した「ネオHDL」粒子内への取り込みと比較した。即ち、クロロホルムに溶解した卵黄ホスファチジルコリン3mg、コレステロール0.9mgおよびAmB1.5mgを20mlガラスバイアル中で混合し、溶媒を窒素気流下に蒸発させた。脱気し、窒素飽和させた超音波処理緩衝液10ml(10mMTrisHCl、pH8.0、100mMKCl、1mMEDTAおよび0.025%NaN)を添加し、バイアルの内容物を窒素気流下Macrotip(14μm平均出力)で超音波処理した。温度を41℃より高温、50℃より低温に維持した。超音波処理は60分後に停止し、温度を42℃にあわせた。超音波処理を継続し、4M尿素2mlに溶解したApoA−I20mgを10分間かけて10等分に分けて添加した。10等分全てを添加した後、超音波処理を42℃で30分間継続した。
次に超音波処理混合物を3分間遠心分離して大型の粒子および不溶性物質を除去し、上澄みをUV/可視光分光光度計で分析することにより生成粒子中に溶解したアンホテリシンBの量を調べた。溶液はわずかに白濁していることがわかった。試料を250nmから500nmまで走査した。比較のために実施例6に記載の操作法により調製したAmB含有粒子を調べた。結果は図12に示す通りである。AmBから生じるスペクトルの領域(300〜500nm)は2試料の間で極めて異なっている。実施例6に記載のプロトコルを用いて生成させたAmB含有生物活性剤送達粒子は粒子へのAmBの溶解および取り込みを示す強い特徴的な吸収最大を示していた(Maddenら,上出)(図12B)のに対し、Schouten等に従って調製した試料はこのような特徴的な最大スペクトルを示さなかった(図12A)。実際、得られたスペクトルは脂質の非存在下におけるAmBの水性分散液について上出のMadden等により報告されたものと極めて似ている。即ち、AmBは本操作法を用いては脂質粒子に取り込まれなかったが、実施例6に記載した操作法は顕著なAmBの取り込みをもたらした。
実施例8 リポソームAmB処方とのAmB含有生物活性剤送達粒子の抗真菌活性の比較
実施例6に記載の通り調製したApoA−I−AmB粒子の抗真菌活性および市販のAmBリポソーム処方であるAmBisome(登録商標)を酵母S.cerevisiaeの生育を抑制するその能力に関して比較した。図10のデータはApoA−I−AmB生物活性剤送達粒子はAmBisome(登録商標)として処方されたAmBの同じ量よりも効果的にS.cerevisiaeの生育を抑制した。ApoA−I−AmB生物活性剤送達粒子は1μg/mlで90%の生育抑制を達成したのに対し、この抑制の水準には25μg/mlのAmBisome(登録商標)を必要とした。
ApoA−I−AmB粒子およびAmBisome(登録商標)の抗真菌活性は、更に、2種の病原性真菌、Candida albicans(C.albicans)およびAspergillus fumigatus(A.fumigatus)に対して、マイクロタイターブロス全細胞試験において比較した。対照として、AmBを有さない粒子も試験した。結果を表1に示す。
Figure 0004777873
得られた結果はAmB含有生物活性剤送達粒子がAmBisome(登録商標)より低濃度で両方の病原性真菌種に対して有効であったことを示している。AmBを含まない対照粒子は有効ではなかった。AmB含有生物活性剤送達粒子は0.1μg/mlの濃度でC.albicansに対してED90(90%生育抑制が観察される濃度)を示したのに対し、同じ水準の生育抑制を達成するには0.8μg/mlのAmBisome(登録商標)が必要であった。A.fumigatusに対してはAmB含有生物活性剤送達粒子は0.2μg/mlの濃度で真菌生育の90%を抑制したのに対し、同じ作用を達成するのに1.6μg/mlのAmBisome(登録商標)が必要であった。
別の実験において、脂質結合ポリペプチドとしてアポリポタンパク質IIIを含有するAmB含有生物活性剤送達粒子とAmBisome(登録商標)を、病原性真菌の3種、即ちC.albicans、A.fumigatusおよびCryptcoccus neoformans(C.neoformans)の生育を抑制するそれらの能力について比較した。データを表2に示す。
