本発明の実施形態1の詳細な回路構成を図1〜図3に示す。図1は1次側の回路構成、図2は2次側の回路構成、図3はスイッチング素子と制御回路を内蔵した集積回路IC1(新電元MR1722)の内部構成を示している。
図1に示す1次側回路と図2に示す2次側回路は、トランスT1の部分で電磁的に結合されており、フォトカプラPC1,PC2の部分で光学的に結合されており、雑音防止用コンデンサC3,C4の部分で高周波的に結合されている。したがって、1次側グランドラインG1と2次側グランドラインG2は直流的には絶縁されている。フォトカプラPC1は2次側の出力制御回路22から1次側の制御用集積回路IC1にフィードバック制御信号を帰還させるための絶縁素子であり、フォトカプラPC2は1次側の位相検出回路16により検出された導通位相角を2次側の演算回路21に伝達するための絶縁素子である。
1次側回路には入力コネクタCON1を備え、2次側回路には出力コネクタCON2を備えている。入力コネクタCON1には、図6に示すように、交流電源4と位相制御素子31の直列回路が接続され、位相制御された交流電圧が印加される。出力コネクタCON2には、LEDモジュール2のような直流負荷が接続され、位相制御された交流電圧の導通位相角に応じた直流電流が出力される。
入力コネクタCON1には、フィルタ回路11を介して整流平滑回路12における全波整流器DBの交流入力端子が接続されている。全波整流器DBの直流出力端子には突入電流防止回路13を介して平滑コンデンサC2が接続されている。平滑コンデンサC2には平滑化された直流電圧Vdcが得られる。
突入電流防止回路13は、サーミスタPTHとサイリスタQ5の並列回路を備え、電源投入直後はサーミスタPTHを介して平滑コンデンサC2が充電されることにより突入電流が防止される。トランスT1の1次巻線n1,n2の励磁が開始されると、1次巻線n1の電圧によりダイオードD8、抵抗R21,R43,R42を介してコンデンサC17が充電され、サイリスタQ5が導通する。これにより通常動作中にはサーミスタPTHによる電力ロスは生じない。
フィルタ回路11はラインフィルタLF1と雑音防止用コンデンサC1を備えると共に、過電圧防止用の非線形抵抗素子ZNR、過電流遮断用のフューズFSを備えている。本回路では、雑音防止用コンデンサC1に流れる進相電流が交流電源4と直列接続された位相制御素子31の消弧を妨げないように、交流電圧のゼロクロス付近で雑音防止用コンデンサC1を抵抗により短絡せしめる位相補正回路17が設けられている。また、位相制御された交流電圧の導通位相角を検出するために位相検出回路16が設けられている。位相補正回路17と位相検出回路16の詳細な構成及び動作については後述する。
平滑コンデンサC2の直流電圧Vdcは、トランスT1と制御用集積回路IC1を用いたDC−DCコンバータにより電圧変換され、2次側回路(図2)の平滑コンデンサC5に直流出力電圧Voutが得られる。このDC−DCコンバータは、平滑コンデンサC2からトランスT1の1次巻線n1,n2に供給される1次電流を高周波で断続し、1次電流が流れている期間にトランスT1に電磁エネルギーを蓄積し、1次電流が遮断されている期間にトランスT1の2次巻線n5に得られる逆起電圧によりダイオードD1を介して平滑コンデンサC5を充電する、いわゆるフライバック型のDC−DCコンバータである。
以下、フライバック型のDC−DCコンバータの回路構成及び動作について詳述する。平滑コンデンサC2の正極はトランスT1の1次巻線n1,n2を介して集積回路IC1のドレイン端子(5番ピン)に接続されている。集積回路IC1のドレイン端子(5番ピン)とグランド端子(3番ピン)には、図3に示すように、MOSFETよりなるスイッチング素子Q8のドレイン端子とソース端子がそれぞれ接続されている。平滑コンデンサC2の負極は1次側回路のグランドラインG1に接続されている。
