しかしながら、特許文献1には、インク削減量が設定された場合に、印刷を行う画像の明度と彩度とをどのようにして設定するかが開示されていない。従って、インク削減量が設定された場合に、いかなる画像処理を行うかが不明であるという問題点があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、設定されたインク削減率に応じて適切な画像処理を行うことができる画像処理プログラムおよび画像処理装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、本発明の態様1の画像処理プログラムは、画像情報を入力する入力ステップと、インクを用いて所定の記録媒体に印刷を行う印刷手段におけるインク削減率を設定し、その設定されたインク削減率に応じて前記入力ステップにより入力された画像情報を補正する補正ステップと、をコンピュータに実行させ、前記補正ステップは、前記入力ステップにより入力された画像情報の明度および彩度の各値を求める変換ステップと、前記設定されたインク削減率に応じて、インク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶する補正テーブルを参照することにより、明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する変更ステップと、を備える。
態様2の画像処理プログラムは、態様1の画像処理プログラムにおいて、前記変更ステップは、前記補正テーブルを参照することにより取得した明度および彩度の各変更量と前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値についてそれぞれ演算を行う演算ステップと、その演算ステップにより演算された値が所定値を超える場合は、その所定値を超えない値とする制限ステップとを備えている。
態様3の画像処理プログラムは、態様1または2の画像処理プログラムにおいて、前記補正テーブルは、前記設定されたインク削減率の増加に応じて、明度および彩度の各値について共に増加する変更量を記憶する。
態様4の画像処理プログラムは、態様1から3のいずれかの画像処理プログラムにおいて、前記補正テーブルは、画像情報の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、前記変更ステップは、前記入力ステップにより入力された画像情報の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様5の画像処理プログラムは、態様4の画像処理プログラムにおいて、前記補正テーブルは、画像情報の種類と前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類とに応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、前記変更ステップは、前記入力ステップにより入力された画像情報の種類と前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様6の画像処理プログラムは、態様4または5の画像処理プログラムにおいて、前記入力ステップにより入力された画像情報の種類を検出する画像種類検出ステップを備え、前記変更ステップは、前記画像種類検出ステップにより検出された画像情報の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様7の画像処理プログラムは、態様1から3のいずれかの画像処理プログラムにおいて、前記補正テーブルは、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、前記変更ステップは、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様8の画像処理プログラムは、態様7の画像処理プログラムにおいて、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類を設定する記録媒体設定ステップを備え、前記変更ステップは、前記記録媒体設定ステップにより設定された記録媒体の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様9の画像処理プログラムは、態様1から8のいずれかの画像処理プログラムにおいて、インク削減率をユーザの入力に基づいて設定するインク削減率設定ステップを備え、前記変更ステップは、前記インク削減率設定ステップにより設定されたインク削減率に応じて、前記補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様10の画像処理プログラムは、態様1から9のいずれかの画像処理プログラムにおいて、前記入力ステップにより入力された画像情報の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定ステップを備え、前記変更ステップは、前記インク削減率設定ステップにより設定されたインク削減率に応じて、前記補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様11の画像処理プログラムは、態様1から10のいずれかの画像処理プログラムにおいて、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定ステップを備え、前記変更ステップは、前記インク削減率設定ステップにより設定されたインク削減率に応じて、前記補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様12の画像処理装置は、画像情報を入力する入力手段と、インクを用いて所定の記録媒体に印刷を行う印刷手段におけるインク削減率を設定し、その設定されたインク削減率に応じて前記入力手段により入力された画像情報を補正する補正手段と、インク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量が登録された補正テーブルを記憶する補正テーブル記憶手段と、を備え、前記補正手段は、前記入力手段により入力された画像情報を明度、色相、彩度の各値に変換する変換手段と、前記設定されたインク削減率に応じて、前記補正テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する変更手段と、を備える。
態様13の画像処理装置は、態様12の画像処理装置において、前記変更手段は、前記補正テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルを参照することにより取得した明度および彩度の各変更量と前記変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値についてそれぞれ演算を行う演算手段と、その演算手段により演算された値が所定値を超える場合は、その所定値を超えない値とする制限手段とを備えている。