Figure 0004777873
AmB含有生物活性剤送達粒子は0.03μg/mlの濃度でC.albicansの生育の90%を抑制した。AmBisome(登録商標)では0.4μg/mlの相当するED90が得られた。A.fumigatusの場合は、AmB含有生物活性剤送達粒子は0.1μg/mlの濃度で真菌の生育の90%を抑制したのに対し、同じ作用を達成するのに2.5μg/mlのAmBisome(登録商標)が必要であった。同様の態様において、AmB含有粒子はAmBisome(登録商標)より5倍低値のAmB濃度でC.neoformansの生育抑制において有効であった。
試験した全試料は実験に使用したRPMI培地に可溶であり、そして真菌種のいずれに対しても試験した試料のいずれにおいても沈殿や妨害は観察されなかった。これらのデータは本発明の生物活性剤送達粒子内のAmBの処方がリポソーム処方よりも強力な抗真菌活性を有することを示唆している。
実施例9 生物活性剤送達粒子内へのカンプトテシンの取り込み
カンプトテシン含有生物活性剤送達粒子は以下の通り調製した。即ち、7:3モル比のDMPC:DMPG(総量5mg)を1分間撹拌混合することにより緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、pH7.0)に分散することによりリン脂質2層ベシクルの分散液を形成した。DMSO中のカンプトテシンの10mg/ml溶液10マイクロリットルをリン脂質2層分散液に添加した。次に、組み換えヒトアポリポタンパク質A−I(20mMリン酸ナトリウムpH7.0中4mg/ml溶液0.5ml)2mgを添加し、次に試料を超音波処理に付した。次に透明化した試料を3分間13,000×gで遠心分離し、上澄みを回収し、4℃で保存した。
カンプトテシン含有粒子の蛍光スペクトルをドデシル硫酸ナトリウム(SDS)可溶化カンプトテシンと比較しながら図11に示す。蛍光測定値は360nmの励起波長においてPerkin ElmerLS50Bルミネセンス分光計上で、発光を400〜600nmでモニタリングしながら測定した。SDSミセル中のカンプトテシンにより誘起された蛍光発光最大の青色シフト(図11A)を生物活性剤送達粒子に取り込まれたカンプトテシン(図11B)と比較したところ、送達粒子に対してミセルではより大きい疎水性環境に薬剤が局在化していることが示唆される。
実施例10 AmB含有生物活性剤送達粒子の凍結割断電子顕微鏡観察
凍結割断電子顕微鏡観察のためのAmB含有生物活性剤送達粒子の調製物を以下の通り作成した。即ち、実施例6の通り調製したDMPC:DMPG(7:3モル比)AmB生物活性剤送達粒子(3mg/mlタンパク質)の試料をサンドイッチ法および液体窒素冷却プロパンによりクエンチングした。低温固定試料を2時間未満液体窒素中に保存した後、処理を行った。割断法はJOEL JED−900凍結エッチング装置を用いて実施し、そして曝露された割断面をPtで30秒間25〜35℃の角度で、そして炭素で35秒間(2kV/60−80mA、1×10−5Torr)陰影化した。この方法で作成されたレプリカを濃発煙HNO で24時間洗浄した後、新しいクロロホルム/メタノール(1:1容量)と共に少なくとも5回反復して攪拌した。この方法で洗浄されたレプリカをJOEL 100CXまたはPhilips CM10電子顕微鏡で検査した。
AmB含有生物活性剤送達粒子の凍結割断より得た電子顕微鏡写真を図9に示す。数種の凍結割断調製物より得た電子顕微鏡写真は、高濃度の小型のタンパク質脂質複合体の存在を示している。見かけの直径は、約20〜60nmの範囲であり、約40nmが高頻度であった。凍結割断電子顕微鏡観察により得られた粒子の見かけの直径はネイティブの細孔制限勾配ゲル電気泳動により測定した数値より大きい。この相違は電子顕微鏡観察により粒子を可視化するために使用した試料の取り扱いまたは染色方法の影響と考えられる。
