JP4769408B2 - 親水性および疎水性モノマーを含有するポリマーの調製に有用な溶媒 - Google Patents
親水性および疎水性モノマーを含有するポリマーの調製に有用な溶媒 Download PDFInfo
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Description
[関連出願]
本特許出願書は2000年11月3日出願の仮米国特許出願第60/245,518号からの優先権を請求する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は親水性および疎水性モノマーからできているポリマーを抽出するために使用することができる溶媒に関する。
【0003】
[発明の背景]
シリコーンヒドロゲルは親水性および疎水性モノマー双方を含有するポリマーである。これらのポリマーがコンタクトレンズを製造するために使用される時に、これらのレンズは高度の酸素透過性、良好な湿潤性および良好な快適さを有する。
【0004】
シリコーンヒドロゲルから製造されたコンタクトレンズは具体的には下記の手順により製造される。親水性および疎水性モノマーの混合物並びに他の成分をレンズ型中に入れ、光線により硬化させる。硬化後、型の前面カーブまたは背面カーブのいずれかに付着して残るレンズを適当な溶媒で離型させることにより外す。具体的にはイソプロパノール、水またはそれらの組み合わせ物が使用される。離型後、レンズをアルコールおよび/または他の有機溶媒で抽出して、未反応疎水性モノマーを除去する。具体的にはこれらのレンズはヘキサン、塩化メチレン、イソプロパノールまたはエタノールで抽出される。水に非混和性の溶媒に対しては、これらの溶媒は水溶液中に平衡させる前に、蒸発/乾燥により除去される。水に混和性の溶媒に対しては、レンズを水溶液中に平衡させる。水溶液中への平衡はあらゆる残留溶媒、未反応親水性モノマーを除去し、レンズを水和させるであろう。しかし、この手順には問題がある。
【0005】
第1に、レンズがアルコールまたはアルコール/水混合物を使用して離型させる時に、容易に破損する脆いレンズが製造されるレベルまでレンズが膨潤する。第2に、疎水性モノマーはアルコールおよび水の混合物、並びにいくつかの有機溶媒中に制約された溶解度を有する。従って、これらのモノマーを抽出するためにはレンズを大量のこれらの溶媒で抽出しなければならず、しばしば溶媒を加熱しなければならない。これは、大量の使用済み溶媒の廃棄についての環境的心配のために、生産規模におけるレンズ製造時に問題を呈する。更に、現在使用される溶媒の低引火点のために、これらの溶媒を加熱することが更なる問題を呈する。最後に、最終的水和/平衡化段階は100%水性溶媒(例えば、脱イオン水、バッファー溶液、生理食塩水またはその他の充填溶液)の使用を必要とする。アルコールおよび/または多数の有機溶媒で抽出されたレンズが100%水溶液に直接移動される時には、ポリマーの膨潤の変動性並びに生成されるポリマーの脆弱性により、レンズを損傷する更なる危険性が存在する。
【0006】
従って、前記の1個以上の問題に対処する硬化ポリマーの処理法に対し、いまだ充たされていない需要が存在する。本明細書に記載の本発明がその需要を充たす。
【0007】
[発明の詳細な記述]
本発明は疎水性および親水性モノマーを含んで成る硬化ポリマーを抽出する方法を包含し、ここで当該方法が抽出溶媒で硬化ポリマーを処理する段階を含んで成るか、本質的にそれから成るかまたはそれから成り、かつ、前記抽出溶媒が、25℃で測定される時に、
(a)硬化ポリマーを約0%〜50%膨潤させ、そして
【0008】
【数4】
【0009】
の範囲内のハンセン溶解パラメーターを有するものである。
【0010】
本明細書で使用される「硬化ポリマー」はそれらに限定はされないが、疎水性および親水性モノマー、ヒドロゲルおよびシリコーンヒドロゲルを含有するポリマーを含み、ここでシリコーンヒドロゲルが好ましいポリマーである。特に好ましいポリマーはアクアフィルコンA、ロトラフィルコンおよびバラフィルコンAである。代表的なポリマーの組成物は米国特許第5,260,000号、第5,998,498号、第6,087,415号、第5,760,100号、第5,776,999号、第5,789,461号、第5,849,811号、第5,965,631号明細書、米国特許出願第09/532,943号、第09/652,817号および第09/957,299号明細書に開示されている。これらの特許および特許出願明細書は組成物調製およびその中に含有されるポリマーの処置について、引用により本明細書中に取り込まれている。更に、硬化ポリマーは親水性被膜(例えば、ポリアクリル酸、HEMA等)で被覆されたポリマーを含む。これらのポリマーを被覆する方法は、米国特許第6,087,415号および、その全体を引用により取り入れられている米国特許出願第09/921,192号明細書に開示されている。本発明の硬化ポリマーはすべて、それらに限定はされないが、コンタクトレンズおよび眼内レンズを含む多数の有用な装置に形成することができる。前記の装置を形成する方法は既知であり、それらに限定はされないが、成形、切断または旋盤を含む。