態様14の画像処理装置は、態様12または13の画像処理装置において、前記補正テーブル記憶手段に記憶される補正テーブルは、前記設定されたインク削減率の増加に応じて、明度および彩度の各絶対値が共に増加する変更量を記憶する。
態様15の画像処理装置は、態様12から14のいずれかの画像処理装置において、前記補正テーブル記憶手段は、画像情報の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、前記変更手段は、前記入力手段により入力された画像情報の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様16の画像処理装置は、態様15の画像処理装置において、前記補正テーブル記憶手段は、画像情報の種類と前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類とに応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、前記変更手段は、前記入力手段により入力された画像情報の種類と前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様17の画像処理装置は、態様15または16の画像処理装置において、前記入力手段により入力された画像情報の種類を検出する画像種類検出手段を備え、前記変更手段は、前記画像種類検出手段により検出された画像情報の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様18の画像処理装置は、態様12から14のいずれかの画像処理装置において、前記補正テーブル記憶手段は、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、前記変更手段は、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様19の画像処理装置は、態様18の画像処理装置において、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類を設定する記録媒体設定手段を備え、前記変更手段は、前記記録媒体設定手段により設定された記録媒体の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様20の画像処理装置は、態様12から19のいずれかの画像処理装置において、インク削減率をユーザの入力に基づいて設定するインク削減率設定手段を備え、前記変更手段は、前記インク削減率設定手段により設定されたインク削減率に応じて、前記補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様21の画像処理装置は、態様12から20のいずれかの画像処理装置において、前記入力手段により入力された画像情報の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定手段を備え、前記変更手段は、前記インク削減率設定手段により設定されたインク削減率に応じて、前記補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様22の画像処理装置は、態様12から21のいずれかの画像処理装置において、前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定手段を備え、前記変更手段は、前記インク削減率設定手段により設定されたインク削減率に応じて、前記補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する。
態様1の画像処理プログラムによれば、入力ステップにより入力された画像情報を明度および彩度の各値に変換する変換ステップと、設定されたインク削減率に応じて、インク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶する補正テーブルを参照することにより変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する変更ステップとを備えているので、設定されたインク削減率に応じて適切な画像処理を行うことができる。よって、設定されたインク削減率が確保されるとともに、インクの削減に伴う画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様2の画像処理プログラムによれば、態様1の画像処理プログラムの奏する効果に加え、変更ステップは、補正テーブルを参照することにより取得した明度および彩度の各変更量と変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値についてそれぞれ演算を行う演算ステップと、その演算ステップにより演算された値が所定値を超える場合は、その所定値を超えない値とする制限ステップとを備えているので、簡単な演算により、明度と彩度とを変更することができるとともに、画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様3の画像処理プログラムによれば、態様1または2の画像処理プログラムの奏する効果に加え、補正テーブルは、設定されたインク削減率の増加に応じて、明度および彩度の各絶対値が共に増加する変更量を記憶するので、明度と彩度との変更量が適切な値に設定され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様4の画像処理プログラムによれば、態様1から3のいずれかの画像処理プログラムの奏する効果に加え、補正テーブルは、画像情報の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、変更ステップは、入力ステップにより入力された画像情報の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、設定されたインク削減率に応じて、画像情報の種類に適した明度および彩度の変更量が取得され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様5の画像処理プログラムによれば、態様4の画像処理プログラムの奏する効果に加え、補正テーブルは、画像情報の種類と印刷手段により印刷される記録媒体の種類とに応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、変更ステップは、入力ステップにより入力された画像情報の種類と印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて前記変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、設定されたインク削減率に応じて、画像情報の種類と記録媒体の種類に適した明度および彩度の変更量が取得され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様6の画像処理プログラムによれば、態様4または5の画像処理プログラムの奏する効果に加え、入力ステップにより入力された画像情報の種類を検出する画像種類検出ステップを備え、変更ステップは、画像種類検出ステップにより検出された画像情報の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザが画像情報の種類を設定する手間が省けるとともに、画像の種類に応じた適切なインク削減率を設定することができるという効果がある。