以下、本発明の一実施形態であるカラー表示を行う反射型の液晶装置100について、図面を参照して詳細に説明する。液晶装置100は、観察側から見た後方側の表示基板69上に表示領域ごとの反射電極68M、68G、68Cを形成している。しかし、反射電極68M、68G、68Cを透明電極に置き換えた透明な表示基板69の背後に反射面を配置する構成で実施してもよい。
また、液晶装置100は、薄膜トランジスタ素子71M、71G、71Cを表示領域ごとに配置したアクティブマトリクス型であるが、本発明は、アクティブマトリクス型以外の表示領域駆動方式を採用してもよい。
また、液晶装置100は、無数の画素を格子状に配列した画像表示装置であるが、図1、図2では、1つの画素の3つの表示領域で代表して図示し、表示領域の構造説明では、専ら1つの表示領域について詳細な説明を行う。
また、特許文献1に示される液晶の材料物性、液晶装置の構造、一般的な製造方法については、本発明の趣旨と隔たりがあるので、煩雑を避けるべく、一部図示を省略して詳細な説明も省略する。例えば、液晶材料、配向膜、封止構造、配線形態、スイッチング素子の構造、ドライバを含む画像表示回路、駆動信号処理、成膜プロセス、パターン形成プロセス等についてである。
また、本実施形態の液晶装置100は、視野角補償フィルム62を配置して電圧無印加時にブラック表示を行う構成を採用している。しかし、リタデーションに応じて色相を変化させる限りにおいて、視野角補償フィルム62無しや、別の波長板への置き換えによって、電圧無印加時に他の表示を行わせてもよい。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の液晶装置における画素の表示領域配置の説明図、図2は第1実施形態の液晶装置における断面構成の説明図、図3は液晶層の電界と複屈折量の関係の線図である。図4は赤色青色表示領域の色相出力特性の説明図、図5は第1実施形態と各比較例とを比較する一覧表である。
図1に示すように、第1実施形態の液晶装置100は、3つの表示領域、すなわち赤色青色表示領域51、緑色表示領域52、無着色表示領域53で構成される1つの画素50ごとに色相制御が可能なアクティブマトリクス液晶表示パネルである。
図2に示すように、第1実施形態の液晶装置100は、観察側の第1ガラス基板63から入射した照明光(外光)を、第2ガラス基板69に形成された反射電極68で折り返して第1ガラス基板63から射出させる。第1ガラス基板63には、液晶装置100のすべての表示領域に共通な透明電極64が配置され、第2ガラス基板69には、表示領域ごとに分割された反射電極68が配置されている。
第1ガラス基板63上には、所定範囲の複屈折量の光を選択透過する偏光板61と、位相差板としての視野角補償フィルム62とが配置される。偏光板61は、直線偏光素子に位相補償板として広帯域λ/4板(可視光領域で1/4波長条件をほぼ満たすことができる位相補償板)を重ねて配置することによって、広帯域の円偏光板としてある。これにより、反射型での表示の際に電圧無印加時には暗状態となり、電圧印加時には明状態となるようなノーマリブラック構成となる。なお、重ねる位相差板を選択することによって、電圧無印加状態にて着色し、電圧印加状態で黒表示するような反転モードとすることも可能である。
第1ガラス基板63の液晶層66側には、透明な透明電極64の上に、マゼンタカラーフィルタ70M、緑カラーフィルタ層70G、透明層70Cが平坦に配置され、配向膜65で覆われている。
第2ガラス基板69上には、立体交差させて格子状に配列した不図示のデータ線とゲートトリガー線とが多数配置される。そして、データ線とゲートトリガー線との各交点に表示領域ごとの薄膜トランジスタ素子(TFT)71M、71G、71Cを配置して、層間絶縁層71Hで絶縁してある。
層間絶縁層71H上に、微細な表面凹凸形状を形成して拡散性を付与した表示領域ごとの反射電極68M、68G、68Cが配置されている。反射電極68M、68G、68Cは、表示領域ごとの薄膜トランジスタ素子71M、71G、71Cに接続されており、感光性樹脂を用いて形成した微細な表面凹凸形状を有する支持層上にアルミニウム薄膜を堆積して輪郭をパターンニングしてある。反射電極68M、68G、68Cは、表面凹凸形状を平坦化する平坦化層68Hによって覆われ、平坦化層68H上に配向膜67が形成されている。
なお、視野角補償フィルム62と第1ガラス基板63との間、視野角補償フィルム62の上、または偏光板61の上に前方散乱フィルムを用いることで、同様な照明光の拡散性を持たせてもよい。前方散乱フィルムは、表面凹凸形状を形成した反射電極68M、68G、68Cと組み合わせ使用してもよいし、反射電極68M、68G、68Cを鏡面としてもよい。一方、前方散乱特性を有するフィルムの代わりにマゼンタカラーフィルタ70M、緑カラーフィルタ層70G、透明層70Cに微粒子を分散させて同様な拡散性を実現してもよい。
第1ガラス基板63と第2ガラス基板69との間には液晶層66が配置される。書き込み信号ドライバ55は、上述のデータ線を通じて、透明電極64と反射電極68との間に書き込み電圧を印加することにより、液晶層66に表示領域ごとの電界を作用させて、液晶層66のリタデーション(複屈折量)を制御する。走査信号ドライバ56は、上述のトリガー線を通じて薄膜トランジスタ素子71M、71G、71Cを制御し、反射電極68に書き込み電圧を印加するタイミングを制御する。
液晶層66には、誘電率異方性が負の液晶材料を採用して、液晶表示モードとして、いわゆるVA配向モードを用いている。すなわち、液晶層66の界面における液晶分子の配向状態を制御する配向膜65、67に垂直配向処理を施し、誘電率異方性Δεが負である液晶材料(メルク社製、型名MLC−6608)を上下の配向膜65、67の間隔に注入してある。液晶層66の厚さは、後述するように、必要なリタデーション量に応じて設定され、第1実施形態では5ミクロンである。
配向膜65、67の間隔に注入された液晶分子は、基板法線方向から1度傾いたプレチルト角を有しており、配向膜65と配向膜67とにおけるプレチルト方向には反平行の関係を持たせてある。
第1実施形態の液晶装置100は、対角12インチ、全ての表示領域の合計数は、縦が600、横が2400(=800×3)のアクティブマトリクス方式の画像表示パネルである。図1に示すように、1つの画素50は、横方向に隣接する赤色青色表示領域51、緑色表示領域52、無着色表示領域53により構成されので、縦600画素、横800画素のカラー画像表示が可能である。
そして、図2に示すように、赤色青色表示領域51にはマゼンタカラーフィルタ70M、緑色表示領域52には緑カラーフィルタ層70G、無着色表示領域53には透明層70Cが配置されている。マゼンタカラーフィルタ70M、緑カラーフィルタ層70G、透明層70Cは、フォトリソグラフィー工程によって、ストライプ状に形成されている。すなわち、所定の着色を行ったレジスト層を透明電極64上に塗布し、マスクを重ねて紫外線露光により部分的に硬化させ、未露光部分を現像除去する操作を繰り返している。このカラーフィルタの形成には上記フォトリソグラフィー工程の他にも、インクジェット方式や電着法など、公知の様々な技術を利用することができる。
そして、赤色青色表示領域51には、反射電極68Mに印加される書き込み電圧に応じた赤〜青の色相表示、緑色表示領域52には反射電極68Gに印加される書き込み電圧に応じた緑色の階調表示がそれぞれ実現される。また、無着色表示領域53には反射電極68Cに印加される書き込み電圧に応じた白〜黒の階調表示が実現される。
すなわち、緑色表示領域52と、無着色表示領域53とについては、図3に示すように、0V〜3Vの範囲で印加電圧値を制御して、液晶層66の透過率を変化させることにより、無彩色での連続階調特性(グレースケール)が得られる。また、赤色青色表示領域51については、図4に示すように、5V印加時には青色表示、3.8V印加時には赤色表示が得られるとともに、3.8V〜5.0Vの範囲で印加電圧値を制御して、青〜赤間の各種色相も表示できる。従って、図1に示す画素50は、RGB三原色の表示が可能である。