【0011】
「モノマー」の用語は硬化ポリマーの構造物内で相互に共有結合されている構成単位(主鎖、付属基および架橋物)を表わす。典型的な疎水性モノマーはそれらに限定はされないが、米国特許第5,998,498号、第6,087,415号、米国特許出願第09/532,943号,第09/652/817号および第09/957,299号明細書に記載されたような、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(”TRIS”)、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(”mPDMS”)およびシリコーンマクロマーを含む。親水性モノマーはそれらに限定はされないが、n−ビニルピロリドン(”NVP”)、N,N−ジメチルアクリルアミド(”DMA”)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(”HEMA”)、メタクリル酸およびアクリル酸、ビニルラクタム、アクリルアミド、メタクリルアミド、米国特許第5,070,215号明細書に開示されているビニルカーボネートおよびビニルカルバメートモノマー並びに、米国特許第4,910,277号明細書に開示されているオキサゾロンモノマーを含む。前記の特許はすべて、それらの全体を引用により本明細書に取り入れられている。硬化ポリマーは、それらに限定はされないが、湿潤剤等を含む他の疎水性および親水性成分を含むことができる。これらの成分は本発明の抽出溶媒により抽出することができるが、これらの物質は本発明の抽出溶媒によっては抽出されないことが好ましい。
【0012】
硬化ポリマーがヒドロゲルである時は、これらのポリマーは、それらがポリマーのマトリックス中に水を吸収することができるという特性を有する。具体的には硬化ポリマーを溶媒で処理してあらゆる未反応成分(大体モノマー、マクロマー、架橋物)を除去し、次いで、ヒドロゲルを水和するためにポリマーを水溶液で処理する。しかし、未反応成分を除去するために使用された溶媒に応じて、最後の水和段階は抽出溶媒での処理の直後には実施することができない。例えば、ヘキサンで抽出された硬化ポリマーは最終ポリマーを変形させずには直接水中に平衡化させることができない。具体的にはこの問題は、最後の水中平衡化段階の前に、抽出ポリマーを一連の異なる溶媒で処理することにより解決される。本発明の利点の一つは、硬化ポリマーが幾つかの本発明の抽出溶媒を使用して抽出される時に、ポリマーは、前記のようなステップダウン手順を使用せずに、抽出直後に水性溶媒中に直接平衡化させることができることである。この利点を有する本発明の抽出溶液はそれらに限定はされないが、85〜90%のDPM/DIおよび85〜90%TPMを含む。これは時間および余分な段階の経費を節減するために、既知の抽出溶液に対する著明な利点を提供する。
【0013】
本明細書で使用される溶媒中の硬化ポリマーの膨潤は硬化ポリマーの直径の増加百分率であり、下記の式により計算することができる、
膨潤%=100×[(抽出溶媒中のレンズ直径−水溶液中のレンズの直径)/
水溶液中のレンズ直径]。
【0014】
膨潤百分率は約0〜約50%、好ましくは約20〜約40%、そしてより好ましくは約25〜約35%を越える。
【0015】
更に、本発明の抽出溶媒は特定のハンセン溶解パラメーター、すなわちδH、δPおよびδDをもななければならない。これらのパラメーターは下記の範囲内にある、
【0016】
【数5】
【0017】
[ここで、
【0018】
【数6】
【0019】
は実質的に、Charles M.Hansen,Hansen Solubility Parameters;A Users Handbook,43−52 CRC Press 2000および計算のためにCMH’s SPHEREコンピュータープログラムに記載された方法を使用して決定される]。
【0020】
例えば、硬化ポリマーが