また、一つのページあるいは、ファイルに複数の種類の画像情報が存在する場合に、それぞれの部分に応じた適切な補正を行うことができるという効果がある。
態様7の画像処理プログラムによれば、態様1から3のいずれかの画像処理プログラムの奏する効果に加え、補正テーブルは、印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、変更ステップは、印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、設定されたインク削減率に応じて、記録媒体の種類に適した明度および彩度の変更量が取得され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様8の画像処理プログラムによれば、態様7の画像処理プログラムの奏する効果に加え、印刷手段により印刷される記録媒体の種類を設定する記録媒体設定ステップを備え、変更ステップは、記録媒体設定ステップにより設定された記録媒体の種類に対応する補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザが任意に選択した光沢紙または普通紙などの記録媒体の種類に応じて適切なインク削減率に応じた画像の補正を行うことができる。また、プリンタドライバなどのプログラムでは、記録媒体の種類を任意に設定し、その記録媒体の種類に応じたプロファイル変換などの処理が行われるので、記録媒体の種類を任意に設定する手数が増えることはなく、設定が容易であるという効果がある。
態様9の画像処理プログラムによれば、態様1から8のいずれかの画像処理プログラムの奏する効果に加え、インク削減率をユーザの入力に基づいて設定するインク削減率設定ステップを備え、変更ステップは、インク削減率設定ステップにより設定されたインク削減率に応じて、補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザが任意にインク削減率を設定することができ、その設定されたインク削減率に応じて画像の劣化を抑制した適切な画像の補正処理が行われるという効果がある。
態様10の画像処理プログラムによれば、態様1から9のいずれかの画像処理プログラムの奏する効果に加え、入力ステップにより入力された画像情報の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定ステップを備え、変更ステップは、インク削減率設定ステップにより設定されたインク削減率に応じて、補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザがインク削減率を設定する必要が無く、画像情報の種類に応じた適切なインク削減率が設定され、そのインク削減率に応じて画像の劣化を抑制した適切な画像の補正処理が行われるという効果がある。
態様11の画像処理プログラムによれば、態様1から10のいずれかの画像処理プログラムの奏する効果に加え、印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定ステップを備え、変更ステップは、インク削減率設定ステップにより設定されたインク削減率に応じて、補正テーブルを参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザがインク削減率を設定する必要が無く、記録媒体の種類に応じた適切なインク削減率が設定され、そのインク削減率に応じて画像の劣化を抑制した適切な画像の補正処理が行われるという効果がある。
態様12の画像処理装置によれば、設定されたインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量が登録された補正テーブル記憶する補正テーブル記憶手段と、入力手段に入力された画像情報を明度、色相、彩度の各値に変換する変換手段と、設定されたインク削減率に応じて、補正テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルを参照することにより変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更する変更手段とを備えているので、設定されたインク削減率に応じて適切な画像処理を行うことができる。よって、設定されたインク削減率が確保されるとともに、インクの削減に伴う画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様13の画像処理装置によれば、態様12の画像処理装置の奏する効果に加え、変更手段は、補正テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルを参照することにより取得した明度および彩度の各変更量と変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値についてそれぞれ演算を行う演算手段と、その演算手段により演算された値が所定値を超える場合は、その所定値を超えない値とする制限手段とを備えているので、簡単な演算により、明度と彩度とを変更することができるとともに、画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様14の画像処理装置によれば、態様12または13の画像処理装置の奏する効果に加え、補正テーブル記憶手段に記憶される補正テーブルは、設定されたインク削減率の増加に応じて、明度および彩度の各絶対値が共に増加する変更量を記憶するので、明度と彩度との変更量が適切な値に設定され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様15の画像処理装置によれば、態様12から14のいずれかの画像処理装置の奏する効果に加え、補正テーブル記憶手段は、画像情報の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、変更手段は、入力手