JP4725987B2 - 制振・防振用ウレタン系組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振・防振用ウレタン系組成物に関し、さらに詳細には、構造物の制振性・防振性が要求される建築物、自動車、鉄道、船舶、航空機、産業機器、家電機器などに好適な制振・防振用ウレタン系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
制振・防振材料としては、各種のゴム状物質、歴青物質、熱可塑性樹脂などに、例えば、雲母、カーボンブラック、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機充填剤や各種繊維を添加したものがある。しかしながら、これらは、加工工程、施工工程が多く、かつ、複雑であるなどの多くの制限があり、実用上、問題を有している。
また、ウレタン系材料も一部テスト化段階に入っているが、未だに制振・防振性で満足できる状況に至っておらず、コスト面での障害もあり、今後の実用化検討が待たれる段階であり、低弾性(タイプDデュロメーター硬度で60以下)、高損失係数(tanδ)を有する材料が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術的課題を背景になされたもので、制振・防振性能に優れた低弾性、高損失係数(tanδ)の制振・防振用ウレタン系組成物を提供することを目的とする。なお、ここで述べる損失係数(tanδ)とは、動的粘弾性測定により得られる貯蔵弾性率と損失弾性率の比から求められる値であり、制振・防振性能の一つの尺度として用いられる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリオール化合物(B)中の水酸基に対するポリイソシアネート化合物(A)中のイソシアネート基の当量比率が0.1〜1.3(NCO/OH当量比)であり、ポリイソシアネート化合物(A)を主成分とし、かつ該ポリイソシアネート化合物(A)100重量部に対し、さらに無機充填剤(C)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(I)と、ポリオール化合物(B)を主成分とし、かつ該ポリオール化合物(B)100重量部に対し、さらに無機充填剤(D)(ただし、無機充填剤(C)および(D)は同一でも異なっていてもよい)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(II)とを混合して、組成物(I)中のイソシアネート基の一部または全部と組成物(II)中の水酸基の一部または全部を反応させて得られる制振・防振用ウレタン系組成物に関する。
ここで、組成物(II)中に、さらにエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ペンタエチレンヘキサミン、シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルメタンポリアミン、ピペラジン、およびアミノエチルピペラジンから選ばれたアミン化合物をポリオール化合物(B)100重量部に対し、5重量部以下添加してもよい。
次に、本発明は、ポリオール化合物(B)中の水酸基に対するポリイソシアネート化合物(A)中のイソシアネート基の当量比率が0.1〜1.3(NCO/OH当量比)であり、ポリイソシアネート化合物(A)を主成分とし、かつ該ポリイソシアネート化合物(A)100重量部に対し、さらに無機充填剤(C)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(I)と、ポリオール化合物(B)を主成分とし、かつ該ポリオール化合物(B)100重量部に対し、さらに無機充填剤(D)(ただし、無機充填剤(C)および(D)は同一でも異なっていてもよい)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(II)とを混合して、組成物(I)中のイソシアネート基の一部または全部と組成物(II)中の水酸基の一部または全部を反応させることを特徴とする制振・防振用ウレタン系組成物の製造方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるポリイソシアネート化合物(A)としては、例えば、脂肪族、芳香族、脂環式などのポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
このポリイソシアネート化合物(A)の具体例としては、キシリレンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、あるいはこれらの重合物などが挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、ポリイソシアネート化合物(A)として、脂肪族系または脂環式ポリイソシアネートを用いることは、本発明の制振・防振用ウレタン系組成物の低弾性化・低硬度化に好適である。
【0006】
また、ポリイソシアネート化合物(A)は、上記イソシアネート化合物とポリアミン化合物などの活性水素化合物と反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの形態で用いることもできる。このプレポリマーは、上記イソシアネート化合物とポリアミン化合物などの活性水素化合物とを、通常の反応温度、例えば、20〜90℃で1〜6時間反応させることにより得られる。ここで、ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
さらに、分子内にアロファネート結合、イソシアヌレート結合、カルボジイミド結合などを有し、末端にイソシアネート基を有する化合物、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合物などを、ポリイソシアネート化合物(A)として用いることもできる。
さらに、ポリイソシアネート化合物(A)の一部は、あらかじめ、ポリオール化合物(B)と反応させ、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの形態で用いることもできる。
ポリイソシアネート化合物(A)の官能基数としては、官能基数が2以上のものが好ましく使用される。
