JP4736177B2 - 枚葉基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、枚葉基板の製造方法および塗布装置に関する。さらに詳しくは、液晶表示ディスプレイやプラズマディスプレイ製造用のガラス基板、半導体集積回路製造用のシリコンウエファー、光学フィルター製造用のプラスチック基板などの基板の表面に、ダイ・コーティング法によって、各種の塗布液を塗布して、例えばフォトレジスト膜、絶縁膜または導電膜などの塗布膜を形成して枚葉基板を製造する方法、および、この方法に使用される塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半導体デバイス、光学フィルターなどを製造する際には、所定のサイズの矩形状に切断されたガラス基板、シリコンウエファー、プラスチック基板などの基板(枚葉基板)の表面に、用途に応じて各種の塗布液を塗布して塗布膜を形成する方法が採用されている。これら枚葉基板の表面に塗布膜を形成する方法としては、スピン・コーティング法、ブレード・コーティング法、バー・コーティング法、スプレー・コーティング法、ロール・コーティング法などが提案され、実用化されている。
【0003】
上記した塗布膜形成方法の中でも、スピン・コーティング法は、液晶表示ディスプレイ製造用のガラス基板や半導体デバイス製造用のシリコンウエファーに、フォトレジスト膜を形成する際に広く採用されている。このスピン・コーティング法は、回転させた基板の表面中央に塗布液を滴下し、遠心力によってこの塗布液を薄く延ばして所定の厚さの塗布膜を形成する塗布方法であり、この方法によると、形成する塗布膜の厚さを、基板表面のほぼ全範囲に亘って比較的高精度に均一化することができる。
【0004】
しかし、上記したスピン・コーティング法によると、基板表面に滴下した塗布液のうち、この基板の表面上に残って塗布膜の形成に寄与するのはわずか数%にすぎず、余った塗布液は遠心力によって基板の外部に飛散されるため、塗布液の消費量が多く歩留まりが悪いという欠点があった。また、このスピン・コーティング法によると、基板の周縁や裏面に塗布液が付着することがあり、得られた枚葉基板の製品価値が低下するという欠点がある上に、飛散された塗布液が塗布装置内に付着してゲル化ないし固化することがあるため、この塗布液の除去作業が繁雑であるという欠点もあった。
【0005】
そこで近年では、ダイ・コーティング法によって基板の表面に予備塗布した後、上記したスピン・コーティング法によって塗布液を均一化させるという省液法や、ダイ・コーティング法のみによって基板に塗布膜を形成する方法が提案されている。このダイ・コーティング法は、特開平6−339656号公報、特開平9−206652号公報、特開平11−169769号公報などに記載されているように、ダイに装備されたスリットから塗布液を吐出しながら、基板の表面に沿ってこのダイを走行させて、基板の表面に塗布膜を形成する方法である。このダイ・コーティング法によると、塗布液供給機構によるダイへの塗布液の供給量を、ダイのスリットから吐出される塗布液の吐出量と同一量とすることにより、塗布液の無駄を省いて連続的に塗布膜を形成することができる。
【0006】
上記したダイ・コーティング法は、ロール状に巻回された樹脂フィルムや金属箔などのような連続体に塗布液を塗布する場合には極めて優れた塗布方法であるが、前記したような平面形状が矩形状の基板(枚葉基板)に塗布液を塗布する場合には、この枚葉基板の表面の塗布開始端と塗布終了端に形成される塗布膜の厚さが、枚葉基板の表面の中央部分に形成される塗布膜の厚さに比較して厚くなり易く、全体として厚さが不均一になり易いという欠点がある。特に、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターの製造工程で、ガラス基板に着色層を形成する場合には、上記のように厚さが不均一になると製品の表面に色ムラが生じ、製品価値が低下するという欠点があった。
【0007】
また、複数枚準備した枚葉基板に塗布液を塗布する場合には、移送機構によって枚葉基板を順次入れ替えながら塗布することとなるが、この際に移送機構に故障が発生することがあり、一時的に塗布作業を中断しなければならない場合がある。この不測の中断の場合、ダイのスリットの先端に付着した塗布液は、溶媒の蒸発によって乾燥固化することがあり、ダイのスリットの先端を再度溶媒に浸しても、乾燥固化した塗布液が十分に溶解せず、塗布作業の再開が困難となることがある。この塗布液の乾燥固化を防止する手法として、特開平10−216598号公報に記載されているように、ダイのスリット先端に付着した塗布液を清掃機構によって除去する手法が提案されているが、この公報に開示されている清掃機構は構造が極めて複雑であるため取り扱い難いという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとした課題】
本発明者は、上記した状況に鑑み、従来のダイ・コーティング法によって枚葉基板の表面に塗布膜を形成する際に、この塗布膜の厚さが不均一となるという欠点や、不測の事態によって一時的に塗布作業を中断した場合に、ダイのスリットの先端に付着した塗布液が乾燥固化して塗布作業の再開が困難となるという欠点を一挙に解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
