JP4773102B2 - 破骨細胞分化抑制剤、及びこれを含んでなる骨粗鬆症用薬剤 - Google Patents

破骨細胞分化抑制剤、及びこれを含んでなる骨粗鬆症用薬剤 Download PDF

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Description

本発明は、破骨細胞分化抑制剤、及びこれを含んでなる骨粗鬆症用薬剤に関し、詳しくは骨粗鬆症、ベーチェット病、薬物性骨代謝異常症、糖尿病性骨減少症などの骨代謝性疾患(骨代謝異常症)の予防または治療に用いる破骨細胞分化抑制剤、及びこれを含んでなる骨粗鬆症用薬剤に関する。
骨代謝性疾患の1つである骨粗鬆症は、現在日本では約500万〜800万人もの骨粗鬆症患者がいるといわれ、年々増え続けている。この疾患は、周知のとおりカルシウム不足が進んで骨密度が減少し、骨がスカスカになって折れやすくなる病気である。すなわち、骨には、古くなった骨を破壊すべく骨のカルシウムを溶解する破骨細胞と、破壊された骨を修復して再生する骨芽細胞の2種類がある。両者のバランスが崩れ、破骨細胞による骨の溶解(骨吸収)が骨芽細胞による骨の再生を上回ることにより、骨のカルシウム不足が進行して骨密度が減少し、そして骨粗鬆症などの骨代謝性疾患が引き起こされる。
これに対し、腸管からカルシウム吸収を増加させ、骨形成を促進する活性型ビタミンD3やカルシトリオール、骨吸収を抑制し骨形成を促進するカルシトニンやエルカトニン、あるいは骨吸収を抑制しエストロゲンのカルシトニン分泌を促進するイプリフラボンなどの治療用薬剤が用いられ、ある程度の成果が得られている(例えば特許文献1)。しかしながら、骨粗鬆症の国内罹患者数が500万〜800万人という非常に高い数字や、この疾患が患者を、特に老人を寝たきり、延いては痴呆にしてしまう原因になることから事態は深刻であり、より一層効果的な予防手段あるいは治療手段が望まれていた。
特開平7−17854号公報
骨代謝において崩れたバランスを立て直す(あるいはバランスが崩れないように予防する)ことに鑑み、本発明者は破骨細胞への分化に着目した。すなわち、破骨細胞は造血幹細胞に由来し、それから分化した破骨細胞前駆細胞が破骨細胞分化誘導因子( Receptor Activator for NF-κB Ligand, RANKL )の作用を受けて(破骨細胞前駆細胞におけるRANKL受容体にRANKLが作用して)多核化し、そして成熟破骨細胞へと分化する。そのRANKLの発現に変化もたらすことで破骨細胞への分化を抑制し、骨吸収を最小限に食い止め、これによって骨形成優勢をもたらすことで骨代謝性疾患を予防あるいは治療することが効果的であろうと考え、そのような作用を持つ(破骨細胞への分化を抑制し得るような)化合物を種々試みた。いくつかの試行錯誤を重ねた結果、本発明者はついにある種の化合物が破骨細胞への分化を抑制することを突き止め、そして本発明に至った。
本発明の破骨細胞分化抑制剤は、下記の一般式(I)で示される化合物あるいはその塩を含有してなることを特徴とする。
[但し、上記一般式(I)におけるRはメチル基またはエチル基、Rは水素原子または炭素数1〜5の直鎖または側鎖のアルキル基であって、RとRは同一であっても異なっていてもよい。]
また、本発明の骨粗鬆症用薬剤は、上記の一般式(I)で示される化合物あるいはその塩を有効成分として含有してなることを特徴とする。
本発明によれば、破骨細胞への分化に対して抑制的に働いて骨吸収を最小限に食い止め、全体的に骨形成優勢として結果的に骨代謝性疾患を予防あるいは治療することができる。別のメカニズムを持つ他の薬剤(例えば、骨芽細胞の死滅を抑制する薬剤、骨芽細胞の分化を促す薬剤など)と併用することにより、より一層骨形成優勢となり、効果的に骨代謝性疾患を予防あるいは治療することができる。
破骨細胞分化抑制剤
前述したように、本発明の破骨細胞分化抑制剤は、下記の一般式(I)で示される化合物あるいはその塩を含有してなるものである。