【0021】
【数7】
【0022】
を有する場合は、適当な抽出溶媒のハンセン値は、約3〜約14のδH、約2〜約6.6のδPそして約14.0〜約19.0のδDである。
【0023】
好ましい抽出溶媒はそれらに限定はされないが、式I
R1−O−[CH2−CH(R3)−O]n−R2 I
[式中、
R1は水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、またはフェニル置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロまたはハロゲンである置換フェニル、であり、
R2は水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、またはフェニル置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロまたはハロゲンである置換フェニル、であり、
R3は水素、C1-6アルキルフェニル、C1-6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、またはフェニル置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロまたはハロゲンである置換フェニル、であり、そして
nは1〜10である]
の溶媒を含む。
【0024】
好ましいR1はC1-6アルキルおよびC1-6アルキルカルボニルから成る群から選択され、そこでより好ましいR1はC1-6アルキルから成る群から選択され、そして特に好ましいR1はメチルである。好ましいR2はC1-6アルキルおよびC1-6アルキルカルボニルから成る群から選択され、そこで、より好ましいR2はC1-5アルキルカルボニルから成る群から選択され、そして特に好ましいR2はアセチルまたは水素である。好ましいR3はC1-5アルキルおよびC1-6アルキルカルボニルから成る群から選択され、そこでより好ましいR3はC1-6アルキルであり、そして特に好ましいR3は水素である。好ましいnは1〜5である。
【0025】
抽出溶媒の例には、それらに限定はされないが、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸プロピルおよびメチルイソブチルケトンが含まれる。特に好ましい抽出溶媒は酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPM)およびそれらの混合物である。更に特に好ましい溶媒はDPMA、DMM、DPMまたはTPMの水またはプロピレングリコールとの混合物である。
【0026】
【数8】
【0027】
を有する硬化ポリマーのもっとも好ましい溶媒はジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートである。
【0028】
前記のように、抽出溶媒の選択は硬化ポリマーの物理的特性により影響される。硬化ポリマーの物理的特性に応じて、抽出溶媒が2種以上の成分を含有することが好ましい場合は、抽出溶媒中に2種以上の成分を使用することができる。例えば、硬化ポリマーが、その表面の大部分が疎水性であるシリコーンヒドロゲルである場合は、低分子量および高水素結合親和力を有する親水性溶媒との、比較的低い水素結合親和力をもつ疎水性溶媒の組み合わせ物を使用することが好ましいと考えられる。前記の抽出溶媒の大部分は疎水性溶媒百分率が約20〜約98%(重量パーセント)、より好ましくは約70〜約98%、もっとも好ましくは約80〜約90%である、疎水性溶媒を含有する。この抽出溶媒の親水性溶媒の分子量は約15〜約200ドルトン、より好ましくは約15〜約100ドルトンである。このような溶媒の例には、90:10(重量部)のDPMA:DI、90:10のDMM:DI、90:10のDPMA:プロピレングリコール、90:10のDMM:プロピレングリコールが含まれる。これらの例において、DPMAおよびDMMは低水素結合親和力を有する疎水性溶媒であり、他方、プロピレングリコールおよびDIは高水素結合親和力および低分子量を有する親水性溶媒である。
【0029】
