JP4732180B2 - 1,3−アミノアルコール誘導体の立体選択的製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、アルデヒドと、アルデヒド由来のエナミンとを1価の銅化合物とキラルなジアミン配位子とからなる不斉触媒の存在下で反応させる不斉求核付加反応において、中間体として生成する重合体をエタノール中でスカンジウムトリフラートなどのルイス酸と処理することにより効果的に分解し、N,O−アセタール構造を有する光学活性アルコール誘導体を製造する方法に関する。さらに本発明は、前記重合物をルイス酸存在下、アリル化剤或いは還元剤と処理することにより、対応する光学活性1,3−アミノアルコール誘導体を製造する方法に関する。
触媒的不斉アルドール反応は、カルボニル基と水酸基を有する化合物のエナンチオ選択的な製造方法としてファインケミカル分野における重要な化合物の合成方法として活発に検討されてきたが、アルドール反応は自己縮合やオリゴマー化などの副反応が生じやすく必ずしも十分な収率で目的物を得ることはできなかった。特に、アルデヒドを求核剤として用いた場合、自己縮合や、生成物の再反応といった問題を伴うことがよく知られている。近年、アルデヒドを直接、あるいはアルデヒド由来のケイ素、エノレートを用いた触媒的不斉交差アルドール反応が報告され注目されている(非特許文献1〜3参照)。
本発明者らは、このような状況において、キラル銅触媒を用いてイミン、アルデヒド、ケトンに対する、ケトン由来のエンカルバメート又はエナミドの触媒的不斉求核付加反応を報告している(特許文献1、及び非特許文献4〜7参照)。
(1)アルデヒド基を有する化合物とアルデヒド由来のエナミンを反応させて、対応する1,3−アミノアルコール誘導体を製造する方法において、不斉炭素原子を含有する配位子を有する金属錯体、又は不斉炭素原子を含有する化合物及び金属化合物の存在下で、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に当該エナミンをアルドール付加型の求核付加反応をさせて、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に当該エナミンが付加した付加体を製造し、次いで当該付加体を求核試薬の存在下で処理することを特徴するアルドール付加型求核付加反応による1,3−アミノアルコール誘導体を製造する方法。
(2)アルデヒド基を有する化合物が、次の一般式(1)
で表される化合物であり、アルデヒド由来のエナミンが次の一般式(2)
で表される化合物である前記(1)に記載の方法。
(3)一般式(1)におけるR1が、−C(=O)−Ra基又は−COO−Ra基(式中、Raは置換基を有してもよい炭化水素基を示す。)である前記(2)に記載の方法。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの方法により製造される1,3−アミノアルコール誘導体が、次の一般式(4)
で表される化合物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)不斉炭素原子を含有する配位子又は不斉炭素原子を含有する化合物が、エチレンジアミン構造を有する化合物である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)不斉炭素原子を含有する配位子又は不斉炭素原子を含有する化合物が、光学活性体であり、生成するアミノアルコール誘導体が少なくとも一種の光学活性体を過剰に含むものである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)不斉炭素原子を含有する配位子又は不斉炭素原子を含有する化合物が、次の一般式(3)
で表されるシクロヘキシルジアミン誘導体である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)金属錯体又は金属化合物における金属が、銅又はニッケルである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に、アルデヒド由来のエナミンをアルドール付加型の求核付加反応が、さらに炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルカノールの存在下で行われる前記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)アルカノールが、イソプロピルアルコールである前記(9)に記載の方法。
(11)求核試薬が、アルコール、アリル化剤、及び水素化物イオン供与体の群から選ばれる求核試薬である前記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12)求核試薬が、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルカノールであり、希土類金属トリフラート(OTf)塩の存在下で処理される前記(11)に記載の方法。
(13)希土類化合物の希土類元素が、スカンジウムである前記(12)に記載の方法。
(14)前記(12)又は(13)に記載の方法により製造される1,3−アミノアルコール誘導体が、次の一般式(4)
で表される化合物である前記(12)又は(13)に記載の方法。
(15)求核試薬が、アリル化剤であり、ルイス酸の存在下で処理される前記(11)に記載の方法。
(16)アリル化剤が、アリル化シラン誘導体であり、ルイス酸がトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)である前記(15)に記載の方法。
(17)前記(15)又は(16)に記載の方法により製造される1,3−アミノアルコール誘導体が、次の一般式(4)
で表される化合物である前記(15)又は(16)に記載の方法。
(18)求核試薬が、水素化ケイ素化合物、水素化ホウ素化合物、及び水素化アルミニウム化合物の群から選択される1種又は2種以上からなる水素化物イオン供与体であり、ルイス酸の存在下で処理される前記(11)に記載の方法。
(19)水素化物イオン供与体が、水素化ケイ素化合物であり、ルイス酸がトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)である前記(18)に記載の方法。
(20)前記(18)又は(19)に記載の方法により製造される1,3−アミノアルコール誘導体が、次の一般式(4)
で表される化合物である前記(18)又は(19)に記載の方法。
(21)前記(15)若しくは(16)、又は前記(18)若しくは(19)に記載の方法により製造される1,3−アミノアルコール誘導体が、次の一般式(4)
で表される化合物である前記(15)若しくは(16)、又は前記(18)若しくは(19)に記載の方法。
まず本発明の、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基にアルデヒド由来のエナミンをアルドール付加型の求核付加反応について説明する。
本発明における「アルデヒド基を有する化合物」としては、アルデヒド基(−CHO基)を有し、当該アルデヒド基の一端に炭素原子が結合したものであって、反応条件下で副反応を生じさせるような官能基を有さないものであれば特に制限はない。そして、当該アルデヒド基(−CHO基)に対する反応が、求核反応であることから電子吸引性の官能基を有し、当該アルデヒド基(−CHO基)の炭素原子における電子がより不足系となっているものが好ましい。
本発明における好ましい「アルデヒド基を有する化合物」をより具体的に示せば、次の一般式(1)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(1)における基Raの炭化水素基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15、炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基;炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15、炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルキニル基;炭素数3〜15、好ましくは炭素数3〜10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基;炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基;炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1〜20のアルキル基が結合した、炭素数7〜40、好ましくは炭素数7〜20、炭素数7〜15のアラルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)が挙げられる。