JP4723850B2 - マーキング方法、眼鏡レンズの製造方法およびプラスチックレンズ - Google Patents
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Description
特許文献1に開示される方法では、プラスチックレンズの基材の表面に表面処理を行った後、基材にレーザ光を照射することにより照射部分が隆起して隠しマークが形成される。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、レーザ光を照射した後の加熱によるマークの消失を解消することができるマーキング方法、このマーキング方法を用いた眼鏡レンズの製造方法およびプラスチックレンズを提供することを目的とする。
また、前記プラスチック光学部品は眼鏡レンズであり、前記マークは前記眼鏡レンズの隠しマークであることが好ましい。
本発明の眼鏡レンズの製造方法では、レーザ光を照射した後に加熱を伴う表面処理を行うことができる。
本発明のプラスチックレンズでは、加熱によるマークの消失を無くすことができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の眼鏡レンズの製造方法の第1の実施形態により製造された眼鏡レンズ(厳密には玉摺り工程の前の状態)を示している。
この眼鏡レンズ11は、累進焦点レンズであり、レイアウトマークRMおよび隠しマークKMが形成されている。レイアウトマークRMとして、幾何学中心マークa、水平基準線マークb、遠用アイポイントマークc、近用参照円マークdおよび左右表示マークeが形成されている。また、隠しマークKMとして、再生マークf、加入度マークgおよび製造者マークhが形成されている。
この製造工程は、機械加工工程S1、レーザ光照射工程S2、研磨加工工程S3、表面処理工程S4、印刷工程S5および玉摺り工程S6を有している。
機械加工工程S1では、レンズ基材の表面を研削あるいは切削により機械加工することにより累進焦点レンズの光学面が形成される。レンズ基材は樹脂を成形することにより所定の形状に形成されている。この状態では、レンズ基材はアニールを施され所謂セミ品とされている。
専用治具15は、例えばジュラルミンからなり、円柱部15aとテーパ部15bとを有している。円柱部15aのレンズ基材13側には、低融点合金17を確実に固定するための蟻溝部15cが形成されている。また、テーパ部15bの端面には、V字状の凹部15dが直線状に形成されている。
そして、図4の(a)に示すように、専用治具15の基準座標を基準にして、機械加工機の主軸23に固定される工具25により、レンズ基材13の表面を研削あるいは切削により機械加工することにより累進焦点レンズの光学面が形成される。この実施形態では、レンズ基材13の凹面側に累進面あるいはそれに相当する面を創生する。
このレーザ光照射工程S2は、図4の(b)に示すように、レーザ加工機27からの炭酸ガスレーザ光LBを、走査式あるいはマスク式により機械加工工程S1で創生された面に照射することにより行われる。専用治具15はレーザ加工機27の固定軸29に固定されており、炭酸ガスレーザ光LBの照射位置は、専用治具15の基準座標を基準にして設定される。固定軸29は固定軸21と同様に構成されている。
次に、表面処理工程S4により、レンズ基材13を加熱して表面処理を行うとともに隆起部13aの除去された部分を表面から陥没させて隠しマークKMを形成する。表面処理工程S4は、レンズ基材13を着色する染色工程、ハードコート膜を形成するハードコート膜成膜工程および反射防止膜を形成する反射防止膜成膜工程とを有している。
そして、染色工程、ハードコート膜成膜工程または反射防止膜成膜工程により、レンズ基材13に90℃以上の熱が加わると、図5の(c)に示すように、レーザ光照射工程S2におけるレーザ光の照射部分が再び出現し、結果としてレンズ基材13に半永久的な隠しマークKMが生じる。この原理は、炭酸ガスレーザ光LBで隆起した隆起部13aの下部の変質部分13bは研磨加工工程S3でその一部が除去されるが、残った変質部分13bは、熱効果によりレーザ加工前の元の状態に戻り、レーザ光の照射部分が僅かに陥没し凹状部13cが形成されるためと考えられる。
そして、最後に玉摺り工程S6により、円形状のレンズ基材13が眼鏡枠に合わせて加工され、所定の眼鏡レンズが製造される。
上述した眼鏡レンズの製造方法では、レーザ光を照射した後の加熱によるマークの消失を無くすことができる。すなわち、図6の(a)に示すように、レンズ基材13にレーザ光を照射することにより照射部分を隆起させて隆起部13aにより隠しマークKMを形成する方法では、図6の(b)に示すように、レーザ光を照射した後の加熱によりマークが消失もしくは極めて薄いものになる。従って、表面処理後にレーザ光を照射して隠しマークKMを形成する必要があったが、上述した眼鏡レンズの製造方法では、表面処理の前にレーザ光を照射して隠しマークKMを形成することが可能になる。