硬化ポリマーが、その疎水性表面が親水性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸またはポリHEMA)で被覆されている、シリコーンヒドロゲルである場合は、中程度に高い水素結合親和力を有する疎水性溶媒並びに低分子量および比較的高い水素結合親和力を有する親水性溶媒を含有する溶媒混合物を使用することが好ましいと考えられる。前記抽出溶媒の大部分は疎水性溶媒の百分率が約20〜約98%(重量パーセント)、より好ましくは約70〜約98%、もっとも好ましくは約80〜約90%である、疎水性溶媒を含有する。この抽出溶媒の親水性溶媒の分子量は約15〜約200ドルトン、より好ましくは約15〜約100ドルトンである。このような溶媒の例には、90:10のTPM:DI、90:10のDPM:DI、90:10のTPM:プロピレングリコール、90:10のDPM:プロピレングリコールが含まれる。これらの例において、TPMおよびDPMは疎水性溶媒であり、そしてプロピレングリコールおよびDIは比較的高い水素結合親和力を有する低分子量溶媒である。
【0030】
抽出溶媒の選択は本発明に重要ではあるが、その方法は特定の物理的パラメーターを調整することにより改善することができる。例えば、溶媒の温度を高くすること、前記溶媒を撹拌すること、抽出手順の時間を延長することおよびそれらの組み合わせ物により、より高率の未反応疎水性モノマーを除去することができる。
【0031】
更に、本発明は疎水性および親水性モノマーを含んで成る硬化ポリマーを離型させ、抽出する方法を含み、そこで当該方法は、抽出溶媒で硬化ポリマーを処理する段階を含んで成るか、本質的にそれから成るか、またはそれから成り、かつ、前記抽出溶媒が、25℃で測定される時に、
(a)硬化ポリマーを少なくとも15%膨潤させ、そして
【0032】
【数9】
【0033】
の範囲内のハンセン溶解パラメーターを有するものである。
【0034】
疎水性および親水性モノマーおよび抽出溶媒の用語はそれらの前記の定義および好ましい範囲を有する。好ましいポリマーはコンタクトレンズおよび眼内レンズである。
【0035】
また更に、本発明は疎水性および親水性モノマーを含んで成る硬化ポリマーを抽出する方法により調製されるポリマーを含み、ここでその方法が抽出溶媒で硬化ポリマーを処理する段階を含んで成るか、本質的にそれから成るか、またはそれから成り、かつ、前記抽出溶媒が、25℃で測定される時に、
(a)硬化ポリマーを約0%〜50%膨潤させ、そして
【0036】
【数10】
【0037】
の範囲内のハンセン溶解パラメーターを有するものである。
【0038】
本発明を具体的に示すために、下記の実施例が含まれる。これらの実施例は本発明を制約しない。それらは本発明の実施法を示唆することのみを意図する。ポリマー並びに他の部門の専門家は本発明を実施するための他の方法を見いだすかも知れない。しかし、それらの方法は本発明の範囲内にあると考えられる。本出願書に引用されたすべての参考文献は引用により本明細書に取り込まれている。
【0039】
【実施例】
下記の略語が実施例中に使用される、
IPA=イソプロパノール、
DI=脱イオン水、
DMM=ジプロピレングリコールジメチルエーテル、
DPMA=ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、
DPM=ジプロピレングリコールメチルエーテル、
TPM=トリプロピレングリコールメチルエーテル、
マクロマーA=実質的に、米国特許出願第09/957,299号明細書の実施法25に記載されたように調製されたマクロマー、
mPDMS=モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(分子量800〜1000)。
【0040】
実施例1
抽出溶媒としてのDPMAおよびIPAの評価
有効な抽出溶媒として役立つDPMAの性能を硬化レンズからの未反応疎水性モノマーのレベルを検査することにより評価した。残留レベルはレンズを適当に硬化させた後に未反応または未重合で残留する1種もしくは複数のモノマーの量と定義される。アクアフィルコンAを含んで成るモノマー混合物を7フレーム(56枚のレンズ)中に充填し、8分〜60分間55〜70℃で、希釈剤としてジメチル−3−オクタノールおよび可視光線(可視光線の波長:380〜460nm、最大ピーク425nm、線量:2.5J/cm2)を使用して硬化した。製造されたレンズを離型させ(表側カーブ上のレンズ)、ピンセットを使用してフレームから取り出した。
【0041】
5枚のレンズを5個の個別のガラスのシンチレーション用バイアル中に正確に秤量充填し、DPMA(DOWANOL(R))5mLを各バイアル中にピペットで滴下した。バイアル1〜5をそれぞれ25、35、50、60および70℃で1時間音波処理した。抽出溶媒としてiPAを使用して同時実験を設定した。生成された抽出物をマクロマーおよびmPDMSにつき分析し、得られたレベル(重量パーセント)を表1および2に示した。これらの試料は、それらが最終ポリマー中でもっとも疎水性の成分であるために、これらのモノマーにつき分析した。これらの数字は、DPMAが、そのレベルが60℃と70℃においてもっとも匹敵する、一定の温度範囲において、IPAに匹敵するレベルでこれらの疎水性のモノマーを抽出することを示す。