本発明の目的は、次のとおりである。
1.ダイ・コーティング法を用いて、基板の表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することができる、枚葉基板の製造方法を提供すること。
2.不測の事態によって一時的に塗布作業を中断した場合にも、ダイのスリットの先端に付着した塗布液が乾燥固化するのを防止することができ、塗布作業を迅速に再開することができる枚葉基板の製造方法を提供すること。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、平面形状が矩形状の基板の上方で、塗布液吐出用のスリットを備えたダイをスリットの延在する方向とほぼ直角方向に走行させながら、このスリットから基板表面に塗布液を吐出して枚葉基板を製造するにあたり、まず、基板表面の塗布開始部の上方にダイを移動させ、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔より狭い間隔としてこのスリットと塗布開始部との間に初期ビードを形成し、ただちに、ダイのスリットから塗布液を吐出しながらダイを若干上昇させて初期ビードを定常ビードへと移行させ、ついで、スリットへの塗布液供給速度とダイの走行速度とを同期させて定常ビードを保持したままダイを基板表面に沿って走行させ、続いて、基板の塗布終端部で、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔ないしそれ以下の間隔に調節しながら、定常ビードのサックバックを行い、基板の入れ替えの間にダイをディスペンス・ロール上に移動させ、回転させたディスペンス・ロール上でサックバック戻しを行って、ダイのスリットからの塗布液の吐出量を調節することを特徴とする、枚葉基板の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法は、平面形状が矩形状の基板(枚葉基板)の表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成する、枚葉基板の製造方法である。ここで、本発明において「基板の表面のほぼ全範囲」とは、枚葉基板の塗布開始部側の周縁から5mm幅の部分と、塗布終端部側の周縁から2mm幅の部分とを除いた枚葉基板の表面の全範囲を意味し、「均一な塗布膜」とは、厚さの変動が1%以内にある塗布膜を意味する。
【0013】
本発明方法を実施する際には、基板を載置可能な載置台と、この載置台上に載置される基板表面に沿って走行可能で、基板表面上に塗布液を吐出可能で、かつ、サックバック可能なダイとを備えた塗布装置を使用する。本発明方法によって製造される枚葉基板は、液晶表示ディスプレイやプラズマディスプレイ製造用のガラス基板、半導体集積回路製造用のシリコンウエファー、光学フィルター製造用のプラスチック基板などであって、平面形状が矩形状のものを挙げることができる。基板表面上に吐出される塗布液の種類としては、ネガ型レジスト、ポジ型レジスト、平坦化剤、導電用高分子、絶縁用高分子などを挙げることができ、本発明では、以下これらを総称して「塗布液」と記載し、塗布液によって形成される薄膜を「塗布膜」と記載する。
【0014】
載置台は、平面形状が矩形状の基板を水平に載置可能な構造のものであればよい。この載置台の基板を載置する平面(基板載置面)は、基板の表面に塗布膜が均一に形成されるように、水平度・平滑度の高い平面とされるのが好ましい。この観点から、平滑度の高いグラニット定盤が好適である。この載置台の大きさは、塗布液を塗布する基板の大きさに応じて適宜決めることができる。載置台は、架台に固定するのが好ましい。
【0015】
ダイは、塗布液吐出用のスリット、塗布液供給機構、昇降機構、走行機構およびサックバック(吸引)機構がそれぞれ装備されたものを使用することができる。ダイのスリットは、塗布液供給機構から供給された塗布液を基板表面に吐出し、サックバック機構を稼働させた際には余分な塗布液を吸引する機能を果たす。このスリットは、フロント・リップとリア・リップによって形成される(後記、図3参照)。フロント・リップとリア・リップとの間隔(以下、「スリット間隔」という)は、20μm〜300μm程度とすることができ、特に、この範囲の中でも20μm〜50μmとすると、サックバックの際にスリット内に空気が吸い込まれても多数の独立気泡が形成されることがないので、好ましい。
【0016】
上記したフロント・リップおよびリア・リップのエッジ面(基板と対向する面)のダイ走行方向に沿った長さは1mm以内とされるのが好ましく、特に0.3mm程度が好ましい。これらリップのエッジ面の長さが1mmより長いと、後記する初期ビードを定常ビードへと移行させる際に、メニスカスの位置がエッジ面の外側から内側に移動するため、この際に形成される塗布膜の厚さが厚くなることがあり、かつ、塗布終端部において大量の塗布液が溜まることがあり、従って大量の塗布液をサックバックしなければならなくなるので好ましくない。
【0017】