また、赤色青色表示領域51は、3V以下の領域では印加電圧の大きさに応じたマゼンタ色の連続階調の表示が得られる。従って、緑色表示領域52の明るさと赤色青色表示領域51に表示させたマゼンタ色の明るさをバランスさせて液晶層66の透過率を制御することにより、白〜黒(無彩色)の連続階調を表示できる。このとき、さらに無着色表示領域52を白色表示とすることにより、無彩色表示の明るさを一段増すことができる。
つまり、赤色青色表示領域51、緑色表示領域52、無着色表示領域53に対して共通に3.0Vを印加することで、明るい白表示を得ることができる。全面このような白表示とした液晶装置100の画面反射率は33%であり、無着色表示領域52が無い場合(図6参照)に比較してかなり明るい白表示となる。また、三原色の色純度も良好であり、きわめて高品位な画像表示パネルを得ることができる。
また、こうした3つの表示領域を1画素として取り扱うことによって、従来のRGB画素の駆動に使用される汎用3ドット反転ドライバ(画素データに応じた信号を3本の配線に出力する)を用いたときに、画素データの対応に不整合がなくなる。これにより、安価な部品で良質な画素表示装置を実現できる。
さらに、図1に示されるように、3つの表示領域を実質的に等しい面積に設定することによって、マゼンタカラーフィルタ70M、緑カラーフィルタ層70G、透明層70Cが等幅のストライプ状となる。これにより、従来用いられてきたRGB表示領域の製造に使用されるカラーフィルタパターンマスクをそのまま転用してマゼンタカラーフィルタ70M、緑カラーフィルタ層70G、透明層70Cを形成することが可能となる。
また、特許文献1に示されるように、赤色青色表示領域51を複数の表示領域に分割して赤や青の階調数を増加させた場合でも、上述した高い光利用効率のものが実現可能である。
また、赤色青色表示領域51を複数の表示領域に分割しなくても、無着色表示領域53で白〜黒の連続階調を表示することによって、隣接する赤色青色表示領域51に表示させた色相の見かけ上の明るさが変化する。従って、擬似的に赤や青の連続階調を表現でき、表示できる色数を大幅に増加できる。
なお、第1実施形態と同様な液晶装置は、広帯域円偏光板を用いなくても実現可能である。また、必ずしもVA配向モードを用いなくても、本モードは複屈折効果を示す液晶モードであれば実現可能であるので、OCB、HAN、ECB、STNなど公知の液晶モードを使用することができる。あるいは、必ずしも液晶に限らず、電気泳動型の表示素子や、微小な電気機械効果を用いた干渉表示型表示素子など、さまざまな表示素子を用いることが可能である。また、第1実施形態の説明では、無着色表示領域52、透明層70Cという表現を用いているが、透明層70Cは無色透明には限定されず、ITO電極や反射電極の分光スペクトルとの組み合わせにおいて無彩色を呈するような着色を行ってもよい。
こうした構成のカラー画像表示装置に対しても、図1に示すように、緑・マゼンタ・透明の三つの表示領域によって1つの画素を構成すれば、カラー画像表示装置の光利用効率が非常に高くなる。つまり、光源を用いない反射型ディスプレイとして用いたとしても、使用できる環境照度の制約が少なくなるため、明るい場所から暗い場所に至る幅広い照度環境において視認性の高いカラー画像表示を行うことができる。
また、後述する第5実施形態で説明するように、白表示の輝度向上のみならず、有彩色の階調数を明るい側へ1つ増やすことも可能である。つまり、無着色表示領域52で赤色表示、青色表示等、有彩色表示を行うことにより、赤色青色表示領域51だけに頼って赤色表示、青色表示等を行う場合に比較して、これらの有彩色の階調数を1つ以上増すことができる。
また、後述する第6実施形態、第7実施形態で説明するように、従来のRGB表示領域による白黒表示に比較して3倍の解像度でモノクロ画像を表示することもできる。つまり、赤色青色表示領域51、緑色表示領域52、無着色表示領域53を用いて、位置の異なる3種類の白を表示できることを利用して、従来のRGB画素構成の3倍の解像度でモノクロ画像を表示できる。
<比較例1>
第1実施形態の液晶装置100と比較すべく、対角12インチ、画素数600×800の一般的なアクティブマトリクス方式のRGB画像表示パネルを試作した。比較例1の液晶装置は、第1実施形態の液晶装置100と同一の構成部品を利用して、カラーフィルタ配置を異ならせている。画素ピッチは約300μmで、各画素は3つの表示領域に分割され、それぞれに赤・緑・青のカラーフィルタが配置されている。従って、比較例1の液晶装置の表示領域合計数は、実施形態1の液晶装置100と同じで、縦が600、横が2400(=800×3)となっている。ただし、液晶層66は、±5V電圧印加時の反射分光特性の中心波長が550nm、及びリタデーション量が138nmとなるよう、厚さを3ミクロンに設定する。
このような比較例1の液晶装置について、液晶層66への印加電圧を様々に変化させることによって画像を表示させると、RGBそれぞれの表示領域について印加電圧に応じた連続階調色が得られる。そして、RGB表示領域の輝度バランスによってフルカラー表示可能となる。しかし、全画素で白表示を行った際の画面の反射率は16%となり、第1実施形態の液晶装置100に比較して大幅に暗い画像表示となる。
<比較例2>
第1実施形態の液晶装置100と比較すべく、比較例1と同じ画像表示パネルの構成部品を用いて、ハイブリッド方式の液晶装置を試作した。比較例2の液晶装置は、対角12インチで、表示領域合計数は、縦が600、横が2400、横方向に隣接する2つの表示領域で一つの画素を構成した縦600画素、横1200画素の画像表示パネルである。そして、隣接する2つの表示領域の一方に緑色のカラーフィルタを配置し、他方は、リタデーション量による着色効果を利用するためにカラーフィルタを配さず透明のままとした。すなわち、図1に示す赤色青色表示領域51を無くして無着色表示領域53にて有彩色表示を行う構成である。
液晶層66のリタデーションは、反射型なので透過型の場合の半分であればよい。赤色表示と青色表示とができるように、無着色表示領域53の±5V電圧印加時のリタデーション量が300nmとなるよう、セル厚を5ミクロンに設定した。緑色表示領域52の条件については比較例1と同様とした。
このような比較例2の液晶装置について、液晶層66に印加する電圧を変化させて画像を表示させると、緑色表示領域52に関しては、印加電圧値に応じた透過率変化を示して連続階調特性が得られる。また、無着色表示領域53に関しては、5V印加時には青色、3.8V印加時には赤色表示となる。
従って、比較例2の液晶装置もまた三原色表示が可能であり、無着色表示領域53は、3V以下の領域では印加電圧値の大きさに応じた無彩色の連続階調を表示する。画素50を白表示するときに、無着色表示領域53に対して3.0Vを印加して白表示とすると、有彩色の緑色表示領域52は、電圧を印加しないで黒表示とするほか無い。
このようにして、全画素で白表示を行った際の画面の反射率は25%となり、比較例1に比較すれば明るいが、緑色表示領域52が白表示の明るさに寄与できないので、第1実施形態に比較すると格段に暗い画像表示となる。また、マゼンタ色のフィルタを用いていないので、図3に示すように、3.8Vにおける赤色表示は色純度が悪く、カラーディスプレイとしての品位は高くないと感じられる。
<比較例3>