【0042】
実施例2
DPMAで硬化されたポリマーからの疎水性モノマーの浸出可能レベルに対す
る温度の効果
本実験はDPMAで抽出された硬化ポリマーから得ることができる浸出可能な疎水性モノマーのレベルを決定する。浸出可能なレベルは、ポリマーが硬化され、抽出され、水和され、次にもう1種の溶媒で抽出された後に得られるモノマー(または複数のモノマー)の量と定義される。具体的には後の抽出溶媒はiPAである。アクアフィルコンAを含んで成るモノマー混合物をフレームに充填し、8分〜60分間55〜70℃で、希釈剤としてジメチル−3−オクタノールおよび可視光線(可視光線波長:380〜460nm、最大ピーク425nm、線量約2.5J/cm2)を使用して硬化した。製造されたレンズ、3フレーム(24枚のレンズ)を離型させ(表側カーブ上のレンズ)、環式オレフィンコポリマー(TOPAS(R))の浸出/水和用ビヒクルにストラップし、循環水ヒーター/クーラーにより制御されるジャケット付きの1Lビーカーに入れた。抽出溶媒のDPMA(850mL)を添加し(〜35mL/レンズ1枚)、90分間25℃で磁石撹拌機で撹拌した。抽出の終結時に、ビヒクル(フレームおよびレンズを含む)を循環水ヒーター/クーラーにより制御される15℃の脱イオン水中に入れた。水を浸漬水循環装置を使用して高速循環により撹拌した。1時間後、10枚のレンズを引き出し、吸い取り紙乾燥し、シンチレーションバイアル中に正確に秤量した。iPA5mLをバイアルに添加し、バイアルを1時間音波処理した。試料を二重に用意し、浸出可能なmPDMS1000およびマクロマーにつき分析した。それぞれ35、50、60および70℃の温度で抽出溶媒としてDPMAを使用して同時実験を実施した。これらの実験の結果は表3に示される。結果は、すべての温度において、mPDMSの浸出可能なレベルは175ppm(mg/Kgレンズ重量に基づく)未満であることを示す。具体的には、iPAが最初の抽出溶媒として使用される時には、600〜1000ppmのレベルが得られる。浸出可能なマクロマーのレベルは抽出温度増加とともに減少し、60℃および70℃における浸出可能なレベルはIPAに認めたレベル(600〜1000ppm)に比較する。この所見は抽出溶媒として、IPAよりもDPMAを使用することに有意な利点が存在することを示す。製造環境においてはIPAの低い引火点(12℃)および高い蒸気圧(45.8mmHg@25℃)のために、
しかし、DPMAの高い引火点(187℃)および低い蒸気圧(0.08mmHg@20℃)のために、この溶媒は付随する安全性の問題を伴なわずに高温で使用することができる。
実施例3
DMMで硬化されたポリマーからの疎水性モノマーの浸出可能なレベルの分析
本実験は最初にDMMで処理または抽出された硬化ポリマーから得ることができる浸出可能な疎水性モノマーのレベルを決定する。実施例2において、抽出は環式オレフィンコポリマー(TOPAS(R))浸出/水和用ビヒクル中で実施され、他方この実施例においては、抽出はシンチレーションバイアル中で実施された。アクアフィルコンAを含んで成るモノマー混合物をフレームに充填し、8分〜60分間55〜70℃で、希釈剤としてジメチル−3−オクタノールおよび可視光線(可視光線波長:380〜460nm、最大ピーク425nm、線量約2.5J/cm2)を使用して硬化した。
【0043】
フレームから10枚のレンズを取り出し、それぞれ6本のシンチレーションバイアル中に入れた。DMM10mL(1枚レンズ当たり1mL、PROGLYDE(R))を各バイアルに添加し、Thermolyne Type50000Maxi−mix III上で175rpmで30分震盪した。この期間の終結後、バイアル1からのレンズを175rpmで1時間震盪することにより、250mLのDI水中に平衡化させた。平衡化後、レンズ10枚を回収し、吸い取り乾燥し、シンチレーション用バイアル中に正確に秤量した。イソプロパノール5mLをバイアルに添加し、バイアルを1時間音波処理した。iPA抽出物を浸出可能なmPDMSおよびマクロマーにつき分析した。残りのバイアルからのDMMをデカントし、各バイアルに新鮮なDMMの10mLアリコートを添加した。バイアルを「1サイクル」を形成する10分間震盪した。各サイクルの開始時に新鮮なDMMを抽出物と置き換えながら、手順を繰り返して、5サイクル後にに試料を生成した。各サイクル後に、レンズをDI水中に平衡化し、次に前記のようにiPAで抽出した。iPA抽出物を浸出可能なmPDMSおよびマクロマーにつき分析した。データを表4に示す。