スイッチング素子Q8は集積回路IC1に内蔵された制御回路により高周波でON・OFF駆動される。スイッチング素子Q8がONすると、平滑コンデンサC2の正極からトランスT1の1次巻線n1,n2、スイッチング素子Q8のドレイン端子・ソース端子、1次側グランドラインG1、平滑コンデンサC2の負極の経路で1次電流が流れる。この1次電流は直線的に増加して行き、トランスT1に電磁エネルギーが蓄積される。
スイッチング素子Q8のON幅は集積回路IC1内部のコンパレータ51によりON幅タイマ52の電圧とフィードバック端子(2番ピン)の電圧を比較することにより決定され、コンパレータ51の出力によりラッチ回路53がリセットされると、スイッチング素子Q8はOFFされる。
スイッチング素子Q8がOFFすると、トランスT1に蓄積された電磁エネルギーが放出され、2次巻線n5に誘起される逆起電圧によりダイオードD1を介して2次側回路の平滑コンデンサC5が充電される。また、このとき、2次巻線n4に誘起される逆起電圧によりダイオードD71を介して制御用電源電圧Vccを供給するための平滑コンデンサC23が充電される。
スイッチング素子Q8がOFFしている期間に、トランスT1の2次電流は直線的に減少して行き、トランスT1に蓄積された電磁エネルギーの放出が完了すると、2次巻線n4の誘起電圧が消失する。2次巻線n4の誘起電圧は抵抗R22を介して集積回路IC1のゼロクロス検出端子(1番ピン)に入力されている。同端子とグランド間のコンデンサC22は誤動作防止用のコンデンサである。集積回路IC1のゼロクロス検出端子(1番ピン)には、図3に示すように、ゼロ電流検出回路54が接続されており、トランスT1の2次電流の消失が検出されると、ラッチ回路53をセットして、スイッチング素子Q8を再びONさせる。
このように、本回路のDC−DCコンバータは、いわゆる境界モードで動作するので、電力変換効率が高くなる。また、部分共振用のコンデンサC20をドレイン端子(5番ピン)とグランド端子(3番ピン)の間に並列接続し、スイッチング素子Q8のドレイン・ソース間電圧が略ゼロとなるタイミングでスイッチング素子Q8がONするように定数設定しているので、スイッチング損失の低減による高効率化を実現している。
なお、2次巻線n3,n4は2次巻線でありながら1次側回路に接続されているが、本明細書では、トランスT1の1次巻線、2次巻線とはそれぞれ入力巻線、出力巻線のことを意味するものとし、1次側回路、2次側回路というときは入力コネクタCON1側のグランドラインG1に接続されている回路を1次側回路、出力コネクタCON2側のグランドラインG2に接続されている回路を2次側回路と呼ぶことにする。
集積回路IC1の電源端子(4番ピン)には、平滑コンデンサC23から制御用電源電圧Vccが供給されている。この平滑コンデンサC23に制御用電源電圧Vccを供給するための制御用電源回路は3種類設けられており、そのうち、第1の制御用電源回路は、上述のダイオードD71を介して2次巻線n4の出力により平滑コンデンサC23を充電する回路である。平滑コンデンサC23は電解コンデンサであり、これに並列接続されたコンデンサC21は、2次巻線n4からダイオードD71を介する高周波電流をバイパスするための小容量のコンデンサである。DC−DCコンバータの出力が大きい時にはトランスT1に蓄積される電磁エネルギーが大きくなるので、2次巻線n4の誘起電圧も高くなる。したがって、負荷であるLEDモジュール2の全点灯時には、第1の制御用電源回路により制御用電源電圧Vccが供給される。
第2の制御用電源回路14は、2次巻線n3の出力によりダイオードD5、トランジスタQ4、ダイオードD7を介して平滑コンデンサC23を充電する回路である。2次巻線n3のターン数は2次巻線n4よりも多く設定されており、誘起電圧は大きい。また、2次巻線n3に直列接続されたダイオードD5はトランスT1に1次電流が流れている期間に導通する極性となるように接続されており、2次巻線n4がフライバック巻線として機能するのに対して、2次巻線n3はフィードフォワード巻線として機能する。ここで、フライバック巻線である2次巻線n4は、2次側回路の出力電圧Voutを反映した電圧で平滑コンデンサC23を充電するのに対して、フィードフォワード巻線である2次巻線n3は、1次側回路の入力電圧Vdc(平滑コンデンサC2の充電電圧)を反映した電圧で平滑コンデンサC23を充電することができる。したがって、負荷であるLEDモジュール2の調光点灯時に、フライバック巻線である2次巻線n4による平滑コンデンサC23の充電電圧が低下しても、フィードフォワード巻線である2次巻線n3から平滑コンデンサC23を充電することで制御用電源電圧Vccを供給できる。