段により入力された画像情報の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、設定されたインク削減率に応じて、画像情報の種類に適した明度および彩度の変更量が取得され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様16の画像処理装置によれば、態様15の画像処理装置の奏する効果に加え、補正テーブル記憶手段は、画像情報の種類と印刷手段により印刷される記録媒体の種類とに応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、変更手段は、入力手段により入力された画像情報の種類と前記印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、設定されたインク削減率に応じて、画像情報の種類と記録媒体の種類に適した明度および彩度の変更量が取得され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様17の画像処理装置によれば、態様15または16の画像処理装置の奏する効果に加え、入力手段により入力された画像情報の種類を検出する画像種類検出手段を備え、変更手段は、画像種類検出手段により検出された画像情報の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザが画像情報の種類を設定する手間が省けるとともに、画像の種類に応じた適切なインク削減率を設定することができるという効果がある。また、一つのページあるいは、ファイルに複数の種類の画像情報が存在する場合に、それぞれの部分に応じた適切な補正を行うことができるという効果がある。
態様18の画像処理装置によれば、態様12から14のいずれかの画像処理装置の奏する効果に加え、補正テーブル記憶手段は、印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率に対応して明度および彩度の各値を変更する変更量を記憶し、変更手段は、印刷手段により印刷される記録媒体の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、設定されたインク削減率に応じて、記録媒体の種類に適した明度および彩度の変更量が取得され、インクの削減による画質の劣化を抑制することができるという効果がある。
態様19の画像処理装置によれば、態様18の画像処理装置の奏する効果に加え、印刷手段により印刷される記録媒体の種類を設定する記録媒体設定手段を備え、変更手段は、記録媒体設定手段により設定された記録媒体の種類に対応する補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換手段により求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザが任意に選択した光沢紙または普通紙などの記録媒体の種類に応じて適切なインク削減率に応じた画像の補正を行うことができる。また、プリンタドライバなどのプログラムでは、記録媒体の種類を任意に設定し、その記録媒体の種類に応じたプロファイル変換などの処理が行われるので、記録媒体の種類を任意に設定する手数が増えることはなく、設定が容易であるという効果がある。
態様20の画像処理装置によれば、態様12から19のいずれかの画像処理装置の奏する効果に加え、インク削減率をユーザの入力に基づいて設定するインク削減率設定手段を備え、変更手段は、インク削減率設定手段により設定されたインク削減率に応じて、補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザが任意にインク削減率を設定することができ、その設定されたインク削減率に応じて画像の劣化を抑制した適切な画像の補正処理が行われるという効果がある。
態様21の画像処理装置によれば、態様12から20のいずれかの画像処理装置の奏する効果に加え、入力手段により入力された画像情報の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定手段を備え、変更手段は、インク削減率設定手段により設定されたインク削減率に応じて、補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザがインク削減率を設定する必要が無く、画像情報の種類に応じた適切なインク削減率が設定され、そのインク削減率に応じて画像の劣化を抑制した適切な画像の補正処理が行われるという効果がある。
態様22の画像処理装置によれば、態様12から21のいずれかの画像処理装置の奏する効果に加え、印刷手段により印刷される記録媒体の種類に応じてインク削減率を設定するインク削減率設定手段を備え、変更手段は、インク削減率設定手段により設定されたインク削減率に応じて、補正テーブル記憶手段を参照することにより明度および彩度の各値を変更する変更量を取得し、その変更量に基づいて変換ステップにより求められた画像情報の明度および彩度の各値について変更するので、ユーザがインク削減率を設定する必要が無く、記録媒体の種類に応じた適切なインク削減率が設定され、そのインク削減率に応じて画像の劣化を抑制した適切な画像の補正処理が行われるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像処理プログラムが実行される画像処理装置として機能するパーソナルコンピュータ(以下単に「PC」と略す)10と、このPC10に接続されたプリンタ20との電気的構成を示すブロック図である。
PC10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、ハードディスクドライブ(以下「HDD」と称す)14と、操作部15と、表示装置であるLCD(液晶ディスプレイ)16と、プリンタ用インターフェース(以下「I/F」と称す)17とを有し、これらは、バス18により相互に接続されている。
CPU11は、演算装置であり、ROM12やRAM13やHDD14に記憶されるプログラムを実行するものである。ROM12は、ブートプログラムなどの基本プログラムを記憶する読み出し専用メモリである。
RAM13は、書換可能なメモリであり、CPU11で実行される処理において一時的に記憶する必要があるデータなどを記憶したり、HDD14に記憶されるアプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と略す)や、プリンタドライバが実行される際には、これらのプログラムがこのRAM13に転送されて実行される。