これらの炭化水素基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ビニル基、1−メチル−ビニル基、2−メチル−ビニル基、n−2−プロペニル基、1,2−ジメチル−ビニル基、1−メチル−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.0]ブチル基、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2.]オクチル基、アダマンチル基(トリシクロ[3.3.1.1]デカニル基)、ビシクロ[4.3.2]ウンデカニル基、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチル−メチル基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基における置換基としては、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;前記したアルキル基から誘導されるアルコキシ基;前記したアルキル基から誘導されるアルコキシカルボニル基;前記したアルキル基から誘導されるアルキルカルボニルオキシ基;前記したシクロアルキル基から誘導されるシクロアルコキシ基;前記したシクロアルキル基から誘導されるシクロアルコキシカルボニル基;前記したシクロアルキル基から誘導されるシクロアルキルカルボニルオキシ基;前記した炭素環式芳香族基から誘導されるアリールオキシ基;前記した炭素環式芳香族基から誘導されるアリールオキシカルボニル基;前記した炭素環式芳香族基から誘導されるアリールカルボニルオキシ基;前記したアラルキル基から誘導されるアラルキルオキシ基;前記したアラルキル基から誘導されるアラルキルオキシカルボニル基;前記したアラルキル基から誘導されるアラルキルカルボニルオキシ基;シアノ基;ニトロ基などや、場合によっては、前記したアルキル基やアルケニル基やシクロアルキル基などを置換基とすることもできる。
で表される化合物が挙げられる。一般式(5)における置換基を有してもよい炭化水素基としては前記した基Raとして説明したものと同じものが挙げられる。好ましいR6としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;前記した炭素数1〜20のアルキル基に酸素原子が結合したアルコキシ基;炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基、前記したアリール基に酸素原子が結合したアリールオキシ基;炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1〜20のアルキル基が結合した、炭素数7〜40、好ましくは炭素数7〜20、炭素数7〜15のアラルキル基;前記したアラルキル基に酸素原子が結合したアラルキルオキシ基などが挙げられる。これらの基の置換基としては、前記してきた置換基群が挙げられる。
本発明の方法における好ましい「アルデヒド基を有する化合物」の具体例としては、例えば、グリオキシル酸エチルエステルなどのグリオキシル酸エステル類、フェニルグリオキサールなどのグリオキサール類などが挙げられる。
で表される化合物が挙げられる。一般式(2)における基R2、R3、R4、及びRbにおける炭化水素基や置換基を有してもよい炭化水素基としては、前記した基Raにおいて説明してきたものが挙げられる。
本発明の方法における好ましい「アルデヒド由来のエナミン」のより好ましい「アルデヒド由来のエナミン」としては、一般式(2)における基R4が、−CO−Rb基又は−COO−Rb基、さらに好ましくは−COO−Rb基である、エナミドやエンカーバメートが挙げられる。即ち、本発明の方法における好ましい「アルデヒド由来のエナミン」としては前記一般式(2)のR4が、−CO−Rb基又は−COO−Rb基を示し、Rbは置換基を有してもよい炭化水素基を示すものが挙げられる。−COO−Rb基における好ましいRb基としては、例えば、ベンジル基、アリル基、tert−ブチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、p−メトキシベンジル基などが挙げられる。
本発明の方法における好ましい「アルデヒド由来のエナミン」の具体例としては、N−ベンジルオキシカルボニル−ビニルアミン、N−アリルオキシカルボニル−ビニルアミン、N−ベンジルオキシカルボニル−1−プロペンアミン、N−ベンジルオキシカルボニル−1−ブテンアミン、N−ベンジルオキシカルボニル−2−クロロビニルアミン、N−ベンジルオキシカルボニル−2−メチル−1−プロペンアミンなどが挙げられる。
本発明の方法におけるアルデヒド基を有する化合物と、アルデヒド由来のエナミンとの使用割合は、1:1とすることが基本ではあるが、原料化合物の反応性や価格などを考慮して適宜決めることができる。両者のモル比としては、0.1〜10程度の広い範囲で選択することができる。
このようなキラリティーを有する配位子の好ましい例としては、ジアミン系の化合物が挙げられる。より好ましくはアルキレンジアミン構造、より具体的にはエチレンジアミン構造を有する化合物が挙げられる。不斉炭素原子を含有する配位子であって、キラルな配位子の好ましい例としては次の化合物、
が挙げられる。基Rにおけるアルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられ、例えば、t−ブチル基などが挙げられる。また、基Rにおけるアリール基としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基が挙げられる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられる。好ましいアリール基としてはフェニル基やナフチル基が挙げられる。これらのアルキル基やアリールの置換基としては前記した基Raで説明してきた置換基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい不斉炭素原子を含有する配位子又は不斉炭素原子を含有する化合物としては、次の一般式(3)
で表されるシクロヘキシルジアミン誘導体が挙げられる。基Arにおけるアリール基としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基が挙げられる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられる。好ましいアリール基としてはフェニル基やナフチル基が挙げられる。これらのアリールの置換基としては、メチル基やエチル基やi−プロピル基やt−ブチル基などの炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;メトキシ基やエトキシ基などの炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基;塩素原子、フッ素原子、臭素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。より好ましいAr基としてはハロゲン置換フェニル基が挙げられる。特に好ましいAr基の具体例としては、両方のAr基が同じで4−ブロモ−フェニル基が挙げられる。
本発明の方法におけるキラルな銅触媒又はキラルなニッケル触媒は、前記したような銅化合物やニッケル化合物とキラルな不斉炭素原子を含有する配位子とを、あらかじめ混合して錯体を調製してから、これを触媒として用いてもよいし、あるいは反応系において銅化合物やニッケル化合物と不斉炭素原子を含有する化合物とを混合して使用するようにしてもよい。触媒としての使用割合については、銅化合物やニッケル化合物もしくは銅化合物やニッケル化合物とキラル有機分子との錯体として、アルデヒド化合物に対して、通常は、0.1〜50モル%、好ましくは0.5〜20モル%程度の割合とすることができる。
前記したようなキラルな触媒を使用することにより、アルデヒド由来のエナミンの付加が立体選択的に生成し、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基の位置に生成する水酸基が(R)又は(S)のいずれか一方の鏡像体が優位に生成する。本明細書ではこの位置における(R)体又は(S)体のいずれか一方の過剰率をエナンチオマー過剰率(ee)(%)として表す。このエナンチオマー過剰率は、((R)−(S))/((R)+(S))×100、又は((S)−(R))/((R)+(S))×100として計算される値である。
アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基にエナミンをアルドール付加型の求核付加反応の方法においては、通常はイミノアルコールが生成し、これを加水分解することによりアルドール誘導体を得ることができるが、原料、特にエナミンがアルデヒド由来のものである場合には、加水分解ができない生成物となることがある。本発明者らは、このような付加生成物について、さらに詳細に1H−NMRスペクトルにより検討したところ、次の一般式(6)