第2の制御用電源回路14は2次巻線n4から制御用電源電圧を確保できる間は2次巻線n3からの制御用電源電圧の供給を遮断する遮断回路を備えている。この遮断回路は、トランジスタQ4とツェナーダイオードZD1とバイアス抵抗R9を含んで構成されており、ダイオードD71を介して2次巻線n4から充電される平滑コンデンサC23の電圧VccがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧よりも高いときにはトランジスタQ4のベース・エミッタ間が逆バイアスされることによりトランジスタQ4が遮断状態となり、第2の制御用電源回路14による平滑コンデンサC23の充電は阻止される。一方、平滑コンデンサC23の電圧VccがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧よりも低くなり、トランジスタQ4のベース・エミッタ間とダイオードD7が順バイアスされると、トランジスタQ4は導通状態となり、2次巻線n3からダイオードD5、トランジスタQ4、ダイオードD7を介して平滑コンデンサC23が充電される。なお、コンデンサC29は2次巻線n3からダイオードD5を介する高周波電流をバイパスするための小容量のコンデンサである。
このように、負荷であるLEDモジュール2の調光点灯時には、第2の制御用電源回路14により制御用電源電圧が供給されるものであるが、さらに調光が深くなり、位相制御された交流電圧の導通位相角が狭くなると、平滑コンデンサC2の直流電圧Vdcが低下して行く。そうなると、フィードフォワード巻線である2次巻線n3は1次側回路の入力電圧Vdcを反映した電圧により平滑コンデンサC23を充電するので、第2の制御用電源回路14でも制御用電源電圧Vccを十分に供給できない場合がある。
そこで、本回路では、整流平滑回路12の直流出力端から制御用電源電圧を供給する第3の制御用電源回路15を設けている。この第3の制御用電源回路15は、フィードフォワード巻線である2次巻線n3から制御用電源電圧を確保できる間は、整流平滑回路12の直流出力端からの制御用電源電圧の供給を遮断する遮断回路を備えている。この遮断回路は、トランジスタQ10とツェナーダイオードZD4とバイアス抵抗R44,R52を含んで構成されており、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧は、第2の制御用電源回路14のツェナーダイオードZD1のツェナー電圧よりも低く設定されている。第2の制御用電源回路14から制御用電源電圧Vccが供給されている期間中は、トランジスタQ10のベース・エミッタ間が逆バイアスされることによりトランジスタQ10が遮断状態となり、第3の制御用電源回路15による平滑コンデンサC23の充電は阻止される。一方、平滑コンデンサC23の電圧VccがツェナーダイオードZD4のツェナー電圧よりも低くなり、トランジスタQ10のベース・エミッタ間とダイオードD2が順バイアスされると、トランジスタQ10は不飽和の導通状態となり、整流平滑回路12の平滑コンデンサC2からトランジスタQ10のコレクタ・エミッタ間抵抗を介して平滑コンデンサC23が充電される。位相制御された交流電圧の導通位相角が変化すると、整流平滑回路12の平滑コンデンサC2の直流電圧Vdcは大きく変動するが、トランジスタQ10のコレクタ・エミッタ間抵抗により直流電圧Vdcと制御用電源電圧Vccとの電圧差が吸収されることにより、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧を基準として安定化された制御用電源電圧Vccが供給される。
