本発明でない参考例としての車両のピラー部構造の第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
なお、図中矢印UPは車両上方方向を示し、図中矢印FRは車両前方方向を示し、図中矢印INは車幅内側方向を示している。
図6には、第1実施形態に係る車両のピラー部構造を適用した車両が側面図で示されている。
図6に示される如く、本実施形態の車両10における車室12の車両前後方向略中央の車幅方向外側には、左右のセンタピラー14が配置されている。
図5には、図6の5−5断面線に沿った拡大断面図が示されている。
図5に示される如く、センタピラー14の上端部14Aはルーフサイドレール16に結合されており、センタピラー14の下端部14Bはロッカ18に結合されている。また、ルーフサイドレール16とロッカ18は、それぞれ長手方向を車両前後に沿って配置された閉断面構造となっている。
なお、閉断面構造とは、対象とする断面の開口外周部が実質的に連続して高強度及び高剛性になっている断面構造であって、実質的にとは、対象とする断面が外周長に比べて小さな孔等が部分的に形成されていても、断面の直角方向の手前側又は奥側では孔等が無く、開口部周囲の部材が連続している構成も含むことを意味する。
センタピラー14は、上下方向の中間部となる車両10のベルトライン10Aより上方の部位が、車両前後方向から見た形状が、車幅方向外側に凸形状の湾曲部14Cとなっている。なお、湾曲部14Cの下端P1はベルトライン10Aの上方近傍となっており、湾曲部14Cの上端P2はセンタピラー14の上端部14Aとなっている。
また、センタピラー14における湾曲部14Cの上下方向中部P3は、下端P1と上端P2とを結ぶ直線Qに対して車幅方向外側へ距離X1(X1>0)突出している。
図4には、センタピラー14における湾曲部14Cのように湾曲した閉断面構造部材90が示されている。
図4に示される如く、閉断面構造部材90の上下方向中部P3は、下端P1と上端P2とを結ぶ直線Qに対して車幅方向外側へ距離X1(X1>0)突出している。
また、このような閉断面構造部材90においては、下端P1に図4における反時計回転方向の曲げモーメントM1が作用し、上端P2に図4における時計回転方向の曲げモーメントM2が作用した場合に、これらの曲げモーメントM1と曲げモーメントM2とによって、湾曲方向外側壁部90Aは圧縮力を受け図4に二点鎖線で示すように湾曲方向外側に変位すると共に、湾曲方向内側壁部90Bは引っ張り力を受け図4に二点鎖線で示すように湾曲方向内側に変位するようになっている。
従って、車両側突時等に、センタピラー14の上下方向中間部が衝突荷重(図5の矢印F1)を車幅方向外側から車幅方向内側に向かって受けた場合には、センタピラー14の湾曲部14Cが三次元的に車幅内側方向へ変形する前に、センタピラー14における湾曲部14Cの下端P1に、図5における反時計回転方向の曲げモーメントM1が作用し、センタピラー14における湾曲部14Cの上端P2に、図5における時計回転方向の曲げモーメントM2が作用する。また、曲げモーメントM1と曲げモーメントM2とによって、センタピラー14の湾曲部14Cにおいても、図4の閉断面構造部材90と同様に、車幅方向外側壁部14Dは圧縮力を受け車幅方向外側に変位すると共に、車幅方向内側壁部14Eは引っ張り力を受け車幅方向内側に変位するようになっている。
図1には、図5の1−1断面線に沿った拡大断面図が示されている。
図1に示される如く、センタピラー14は、センタピラー14の車両外側部を構成するピラーアウタとしてのピラーアウタパネル20と、センタピラー14の車両内側部を構成するピラーインナとしてのピラーインナパネル22とを備えている。また、センタピラー14の長手直角断面(車両上下方向から見た断面)は正六角形の閉断面23を備えた閉断面構造となっている。
従って、センタピラー14は、車幅方向外側壁部14Dと車幅方向内側壁部14Eと車両前方側壁部14Fと車両後方側壁部14Gとを備えている。また、車両前方側壁部14Fは長手直角断面において閉断面23の外方となる車両前方に凸の稜線部R1を持つ山形状となっており、車両後方側壁部14Gは長手直角断面において閉断面23の外方となる車両後方に凸の稜線部R2を持つ山形状となっている。
より具体的に説明すると、ピラーアウタパネル20は開口部を車幅方向内側に向けた断面ハット形状とされており、ピラーインナパネル22は開口部を車幅方向外側に向けた断面ハット形状とされている。また、ピラーアウタパネル20の車両前方側の開口縁部には、車両前方へ向かって接合フランジ20Aが形成されており、ピラーアウタパネル20の車両後方側の開口縁部には、車両後方へ向かって接合フランジ20Bが形成されている。一方、ピラーインナパネル22の車両前方側の開口縁部には、車両前方へ向かって接合フランジ22Aが形成されており、ピラーインナパネル22の車両後方側の開口縁部には、車両後方へ向かって接合フランジ22Bが形成されている。