HDD14は、PC10で実行されるオペレーティングシステムを記憶するOSメモリ14aと、アプリケーションを記憶するアプリケーションメモリ14bと、インク削減率定義テーブルを記憶するインク削減率定義テーブルメモリ14cと、インク削減率に対応して入力画像の明度および彩度を変更する変更量を記憶する補正テーブルを記憶する補正テーブルメモリ14dと、プリンタドライバを記憶するプリンタドライバメモリ14eと、印刷を行う画像情報を記憶する画像データメモリ14fとを有する書換可能なメモリである。
アプリケーションメモリ14bに記憶されるアプリケーションは、本発明による画像処理プログラムであって、印刷を行う画像の種類や、印刷を行う用紙の種類などに応じてインク削減率定義テーブルメモリ14cが記憶するインク削減定義テーブルを参照してインク削減率を設定し、そのインク削減率に応じて画像処理を行うプログラムである。
その画像処理においては、設定されたインク削減率に応じて補正テーブルメモリ14dに記憶された補正テーブルが参照され、入力画像の明度および彩度を変更する変更量が取得され、その変更量に基づいて入力画像の補正を行う。
プリンタドライバメモリ14eに記憶されるプリンタドライバは、プリンタ20により適切な印刷が行われるように、画像情報が有する3色の基本色(RGB)の組み合わせの値を入力し、プロファイル変換や印刷を行うための印刷情報(CMYK)に変換する色変換やハーフトーン処理を行うプログラムである。アプリケーションにより補正された画像情報は、このプリンタドライバに入力され、プリンタドライバにより適切な処理が行われてプリンタ20に出力される。
操作部15は、キーボードとマウスとを備え、キーボードは、文字や記号を入力し、マウスは、LCD(液晶ディスプレイ)16に表示されるカーソルの移動を指示したり、アイコンをクリックするなどの操作を行うものである。アプリケーションによりインク削減率を設定する場合には、インク削減率設定画面が表示され、キーボードやマウスにより印刷用紙の設定や、印刷の解像度などを設定することができる。
プリンタ用インターフェース(以下「I/F」と称す)17は、例えばUSBなどのインターフェースであって、PC10により印刷を行う場合の印刷情報の送受信を行うものである。
プリンタ20は、PC10からI/F17を介して入力する画像情報またはプリンタ20に備えられている外部メディアスロットに装着される外部メディアに記録された画像情報を印刷することができるように構成されている。プリンタ20は、PC10と同様に、CPUなどにより構成されるマイクロコンピュータを内蔵し、外部メディアスロットに装着された外部メディアに記録された画像情報を、PC10で行われる画像処理とほぼ同じ画像処理を行い印刷を行うことができる。
次に、図2を参照して本発明によるアプリケーションでの処理において設定する種々のパラメータについて説明する。図2は、アプリケーションを実行する際にLCD16に表示されるインク削減処理におけるパラメータのインク削減パラメータ設定画面28である。
インク削減パラメータ設定画面28には、インク削減率をユーザが直接設定するマニュアルモードと、ユーザが印刷を行う記録媒体である印刷用紙の種類と、印刷の解像度とを設定し、その設定に応じてインク削減率が設定されるオートモードとのいずれかを選択するラジオボタン28aと、印刷用紙を選択設定する用紙種類選択ボックス28bと、印刷の解像度を選択設定する解像度選択ボックス28cと、オートモードが選択された場合にインク削減率を設定するインク削減率設定スライダ28dとが表示される。
ラジオボタン28aは、オートモードとマニュアルモードとのいずれかを選択することができるボタンであり、マウスを操作することによりいずれかのボタンにカーソルを合わせ、クリックするとそのクリックされたボタンが選択される。選択されたボタン内には、黒丸が表示され、他方のボタンには、何も表示されない。
印刷用紙を選択設定する用紙種類選択ボックス28bは、用紙種類を表示する表示エリアと、そのエリアの右端に下方に向いた三角形が描かれたアイコンとを有し、このアイコンにマウスを操作してカーソル合わせ、クリックすると図2に示すようにプルダウンメニューが表示される。次に表示されたプルダウンメニューのいずれかの項目にカーソルを移動すると、そのカーソルにより示される項目が選択される。この実施形態では、印刷用紙の種類として、普通紙、光沢紙のいずれかを選択することができる。
印刷を実行する印刷装置においては、印刷用紙を供給する給紙部が設けられ、この給紙部にユーザが普通紙または光沢紙のいずれかを設定し、その設定した用紙の種類を用紙種類選択ボックス28bにより設定する。なお、ユーザが設定した用紙の種類を検出するセンサを備え、そのセンサにより用紙の種類を検出するようにしてもよい。
同様に印刷の解像度を選択設定する解像度選択ボックス28cは、選択された解像度を表示するエリアと、選択を行うためのプルダウンメニューの表示を指示するアイコンとを有し、高画質、低画質のいずれかを選択することができる。なお、高画質の解像度は、2400〜6000dpiであり、低画質の解像度は、300〜600dpiである。
オートモードが選択された場合は、入力された画像の種類や、用紙種類選択ボックス28bにより選択された用紙種類や、解像度選択ボックス28cにより選択された解像度に応じて、インク削減率が設定される。なお、オートモードの詳細に関しては、図5を参照して後述する。
一方、マニュアルモードが選択された場合は、インク削減率設定スライダ28dによりインク削減率が設定される。インク削減率設定スライダ28dのノブ部をマウスでドラッグして右または左方向へ移動するとインク削減率を設定することができる。ノブ部をスライダの左側いっぱいまで移動した場合は、インク削減率は0であり、右に移動するほど大きいインク削減率に設定される。スライダの下に表示されている値は、%を示す。
なお、インク削減率は、インク削減処理を行わなかった場合に消費されるインクの量に対する、インク削減処理を行った場合に消費されるインクの量と、インク削減処理を行わなかった場合に消費されるインクの量との差のパーセント割合である。
画像の種類は、入力された画像のファイル名の拡張子により判別したり、画像データから判別することができる。入力された画像が文書である場合には、「txt」や「doc」などの拡張子がつけられ、写真の場合には、「jpg」などの拡張子がつけられている。1頁内に文書と写真とが混在する場合には、各部分のデータがビットマップ形式のデータであるか否かを判別することなどにより写真のようなデータであるかを判別することができる。
以上のようにして、オートモードまたは、マニュアルモードによりインク削減率が設定されると、そのインク削減率に応じて、入力画像の明度および彩度をそれぞれ変更する変更量が設定される。その変更量は、入力される画像の種類や用紙種類選択ボックス28bにより設定された用紙の種類に応じた補正テーブルを参照することにより取得される。