実質的に球状の複合体はリポソームにおいて特徴的な通り、凹面または凸面の割断面(陰影がそれぞれ構造体の前側および後側)を示さない。更にまた、ミセル構造の証拠は観察されなかった。
実施例11 免疫コンピテントマウスにおけるAmB含有生物活性剤送達粒子の抗真菌活性のインビボの評価
AmB含有生物活性剤送達粒子のインビボでの抗真菌活性を以下の通り評価した。
(動物)
6〜8週齢の雌性BALB/cマウス(20〜25g)を標準的な実験室条件下に飼育管理した。
(毒性試験)
3匹のマウスの群に、各々、AmB含有生物活性剤送達粒子中の用量(例えば1、2、5、10または15mg/kgAmB)またはAmBを含有しない対照粒子を、10mMリン酸ナトリウムでpH7.4に緩衝された食塩水中で投与した。単回用量は0.1ml容量を腹腔内に投与した。予備試験によれば生物活性剤送達粒子はこれらの条件下で十分可溶性であった。
注射の後、マウスは何らかの全身反応、例えば異常な運動または姿勢、呼吸困難、粗放な体毛、または、摂餌や水摂取の困難について観察した。異常や死亡の観察は投与後即座に開始し、そして7日間にわたり1日2回継続した。体重は同じ期間、毎日記録した。
血液は安楽死前に動物から採取した。肝酵素、例えばラクテートデヒドロゲナーゼに関する血液の試験を行うことにより肝特異的損傷の程度を評価した。
(全身クリプトコッカス症の治療におけるAmB含有生物活性剤送達粒子の薬効)
AmB含有生物活性剤送達粒子の治療範囲を測定し、AmBisome(登録商標)と以下の通り比較した。
AmBに感受性のC.neoformansの臨床単離株を培養し、2×10分生子/mlの濃度で感染できるような接種物に調製した。各マウスには全身麻酔下に頭蓋内に規定食塩水0.05ml中1×10分生子の接種物を与えた。
感染後2時間から、抗真菌剤を5日間毎日0.1mlの容量中腹腔内に投与した。使用したAmBの用量は上記した毒性試験に基づいて測定した。マウスの1つの投与群にはAmBisome(登録商標)を投与し、1つの投与群にはAmB含有生物活性剤送達粒子を投与し、そして対照群には薬剤投与を行わなかった。
感染したマウスを1日2回モニタリングし、疾患や死亡の兆候があればそれを28日まで記録した。体重は同じ期間毎日記録した。自然に動くことができないか、飼料や水の摂取ができない瀕死の動物は安楽死させた。これらの試験の結果に基づいて、所見を確認し、再現性を見るために、第2のセットの試験を実施した。使用したAmB用量ならびに対照群および投与群のマウスの数は前の実験で得られた知見が反映されるように調節し得る
(組織真菌負荷の測定)
マウスを投与最終日の翌日に屠殺した。腎臓および脳を無菌的に摘出し、計量した。組織をホモゲナイズし、規定食塩水で連続希釈した。ホモジネートをPDA(ポテトデキストロース寒天)プレート上で48時間培養し、コロニー形成単位(CFU)を求めた。CFU/グラム組織の真菌負荷を求めた。
(統計学的分析)
生存率および腎臓または脳における平均CFUの差を適切な統計学的試験を用いて比較した。
(薬物動態試験)
0.8および2.0mg/kgの用量でAmB生物活性剤送達粒子またはAmBisome(登録商標)の静脈内注射後、10分、2、8および24時間の時点で血液、肝、腎、肺および脳脊髄液の試料を感染マウスから採取した。マウスは全身麻酔状態とし、全血液を腋窩血管より採取した。開胸し、組織試料を規定食塩水で灌流し、次に外科的に摘出した。組織を1−アミノ−4−ニトロナフタレンを含有するメタノールでホモゲナイズした。血清および組織ホモジネートの上澄みは分析まで保存した。各試料中のAmBの濃度はGranichら(1986)Antimicrob.Agents Chemother.29:584−88に記載の通り高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。慨すれば、血清試料(0.1ml)をミリリットル当たり内標準である1−アミノ−4−ニトロナフタレン1.0mgを含有するメタノール1.0mlと合わせ、回転混合した。遠心分離の後、上澄みを減圧下に乾燥し、その後HPLCカラム(C18逆相)上の注入用に、メタノール0.2ml中に再溶解した。計量した湿潤組織試料は、ガラスホモゲナイザーを用いてミリリットル当たり内標準5.0mgを含有するメタノール10容量中でホモゲナイズし、遠心分離した。移動層はアセトニトリルおよび10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0;11:17(v/v))の混合物とし、流量は1.0ml/分とした。AmBの濃度は内標準に対するAmBのピーク高さの比により求めた。