ダイの内部には、ダイの走行方向と垂直に延在するスリットの幅と同一幅、ないし、このスリットの幅よりも若干広幅のマニホールドを設けるのが好ましい。このマニホールドを設けることにより、塗布液供給機構から供給された塗布液をスリット全幅に亘って行き渡らせ、この塗布液の吐出圧力を均一に調整した上で吐出することができる。また、上記したスリット間隔を調節するためのシムを設けることもできる。
【0018】
ダイの塗布液供給機構は、所定の塗布液タンクから、所定量の塗布液をダイの塗布液供給口へと供給するものである。この塗布液供給機構の代表的なものとしては、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプなどの容積式ポンプによって塗布液タンクから配管を介して塗布液供給口へと塗布液を供給する機構を挙げることができる。
【0019】
上記した容積式ポンプは、通常、三方切り替え弁を介して塗布液タンクおよびダイの塗布液供給口に連接され(後記、図2参照)、この三方切り替え弁の切り替え動作と、容積式ポンプの往復動作によって、塗布液の供給時期や供給量を調節することができる。なお、上記した容積式ポンプを用いる場合には、塗布液タンクと容積式ポンプとの間に、異物除去を目的としたフィルターを設けることもできる(後記、図2参照)。塗布液供給口に供給された塗布液は、マニホールドを経由して、スリットから吐出される。
【0020】
ダイの昇降機構は、ダイを適宜上昇または降下させてダイの上下方向の位置を制御するものである。具体的には、基板の塗布開始部にダイのスリットの先端を近接させる際や、ダイの走行開始直後にダイを若干上方に移動させてダイのスリットの先端と基板表面との間に形成された初期ビードを定常ビードへと移行させる際や、ダイの定常走行状態から基板の塗布終了部にダイのスリットの先端を近接させる際などに、後記する走行機構と連動して、ダイの位置を制御するように機能する。この昇降機構は、上記機能を果たすものであればいかなる構造のものでもよい。
【0021】
ダイの走行機構は、載置台に載置された基板表面に沿ってダイを走行させるものであり、上記した昇降機構と連動して、ダイの位置を制御するように機能する。この走行機構は、上記機能を果たすものであればいかなる構造のものでもよく、例えば、ダイの走行方向に沿って載置台の両端部に設けられたリニアモーターと、ダイの両端部に設けられたスライダーとによって構成することができる(後記、図1参照)。前記した塗布液供給機構による塗布液供給速度と、この走行機構によるダイの走行速度とを同期させることにより、基板の表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することができる。
【0022】
ダイのサックバック機構は、塗布終端部でダイの走行を停止させた際に基板表面に吐出されている余剰塗布液を、サックバックするものである。このサックバック機構は、上記機能を果たすものであればいかなる構造のものでもよく、前記した塗布液供給機構と別構造とすることもできるが、塗布液の供給と吸引の双方の動作を可能とする構造が好ましく、例えば、塗布液の供給と吸引の双方が可能なシリンジ・ポンプを挙げることができる。
【0023】
本発明方法を実施する際には、上記したような載置台およびダイを備えた塗布装置を使用するが、この塗布装置には、載置台から若干隔離させて、ダイの走行方向終端部近傍にディスペンス・ロールを配置するのが好ましい(後記、図1参照)。このディスペンス・ロールは、(1)後記する基板移送機構によって塗布後の基板を載置台から取り除き、新たな基板を載置台に載置する操作を行っている間にサックバック戻しを行う間、または、(2)不測の事態が発生して基板への塗布作業を中断している間、回転させているディスペンス・ロール表面にダイを移動させ、ロール表面にダイのスリットから塗布液を少量吐出させて、塗布液がダイのスリットの先端で乾燥固化するのを防止するという機能を果たす。
【0024】
ディスペンス・ロールの構造は、駆動機構によって連続的に中心軸を軸として回転可能とされた円筒状のロールとされる。この円筒状のロールは、金属または合成樹脂によって調製することができる。また、ダイを走行機構によってディスペンス・ロールの上方に移動させたときに、ディスペンス・ロール表面の最上部とダイのスリットの先端との間隔が、基板表面とダイのスリットの先端との定常間隔とほぼ同一の間隔となるように、このディスペンス・ロールの位置を決定する。
【0025】
サックバック戻しを行う場合には、ディスペンス・ロールの回転速度を、ダイを基板表面に沿って走行させる際の定常走行速度とほぼ同一の速度に調節し、ダイの塗布液の吐出量を、定常走行時における吐出量とほぼ同一にすることにより、基板上への塗布状態とほぼ同一条件とすることができる。また、ダイからの塗布液の吐出状態をより迅速に調節する目的で、ディスペンス・ロールの回転速度を上記した定常走行速度の2倍の速度に調節し、ダイの吐出量を2倍とすることもできる。なお、基板移送機構に突発的に故障が発生した場合には、ディスペンス・ロールの表面に吐出させる塗布液の吐出量は、塗布液がダイのスリットの先端で乾燥固化するのを防止できる最小限度の量とし、塗布液の乾燥固化を防止できれば連続的に塗布液を吐出させる必要はなく、間歇的に吐出させることで目的が達成できる。