で表されるポリマー又はオリゴマーが生成していることを見出した。この構造は、アルデヒド由来のエナミンの炭素−炭素二重結合とアルデヒド基の炭素−酸素二重結合が、1,4−付加重合を起こしたような構造であり、アルデヒド由来のエナミンによる求核付加とアルデヒド基のπ結合の開裂が連鎖的に生起したものと考えられる。
そして、本発明者らは、このようなポリマー又はオリゴマーを選択的に解重合することができれば目的の1,3−アミノアルコール誘導体を製造できると考え、この解重合法について検討した。その結果、適当な求核試薬を用いることにより、酸素原子及び窒素原子が結合している炭素原子の部位で選択的な解重合ができることを見出した。
そして、このような求核試薬としては、アルコール、アリル化剤、及び水素化物イオン供与体の群から選ばれる求核試薬が好ましいことがわかった。
求核試薬として、一般式R5−Z(式中、R5は求核基を示し、Zはその残基を示す。)を使用した場合には、アルデヒド由来のエナミンのアミノ基に結合している炭素原子の位置に求核基R5が導入された一般式(4)で表される化合物を得ることができる。
即ち、求核試薬として、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルカノールを用いた場合には、一般式(4)におけるR5が、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基である化合物が得られ、求核試薬としてアリル化剤を用いた場合には、一般式(4)におけるR5が、アリル基である化合物が得られ、求核試薬として水素化物イオン供与体を用いた場合には、一般式(4)におけるR5が水素原子である化合物が得られることになる。
求核試薬として水素化物イオン供与体を用いた場合には、ルイス酸の存在下で反応されるのが好ましい。水素化物イオン供与体としては、水素化ケイ素化合物、水素化ホウ素化合物、及び水素化アルミニウム化合物の群から選択される1種又は2種以上からなる水素化物イオン供与体などを使用することもできるが、Si−H結合を有するシラン類が好ましい。好ましいシラン類としては、例えば、トリアルキルシラン、特にトリエチルシランなどが挙げられる。水素化物イオン供与体の使用量としては、使用したエナミンに対して1〜10当量、好ましくは2〜6当量、通常は約5当量が好ましい。ルイス酸としては、金属塩化物などでもよいが、シリル系のルイス酸が好ましい。好ましいルイス酸としては、トリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)などが挙げられる。ルイス酸の使用量としては、使用したエナミンに対して0.5〜5当量、好ましくは1〜3当量、通常は1〜2当量が好ましい。反応温度としては、−20℃〜室温程度が好ましく、より好ましくは−10℃〜0℃程度が挙げられる。反応時間としては、5〜50時間、好ましくは10〜20時間程度が挙げられる。反応溶媒としてはアセトニトリルなどのニトリル類やジクロルメタンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
本発明のこのような方法を原料のアルデヒド基を有する化合物として一般式(1)で表される化合物を用いて、アルデヒド由来のエナミンとして一般式(2)で表される化合物を使用した例で示せば、次の反応式で示される。
即ち、本発明の方法は、一般式(1)で表されるアルデヒド基を有する化合物と、一般式(2)で表されるアルデヒド由来のエナミンとを、キラル触媒の存在下にアルドール付加型の求核付加反応をさせて、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基にアルデヒド由来のエナミンが付加した付加体を製造する工程、次いで前記工程で得られた付加体を一般式R5−Zで表される求核試薬で処理する工程により、一般式(4)で示される1,3−アミノアルコール誘導体を製造する方法である。
また、本発明のより好ましい方法としては、アルデヒド基を有する化合物としてカルボニル−アルデヒド基を有する化合物を用いて、アルデヒド由来のエナミンを使用する場合が挙げられ、これを一般式(5)で表されるアルデヒド基を有する化合物と、一般式(2)で表されるエナミンを使用した例で示せば、次の反応式で示される。
これらのエナミンにおけるR4基としては、−CO−炭化水素基又は−COO−炭化水素基で示されるエナミド型又はエンカーバメート型のものが好ましい。そして、例えば、エナミンにおけるR6基が、ベンジルオキシカルボニル基のようなエンカーバメートのばあいには、E体のエンカーバメートを原料として用いた場合には、主としてアンチ体の生成物が得られ、Z体のエンカーバメートを原料として用いた場合には、主としてシン体の生成物が得られる。
本発明の方法によって製造される1,3−アミノアルコール誘導体は、光学活性体として得ることができ、医薬品、農薬、香料、機能性高分子等の製造のための原料や合成中間体として有用なものである。例えば、本発明の方法において、アルデヒド基を有する化合物として一般式(5)におけるR6が炭化水素オキシ基で表されるグリオキシル酸エステルを用いた場合には、α−ヒドロキシ−γ−アミノカルボン酸エステルを光学活性体として製造することことができる。光学活性α−ヒドロキシ−γ−アミノカルボン酸エステルは、水酸基、アミノ基、エステル基などの多数の有用な官能基を有する化合物でしかも光学活性体であることから、各種の光学活性体の製造原料として有用である。例えば、この光学活性α−ヒドロキシ−γ−アミノカルボン酸エステルから、光学活性α−ヒドロキシ−γ−ラクトンとすることができ、さらにこれをシアノ化して還元することにより、エラスターゼ阻害剤ノストペプチン(nostpeptin)の構成要素として知られているタンパク質非構成アミノ酸である(2S,3S,4S)−3−ヒドロキシ−4−メチルプロリン(HMP)を立体選択的に製造することができる。
1H−NMRと13C−NMR は JEOL JNM-LA300、JNM-LA400、JNM-DE400、JNM-DE600またはJNM-LA500を使用しCDCl3を溶媒とし(他の溶媒を使用した場合は個別に記載)、テトラメチルシラン (δ=0、1H NMR)またはCDCl3 (δ=77.0、13C NMR)を内部標準物質として測定した。IRスペクトルの測定は JASCO FT/IR-610 を、旋光度の測定は JASCO P-1010 を使用した。HPLCの測定にはSHIMADZU LC-10AT、SHIMADZU SPD-10A及びSHIMADZU C-R6A Cを使用した。質量分析にはSHIMADZU GC-17A又はSHIMADZU GCMS-QP5050Aを使用し、融点の測定には、YAZAWA BY-1を使用した。カラムクロマトグラフィーには、Silica gel 60 (Merck) を使用し、調製用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5Fを使用した。全ての反応はアルゴン雰囲気下で実施し、溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。グリオキシル酸エチルは使用直前に蒸留した。
エンカルバメートの製造
エンカルバメート2a−b及び2c−fは文献記載の方法により合成した(Cordoba,A.他 J.Org.Chem. 2002,67,301.;Chowdari,R. 他 Tetrahedron Lett. 2002,43,9591.;Denmark,S. E. 他 Angew.Chem.,Int.Ed. 2001,40,4759.)。エンカルバメート2gは2aをTHF中でNaHとMeIによりメチル化することにより合成した。
これらの方法により製造されたエンカルバメートの物性値を以下に示す。なお、化合物名の後の括弧内は以下の説明で使用する化合物の番号である。
参考例1−1
アリル ビニルカルバメート(2b)
4.09 (d,1H,J = 8.7 Hz),4.24 (d,1H,J = 15. 6 Hz),
4.43 (d,1H,J = 5.5 Hz),4.96 (d,1H,J = 10.5 Hz),
5.08 (d,1H,J = 17.4 Hz),5.62-5.78 (m,1H),6.35-6.70 (brs,1H),
6.78-6.94 (m,1H);
13C NMR (C6D6) δ ;
65.8,93.0,117.6,130.4,132.9,153.6;
IR (neat) 3316,3170,3085,3026,2954,1704,1650,1517,1399,1328,1254,
1091,976,930,847,773,670 cm−1;
元素分析 C6H9NO2として、 計算値: C,56.68; H,7.13; N,11.02.
実測値: C,56.78; H,7.10; N,11.10.