【0007】
次に、本発明において用いられるポリオール化合物(B)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ネオペンチルグリコールなどの多価アルコール;上記多価アルコール類とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加重合により得られる化合物などのポリエーテルポリオール;上記多価アルコール類とマレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、酒石酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの多塩基酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオール化合物;ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類との開環重合により得られるポリエステルポリオール;アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、トリメチロールプロパンアクリル酸モノエステルなどの水酸基を含有する重合性モノマーを単独で重合、またはこれらと共重合可能なモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、アクリロニトリル、α−メチルスチレンなどを共重合して得られるアクリルポリオール化合物;ひまし油もしくはその誘導体;両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂にモノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどを反応させたエポキシポリオール化合物などが挙げられる。上記ポリオール化合物(B)は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、ポリオール化合物(B)の一部は、あらかじめ、ポリイソシアネート化合物(A)と反応させ、末端に水酸基を有するプレポリマーの形態で用いることもできる。
【0008】
ポリオール化合物(B)の官能基数としては、官能基数が2以上のものが好ましく使用されるが、官能基数が1のモノオールも、組成物の低弾性化の必要に応じて用いられる。
また、ポリオール化合物(B)において、水酸基1ケあたりの平均分子量が500以上の高分子量ポリオール化合物の有する水酸基の割合は、全水酸基の10〜100当量%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜100当量%、特に好ましくは30〜80当量%である。10当量%未満であると、ウレタン系組成物の弾性率、硬度が高くなり好ましくない。
【0009】
本発明のウレタン系組成物には、被着体に塗工する際の組成物の垂れを防止するために、第1級または第2級のアミン化合物を添加することができる。この第1級または第2級アミン化合物は、通常、ポリオール化合物(B)を主成分とする組成物(II) に添加される。この第1級または第2級アミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの脂肪族ポリアミン;シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなどの芳香族ポリアミン;ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの複素環式ポリアミンなどが挙げられる。上記アミン化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。これらのアミン化合物の添加量は、ポリオール化合物(B)100重量部に対し、好ましくは0〜5重量部である。
【0010】
また、本発明のウレタン系組成物には、組成物の硬化を促進させるために、硬化用触媒を添加することもできる。この硬化用触媒は、通常、ポリオール化合物(B)を主成分とする組成物(II) に添加される。
上記硬化用触媒としては、例えば、酢酸第1スズ、オクタン酸スズ、ラウリン酸第1スズ、オレイン酸第1スズなどのカルボン酸第1スズ;ジブチルチンアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジオクチルチンジアセテートなどのカルボン酸のジアルキルスズ塩;水酸化トリメチルスズ、水酸化トリブチルスズ、水酸化トリオクチルスズなどの水酸化トリアルキルスズ;酸化ジブチルスズ、酸化ジオクチルスズ、酸化ジラウリルスズなどの酸化ジアルキルスズ;二塩化ジブチルスズ、二塩化ジオクチルスズなどの塩化ジアルキルスズ;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、2−メチル−トリエチレンジアミンなどの第3級アミン;1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセニル−7(以下「DBU」ともいう)のフェノール塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩などのDBU塩などが挙げられる。上記硬化用触媒は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
硬化用触媒の使用量は、ポリオール化合物(B)100重量部に対し、好ましくは0〜1重量部である。
【0011】
本発明の組成物(I)および組成物(II) におけるポリオール化合物(B)中の水酸基に対するポリイソシアネート化合物(A)中のイソシアネート基の当量比率(NCO基/OH基の当量比)は、0.1〜1.3、好ましくは0.2〜1.2、さらに好ましくは0.2〜0.7である。0.1未満では、ウレタン系組成物の損失係数が低下するので好ましくなく、一方、1.3を超えると、ウレタン系組成物の経時的な物性変化が起こるので、実用上、好ましくない。
【0012】