上記一般式(I)におけるRはメチル基またはエチル基、Rは水素原子または炭素数1〜5の直鎖または側鎖のアルキル基であって、RとRは同一であっても異なっていてもよい。以下に具体例を挙げるが、この例示でいう「ブチル」は、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルを総称したものであり、また「プロピル」は、n−プロピル、イソプロピルを総称したものである。すなわち、2−メトキシフェノール(グアヤコール)、2−メトキシ−3−メチルフェノール、2−メトキシ−3−エチルフェノール、2−メトキシ−3−プロピルフェノール、2−メトキシ−3−ブチルフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、2−メトキシ−4−エチルフェノール、2−メトキシ−4−プロピルフェノール、2−メトキシ−4−ブチルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−メトキシ−5−エチルフェノール、2−メトキシ−5−プロピルフェノール、2−メトキシ−5−ブチルフェノール、2−エトキシフェノール、2−エトキシ−3−メチルフェノール、2−エトキシ−3−エチルフェノール、2−エトキシ−3−プロピルフェノール、2−エトキシ−3−ブチルフェノール、2−エトキシ−4−メチルフェノール、2−エトキシ−4−エチルフェノール、2−エトキシ−4−プロピルフェノール、2−エトキシ−4−ブチルフェノール、2−エトキシ−5−メチルフェノール、2−エトキシ−5−エチルフェノール、2−エトキシ−5−プロピルフェノール、2−エトキシ−5−ブチルフェノールなどが挙げられる。
中でも、Rが炭素数1〜3であることが、破骨細胞への分化を抑制する能力に優れているという点で好ましく、メチル基あるいはエチル基であることがさらに好ましい。また、Rは3または4の位置に結合していることが、破骨細胞への分化を抑制する能力に優れているという点で好ましく、4の位置に結合していることがさらに好ましく、中でも、破骨細胞への分化を抑制する能力にさらに優れているという点で、グアヤコール(以下、単に「2MP」ともいう)、2−メトキシ−4−メチルフェノール(以下、単に「2M4MP」ともいう)、2−メトキシ−4−エチルフェノール(以下、単に「2M4EP」ともいう)、2−エトキシ−4−メチルフェノール(以下、単に「2E4MP」ともいう)、2−エトキシ−4−エチルフェノール(以下、単に「2E4EP」ともいう)が好ましく、その中でもグアヤコール、2M4MP、及び2M4EPが最も好ましい。なお、上記一般式(I)で示される化合物は1種類を単独で使用しても良いし、2種以上を併用することもできる。
これらグアヤコール、2M4MP、2M4EPはいずれも、木クレオソートの構成成分である( Ogata N., Baba T. Analysis of beechwood creosote by gas chromatography-mass spectrometry and high-performance liquid chromatography. Res Commun Chem Pathol Pharmacol 66,411−423(1989),ブナ木クレオソートのガスクロマトグラフィー・質量分析法および高速液体クロマトグラフィー法による分析)。緒方規男(N. Ogata)他著ファーマコロジー(Pharmacology)、46巻、(1993)、第173頁には、クレオソートが腸管運動抑制に基づく止瀉作用を有する旨記載されている。また、医薬品製造指針(日本公定書協会編)1988年版第240頁の胃腸薬製造承認基準において、V欄の止瀉薬の区分中1項の殺菌剤として収載されている。また、伊藤宏著「薬理学」((株)蛍光堂、1983年1月5日改訂第6版発行)第416頁にも、木クレオソートは腸内防腐に用いるほか、吸入適応により去痰作用を示す旨記載され、日本薬局方でも、去痰、腸内異常醗酵、食中毒などに用いる旨記載されている。ザ・ユナイテッド・ステーツ・ディスペンサトリー(The United States Dispensatory)、27th ed.(1973)、第355頁にも、木クレオソートは、外用として殺菌剤、内用として去痰剤として使用される旨記載されている。
塩の形態