次に、図3を参照して、インク削減率を種々の値に設定し、画像の種類と印刷用紙とが異なる場合の印刷を行った画像の評価結果について説明する。図3は、従来のインク削減プログラムを実行して、種々の画像および印刷用紙に印刷を行い、印刷画像が、良好である(有効)場合に○、良好とはいえないが用途次第では使用に耐える場合に△、使用に耐えない場合に×を記入した表である。
行が下方に行くほどインク削減率(L1・L2・・・)が大きく、各列は、左から順に、第1列は、画像の種類が文書、単色、印刷用紙は、普通紙、第2列は、画像の種類がウェブページ、単色およびカラー、印刷用紙は、普通紙の場合、第3列は、画像の種類が写真、カラー、印刷用紙は、普通紙、第4列は、画像の種類が写真、カラー、印刷用紙は、写真用光沢紙、第5列は、画像の種類が黒ベタ、モノクロ、印刷用紙は、普通紙の場合である。
この評価表から画像の種類が文書の場合は、インク削減率を30%としても良好な印刷を行うことができ、場合によってはインク削減率を50%近くまで上げることができることが判明した。また、画像が、ウェブページや写真であり印刷用紙を普通紙とした場合は、インク削減率を20%としても良好な印刷を行うことができ、場合によっては、インク削減率を25%近くまで上げることができる。
画像が写真の場合で、印刷用紙が光沢紙である場合は、インク削減率はせいぜい10%程度としか設定できないことが分かる。なお、上記画像評価表は、画像の解像度を低解像度とした場合の評価であり、高解像度の場合には、インク削減率をさらに低くし(5%以下、または0%が望ましい)、画質の劣化を抑制するのが好ましい。
次に、図4を参照して、インク削減率定義テーブルメモリ14cが記憶するインク削減定義テーブルについて説明する。図4は、上記評価をもとに作成された画像の種類と印刷用紙の種類と印刷の解像度に応じて、インク削減率を設定するインク削減率定義テーブルである。このテーブルが示すように、印刷される画像の種類が写真の場合は、印刷用紙が光沢紙と普通紙の場合に分けられ、光沢紙が用いられる場合は、解像度が低い場合は、インク削減率を10%、普通紙が用いられる場合は、解像度が低い場合は、インク削減率を25%とすると定義されている。また、印刷される画像の種類が文書の場合は、印刷用紙にかかわりなく、解像度が低い場合は、インク削減率を50%とすると定義されている。解像度が高い場合は、解像度が低い場合の半分である、5%、12.5%、25%にそれぞれ定義されている。
次に、図5を参照してアプリケーションによるインク削減を行う画像処理について説明する。図5は、画像処理を示すフローチャートである。なお、この処理では。図2に示す
インク削減パラメータ設定画面28において、オートモードが選択されているものとする。まず、印刷データの入力を行う(S1)。この処理は、すでに印刷を行うデータがHDD14に記憶されている場合には、そのデータを指定するだけでよく、デジタルカメラなどから転送する場合には、USBなどのインターフェースを介して、HDD14の画像データメモリ14fに読み込む処理である。
次に、図2に示すインク削減パラメータ設定画面を表示し、用紙種類選択ボックス28bの設定から用紙種類の設定を読み込み(S2)、解像度選択ボックス28cの設定から解像度の設定を読み込む(S3)。次に、S5〜S14の処理において、印刷データの各ピクセルについて、順次処理を行う。
まず、ピクセルの画像の種類は、BMP(ビットマップ)であるか否かを判断する(S5)。BMPでない場合は(S5:No)、画像の種類は、文書であると判断し、図4に示すインク削減率定義テーブルの低解像度の場合を参照し、インク削減率を50%とする(S6)。
一方、S5の判断処理において、ピクセルの画像の種類は、BMP(ビットマップ)である場合は(S5:Yes)、画像の種類は、写真であると判断し、印刷を行う印刷用紙は、光沢紙であるか否かを判断する(S7)。印刷用紙が光沢紙ではない場合は(S7:No)、普通紙であるとしてインク削減率定義テーブルの低解像度の場合を参照してインク削減率を25%とし(S8)、印刷用紙が光沢紙である場合は(S7:Yes)、10%とする(S9)。
S6、S8、S9のいずれかの処理においてインク削減率を設定した場合は、次に、S3の処理で読み込んだ印刷の解像度が高いか否かを判断し(S10)、解像度が高く設定されている場合は(S10:Yes)、インク削減率を1/2の値にし、解像度が低く設定されている場合は(S10:No)、インク削減率をそのままの値として、印刷データ補正処理を行う(S12)。この印刷データ補正処理の詳細については、図6および図7を参照して後述する。尚、インク削減率定義テーブルは、図4に示すように高解像度の場合のデータも記憶しているので、S3の解像度の設定処理において高解像度が設定された場合に、S11の処理のように低解像度におけるインク削減率から算出して求めるのではなく、S6、S8、S9の各ステップにおいて、図4に示すテーブルを参照して高解像度用のインク削減率を読み出すようにしてもよい。
印刷データ補正処理が終了した印刷データは、プリンタドライバへ出力し(S13)、全ての印刷データについての処理を終了したか否かを判断する(S14)。全ての印刷データについて処理を終了した場合は、このインク削減処理を終了し(S14:Yes)、まだ、処理を行っていないデータがある場合は、S5の処理へ戻る。
なお、上記の処理は、オートモードが設定されている場合の処理であり、マニュアルモードが設定された場合は、印刷データが入力された後、図2に示すインク削減パラメータ設定画面における用紙種類選択ボックス28bにより設定された用紙種類と、インク削減率設定スライダ28dにより設定されたインク削減率とに基づいて、S12の印刷データ補正処理が行われ、プリンタドライバへ出力される。
次に、図6および図7を参照して、印刷データ補正処理について説明する。図6は、インク削減率に対して、画像の種類や印刷用紙の種類に応じて画像の明度と彩度について変更する値を記憶する補正テーブルである。X1は、明度の変更量であり、Y1は、彩度の変更量であり、いずれも正の値である。
インク削減率が、0、10、20・・・である場合に、画像の種類が文書である場合のX1、Y1の、画像の種類が写真である場合には、印刷用紙の種類が普通紙、光沢紙それぞれについて、X1,Y1の値が記憶されている。インク削減率の値が、0、10、20などの補正テーブルに記憶されている値と一致しない場合は、その値より小さいインク削減率であって補正テーブルに記憶されている値と、その値より大きいインク削減率であって補正テーブルに記憶されている値とから、直線補間によりX1、Y1の値が算出される。なお、 これらのX1、Y1の値の求める方法については、図7、図9および図11を参照して後述する。
次に、図7を参照して、設定されたインク削減率に応じて画像データを補正する補正処理について説明する。図7は、補正処理を示すフローチャートである。この補正処理ではまず、インク削減率に応じて、図6に示す補正テーブルから、明度の変更量であるX1と、彩度の変更量であるY1とを取得する(S21)。その際、画像が文書であるか否かが判断され、文書であれば、文書に対応する変更量X1、Y1が取得され、画像が写真であれば、印刷用紙が普通紙か光沢紙かが判断され、印刷用紙の種類に対応する変更量X1、Y1が取得される。