なお、第3の制御用電源回路15は電源投入直後の動作開始時に制御用集積回路IC1に初期電源電圧を供給するためにも用いられる。すなわち、制御用集積回路IC1が動作を開始する前は、トランスT1に入力電流が流れていないので、第1の制御用電源回路(ダイオードD71)や第2の制御用電源回路14は制御用電源電圧Vccを供給できない。この場合、第3の制御用電源回路15が初期電源電圧を供給することにより制御用集積回路IC1が発振動作を開始し、トランスT1に入力電流が流れることにより第2の制御用電源回路14が電源供給を開始する。これにより、第3の制御用電源回路15が遮断状態となり、さらに第1の制御用電源回路(ダイオードD71)が電源供給を開始すると、第2の制御用電源回路14が遮断状態となる。
また、第3の制御用電源回路15は、無負荷検出による保護動作後に制御用集積回路IC1を動作停止状態に保持しておくためのラッチ用電源としても用いられる。この無負荷検出による保護動作については、後述の定電流制御と関連して後述することとし、定電流制御のもとになる位相制御された交流電圧の導通位相角の検出について先に説明する。
図4は位相検出回路16の動作説明のための波形図であり、(a)は入力コネクタCON1に供給される位相制御された交流電圧の波形、(b)は位相検出回路16の検出電圧Voの波形である。図中、t1〜t4のサイクルでは、位相制御素子31の導通開始タイミングが早く、導通している期間が長い。一方、t4〜t7のサイクルでは、位相制御素子31の導通開始タイミングが遅く、導通している期間が短い。ここで、導通している期間(t2〜t3、t5〜t6)の占める位相角を上述のように導通位相角と呼ぶことにすると、導通位相角が大きいほど負荷電流が大きくなるように制御されるものとする。
この位相検出回路16は、位相制御された交流電圧の一方の半波について導通位相角を検出しており、他方の半波については導通位相角を検出しない。これは、位相検出回路16の後段にマイクロコンピュータIC4を含む高精度な演算回路21(図2参照)を配置したことと関連しており、この前提において、正負両方の半波についてそれぞれ導通位相角を検出すると、光出力が交流電圧の半波ごとに細かく変動して、特に低出力時において、光出力のちらつきを生じさせる原因となっていた。このようにマイクロコンピュータIC4を含む高精度な演算回路21を用いると、光出力を最大出力に対して5〜100%の範囲で例えば256段階に調節することが可能となる。ところが、特に光出力が低い領域では、1段階の調光レベルの相違でも人間の目に知覚されやすく、導通位相角の検出値が正負の半サイクルごとに変動すると、交流電圧の半周期ごとに光出力がちらつくことになる。
本来ならば、位相制御された交流電圧の導通位相角は正負の各半サイクルについて均等となるように制御されるはずであるが、位相制御回路32の電気特性や位相制御素子31の感度の問題で正負の導通位相角が厳密には一致しない場合がある。もちろんマイクロコンピュータIC4の平均化処理により複数回の検出値を平均化することも考えられるが、それでは調光操作により導通位相角が変更されたときにも平均化されることになり、制御の遅れを生じさせる恐れがある。そこで、本回路では、位相制御された交流電圧の一方の半波について導通位相角を検出し、他方の半波については同じ導通位相角であるものとして、次に導通位相角が検出されるまでマイクロコンピュータIC4が同じ検出値を保持し続けるように制御することで、光出力のちらつきを防止している。
位相検出回路16は導通位相角を高精度に検出するために、電圧検出精度の高いリセット用IC(ローム製BD4943G)よりなる電圧検出回路IC5を用いている。この電圧検出回路IC5は、電圧入力端子VDD(2番ピン)とグランド端子(3番ピン)の間に印加される電圧が基準電圧以上になると、出力端子Vo(1番ピン)がHレベルとなり、基準電圧未満になると、出力端子Vo(1番ピン)がLレベルとなるように動作する。