ハイブリッド方式のカラー表示では、マゼンタ色と緑色との加色混合によっても白色表示を行うことができる。そこで、比較例2とはカラーフィルタ配置のみ異ならせ、緑色表示領域52と赤色青色表示領域51とを用いて白表示を行う画像表示パネルを試作した。比較例3の液晶装置では、緑表示領域52は構成と動作が比較例2とほぼ同様である。しかし、マゼンタカラーフィルタ70Mを配置した赤色青色表示領域51は、図4に示すように、5V印加時には青色表示、3.8V印加時には赤色表示、さらに、3V以下の領域では印加電圧の大きさに応じたマゼンタ色の連続階調が表示される。
従って、比較例3の液晶装置における画素50は、三原色を表示可能であり、緑表示領域52と赤色青色表示領域51との両方に対して3.0Vを印加することにより、加色混合による白表示を得ることができる。
このように構成/制御した比較例3の液晶装置で画面全体を白表示とした際の反射率は25%となり、やや明るい白表示である。また、図4で示したように、3.8Vにおける赤色表示は色純度が良好であり、カラーディスプレイとして高い表示品位を得ることができる。
以上のように試作実験を行った結果を図5に示す。図5に示すように、第1実施形態の液晶装置100は、従来のRGBカラーフィルタを用いた液晶装置に比較して格段に明るい画像表示が可能である。また、特許文献1に示されるハイブリッド方式の液晶装置に比較してもかなり明るい画像表示が可能である。そして、3つの表示領域を用いて画素表示を行うので、従来のRGBカラーフィルタを用いた液晶装置とハイブリッドな生産方法、生産設備、ドライバ部品を採用できる。従って、生産性、試作効率、品質管理等が容易で、特許文献1に示される液晶装置よりも製造コスト削減の余地が大きい。
<第2実施形態>
第1実施形態の液晶装置100を用いて画像表示を行ってみた。赤色系統の表示色を行う場合、図1に示すように、赤色青色表示領域51において3.8Vを印加して図4に示すように純色の赤色表示とし、無着色表示領域53の電圧値を0から3.0Vまで変化させて無彩色の階調表示を行った。このとき、色純度は若干変化するものの、赤色表示において、あたかも明度変調を行うことができるかのような連続的な明度階調の設定を行うことができた。
また、赤色青色表示領域51において5.0Vを印加して、図4に示すように純色の青色表示を行う場合も、同様に、無着色表示領域53の電圧値を0から3.0Vまで変化させて無彩色の階調表示を行わせることにより、ほぼ青色表示の連続階調を設定できる。
従って、赤色青色表示領域51と無着色表示領域53とを用いて、赤色〜青色間の各色相での擬似的な連続階調を得ることができ、特許文献1に示される赤色青色表示領域51を複数に分割する場合よりもきめ細かい階調設定が可能となる。
<第3実施形態>
第1実施形態の液晶装置100を用いてドット反転駆動を行う。このとき、汎用の3ドットを一まとめにして駆動を行う3ドット反転駆動用のドライバICを用いることで、良好な表示を行うことができる。
<第4実施形態>
図6は第4実施形態の液晶装置における画素の表示領域配置の説明図である。第4実施形態の液晶装置400は、マゼンタカラーフィルタ70Mが配置された赤色青色表示領域52が2つに分割される以外は第1実施形態の液晶装置100とほぼ同一に構成されている。従って、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明は省略する。また、断面構成を説明する際には図2を参照する。
第4実施形態の液晶装置400は、上述した比較例1の液晶装置に用いた、対角12インチ、全ての表示領域の合計数は縦が600、横が2400のアクティブマトリクス基板を用いる。液晶層66の厚みは5ミクロンに設定する。
図6に示すように、横方向に隣接し、面積比の異なる4つの表示領域52、51a、51b、53で一つの最小単位画素52を構成し、縦600画素、横600画素の表示パネルとする。4つの表示領域のうち一つの緑色表示領域52に緑カラーフィルタ70Gを配置し、二つの赤色青色表示領域51a、52aにはマゼンタカラーフィルタ70Ma、70Mbを配置する。最後に残る一つの無着色表示領域53にはカラーフィルタを配さず透明のままとする。二つの赤色青色表示領域51a、52aのうち、面積の大きい方を第1赤色青色表示領域51aとし、面積の小さい方を第2赤色青色表示領域51bとする。緑色表示領域52、赤色青色表示領域51a、52a、無着色表示領域53の面積比は、3:2:1:3である。
このように構成した第4実施形態の液晶装置400について、各表示電極に印加する電圧を変化させることによって画像を表示させると、緑色表示領域51Gに関しては、印加電圧値に応じた透過率変化を示し連続階調特性が得られる。また、第1赤色青色表示領域51a、第2赤色青色表示領域51bに関しては、いずれの表示領域ともに、5V印加時には青色、3.8V印加時には赤色表示となり、さらに、3V以下の領域では、印加電圧の大きさに応じたマゼンタの連続階調を表示する。従って、実施形態4の液晶装置400は三原色表示が可能である。
また、赤色の明度階調に関しては、第1赤色青色表示領域51aに0V、第2赤色青色表示領域51bに3.8V、を印加することで1/3の明るさを表示できる。第1赤色青色表示領域51aに3.8V、第2赤色青色表示領域51bに0Vを印加することで2/3の明るさを表示できる。第1赤色青色表示領域51aと第2赤色青色表示領域51bとに3.8Vを印加することで1の明るさを表示できる。従って、赤色の4階調表示を得ることができる。同様な組み合わせで印加電圧を5Vにすることで、青色の4階調表示を得ることもできる。
一方、画素52全体で無彩色を表示するときには、緑色表示領域52、第1赤色青色表示領域51a、第2赤色青色表示領域51bに対して、それぞれ3V以下の電圧を印加することによって無彩色の連続階調表示が出来る。さらに、残る無着色表示領域53に対して3Vの電圧を印加することで画素52の明るさを増すことができる。
第4実施形態の液晶装置400は、4つの表示領域ともに3.0Vを印加することで、白表示を得ることができる。この素子の反射率は33%であり、かなり明るい白表示が得られる。また、三原色の色純度も良好であり、赤・青の中間調もデジタル的に表現することが出来、きわめて高品位な画像表示パネルを得ることができる。
以上述べたように、本実施形態では、複屈折量による着色効果(ECB効果)とカラーフィルタとの組み合わせによって三原色表示が得られる液晶パネルにおいて、緑色表示領域、赤色青色表示領域の構成に加えて、透明な無着色表示領域を追加する。これによって、明るく低コストで色純度の良好な表示パネルを得ることができる。
なお、以上の説明では、専らバックライト等の自己光源を備えない反射型ディスプレイについて述べたが、これを、自己光源を有する透過型ディスプレイ、反射型ディスプレイ、半透過型ディスプレイへと応用することは容易に実現しうる。また、カラーフィルタの組み合わせとして、緑カラーフィルタとマゼンタカラーフィルタとを説明したが、赤カラーフィルタとシアンカラーフィルタとの組み合わせでも、透明画素を組み合わせることによって明るく色純度の高い表示を得ることができる。黄色カラーフィルタと青カラーフィルタとの組み合わせにおいても、透明画素を組み合わせることによって明るく色純度の高い表示を得ることができる。
また、特許文献1に記載された緑カラーフィルタ、マゼンタカラーフィルタに加えて、赤カラーフィルタ、青カラーフィルタを加えた構成に対しても、無着色表示領域を加えて複合的に制御することができる。これによって、明るく、アナログフルカラー表示が可能な各種画像表示装置を得ることができる。
<変形例>
図7は変形例の液晶装置における断面構成の説明図である。変形例の液晶装置200は、カラーフィルタが第2ガラス基板69側に配置される以外は第1実施形態の液晶装置100と同様に構成/制御される。従って、図7中、図2と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、図7で、表示電極をカラーフィルタの上に置くこともできる。このときは、表示電極を透明電極として、カラーフィルタの下や、第2ガラス基板69の下等に反射面や反射板を配置する。
