JP4752636B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
また、補正量算出手段は、燃料噴射弁が噴射停止中であることを考慮に入れて補正量を算出する。このように噴射を停止した燃料噴射弁は、噴射を継続した場合と比較して、インジェクタの温度特性が変化する可能性が高い。そのため、噴射停止後から噴射再開後に、燃料噴射の継続時における温度特性に戻るまで、温度特性の違いによる燃料噴射量のずれが発生し得る。よって、上記の内燃機関の制御装置によれば、噴射停止に起因する燃料噴射弁及び供給燃料が受ける受熱量などの変化を考慮して、受熱量変化によるインジェクタ及び供給燃料の温度特性を精度良く推定し、噴射量ずれを精度良く補正することができる。
上記の内燃機関の制御装置の好適な例では、前記補正量算出手段は、複数の燃料噴射弁を噴き分け制御しているか否かに基づいて前記補正量を算出する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の制御装置が適用されたエンジン8の構成を示す概略図である。なお、図1では、実線矢印がガスの流れを示し、破線矢印が信号の入出力を示している。
まず、第1実施形態に係る制御について説明する。第1実施形態では、ECU30は、噴射停止制御を実行した場合に、ポートINJ9及び筒内INJ10から噴射させる燃料噴射量を補正する補正量を算出し、この補正量に基づいて噴射制御を行う。このように噴射停止制御を実行した場合に燃料噴射量を補正する理由は、以下の通りである。
PTbody:ポートINJ本体温度
PTfuel:ポートINJ配管内燃料温度
Kthw1:第1のエンジンからの受熱補正係数
Kair:吸入空気による冷却補正係数
Kpfuel1:第1の燃料温度補正係数
Kthw2:第2のエンジンからの受熱補正係数
Kspd1:第1の車両走行風による冷却補正係数
Kpfuel2:第2の燃料温度補正係数
Kthw3:第3のエンジンからの受熱補正係数
Kspd2:第2の車両走行風による冷却補正係数
Kp:ポートINJ噴射量補正係数
K(PTtop):ポートINJ先端温度変化分補正係数
K(PTbody):ポートINJ本体温度変化分補正係数
K(PTfuel):ポートINJ配管内燃料温度変化分補正係数
DTtop:筒内INJ先端温度
DTbody:筒内INJ本体温度
DTfuel:筒内INJ配管内燃料温度
Kthw4:第4のエンジンからの受熱補正係数
Kcomb:燃焼ガスによる温度補正係数
Kpfuel3:第3の燃料温度補正係数
Kthw5:第5のエンジンからの受熱補正係数
Kspd3:第3の車両走行風による冷却補正係数
Kpfuel4:第4の燃料温度補正係数
Kthw6:第6のエンジンからの受熱補正係数
Kspd4:第4の車両走行風による冷却補正係数
Kd:筒内INJ噴射量補正係数
K(DTtop):筒内INJ先端温度変化分補正係数
K(DTbody):筒内INJ本体温度変化分補正係数
K(DTfuel):筒内INJ配管内燃料温度変化分補正係数
Kpdec:ポートINJ噴射量補正係数減衰値
Kddec:筒内INJ噴射量補正係数減衰値
PQ:ポートINJ噴射量
DQ:筒内INJ噴射量
PQbase:ポートINJ基本噴射量
DQbase:筒内INJ基本噴射量
まず、ステップS101では、ECU30は、機関運転中であるか否かを判定する。機関運転中である場合(ステップS101;Yes)、処理はステップS102に進み、機関運転中でない場合(ステップS101;No)、処理は当該フローを抜ける。
式(1)によれば、前回の処理において算出されたポートINJ噴射量補正係数Kp(n-1)から、ポートINJ噴射量補正係数減衰値Kpdec分を減算することによって、ポートINJ噴射量補正係数Kpが得られる。この場合、式(1)を用いて、ポートINJ噴射量補正係数Kpが「1」になるまで(即ち補正量が0になるまで)減衰させる。なお、ポートINJ噴射量補正係数減衰値Kpdecは、機関運転条件や燃料噴射量に応じた値が選択される。以上のステップS103の処理が終了すると、処理はステップS107に進む。
PTbody=Σ(Kthw2+Kspd1+Kpfuel2) 式(3)