次に、本発明に用いられる無機充填剤(C)および(D)としては、ゴム、プラスチックの補強充填剤として周知のものが使用される。固体であれば形状は限定されず、粉末、繊維状粉末、繊維、ウィスカー、バルーンなどの形をとり得るが、経済性などを考慮すれば、粉末状のものが好ましい。具体的には、クレー、焼成クレー、タルク、カタルボ、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アスベスト、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カリウム、ミョウバン、ナトリウムミョウバン、鉄ミョウバン、シラスバルーン、ガラスバルーン、カーボンブラック、コークスプリーズ、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、金属粉、金属ウィスカー、マイカ、グラファイト、酸化チタン、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス繊維粉末、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化鉄、ゼオライトなどが挙げられる。上記無機充填剤は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。また、無機充填剤(C)および(D)は、同一でも異なっていてもよい。
これらの無機充填剤(C)〜(D)は、本発明の効果をさらに高めるために、各種の表面処理がなされたものも挙げられる。
【0013】
本発明のウレタン系組成物において、無機充填剤(C)の使用量は、ポリイソシアネート化合物(A)100重量部に対し、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは0.1〜100重量部、特に好ましくは0.1〜80重量部、無機充填剤(D)の使用量は、ポリオール化合物(B)100重量部に対し、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは0.1〜100重量部、特に好ましくは0.1〜80重量部である。無機充填剤(C)または(D)の使用量が、(A)成分または(B)成分100重量部に対し、100重量部を超えると、系の粘度が上昇し、ミキシング塗布加工性が損なわれる。
また、(C)〜(D)成分の総添加量の全組成物に対する割合は、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。(C)〜(D)成分の総添加量が50重量%を超えると、系の粘度が上昇し、ミキシング塗布加工性が損なわれ好ましくない。
【0014】
本発明においては、ポリイソシアネート化合物を主成分とする組成物(I)と、ポリオール化合物(B)を主成分とする組成物(II) とを、それぞれ、あらかじめ製造し、これらを施工に用いるものである。(A)〜(D)成分を一括して混合すると分散不良となりやすく、分散させるために充分混合すると、(A)成分と(B)成分とが反応して硬化してしまい、施工が不能となってしまう。
本発明の制振・防振用ウレタン系組成物は、例えば、ディスペンサー付きガンなどにより、組成物(I)と組成物(II) とを、好ましくは施工の直前に混合、または組成物(I)と組成物(II) を積層形態で所定の部位に施工することができる。施工の方法としては、例えば、直接ビード塗布、非接触ショット塗布、非接触スプレー塗布などの方法が使用できる。さらに、型枠への注入施工、またはシート状に成型したものを施工することもできる。
【0015】
このように、組成物(I)と組成物(II) とを混合し、反応して得られる本発明のウレタン系組成物の硬度は、タイプDデュロメーターで好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下である(硬度は弾性の一つの尺度である)。硬度がタイプDデュロメーターで60を超えるものは、損失係数のピークが高温側にシフトして好ましくない。
ここで、硬さおよび弾性率を調整するには、ポリイソシアネート化合物(A)として、脂肪族系イソシアネートを用い、またはポリオール化合物(B)として官能基数が1のモノオールを必要に応じて使用する。さらに、ポリオール化合物(B)において、水酸基1ケあたりの平均分子量が500以上の高分子量ポリオール化合物の有する水酸基の割合は、全水酸基の10〜100当量%であることが、硬さおよび弾性率の調整に好ましい。
【0016】
本発明のウレタン系組成物は、ディスペンサー付きガンなどの塗布機による任意の部位への施工、または型枠への注入施工が容易にでき、あるいはシート状に成型したものを施工できるものであり、低弾性、高損失係数(tanδ)の特徴を生かして、建築物のフロアー材の内部や壁材、天井材など、また自動車のエンジン周辺部、フロアー部、ドア部、トランク部、タイヤハウス部、天井部、ピラー部など、あるいは電車の内装部、船舶の内装部、道路の遮音壁、線路の遮音壁などの用途に広く使用できる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
【0018】
実施例1〜2
第1成分の調製
(1)平均分子量3,000のポリエーテルポリオール「エクセノール3020」〔旭硝子(株)製〕45部に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート重合体「スミジュール44V−20」〔住友バイエルウレタン(株)製、平均官能度2.5〕10部と、水添キシリレンジイソシアネート「タケネート600」(武田薬品工業(株)製、平均官能度2〕10部とを加え、温度80℃で3時間反応させてポリイソシアネートプレポリマーを合成し、これに、無機充填剤35部を加えて、イソシアネート基を6.2%含む第1成分を得た。これを「I−1」とした。
【0019】
(2)平均分子量1,000のポリエーテルポリオール「エクセノール1020」〔旭硝子(株)製〕35部に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート重合体「スミジュール44V−20」〔住友バイエルウレタン(株)製、平均官能度2.5〕20部と、カルボジイミド変性4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート「イソネート143L」(化成アップジョン(株)製、平均官能度2〕20部とを加え、温度80℃で3時間反応させてポリイソシアネートプレポリマーを合成し、これに、無機充填剤25部を加えて、イソシアネート基を9.1%含む第1成分を得た。これを「I−2」とした。