次に、入力された印刷データを構成するRGBの値を、明度L、色相H、彩度Sの値に変換する(S22)。この変換方法は、公知である次式を用いて演算により変換される。
まず、次式により、RGB値をXYZ表色系で表される、XYZ値に変換する。
ここで、Mat3×3は、所定の線形マトリックスであり、γr、γg、γbは、2.2程度の値である。
次に、次式により、XYZの値から、Lab表色系で表されるLab値に変換する。
ここで、Xn、Yn、Znは、R=G=B=1の時のX、Y、Zの値である。
このようにして明度Lが、求められ、a、bの値から、色相H、彩度Sは、次式により求められる。
次に、このようにして変換された明度Lについて、X1を加算し(S23)、加算されたLの値が明度Lの最大値である100を越えるか否かを判断する(S24)。加算した値が100を越える場合は(S24:Yes)、Lの値を100とし(S25)、加算した値が100を越えない場合は(S24:No)、そのまま加算した値をLとする。
なお、上記実施形態では、明度Lに明度の変更量X1を加算することにより明度Lを補正するものとしたが、本発明は、この方法に限定されるものではなく、各製品の特性やユーザの好みなどに応じて適宜他の方法を使用してもよい。
例えば、図8に示すような、線形、非線形特性を用いてもよい。図8(a)は、線形変換特性を示すもので、補正前の明度をL、補正後の明度をOUTとし、横軸をIN(L+X1)とし、出力をOUTとして示す。この図8(a)が示す特性では、L+X1が、50より小さい場合は、L+X1をOUTとし、L+X1が50以上で100+X1までの場合は、50から100の値に線形変換を行うものである。
また、図8(b)は、非線形変換特性を示すもので、図8(a)の場合と同様に補正前の明度をL、補正後の明度をOUTとし、横軸をL+X1とし、出力をOUTとして示す。この図8(b)が示す特性では、L+X1が、50より小さい場合は、次式に示す非線形特性であり、IN=L+X1とすると、
L+X1が50以上で100+X1までの場合は、次式に示す非線形特性である。
次に、彩度Sについて、Y1を減算し(S26)、減算されたLの値が彩度Sの最小値である0をより小さいか否かを判断する(S27)。減算した値が0より小さい場合は(S27:Yes)、Sの値を0とし(S28)、減算した値が0より小さくない場合は(S27:No)、そのまま減算した値をSとする。彩度Sの補正についても、明度Lの補正方法と同様に、線形あるいは非線形の変換特性を利用して補正するようにしてもよい。
Hの値は、変更せずに、補正された明度L、彩度Sとの値に基づいて次式に示す逆演算により、RGBの値に戻す(S29)。
以上の補正処理により、設定されたインク削減率に応じた印刷データの補正が行われ、この補正された印刷データをプリンタドライバにより処理されてプリンタに送信されると、設定されたインク削減率を確保した印刷が行われる。
次に、図9〜図11を参照して、補正テーブルを形成する方法について説明する。まず、一般的な写真、文書において、明度の変更量X1と彩度の変更量Y1とをそれぞれ種々の値に設定して印刷を行った場合に、画質の劣化が顕著ではないX1とY1との値とを求める。例えば、X1の値を5、10、15というように変化し、X1の値が5、10、15であるそれぞれの場合に、Y1の値を同じく5、10、15と変化して、印刷を行う。
次に、各X1とY1との組み合わせにおけるインク削減率を後述する図11の処理を用いて、インク削減率が、ほぼ同じ値となるX1とY1との関係を求める。次に、インク削減率がほぼ同じX1とY1との組み合わせの中で、画質の劣化が最も少ないX1とY1との組み合わせを官能検査(感覚による検査)等によりをインク削減率毎に選び、その画質劣化が少ないとして選択したX1とY1との組み合わせの値を結ぶことにより、最適なX1とY1との関係を抽出する。
図9は、一般的な画像の明度の分布を示すグラフであり、(a)は、写真の場合、(b)は、文書の場合である。これらのグラフは、横軸を明度とし、縦軸をピクセル数として示す。写真の場合は、明度の平均値が50であり、標準偏差を3σとする分布の画像を一般的な写真画像とし、この画像により、最適なインク削減率と明度と彩度の変更量を求めるものとする。なお、一般的に用いられる画像の平均は、無彩色(グレー)に近似すると考えられることから、後述する図11の処理で用いる画像は、図9に示す明度分布をもつグレー画像(R=G=B)とする。
また、文書の場合は、明度が0である、文字の部分と紙の白い部で明度が100である部分とに分かれ、文字が占める割合が5%であるものを一般的な文書画像とし、この画像により、最適なインク削減率と明度と彩度の変更量を求めるものとする。
図10(a)は、上記のようにして抽出した一般的な画像をサンプルとして、インクの削減率と、明度の変更量X1と、彩度の変更量Y1との関係を示すグラフである。このグラフは、横軸を明度の変更量X1し、縦軸を彩度の変更量Y1として示す。
このグラフにおいて、破線により示されるR1、R2、R3,R4は、同じインク削減率が得られるX1とY1との組み合わせの値を結ぶもので、インク削減率は、R1、R2、R3の順に大きくなる。
このようにして得られた破線で示す曲線の上の、X1、Y1の値で補正された画像を比較し、最も劣化が少なく、良好な画質である点を結ぶと実線で示すように、インク削減率の増加に応じて、明度および彩度の各絶対値が共に増加する単調増加曲線が得られる。
図10(b)は、この単調増加曲線のインク削減率Rと明度の変更量X1および彩度の変更量Y1との関係を示すテーブルである。この単調増加曲線を示すテーブルから、任意のインク削減率に対応する最適なX1、Y1の値をテーブルで求めた関係から補間することにより求めることができる。この処理を、画像の種類が文書である場合や、画像の種類が写真の場合は、印刷用紙が普通紙と光沢紙とについてそれぞれ行い、それぞれの場合のインク削減率と、X1、Y1との関係を求める。
よって、インク削減率が設定されるとこの単調増加曲線を参照することにより、インク削減率に対応する明度の変更量X1および彩度の変更量Y1を取得することができる。
図11は、X1の値とY1の値を種々の値にした場合の、インク削減率を求めるフローチャートである。まず、図8(a)または(b)に示したように画像の種類に応じた予め設定した一般的な画像を入力し(S41)、次に、印刷用紙の種類を設定する(S42)。これらの処理は、図5に示すフローチャートの処理と同様である。