PTfuel=Σ(Kthw3+Kspd2) 式(4)
式(2)によれば、ポートINJ先端温度PTtopは、第1のエンジンからの受熱補正係数Kthw1と、吸入空気による冷却補正係数Kairと、第1の燃料温度補正係数Kpfuel1と、に基づいて算出される。即ち、ポートINJ先端温度PTtopは、ポートINJ9の先端部がエンジンからの受熱と、吸入空気による冷却と、燃料温度と、の影響を受けることを考慮に入れて求められる。式(3)によれば、ポートINJ本体温度PTbodyは、第2のエンジンからの受熱補正係数Kthw2と、第1の車両走行風による冷却補正係数Kspd1と、第2の燃料温度補正係数Kpfuel2と、に基づいて算出される。即ち、ポートINJ本体温度PTbodyは、ポートINJ9の本体部がエンジンからの受熱と、車両走行風による冷却と、燃料温度と、の影響を受けることを考慮に入れて求められる。また、式(4)によれば、ポートINJ配管内燃料温度PTfuelは、第3のエンジンからの受熱補正係数Kthw3と、第2の車両走行風による冷却補正係数Kspd2と、に基づいて算出される。即ち、ポートINJ配管内燃料温度PTfuelは、ポートINJ9の配管内を流動する燃料がエンジンからの受熱と、車両走行風による冷却と、の影響を受けることを考慮に入れて求められる。以上の処理が終了すると、処理はステップS105に進む。
式(5)によれば、ポートINJ噴射量補正係数Kpは、ポートINJ先端温度変化分補正係数K(PTtop)と、ポートINJ本体温度変化分補正係数K(PTbody)と、ポートINJ配管内燃料温度変化分補正係数K(PTfuel)と、に基づいて算出される。ポートINJ先端温度変化分補正係数K(PTtop)は、ポートINJ先端温度PTtopを、予め定められたマップや演算式などに代入することによって得られる値である。ポートINJ本体温度変化分補正係数K(PTbody)は、ポートINJ本体温度PTbodyを、予め定められたマップや演算式などに代入することによって得られる値である。ポートINJ配管内燃料温度変化分補正係数K(PTfuel)は、ポートINJ配管内燃料温度PTfuelを、予め定められたマップや演算式などに代入することによって得られる値である。以上の処理が終了すると、処理はステップS107に進む。
式(6)によれば、前回の処理において算出された筒内INJ噴射量補正係数Kd(n-1)から、筒内INJ噴射量補正係数減衰値Kddec分を減算することによって、筒内INJ噴射量補正係数Kdが得られる。この場合、式(6)を用いて、筒内INJ噴射量補正係数Kdが「1」になるまで(即ち補正量が0になるまで)減衰させる。なお、筒内INJ噴射量補正係数減衰値Kddecは、機関運転条件や燃料噴射量に応じた値が選択される。以上のステップS108の処理が終了すると、処理はステップS112に進む。
DTbody=Σ(Kthw5+Kspd3+Kpfuel4) 式(8)
DTfuel=Σ(Kthw6+Kspd4) 式(9)
式(7)によれば、筒内INJ先端温度DTtopは、第4のエンジンからの受熱補正係数Kthw4と、燃焼ガスによる温度補正係数Kcombと、第3の燃料温度補正係数Kpfuel3と、に基づいて算出される。即ち、筒内INJ先端温度DTtopは、筒内INJ10の先端部がエンジンからの受熱と、燃焼ガスによる受熱と、燃料温度と、の影響を受けることを考慮に入れて求められる。式(8)によれば、筒内INJ本体温度DTbodyは、第5のエンジンからの受熱補正係数Kthw5と、第3の車両走行風による冷却補正係数Kspd3と、第4の燃料温度補正係数Kpfuel4と、に基づいて算出される。即ち、筒内INJ本体温度DTbodyは、筒内INJ10の本体部がエンジンからの受熱と、車両走行風による冷却と、燃料温度と、の影響を受けることを考慮に入れて求められる。また、式(9)によれば、筒内INJ配管内燃料温度DTfuelは、第6のエンジンからの受熱補正係数Kthw6と、第4の車両走行風による冷却補正係数Kspd4と、に基づいて算出される。即ち、筒内INJ配管内燃料温度DTfuelは、筒内INJ10の配管内を流動する燃料がエンジンからの受熱と、車両走行風による冷却と、の影響を受けることを考慮に入れて求められる。以上の処理が終了すると、処理はステップS110に進む。