実施例12 腫瘍細胞に対するカンプトテシン含有生物活性剤送達粒子のターゲティング
脂質結合ポリペプチド成分に結合したVIPターゲティング部分を有する生物活性剤送達粒子を調製した。
カンプトテシン含有粒子の脂質結合ポリペプチド成分は脂質結合ポリペプチドのコーディング配列を保有するプラスミドベクターで形質転換されているEschelichia coli(E.coli)において組み換え形態として作成してよい。例えば、組み換えヒトApoA−Iを使用してもよい。ApoA−I発現プラスミドを保有するE.coli細胞は37℃の培地中で培養した。600nmにおける培養物の光学密度が0.6に達した時点でイソプロピルチオガラクトシド(0.5mM終濃度)の添加によりApoA−Iの合成を誘導した。更に3時間培養した後、細菌を遠心分離により沈殿させ、超音波処理により粉砕した。細胞溶解物を4℃で30分間20,000×gで遠心分離し、ApoA−Iを上澄み画分から単離した。
組み換え脂質結合ポリペプチドキメラは28アミノ酸ニューロペプチドである血管作用性の腸ペプチド(VIP)に相当するN末端および/またはC末端ペプチド伸長部をApoA−Iが含むように操作することにより作成した。ApoA−I−VIPキメラを用いてリン脂質、カンプトテシンおよびApoA−I−VIPキメラよりなる生物活性剤送達粒子を作成してよい。
例えばApoA−I−VIPキメラは、末端HindIIIおよびXbaI部位を有するVIP配列のコーディング配列に相当する相補オリゴヌクレオチドプライマーを合成することにより構築してよい。オリゴヌクレオチド(〜100塩基対)をアニーリングして所望の「付着末端」を有する2本鎖DNAを作成し、そして、適切に位置づけられたHindIIIおよびXbaI制限酵素部位を有するApoA−Iコーディング配列含有プラスミドベクター内にサブクローニングした。ライゲーション、形質転換および陽性キメラ構築物のスクリーニングの後、プラスミドDNAを単離し、自動ジデオキシ鎖終止配列分析に付した。配列が所望のキメラについて予測されたものに相当することが確認された後、組み換えApoA−I−VIPキメラの作成を野生型ApoA−Iに関して前記した通り、E.coliにおいて実施した。次に精製された組み換えキメラを、ゲル電気泳動、質量スペクトル分析により、そして、実施例8に記載した野生型ApoA−Iと同様の態様で本発明の生物活性剤送達粒子を作成する能力があるかどうかについて、評価した。
ApoA−I−VIPキメラ−カンプトテシン含有生物活性剤送達粒子を乳癌細胞生育抑制試験において使用することにより、脂質粒子ターゲティングの程度を測定し得る。例えば、ヒト乳癌細胞系統MCF−7をAmerican Type Culture Collectionから入手し、10%ウシ胎児血清および抗生物質ペニシリンおよびストレプトマイシンを添加した変性Eagle培地中単層培養物として湿潤5%COインキュベーター中37℃で維持した。単離した野生型のApoA−IまたはApoA−I−VIPキメラを放射性ヨウ素化し、本発明のカンプトテシン含有生物活性剤送達粒子に取り込み、細胞と共にインキュベートした。4℃で培養MCF−7細胞と共に標識カンプトテシン含有生物活性剤送達粒子をインキュベートした後、細胞に会合した放射能を測定した。MCF細胞へのApoA−I−VIPキメラまたは生物活性剤送達粒子会合ApoA−I−VIPキメラの結合と競合するVIPの能力を競合的結合試験において測定した。細胞結合データはScatchard分析により評価した。ApoA−I−VIPキメラ生物活性剤送達粒子のMCF−7細胞内在化の程度は、37℃において放射標識ApoA−I−VIPキメラ含有生物活性剤送達粒子と共にインキュベートしながら測定した。インキュベーションおよび洗浄の後、トリクロロ酢酸可溶性放射能を測定し、脂質結合ポリペプチド分解の尺度とした。