参考例1−2
ベンジル (E)−ブテニル−1−カルバメート((E)−2d)
1H NMR (DMSO−d6) δ;
0.91 (t,3H,J = 7.6 Hz),1.94 (dq,2H,J = 6.9,7.3 Hz),
5.04-5.12 (m,3H),6.33 (dd,1H,J = 10.1,14.2 Hz),7.28-7.38 (m,5H),
9.32 (d,1H,J = 10.1 Hz);
13C NMR (DMSO−d6) δ;
14.5,22.5,65.7,117.1,123.6,127.9,127.9,128.4,136.7,153.6;
IR (neat) 3309,3034,2962,2876,1706,1679,1524,1455,1402,1330,1290, 1228,1136,1042,946,734,696 cm−1;
HRMS (FAB); C12H16NO2 として [M+H]+,206.1181.
実測値 206.1189.
参考例1−3
ベンジル (Z)−ブテニル−1−カルバメート((Z)−2d)
0.87 (t,3H,J = 7.3 H z),2.03 (dq,2H,J = 7.4,7.4 Hz),
4.50 (q,1H,J = 8.1 Hz),5.10 (s,2H),6.20-6.27 (m,1H),
7.30-7.40 (m,5H),9.08 (d,1H,J = 10.5);
13C NMR (DMSO−d6) δ;
14.1,18.4,65.8,111.3,122.1,128.0,128.0,128.4,136.6,154.2;
IR (neat) 3424,3326,3033,2966,2876,1711,1672,1508,1454,1399,1329,
1228,1105,1024,741,696,535 cm−1;
HRMS (FAB); C12H16NO2 として、[M+H]+,206.1181.
実測値 206.1174.
参考例1−4
ベンジル (E)−2−クロロビニルカルバメート((E)−2e)
1H NMR (DMSO−d6) δ;
5.10 (s,2H),5.89 (d,1H,J = 12.4 Hz),6.75 (t,1H,J = 10.8 Hz),
7.30-7.40 (m,5H),9.81 (d,1H,J = 7.3 Hz);
13C NMR (DMSO−d6) δ;
66.3,100.8,128.0,12 8.1,128.4,136.2,153.3;
IR (neat) 3270,3156,3073,3013,2967,1726,1697,1523,1453,1367,1288,
1229,930,838,768,696,556,479 cm−1;
参考例1−5
ベンジル (Z)−2−クロロカルバメート((Z)−2e)
1H NMR (DMSO−d6) δ;
5.15 (s,2H), 5.54 (d,1H,J = 6.0 Hz),6.84 (dd,1H,J = 6.0,10.6 Hz),
7.30-7.45 (m,5H),9.46 (s,1H);
13C NMR (DMSO−d6) δ;
66.5,97.7,125.3,127.9,128.1,128.4,136.2,153.9;
IR (neat) 3422,3312,3085,3039,2960,1729,1666,1478,1321,1213,1132,
1047,968,909,780,696,541 cm−1;
元素分析: C10H10ClNO2として、計算値: C,56.75; H,4.76; N,6.62.
実測値: C,56.65; H,4.85; N,6.37.
参考例1−6
ベンジル 2−メチルプロペ−1−ニルカルバメート(2f)
1H NMR (DMSO−d6) δ;
1.5 6 (s,3H),1.60 (s,3H),5.06 (s,2H),6.05-6.13 (m,1H),
7.28 -7.40 (m,5H),8.80 (d,1H,J = 10.1 Hz);
13C NMR (DMSO−d6) δ;
16.6,22.4,65.7,112.9,118.6,127.9,128.0,128.4,136.8,154.1;
IR (neat) 3326,3033,2961,2920,1702,1509,1450,1405,1333,1233,1052,
837,743,698,499 cm−1;
HRMS (FAB); C12H16NO2 として、 [M+H]+,206.1181.
実測値 206.1178.
実施例1の方法を次の化学反応式で示す。
1.16 (t,3H,J= 6.9 Hz),1.16 (t,3H,J = 6.9 Hz),1.26-1.31 (m,6H),
1.90-2.22 (m,4H),3.26 (d,1H,J = 4.1 Hz),3.32 (d,1H,J = 5.5 Hz),
3.46-3.54 (m,2H),3.63-3.73 (m,2H),4.16-4.26 (m,4H),
4.32 (dt,1H,J = 2.6,5.3 Hz),4.44 (m,1H),5.11 (m,4H),
5.20-5.32 (m,2H),5.59 (d,1H,J = 9.6 Hz),5.83 (d,1H,J = 9.6 Hz),
7.28-7.38 (m,10H);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.1,14.9,15.0,38.6,61.7,61.8,63.5,63.6,66.8,66.8,67.2,67.8,
78.9,79.2,128.1,128.1,128.1,128.2,128.5,136.2,136.2,155.7,
155.9,174.4,174.5;
HRMS (FAB); C14H18NO5 として、 [M-OEt]+,280.1185.
実測値 280.2274.;
HPLC,Daicel Chiralcel ASH,hexane/i-PrOH = 4/1,流速:0.4mL/分;
保持時間; 19.1分(3S);21.2分(3S);
24.9分(3R);28.4分(3R);
(1S,3S)−3b: [α]23 D -29.7 (88% ee,c 0.69,CHCl3);
1H NMR (CDCl3) δ;
1.21 (t,3H,J = 6.9 Hz),1.76 (ddd,1H,J = 4.1,9.6,13.8 Hz),
2.28 (ddd,1H,J = 2.7,4.8,13.8 Hz),3.55 (dq,1H,J = 6.9,8.9 Hz),
3.73 (dq,1H,J = 6.9,9.6 Hz),4.00 (d,1H,J = 5.5 Hz),5.10 (s,2H),
5.29 (dt,1H,J = 4.1,8.2 Hz),5.45-5.53 (m,1H),
6.29 (d,1H,J = 9.6 Hz),7.28 -7.42 (m,5H),7.50 (t,2H,J = 7.6 Hz),
7.61 (t,1H,J = 7.2 Hz),7.92 (d,2H,J = 7.6 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
15.1,40.1,63.5,66.8,69.8,79.0,128.1,128.1,128.5,128.7,128.9,
133.1,134.0,136.3,156.1,201.1;
IR (neat) 3331,2973,2935,1715,1516,1448,1405,1237,1086,983,748,
697 cm−1;
HRMS (FAB); C18H18NO4 として、 [M-OEt]+,312.1236.
実測値 312.1224.;
HPLC,Daicel Chiralcel ADH,hexane/i-PrOH = 4/1,流速:1.0mL/分;
保持時間; 13.4分(1R,3R);14.5分(1S,3S)。
1H NMR (CDCl3) δ;
1.18 (t,3H,J = 6.9 Hz),1.84-1.92 (m,1H),2.16-2.27 (m,1H),
3.54 (dq,1H,J = 6.9,8.9 Hz),3.67-3.74 (m,1H),3.92 (brs,1H),
5.08 (d,1H,J = 12.4 Hz),5.12 (d,1H,J = 12.4 Hz),
5.22 (d,1H,J = 7.6 Hz),5.27-5.35 (m,2H),7.30-7.40 (m,5H),
7.48 (t,2H,J = 7.9 Hz),7.60 (t,1H,J = 7.6 Hz),
7.89 (d,2H,J = 7.6 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
15.0,41.2,63.9,66.8,70.7,79.5,128.1,128.2,128.5,128.6,128.9,
133.4,133.9,136.2,155.7,201.1;
IR (neat) 3339,3033,2974,2895,1715,1518,1258,1079,1026,994,746,
696 cm−1;
HRMS (FAB); C18H18NO4 として、[M-OEt]+,312.1236.