【0026】
ディスペンス・ロール近傍には、ドクターブレードを設けるのが好ましい(後記、図4参照)。このドクターブレードは、回転させたディスペンス・ロールの表面に付着した塗布液を連続的に掻き落とすという機能を果たす。このドクターブレードによってディスペンス・ロール表面を絶えず塗布液のない状態にしておくことにより、ディスペンス・ロール表面とダイのスリットの先端との間に、基板上への塗布状態と同様の定常ビードを形成することができる。
【0027】
なお、ディスペンス・ロールの回転を一定時間停止させると、上記したドクターブレードとディスペンス・ロール表面との間に筋状の塗布液溜りが形成され、この塗布液溜りが乾燥固化(粉化)して塵芥が発生することがある。これを放置したままディスペンス・ロールを回転させると、この塵芥がドクターブレードとディスペンス・ロールとの間をすり抜けてダイのスリット先端に付着し、その後の塗布作業に悪影響を及ぼすことがあるので、これを防止するために、ディスペンス・ロール近傍にスプレー式の溶媒噴霧装置を設け(後記、図4参照)、定期的にディスペンス・ロール表面上に溶媒を噴霧して、上記した塗布液溜りの乾燥固化を防止するのが好ましい。
【0028】
本発明方法によって、複数の枚葉基板に塗布液を塗布する際には、基板を載置台の表面に移送する基板移送機構を設けるものとする。この基板移送機構としては、通常用いられているアンローディング・ローディング装置を挙げることができる。また、載置台近傍には、載置台の基板載置面の水平度を記憶させるトランスデューサーを設けることができる。この機構によって、ダイを交換した後においても、ダイのスリットの先端のエッジ面を、容易に、載置台の基板載置面と平行にすることができる。さらに、載置台近傍には、塗布液用の溶媒と同一の溶媒蒸気を充満させたポットを配置するのが好ましい。塗布作業を比較的長時間休止する際には、上記した溶媒蒸気を満たしたポット内にスリット先端を封入することにより、スリット先端に付着した塗布液の乾燥固化を防止することができる。
【0029】
ダイの近傍には、載置台上に載置した基板の位置および厚さを測定するセンサーを設けることができる。このセンサーと載置台との隔たり、および、このセンサーと基板との隔たりを測定し、これらの測定値を演算装置に入力して演算を行うことにより、基板の位置と厚さ分布を出力することができる。また、ダイのスリットの先端の位置の測定値と、上記の手順によって出力した基板の位置および厚さ分布とを演算装置に入力して演算を行うことにより、基板表面とダイのスリットの先端との間隔の不均一さを検出することができる。この不均一さに応じてダイの高さを調節しながら走行させるために、上記した間隔を自動調節する機構、例えば、ダイの左右高さ調節装置を設けることもできる。
【0030】
サックバックの際にダイのスリット内に空気が気泡となって混入した場合、または、塗布開始前にマニホールド内に空気が残存している場合には、この気泡がスリット内で塗布液の流れを乱したり、塗布液の供給を停止させた際に、この気泡の膨脹によってスリット内に残存する塗布液が先端へ押し出されることがある。この場合、適切なサックバックやサックバック戻しが困難となったり、塗布作業時に塗布液の吐出量を制御することも困難となる。このため、ダイのスリット内またはマニホールド内の空気を抜く目的で、ダイ自体の回転機構を設けるのが好ましい。
【0031】
上記した回転機構としては、スリットの延在方向に平行に設けられた軸を中心としてダイを上下反転させて、ダイのスリットを上側に配置できるようにした構造のものを挙げることができる。この種回転機構を用いて空気抜きを行うには、ダイを、上記軸を中心にして90°以上回転させて、スリットの先端を上記軸の高さよりも若干上方に位置させ、この状態で塗布液を吐出させながら空気を排出する方法を採用することができる。
【0032】
以上に記載した塗布装置の主要部分である走行機構、昇降機構、塗布液供給機構、サックバック機構、および、ディスペンス・ロールの各動作や、この塗布装置の付属部分である基板移送機構、センサー、ダイの左右高さ調節装置などの各動作は、あらかじめ設定してコンピューターに入力しておき、コンピューターによって制御するのが好ましい。特殊な場合、例えば、上記各機構に不測の事態が発生した場合や、載置台の平行度をトランスデューサーを用いて記憶させる場合などには、手動に切り替えて操作可能とするのが好ましい。
【0033】
本発明の第1発明に係る枚葉基板の製造方法においては、前記した塗布装置を使用し、まず、基板表面の塗布開始部の上方にダイを移動させ、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔より狭い間隔としてこのスリットと塗布開始部との間に初期ビードを形成する(後記、図5参照:以下、「操作1」という)。この操作1の際には、前記の走行機構および昇降機構を連動させることにより、ダイのスリットの先端を、基板表面の塗布開始部とこのスリットの先端との間にメニスカスを形成するために必要な間隔(初期メニスカス形成間隔)まで近接させ、かつ、このメニスカスを形成するために必要な最低限の塗布液を供給する。なお、本発明において「メニスカス」とは、塗布液と空気との間の界面(気液界面)を意味する。