全波整流器DBの一方の交流入力端子には、ダイオードD9のアノードが接続されており、ダイオードD9のカソードには抵抗R15、R18、R19の直列回路よりなる抵抗分圧回路が接続され、この抵抗分圧回路は1次側回路のグランドラインG1を介して全波整流器DBの負極側の直流出力端子に接続されている。抵抗R19には過電圧防止用のツェナーダイオードZD2と雑音防止用のコンデンサC11が並列接続されている。ダイオードD9の順方向の極性に交流電圧が印加されると、抵抗R19に入力交流電圧を分圧した電圧が印加され、電圧検出回路IC5の基準電圧以上の期間では、出力端子VoがHレベルとなり、MOSFETよりなるスイッチング素子Q2がONとなる。この期間にのみ、制御用電源電圧VccからフォトカプラPC2の発光素子、抵抗R33、スイッチング素子Q2を介して電流が流れて、フォトカプラPC2の受光素子が導通する。したがって、2次側回路に導通位相角に応じたパルス幅の矩形波信号を伝達することができる。
次に、2次側回路では、フォトカプラPC2の受光素子と抵抗R53の直列回路を2次側の制御用電源電圧Vddと2次側のグランドラインG2の間に接続している。フォトカプラPC2の受光素子と抵抗R53の接続点は、演算回路21を構成するマイクロコンピュータIC4(NEC製μPD78F9212)の入力ポートである端子TIO10(16番ピン)に接続されている。フォトカプラPC2の受光素子が導通している間、マイクロコンピュータIC4の端子TIO10はLレベルとなるので、このLレベルである時間を計測することにより導通位相角を計測することができる。このマイクロコンピュータIC4は、計測された導通位相角に応じて、LEDモジュール2への出力電流を決定するメモリテーブルを有しており、メモリテーブルから読み出された出力電流の設定値を出力制御回路22に与えるべく、端子TOH1(1番ピン)にPWM信号を出力する。このPWM信号は例えば1kHz程度の矩形波電圧信号であり、出力制御回路22のスイッチング素子Q6を出力電流の設定値に応じたデューティ比でON・OFFさせることで、コンデンサC18を充放電し、コンデンサC18のアナログ電位として出力電流の目標値を与えるものである。なお、マイクロコンピュータIC4の電源端子(5番ピン)とグランド端子(4番ピン)の間には、2次側の制御用電源電圧Vddが供給されている。
出力制御回路22は、定電流制御用の集積回路IC3(新日本無線NJM2146)を備えている。集積回路IC3の電源端子(8番ピン)とグランド端子(4番ピン)の間には、2次側の制御用電源電圧Vddが供給されている。この集積回路IC3は、2−3番ピン間と5−6番ピン間をそれぞれ差動入力とする2個のオペアンプを内蔵しており、前者に電流検出回路23の検出値を与えて定電流制御すると共に、後者に電圧検出回路24の検出値を与えて過電圧検出している。集積回路IC3は内部に基準電圧発生回路を備え、7番ピンから基準電圧が出力されており、スイッチング素子Q6がOFFのときには抵抗R4、R56を介してコンデンサC18が充電される。スイッチング素子Q6がONのときには、抵抗R23,R11の直列回路と抵抗R56の並列回路によりコンデンサC18が放電される。この時定数回路により、集積回路IC3の入力端子(2番ピン)には定電流制御の目標値が入力される。
集積回路IC3に内蔵された2個のオペアンプのうち、定電流制御用のオペアンプの一対の入力端子は2番ピンと3番ピン、出力端子は1番ピンに接続されている。集積回路IC3の入力端子(3番ピン)には、入力抵抗R13を介して電流検出回路23の検出値が入力されており、集積回路IC3の出力端子(1番ピン)との間には帰還インピーダンスとして抵抗R6とコンデンサC27の直列回路が接続されている。電流検出回路23は出力コネクタCON2とグランドラインG2の間に直列に挿入された電流検出抵抗R35であり、平滑コンデンサC5から出力コネクタCON2を介して外部のLEDモジュール2に出力される電流に応じた電圧を生成する。