実施例4
様々な溶媒中における硬化ポリマーの膨潤%の比較
多数の試験溶媒中のポリマーの膨潤性を試験する手順を本実施例に記載する。アクアフィルコンAのモノマー混合物を型中に秤量し、8分〜60分間55〜70℃で、希釈剤としてジメチル−3−オクタノールおよび可視光線(可視光線(波長:380〜460nm、最大ピーク425nm、線量約2.5J/cm2)を使用して硬化した。生成されたディスク(70〜110μmの厚さ範囲)を60:40のイソプロパノール(IPA)/脱イオン(DI)水中で離型させ、10時間にわたり(2時間/アリコート)100%IPAの5アリコートを使用して更なる残留モノマーを抽出させることにより十分に水和させ、次に脱イオン水中に平衡化させた。次にこれらのレンズを様々な試験溶媒並びに生理食塩水中に平衡化させた。レンズの直径を測定し、膨潤%を比較した。膨潤%を下記の等式を使用して計算した、
膨潤%=100×[(抽出溶媒中のレンズ直径−生理食塩水中のレンズ直径)/生理食塩水直径のレンズ直径]。
【0044】
25℃における膨潤%のデータを表5に表わす。更に、DPMAの揮発性および可燃性は比較的低いので、この具体的な溶媒をより高い処理温で使用することができると考えられる。研究された温度範囲(25〜70℃)におけるDPMA中のポリマーのマトリックス膨潤度を決定し、直線状であることを認めた。
実施例5
様々な溶媒中での被覆された硬化ポリマーの膨潤%の比較
ポリHEMAで被覆されたコンタクトレンズを米国特許出願第09/921,192号明細書の実施例14に記載のように調製した。実施例4の方法を使用して、レンズを3種の異なる溶媒混合物中で離型させ、平衡化した。この実施例のみに対し、膨潤度をレンズの型の直径が硬化製品を形成する型の直径である、下記の式を使用して計算した、
【0045】
【数11】
【0046】
【数12】
【0047】
であった。異なる溶媒系における膨潤率につき収集されたデータの要約を表6、7および8に与える。このデータはTPMおよびDPMの水性混合物がポリHEMA被覆レンズを抽出するための好ましい溶媒であることを示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
実施例6
レンズの水和
本手順は、DPMAのような、水溶液に制約された溶解度をもつ溶媒を使用して抽出されたレンズは、内部応力を誘導せずに水溶液中に直接平衡化することができることを示す。抽出溶媒としてIPAを使用すると、ステップダウン勾配を使用しても最終レンズの直径の均一性に大きな変動を伴なうレンズをもたらした。IPAから水溶液への、より長時間の緩徐なステップダウン勾配を研究し、そのレンズはレンズ直径のより厳密な統計的分配を有することを認めた。DPMA中に抽出、水溶液に直接平衡化されたレンズもまた、より厳密な分配を示し、追加の処理段階の必要性を取り去った。
【0052】
アクアフィルコンAのモノマー混合物を型中に秤量し、8分〜60分間55〜70℃で、希釈剤としてジメチル−3−オクタノールおよび可視光線(可視光線(波長:380〜460nm、最大ピーク425nm、線量約2.5J/cm2)を使用して硬化した。
・型から60:40のIPA/DI水中で離型、100%IPA中で抽出、30、60、100%の増加におけるステップダウン勾配で水溶液中で平衡化、
・型から60:40のIPA/DI水中で離型、100%IPA中で抽出、10、20、30、40、50、75、100%の増加におけるステップダウン勾配で水溶液中で平衡化、
・100%DPMAによる離型および抽出および直接の水中平衡化。
【0053】
10枚のレンズ上のレンズ直径の測定は各条件下に対しxおよびyの両方向(円形のゆがんだ可能性のあるあらゆるレンズを発見するために)に実施した。直径のデータは表9に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
実施例7
様々な抽出溶媒を使用するレンズの離型