<第5実施形態:無着色表示領域を用いた赤、青階調>
ここまでの説明では専ら白表示における明るさ改善について説明したが、第1実施形態の液晶装置100では、無着色表示領域53においてもリタデーション量を有彩色範囲で制御して、ECB効果による有彩色を表示させる。これにより、画素50の赤色〜青色範囲での階調数を増している。すなわち、赤色青色表示領域51と無着色表示領域53とで赤色表示(または青表示)を行うことにより、赤色青色表示領域51のみで赤色表示(または青表示)を行った場合よりも明るい1階調づつが追加される。
具体的には、無着色表示領域53と赤色青色表示領域51とをいずれもECB効果を用いた青色表示にしておけば明るい青が表示でき、いずれか一方を青色表示にして他方をオフすれば中間的な青色、両方をオフにすれば黒色表示できる。従って、青色を3階調で表示できる。つまり、図3、図4に示すように、無着色表示領域53の反射電極68Cと赤色青色表示領域51の反射電極68Mとに5Vを印加すると、明るい青色表示が可能となる。これにより、無着色表示領域53のみまたは赤色青色表示領域51のみを青色表示させた状態が中間の明度となるので、青色の3階調表示が可能となる。
同様に、無着色表示領域53と赤色青色表示領域51とをいずれもECB効果を用いた赤色表示にしておけば明るい赤が表示できる。また、いずれか一方を赤色表示にして他方をオフすれば中間的な赤色、両方をオフにすれば黒色表示できるため、赤色を3階調に表示できる。つまり、無着色表示領域53の反射電極68Cと赤色青色表示領域51の反射電極68Mとに3.8Vを印加すると、明るい赤色表示が可能となる。これにより、無着色表示領域53のみまたは赤色青色表示領域51のみを赤色表示させた状態が中間の明度となるので、赤色の3階調表示が可能となる。
なお、この場合、無着色表示領域53における赤色表示は、色純度が劣り黄色みがかった表示となるため、中間的な赤色表示の時には赤色青色表示領域51を赤色表示させて無着色表示領域53をオフにすることが好ましい。
緑・マゼンタ・透明の3つの表示領域(副画素)からなる画素構成について、第5実施形態の制御を採用すれば、緑・マゼンタの表示領域(副画素)からなる画素構成よりも表示可能な色数の多い、明るく低コストなディスプレイが実現できる。
<第6実施形態:モノクロ画像の高精細表示方法>
ところで、第1実施形態の液晶装置100では、図1に示すように、緑色表示領域52による緑色表示と赤色青色表示領域51によるマゼンタ色表示とにより画素50を白表示できる。しかし、無着色表示領域53のみを白表示して画素50を白表示することも可能である。そこで、第1実施形態の液晶装置100では、この2種類の白表示を区別して使うことでモノクロ表示における解像度を高め、高い精細度の表示を可能にしている。ここで、高い精細度の表示は、特に文書表示において有効であると考えられる。つまり漢字などの複雑な文字を有する言語の表現では高精細表示は必須である。また、単純なアルファベットなどにおいても、フォントの違いを表現したり、筆記体などの曲線を正確に表現したりするためには、高精細表示が実現できることが好ましい。こうした文書用途においては、カラー表示よりもむしろモノクロ表示が中心として用いられている。
第6実施形態の制御では、ECB効果を用いた画素構成に対して、下記のような制御方法を適用することによって、従来型のRGB画素の液晶ディスプレイに対して高い精細度のモノクロ表示を実現している。あるいは、これを応用したカラー表示を行うことが可能となる。これについて、説明する。
図8は画素単位でモノクロ表示を行った「W」の文字表示の説明図、図9は第6実施例の制御による「W」の文字表示の説明図である。図1に示す画素50は、1つの画素50に緑色表示領域51、赤色青色表示領域52、無着色表示領域53を具備している。通常は、この3つを一つの最小単位(画素50)として表示させるが、モノクロ表示の場合には、この最小単位(画素50)をさらに分割して表示させることによって、精細度の高い表示を得ている。
図8に示すように、画素単位でモノクロ表示を行って「W」の文字を表示させた場合、当然、文字の線幅は画素幅、線と線の間隔も画素幅となる。図8では、文字は白色、背景色は黒(図面上では灰色)の様子を表している。白抜きの文字の線部分では、赤色青色表示領域(51:図1)ではマゼンタ色の明度変調領域での最大輝度が得られるように電圧駆動がされている。緑色表示領域(52:図1)では、緑色の明度変調領域での最大輝度が得られるように電圧駆動がされている。無着色表示領域(53:図1)では白色の明度変調領域での最大輝度が得られるように電圧駆動がされている。これによって、3つの表示領域(51、52、53)の混色は白色表示となる。
しかし、第6実施形態の制御では、高精細モードを選択すると、図9に示すように、画素50をさらに二つに分割して白表示を行う。つまり、赤色青色表示領域(51:図1)による最大輝度のマゼンタ色表示と、緑色表示領域(52:図1)による最大輝度の緑色表示とで得られる並置加法混色の白表示と、無着色表示領域(53:図1)単独による最大輝度の白色表示とを独立して制御する。これにより、1つの画素50を用いて2画素のモノクロ表示を実現できる。言い換えれば、無着色表示領域(53:図1)を独立に制御してモノクロ表示を行うことで、無着色表示領域(53:図1)幅の線や、線と線との間隔を表示して、黒ツブレや白ツブレを避けた文字表示等を行うことができる。図9における「W」の文字は、図8と比較すると、段差がスムースになって斜めの線が忠実に再現できることがわかる。また、線幅も細くなるので、精細度の高い表示が可能となる。
ところで、このように3つの表示領域(51、52、53)を2つに分割すると、1つの無着色表示領域53のみによる白表示と、残りの2つの表示領域(51、52)による白色表示とが混在する。これにより、例えば同じ幅の2本の線を描画したつもりでも、異なった線幅で表示される。しかし、こうした線幅の違いは大きな問題にはならない。その理由は以下のとおりである。
まず、無着色表示領域53を用いて白抜き表示を行う場合、無着色表示領域53は、カラーフィルタによる吸収がない最大の光利用効率で白表示され、隣接する表示領域(51、52)は黒表示状態となっている。このため、平均として1/2の光利用効率で表示されている。これに対して、緑色表示領域52と赤色青色表示領域51とを用いた白抜き表示の場合には、緑カラーフィルタ層70Mとマゼンタカラーフィルタ層70Mの吸収によってほぼ1/2の光利用効率で表示されている。従って、視感上の白抜き線幅はほぼ等しくなり、3つの表示領域(51、52、53)を2つに分割して独立に駆動する表示方法を用いたとしても、さほど大きな違和感無く表示できる。
第6実施形態の制御によれば、第1実施形態の液晶装置100を用いて、3つの表示領域(51、52、53)を2つに分割して独立に駆動する文字表示を行うことにより、高精細な文字表示が可能となり、漢字表示が正確に出来るようになる。
第6実施形態の制御によれば、表示領域(51、52、53)の配列方向における画面の解像度は見かけ上、従来のRGBカラーフィルタ方式に対して2倍の解像度を得ることが可能となる。
<第7実施形態:モノクロ画像の別の高精細表示方法>
第1実施形態の液晶装置100は、表示領域(51、52、53)をそれぞれ独立に制御することにより、第6実施形態の制御よりも自然に表示領域(51、52、53)の配列方向における画面の解像度を増すことができる。第7実施形態の制御では、通常は、図1に示す3つの表示領域(51、52、53)を一つの最小単位(画素50)として図8に示すように画像(カラー及びモノクロ)を表示させている。しかし、モノクロ画像専用の高精細モードを設定すると、最小単位(画素50)を表示データに応じて3つに分割して独立に制御して白表示を行うことによって精細度の高い表示を行う。