【0034】
上記のように初期ビードを形成した後、ただちに、ダイのスリットから塗布液を吐出しながらダイを若干上昇させて初期ビードを定常ビードへと移行させる(後記、図6参照:以下、「操作2」という)。この操作2の際には、塗布液の吐出速度とダイの上昇速度とを調節して初期ビードを定常ビードへと移行させ、基板表面の塗布開始部近傍に均一な塗布膜を形成するようにする。この際、ダイの上昇速度に対して塗布液の吐出速度が大きすぎると、ダイのスリットの先端の側面に塗布液が付着し、これが乾燥固化して円滑な塗布作業を妨げるので好ましくない。また、ダイの上昇速度に対して塗布液の吐出速度が小さすぎると、初期ビードから定常ビードへの移行の際に塗布液が不足し、塗布膜が薄くなるので好ましくない。
【0035】
ついで、スリットへの塗布液供給速度とダイの走行速度とを同期させて定常ビードを保持したままダイを基板表面に沿って走行させる(以下、「操作3」という)。この操作3の際には、前記したようなダイの塗布液供給装置によって塗布液タンクから所定量の塗布液を供給し、ダイの走行速度を走行機構によって所定の速度に調整する。このように、ダイのスリットへの塗布液供給速度とダイの走行速度とを同期させることにより、基板の表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することができる。
【0036】
続いて、基板の塗布終端部で、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔ないしそれ以下の間隔に調節しながら、前記した定常ビードのサックバックを行う(以下、「操作4」という)。すなわち、(1)ダイの昇降機構によってダイを降下させて、定常間隔よりも狭い間隔でダイのスリットの先端を基板の塗布終端部に近接させながら、前記したようなダイのサックバック機構によってサックバックを行う(後記、図7参照)か、または、(2)基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔に維持したまま、サックバックを行う。
【0037】
上記(2)の場合には、幅広いダイのスリットの全幅に亘って均一にサックバックすることは、通常困難であるため、塗布終端部において定常間隔でサックバックを行った後、ダイを降下させて定常間隔よりも狭い間隔でダイのスリットの先端を基板表面に近接させ、ダイのスリットの先端と基板表面との間に再度ビードを形成した後、サックバックを行うのが好ましい(後記、図8参照)。この操作を行うことによって、ダイのスリットの全幅に亘って安定的にサックバックを行うことができる。
【0038】
操作1のように、上記した初期メニスカス形成間隔で初期ビードを形成し、ついで、操作2で、ダイを定常間隔に移行させることにより、基板の表面や裏面に異物が存在した場合でも、その影響を避けることができる。操作1の初期ビードの形成を、上記した初期メニスカス形成間隔で行わずに定常間隔で行った場合には、基板の塗布開始部に塗布液溜まりが生じ、この部分で塗布膜の厚さが厚くなるので好ましくない。また、低粘度、具体的には粘度が20cP以下の塗布液を用いた場合や、薄い塗布膜、具体的にはウエット厚さ20μm以下の塗布膜を形成する場合には、初期ビードの形成を上記したように定常間隔で行うと、ダイを走行させるに従って塗布膜の厚さが徐々に薄くなり、均一な塗布膜を得るまでの距離が長くなるので好ましくない。
【0039】
なお、操作1においては、ダイのスリットからの塗布液の吐出速度を操作3における吐出速度より遅くして、初期ビードの形成操作を精確に行うのが好ましい。また、操作2においては、ダイの上昇速度と塗布液の吐出速度との双方を可及的速くし、初期ビードから定常ビードへの移行に要する時間を可及的短くするのが好ましい。塗布液の粘性や基板表面の物性にもよるが、操作1の初期メニスカス形成間隔は、20μm〜100μmの範囲とするのが好ましく、このメニスカスを形成するために必要な塗布液の最低量は、ダイのスリットを形成するリップのエッジ面の単位長さ(1cm)あたり、0.2μl〜1.0μlの範囲とするのが好ましい。
【0040】
操作3の際には、昇降機構によってダイを若干上昇させ、初期メニスカス形成間隔よりも若干広い定常間隔でダイを走行させる。なお、基板の裏面に異物が存在して基板が部分的に浮き上がっていることが塗布前に認識された場合には、前記したようなダイの左右高さ調節機構によってダイのスリットの先端と基板表面との間隔を一定間隔に制御しながらダイを走行させることもできる。なお、高速塗布するためには、上記した定常間隔を狭くすることを要するが、この定常間隔は、基板の表面粗さや載置台の基板載置面の水平度・平滑度によって決めるのが好ましい。この定常間隔は、通常、30μm〜200μmの範囲とすることができ、中でも50μm〜150μmの範囲が特に好ましい。
【0041】