ピラーアウタパネル20の接合フランジ20Aとピラーインナパネル22の接合フランジ22Aとがスポット溶接によって結合されており、センタピラー14の車両前方側のフランジ14Hとなっている。また、ピラーアウタパネル20の接合フランジ20Bとピラーインナパネル22の接合フランジ22Bとがスポット溶接によって結合されており、センタピラー14の車両後方側のフランジ14Jとなっている。
なお、センタピラー14における車両前方側壁部14Fの稜線部R1と車両後方側壁部14Gの稜線部R2とが、閉断面23の断面中心Z1と車幅方向において同位置となっている。また、ピラーアウタパネル20の接合フランジ20Aとピラーインナパネル22の接合フランジ22Aとをレーザ溶接やアーク溶接等の線接合によって結合してもよい。また、ピラーアウタパネル20の接合フランジ20Aとピラーインナパネル22の接合フランジ22Aとをリベットやボルトによって結合してもよい。
図3には、センタピラー14の湾曲部14Cの一部が車幅方向外側斜め前方から見た斜視図で示されている。
図3に示される如く、センタピラー14の湾曲部14Cにおける車両前方側のフランジ14Hには、切欠30が形成されており、切欠30は、車両上下方向の一箇所または、所定の間隔で複数箇所に形成されている。また、切欠30を形成したセンタピラー14の稜線部R1の部位が脆弱部31となっている。
センタピラー14の湾曲部14Cにおける車両後方側のフランジ14Jには、切欠32が形成されており、切欠32は、車両上下方向の一箇所または、所定の間隔で複数箇所に形成されている。また、切欠32を形成したセンタピラー14の稜線部R2の部位が脆弱部33となっている。
図2には、センタピラー14の湾曲部14Cの一部が車幅方向外側から見た側面図で示されている。
図2に示される如く、センタピラー14の車両前方側におけるフランジ14Hの切欠30は車両前方側から矩形状に形成されており、上下方向の幅がH1、前後方向の幅がL1となっている。また、切欠30はセンタピラー14のフランジ14Hの溶接中心点Q1(スポット溶接の溶接ポイント)を結ぶ直線K1より深く(直線K1から車両後方へ距離S1の位置まで)形成されている。
同様に、センタピラー14の車両後方側におけるフランジ14Jの切欠32は車両後方側から矩形状に形成されており、上下方向の幅がH1、前後方向の幅がL1となっている。また、切欠32はセンタピラー14のフランジ14Jの溶接中心点Q2(スポット溶接の溶接ポイント)を結ぶ直線K2より深く(直線K2から車両前方へ距離S1の位置まで)形成されている。
従って、図1に二点鎖線で示すように、センタピラー14の車両前方側のフランジ14Hが、車両後方(図1の矢印A方向)へ移動すると共に、センタピラー14の車両後方側のフランジ14Jが、車両前方(図1の矢印B方向)へ移動し、車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ距離W1移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ距離W2移動する際に、切欠30、32によりセンタピラー14の稜線部R1、R2に脆弱部31、33を設けたことで、脆弱部31、33の弾性変形(バネ)により、図1に一点鎖線で示されるようなピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの車幅外側方向への撓みと、車幅方向内側壁部14Eの車幅方向内側への撓みとを吸収できるようになっている。
この結果、図1に一点鎖線で示されるようなピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの車幅外側方向への撓みと、車幅方向内側壁部14Eの車幅方向内側への撓みが抑制され、図1に二点鎖線で示すように撓みの少ない変形後の断面形状にできるようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、車両側突時等に、センタピラー14の上下方向中間部が衝突荷重(図5の矢印F1)を車幅方向外側から車幅方向内側に向かって受けた場合には、センタピラー14の湾曲部14Cが三次元的に車幅内側方向へ変形する前に、センタピラー14におけるベルトライン10Aより車両上方向となる湾曲部14Cにおける下端P1と上端P2とに、下端P1と上端P2の上下方向中間部を車室内側に変形させようとする曲げモーメント(図5の矢印M1、M2)が作用する。
