JP4775905B2 - 水系媒体中でトナーを生成する方法 - Google Patents
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Description
粉砕法による粉砕トナーと重合法による重合トナーの主な点を比較すると、粉砕トナーは製造が比較的容易で、製造条件・製造品質の維持管理も容易で、製造時に廃棄物質が発生せず、トータル的な消費エネルギーも小さく、低コストで、クリーニングし易いという特長を有するが、小粒径化が困難であり、画質が劣るという欠点を有する。
これに対して、重合トナーは小粒径化が容易で、基本的に球形であり、画質は良好であるが、製造工程が比較的複雑で、製造条件・製造品質の維持管理が困難で、製造時に多量の廃棄物質が発生し、トータル的なエネルギー消費が大きく、コスト高で、クリーニングし難いという欠点を有する。
この際大量の水からなる洗浄液即ち廃棄液が発生することから、省資源、環境負荷低減上好ましいことではなかった。
(1)本発明は、水系媒体中でトナーを生成する方法において、少なくともトナー粒子の造粒工程、トナー粒子を水系媒体から濾過する濾過工程、濾過で残ったトナー粒子を洗浄する洗浄工程からなり、当該洗浄工程、前記濾過工程を繰り返し行い、2回目以降の洗浄工程に用いた洗浄排水から、溶解排出物の一部又は全部を除去したのち再び洗浄工程でリサイクル使用することを特徴とする水系媒体中でトナーを生成する方法である。
(7)本発明は、n番目の洗浄工程で使用した洗浄液を、溶解排出物除去後、n+1番目の洗浄工程で使用することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一に記載の水系媒体中でトナーを生成する方法。
また、排水のpHをコントロールすることによっても、排水中の溶解物を析出させ、捕獲し、除去することができる。pH調節剤としては酸性側に振るものとして、ペンタクロロフェノールなどのフェノール類やフタル酸、サリチル酸、アジピン酸、クエン酸ナトリウム等がある。
塩基性に振るものとしては、トリアジン類、N−複素環化合物(例えばキノリン)、アンモニア、アニリン、ピリジン、尿素等がある。
界面活性剤の中和や、pHコントロールに用いる物質の量は僅かであり、排水中に残った物質がトナー上に残留し、トナー特性に悪影響を及ぼす可能性は小さい。
前記(1)〜(6)の発明のトナー生成方法に、トナーに添加剤(別名外添剤)を添加する工程を付加しても良い。これが前記(7)である。
ここでは2回目の洗浄液がリサイクルされているが、排出物の除去能力により、1回目または3回目以降の洗浄液を再使用しても良い。若い回数の洗浄液を用いる程リサイクル率は高まり、廃棄される量が低減される。
また、図を変更し、トータルで4回の洗浄とし、3回目に2回目の排水で排出物を除去されたリサイクル洗浄液を使い、後これを廃棄して、最後の4回目は清浄な洗浄水を使って洗浄し、仕上げ、後排水を廃棄することもできる。
以下、部は特に断らない限り、重量部を表わす。
トナーの個数平均粒径の測定法:
トナーの個数平均粒径は通常のコールターカウンターで、以下の条件で測定した。
電解水溶液150ml中に分散剤として界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテルを5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の個数を測定して、個数分布から個数平均を算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
スチレンモノマー4kgとメチルメタクリレートモノマー1kgの合計5kgに250gの合成ワックスST100((株)日本触媒製)、250gのカーボンブラック#44(三菱化学製)、および100gのサリチル酸亜鉛とを混合し、超音波分散機を利用して均一な溶解・分散液を得た。この溶液に過酸化ベンゾイル150gを溶かし、これを75gの過硫酸カリウムを溶かした1.2%ポリビニールアルコール水溶液、50 l(リットル)中に加え、ホモジェナイザーを用いて2500rpmで攪拌して平均粒径13μmの着色分散液を得た。これを40〜50rpmで攪拌しながら、60℃に昇温しこの温度で、5時間懸濁重合させた。