種々の生物活性剤送達粒子を用いた生育抑制および細胞毒性試験を試験管内腫瘍細胞感受性試験において評価した。指数生育期の細胞を培地に再懸濁し、細胞数を電子カウンターで計数した。あるいは、MCF−7クローン生育のカンプトテシン−ApoA−I−VIPキメラ生物活性剤送達粒子の抑制を低下した35S−メチオニン取り込みに基づいて評価し得る。細胞の一部を三連で培養皿に接種した。インキュベーションの後、特定の脂質粒子を保存溶液から採って皿に添加し、カンプトテシンの濃度を0、0.1、1、5、10、50、100および250nMとした。0〜72時間の特定の時間間隔の後、培地を吸引除去し、新しい培地を添加した。種々の曝露時間による各薬剤濃度における生存率をトリパンブルー排除細胞の数の比から求め、カンプトテシンを含まない対照粒子で得られた結果と比較した。
上記した本発明は明確な理解を目的にして説明および例示のためにある程度詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から外れることなく特定の変化および変更を実施できることは等業者の知る通りである。従って、説明は、添付の請求項により定義される本発明の範囲を限定するものではない。
本明細書において引用した全ての出版物、特許および特許出願は、全ての目的のため、そして、個々の出版物、特許および特許出願が参照により組み込まれるように特定、個別に指示されるような程度にまで、その全体が本明細書に組み込まれる。
図1は実施例1に記載の通り調製した生物活性剤を含まないApoA−I−リン脂質粒子の250〜450mmのUV/可視光の吸収スペクトルを示す。 図2は実施例1に記載の通り調製したApoA−I−リン脂質−AmB粒子の250〜450mmのUV/可視光の吸収スペクトルを示す。 図3は密度勾配超遠心分離の後のApoA−I−リン脂質−AmB粒子の画分番号vsタンパク質濃度のプロットを示す。粒子は実施例2に記載の通り調製し、そしてKBrを添加することにより1.3g/mlの密度に調節した。溶液を10℃275,000gで5時間にわたり断続的な勾配で遠心分離した。遠心分離の後、試験管の内容物を上部から分画し、各画分のタンパク質濃度を測定した。 図4は4〜20%アクリルアミド勾配スラブゲル上のApoA−I−リン脂質粒子のネイティブのポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)分析を示す。粒子をApoA−Iおよび2種の脂質調製物、DMPC/DMPGまたはパルミトイルオレイルホスファチジルコリン(POPC)を用いて調製した。ゲルはクーマシーブルーで染色した。レーン1:ApoA−IPOPC粒子;レーン2:ApoA−I−POPC−AmB粒子;レーン3:ApoA−I−DMPC/DMPG−AmB粒子。粒径標準物の相対的移行を左側に示す。 図5はアポリポタンパク質EのN末端ドメイン(ApoE3NT)−DMPC/DMPG−AmB粒子の安定性の粒径と構造の一貫性に対する種々の保存条件の作用を比較したものである。粒子は密度超遠心分離により単離し、ネイティブのPAGE4〜20%勾配スラブゲル上の電気泳動に付した。ゲルはアミドブラックで染色した。レーン1:24時間4℃でリン酸塩緩衝液中に保存した粒子;レーン2:24時間−20℃でリン酸塩緩衝液中に保存した粒子;レーン3:凍結乾燥し、24時間−80℃で凍結保存し、その後水中で再希釈した粒子。粒径標準物の相対的移行を左側に示す。 図6は生物活性剤送達粒子の形状および分子の組織を模式的に説明するものである。 図7はキメラ脂質結合ポリペプチドおよび生物活性剤送達粒子へのその取り込みを模式的に示すものである。キメラタンパク質はターゲティング部分(図7A)または所望の生物活性を有する部分(図7B)を含み得る。図7Cは生物活性剤送達粒子内への図7Aおよび7Bに示すキメラポリペプチドの取り込みを模式的に示すものである。 