なお、電圧検出回路24は抵抗R39,R40,R41の直列回路よりなる分圧回路を備え、分圧された電圧は集積回路IC3の5−6番ピン間のオペアンプにより7番ピンの基準電圧と比較され、出力電圧Voutが過大になると出力を抑制する方向に制御される。電圧検出回路24の分圧比はトランジスタQ7により切換可能であり、演算回路21のマイクロコンピュータIC4の出力ポート(14番ピン)によりトランジスタQ7をON状態またはOFF状態に切り換えることで、出力電圧Voutの設定を変更可能となっている。
集積回路IC3の2−3番ピン間のオペアンプは、コンデンサC18に設定される定電流制御の目標値と電流検出回路23の検出値とが一致する方向に集積回路IC3の出力端子(1番ピン)の電位を可変制御する。これにより、集積回路IC3の出力端子(1番ピン)の電位に応じて、2次側回路の制御用電源電圧Vddから抵抗R17を介してフォトカプラPC1の発光素子に電流が流れて、その電流値に応じてフォトカプラPC1の受光素子の抵抗値が変化する。
1次側回路では、フォトカプラPC1の受光素子は制御用集積回路IC1のフィードバック端子(2番ピン)に接続されており、図3に示すように、内蔵の定電流源から2番ピンを介して電流が流出することにより、抵抗R29、コンデンサC24、フォトカプラPC1の受光素子の並列回路には制御目標となる電圧値が生成される。この電圧値に応じて制御用集積回路IC1はスイッチング素子Q8のON幅を可変制御する。これにより、電流検出回路23により検出される出力電流が交流電圧の導通位相角に応じて決定される一定電流となるように制御されるものである。
ところで、出力コネクタCON2の接触不良や配線の断線によりLEDモジュール2が外れることがある。また、LEDモジュール2は複数個のLEDの直列回路を内蔵しているので、いずれかのLEDが故障してリード線の断線等が生じることがある。すると、電流検出回路23の検出値はゼロとなるが、出力電流を目標値に収束せしめるように制御しているので、制御用集積回路IC1は内蔵のスイッチング素子Q8のON幅を増大させる方向に制御され、DC−DCコンバータの出力コンデンサである平滑コンデンサC5の電圧は異常昇圧することになる。
このような無負荷状態による異常昇圧状態が継続することを防止するために、本回路では、制御用集積回路IC1の過電圧保護回路を利用している。上述のように、制御用集積回路IC1は、フライバック巻線である2次巻線n4から制御用電源電圧Vccを供給されているので、2次側回路の出力コンデンサである平滑コンデンサC5の電圧が異常昇圧するようなことがあれば、その電圧上昇を反映して、2次巻線n4の電圧も上昇することになり、結果的に、制御用電源電圧Vccが上昇する。図3に示すように、集積回路IC1に内蔵された過電圧保護回路のコンパレータ55は4番ピンの制御用電源電圧Vccと過電圧保護用の基準電圧VOVP とを比較しており、制御用電源電圧Vccが過電圧保護用の基準電圧VOVP を越えると、コンパレータ55の出力がHレベルとなる。これにより、ORゲートを介してラッチ回路56がセットされ、そのQ出力を反転回路57により反転した信号によりゲート58を閉じることによりスイッチング素子Q8をOFF状態に保持することができる。
ラッチ解除用のコンパレータ59は制御用電源電圧Vccと基準電圧VULを比較しており、制御用電源電圧Vccが基準電圧VUL以下になると、コンパレータ59の出力がHレベルとなり、ラッチ回路56がリセットされ、過電圧保護のラッチが解除される。
本回路では、過電圧保護回路によりラッチ回路56がセットされた後、制御用電源電圧Vccが基準電圧VULよりも高く保持されるように、第3の制御用電源回路15のツェナーダイオードZD4のツェナー電圧を設定している。すなわち、過電圧保護回路によりラッチ回路56がセットされて、DC−DCコンバータの発振が停止されると、第1の制御用電源回路(ダイオードD71)と第2の制御用電源回路14による電源供給は停止されるので、過電圧となっていた制御用電源電圧Vccは低下して行く。このとき、第3の制御用電源回路15の出力電圧が低過ぎると、制御用電源電圧Vccが基準電圧VUL以下になった時点で発振動作が再開することになり、発振停止と発振再開を繰り返すことになる。これを防止するために、本回路では、第3の制御用電源回路15の電圧をラッチ解除の基準電圧VULよりも高く設定しておくことで、電源投入期間中は発振停止が解除されないようにしている。