参考例1において、カーボンブラック#44(三菱化学製)をキナクリドン系マゼンタ顔料C.I.Pigment Red122(クラリアント社製)に変えた以外は参考例1と同様の方法によりマゼンタ用現像剤を得た。
得られたトナーは個数平均粒径8.3μmであった。収量は約5.5kgであった。
(参考例3)
参考例1において、カーボンブラック#44(三菱化学製)を銅フタロシアニンブルー:C.I.Pigment Blue15−3(東洋インキ製)に変えた以外は参考例1と同様の方法によりシアン用現像剤を得た。
得られたトナーは個数平均粒径8.7μmであった。収量は約5.5kgであった。
(参考例4)
参考例1において、カーボンブラック#44(三菱化学製)をジスアゾ系イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow17(東洋インキ製)に変えた以外は参考例1と同様の方法によりイエロー用現像剤を得た。
得られたトナーは個数平均粒径8.5μmであった。収量は約5.5kgであった。
参考例1において、目開き1μm、142φのメンブレンフィルター:アドバンテックA100A−142A(アドバンテック東洋社製)に透過することを、目開き1μm、150φのナイロンメッシュ(ナイロンフィルター):HD−1(日本理化学器械(株)製)に透過することに変え、かつ、2回目の洗浄液から再使用することを1回目の洗浄液から再使用することに変えた以外は参考例1と同様にブラック用現像剤を得た。
得られたトナーは個数平均粒径8.2μmであった。収量は約5.5kgであった。
得られた現像剤を用い、モノクロ複合機Imagio Neo 351(株式会社リコー製)で画像出しした所、良好なモノクロ画像が得られ、1,000枚ランニングしたが1,000枚目も初期と変わらない画像品質であった。
外径156φ、肉厚約3mmの500mm長の円筒ガラス管で底面近傍の径が細まった管を用い、細くなった部分の内側に金属枠にステンレスメッシュを張った底板を敷き、上から顆粒状の陰イオン交換体DE52(ワットマン社製)と陽イオン交換体CM32(同)を1:1に混合したものを80mm厚さになるように充填し、カラムを構成した。
参考例1において、目開き1μm、142φのメンブレンフィルター:アドバンテックA100A−142A(アドバンテック東洋社製)に透過することを、前記カラムに変えた以外は参考例1と同様にブラック用現像剤を得た。
得られたトナーは個数平均粒径8.6μmであった。収量は約5.5kgであった。
得られた現像剤を用い、モノクロ複合機Imagio Neo 351(株式会社リコー製)で画像出しした所、良好なモノクロ画像が得られ、1,000枚ランニングしたが1,000枚目も初期と変わらない画像品質であった。
配合比は重量部で示すが、実際には部数×50(g)の重量を用いた。
酸性極性基含有重合樹脂の調整
スチレンモノマー(ST) 60重量部
(実際の使用量は3.0kg。以下省略。)
アクリル酸ブチル(BA) 40重量部
アクリル酸(AA) 8重量部
以上のモノマー混合物を
水 100重量部
ノニオン乳化剤 1重量部
(エマルゲン950)
アニオン乳化剤 1.5重量部
(ネオゲンR)
過硫酸カリウム 0.5重量部
の水溶液混合物に添加し、攪拌下70℃で8時間重合させ、固形分50%の酸性極性基含有樹脂エマルジョンを得た。
酸性極性基含有樹脂エマルジョン 120重量部
ニグロシン染料 5重量部
(ボントロンN−04)
カーボンブラック 5重量部
(ダイヤブラック#100)
水 380重量部
以上の混合物をスラッシャーで分散攪拌しながら約30℃に2時間保持した。その後、さらに攪拌しながら70℃に加温して3時間保持した。この間顕微鏡で観察して、樹脂粒子とマグネタイト粒子とのコンプレックスが所望の径にまで成長しているのが確認された。
得られたトナー100重量部に流動化剤としてシリカ(日本アエロジル社製アエロジルR972)の0.5重量部を添加混合した。