図10は第7実施形態の制御による「W」の文字表示の説明図、図11は従来の画素分割による画像表示方法の説明図である。図10には、図8、図9と同様に、背景を黒色表示とし、白抜きのも文字「W」を表示させた状態を表している。第7実施形態では、以下のような表示方法を採用することによって、白い文字を表現している。
まず、図1に示すように、緑色表示領域52による緑色表示と赤色青色表示領域51によるマゼンタ色表示との加法混色により、画素50の赤色青色表示領域51側部分だけを白抜き表示できる。このとき、緑色表示領域52と赤色青色表示領域51とは明度変調領域において最大輝度を与える駆動が行われる。なお、上述したように、赤色青色表示領域51は、色相変調領域におけるマゼンタ色表示としてもよく、緑色表示画素52は、色相変調領域における緑色表示に置き換えてもよい。両者の加法混色によって白色を得る点で反射効率は同等である。
次に、緑色表示領域52による緑色表示と無着色表示領域51によるほぼマゼンタ色表示との加法混色により、画素50の無着色表示領域51側部分だけを白抜き表示できる。このとき、緑色表示領域52は、明度変調領域で最大輝度を得る等、上記と同様に駆動される。一方、無着色表示領域53は、色相変調領域においてほぼマゼンタ色となるように駆動される。
さらに、無着色表示領域53による緑色表示と隣接画素(50)の赤色青色表示領域(51)によるマゼンタ色表示との加法混色により、画素50の隣接画素(50)にまたがった部分だけを白抜き表示できる。この白抜き色表示に関して以下説明する。
図2に示す液晶層66のリタデーション変化幅が十分に大きく、複屈折効果によって緑色を表現できる場合には、無着色表示領域53を緑色に変調する一方で、赤色青色表示領域51、52は、明度変調領域における最大輝度が得られるように変調すればよい。赤色青色表示領域51、52は、色相変化領域におけるマゼンタ色表示が得られるように変調してもよい。これによって、図10に示すように、無着色表示領域(53)と隣接画素の赤色青色表示領域(51)との組み合わせによって白表示を得ることができる。
なお、図2に示す液晶層66のリタデーション変化幅が緑を得るほど大きくない場合でも、加法混色による白表示は可能である。図3に示したシアン色(xy色度図上の(0.2,0.3)近傍の表示色が得られる程度にリタデーションを大きく変調できるようにしてあればよい。そして、無着色表示領域53を上述した青色表示を越えてシアン色表示とする一方、隣接画素(50)の赤色青色表示領域(51)をシアン色の補色(赤色)となるように色相変化領域で変調すればよい。これによって、無着色表示領域53と赤色青色表示領域51との組み合わせによって白抜き表示を実現できる。
また、液晶層66のリタデーション変化幅がシアン色表示が行えるほど大きくない場合でも、無着色表示領域53は、図3に示すように、明度変調領域(0〜3.0V)と赤色表示(3.8V)との間で黄色表示が可能である。従って、この黄色と赤色青色表示領域51の青色(黄色の補色)との加法混色によって白表示を行うことも可能である。
すなわち、第1実施形態の液晶装置100は、赤色青色表示領域51を用いて青色までを表示することができ、無着色表示領域53では、純度の高い赤色は表示できないが、赤色と白色の中間状態では黄色表示が得られる。そこで、無着色表示領域53において黄色表示とし、赤色青色表示領域51において青色表示となるように駆動を行うことによって、無着色表示領域53と赤色青色表示領域51との組み合わせによる白表示が実現される。
以上述べた隣接する表示領域(51、52、53)の3通りの組み合わせによって、表示領域(51、52、53)の配列方向の3つの位置でそれぞれ高精細な白抜き表示を得ることが可能となる。これによれば、第6実施形態の制御とは違い、線幅と線間隔とはいずれも常に一定となり、第6実施形態の制御よりもさらに自然な線の描画が得られる。
第7実施形態の制御によれば、第1実施形態の液晶装置100を用いて、高精細な文字表示が可能となり、漢字表示が正確にできるようになる。さらに、2つ表示領域を1つの組とし、この組み合わせが3通り得られることから、RGB画素を用いた従来の液晶装置に比較して、3倍の解像度が得られる。
なお、類似の考え方の技術として、マイクロソフト社の「クリアタイプ」と称される技術があり、同社のオペレーションソフトウエアなどに採用されている。これは、RGBカラーフィルタがストライプ状に配置されている液晶ディスプレイにおいて、白色表示させる際に見かけ上3倍の解像度を得るものである。ここでは、図11に示すように、(1)図中最上段の「RGB」セット、(2)図中中段の「GBR」セット、(3)図中下段の「BRG」セットの3通りを適宜用いる。
しかし、このような制御では、白抜き位置を表示領域の配列方向に3段階に変化させて段差を減らしたスムースな斜め線を表示することは実現される。しかし、画素自体の大きさには変化が無いので、第6実施形態、第7実施形態のように1つの画素内に白抜き表示や黒抜き表示を配置して解像度それ自体を高めることはできない。
つまり、第6実施形態、第7実施形態の制御は、上述した通り、表示領域の色相変化領域を利用して高精細化する技術であるので、図11に示す制御と同様にスムースな斜め線を描画できるとともに、画素幅の2/3の線幅を実現できる。つまり、本発明は図11に示す制御を更に発展させた技術であると言える。
なお、第6実施形態、第7実施形態に関する上記説明では、専ら白色表示を得る表示方法について述べたが、隣接する二つの表示領域における明度変調を組み合わせることによってカラー表示へと応用することが容易に可能である。
<第8実施形態>
第1実施形態の液晶装置100を用いてタブレットPC用の表示装置を試作し、画像データに基づいて第6実施例の駆動をする書き込み信号ドライバ55を装着した。これにより、手書き入力した文字が滑らかに表示された。
<第9実施形態>
第1実施形態の液晶装置100を用いてタブレットPC用の表示装置を試作し、画像データに基づいて第7実施例の駆動をする書き込み信号ドライバ55を装着した。これにより、手書き入力した文字が滑らかに表示された。
<第10実施形態>
第1実施形態の液晶装置100を用いてCAD用のモニタ装置を試作し、画像データに基づいて第6実施例の駆動をする書き込み信号ドライバ55を装着した。これにより、明るく高精細な線画が表示された。
<第11実施形態>
第1実施形態の液晶装置100を用いてCAD用のモニタ装置を試作し、画像データに基づいて第7実施例の駆動をする書き込み信号ドライバ55を装着した。これにより、明るく高精細な線画が表示された。
以上述べたように、ECB効果とカラーフィルタとの組み合わせによって三原色表示が得られる液晶パネルにおいて、緑・マゼンタの構成に加えて、透明画素を追加することによって、明るく低コストで色純度の良好な表示パネルを得ることができる。また、この構成を用いて高精細な表示を行うことができる。
なお、以上の各実施形態の説明においては、光源を有さない反射型ディスプレイについて述べたが、これを光源を有する透過型ディスプレイ、反射型ディスプレイ、半透過型ディスプレイへと応用することは容易に実現しうる。また、カラーフィルタの組み合わせとして、本実施例では緑とマゼンタとしたが、赤とシアンとの組み合わせ、もしくは黄色と青との組み合わせにおいても透明画素を組み合わせることによって明るく色純度の高い表示を得ることができる。
また特許文献1に記載の、緑・マゼンタに加えて赤と青のカラーフィルタを加えた構成に対して、透明画素を加えることによって、明るく、アナログフルカラー表示が可能な画像表示装置を得ることができる。
<ハイブリッド型液晶装置>
電界制御複屈折効果によるカラー表示モード(以下、ECBカラーモードと称する)が、主として1970年代を中心に広く検討された。この表示を用いれば干渉色によるカラー表示ができるので、カラーフィルタを形成することなく明るいカラー表示を行うことが可能である。