実測値 312.1238.;
HPLC,Daicel Chiralcel OJH,hexane/i-PrOH = 4/1,流速:1.0mL/分:
保持時間;14.1分(1S,3R);17.0分(1R,3S)。
1H NMR (CDCl3) δ;
1.17 (t,6H,J = 7.1 Hz),1.30 (t,3H,J = 7.3 Hz),
1.31 (t,3H,J = 7.1 Hz),1.89-2.27 (m,4H),3.25 (brs,2H),
3.45-3.58 (m,2H),3.63-3.75 (m,2H),4.20-4.30 (m,4H),
4.33 (dd,1H,J = 4.6,6.0 Hz),4.46 (dd,1H,J = 3.2,8.2 Hz),
4.57 (d,4H,J = 5.5 Hz),5.18-5.30 (m,6H),5.55 (d,1H,J = 10.5 Hz),
5.80 (d,1H,J = 10.1 Hz),5.85-5.98 (m,2H);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.1,15.0,15.0,38.7,61.7,61.8,63.5,63.6,65.6,67.3,67.9,78.9,
79.2,117.8,132.5,132.6,155.6,155.8,174.4,174.6;
HRMS (FAB); C10H16NO5 として、[M-OEt]+,230.1028.
実測値 230.1031.
なお、光学純度の決定は、下式に従い生成物3cの水酸基をトルオイル化した後、HPLCを用いて分析を行った。
1H NMR (CDCl3) δ;
1.11 (t,3H,J = 6.9 Hz),1.16 (t,3H,J = 6.9 Hz),
1.26 (t,3H,J = 7.1 Hz),1.27 (t,3H,J = 7.1 Hz),2.20-2.48 (m,10H),
3.40-3.60 (m,2H),3.60-3.75 (m,2H),4.15-4.27 (m,4H),
4.45-4.67 (m,4H),5.09-5.35 (m,8H),5.39 (dd,1H,J = 5.0,6.8 Hz),
5.44 (t,1H,J = 6.4 Hz),5.80-6.00 (m,2H),7.22-7.27 (m,4H),
7.95-8.05 (m,4H);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.0,14.9,21.7,37.0,37.1,61.4,61.5,63.7,63.8,65.7,69.2,69.4,
78.5,78.7,117.9,126.4,126.5,129.1,129.8,129.9,132.4,144.1,
155.5,165.7,165.8,169.5,169.8;
HRMS (FAB); C18H22NO6 として、 [M-OEt]+,348.1447.
実測値 348.1461.;
HPLC,Daicel Chiralcel ADH+ADH,hexane/i-PrOH = 9/1,
流速:0.65mL/分
保持時間; 37.0分(3R);41.2分(3S);
45.1分(3R);53.9分(3S).
(1S,3S)−3d:[α]23 D -32.5 (91% ee,c 0.65,CHCl3);
1H NMR (C6D6) δ;
1.09 (t,3H,J = 6.9 Hz),1.32-1.39 (m,1H),1.90-1.96 (m,1H),
3.53 (dq,1H,J = 6.9,9.6 Hz),3.74 (dq,1H,J = 6.9,9.6 Hz),
4.00 (d,1H,J = 5.5 Hz),4.49-4.58 (m,2H),4.96-5.00 (m,1H),
5.13-5.18 (m,1H),5.30-5.40 (m,2H),5.73 (5.85 (m,1H),
6.33 (d,1H,J = 9.6 Hz),6.90-7.00 (m,2H),7.00-7.05 (m,1H),
7.70-7.78 (m,2H);
13C NMR (C6D6) δ;
15.2,40.0,63.5,65.5,70.0,79.3,117.3,128.3,128.7,128.9,133.4,
133.5,133.7,156.0,200.9;
HRMS (FAB); C14H16NO4 として、 [M-OEt]+,262.1079.
実測値 262.1070.
HPLC,Daicel Chiralcel OJH,hexane/i-PrOH = 4/1,流速:1.0mL/分;
保持時間; 7.7分(3R); 9.4分(3S).
1H NMR (C6D6) δ;
1.05 (t,3H,J = 7.2 Hz),1.34-1.44 (m,1H),1.74-1.80 (m,1H),
3.50 (dq,1H,J = 6.9,9.6 Hz),3.68 (dq,1H,J = 6.9,9.6 Hz),
3.90 (d,1H,J = 6.2 Hz),4.46-4.56 (m,2H),4.88 (d,1H,J = 10.3 Hz),
4.99 (d,1H,J = 11.0 Hz),;5.00-5.05 (m,1H),5.12-5.17 (m,1H),
5.44-5.56 (m,1H),5.72-5.82 (m,1H),6.96 (t,3H,J = 7.6 Hz),
7.03-7.08 (m,1H),7.73 (d,2H,J = 7.6 Hz);
13C NMR (C6D6) δ;
15.2,41.4,63.8,65.5,70.8,79.6,117.2,128.7,128.8,133.4,134.1,
155.5,201.2;
HRMS (FAB); C14H16NO4 として、[M-OEt]+,262.1079.
実測値 262.1072.
HPLC,Daicel Chiralcel ADH+ADH,hexane/i-PrOH = 4/1,
流速:1.0mL/分;
保持時間;19.5分(3S),20.1分(3R)。
HRMS (FAB); C16H22NO5 として、 [M-OEt]+,294.1341.
実測値 294.1342.
なお、3eは次の化学反応式に従いトリエチルシランによりN,O−アセタールを還元した化合物(7e)を用いて2位と3位の相対立体配置の決定をし(NMR)、水酸基をトルオイル化した化合物(6e)を用いて光学純度を決定した(HPLC)。
1H NMR (CDCl3) δ;
0.81 (d,3H,J = 6.9 Hz),1.28 (t,3H,J = 7.2 Hz),2.10-2.30 (m,1H),
3.15-3.32 (m,3H),4.20-4.28 (m,3H),5.20 (s,2H),5.33-5.41 (m,1H),
7.26-7.38 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
10.7,14.1,36.5,43.8,61.7,66.7,71.1,128.0,128.4,136.4,156.8,
174.4;
HRMS (FAB); C15H22NO5 として、[M-OEt]+,296.1498.
実測値 296.1490.
1H NMR (CDCl3) δ;
1.10 (d,3H,J = 6.9 Hz),1.24 (t,3H,J = 7.2 Hz),2.41 (s,3H),
2.50-2.58 (m,1H),3.36 (t,3H,J = 6.5 Hz),4.14-4.26 (m,2H),
5.09 (d,1H,J = 12.4 Hz),5.11 (d,1H,J = 12.4 Hz),
7.22 (d,2H,J = 8.2 Hz),7.34-7.38 (m,5H),7.95 (d,2H,J = 8.2 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.1,14.7,21.7,35.7,42.8,61.5,66.7,74.5,126.5,128.1,128.5,
129.2,129.8,136.4,144.2,156.4,166.0,169.7;
HRMS (FAB); C23H27NO6 として、[M+H]+,414.1917.;
実測値 414.1915.
