JP4718015B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐衝撃性、曲げ強度などの特性が改良された樹脂成形物の製造に有利に利用できる熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
熱可塑性のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂などは、その熱可塑性を利用する成形が容易で、また得られる樹脂成形物の弾性や剛性などの特性が良好なことから、様々な目的の樹脂成形物の製造に利用されている。なかでも、自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品などの製造に際して広範囲に利用されている。
近年、自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品などに用いられる樹脂成形品について高い耐衝撃性が求められるようになってきている。このため、熱可塑性樹脂に、ゴム、熱可塑性エラストマー、ゴム成分で変性させた熱可塑性樹脂などを改質剤として混合した樹脂組成物と使用することが検討された。しかしながら、このようなゴム成分などの添加によって、得られる樹脂成形物の強度、弾性率、さらには耐熱性が低下する傾向があるため、熱可塑性樹脂組成物の物性の改良方法としては充分ということができない。
上記の問題を解決するために、ゾノトライトなどの繊維状のケイ酸カルシウム水和物の表面を界面活性剤及び/又はカップリング剤で処理したフィラーを熱可塑性樹脂に混合し、加熱混練した熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例、特許文献1、特許文献2、特許文献3など)。繊維状ゾノトライトは、樹脂成分との加熱混練の際に、その長軸方向と短軸方向に細かく解砕して微粒子になりやすく、このような微粒子化した繊維状ゾノトライトは、熱可塑性樹脂組成物成形品の耐衝撃性、曲げ強度などの諸特性を向上させる効果を示す。
特開平6−128412号公報 特開平7−216133号公報 特開平8−165377号公報
熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性、弾性などの諸特性は、熱可塑性樹脂への、上記の表面処理したゾノトライトの添加によって向上するが、最近では、特に自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品などの技術分野において、熱可塑性樹脂成形品について更に高い耐衝撃性、曲げ強度などの諸特性が求められる傾向にある。これに対して、そのような樹脂成形品への機械的特性のさらなる向上の要求については、これまでに知られているゾノトライト含有熱可塑性樹脂組成物では充分な対応ができない。
従って、本発明の目的は、ゾノトライト含有熱可塑性樹脂組成物であって、耐衝撃性や曲げ強度などの諸特性が従来にも増して向上した樹脂成形品を製造するのに適した熱可塑性樹脂組成物を有利に製造することのできる方法を提供することを主な目的とする。
本発明は、熱可塑性樹脂と、予め表面を界面活性剤で被覆処理したBET比表面積が21m2/g以上、平均繊維長が1〜5μmの範囲、そして平均繊維径が0.1〜0.5μmの範囲の繊維状ゾノトライトとを、重量比で99.5:0.5〜20:80の範囲内の比にて混合し、得られる混合物を、該繊維状ゾノトライトの重量に対して0.2〜10重量%の範囲の量のカップリング剤の存在下にて、加熱混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法にある。
すなわち、本発明者の研究により、界面活性剤で表面を処理した従来の繊維状ゾノトライトを熱可塑性樹脂に添加し、混練して得た熱可塑性樹脂組成物では、その樹脂組成物中の繊維状ゾノトライトの分散性は優れているが、その樹脂組成物を成形した樹脂成形品では、その成形品内部における樹脂成分と繊維状ゾノトライトとの密着性が不充分であるため、求める高い耐衝撃性や曲げ強度などが得られにくいこと、そして一方、カップリング剤で表面を処理した従来の繊維状ゾノトライトを熱可塑性樹脂に添加し、混練して得た熱可塑性樹脂組成物では、繊維状ゾノトライトが、その表面に結合したカップリング剤により、解砕されにくくなって、樹脂組成物中で分散されにくいため微粒子化しにくく、従って、その樹脂組成物を成形した樹脂成形品では、求める高い耐衝撃性や曲げ強度などが得られにくいことが判明した。
上記の知見に基づき、本発明者はさらに研究を続けた結果、予め界面活性剤で表面処理した繊維状ゾノトライトを、カップリング剤処理を施すことなく、樹脂成分(熱可塑性樹脂成分)と混合し、次いでこの混合物にカップリング剤を添加した後、加熱混練処理するか、あるいは上記混合物を加熱混練処理する際にカップリング剤を添加させる等の方法によって、混合物の加熱混練時に、繊維状ゾノトライトに結合していないカップリング剤を存在させることにより、繊維状ゾノトライトの微粒子化を可能とし、かつ微粒子となったゾノトライトの樹脂組成物中の分散を向上させることができ、かつ微粒子化したゾノトライトと樹脂成分との結合も向上することを見出し、本願発明に到達した。
(1)本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に用いる繊維状ゾノトライトの平均繊維長/平均繊維径で表わされる平均アスペクト比が10〜35(特に、10〜20)の範囲にあること。
(2)本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、およびポリカーボネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂であること。
(3)繊維状ゾノトライトの被覆処理に用いる界面活性剤が、非イオン界面活性剤であること。
(4)本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に用いる繊維状ゾノトライトのBET比表面積が30m2/g以上であって、かつ60m2/g以下であること。
(5)繊維状ゾノトライトに被覆された界面活性剤の量が、繊維状ゾノトライトの重量に対して0.1〜10重量%の範囲にあること。