従来の蛍光灯用のインバータ回路であれば、蛍光灯が外れたりフィラメントが断線したときには、無負荷状態を検出してインバータ回路の発振動作を停止させ、ユーザーが蛍光灯を交換すると、自動的にインバータ回路の発振動作を再開させていた。これにより電源の再投入操作を不要とし、ユーザーの使い勝手を改善していた。しかしながら、LEDモジュールは蛍光灯に比べると寿命時間が圧倒的に長いので、ユーザーがLEDモジュールを交換するような場合は想定していない。仮にLEDモジュールが故障するようなことがあっても、修理業者が交流電源を切ってから交換作業を行うことになるので、本回路では交流電源を切るまで過電圧保護のラッチが解除されないようにしている。
なお、過電圧保護のラッチが解除されるのに要する時間は、交流電源を切ってから平滑コンデンサC2が放電され、これにより平滑コンデンサC23の充電電圧が基準電圧VUL以下になるまでの時間であるが、LEDモジュールの交換に要する時間よりは短いと考えられるので、実使用上の問題は生じない。
次に、本回路の特徴である位相補正回路17について説明する。この位相補正回路17は、雑音防止用コンデンサC1に流れる進相電流が交流電源4と直列接続された位相制御素子31の消弧を妨げないように、交流電圧のゼロクロス付近で雑音防止用コンデンサC1を抵抗により短絡せしめる回路である。図1に示すように、フィルタ回路11には、入力コネクタCON1と並列に雑音防止用コンデンサC1が接続されている。このコンデンサC1には常に進相の無効電流が流れているが、小容量のコンデンサであるので、仮に、有効電流である抵抗負荷への電流が常に流れていれば、無効電流の影響は無視できる。そこで、コンデンサC1と並列に抵抗負荷を並列接続することが考えられるが、それでは、抵抗負荷による電力損失が常に生じることになり、効率が低下することになる。
全波整流器DBに引き込まれる電流が常に流れていれば、抵抗負荷の代わりになると考えられるが、本回路では平滑コンデンサC2によるコンデンサ入力型の平滑回路を用いているので、位相制御された交流電圧のピーク付近でしか入力電流は流れない。そうすると、交流電圧のゼロクロス付近では雑音防止用コンデンサC1に流れる進相電流が支配的となり、交流電圧の半サイクルが終了したときには既に次の半サイクルの進相電流が流れ始めている。この進相電流が位相制御素子の保持電流を超えていると、位相制御素子が消弧できないことがあり、その場合、次の半サイクルの全期間にわたり位相制御素子が導通することになるので、調光出力時に光出力が急増することになる。
そこで、本回路では、位相制御された交流入力電圧が設定電圧より小さくなると、全波整流器DBの交流入力端子間を抵抗にて短絡せしめるように構成している。このようにすれば、位相制御された交流入力電圧が設定電圧より高い期間では抵抗負荷が接続されないので、電力損失を少なくすることができ、回路効率を高めることができ、また、コンデンサC1に流れる進相電流が問題となる半サイクルの終わりの期間では必ず抵抗負荷がコンデンサC1と並列に接続されているので、位相制御素子31を確実に消弧することができる。
位相補正回路17は、ダイオードD3,D4と全波整流器DBの負極側ダイオード(図示せず)を介して、スイッチング素子Q1と抵抗R1,R25,R27の直列回路をフィルタ回路11の出力端に接続したものであり、交流電圧のゼロクロス付近でもスイッチング素子Q1をONし続けることができるように、制御用電源電圧Vccからゲートバイアス電圧を供給する抵抗R10を設けている。また、スイッチング素子Q1をOFF制御するためのトランジスタQ3及びゲート電荷放電用抵抗R51を備えると共に、トランジスタQ3をON制御するためのツェナーダイオードZD5と抵抗R7,R8,R16を備えている。