このため、センタピラー14の湾曲部14Cは曲げモーメントM1、M2によって、図4に示す閉断面構造部材90と同様に、車幅方向外側壁部14Dが上下方向からの圧縮応力によって車幅方向外側へ変位し、センタピラー14の車幅方向内側壁部14Eが上下方向への引っ張り応力によって車幅方向内側へ変位する。
この場合、本実施形態のセンタピラー14では、図1に示される如く、車両前方側壁部14Fが長手直角断面において閉断面23の外方となる車両前方に凸の稜線部R1を持つ形状となっており、車両後方側壁部14Gが長手直角断面において閉断面23の外方となる車両後方に凸の稜線部R2を持つ形状となっている。
従って、センタピラー14の車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側に変位すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側に変位する場合には、図1に二点鎖線で示すように、車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ距離W1移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ距離W2移動する。この結果、センタピラー14の車幅方向の寸法がW3からW4(W4=W3+W1+W2)に増加するため、車幅方向への折れに対する強度が向上する。
これに加えて、本実施形態では、切欠30、32によりセンタピラー14の稜線部R1、R2に脆弱部31、33を設けたことで、センタピラー14の車両前方側のフランジ14Hが、車両後方(図1の矢印A方向)へ移動すると共に、センタピラー14の車両後方側のフランジ14Jが、車両前方(図1の矢印B方向)へ移動し、車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ距離W1移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ距離W2移動する際に、脆弱部31、33の弾性変形(バネ)により、図1に一点鎖線で示されるようなピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの車幅外側方向への撓みと、車幅方向内側壁部14Eの車幅方向内側への撓みとを吸収できる。
この結果、図1に一点鎖線で示されるようなピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの車幅外側方向への撓みと、車幅方向内側壁部14Eの車幅方向内側への撓みが抑制され、二点鎖線で示すように撓みの少ない変形後の断面形状となる。
従って、本実施形態のセンタピラー14では、圧縮応力に対する車幅方向外側壁部14Dのピラー長手直角断面形状における撓みによる耐力低下が抑制されると共に、圧縮応力に対する車幅方向内側壁部14Eのピラー長手直角断面形状における撓みによる車幅方向内側壁部14Eの耐力低下が抑制される。この結果、センタピラー14に車幅方向外側から車幅方向内側に向かって衝突荷重F1が作用した場合に、センタピラー14の断面破壊を抑制できる。
また、本実施形態では、センタピラー14の車両外側部を構成するピラーアウタパネル20と、センタピラー14の車両内側部を構成するピラーインナパネル22との結合部がセンタピラー14の稜線部R1、R2に沿って形成される接合フランジとしての車両前方側のフランジ14Hと車両後方側のフランジ14Jとになっている。このため、切欠30、32をフランジ14H、14Jに設けることで、センタピラー14の稜線部R1、R2に脆弱部31、33を容易に形成できる。
次に、本発明でない参考例としての車両のピラー部構造の第2実施形態を図7に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図7には、第2実施形態の車両のピラー部構造が図3に対応する斜視図で示されている。
図7に示される如く、本実施形態では、センタピラー14におけるピラーアウタパネル20の接合フランジ20Aとピラーインナパネル22の接合フランジ22Aとが接着剤34によって結合されており、センタピラー14の車両前方側のフランジ14Hとなっている。また、ピラーアウタパネル20の接合フランジ20Bとピラーインナパネル22の接合フランジ22Bとが接着剤34によって結合されており、センタピラー14の車両後方側のフランジ14Jとなっている。