HPLC,Daicel Chiralcel ODH,hexane/i-PrOH = 9/1,流速: 0.7 mL/min :
保持時間; 29.9分(2R,3R);
32.8分(2S,3S).
得られた3eは実施例5と同様に処理することにより、還元体(7e)及びトルオイル体(6e)として相対立体配置及び光学純度を決定した。
1H NMR (CDCl3) δ;
0.81 (d,3H,J = 6.9 Hz),1.28 (t,3H,J = 7.2 Hz),2.10-2.30 (m,1H),
3.15-3.32 (m,3H),4.20-4.28 (m,3H),5.20 (s,2H),5.33-5.41 (m,1H),
7.26-7.38 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
10.7,14.1,36.5,43.8,61.7,66.7,71.1,128.0,128.4,136.4,156.8,
174.4;
HRMS (FAB); C15H22NO5 として、[M-OEt]+,296.1498.
実測値 296.1490.
1H NMR (CDCl3) δ;
1.07 (d,3H,J = 6.9 Hz),1.27 (t,3H,J = 7.2 Hz),2.41 (s,3H),
2.46-2.52 (m,1H),3.05-3.13 (m,1H),3.36 (dq,1H,J = 6.9,6.9 Hz),
4.20-4.28 (m,2H),5.07 (d,1H,J = 12.4 Hz),5.11 (d,1H,J = 12.4 Hz),
5.21 (t,1H,J = 5.8 Hz),5.34 (d,1H,J = 3.4 Hz),
7.22 (d,1H,J = 8.2 Hz),7.28-7.37 (m,5H),7.96 (d,1H,J = 7.6 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
12.5,14.1,14.1,21.7,35.9,43.5,61.5,66.7,73.1,126.5,128.1,
128.5,129.2,129.9,136.4,144.2,156.4,166.1,169.4;
HRMS (FAB); C23H27NO6 として、[M+H]+,414.1917.;
実測値 414.1915.
HPLC,Daicel Chiralcel ODH,hexane/i-PrOH = 9/1,流速:0.7 mL/分:
保持時間;42.6分(2S,3R);
62.0分(2R,3S).
HRMA (FAB); C16H22NO5 として、 [M-OEt]+,308.1498.
実測値 308.1504.
得られた3fは実施例5と同様に処理することにより、還元体(7f)及びトルオイル体(6f)として相対立体配置及び光学純度を決定した。
1H NMR (CDCl3) δ;
0.89 (t,3H,J = 7.6 Hz),1.27 (t,3H,J = 7.2 Hz),1.93-2.00 (m,1H),
3.10-3.38 (m,4H),4.05-4.28 (m,4H),5.17 (s,2H),5.32 (brs,1H),
7.25-7.36 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
11.7,14.1,19.0,41.7,43.2,61.7,66.6,71.6,128.0,128.1,128.4,
136.4,156.8,174.6;
HRMS (FAB); C16H24NO5 として、 [M+H]+,310.1654.
実測値 310.1669.
1H NMR (CDCl3) δ;
1.04 (t,3H,J = 7.6 Hz),1.26 (t,3H,J = 7.2 Hz),1.44-1.62 (m,2H),
2.23-2.32 (m,1H),2.40 (s,3H),3.03-3.11 (m,1H),3.46-3.54 (m,1H),
4.20-4.26 (m,2H),5.06 (d,1H,J = 12.4 Hz),5.10 (d,1H,J = 12.4 Hz),
5.24 (brs,1H),5.38 (d,1H,J = 2.7 Hz),7.20 (d,1H,J = 8.2 Hz),
7.26-7.36 (m,5H),7.92-7.96 (m,2H);
13C NMR (CDCl3) δ;
11.7,14.1,20.8,21.6,41.2,42.5,61.5,66.7,73.0,126.5,128.0,
128.4,129.1,129.8,136.4,144.2,156.4,166.1,169.7;
HRMS (FAB); C24H30NO6 として、 [M+H]+,428.2073.;
実測値 428.2088.
HPLC,Daicel Chiralcel ADH,hexane/iPrOH = 19/1,流速:1.0 mL/min :
保持時間; 57.0分(2S,3R);
87.4分(2R,3S).
得られた3fは実施例5と同様に処理することにより、還元体(7f)及びトルオイル体(6f)として相対立体配置及び光学純度を決定した。
1H NMR (CDCl3) δ;
0.97 (t,3H,J = 7.6 Hz),1.22 (t,3H,J = 7.2 Hz),1.30-1.55 (m,2H),
2.00-2.10 (m,1H),3.05-3.35 (m,4H),4.08-4.28 (m,4H),
5.00-5.05 (m,1H),5.05 (s,2H),7.25-7.35 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
11.5,14.0,22.2,40.4,43.4,61.7,66.6,71.0,127.7, 128.0,128.0,
128.3,136.3,156.5,175.3;
HRMS (FAB); C16H24NO5 として、 [M+H]+,310.1654.
実測値 310.1669.
1H NMR (CDCl3) δ;
1.02 (t,3H,J = 7.2 Hz),1.22 (t,3H,J = 7.2 Hz),1.40-1.54 (m,2H),
2.24-2.34 (m,1H),2.40 (s,3H),3.36-3.42 (m,2H),4.10-4.24 (m,2H),
5.08 (d,1H,J = 12.4 Hz),5.12 (d,1H,J = 12.4 Hz),
5.33 (d,1H,J = 2.7 Hz),7.20 (d,2H,J = 7.6 Hz),7.29-7.36 (m,5H),
7.94 (d,2H,J = 8.2 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
11.5,14.0,21.6,22.2,41.0,42.3,61.5,66.6,72.5,126.5,128.1,
128.4,129.2,129.8,136.4,144.2,156.3,165.8,170.2;
HRMS (FAB); C24H30NO6 として、 [M+H]+,428.2073.;
実測値 428.2088.
HPLC,Daicel Chiralcel ADH,hexane/i-PrOH = 19/1,流速: 1.0 mL/min :
保持時間; 44.1分(2R,3R);
68.7分(2S,3S).
1H NMR (CDCl3) δ;
1.30 (t,3H,J = 7.1 Hz),3.50-3.74 (m,2H),3.84 (brs,1H),
4.25 (q,2H,J = 7.0 Hz),4.30-4.48 (m,2H),5.12 (s,2H),
5.25 (brs,1H),7.30-7.45 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.1,43.1,60.6,62.3,67.3,72.4,128.2,128.3,128.6,135.9,156.8,
170.8;
HRMS (FAB); C14H19NClO5 として、 [M+H]+,316.0952.;
実測値 316.0963.