図8は実施例2に記載した培養物中のSaccharomyces cerevisiae(S.cerevisiae)に対するAmB含有生物活性剤送達粒子の抗真菌活性をグラフにより示したものである。 図9は実施例10に記載の通り調製したAmB含有生物活性剤送達粒子のフリーズフラクチャー電子顕微鏡写真である。 図10は実施例8に記載したS.cerevisiaeの生育を抑制するApoA−I−DMPC/DMPG−AmB粒子およびAmBisome(登録商標)の能力を比較したものである。 図11は実施例9に記載したSDS中に可溶化されたカンプトテシン(図11A)とカンプトテシン含有生物活性剤送達粒子(図11B)の蛍光スペクトルを比較したものである。 図12は実施例7に記載した通り調製した脂質粒子(図12A)および実施例6に記載した通り調製した生物活性剤送達粒子(図12B)へのAmB取り込みのUV/可視光スペクトルの比較を示す。 図13は生物活性剤送達粒子の調製の操作法の実施形態を説明している。

Claims (49)

  1. 脂質結合ポリペプチド、脂質2層、および疎水性領域少なくとも1つを含む生物活性剤を含む生物活性剤送達粒子であって、該生物活性剤は、非ポリペプチドであり、該送達粒子は親水性コアを含まず、該脂質2層の内部が疎水性領域を含み、該生物活性剤が該脂質2層の疎水性領域と会合しており、該脂質結合ポリペプチドがクラスAの両親媒性のα−ヘリックス構造モチーフおよび/またはβ−シートモチーフを含み、そして、該粒子が、該脂質結合ポリペプチドの該α−ヘリックスおよび/またはβ−シートによって包囲された平円形の脂質2層を有するディスク型であり、該脂質結合ポリペプチドは、該粒子の周界で該脂質2層の疎水性表面と会合している、生物活性剤送達粒子。
  2. 前記ディスク型粒子が7〜29nmの直径を有する、請求項1記載の生物活性剤送達粒子。
  3. 前記生物活性剤が前記脂質2層の前記疎水性領域に組み込まれる、請求項1〜2の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  4. 前記生物活性剤がアンホテリシンBである、請求項1〜3の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  5. 前記生物活性剤がカンプトテシンである、請求項1〜3の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  6. 前記生物活性剤が、抗微生物剤、神経伝達物質、放射標識、蛍光化合物、抗代謝剤、麻酔薬、抗癌剤、抗炎症剤、農薬、殺虫剤、除草剤、全トランスレチノイン酸、リポ多糖類、ビタミンEおよび光力学的治療に用いられる光増感剤から選択される、請求項1〜の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  7. 前記生物活性剤が抗微生物剤、農薬または除草剤である、請求項6に記載の生物活性剤送達粒子。
  8. 前記抗微生物剤が抗真菌剤である、請求項6に記載の生物活性剤送達粒子。
  9. 前記生物活性剤が殺虫剤である、請求項6に記載の生物活性剤送達粒子。
  10. 前記生物活性剤がニスタチンである、請求項1〜の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  11. 前記生物活性剤が抗癌剤である、請求項1〜の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  12. 前記生物活性剤が全トランスレチノイン酸またはα−トコフェロールである、請求項1〜の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  13. 前記脂質結合ポリペプチドがアポリポタンパク質である、請求項1〜12の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  14. 前記アポリポタンパク質が交換可能なアポリポタンパク質である、請求項13に記載の生物活性剤送達粒子。