【0020】
第2成分の調製
(1)平均分子量5,000のポリエーテルポリオール「エクセノール823」〔旭硝子(株)製〕35部と、平均分子量3,000のポリエーテルポリオール「エクセノール3020」〔旭硝子(株)製〕35部と、平均分子量250のポリエーテルポリオール「エクセノール220」〔旭硝子(株)製〕10部とを混合したものに、トリエチレンジアミン「DABCO」〔三共エアプロダクツ(株)製〕0.1部、無機充填剤20部を加えて第2成分を得た。これを、「II−1」とした。
【0021】
(2)平均分子量5,000のポリエーテルポリオール「エクセノール823」〔旭硝子(株)製〕40部と、平均分子量330のポリエーテルポリオール「エクセノール330」〔旭硝子(株)製〕20部とを混合したものに、トリエチレンジアミン「DABCO」〔三共エアプロダクツ(株)製〕0.1部、無機充填剤40部を加えて第2成分を得た。これを、「II−2」とした。
【0022】
なお、上記第1成分および第2成分で用いた無機充填剤は、日東粉化工業(株)製の炭酸カルシウム(商品名;NS#600)である。
【0023】
ウレタン系組成物の調製
以上のようにして得られた第1成分と第2成分とを、表1に示す所定の比率(重量比)で混合してウレタン系組成物とした。下記記載方法による評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の制振・防振用ウレタン系組成物(実施例1〜2)は、制振・防振性に優れている。
【0024】
測定用試験片の作製(制振・防振性能測定用)
実施例の第1成分および第2成分を所定の比率で混合し、アルミニウム製の型枠(中抜き加工品、1mm厚)に流し込み、室温で3日間硬化させることでシート状硬化物を得た。このようにして得られたシート状硬化物を、5mm幅でチャック間距離20mmで測定できる長さにして試験片とした。
【0025】
硬度測定
タイプDデュロメーターの場合、JIS K6253(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法)に準拠し、デュロメーター硬さ試験機タイプDを用いて、1秒以内に値を読み取った。また、タイプFPデュロメーターの場合、硬さ試験機加圧面の端が、試験片の端から12mm以上離れた位置で測定する以外は、JIS K6253に準拠し、デュロメーター硬さ試験機タイプFP(高分子計器製)を用いた。
制振・防振性能測定(損失係数)
制振・防振性能(以下「損失係数(tanδ)」という)は、ユービーエム社Rheogel−E4000を使用して、動的粘弾性測定(引張り試験)から、20℃における数値を求めた。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明のウレタン系組成物は、低弾性で硬度が低いために、低応力で変形し、変形追従性に優れ、制振・防振性を有する緩衝材として最適に使用できる。また、本発明のウレタン系組成物は、ディスペンサー付きガンなどの塗布機による任意の部位への施工、または型枠への注入施工が容易にでき、あるいはシート状に成型したものを施工できるものであり、低弾性、高損失係数(tanδ)の特徴を生かして、建築物のフロアー材の内部や壁材、天井材など、また自動車のエンジン周辺部、フロアー部、ドア部、トランク部、タイヤハウス部、天井部、ピラー部など、あるいは電車の内装部、船舶の内装部、道路の遮音壁、線路の遮音壁などの用途に広く使用できる。
Claims (3)
- ポリオール化合物(B)中の水酸基に対するポリイソシアネート化合物(A)中のイソシアネート基の当量比率が0.1〜1.3(NCO/OH当量比)であり、ポリイソシアネート化合物(A)を主成分とし、かつ該ポリイソシアネート化合物(A)100重量部に対し、さらに無機充填剤(C)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(I)と、ポリオール化合物(B)を主成分とし、かつ該ポリオール化合物(B)100重量部に対し、さらに無機充填剤(D)(ただし、無機充填剤(C)および(D)は同一でも異なっていてもよい)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(II)とを混合して、組成物(I)中のイソシアネート基の一部または全部と組成物(II)中の水酸基の一部または全部を反応させて得られる、硬度がタイプDデュロメーターで60以下であり、建築物、自動車、鉄道、船舶、航空機、産業機器、家電機器、道路の遮音壁または線路の遮音壁に用いられる制振・防振用ウレタン系組成物。
- 組成物(II)中に、さらにエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ペンタエチレンヘキサミン、シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルメタンポリアミン、ピペラジン、およびアミノエチルピペラジンから選ばれたアミン化合物をポリオール化合物(B)100重量部に対し、5重量部以下添加してなる請求項1記載の制振・防振用ウレタン系組成物。
- ポリオール化合物(B)中の水酸基に対するポリイソシアネート化合物(A)中のイソシアネート基の当量比率が0.1〜1.3(NCO/OH当量比)であり、ポリイソシアネート化合物(A)を主成分とし、かつ該ポリイソシアネート化合物(A)100重量部に対し、さらに無機充填剤(C)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(I)と、ポリオール化合物(B)を主成分とし、かつ該ポリオール化合物(B)100重量部に対し、さらに無機充填剤(D)(ただし、無機充填剤(C)および(D)は同一でも異なっていてもよい)0.1〜100重量部を配合してなる組成物(II)とを混合して、組成物(I)中のイソシアネート基の一部または全部と組成物(II)中の水酸基の一部または全部を反応させることを特徴とする、硬度がタイプDデュロメーターで60以下であり、建築物、自動車、鉄道、船舶、航空機、産業機器、家電機器、道路の遮音壁又は線路の遮音壁に用いられる制振・防振用ウレタン系組成物の製造方法。
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