なお、本発明方法においては、上記操作1ないし操作4を経て基板への塗布液の塗布を完了した後、前記したアンローディング装置によってこの塗布後の基板を載置台から別の載置場所へ移送し、かつ、ローディング装置によって新たな基板を載置台の表面へと載置する間に、前記したディスペンス・ロール上でサックバック戻し(サックバックした塗布液を再度吐出すること)を行うのが好ましい。このサックバック戻しは、ダイのスリットの先端における塗布液の状態を調節するために行う操作である。サックバック戻しの初期段階では塗布液の吐出量は不均一であるが、ディスペンス・ロール上で前記したように一定時間吐出を行った後に塗布液の供給を停止することにより、ダイのスリットの先端の塗布液の状態を、所定の塗布開始状態に調節することができる。
【0042】
上記したような基板の入れ替えの際に要する時間は比較的短いため、この間にダイのスリットの先端に付着した塗布液が乾燥して、その後の塗布作業に支障をきたすことはほとんどないが、上記したアンローディング・ローディング装置にが故障するなどの不測の事態が発生して、一時的に塗布作業を中断しなければならない場合がある。この場合、前記したように、ダイのスリットの先端に付着した塗布液が、溶媒の蒸発によって乾燥固化してしまい、この後に塗布作業を続行することが困難となる場合がある。
【0043】
このような不測の事態が発生した場合には、ダイを前記したポットへと移動させ、このダイのスリットの先端近傍を溶媒蒸気でみたしたポット内に封入して、このスリットの先端の乾燥を抑制するが、先端の乾燥を完全に抑制することが困難であるので、前記したとおり、定期的にダイをディスペンス・ロール上に移動させ、このディスペンス・ロールを回転させながら、ダイのスリットから塗布液を吐出することにより、ダイのスリットの先端に付着した塗布液が乾燥固化するのを防止することができる。
【0044】
【実施例】
以下に本発明を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0045】
図1は、本発明に係る塗布装置の主要部の一例の斜視図であり、図2は、図1に示した塗布装置の全体の概略図であり、図3は、図1の塗布装置に装備されるダイの一例の一部概略側面図である。図4は、図1の塗布装置に装備されるディスペンスロール近傍の機構の一例の概略側面図である。図5は、図3のダイのスリットの先端と基板との間に初期ビードを形成した状態の一例の拡大概略側断面図であり、図6は、図5の状態からダイを若干上方に移動させて定常ビードを形成した状態の一例の拡大概略側断面図である。図7は、本発明方法におけるダイの走行経路の一例を示した概略図であり、図8は、本発明方法におけるダイの走行経路の他の例を示した概略図である。
【0046】
図1は、本発明方法で使用することができる塗布装置100の主要部を示している。図1に示すとおり、塗布装置100には載置台10とダイ20とが装備されている。この載置台10は水平度・平滑度の高いグラニット定盤であり、架台12に装備されている。ダイ20には、昇降機構30とスライダー40とが装備され、このスライダー40は、載置台10に装備された走行機構であるリニアモーター11によって、載置台10上を往復走行可能とされている。
【0047】
ダイ20は、載置台10の表面に基板を載置した状態で、この基板の塗布開始部から塗布終端部へと走行させながら塗布液を吐出することによって、この基板の表面に塗布膜を形成するものであり、基板表面に塗布膜を形成した後には、図示していない基板移送機構によって、載置台10上の基板を移送し、次いで、新たな基板を載置して再度塗布作業を再開する。
【0048】
また、図1に示すように、ダイ20には複数のセンサー50が装備されている。このセンサー50によって、センサー50と載置台10の表面との隔たり、および、センサー50と基板表面との隔たりを測定し、これら測定値に基づき、図示されていない演算装置を用いて、基板の位置および厚さ分布を算出することができる。塗布の際には、この基板の厚さ分布を参照しながら、図示されていないダイ左右高さ調節装置によってダイ20の左右の高さを調整しながら、塗布を行うことができる。
【0049】
さらに、図1に示すように、ダイ20の走行終端部側には、載置台10に隣接させて、ディスペンス・ロール60および密閉式のポット70およびが装備されている。上記ポット70は、ダイ20の塗布作業休止時に、このダイ20のスリットの先端の乾燥を防止するように機能するものである。なお、ダイ20には、上記した昇降装置30およびスライダー40のほか、図示されていない塗布液供給機構およびサックバック機構が装備されている。
【0050】
図2は、図1に示した塗布装置100の全体の概略図を示している。この図2には、塗布液タンク81と、塗布液を供給可能なシリンジ・ポンプ82と、塗布液の流れの切り替えを行う三方切り替え弁83とが示されており、これらは、図1で図示しなかった塗布液供給機構80を構成する。なお、シリンジ・ポンプ82は、塗布液の吸引も可能であるためサックバック機構としても機能する。塗布液タンク81と三方切り替え弁83との間には、塗布液中の異物を除去するためのフィルター84が設けられている。この塗布装置100に装備されているリニアモーター11、昇降装置30、シリンジ・ポンプ82、および、ディスペンス・ロール60は、それぞれ多軸コントローラー90によって駆動され、これら各機構の動作はコンピューター91によって制御される。
【0051】