また、本発明の破骨細胞分化抑制剤は、塩基を用いた塩の形態とすることも可能である。用いる塩としては、薬学的に(薬剤学的に)許容し得る塩であれば特に限定するものではなく、例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リチウムなどの金属塩、アミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)との塩あるいはアンモニウム塩などが挙げられる。
骨代謝性疾患
本発明の破骨細胞分化抑制剤を用いる対象疾患名としては、例えば骨粗鬆症、高カルシウム血症、ベーチェット病、薬物性骨代謝異常症、糖尿病性骨減少症などの骨代謝性疾患が挙げられる。
使用量
本発明の破骨細胞分化抑制剤の投与量(使用量)については、対象となる動物の種類あるいは性別、年齢、症状の程度によって変わるので一概にはいえないが、ヒトにおける経口投与あるいは直腸内投与(坐剤)の場合は、およそのところ1日当たり成人体重1kgに対して0.1〜10mgであり、0.5〜5mgであることが好ましく、また注射剤としての投与の場合には、1日当たり成人体重1kgに対して0.05〜5mgであり、0.25〜2.5mgであることが好ましい。これらの1日量を1回でまたは分2〜分4、あるいはそれ以上の回数に分けて投与することができる。
剤型
本発明の破骨細胞分化抑制剤は、医療用薬剤における一般的な形態で以て使用される。一般的な形態としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、顆粒剤、トローチ剤、チュアブル剤、内服液剤や、注射剤(血管内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与など)、あるいは坐剤などが挙げられる。錠剤、顆粒剤、散剤の形態に調製する際には、従来公知の担体を広く使用でき、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、澱粉、結晶セルロース等の賦形剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等の結合剤、例えば、澱粉、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等の崩壊剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸などの滑沢剤が使用できる。錠剤には、必要に応じて、通常の剤皮を施すこともでき、例えば、糖衣錠、フィルムコーティング錠等とすることができ、さらに二層錠、多層錠としてもよい。また、顆粒剤や散剤も通常の剤皮を施すことができる。
本発明の一実施例を以下に説明するが、本発明はこれによって限定されない。
破骨細胞への分化誘導(図1参照)
破骨細胞への分化誘導を従来公知の方法によって行った。すなわち、6週齢マウスから大腿骨と脛骨を摘出し、骨髄細胞を回収後、マクロファージ・コロニー刺激因子(macrophage colony stimulating factor、M−CSF)10ng/ml存在下で10%牛胎子血清(FBS)を含むα−MEM中で培養した。24時間後に上清を回収したのち、遠心分離処理を行い、破骨前駆細胞を含む単球画分を採取した。これをα−MEMに投入し懸濁させたのちFicoll試薬の上に積層し、そして密度勾配遠心分離法(500×g・15分間)により調製した単球画分をM−CSFおよびRANKLの存在下で5日間培養した。培養5日目においては、細胞に酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(tartrate-resistant alkaline phosphatase,TRAP)染色を行って破骨細胞を確認した。
適切な細胞密度の検討(図2)
以降の実験において、破骨細胞をTRAP染色して観察する際、どの程度の密度の時に破骨細胞の成熟が適切かを判断するため、3種の細胞密度( 1×10cells/cm,1×10cells/cm,1×10cells/cm)に調整した破骨前駆細胞を5日間培養した後、TRAP染色して観察した。その結果、1×10cells/cmの場合に成熟した破骨細胞数が最も多いことが分かり、以降の実験における破骨細胞の観察もこの密度(1×10cells/cm)で行うこととした。