しかしながら、ECBカラーモードでは純度の高い赤色表示ができなかったり、視野角特性が極めて悪かったりといった欠点が多く存在する。このため、1980年代以降はマイクロカラーフィルタ方式にとって替わられ、現在ではECBカラーモードの液晶表示素子はほとんど利用されていないのが現状である。
ところで、特許文献1には、このようなカラーフィルタ方式及びECBカラー方式のそれぞれ異なる課題を解決するための新しい表示原理が提案されている。この方式によると、ECBカラー方式とカラーフィルタ方式とを組み合わせることによって、従来のRGBカラーフィルタ方式と比較して光利用効率が高くなるため、明るい表示装置が実現可能である。
以下、この複屈折による着色現象とカラーフィルタとを組み合わせたハイブリッド型のカラー表示方式のことを本方式、もしくはハイブリッドカラー液晶モードと称する。
以下、本方式の原理について説明する。なお、本方式は特許文献1に記載のように、様々な応用例、変形例があげられるが、ここでは基本形態について説明する。
図12は、ハイブリッドカラー液晶モード基本形態に係る液晶表示素子の画素構成を示す図である。この液晶表示素子においては、図12に示すように、1つの画素10を複数の複画素(表示領域11、12)に分割している。そして、そのうちの1つの緑色表示領域12には緑カラーフィルタ20Gを重ねると共に、残る赤色青色表示領域11にはマゼンタカラーフィルタ20Mを重ねている。緑色表示領域12では、リタデーションを調節して、黒から明るい緑色までを連続的に明度を変調できる。残る赤色青色表示領域11ではリタデーションを調節して、黒から明るいマゼンタ色に至る明度変化と、マゼンタから赤を経て、さらに再びマゼンタを経て青に至る色相変化領域を用いて、その中のいずれかの色を表示させる。なお、ここでは、マゼンタ色と表現しているが、緑色と補色の関係にある表示色であればよいため、紫、青紫色などの慣用色名で表現される色のカラーフィルタを用いてもよい。
電圧印加によって液晶層のリタデーションを変化させて有彩色の色調を変調する第1の表示領域と、カラーフィルタを有し、電圧によって明度変化範囲でリタデーションを変化させてカラーフィルタの色を表示する第2の表示領域とで単位画素を構成する。なお、ここで説明した構成例では、光の三原色のうち、視感度の高い緑色を表示させる緑色表示領域12には、ECBによる着色を利用しないで緑色のカラーフィルタGを用い、赤と青だけにECBによる着色現象を利用することが特徴である。
例えば、緑カラーフィルタ20Gを配置した緑色表示領域12を暗状態とし、マゼンタカラーフィルタ20Mを配置した赤色青色表示領域11をマゼンタ色(明度変化領域の最大輝度状態)にすることにより、画素全体として白を表示することが出来る。あるいは、緑色表示領域を最大透過状態にし、マゼンタカラーフィルタ20Mを配置しない無着色表示領域(11)を有彩色領域のマゼンタ色にしてもよい。マゼンタ色は、赤(R)と青(B)の両方の色を含むので、合成の結果、白表示が得られる。
また、G単色にするには、緑色表示領域12を最大透過状態にし、赤色青色表示領域11を暗状態にする。R単色(B単色)にするには、緑色表示領域12を暗状態にし、赤色青色表示領域11のリタデーション値を赤(青)表示となるように適宜調整すればよい。例えば、偏光面を90度傾けた一対の偏光素子(クロスニコル)に挟んだ液晶層を透過型として観測する場合には、リタデーション値を450nm(600nm)にすればよい。これらを組み合わせることで、RとG、BとGの混色も得られる。
緑色表示領域12と赤色青色表示領域11とをともにリタデーション0にして暗状態とすれば黒表示が得られことはいうまでもない。なお、円偏光板を使用した一枚偏光板型反射型液晶装置の場合には、液晶層を往復で透過するので、リタデーション値はここに記載する値の半分である。
図3に示すリタデーション特性の液晶層を用いた図12に示す構成では、緑色表示領域12は、リタデーションを0から250nmの範囲で変化させる。また、赤色青色表示領域11はリタデーションを0から250nmの範囲と450nmから600nmの範囲で変化させる。通常、液晶材料は両方の表示領域で共通にするので、駆動電圧範囲を異なるように設定する。
そして、この構成では、カラーフィルタを緑色に選んだ結果、緑をリタデーションの調節で作ることが回避される。ここで、リタデーションによって得られる緑色は1300nm程度であって、極めて大きな値であるので製造上および特性上の不利を招く。しかし、緑カラーフィルタを用いる本方式を用いることによって、こうした大きなリタデーション値を用いる必要がなくなる。また、緑色は視感度が高いので、緑カラーフィルタ20Gによって純度の高い色を作ることにより、画質が向上する。
また、このように構成することにより、通常用いられる液晶表示素子と比較してセル厚を極端に厚くする必要がなくなる。例えば、透過型の場合、赤はリタデーションが450nmであって、青はリタデーションが600nmである。したがって、600nmのリタデーションを実現するためのセル厚に設定すればよいことになる。
従来のRGBカラーフィルタを用いる液晶表示素子の場合、白黒表示に必要なリタデーションは250nm程度であるので、本方式に必要なセル厚は従来の約2倍である約10ミクロンに設定すればよいことになる。
また、液晶層の応答速度はセル厚の二乗に比例するとされているが、最近の駆動技術の進展によって数ミリ秒の応答速度が実現されつつあるために、本方式で応答が約4倍の時間がかかったとしても、若干のボケは存在するものの動画表示は可能となる。また、これを反射型液晶表示素子に適用した場合には、セル厚が半分となるため応答速度はこの1/4となり、動画表示にもほぼ問題ないレベルにすることができる。
また、緑の色再現範囲は緑カラーフィルタ20Gによって決まり、かつ視感度が高いために、白色成分の透過率を犠牲にすることなく高い色再現性を実現することが可能となる。反射型の場合、従来のRGBカラーフィルタ方式において白黒表示に必要なリタデーション量と大きな差がないので、薄膜トランジスタ(TFT)等、表示領域作製プロセスを大きく変更する必要がない。
また、リタデーション変化で着色する方の赤色青色表示領域11にマゼンタなどの緑色と補色の関係にあるマゼンタカラーフィルタ20Mを配設しているので、赤色および青色の色再現範囲を大幅に広げることが可能となっている。
図4には、波長480nm〜580nmまでの透過率がゼロであり、それ以外の波長の透過率が100%となるような理想的なマゼンタカラーフィルタ20Gを配設した場合のリタデーションによる色変化の計算値を示す。
なお、図4と、マゼンタカラーフィルタ20Mを用いない場合のリタデーションによる色変化の計算値である図3とを比較してみると、図4では、色度変化の範囲が赤と青の純色(色度図の隅)近くにまで広がっている。従って、マゼンタカラーフィルタ20Mを配設することによって、赤と青の色再現範囲が広がっていることがわかる。
また、赤色から青色への変化が色度図の下辺に沿って動くので、赤色から青色への連続的な混色の変化が得られることもわかる。このように、マゼンタカラーフィルタ20Mを配設することによって、赤色と青色の色再現範囲が広がると同時に、リタデーション変化したときに中間色の連続的変化も得られる。
ところで、図12に示す液晶表示素子では、視感度特性の高い緑色表示領域12については連続階調を表示可能であるが、青色と赤色とは、ECBカラー領域における着色現象を利用している。このため、電圧によって色相が変化しても明度は変化せず、厳密な意味での階調表示はできない。