さらに、還元体(7g)を実施例5と同様にトルオイル体(6g)として光学純度を決定した。
1H NMR (CDCl3) δ;
1.26 (t,3H,J = 7.1 Hz),2.42 (s,3H),3.60-3.70 (m,1H),
3.75-3.85 (m,1H),4.23 (q,2H,J = 7.0 Hz),4.56-4.62 (m,1H),
5.10 (s,2H),5.17-5.27 (m,1H),5.55 (d,1H,J = 3.7 Hz),
7.23-7.27 (m,2H),7.30-7.37 (m,5H),7.97 (d,2H,J = 7.8 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.0,21.7,43.8,57.9,62.3,67.1,73.4,126.0,128.2,128.3,128.6,
129.3,130.0,136.1,144.6,156.1,165.4,166.8;
HPLC,Daicel Chiralcel ADH,hexane/i-PrOH = 9/1,流速:1.0 mL/min :
保持時間; 25.2分(2R,3R);
32.5分(2S,3S).
1H NMR (CDCl3) δ;
0.92 (s,3H),1.00 (s,3H),1.06 (s,3H),1.08 (s,3H),
1.12-1.20 (m,6H),1.28-1.34 (m,6H),3.31 (d,1H,J = 6.0 Hz),
3.42-3.80 (m,4H),3.98 (d,1H,J = 7.3 Hz),4.14-4.34 (m,6H),
4.82 (d,1H,J = 10.1 Hz),4.95 (d,1H,J = 10.1 Hz),5.11 (s,4H),
5.51 (d,1H,J = 10.1 Hz),6.11 (d,1H,J = 10.1 Hz),
7.27-7.40 (m,10H);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.1,14.9,14.9,18.0,19.9,21.2,22.8,41.8,42.1,61.4,61.7,63.8,
66.6,66.8,74.8,86.2,87.5,127.9,128.0,128.0,128.2 128.5,128.5,
128.6,136.2,136.4,156.3,173.7,174.3;
HRMS (FAB); C16H22NO5 として、 [M-OEt]+,308.1498.;
実測値 308.1501.
得られた3hは実施例5と同様に処理することにより、トルオイル体(6h)として光学純度を決定した。
[α]23 D 8.2 (78% ee,c 0.96,CHCl3);
1H NMR (CDCl3) δ;
0.91 (s,3H),1.01 (s,3H),1.30 (t,3H,J = 7.2 Hz),
3.04 (dd,1H,J = 6.2,13.8 Hz),3.33 (dd,1H,J = 7.6,13.8 Hz),
3.36 (d,1H,J = 6.9 Hz),3.93 (d,1H,J = 6.2 Hz),4.20-4.30 (m,2H),
5.10 (s,1H),5.28 (brs,1H),7.30-7.38 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.2,20.1,22.5,39.2,49.2,61.6,66.8,75.8,128.1,128.5,136.4,
157.1,173.7; ;
IR (neat) 3382,2971,1721,1527,1461,1367,1240,1143,1088,1029,744,
701 cm−1;
HRMS (FAB); C16H24NO5 として、 [M+H]+,310.1654.;
実測値 310.1645.
[α]23 D −2.6 (78% ee,c 0.885,CHCl3);
1H NMR (CDCl3) δ;
1.13 (t,3H,J = 7.1 Hz),1.27 (t,3H,J = 7.2 Hz),2.40 (s,3H),
3.26 (dd,1H,J = 6.2,13.8 Hz),4.19-4.29 (m,2H),4.90 (s,1H),
5.09 (d,1H,J = 12.4 Hz),5.12 (d,1H,J = 12.4 Hz),
5.28 (t,1H,J = 6.5 Hz),7.19 (d,2H,J = 8.2 Hz),7.26-7.39 (m,5H),
7.94 (d,1H,J = 8.2 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.1,21.7,22.2,22.4,38.4,48.4,61.4,66.8,78.0,126.4,128.1,
128.5,129.2,129.8,136.5,144.3,156.7,166.1,169.2;
HRMS (FAB); C24H30NO6 として、 [M+H]+,428.2073.;
実測値 428.2091.;
HPLC,Daicel Chiralcel OD,hexane/i-PrOH = 19/1,流速:1.0 mL/min :
保持時間; 19.4分(3R);24.4分(3S).
次に示す化学反応式にしたがって製造した。
1H NMR (CDCl3) δ;
1.25 (t,3H,J= 7.2 Hz),1.28 (t,3H,J= 7.2 Hz),1.75-2.10 (m,4H),
2.23-2.35 (m,4H),3.43 (d,1H,J= 4.8 Hz),3.66 (d,1H,J= 4.1 Hz),
3.94-4.06 (m,2H),4.17 (q,2H,J= 7.1 Hz),4.22 (q,2H,J= 6.6 Hz),
4.20-4.30 (m,2H),5.05-5.17 (m,4H),5.70-5.82 (m,2H),
7.28-7.38 (m,10H);
13C NMR (CDCl3) δ;
14.1,14.1,38.2,38.8,39.2,39.3,47.4,47.6,61.6,61.7,61.7,62.2,
66.7,66.8,67.8,68.3,118.3,118.3,128.0,128.1,128.4,128.5,133.6,
133.7,136.3. 136.4,156.0,156.6,174.2,174.7;
HRMS (FAB); C17H24NO5 として、 [M+H]+,322.1654.;
実測値 322.1664.;
HPLC,Daicel Chiralcel ADH+ADH,hexane/i-PrOH = 4/1,流速: 0.6 mL/min :
保持時間; 27.5分(1R);28.5分(1S);
31.0分(1S);34.8分(1R).
次に示す化学反応式にしたがってHMP(11)を製造した。
実施例5で製造した、ベンジル−(2R,3S)−3−エトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピルカルバメート(還元体シン−7c)を、塩化メチレン中で、t−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBDMSOTf)1.5当量及び2,6−ルチジン1.6当量の存在下に、12時間室温で反応させて、常法により精製して目的の化合物(12)を得た。収率93%。
ベンジル−(2S,3S)−3−エトキシカルボニル−3−(t−ブチルジメチルシリル)オキシ−2−メチルプロピルカルバメート(12)
1H NMR (CDCl3) δ;
0.04 (s,3H),0.06 (s,3H),0.92 (s,9H),1.01 (d,3H,J = 6.9 Hz),
1.23 (t,3H,J = 7.1 Hz),2.20-2.32 (m,1H),3.10-3.28 (m,2H),
4.09 (d,1H),J = 3.2 Hz),4.13 (q,2H,J = 7.1 Hz),5.06 (s,2H),
5.18-5.24 (m,1H),7.27-7.38 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
-5.7,-5.2,14.0,15.1,18.0,25.5,37.2,42.5,60.7,66.2,75.1,127.7,
127.8,128.2,136.6,156.3,173.2;
HRMS (FAB); C21H36NSiO5 として、 [M+H]+,410.2363.;
実測値 410.2382.;
前記(1)で得られた化合物(12)を、パラジウム−カーボンの存在下に接触還元して、ベンジルオキシカルボニル基を除去し、環化して、目的の化合物(13)を得た。収率87%。
(3S,4S)−3−(t−ブチルジメチルシリル)オキシ−4−メチルピロリジン−2−オン(13)
1H NMR (CDCl3) δ;
0.09 (s,3H),0.12 (s,3H),0.88 (s,9H),1.01 (d,3H,J = 6.9 Hz),
2.34-2.46 (m,1H),2.34-2.45 (m,1H),2.97 (dd,1H,J = 4.6,9.6 Hz),
3.33 (dd,1H,J = 6.4,9.6 Hz),4.10 (d,1H,J = 6.4 Hz);
13C NMR (CDCl3) δ;
-5.3,-4.7,12.4,18.3,25.7,35.3,46.3,72.7,127.0.