M−CSFとRANKLの濃度と培養期間(図3と図4)
密度勾配遠心分離法(500×g・15分間)により調製した単球画分を5日間培養、M−CSFおよびRANKLの存在下で培養するに際し、M−CSFとRANKLの各々の濃度をどの程度にするのが最も効果的かを調べるべく、M−CSFとRANKLの濃度(ng/ml)を種々設定(M−CSF/RANKL=0/20,20/0,10/10,20/20,20/50及び20/100)して培養を行った。その結果、M−CSF/RANKL=20(ng/ml)/50(ng/ml)あるいは20(ng/ml)/100(ng/ml)とした場合に破骨細胞への分化が顕著であることが分かったので、以下の実験において、M−CSF/RANKL=20(ng/ml)/50(ng/ml)の濃度で行うこととした。
また、M−CSFおよびRANKLの存在下での単球画分の培養期間を5日間としたのは、培養1日目〜5日目の細胞をTRAP染色して各々の分化状況を観測した結果、培養5日目の系が最も顕著であったので、以下の実験においてM−CSFとRANKLの存在下での単球画分の培養期間を5日間とした(図4参照)。
破骨細胞の確認(図5〜図8)
培養された(単球画分から誘導した)細胞が破骨細胞であるかどうかの確認試験を行った。すなわち、M−CSF存在下(10ng/ml)、10%FBSを含むα−MEM中で24時間培養した細胞(0日目)、及びそれよりM−CSFとRANKL共存下で1日培養後〜6日培養後の細胞におけるmRNAをそれぞれ抽出し(図5参照)、RT−PCR法により半定量を行った(このときに用いたプライマーを図6に示す)。図7に示すとおり、全ての破骨細胞遺伝子マーカーの培養後期における著明な発現が確認できた。
また、上記と同様、0日目の細胞およびそれより1日培養後〜6日培養後の各々の細胞における破骨細胞遺伝子マーカーの定量を、RT−PCR法により行った。結果を図8に示す(6日目の発現量を100%とした相対値で表している)。これらの結果から、骨髄から採取した単球画分を破骨細胞に誘導できたことが確認できた。
単球画分から破骨細胞への分化抑制試験[1](図9および図10)
単球画分から破骨細胞へ分化させる培養において、グアヤコール(2MP)、2−メトキシ−4−メチルフェノール(2M4MP)、及び2−メトキシ−4−エチルフェノール(2M4EP)の存在がどのような影響をもたらすかについて実験を行った。
すなわち、M−CSF(10ng/ml)存在下、10%FBSを含むα−MEM中で24時間培養したのち(図1および図9参照)、2MP(1mM)、2M4MP(1mM)、及び2M4EP(1mM)を加えた培養液(M−CSF/RANKL=20(ng/ml)/50(ng/ml)含有)中で培養した。
培養5日後における破骨細胞の状況をTRAP染色を行って観察した。結果を図10に示す。この図から、単球画分から破骨細胞への分化を、2MP、2M4MP、及び2M4EPが抑制したことが分かる。
単球画分から破骨細胞への分化抑制試験[2](図11〜図13)
2MP、2M4MP、及び2M4EPの濃度を変更したという以外は上記分化抑制試験[1]と同様にして培養を行った。具体的には、2MP、2M4MP、及び2M4EPの濃度をそれぞれ、10−6M、10−5M、10−4M、10−3Mとして培養を行い、分化した破骨細胞数をTRAP染色して数えた(図11〜図13参照)。なお、図では、2MP、2M4MP、及び2M4EPの濃度を0とした場合の染色陽性破骨細胞数を100とした相対数値(%)で表した。
骨粗鬆症への適用(in vivo動物実験)
冒頭でも述べたように、生体には骨を溶かしてカルシウムを血液中に放出する破骨細胞と、血中カルシウムから骨を形成する骨芽細胞のバランスによって、血中カルシウム濃度と骨密度を維持している。女性ホルモンはこの働きに大きな影響を与えており、更年期に女性ホルモンが減少すると、破骨細胞が増加して骨からのカルシウムの溶出、尿中へのカルシウム排出が増加する。これにより、急激に骨密度が減少し、骨粗鬆症を引き起こして頻繁な骨折や日常的な痛みが起こる。