  15. 前記アポリポタンパク質が、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質EのN末端ドメイン、またはヒトアポリポタンパク質A−Iである、請求項14に記載の生物活性剤送達粒子。
  16. 前記アポリポタンパク質が、アポリポタンパク質A−I(ApoA−I)、アポリポタンパク質E(ApoE)、アポリポタンパク質E3(ApoE3)、アポリポホリンIII(ApoIII)、アポリポタンパク質A−IV(ApoA−IV)、アポリポタンパク質A−V(ApoA−V)、アポリポタンパク質C−I(ApoC−I)、アポリポタンパク質C−II(ApoC−II)、アポリポタンパク質C−III(ApoC−III)、アポリポタンパク質D(ApoD)、アポリポタンパク質A−II(ApoA−II)、アポリポタンパク質B−100(ApoB−100)、アポリポタンパク質J(ApoJ)、アポリポタンパク質H(ApoH)、およびそのキメラ型からなる群より選択され、ここで、該キメラ型は、S.cerevisiae α−交配因子ペプチド、葉酸、トランスフェリン、ラクトフェリン、ヒスタチン−5、マガイニンペプチド、メリチン、デフェンシン、コリシン、N末端ラクトフェリンペプチド、エキノカンジン、ヘプチジン、バクテニシンおよびシクロスポリンからなる群より選択される部分を含む、請求項1〜12の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  17. 前記アポリポタンパク質がアポリポタンパク質E3のC末端もしくはN末端のドメインまたはそのアイソフォームである、請求項1〜12の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  18. 前記脂質結合ポリペプチドが機能性部分を含むキメラアポリポタンパク質である、請求項1〜3の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  19. 前記機能性部分がターゲティング部分であるか、または、生物学的活性を有する、請求項18に記載の生物活性剤送達粒子。
  20. 前記アポリポタンパク質が前記生物活性剤送達粒子の安定性を増大させるように修飾されており、該修飾が、分子間または分子内のジスルフィド結合を形成するためのアポリポタンパク質分子へのシステイン残基の導入;およびアポリポタンパク質分子間に分子間連結を形成するための化学的交差結合剤の使用からなる群より選択される、請求項13に記載の生物活性剤送達粒子。
  21. 前記修飾が分子間または分子内のジスルフィド結合を形成するためのシステイン残基の導入を含む、請求項20に記載の生物活性剤送達粒子。
  22. 前記脂質結合ポリペプチドがペプチドである、請求項1〜21の何れか1項に記載の生物活性剤送達粒子。
  23. 前記脂質結合ポリペプチドが血管作用性腸ペプチドを含む、請求項1〜21の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  24. 前記脂質結合ポリペプチドが両親媒性ペプチドである、請求項1〜21の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  25. 前記脂質結合ポリペプチドが合成ペプチドである、請求項1〜21の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  26. 前記脂質2層がリン脂質を含む、請求項1〜21の何れかに記載の生物活性剤送達粒子。
  27. 前記リン脂質がジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)を含む、請求項26に記載の生物活性剤送達粒子。
  28. 前記リン脂質がジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)または卵ホスファチジルコリンを含む、請求項26に記載の生物活性剤送達粒子。