アクアフィルコンAのモノマー混合物を型中に秤量し、8分〜60分間55〜70℃で、希釈剤としてジメチル−3−オクタノールおよび可視光線(可視光線(波長:380〜460nm、最大ピーク425nm、線量約2.5J/cm2)を使用して硬化した。次にレンズを様々な溶媒に浸漬して、型からレンズを離型させた。使用した4群の溶媒はIPA、60:40IPA/DI、DMMおよびDPMAであり、離型は外界温度で実施した。レンズが型から剥離するのに要する時間および離型中の物理的特徴を観察し、記録した。表10に示したデータは、DMMおよびDPMA双方が、離型時間および/またはレンズの離型の物理的方法のために、IPAまたは、DIと組み合わせたIPA(DPMAと同等な膨潤%を有する)に対して著明な利点を有することを示す。
【0057】
実施例8
様々な抽出溶媒を使用する被覆レンズの離型
ポリHEMAで被覆されたコンタクトレンズを米国特許出願第09/921,192号明細書の実施例14に記載のように調製した。実施例7の方法を使用し、レンズを型から剥離し、約2時間、溶液中で平衡化した。温度、離型時の膨潤度および抽出残留物量を表11に示す。型物質からの剥離直後に、レンズはいくらかの物理的変形(皺のよった縁)を示した。しかし、すべての試験溶液中のレンズは、離型後の15〜20分以内に平衡化されて、平滑な円形のレンズを与えた。この実施例は、試験溶媒で離型され、抽出されたレンズが、IPAで離型、抽出されたレンズよりずっと膨潤度が少いことを示す。更に、これは、これらの抽出溶媒で抽出されたレンズがステップダウン手順を使用せずに、水中に直接平衡化することができることを示す。
Claims (22)
- 疎水性および親水性モノマーを含んで成る硬化ポリマーを抽出する方法であって、式I:
R1−O−[CH2−CH(R3)−O]n−R2 (I)
式中、R1は水素、C1-6アルキル、C1-6カルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、または置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロもしくはハロゲンである置換されたフェニルであり、
R2は水素、C1-6アルキル、C1-6カルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、または置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロもしくはハロゲンである置換されたフェニルであり、
R3は水素、C1-6アルキルフェニル、C1-6カルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、または置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロもしくはハロゲンである置換されたフェニルであり、そして
nは1〜10の整数である、
で表される化合物および酢酸ブチルから成る群から選択される抽出溶媒で硬化ポリマーを処理する段階を含んで成り、かつ、25℃で測定される時に前記抽出溶媒が、
(a)前記硬化ポリマーを0%〜50%膨潤させ、そして
(b)δH=[δH硬化ポリマー+2.5]〜[δH硬化ポリマー−8.5]
δP=[δP硬化ポリマー+0.5]〜[δP硬化ポリマー−4.0]および
δD=[δD硬化ポリマー+2.5]〜[δD硬化ポリマー−2.0]
の範囲内のハンセン溶解パラメーター(Hansen Solubility Parameters)を有するものである、
前記方法。 - 前記抽出溶媒が酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールN−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールN−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールN−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
- 前記抽出溶媒が酢酸ブチル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
- δHが3.0〜14であり、δPが2〜6.6であり、そしてδDが14.0〜19である、請求項1記載の方法。
- 前記抽出溶媒がジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルまたはトリプロピレングリコールメチルエーテルを含んで成る、請求項1記載の方法。
- 前記抽出溶媒が更に、脱イオン水を含んで成る、請求項1記載の方法。
- 前記抽出溶媒が更にプロピレングリコールまたは脱イオン水を含んで成る、請求項1記載の方法。