以下の実験では、卵巣摘出手術を行った雌性マウス(女性ホルモンの分泌を強制的に減らして更年期を想定したマウス)における骨粗鬆症予防効果を本発明の破骨細胞分化抑制剤を用いて確認した。
すなわち、8週齢雌性マウスに、図14の如く従来公知の方法で卵巣摘出手術を施した。このモデルマウスに、図15のプロトコールで示すように術後1日目から週3回、2M4MP、及び2M4EPを0.17mg/kg経口投与し、術後4週目(28日後)に体重と骨密度を測定した。なお、骨密度は、摘出骨(脛骨、大腿骨)を70%エタノールで4日間固定し、この摘出骨に軟X線を照射するSEXA法(Single Energy X-ray Absorptiometry、単一エネルギーX線吸収法)で測定した(測定機器:アロカ社製、DCD−600R)。比較対照のため、コントロール群(開腹後、そのまま(卵巣摘出せずに)縫合し、縫合後も薬剤投与をしなかった群。以下、「Sham」という)と、卵巣を摘出し、2M4MP及び2M4EPを投与しなかった群(以下、「OVX」という。なお、OVXは、ovariectomizedの略)を作成した。
結果を図16(体重)、図17(骨密度<脛骨>)、及び図18(骨密度<大腿骨>)に示す。図16から、Shamはもちろんのこと、各モデルマウスは4週後(28日後)も健康体であったことがわかる。そして、図17および図18から、卵巣を摘出して女性ホルモンの分泌を強制的に抑えたマウスにおいて、OVXでは骨密度が減少する反面、2M4MPおよび2M4EPを投与したグループでは、大腿骨、脛骨ともに骨密度の有意な(Shamと同レベルの)維持(回復)が認められた。したがって、本発明の有効成分である破骨細胞分化抑制剤は、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患の予防薬あるいは治療薬として有効であり、これらを日常的に摂取すれば、前記骨代謝性疾患の予防あるいは治療として十分にその効果が期待される。
以下に本発明の破骨細胞分化抑制剤を含んだ製剤例の一例を示すが、これによって限定するものではない。
製剤例1(丸剤)
(処方1)
2MP、2M4MPまたは2M4EP 5mg
カンゾウ 25mg
グリセリン 10mg
常水 50mg
下記処方の各成分を練合し、その丸剤塊を切丸機で分割し、製丸機で成丸し、1丸中に本発明の破骨細胞分化抑制剤5mgを含有する丸剤を調製した。
製剤例2(硬カプセル剤)
(処方2)
2MP、2M4MPまたは2M4EP 10mg
デンプン 250mg
2MP、2M4MPまたは2M4EPとデンプンを混合して混合末とし、硬カプセルに充填して1カプセル中に本発明の破骨細胞分化抑制剤10mgを含有する硬カプセル剤を調製した。
製剤例3(軟カプセル剤)
(処方3)
2MP、2M4MPまたは2M4EP 10mg
オリーブ油 200mg
2MP、2M4MPまたは2M4EPとオリーブ油に溶解して溶液を得、ソフトカプセルに充填して、1カプセル中に本発明の破骨細胞分化抑制剤10mgを含有する軟カプセル剤を調製した。
製剤例4(錠剤)
(処方4)
2MP、2M4MPまたは2M4EP 20mg
乳糖 250mg
メチルセルロース 3mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
カルボキシメチルセルロース 10mg
上記処方のステアリン酸マグネシウム以外の各成分を混合し、これを水と混練して顆粒とし、この顆粒を乾燥後、ステアリン酸マグネシウムと混合して圧縮成型するか、あるいは上記処方の各成分を混合して直接圧縮成型し、1錠285mgの錠剤を調製した。
本発明によれば、単球画分から破骨細胞への分化を最小限に食い止めることができるので(破骨細胞数の減少をもたらすことができるので)、全体的には骨形成優勢となり、結果的に骨代謝性疾患を予防あるいは治療することができる。単独での使用でも構わないし、別のメカニズムを持つ他の薬剤(例えば、骨芽細胞を活性化する薬剤)と併用することにより、より一層骨形成優勢となり、効果的に骨代謝性疾患を予防あるいは治療することができる。