図3は、塗布装置100に装備されるダイ20の一部概略側面図である。このダイ20のスリット21は、フロント・リップ22およびリア・リップ23によって形成されており、スリット21の上方には、このスリット間隔を調整するシム24が装備されている。上記した塗布液供給機構80によって供給された塗布液は、塗布液供給口25を経由してマニホールド26に流入し、ダイ20のスリットの全幅に亘って均一に広がった後、スリット21内を流下する。
【0052】
図4は、ディスペンス・ロール60の周辺の機構を示している。ディスペンス・ロール60は、前記したように多軸コントローラー90で駆動され、コンピューター91によってその回転動作を制御されており、その近傍には、吐出された塗布液を掻き取るドクターブレード61が設けられている。また、このディスペンス・ロール60の近傍には、溶媒噴霧装置62が設けられており、前記したとおり、ディスペンス・ロール60表面に付着した塗布液溜まりが乾燥固化(粉化)し、これによって発生した塵芥がドクターブレード61とディスペンス・ロール60との間をすり抜けて、ダイ20のスリット21先端に付着することがないように、溶媒をディスペンス・ロール60表面に定期的に噴霧するように機能する。
【0053】
上記した塗布装置100を使用して基板に塗布液を塗布するには、まず、三方切り替え弁83を塗布液タンク81側に切り替えた状態で、塗布液タンク81からシリンジ・ポンプ82で塗布液の吸引を行い、ついで、三方切り替え弁83をダイ20側に切り替えた状態で、塗布液をシリンジ・ポンプ82でダイ20へと供給し、ダイのスリットから吐出させる。この動作を開始した当初においては、塗布液タンク81とダイ20とを繋ぐ配管内に空気が充填されているので、この配管内の空気が全て塗布液で置換されるまで上記操作を繰り返し行う。この操作においては、ダイ20のスリット内の空気抜きも併せて行う。
【0054】
上記操作の後、ダイ20を元の状態に戻し、上記したポット70に移動させて待機状態とする。この後、基板を載置台10に載置して真空吸着し、載置台(グラニット定盤)10の水平度を基板に反映させる。次いで、ダイ20をディスペンス・ロール60の上に移動させる。このとき、ダイ20のスリット21とディスペンス・ロール60の表面の最上部との間隔が、ダイ20のスリットと基板の表面との定常間隔とほぼ同一になるように、ダイ20の位置を調節する。
【0055】
ついで、ディスペンス・ロール60の回転を開始した後、ダイ20のスリット21から塗布液を吐出して、吐出状態を、基板に塗布する際と同様の状態に調節した後に、塗布液の供給を止める。この際にディスペンス・ロール60の回転を持続させることにより、ディスペンス・ロール60とダイ20のスリット21の先端との間に形成されるメニスカスは、ディスペンス・ロール60の回転方向に引きずられて最終的にスリット21の先端から離れる。この操作により、スリット21の先端の状態を常に一定の状態に調節することができ、迅速かつ確実に塗布を開始することができる。
【0056】
ついで、ダイ20をディスペンス・ロール60の位置から、基板表面の塗布開始部へと移動させる。この際、ダイ20に装備したセンサー50と演算装置を用いて、上記したように基板の位置および厚さ分布を算出すると、このデータに基づいて、ダイ20の左右高さを調整しつつ塗布することができる。ダイ20を塗布開始点まで移動させ、ダイ20のスリットと基板表面との間に初期ビードが形成される位置までダイ20を降下させた後、シリンジ・ポンプ82によって塗布液の供給を行う。
【0057】
この際に形成される初期ビードBpを図5に示す。この際には、このダイ20のスリット21の先端と基板200との間にメニスカスMが形成される。初期ビードBpを形成する際には、ダイ20のスリット21の先端を、基板200の表面の塗布開始部とこのスリット21の先端との間が、このメニスカスMを形成するために必要な間隔(初期メニスカス形成間隔)Dpとなるまで近接させ、かつ、このメニスカスMを形成するために必要な最低限の塗布液を供給する。
【0058】
ついで、初期メニスカス形成間隔Dpからダイ20を若干上昇させながら走行を開始させ、定常間隔Dcに移行させて塗布液の塗布を行う。この際、塗布液供給速度とダイ20の走行速度とを同期させ、図5に示した初期ビードBpを、図6に示した定常ビードBcに移行させる。続いて、基板の塗布終端部において、定常間隔以下の間隔Dtまでダイ20を降下させながら、定常ビードBcをサックバック(吸引)する。この際、吸引する塗布液の量は非常に少量で良いが、ビードを均等に吸引するためには、比較的高速で吸引する必要がある。このようにサックバックを行うことにより、基板の塗布終端部に形成される塗布膜の厚さを、定常塗布部に形成される塗布膜の厚さとほぼ同一とすることができ、基板表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することができる。以上の一連の塗布操作におけるダイ20の走行経路を、図7に示した。
【0059】