図5は位相補正回路17の動作説明図であり、(a)は全波整流器DBの出力電圧、(b)はトランジスタQ3のON/OFF状態、(c)はスイッチング素子Q1のON/OFF状態、(d)は抵抗R1の電流である。ここではダイオードD3,D4と全波整流器DBの電圧降下を無視して概念的に説明すると、全波整流器DBの出力電圧がツェナーダイオードZD5のツェナー電圧VZD5 +トランジスタQ3のベース・エミッタ間オン電圧VBE3 を越えると、トランジスタQ3がONとなり、スイッチング素子Q1がOFFとなる。この期間では、抵抗R1,R25,R27は全波整流器DBの交流入力端子から切り離されるので、抵抗による電力ロスは生じない。
一方、全波整流器DBの出力電圧がツェナーダイオードZD5のツェナー電圧VZD5 +トランジスタQ3のベース・エミッタ間オン電圧VBE3 よりも低くなると、トランジスタQ3がOFFとなり、スイッチング素子Q1がONとなる。交流電圧のゼロクロス付近では全波整流器DBの交流入力端子側にはスイッチング素子Q1のON状態を維持するための電源が得られないが、本回路では、DC−DCコンバータの制御用電源電圧Vccを活用することでスイッチング素子Q1のON状態を維持している。したがって、雑音防止用コンデンサC1の進相電流が問題となる交流電圧のゼロクロス付近では、スイッチング素子Q1をONさせて、全波整流器DBの交流入力端子間を抵抗R1,R25,R27の直列回路を介して短絡せしめることにより、進相電流を打ち消して、位相制御素子31を確実に消弧せしめることができる。
なお、抵抗R1,R25,R27に流れる有効電流とコンデンサC1に流れる無効電流の合計がゼロクロス付近において、位相制御素子31の保持電流を下回るように設定する必要があるので、電源と並列に接続される抵抗としては比較的に低い抵抗値に設定する必要があるが、本回路では、交流電圧が低い期間にのみ接続されるので、電力ロスは大きくならない。試作機では、雑音防止用コンデンサC1の容量が0.01μFであるとき、抵抗R1,R25,R27として、4.3kΩ×3を用いることで問題なく動作することが確認できた。
最後に、2次側回路の制御用電源回路について説明する。2次側回路では、マイクロコンピュータIC4を含む高精度な演算回路21を有するうえに、フォトカプラPC1によるアナログ信号の伝送にも高精度の電源電圧を必要とするので、三端子レギュレータIC2により安定な制御用電源電圧Vddを生成している。三端子レギュレータIC2の入力側の平滑用コンデンサC26は、第4の制御用電源回路25または第5の制御用電源回路26により充電される。第4の制御用電源回路25はトランスT1のフィードフォワード巻線である2次巻線n6から抵抗R31とダイオードD61を介して平滑コンデンサC26を充電する回路であり、LEDモジュール2の全点灯時ならびに比較的出力の大きい調光時に用いられる。第5の制御用電源回路26はDC−DCコンバータの出力コンデンサである平滑コンデンサC5の充電電圧からトランジスタQ9とダイオードD6を介して平滑コンデンサC26を充電する回路であり、比較的出力の小さい調光時に用いられる。
第5の制御用電源回路26は、第4の制御用電源回路25により平滑コンデンサC26の充電電流を十分に確保できる期間にはダイオードD6を介する電流の供給を遮断する遮断回路を含む。この遮断回路は、ツェナーダイオードZD3とトランジスタQ9とバイアス抵抗R5を含み、平滑コンデンサC26の充電電圧がツェナーダイオードZD3のツェナー電圧よりも高いときには、トランジスタQ9のベース・エミッタ間が逆バイアスされることによりトランジスタQ9は遮断状態となる。また、平滑コンデンサC26の充電電圧がツェナーダイオードZD3のツェナー電圧よりも低くなり、トランジスタQ9のベース・エミッタ間とダイオードD6が順バイアスされると、トランジスタQ9は不飽和の導通状態となり、そのコレクタ・エミッタ間の抵抗を介して平滑コンデンサC5から平滑コンデンサC26に充電電流が流れる。
なお、本回路の電源装置1はLEDモジュール2と共に照明器具の筐体内に収納しても良いし、照明器具の筐体内にはLEDモジュール2のみを収納し、電源装置1は器具本体とは別に外付けとしても良い。