破骨細胞の培養方法を示した略示説明図である。 観察のために最も適した細胞密度を1×10cells/cmとした根拠を示す図であり、上3つはTRAP染色前(左から、1×10cells/cm,1×10cells/cm,1×10cells/cm)、下3つはTRAP染色後(左から、1×10cells/cm,1×10cells/cm,1×10cells/cm)の図である。 M−CSF(ng/ml)/RANKL(ng/ml)の濃度を変えて培養(分化誘導)を行い、誘導した細胞をTRAP染色した図であり、その濃度(ng/ml)は上段左から、0/20,20/0,下段左から、20/20,20/50,20/100である。 M−CSF/RANKLの濃度を20(ng/ml)/50(ng/ml)として培養(分化誘導)を行い、誘導した細胞の1日目(上段左)、2日目(上段中)、3日目(上段右)、4日目(下段左)、5日目(下段中)の図であり、下段右は、培養5日目の細胞をTRAP染色した図である。 単球画分から誘導した細胞が破骨細胞であることを確認すべく、所定のタイミングで細胞を取り出す(延いては、mRNAを抽出する)プロトコールを示した説明図である。 RT−PCR法で遺伝子マーカーの半定量を行う際に用いたプライマーを示す図である。 破骨細胞遺伝子マーカーの存在をRT−PCR法で半定量した結果の図である。 破骨細胞遺伝子マーカーの存在を、その発現量で以て定量的に表したグラフ図である。 単球画分から破骨細胞へ分化させる培養において、グアヤコール(2MP)、2−メトキシ−4−メチルフェノール(2M4MP)、及び2−メトキシ−4−エチルフェノール(2M4EP)の存在がどのような影響をもたらすかについての実験を行うプロトコールの図である。 前図のプロトコールで培養を進めた5日後の細胞をTRAP染色し、コントロール(2MP,2M4MPまたは2M4EPの濃度ゼロ)の場合と比較した図である。 5日間、2MPを持続曝露させて破骨細胞への分化(誘導)を行ったときの結果を示すグラフ図である。 5日間、2M4MPを持続曝露させて破骨細胞への分化(誘導)を行ったときの結果を示すグラフ図である。 5日間、2M4EPを持続曝露させて破骨細胞への分化(誘導)を行ったときの結果を示すグラフ図である。 卵巣摘出手術の概要とその後の測定に関する略示説明図を示す。 2M4MP、及び2M4EPの存在がどのような影響をもたらすかについての実験を行うプロトコールの図である。 卵巣摘出からの経時的な体重の変化を示したグラフ図である。 脛骨の骨密度の測定値を示したグラフ図である。 大腿骨の骨密度の測定値を示したグラフ図である。

Claims (4)

  1. 2−メトキシ−4−メチルフェノール、2−メトキシ−4−エチルフェノール、及び2−エトキシ−4−メチルフェノールからなる群より選択された少なくとも1種、あるいはその塩を含有してなることを特徴とする破骨細胞分化抑制剤。
  2. 1日当たり成人体重1kgに対して0.1〜10mgを経口投与あるいは直腸内投与するか、または、1日当たり成人体重1kgに対して0.05〜5mgを注射剤として投与するものであり、
    錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、トローチ剤、チュアブル剤、内服液剤、注射剤、あるいは坐剤の形態に調製されたことを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞破壊抑制剤。
  3. 2−メトキシ−4−メチルフェノール、2−メトキシ−4−エチルフェノール、及び2−エトキシ−4−メチルフェノールからなる群より選択された少なくとも1種、あるいはその塩を含有してなることを特徴とする骨粗鬆症用薬剤。
  4. 1日当たり成人体重1kgに対して0.1〜10mgを経口投与あるいは直腸内投与するか、または、1日当たり成人体重1kgに対して0.05〜5mgを注射剤として投与するものであり、
    錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、トローチ剤、チュアブル剤、内服液剤、注射剤、あるいは坐剤の形態に調製されたことを特徴とする請求項3に記載の軟骨細胞破壊抑制剤。
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