このようにECBカラー効果を用いる表示色における階調数は基本的には明暗の2値のみに限定される。しかし、従来のRGBカラーフィルタ方式と比較すると、ハイブリッド方式では、1つの画素に必要な表示領域(副画素)数を3つから2つに減らすことが可能となる。これにより、ドライバICの数が同一であったときには有効画素数が1.5倍となり、高解像度な表示が得られる。もしくは、同一の画素数を得るために必要なドライバIC数を減らすことが出来るために、低コストな画像表示パネルを得ることが可能となる。また、開口率の面からも表示領域数が少ないため有利である。
特許文献1にも示されるように、ハイブリッド型のカラー表示方式の液晶表示素子では、視感度特性の低い赤と青については、階調を有さないために、ディザなどの画像処理を用いたデジタル階調を使用することで擬似的な階調表示が可能である。また、視感度特性の高い緑表示領域12には、0から250nmの範囲で連続的な変調を与えることにより、連続的な階調を表示できる。そのために、人間の目には、階調性が大きく損なわれたようには感じられず、比較的良好なカラー画像を得ることができる。即ち、目の検知しうる階調数が少ない赤と青に限ってデジタル階調を使用することで、限られた階調数でも十分な特性を持たせることが可能となる。
なお、上記のように限られた階調数でも十分な階調性を感じさせるためにも、画素ピッチは細かい方が好ましい。つまり、人間が画素を識別できなくなる解像度という観点で、200ミクロンピッチ以下にしておくことがより望ましい。以上述べた方式に従えば、明るく、光利用効率が高く、視認上フルカラー表示が可能な液晶表示素子を実現することが可能となる。
なお、ECBカラー領域では色相変化とともに視感度が変化して見かけの明度も若干変化するので、この範囲であっても色相変化が視認上気にならない範囲では、明度変調を利用することで擬似的に階調表示を行うことも不可能ではない。
ところで、上述したとおり、RGBカラーフィルタ方式のカラー液晶表示素子は明るさに関しては相当犠牲にしながら実用化されている。一方、ハイブリッド型のカラー表示方式では、明るく、光利用効率が高く、視認上フルカラー表示が可能な極めて表示品位の高い液晶表示素子を実現することが可能である。
しかしながら、こうした明るい表示方式においても、更なる光利用効率の改善を行うことによって応用範囲が飛躍的に拡大することが期待できる。例えば、光源を有する表示素子であれば光源に使用する電力が低下できるために、従来よりも省エネルギーとなり、同じ電池で長時間の使用が可能となる。また、光源を有さない反射型表示素子の場合には、従来では使用困難であった薄暗い環境での使用が可能となる。
それとともに、更なる低コスト化が要求される。つまり、ハイブリッド型のカラー表示方式では、基本形態では、緑色とマゼンタ色の2色のカラーフィルタが用いられる。このとき、例えば、ストライプ状のカラーフィルタの場合では、緑カラーフィルタとマゼンタカラーフィルタとが交互に形成されるため、2ラインごとに1色を形成するカラーフィルタ用のマスクを新たに作製する必要がある。この新規マスクの作製によって製造コストの上昇の原因となる。
このような問題点を解決するカラー液晶表示素子は、光学的性質が外部からの変調によって制御可能な表示媒体物質を用いたカラー表示素子である。前記表示媒体物質は、無彩色の範囲で該媒体の明度が変化する明度変化制御範囲と、有彩色の範囲で該媒体の色相が変化する色相変化制御範囲とを有する。そして、該カラー表示素子は、画像情報の最小単位を表示する単位画素が、カラーフィルタを有する第1の副画素と、カラーフィルタを有する第2の副画素と、カラーフィルタを有さない第3の副画素とから構成される。第2の副画素は、電圧の印加によって前記明度変化範囲の明度で前記カラーフィルタの色を表示する。第1の副画素は、第2の副画素と補色の関係色にあるカラーフィルタ有し、電圧の印加によって前記明度変化範囲の明度で第2の副画素と補色の関係色にあるカラーフィルタの色を表示する。ならびに、第1の副画素は、電圧の印加によって前記色相変化範囲の色相に基づく有彩色を表示する。第3の副画素は、電圧の印加によって前記明度変化範囲の明度で無彩色の明度変調を行う。
なお、ここで言うカラーフィルタを有さないというのは、純度の高い特定の表示色のみを透過するカラーフィルタを有さないという意味である。例えば、ほぼ可視光領域の全波長帯に渡って透過率50%を超えるような薄膜層(例えば透明層70C:図2)が介在している場合にも、実質的には透明画素であると見なすことができる。
そして、このような液晶表示素子では、カラーフィルタを有さない透明画素を併設することによって、光利用効率の高いカラー表示素子及びカラー表示装置を提供することができる。また、第1、第2、第3の副画素の面積を実質的に等しく設定することによって、従来広く用いられてきたRGBカラーフィルタ用のフォトマスクをそのまま利用することが可能となる。つまり、RGBカラーフィルタでは3ラインごとに1色のカラーフィルタを形成するようにマスクが形成されている。これと同じマスクを利用することが可能となる。そして、従来のRGB方式のプロセスに用いられてきたカラーフィルタマスクをそのまま使うことによって新たなマスクを作製する必要が無くなり、コストダウンに寄与することができる。
<発明との対応>
液晶装置100は、複屈折量が可変であって、該複屈折量の変化により表示色を無彩色および有彩色に変化させる液晶層66を備える。そして、1つの原色を含む波長域の光を透過する緑カラーフィルタ層70Gを有して、無彩色範囲で液晶層66の複屈折量が変化する緑色表示領域52と、前記波長域以外の可視光を透過するマゼンタカラーフィルタ層70Mを有して、少なくとも有彩色範囲で液晶層66の複屈折量が変化する赤色青色表示領域51と、いずれの波長選択手段も有さず、少なくとも無彩色範囲で液晶層66の複屈折量が変化する無着色表示領域53とが1つの画素に配置されている。
従って、第1実施形態の制御を行って白表示の明るさを増し、第2実施形態、第5実施形態の制御を行って図12の画素構成よりも有彩色の階調数を増すことができる。さらに、第6実施形態、第7実施形態の制御を行ってモノクロ画像表示(白黒二階調およびグレースケール)の解像度を高めることができる。
液晶装置100は、緑カラーフィルタ層70Gを有する領域と、マゼンタカラーフィルタ層70Mを有する領域と、無着色表示領域53とがストライプ状に隣接配置されている。
従って、従来のRGB画素の画像表示装置におけるカラーフィルタ製造工程との整合性が高く、カラーフィルタ製造マスクや各種製造装置の転用が容易である。また、従来のRGB画素の画像表示装置における回路組み付け工程との整合性も高くドライバICや配線基板、組み立て装置の転用が容易である。
液晶装置100は、ストライプ状の前記領域のストライプ幅が等幅である。また、緑色表示領域52が表示する原色が緑である。
液晶装置100は、複屈折量が可変であって、該複屈折量の変化により表示色を無彩色および有彩色に変化させる液晶層66を備える。そして、無彩色範囲で液晶層66の複屈折量を変化させて緑色表示が可能な緑色表示領域52と、無彩色範囲で前記液晶層66の複屈折量を変化させてマゼンタ色表示が可能であるとともに、有彩色範囲で液晶層66の複屈折量を変化させて赤色および青色の表示が可能な赤色青色表示領域51と、無彩色範囲で液晶層66の複屈折量を変化させて白色表示が可能な無着色表示領域53とを1つの画素50に有する。
第1実施形態では、緑色表示領域52による緑色表示と赤色青色表示領域51によるマゼンタ色表示とを用いて画素50の白色表示を行った際に、無着色表示領域53の複屈折量を白色表示に制御している。これにより、緑色表示領域52による緑色表示と赤色青色表示領域51によるマゼンタ色表示とを加法混色した白色表示よりも明るい画素50の白色表示が得られた。