式(10)によれば、筒内INJ噴射量補正係数Kdは、筒内INJ先端温度変化分補正係数K(DTtop)と、筒内INJ本体温度変化分補正係数K(DTbody)と、筒内INJ配管内燃料温度変化分補正係数K(DTfuel)と、に基づいて算出される。筒内INJ先端温度変化分補正係数K(DTtop)は、筒内INJ先端温度DTtopを、予め定められたマップや演算式などに代入することによって得られる値である。筒内INJ本体温度変化分補正係数K(DTbody)は、筒内INJ本体温度DTbodyを、予め定められたマップや演算式などに代入することによって得られる値である。筒内INJ配管内燃料温度変化分補正係数K(DTfuel)は、筒内INJ配管内燃料温度DTfuelを、予め定められたマップや演算式などに代入することによって得られる値である。以上の処理が終了すると、処理はステップS112に進む。
DQ=DQbase×Kd 式(12)
式(11)中のポートINJ基本噴射量PQbase、及び(12)中の筒内INJ基本噴射量DQbaseは、エンジン8の負荷などにより設定される噴射量であり、噴射再開後に燃料噴射をある程度継続して行った際に設定すべき噴射量である。つまり、ポートINJ噴射量補正係数Kp及び筒内INJ噴射量補正係数Kdが「1」である場合(補正が行われない場合)には、ポートINJ噴射量PQとしてポートINJ基本噴射量PQbaseが算出され、筒内INJ噴射量DQとして筒内INJ基本噴射量DQbaseが算出される。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。この後、ECU30は、ポートINJ9からポートINJ噴射量PQが噴射されるように噴射制御すると共に、筒内INJ10から筒内INJ噴射量DQが噴射されるように噴射制御する。具体的には、ポートINJ9が噴射停止していた場合には噴射再開時にポートINJ噴射量PQが噴射されるように制御し、筒内INJ10が噴射停止していた場合には噴射再開時に筒内INJ噴射量DQが噴射されるように制御する。
次に、第2実施形態に係る制御について説明する。第2実施形態では、ECU30は、上記した噴射停止制御の代わりに噴き分け制御を実行した場合に、ポートINJ9及び筒内INJ10の燃料噴射量を補正する補正量を算出する。このように噴き分け制御を行う場合に燃料噴射量を補正する理由は、以下の通りである。
PTbody=Σ(Kthw2+Kspd1+Kpfuel2)/kpfi 式(14)
PTfuel=Σ(Kthw3+Kspd2)/kpfi 式(15)
式(13)〜(15)では、前述した式(2)〜(4)から得られる値をポートINJ噴き分け率kpfiによって除算することによって、ポートINJ先端温度PTtopと、ポートINJ本体温度PTbodyと、ポートINJ配管内燃料温度PTfuelと、を算出している。以上の処理が終了すると、処理はステップS205に進む。
DTbody=Σ(Kthw5+Kspd3+Kpfuel4)/kdi 式(17)
DTfuel=Σ(Kthw6+Kspd4)/kdi 式(18)
式(16)〜(18)では、前述した式(7)〜(9)から得られる値を筒内INJ噴き分け率kdiによって除算することによって、筒内INJ先端温度DTtopと、筒内INJ本体温度DTbodyと、筒内INJ配管内燃料温度DTfuelと、を算出している。以上の処理が終了すると、処理はステップS209に進む。
次に、第3実施形態に係る制御について説明する。第3実施形態では、燃料噴射量を補正する補正量を算出するだけでなく、この補正量に基づいて空燃比学習制御の実行を制限する点で、上述した第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。具体的には、第3実施形態では、噴射停止制御を実行した場合に、燃料噴射量の補正量に基づいて空燃比学習制御の実行を制限する。こうするのは、噴射を停止したインジェクタは、温度特性の変化に起因する燃料噴射量のずれが発生し得るからである。即ち、第3実施形態に係る制御は、燃料噴射量のずれに起因する空燃比学習の誤学習を防止するために行われる。