センタピラー14の湾曲部14Cにおける車両前方側のフランジ14Hには非接着部36が形成されている。また、センタピラー14の湾曲部14Cにおける車両後方側のフランジ14Jには非接着部38が形成されている。なお、非接着部36はフランジ14Hにおける車両上下方向の一箇所または、所定の間隔で複数箇所に形成されており、非接着部38はフランジ14Jにおける車両上下方向の一箇所または、所定の間隔で複数箇所に形成されている。
センタピラー14の車両前方側におけるフランジ14Hの非接着部36は車両前方側から矩形状に形成されており、フランジ14Hの接着部の中心線K3より深く(接着中心線K3から車両後方の位置まで)形成されている。また、非接着部36を形成したセンタピラー14の稜線部R1の部位が脆弱部31となっている。
同様に、センタピラー14の車両後方側におけるフランジ14Jの非接着部38は車両後方側から矩形状に形成されており、フランジ14Jの接着中心線K4より深く(接着中心線K4から車両前方の位置まで)形成されている。また、非接着部38を形成したセンタピラー14の稜線部R2の部位が脆弱部33となっている。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
次に、本発明でない参考例としての車両のピラー部構造の第3実施形態を図8に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図8には、第3実施形態の車両のピラー部構造が図3に対応する斜視図で示されている。
図8に示される如く、本実施形態では、センタピラー14の湾曲部14Cにおけるフランジ14Hの溶接中心点Q1の位置を車両前方側へ移動することで稜線部R1に脆弱部31を形成している。同様に、センタピラー14の湾曲部14Cにおけるフランジ14Jの溶接中心点Q2の位置を車両後方側へ移動することで稜線部R2に脆弱部33を形成している。
従って、本実施形態においては、センタピラー14の断面が変形する際に、脆弱部31、33において、フランジ14H、14Jの根元部(閉断面23側の端部)に口開きが発生することによって、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、センタピラー14の湾曲部14Cにおけるフランジ14H、14Jをレーザ溶接やアーク溶接等の線接合によって結合した場合にも、溶接位置を車両前方側、車両後方側へ移動することで稜線部R1、R2に脆弱部31、33を形成できる。また、センタピラー14の湾曲部14Cにおけるフランジ14H、14Jをレーザ溶接やアーク溶接等の線接合によって結合した場合には、溶接の一部を無くすことで稜線部R1、R2に脆弱部31、33を形成することもできる。
次に、本発明でない参考例としての車両のピラー部構造の第4実施形態を図9に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図9には、第4実施形態の車両のピラー部構造が図1に対応する断面図で示されている。
図9に示される如く、本実施形態では、センタピラー14における圧縮変形を受ける側となる車幅方向外側壁部14Dの長手直角断面形状が閉断面23の外方に凸に湾曲している。より具体的に説明すると、センタピラー14における圧縮変形を受ける側となる車幅方向外側壁部14Dは、長手方向となる車両上下方向から見た断面形状が、車幅方向外方へ凸の曲率半径Rの円弧となっている。
従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果に加えて、センタピラー14における圧縮変形を受ける側となる車幅方向外側壁部14Dの長手直角断面形状を車幅方向外方へ凸の曲率半径Rの円弧としたことで、車幅方向外側壁部14Dが軸圧縮曲げ変形する際に、車幅方向外側壁部14Dの座屈応力が増加し、センタピラー14の変形をさらに抑制できる。このため、センタピラー14の耐え得る最大荷重を大きくできる。
次に、本発明である車両のピラー部構造の第5実施形態を図10及び図11に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図10には、第5実施形態の車両のピラー部構造が図1に対応する断面図で示されており、図11には、第5実施形態の車両のピラー部構造が図3に対応する斜視図で示されている。