これを平均粒径50μmのシリコンコートキャリアとキャリア100重量部に対し5部の割合で混合し、攪拌した後現像剤を得た。得られた現像剤を用い、モノクロ複合機Imagio Neo 351(株式会社リコー製)で画像出しした所、良好なモノクロ画像が得られ、1,000枚ランニングしたが1,000枚目も初期と変わらない画像品質であった。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸と無水フタル酸から得られた変性されていないポリエステル(a)と、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸とイソホロンジイソシアネートから得られたイソシアネート基含有プレポリマー(b)(Mw:35000)を得た。一方、イソホロンジアミンとメチルエチルケトンからケチミン化合物(c)を得た。
ビーカー中にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーで12,000rpmに攪拌しながら、この水分散液(e)に上記トナー材料油性分散液(d)256部、及びケチミン化合物(c)2.7部を加え、攪拌を続けながらウレアー反応させた。
濾過後のトナー粒子を乾燥させ、トナーを得た。得られたトナー粒子は個数平均粒径8.2μmであった。
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理し最終トナーを得た。
この最終トナーを平均粒径50μmのシリコンコートキャリアとキャリア100重量部に対し5重量部の割合で混合し、ブラック用現像剤を得た。得られた現像剤をモノクロ複合機Imagio Neo 351(株式会社リコー製)で画像出しした所、良好なモノクロ画像が得られ、1,000枚ランニングしたが1,000枚目も初期と変わらない画像品質であった。
なお、参考例1乃至6、実施例1でも実施例2と同様にジエチルアミノエチル等により、界面活性剤を析出・捕獲することができることはいうまでもない。
参考例1で2、3回目の洗浄時の排水のフィルターへの透過をなしに、3、4回目の洗浄・濾過を行った後、同様にトナー、現像剤を得、同様に画像出しを行った所、初期から地肌汚れ(地かぶり)の有る、画像部の濃度も低い画像となり、1,000枚後も変わらなかった。これは、排水中の微小な排出物が除去できず、仕上がりのトナー上に残留し、帯電特性を始め正規のトナー特性に悪影響を与えたためと推測される。
Claims (7)
- 水系媒体中でトナーを生成する方法において、少なくともトナー粒子の造粒工程、トナー粒子を水系媒体から濾過する濾過工程、濾過で残ったトナー粒子を洗浄する洗浄工程からなり、当該洗浄工程、前記濾過工程を繰り返し行い、1回目以降の洗浄工程に用いた洗浄排水から、溶解排出物の一部又は全部を除去したのち再び洗浄工程でリサイクル使用することを特徴とする水系媒体中でトナーを生成する方法。
- 前記洗浄排水から、溶解排出物の一部又は全部を除去する方法が、排水中の溶解排出物の溶解度を低下させ、該排出物を析出させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の水系媒体中でトナーを生成する方法。
- 前記排水中の溶解排出物の溶解度を低下させる工程が、排水の酸性・アルカリ性または溶解物の正・負極性を調節する方法により行われることを特徴とする請求項2に記載の水系媒体中でトナーを生成する方法。
- 前記トナー粒子を生成する水系媒体が媒体に溶解した界面活性剤を含み、前記排水中の溶解排出物の溶解度を低下させる工程が、排水中の界面活性剤の極性と逆の極性を有する物質を添加することによって行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の水系媒体中でトナーを生成する方法。
- 前記排水中の溶解排出物の溶解度を低下させる工程において、温度が調整されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一に記載の水系媒体中でトナーを生成する方法。
- 前記排水の繰り返し使用により生成されたトナー粒子に、さらに添加剤を添加する工程を付加したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の水系媒体中でトナーを生成する方法。
- n番目の洗浄工程で使用した洗浄液を、溶解排出物除去後、n+1番目の洗浄工程で使用することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の水系媒体中でトナーを生成する方法。
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