次に、第4実施形態に係る制御について説明する。第4実施形態でも、第3実施形態と同様に、燃料噴射量を補正する補正量を算出すると共に、補正量に基づいて空燃比学習制御の実行を制限する。第4実施形態では、噴き分け制御を実行した場合に、燃料噴射量の補正量に基づいて空燃比学習制御の実行を制限する点で、第3実施形態と異なる。こうするのは、噴き分け制御を実行した場合、インジェクタの温度特性の変化に起因する燃料噴射量のずれが発生し得るからである。即ち、第4実施形態に係る制御は、燃料噴射量のずれに起因する空燃比学習の誤学習を防止するために行われる。
上記では、検出された温度などを予め定められたマップや演算式などに代入することによって補正係数を得て、これを用いてポートINJ噴射量補正係数Kp及び筒内INJ噴射量補正係数Kdなどを算出する実施形態を示したが、これに限定はされない。他の例では、補正係数を求める代わりに、得られた温度などを重み付けして計算することによって、ポートINJ噴射量補正係数Kp及び筒内INJ噴射量補正係数Kdなどを算出することができる。
4 スロットルバルブ
8 エンジン
9 ポート噴射インジェクタ
10 筒内噴射インジェクタ
11a 気筒
12 点火プラグ
13a 吸気弁
13b 排気弁
18 排気通路
30 ECU
Claims (9)
- 気筒ごとにポート噴射弁及び筒内噴射弁を燃料噴射弁として有する内燃機関に対して制御を行う内燃機関の制御装置であって、
少なくとも前記燃料噴射弁の温度及び前記燃料噴射弁に供給される燃料温度に基づいて、前記ポート噴射弁及び前記筒内噴射弁のそれぞれから噴射させる燃料噴射量を補正する補正量を算出する補正量算出手段と、
前記補正量に基づいて、前記ポート噴射弁及び前記筒内噴射弁に対する噴射制御を実行する噴射制御手段と、を備え、
前記補正量算出手段は、前記ポート噴射弁及び前記筒内噴射弁における噴き分け率に基づいて前記補正量を算出することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記補正量算出手段は、複数の燃料噴射弁を噴き分け制御しているか否かに基づいて前記補正量を算出する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記補正量に基づいて、空燃比学習制御における学習量を制限する学習量制限手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記学習量制御手段は、前記補正量が所定量より大きい場合には、前記空燃比学習制御を禁止することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記補正量算出手段は、前記燃料噴射弁が噴射停止中であるときの前記燃料噴射弁の温度及び前記燃料温度に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記補正量算出手段は、前記燃料噴射弁が噴射停止から噴射を再開した場合には、前記補正量を徐々に減衰させていくことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記補正量算出手段は、前記噴き分け率に基づいて、前記燃料噴射弁の温度及び前記燃料温度を求めることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記補正量算出手段は、前記燃料噴射弁の温度として当該燃料噴射弁の本体温度と当該燃料噴射弁の先端温度とを求めると共に、前記燃料温度として前記燃料噴射弁の配管内の燃料温度を求め、前記本体温度、前記先端温度、及び前記配管内の燃料温度に基づいて前記補正量を算出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記補正量算出手段は、内燃機関からの受熱、車両走行風による冷却、及び燃焼ガスからの受熱の少なくともいずれか一つ以上に基づいて、前記燃料噴射弁の温度及び前記燃料温度を求めることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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