図10に示される如く、本実施形態では、センタピラー14における車両前方側壁部14Fの稜線部R1に脆弱部39を形成するための線長部40、41が形成されており、センタピラー14における車両後方側壁部14Gの稜線部R2に脆弱部39を形成するための線長部42、43が形成されている。また、車両前方側壁部14Fと車幅方向外側壁部14Dとの連結部となる稜線部R3には脆弱部39を形成するための線長部44が、車両後方側壁部14Gと車幅方向外側壁部14Dとの連結部となる稜線部R4には脆弱部39を形成するための線長部46が、車両前方側壁部14Fと車幅方向内側壁部14Eとの連結部となる稜線部R5には脆弱部39を形成するための線長部48が、車両後方側壁部14Gと車幅方向内側壁部14Eとの連結部となる稜線部R6には脆弱部39を形成するための線長部50がそれぞれ形成されている。
各線長部40、41、42、43、44、46、48、50は、センタピラー14の閉断面23の外側に向かって凸に膨らんでおり、各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6における車両上下方向から見た断面(図10)に沿った線長を、線長部40、41、42、43、44、46、48、50によって長くすることで、センタピラー14の各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6の剛性を低くしている。なお、本実施形態では、各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6における車両上下方向から見た断面(図10)に沿った線長を、線長部40、41、42、43、44、46、48、50によって、略2倍にすることで、六角形の各コーナ部の剛性を略半分にしている。
図11に示される如く、各線長部40、41、42、43、44、46、48、50はセンタピラー14の長手方向(車両上下方向)の一箇所または、所定の間隔で複数箇所に形成されている。
従って、センタピラー14の各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6に線長部40、41、42、43、44、46、48、50により脆弱部39を設けたことで、センタピラー14の車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ移動する際に、脆弱部39の弾性変形(バネ)により、ピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの車幅外側方向への撓みと、車幅方向内側壁部14Eの車幅方向内側への撓みとを吸収できる。
このため、本実施形態では、センタピラー14の車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ移動する際に、第1実施形態と同様に、ピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの撓みと車幅方向内側壁部14Eの撓みが抑制され撓みの少ない断面形状となる。
従って、本実施形態のセンタピラー14では、圧縮応力に対するピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの撓みによる耐力低下がさらに抑制されると共に、圧縮応力に対するピラー長手直角断面形状における車幅方向内側壁部14Eの撓みによる耐力低下がさらに抑制される。この結果、本実施形態のセンタピラー14では、センタピラー14に車幅方向外側から車幅方向内側に向かって衝突荷重が作用した場合に、センタピラー14の断面破壊をさらに抑制できる。
次に、本発明でない参考例としての車両のピラー部構造の第6実施形態を図12及び図13に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図12には、第6実施形態の車両のピラー部構造が図1に対応する断面図で示されており、図13には、第6実施形態の車両のピラー部構造が図3に対応する斜視図で示されている。
図12に示される如く、本実施形態では、センタピラー14における車両前方側壁部14Fの稜線部R1に脆弱部39を形成するための凹部(溝)54と凹部56とが形成されている。凹部54はピラーアウタパネル20の接合フランジ20Aの根元にセンタピラー14の長手方向に沿って、センタピラー14の外側から内側に向かって断面円形状に形成されており、凹部56はピラーインナパネル22の接合フランジ22Aの根元に、センタピラー14の外側から内側に向かって断面円形状に形成されている。
同様に、センタピラー14における車両後方側壁部14Gの稜線部R2に脆弱部39を形成するための凹部58と凹部60とが形成されている。凹部58はピラーアウタパネル20の接合フランジ20Bの根元に、センタピラー14の長手方向に沿ってセンタピラー14の外側から内側に向かって断面円形状に形成されており、凹部60はピラーインナパネル22の接合フランジ22Bの根元に、センタピラー14の長手方向に沿ってセンタピラー14の外側から内側に向かって断面円形状に形成されている。