(2)で製造したγ−ラクタム(13)(183.6 mg,0.800 mmol)と、18−クラウン−6(12.7 mg,6 mol%)のベンゼン(5.4 mL)溶液に水酸化カリウムの粉末(67.4 mg,1.2 mmol)を室温で加えた。反応液を還流させ、ベンジルブロミド(114.2 ml,0.96 mmol)を加え、更に30分間還流した。室温まで放冷後、析出した不溶物を濾別、濾液を減圧濃して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(10)を収率86%で得た。この段階で各ジアステレオマーは調製用薄層クロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により分離した。
(3S,4S)−1−ベンジル−3−(t−ブチルジメチルシリル)オキシ−4−メチルピロリジン−2−オン(10)
[α]26 D -43.8 (97% ee,c 3.995,CHCl3);
1H NMR (CDCl3) δ;
0.16 (s,3H),0.20 (s,3H),0.94 (s,9H),0.98 (d,3H,J = 6.9 Hz),
2.25-2.40 (m,1H),2.87 (dd,1H,J = 5.0,9.6 Hz),
3.20 (dd,1H,J = 6.9,9.6 Hz),4.23 (d,1H,J = 6.4 Hz),
4.33 (d,1H,J = 15.1 Hz),4.53 (d,1H,J = 15.1 Hz),7.20-7.36 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
-5.3,-4.5,12.4,18.4,25.8,33.0,46.6,50.6,73.4,127.5,128.0,
128.6,136.3,173.2;
IR (neat) 2956,2929,2856,1707,1499,1444,1359,1293,1252,1159,1091,
1033,934,835,780,700,524 cm−1
HRMS (FAB); C18H30NSiO2 として、 [M+H]+,320.2046.;
実測値 320.2044.
前記(3)で得られたN−ベンジル−γ−ラクタム(10)(184.1 mg,0.576 mmol)のTHF(1.4 mL)溶液に、−35℃でDIBAL(ヘキサン溶液,0.94M,0.77 ml,0.72 mmol)を加えた。2時間半攪拌後、−15℃に昇温しシアン化カリウム水溶液(1.65 M,1.4 mL,2.3 mmol)を加えた後、さらに1時間攪拌した。室温に戻して酢酸エチルと水を加え、沈殿物を濾別後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥、乾燥剤を濾別後、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してシアノ化体(14)を収率78%で得た。
(2R,3S,4S)−1−ベンジル−3−(t−ブチルジメチルシリル)オキシ−4−メチルピロリジン−2−ニトリル(14)
[α]26 D -43.8 (97% ee,c 3.995,CHCl3);
1H NMR (CDCl3) δ;
0.08 (s,3H),0.10 (s,3H),0.90 (s,9H),0.96 (d,3H),J = 6.0 Hz),
2.30-2.44 (m,2H),2.90-3.00 (m,1H),3.33 (d,1H,J = 2.7 Hz),
3.61 (d,1H,J = 13.3 Hz),3.98 (d,1H,J = 13.3 Hz),
4.37 (dd,1H,J 2.7,5.0 Hz),7.23-7.38 (m,5H);
13C NMR (CDCl3) δ;
-5.1,-4.8,12.2,18.0,25.7,37.4,58.0,58.3,62.6,77.8,118.7,
127.4,128.4,128.7,137.4;
IR (neat) 3030,2956,2929,2857,2808,1495,1473,1455,1371,1324,
1254,1214,1167,1118,1089,1040,1006,915,836,778,751,
700,671,473 cm−1
HRMS (FAB); C18H30NSiO として、 [M-CN]+,304.2097.;
実測値 304.2099.
前記(4)で得られた化合物(14)(64 mg,0.193 mmol) と濃塩酸(1.5 mL) をテフロン(登録商標)性スクリューキャップ付きフラスコに入れ密栓した。50℃で80時間処理し、室温に戻し酢酸エチルで洗浄後、水で抽出した。水を減圧濃縮して得られたほぼ純粋なN−ベンジル化HMPに水(2 mL)とパラジウム活性炭(wet,10 mol%)を加えた。室温、水素雰囲気下で12時間攪拌後、触媒を濾別し溶媒を減圧流去した。残渣をイオン交換(Dowex 50W-X2,50-100 mesh)により精製後、得られた茶色固体をメタノールで洗浄して、目的のHMP(11)を白色固体として得た。収率88%。
(2S,3S,4S)−3−ヒドロキシ−4−メチルプロリン(HMP(11))
[α]28 D -27.8 (97% ee,c 0.8,H2O) (lit. [α]25 D -27 (c 0.8,H2O). ;
1H NMR (D2 O) δ;
1.06 (d,3H,J = 6.4 Hz),2.20-2.34 (m,1H),3.06 (t,1H,J = 11.7 Hz),
3.60 (dd,1H,J = 7.8,11.7 Hz),4.09 (s,1H),4.44 (d,1H,J = 3.7 Hz);
13C NMR (D2 O) δ;
10.0,37.2,49.8,70.0,76.4,172.4;
IR (KBr) 3318,3070,2975,2915,2635,2549,1628,1455,1380,1303,1278,
1229,1040,1008,879,728,652,475 cm−1
HRMS (FAB); C6H12NO3 として、 [M+H]+,146.0817.;
実測値 146.0821.
Claims (9)
- 次の一般式(1)
で表されるアルデヒド基を有する化合物と次の一般式(2)
で表されるアルデヒド由来のエナミンを反応させて、次の一般式(4)
で表される1,3−アミノアルコール誘導体を製造する方法において、
次の一般式(3)
で表される配位子を有する銅錯体、又は前記一般式(3)で表される化合物及び銅化合物の存在下で、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に当該エナミンをアルドール付加型の求核付加反応をさせて、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に当該エナミンが付加した付加体を製造し、次いで当該付加体を炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルカノール、アリルトリアルキルシラン及びトリアルキルシランからなる群より選ばれる求核試薬の存在下で処理することを特徴とするアルドール付加型求核付加反応による1,3−アミノアルコール誘導体を製造する方法。 - アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に、アルデヒド由来のエナミンをアルドール付加型の求核付加反応が、さらに炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルカノールの存在下で行われる請求項1に記載の方法。
- アルカノールが、イソプロピルアルコールである請求項2に記載の方法。
- 求核試薬が、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルカノールであり、希土類金属トリフラート(OTf)塩の存在下で処理される請求項1に記載の方法。
- 希土類金属トリフラートの希土類元素が、スカンジウムである請求項4に記載の方法。
- 求核試薬が、アリルトリアルキルシランであり、ルイス酸の存在下で処理される請求項1に記載の方法。
- ルイス酸がトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)である請求項6に記載の方法。
- 求核試薬が、トリアルキルシランであり、ルイス酸の存在下で処理される請求項1に記載の方法。
- ルイス酸がトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)である請求項8に記載の方法。
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