そして、表面処理後に、レンズ基準を示す隠しマークKMを形成する場合には、機械加工工程S1の機械加工時に仮基準マークを形成する必要があるが、上述した眼鏡レンズの製造方法ではその必要がなく、工程を簡素化することができる。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の眼鏡レンズの製造方法の第2の実施形態を示している。
この実施形態では、レーザ光照射工程S2の前に、レンズ基材13の表面を予め研磨加工する前研磨加工工程S1’が行われる。
すなわち、上述した第1の実施形態において、研磨加工工程S3の研磨取りしろが大きい場合には、図8に示すように、隆起部13aの下部の変質部分13bを大きく除去してしまうので、後工程の表面処理工程S4で熱効果を受けた場合に、その凹状部13cの深さが浅くなり認識し難くなる。また、さらにハードコート膜成膜工程等により隠しマークKMの濃度が薄くなり、隠しマークKMとしては適切なものにならなくなる。
前研磨加工工程S1’は、レンズ基材13の最終研磨量の半分程度だけレンズ基材13を研磨加工するものである。具体的には、第1の実施形態の研磨加工工程S3において10分間研磨加工する場合には、5分間の研磨加工を行う。この後、第1の実施形態と同様にしてレーザ光照射工程S2を行う。この後、研磨加工工程S3’において、再度、研磨加工を行い残りの研磨取りしろを除去する。この例では更に5分間だけ研磨加工を行うことになる。この後、第1の実施形態と同様にして表面処理工程S4を行い、レンズ基材13に半永久的な隠しマークKMを付与する。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
13a 隆起部
13b 変質部分
13c 凹状部
15 専用治具
Claims (7)
- プラスチック光学部品の表面にレーザ光を照射して照射部分の前記表面を隆起させて、マーク形状に対応する形状の隆起部を形成するレーザ光照射工程と、
前記プラスチック光学部品の表面に対して研磨加工を行うことで、前記隆起部及び該隆起部の下部の変質部分の一部を機械的に除去する隆起部除去工程と、
前記隆起部除去工程により前記隆起部及び該隆起部の下部の変質部分の一部が除去された前記プラスチック光学部品を着色する染色工程と、着色された前記プラスチック光学部品の表面にハードコート膜を形成するハードコート膜成膜工程と、前記ハードコート膜が形成された前記プラスチック光学部品の表面に反射膜を成膜する反射膜成膜工程とからなり、これら工程を行う過程で前記レンズ基材が加熱されることで、前記プラスチック光学部品の表面に残留する前記変質部分を熱効果により凹状化させてマークを形成する表面処理工程と、
を有することを特徴とするマーキング方法。 - 請求項1に記載のマーキング方法において、
前記レーザ光照射工程の前に、前記プラスチック光学部品の表面を研磨加工することを特徴とするマーキング方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のマーキング方法において、
前記レーザ光照射工程の前に、前記プラスチック光学部品を専用治具に装着し前記専用治具を基準に前記表面を機械加工して光学面を形成した後、前記専用治具を基準にして前記レーザ光照射工程を行うことを特徴とするマーキング方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマーキング方法において、
前記レーザ光は、炭酸ガスレーザ光であることを特徴とするマーキング方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマーキング方法において、
前記プラスチック光学部品は眼鏡レンズであり、前記マークは前記眼鏡レンズの隠しマークであることを特徴とするマーキング方法。 - レンズ基材の表面を機械加工して光学面を形成する機械加工工程と、
前記レンズ基材の表面にレーザ光を照射して照射部分の前記表面を隆起させて、マーク形状に対応する形状の隆起部を形成するレーザ光照射工程と、
前記レンズ基材の表面に対して研磨加工を行うことで、前記隆起部及び該隆起部の下部の変質部分の一部を機械的に除去する隆起部除去工程と、
前記隆起部除去工程により前記隆起部及び該隆起部の下部の変質部分の一部が除去された前記レンズ基材を着色する染色工程と、着色された前記レンズ基材の表面にハードコート膜を形成するハードコート膜成膜工程と、前記ハードコート膜が形成された前記レンズ基材の表面に反射膜を成膜する反射膜成膜工程とからなり、これら工程を行う過程で前記レンズ基材が加熱されることで、前記レンズ基材の表面に残留する前記変質部分を熱効果により凹状化させてマークを形成する表面処理工程と、
を有することを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマーキング方法により形成されたマークを有することを特徴とするプラスチックレンズ。
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