車両前方側壁部14Fと車幅方向外側壁部14Dとの連結部となる稜線部R3には脆弱部39を形成するための凹部62が形成されており、凹部62はセンタピラー14の長手方向に沿ってセンタピラー14の内側から外側に向かって断面円形状に形成されている。また、車両後方側壁部14Gと車幅方向外側壁部14Dとの連結部となる稜線部R4には脆弱部39を形成するための凹部64が形成されており、凹部64はセンタピラー14の長手方向に沿ってセンタピラー14の内側から外側に向かって断面円形状に形成されている。
車両前方側壁部14Fと車幅方向内側壁部14Eとの連結部となる稜線部R5には脆弱部39を形成するための凹部66が形成されており、凹部66はセンタピラー14の長手方向に沿ってセンタピラー14の内側から外側に向かって断面円形状に形成されている。また、車両後方側壁部14Gと車幅方向内側壁部14Eとの連結部となる稜線部R6には脆弱部39を形成するための凹部68が形成されており、凹部68はセンタピラー14の長手方向に沿ってセンタピラー14の内側から外側に向かって断面円形状に形成されている。
なお、各凹部54、56、58、60、62、64、66、68は、センタピラー14における各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6の板厚を薄くすることで、剛性を低くしている。また、本実施形態では、各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6Rにおける板厚を他の部位の略半分とすることで、六角形の各コーナ部の剛性を略半分にしている。
図13に示される如く、凹部54、56、58、60、62、64、66、68はセンタピラー14における長手方向(車両上下方向)の一箇所または、所定の間隔で複数箇所に形成されている。
なお、各凹部54、56、58、60、62、64、66、68をセンタピラー14における湾曲部14Cの全長に形成してもよい。また、各凹部54、56、58、60、62、64、66、68の断面形状や深さを他の断面形状や深さとしてもよい。
従って、センタピラー14の各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6に凹部54、56、58、60、62、64、66、68により脆弱部39を設けたことで、センタピラー14の車両前方側のフランジ14Hが、車両後方(図12の矢印A方向)へ移動すると共に、センタピラー14の車両後方側のフランジ14Jが、車両前方(図12の矢印B方向)へ移動し、センタピラー14の車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ移動する際に、脆弱部39の弾性変形(バネ)により、ピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの車幅外側方向への撓みと、車幅方向内側壁部14Eの車幅方向内側への撓みとを吸収できる。
このため、本実施形態では、車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ移動する際に、第1実施形態と同様に、ピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの撓みと車幅方向内側壁部14Eの撓みが抑制され、撓みの少ない断面形状となる。
従って、本実施形態のセンタピラー14では、ピラー長手直角断面形状における圧縮応力に対する車幅方向外側壁部14Dの撓みによる耐力低下がさらに抑制されると共に、圧縮応力に対する車幅方向内側壁部14Eの撓みによる耐力低下がさらに抑制される。この結果、本実施形態のセンタピラー14では、センタピラー14に車幅方向外側から車幅方向内側に向かって衝突荷重が作用した場合に、センタピラー14の断面破壊をさらに抑制できる。
なお、本実施形態では、各凹部54、56、58、60、62、64、66、68によって、各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6の板厚が薄くなる。このため、各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6における板厚が薄くなる部分に変形時の座屈を防止するための部分焼入れや部分テーラードブランク(異種鋼鈑のつなぎ合わせ)を行ってもよい。
次に、本発明でない参考例としての車両のピラー部構造の第7実施形態を図14及び図15に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図14には、第7実施形態の車両のピラー部構造が図1に対応する断面図で示されており、図15には、第7実施形態の車両のピラー部構造が図3に対応する斜視図で示されている。