なお、ダイ20を初期塗布状態から定常塗布状態へと移行させる際には、図8に示すように、初期メニスカス形成間隔Dpからダイ20を定常間隔Dcまで上昇させた後に、走行を開始させてもよい。また、ダイ20を定常塗布状態から終端塗布状態へと移行させる際には、この図8に示すように、ダイ20を定常間隔Dcを塗布終端部まで維持しつつ走行させながらサックバックを行い、かつ、ダイ20を基板200の表面へと降下させて再度サックバックを行ってもよい。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る枚葉基板の製造方法によれば、まず、基板表面の塗布開始部の上方にダイを移動させ、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔より狭い間隔としてこのスリットと塗布開始部との間に初期ビードを形成し、ただちに、ダイのスリットから塗布液を吐出しながらダイを若干上昇させて初期ビードを定常ビードへと移行させ、ついで、スリットへの塗布液供給速度とダイの走行速度とを同期させて定常ビードを保持したままダイを基板表面に沿って走行させ、続いて、基板の塗布終端部で、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔ないしそれ以下の間隔に調節しながら、定常ビードのサックバックを行うので、基板の表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することができる。
2.本発明に係る枚葉基板の製造方法において、載置台の近傍にディスペンス・ロールを配置した場合には、基板にダイを移動させて塗布液を塗布する前に、上記したディスペンス・ロール上でサックバック戻しを行って、ダイのスリットの先端における塗布液の状態を所定の塗布開始状態に調節することができるので、複数枚の基板を順次入れ替えながら塗布する場合にも、各基板に均一な塗布膜を形成することができる。
3.本発明に係る枚葉基板の製造方法において、載置台の近傍にディスペンス・ロールを配置した場合には、不測の事態によって一時的に塗布作業を中断した場合にも、ダイのスリットの先端に付着した塗布液が乾燥固化するのを防止することができるので、塗布作業を迅速に再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る塗布装置の主要部の一例の斜視図である。
【図2】 図1に示した塗布装置の全体の概略図である。
【図3】 図1に示した塗布装置に装備されるダイの一例の一部概略側面図である。
【図4】 図1に示した塗布装置に装備されるディスペンスロール近傍の機構の一例の概略側面図である。
【図5】 図3のダイのスリットの先端と基板との間に初期ビードを形成した状態の一例の拡大概略側断面図である。
【図6】 図5のダイを若干上方に移動させて、定常ビードを形成した状態の一例の拡大概略側断面図である。
【図7】 本発明方法におけるダイの走行経路の一例を示した概略図である。
【図8】 本発明方法におけるダイの走行経路の他の例を示した概略図である。
【符号の説明】
10:載置台
11:リニアモーター
12:架台
20:ダイ
21:スリット
22:フロント・リップ
23:リア・リップ
24:シム
25:塗布液供給口
26:マニホールド
30:昇降機構
40:スライダー
50:センサー
60:ディスペンス・ロール
61:ドクターブレード
62:溶媒噴霧装置
70:ポット
80:塗布液供給機構
81:塗布液タンク
82:シリンジ・ポンプ
83:三方切り替え弁
84:フィルター
90:コントローラー
91:コンピューター
100:塗布装置
200:基板
Bp:初期ビード
Bc:定常ビード
Dp:初期メニスカス形成間隔
Dc:定常間隔
Dt:定常間隔以下の間隔
M:メニスカス
Claims (3)
- 平面形状が矩形状の基板の上方で、塗布液吐出用のスリットを備えたダイをスリットの延在する方向とほぼ直角方向に走行させながら、このスリットから基板表面に塗布液を吐出して枚葉基板を製造するにあたり、まず、基板表面の塗布開始部の上方にダイを移動させ、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔より狭い間隔としてこのスリットと塗布開始部との間に初期ビードを形成し、ただちに、ダイのスリットから塗布液を吐出しながらダイを若干上昇させて初期ビードを定常ビードへと移行させ、ついで、スリットへの塗布液供給速度とダイの走行速度とを同期させて定常ビードを保持したままダイを基板表面に沿って走行させ、続いて、基板の塗布終端部で、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間隔ないしそれ以下の間隔に調節しながら、定常ビードのサックバックを行い、基板の入れ替えの間にダイをディスペンス・ロール上に移動させ、回転させたディスペンス・ロール上でサックバック戻しを行って、ダイのスリットからの塗布液の吐出量を調節することを特徴とする、枚葉基板の製造方法。
- 載置台から若干隔離させて、ダイの走行方向終端部近傍にディスペンス・ロールを配置し、ディスペンス・ロール表面の最上部とダイのスリットの先端との間隔を、基板表面とダイのスリットの先端との定常間隔とほぼ同一の間隔とする、請求項1に記載の枚葉基板の製造方法。
- 塗布作業の不測の中断の際に、ダイをディスペンス・ロール上に移動させてダイのスリットから塗布液を吐出させる、請求項2に記載の枚葉基板の製造方法。
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