  29. 請求項1〜28の何れかに記載の生物活性剤送達粒子および薬学的に受容可能なキャリアを含む、個体への生物活性剤の投与のための薬学的組成物。
  30. 前記組成物が制御放出のために処方される、請求項29に記載の薬学的組成物。
  31. 前記組成物が、非経口投与のために処方されるか、エアロゾルとして処方されるか、または、局所投与のために処方される、請求項29に記載の組成物。
  32. 前記非経口投与が静脈内、筋肉内、経皮、経粘膜および脊髄内から選択される、請求項31に記載の組成物。
  33. 請求項1〜28の何れか1項に記載の生物活性剤送達粒子を処方するための方法であって、該方法が、2層形成脂質ベシクルの水性分散液を生物活性剤に接触させて2層形成脂質ベシクルおよび生物活性剤を含有する水性混合物を形成する工程、ならびに該水性混合物を脂質結合ポリペプチドに接触させる工程を包含し、ここで、該脂質結合ポリペプチドに接触させる工程が、該脂質ベシクル中に存在する該2層形成脂質のゲルから液晶相への遷移温度において該水性混合物を脂質結合ポリペプチドと共にインキュベートすることを含む、方法。
  34. 請求項1〜28の何れか1項に記載の生物活性剤送達粒子を処方するための方法であって、該方法が以下:
    (a)脂質ベシクルの水性分散液を形成する工程であって、ただしここで該脂質ベシクルは2層形成脂質を含む工程;
    (b)生物活性剤を該脂質ベシクル分散液に添加して、2層形成脂質ベシクルおよび生物活性剤を含有する混合物を形成する工程;
    (c)脂質結合ポリペプチドを(b)の該混合物に添加して脂質−生物活性剤−脂質結合ポリペプチド混合物を形成する工程;および
    (d)工程(c)で形成された混合物をインキュベートする工程
    を包含し、ここで、該インキュベートする工程が、該脂質ベシクル中に存在する該2層形成脂質のゲルから液晶相への遷移温度において行われる、方法。
  35. 前記方法が更に、工程(d)の混合物を超音波処理する工程を包含する、請求項34に記載の方法。
  36. 前記生物活性剤がジメチルスルホキシド(DMSO)中に可溶化された後に、2層形成脂質ベシクルと接触さる、請求項33に記載の方法。
  37. 前記生物活性剤がDMSO中に可溶化された後に、脂質ベシクル分散液に添加される、請求項33または34に記載の方法。
  38. 前記生物活性剤がアンホテリシンBである、請求項33〜37の何れかに記載の方法。
  39. 前記生物活性剤がカンプトテシンである、請求項33〜37の何れかに記載の方法。
  40. 前記生物活性剤が、抗微生物剤、神経伝達物質、放射標識、蛍光化合物、抗代謝剤、麻酔薬、抗癌剤、抗炎症剤、農薬、殺虫剤、除草剤、全トランスレチノイン酸、リポ多糖類、ビタミンEおよび光力学的治療に用いられる光増感剤から選択される、請求項33〜39の何れかに記載の方法。
  41. 請求項33〜40の何れかの方法により調製された、生物活性剤送達粒子。
  42. 請求項41に記載の通り調製された生物活性剤送達粒子および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  43. 請求項29〜32の何れかに記載の薬学的組成物および個体に生物活性剤を投与するための方法における使用に関する指示書を含む、キット。
  44. 請求項1〜2または16〜28に記載の生物活性剤送達粒子とキャリアとを含む、個体に生物活性剤を投与するための組成物。
  45. 前記個体が植物または昆虫である、請求項44に記載の組成物。
  46. 前記生物活性剤が抗微生物剤、農薬または除草剤である、請求項44または45に記載の組成物。
  47. 前記生物活性剤が抗真菌剤である、請求項44または45に記載の組成物。
  48. 前記組成物が局所投与のために処方される、請求項44〜47の何れかに記載の組成物。
  49. 前記組成物がエアロゾルとして処方される、請求項44〜47の何れかに記載の組成物。
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