- 前記抽出溶媒が70〜98重量パーセントのジプロピレングリコールメチルエーテルまたはトリプロピレングリコールメチルエーテルおよび2〜30重量パーセントのプロピレングリコールまたは脱イオン水を含んで成る、請求項1記載の方法。
- 前記抽出溶媒が80〜90重量パーセントのジプロピレングリコールメチルエーテルまたはトリプロピレングリコールメチルエーテルおよび約10〜約20重量パーセントのプロピレングリコールまたは脱イオン水を含んで成る、請求項1記載の方法。
- 前記硬化ポリマーが眼科用装置である、請求項1または請求項9記載の方法。
- 硬化ポリマーの膨潤が15%〜40%である、請求項1記載の方法。
- 疎水性および親水性モノマーを含んで成る硬化シリコーンヒドロゲルポリマーを離型させそして抽出する方法であって、硬化ポリマーを式I:
式I:
R1−O−[CH2−CH(R3)−O]n−R2 (I)
式中、R1は水素、C1-6アルキル、C1-6カルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、または置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロもしくはハロゲンである置換されたフェニルであり、
R2は水素、C1-6アルキル、C1-6カルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、または置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロもしくはハロゲンである置換されたフェニルであり、
R3は水素、C1-6アルキルフェニル、C1-6カルキルカルボニル、アミノカルボニル、−SO3H、フェニル、または置換基がC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、ニトロもしくはハロゲンである置換されたフェニルであり、そして
nは1〜10の整数である、
で表される化合物および酢酸ブチルから成る群から選択される
抽出溶媒で処理する段階を含んで成り、かつ、25℃で測定される時に前記抽出溶媒が、 (a)前記硬化ポリマーを少なくとも15%まで膨潤させ、そして
(b)δH=[δH硬化ポリマー+2.5]〜[δH硬化ポリマー−8.5]
δP=[δP硬化ポリマー+0.5]〜[δP硬化ポリマー−4.0]および
δD=[δD硬化ポリマー+2.5]〜[δD硬化ポリマー−2.0]
の範囲内のハンセン溶解パラメーターを有するものである、
前記方法。 - 前記抽出溶媒が酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールN−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールN−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールN−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項12記載の方法。
- 前記抽出溶媒が酢酸ブチル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項12記載の方法。
- δHが3.0〜14であり、δPが2〜6.6であり、そしてδDが14.0〜19である、請求項12記載の方法。
- 前記抽出溶媒がジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルまたはトリプロピレングリコールメチルエーテルを含んで成る、請求項12記載の方法。
- 前記抽出溶媒が更に、脱イオン水を含んで成る、請求項16記載の方法。
- 前記抽出溶媒が更にプロピレングリコールを含んで成る、請求項16記載の方法。
- 前記抽出溶媒が80〜90重量パーセントのジプロピレングリコールメチルエーテルまたはトリプロピレングリコールメチルエーテルおよび10〜20重量パーセントのプロピレングリコールまたは脱イオン水を含んで成る、請求項12記載の方法。
- 前記抽出溶媒が70〜98重量パーセントのジプロピレングリコールメチルエーテルまたはトリプロピレングリコールメチルエーテルおよび2〜30重量パーセントのプロピレングリコールまたは脱イオン水を含んで成る、請求項12記載の方法。
- 前記硬化ポリマーがコンタクトレンズである、請求項12記載の方法。
- 硬化ポリマーの膨潤率が15%〜40%である、請求項12記載の方法。
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