無着色表示領域53は、波長選択手段による損失が無い明るい白を表示できる。書き込み信号ドライバ55は、緑カラーフィルタ70Gを配置した緑色表示領域52の緑色表示と、マゼンタカラーフィルタ70Mを配置した赤色青色表示領域51のマゼンタ色表示とで白表示を行う。このとき、無着色表示領域53に白表示を行わせて、3つの表示領域で構成される1つの画素50の見かけの明るさを高める。従って、RGB画素を用いた画像表示装置に比較して2倍、図12に示す画素構成(特許文献1)に比較して30%明るい画像表示が可能となる。
第2実施形態では、緑色表示領域52と赤色青色表示領域51との少なくとも一方を用いて画素50の有彩色表示を行った際に、無着色表示領域53の複屈折量を無彩色範囲で制御して有彩色表示の見かけの階調を変化させた。これにより、赤色青色表示領域51による赤色、青色の見かけの階調数が増えて、赤色青色表示領域51と緑色表示領域52とによる画素構成よりも自然な擬似フルカラー表示が可能になった。
言い換えれば、緑色表示領域52と赤色青色表示領域51との少なくとも一方を用いて画素50の有彩色表示を行った際に、無着色表示領域53の複屈折量を無彩色範囲で制御して有彩色表示の見かけの階調数を増やしている。これにより、図12に示す画素構成(特許文献1)に比較して、赤色表示、青色表示の階調数が増える。また、必要ならば赤色〜青色間の中間色表示も同様に行って、明るく階調数が多い画素表示を行うことができる。
第5実施形態では、赤色青色表示領域51の複屈折量と無着色表示領域53の複屈折量とを同一色相に近づけて制御して、赤色青色表示領域51による画素50の有彩色表示よりも明るい有彩色表示を行った。これにより、赤色青色表示領域51だけの場合よりも明るい赤色、青色の表示が可能であるとともに、赤色青色表示領域51と無着色表示領域53とによる明るい1階調が追加されて、画素50が表示可能な合計の色数が増えた。
言い換えれば、赤色青色表示領域51の複屈折量と無着色表示領域53の複屈折量とをほぼ同一に制御して、赤色青色表示領域51による画素50の有彩色表示よりも明るい有彩色表示を行っている。従って、無着色表示領域53で無彩色表示を行う第2実施形態の制御よりも彩度の高い赤色表示、青色表示が実現され、赤色青色表示領域51のみに頼る場合よりも明るい赤色表示、青色表示が可能である。これにより、図12に示す画素構成(特許文献1)に比較して、赤色表示、青色表示の階調数が増える。また、必要ならば赤色〜青色間の中間色表示も同様に行って明るく階調数が多く、彩度の高い画素表示を行うことができる。
液晶装置100の画素50は、3つの表示領域における単独と2つの組み合わせとで同じ色相の表示が可能である。従って、同じ色相の表示でも表示領域の配列方向の異なった位置での表示が可能であり、これにより、1つの画素を分割して解像度を高めた表示が可能である。言い換えれば、緑色表示領域52と赤色青色表示領域51とで構成される特許文献1の画素に無着色表示領域53を追加したことにより、1つの画素の分割表示が可能になっている。
これに対して、従来のRGB構成の画素では、1つの画素を分割して表示を行うと必ず色相が異なる表示となってしまう。特にモノクロ二諧調の表示では、白表示がRGB同時発光となるので、1つの画素を分割することすら不可能である。
第6実施形態では、緑色表示領域52による緑色表示と赤色青色表示領域51によるマゼンタ色表示とを用いた白表示と、無着色表示領域53のみによる白表示とを用いて表示領域配列方向で位置の異なる2つの白表示を行った。従って1つの画素を用いてそれぞれ位置の異なる2つの白表示、黒表示を行うことができ、画像表示装置の解像度が2倍に高められる。
第7実施形態では、表示領域配列方向で位置の異なる3つの白表示を行った。1つ目は、緑色表示領域52による緑色表示と赤色青色表示領域51によるマゼンタ色表示とを用いた白表示である。2つ目は、緑色表示領域52による緑色表示と無着色表示領域53によるほぼマゼンタ色の表示とを用いた白表示である。3つ目は、赤色青色表示領域51による有彩色表示と無着色表示領域53によるほぼマゼンタ色の表示とを用いた白表示である。
従って、隣接する2つの画素50を用いてそれぞれ位置の異なる5つの白表示、黒表示を行うことができ、画像表示装置の解像度を3倍に高められる。例えば、隣接する4つの画素50を用いてそれぞれ位置の異なる11つの白表示、黒表示を行うこともできる。この場合、解像度は11/4倍となる。しかし、一番右端の表示領域の更に右の表示領域との組み合わせも利用可能なので、解像度は12/4=3倍となる。
液晶装置100の観察側の基板部材は、第1ガラス基板63と、第1ガラス基板63上に配置された複数の表示領域に共通な面状の透明電極64とを備える。そして、緑色の光を透過させる緑カラーフィルタ70Gと、緑と補色関係にある補色の光を透過させるマゼンタカラーフィルタ70Mと、透過光を着色しない無着色層70Cとが透明電極64上にストライプ状に配置されている。
変形例の液晶装置200の回路側の基板部材は、表示領域51、52、53ごとの薄膜トランジスタ素子71M、71G、71Cが配置された第2ガラス基板69と、第2ガラス基板69上に配置された表示領域51、52、53ごとの反射面を兼ねた反射電極68M、68G、68Cとを備える。そして、緑色の光を透過させる緑カラーフィルタ70Gと、緑と補色関係にある補色の光を透過させるマゼンタカラーフィルタ70Mと、透過光を着色しない無着層70Cとが反射電極68M、68G、68C上に等幅ストライプ状に配置されている。
液晶装置100は、表示領域51、52、53ごとの反射電極68M、68G、68Cを配置した第2ガラス基板69と、第2ガラス基板69上に配置されて、印加される電界に応じて透過光の複屈折量を変化させる液晶層66を備える。液晶層66に重なる位置関係で配置され、必要な複屈折量の光を選択透過させる偏光板61も備える。また、緑カラーフィルタ70Gを配置した表示領域である緑色表示領域52と、緑色と補色関係にあるマゼンタカラーフィルタ70Mを配置した表示領域である赤色青色表示領域51とを1つの画素50内に配置している。そして、カラーフィルタを配置しない表示領域である無着色表示領域53を画素50内に配置している。また、緑色表示領域52における複屈折量を無彩色の範囲で制御し、赤色青色表示領域51における複屈折量を少なくとも有彩色の範囲で制御し、無着色表示領域53における複屈折量を少なくとも無彩色の範囲で制御する書き込み信号ドライバ55を備えている。
従って、反射電極68に電圧を印加して液晶層66に電界を作用させることにより、液晶層66の複屈折量が制御される。そして、緑カラーフィルタ70Gを配置した緑色表示領域52では、液晶層66の複屈折量を無彩色範囲で制御して緑色の階調表示を行う。一方、マゼンタカラーフィルタ70Mを配置した赤色青色表示領域51では、液晶層66の複屈折量を有彩色範囲で制御して複数の色相を表示する。これにより、緑色の階調表示と複数の色相表示とを加色混合して、画素50の実質的なフルカラー表示が実現される。
液晶装置100の書き込み信号ドライバ55は、第6実施形態、第7実施形態で説明したように、以下の白色表示のうち少なくとも2つを用いて、画素50よりも狭い領域を区別させる画素50の分割表示を行うことができる。1つ目は、緑色表示領域52と赤色青色表示領域51とを用いた白色表示、2つ目は緑色表示領域52と無着色表示領域53とを用いた白色表示である。3つ目は、赤色青色表示領域51と無着色表示領域53とを用いた白色表示、4つ目は無着色表示領域53のみによる白色表示である。
従って、1つの画素50を2つに分割した白色/黒色表示によって2つの画素を表示することができ、RGB画素を用いた従来の画像表示装置や図12に示す画素構成の画像表示装置に比較して実質的な解像度を高めることができる。
液晶装置100の書き込み信号ドライバ55は、3つの表示領域51、52、53を用いた画素50のカラー表示と、画素50の分割表示とを切替えて実行可能である。従って、文字表示ではカラーを犠牲にして精細度を高め、画像や写真の表示では精細度を犠牲にしてフルカラー表示を楽しむことができる。