図14に示される如く、本実施形態では、センタピラー14における車両前方側壁部14Fの稜線部R1に脆弱部39を形成するための線長部70、71が形成されており、センタピラー14における車両後方側壁部14Gの稜線部R2に脆弱部39を形成するための線長部72、73が形成されている。また、車両前方側壁部14Fと車幅方向外側壁部14Dとの連結部となる稜線部R3には脆弱部39を形成するための線長部74が、車両後方側壁部14Gと車幅方向外側壁部14Dとの連結部となる稜線部R4には脆弱部39を形成するための線長部76が、車両前方側壁部14Fと車幅方向内側壁部14Eとの連結部となる稜線部R5には脆弱部39を形成するための線長部78が、車両後方側壁部14Gと車幅方向内側壁部14Eとの連結部となる稜線部R6には脆弱部39を形成するための線長部80がそれぞれ形成されている。
各線長部70、71、72、73、74、76、78、80は、センタピラー14の閉断面23の外側と内側に向かって蛇腹状に折り畳まれており、各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6における車両上下方向から見た断面(図14)に沿った線長を長くすることで、センタピラー14の各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6の剛性を低くしている。なお、本実施形態では、各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6における車両上下方向から見た断面(図14)に沿った線長を、各線長部70、71、72、73、74、76、78、80によって、略2倍にすることで、六角形のコーナ部の剛性を略半分にしている。
図15に示される如く、各線長部70、71、72、73、74、76、78、80はセンタピラー14における長手方向(車両上下方向)の一箇所または、所定の間隔で複数箇所に形成されている。
なお、各線長部70、71、72、73、74、76、78、80をセンタピラー14における湾曲部14Cの全長に形成してもよい。
従って、センタピラー14の各稜線部R1、R2、R3、R4、R5、R6に各線長部70、71、72、73、74、76、78、80により脆弱部39を設けたことで、センタピラー14の車両前方側のフランジ14Hが、車両後方(図14の矢印A方向)へ移動すると共に、センタピラー14の車両後方側のフランジ14Jが、車両前方(図14の矢印B方向)へ移動し、センタピラー14の車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ移動する際に、脆弱部39の弾性変形(バネ)により、ピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの車幅外側方向への撓みと、車幅方向内側壁部14Eの車幅方向内側への撓みとを吸収できる。
このため、本実施形態では、センタピラー14の車幅方向外側壁部14Dが車幅方向外側へ移動すると共に、車幅方向内側壁部14Eが車幅方向内側へ移動する際に、第1実施形態と同様に、ピラー長手直角断面形状における車幅方向外側壁部14Dの撓みと車幅方向内側壁部14Eの撓みが抑制され撓みの少ない断面形状となる。
従って、本実施形態のセンタピラー14では、ピラー長手直角断面形状における圧縮応力に対する車幅方向外側壁部14Dの撓みによる耐力低下がさらに抑制されると共に、圧縮応力に対する車幅方向内側壁部14Eの撓みによる耐力低下がさらに抑制される。この結果、本実施形態のセンタピラー14では、センタピラー14に車幅方向外側から車幅方向内側に向かって衝突荷重が作用した場合に、センタピラー14の断面破壊をさらに抑制できる。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、図1に示される如く、センタピラー14の長手直角断面(車両上下方向から見た断面)を正六角形の閉断面23としたが、センタピラー14の長手直角断面は正六角形に限定されず、例えば、図16に示される如く、車両前方側壁部14Fの稜線部R1と車両後方側壁部14Gの稜線部R2とが断面中心Z2より車幅方向外側となるような他の断面形状としてもよい。
また、上記各実施形態では、本発明の車両のピラー部構造を車両10のセンタピラー14に適用したが、本発明の車両のピラー部構造は車両10の他のピラーにも適用である。
また、上記各実施形態のうちの何れかを組み合わせた構成としてもよい。