次に、入力された画像のRGB値をCMYK値に変換する色変換処理(S43)を行い、次に誤差拡散法などによるハーフトーン処理を行う(S44)。なお、印刷用紙が普通紙、光沢紙などと異なる場合、同じインク量を付着させて再現される色は同一とはならないため、S43における色変換処理の変換特性は、普通紙、光沢紙などの印刷用紙の種類毎に用意されており、S42の処理において選択された用紙の種類に応じて適切な変換特性により変換される。
これらの処理を、画像を構成する全てのピクセルについて行うと、印刷を行う場合の、各ドットがどのように形成されるかが決定される。各ドットが、小、中、大の3種類のドットにより形成される場合には、全画面について、小ドット、中ドット、大ドットの総数を求めることができる。
これらのドットを形成するために使用されるインク量は、例えば、小ドットであれば1pl(ピコリットル)、中ドットであれば3pl、大ドットであれば10plのようにプリンタ20により設定されたものであるので、小、中、大それぞれの総数に、これらのインク量をそれぞれ乗算し、加算することにより、インクの総量Mを算出することができる(S45)。
次に、変数iが0,1,2と変化する場合に、X1、Y1の値の組み合わせがそれぞれ、対応づけられているものとし、その各iの値の場合のインク削減率Riを求める。まず、iを0とし(S46)、S41の処理により入力された画像の印刷データ補正処理を行う。この処理は、図7に示すフローチャートのうち、S22からS29までの処理であって、この処理を画像の全ピクセルについて行い、明度と彩度とを補正する(S51)。
次に、S43、S44、S45の処理と同様に、補正した画像について、色変換処理(S52)、ハーフトーン処理(S53)およびインク総量Miを算出する(S54)。次に、インク削減率Riを、Ri=(M−Mi)/M により算出する(S55)。
次に全てのiについて処理を行ったか否かを判断し(S56)、まだ、処理を行っていない場合があれば(S56:No)iに1を加算して(S57)、S51の処理に戻り、全てのiについて処理を行った場合は、このインク削減率を求める処理を終了する。
この明度の変更量X1と、彩度の変更量Y1とに対応するインク削減率を求め、ほぼ同じインク削減率Riとなる点を結ぶことにより、図10に示す曲線R1、R2・・・を得ることができる。
以上説明したように、上記実施形態では、S41の処理で入力する画像の種類が図9(b)に示す文書であれば、文書用のインク削減率が設定され、画像の種類が図9(a)に示す写真である場合には、印刷用紙の種類に応じて、写真用の印刷用紙毎のインク削減率が設定される。さらに、印刷の解像度が高く設定された場合には、インク削減率が、小さい値に変更される。よって、ユーザに、画像の種類や、印刷用紙の種類、あるいは解像度に応じたインク削減率を任意に設定させる必要がなく、画像の種類や、印刷用紙の種類、あるいは解像度に応じた適切なインク削減率を予め設定することができる。
なお、請求項に記載の変換ステップおよび変換手段は、図7に示すフローチャートのS22の処理が該当し、変更ステップおよび変更手段は、図7に示すフローチャートのS23〜26の処理が該当し、補正ステップおよび補正手段は、図5に示すフローチャートのS5〜S12の処理が該当し、演算ステップおよび演算手段は、図7に示すフローチャートのS23およびS26の処理が該当し、制限ステップおよび制限手段は、図7に示すフローチャートのS24およびS25、S27およびS28の処理が該当し、画像種類検出ステップおよび画像種類検出手段は、図5に示すフローチャートのS5の処理が該当し、記録媒体設定ステップおよび記録媒体設定手段は、図5に示すフローチャートのS2の処理に該当し、インク削減率設定ステップおよびインク削減率設定手段は、図5に示すフローチャートのS6、S8およびS9の処理が該当する。
以上実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、PCにおいて、インク削減率が設定され、更にそのインク削減率に応じて印刷データの明度および彩度が補正されるものとしたが、これらの処理を行うプログラムをプリンタ20にインストールし、プリンタ20において、実行するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、まず、画像の種類や記録媒体の種類に応じてインク削減率を設定し、次にそのインク削減率に基づいて、印刷データの明度と彩度との補正を行う変更量を求めるものとしたが、画像の種類や記録媒体の種類に対応して印刷データの明度と彩度との補正を行う変更量を記憶し、インク削減率を求めないで、画像の補正を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、画像の種類と記録媒体の種類と解像度とに応じてインク削減率を設定するものとしたが、これらの3つのパラメータのうち、いずれか一つ、あるいは二つのパラメータによりインク削減率を設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、入力した画像情報のRGB値を演算によりXYG値とし、次にXYZ値から演算によりLabの値とし、更にLabの値からLHS値を演算により算出するものとしたが、RGB値からルックアップテーブルを参照するなどの方法により直にLHSの値へ変換するようにしてもよい。また、逆変換の場合も、ルックアップテーブルを参照するなどの方法により、LHSの値からRGBの値へ変換するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、アプリケーションとプリンタドライバとは、別のプログラムであるものとしたが、一つのプラグラムとしてもよい。なお、その場合には、印刷プロパティを設定する設定画面において、印刷用紙や解像度とともに、印刷用紙のサイズや、用紙に印刷するレイアウトなどを同時に設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、印刷用紙の種類は、インク削減率を設定する画面において設定するものとたが、印刷用紙の種類を検出する検出器をプリンタ20に備え、その検出器が検出した印刷用紙の種類に応じてインク削減率または明度および彩度の変更量を設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、インク削減率に応じて画像の種類と印刷用紙の種類に応じた明度と彩度の変更量を取得し、その変更量に基づいて画像を補正するものとしたが、画像の種類と印刷用紙の種類と解像度とに応じて明度と彩度の変更量を取得し、その変更量に基づいて画像を補正するようにしてもよい。
即ち、補正テーブルには、インク削減率に対応して画像の種類と印刷用紙の種類と解像度とに応じた明度と彩度の変更量を記憶し、画像の種類と印刷用紙の種類と解像度とに応じた明度と彩度の変更量を取得するようにしてもよいし、補正テーブルには、インク削減率に対応して画像の種類と印刷用紙の種類とに応じた明度と彩度の変更量を記憶し、その変更量を解像度に応じて更に変更するようにしてもよい。