(6)カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種のカップリング剤であること。
(7)熱可塑性樹脂組成物の製造に際して、熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が99.5:0.5〜30:70の範囲内の比にて混合すること。
(8)熱可塑性樹脂組成物の製造に際して、熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が55:45〜20:80の範囲内の比にて混合すること。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法について詳しく説明する。
熱可塑性樹脂組成物に配合する繊維状ゾノトライトとは、ゾノトライト(示性式:Ca6Si617(OH)2、化学式:6CaO・6SiO2・H2Oで一般的に表わすことのできる公知のケイ酸カルシウム水和物)の針状結晶物質をいう。熱可塑性樹脂組成物に配合する場合、繊維状ゾノトライトの比表面積の値が非常に重要であり、21m2/g以上であることが必要であり、好ましくは30m2/g以上(但し、窒素吸着によるBET法での測定値である)である。さらに、熱可塑性樹脂組成物に配合する原料繊維状ゾノトライト(混練前の前の状態の繊維状ゾノトライト)の形状としては、特に平均繊維長(L)が1μm≦L≦5μm、平均繊維径が0.1μm≦D≦0.5μm、そしてアスペクト比(L/D)が10≦L/D≦35、特に10≦L/D≦20の条件を同時に満たすものが好適に使用できる。
本発明で用いる繊維状ゾノトライトは、たとえば、特開平6−128412号公報に記載された製造法、すなわち、石灰質原料と珪酸質原料とを特定割合で配合して水熱合成反応により製造することができる。
本発明で用いる繊維状ゾノトライトは、その熱可塑性樹脂との混合に先立って界面活性剤で処理される。界面活性剤は、繊維状ゾノトライトのマトリックスとなる熱可塑性樹脂との親和性を向上させ、混練の初期段階においてゾノトライト顆粒を一次粒子に分散させることを促進すると考えられる。
界面活性剤としては、陰イオン性、陽イオン性、両性および非イオン性の界面活性剤のいずれも使用できる。陰イオン性界面活性剤の例としては、アルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸塩、ステアリン酸塩を挙げることができる。陽イオン性界面活性剤としては、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドを挙げることができる。両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルペタインを挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリエポキシエチレンラウリルエーテルを挙げることができる。特に好ましいのは、非イオン性界面活性剤であり、所望により他の種類の界面活性剤と併用することもできる。
これらの界面活性剤の通常の添加量は、繊維状ゾノトライト(乾燥物基準)に対して、0.1〜10重量%の範囲内の量であり、好ましくは0.5〜8重量%の範囲内の量である。添加量が0.1重量%未満では、前述の効果が十分現われにくくなり、また、添加量が10重量%を超える場合は、添加量を増量しても前述の効果は余り向上しない。
繊維状ゾノトライトの界面活性剤による表面処理は、例えば、水熱合成反応によって得られた繊維状ゾノトライトのスラリーをオートクレーブから抜き出し、次いでそのまま界面活性剤による繊維状ゾノトライトの表面処理を行なうことができる。表面処理方法は限定されないが、例えば、繊維状ゾノトライトスラリーにそのまま、あるいは適当量の水を加えた後に、界面活性剤を添加し、適当な装置内でスラリー状態で混合・攪拌し、次いで遠心脱水機あるいはフィルタープレス機などにより余剰の水分を濾過分離し、ケーキ状の界面活性剤処理繊維状ゾノトライトを得ることができる。この界面活性剤による表面処理については、繊維状ゾノトライトを乾燥した後に、少量の水あるいは溶媒に溶解した界面活性剤を用いて行なっても良い。
さらに、界面活性剤処理済みの繊維状ゾノトライトは、熱可塑性樹脂と、カップリング剤との混合・攪拌を容易に行う目的で顆粒状に造粒しておくことが望ましい。顆粒状のゾノトライトは、前記の界面活性剤処理したケーキ状の繊維状ゾノトライトを、造粒機によって直径が1〜8mmの顆粒状に成形し、乾燥することによって得ることができる。用いる造粒機には特に制限はなく、回転縦型造粒機、回転ドラム型造粒機、回転皿型造粒機、スクリュウ押出造粒機、ロール押出造粒機など公知の造粒機を用いることができる。造粒時の乾燥は、熱風循環式乾燥器、赤外線加熱式乾燥器など公知の乾燥器を用いて100〜
180℃の温度で1〜30時間かけて顆粒状のゾノトライトの水分が1重量%以下になる程度まで行うことが望ましい。
本発明において界面活性剤処理済みの繊維状ゾノトライトと混合する熱可塑性樹脂の例としては、種々の密度および分子量を有するポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンコポリマー(エチレン・酢酸ビニルコポリマー、エチレン・プロピレンコポリマーなど)、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー(エチレン・プロピレンブロックコポリマー等)、変性ポリプロピレン、ポリブテン−1およびポリ−4−メチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、無水マレイン酸−スチレン樹脂、ポロカプドアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ナイロン96、ナイロン912、ナイロン9I、ナイロン9T、ナイロン6/66、ナイロン6/11、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナイロン6/612、ナイロン66/610、ナイロン6/66/610、ナイロン6/66/12、ナイロン6/6T、ナイロン6/6I、ナイロン6/9T、ナイロン6/9I、ナイロン66/9T、ナイロン66/9I、ナイロン6/66/9T、ナイロン6/12/9T、ナイロン66/12/9T、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン6/11/6T、ナイロン6/12/6T、ナイロン66/11/6T、ナイロン66/12/6T、ナイロン11/6T/6Iおよびナイロン12/6T/6Iなどのポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートおよびその他の芳香族ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール樹脂(ホモポリマーおよびコポリマーを含む)、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポロエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリイミドアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など、およびこれらの混合体を挙げることができる。これらの中でも、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂、およびこれらの混合体が特に好適な具体例としてして挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造において用いるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられるが、シラン系カップリング剤が好ましい。カップリング剤は予め部分的に加水分解させて、部分的にシラノール基を持つように変性させて用いてもよい。
シラン系カップリング剤としては、アミノ基、ジアミノ基、ビニル基、クロル基、メタクリロキシ基、環状エポキシ基、グリシドキシ基、メルカプト基、ウレイド基、ケチミド基、などの有機官能基を有し、メトキシ基、エトキシ基、エトキシ基の無機官能基を有する各種のシラン系カップリング剤が使用できる。
シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシ
プロピル)トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
特に、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を用いる場合には、アミノ系、クロル系、カチオン系などのシランカップリング剤が有利に使用できるが、特にアミノ系が望ましい。
熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である場合には、アミノ系、エポキシ系、クロル系、カチオン系などのシランカップリング剤が有利に使用できる、特にエポキシ系が望ましい。
熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であって、特に変性され極性を有する場合には、アミノ系、エポキシ系、クロル系、カチオン系などのシランカップリング剤が有利に使用されるが、特にアミノ系が望ましい。
熱可塑性樹脂がポリフェニレンサルファイド樹脂である場合には、メルカプト系のシランカップリング剤が望ましい。
熱可塑性樹脂組成物には、カップリング剤以外にも、所望によって、樹脂組成物の特性改善や製造改善のために添加される各種の副資材、たとえば、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、架橋剤、酸化防止剤、難燃剤、強化材、顔料、染料、滑剤、帯電防止剤、離型剤、香料、ゴムあるいは熱可塑性エラストマー、ゴムで変性された熱可塑性樹脂などを配合することができる。
次に、繊維状ゾノトライト(界面活性剤処理済みのもの)に対するカップリング剤の添加比率の重量百分率は、0.2重量%以上、10重量%未満であることが好ましく、特に好ましくは0.5重量%以上、5重量%以下である。
熱可塑性樹脂組成物は、たとえば、下記の方法を利用して製造することができる。
すなわち、界面活性剤処理繊維状ゾノトライトと、熱可塑性樹脂およびカップリング剤からなる熱可塑性樹脂組成物は、たとえば、繊維状ゾノトライト、熱可塑性樹脂、そしてカップリング剤を、同時に、もしくは順次、混練機に投入し、ついで加熱下に溶融混練することにより製造することができる。あるいは、熱可塑性樹脂と任意の一成分を予め混合し、次いで加熱溶融時に他の成分を添加することもできる。
繊維状ゾノトライト、熱可塑性樹脂およびカップリング剤を溶融混練する際のこれら成分の添加、混合順序については、上記のように、任意に選択することができるが、好ましくは、繊維状ゾノトライトは、押出機のホッパーに供給することが望ましい。例えば、溶融混練に先立ち、熱可塑性樹脂およびカップリング剤と混合した後押出機のホッパーに供給してもよく、繊維状ゾノトライトと熱可塑性樹脂は、ダブルフィードで、カップリング剤は、液添加でも良い。また、カップリング剤の一部分のみ押出機の途中から供給することも可能である。なお、前記組成物を製造するに際して、必要に応じて、同時に前記各種副資材を添加することもできる。
溶融混練温度は、使用する熱可塑性樹脂に最も適した温度を選ぶ。熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合には、樹脂の融点より10〜60℃高い温度、好ましくは樹脂の融点よりも
10〜40℃高い温度が利用される。熱可塑性樹脂が非晶性の樹脂の場合には、樹脂のガラス転移点より110〜160℃高い温度、好ましくは樹脂のガラス転移点より110〜140℃高い温度が利用される。
用いる混練機の例としては、一軸押出機や二軸押出機などの押出機、二軸連続ミキサー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、ミキシングロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフなどを挙げることができ、組成物は、一般にペレット状として得るのが普通である。これらの中でも、押出機が好ましく、二軸押出機が特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造に際して、上記の混練工程において、溶融樹脂中での剪断処理により繊維状ゾノトライトが繊維の長手方向に折損を受けるが、併せて縦にも裂ける現象が発現する。カップリング剤を加えて混練することにより、この縦にも裂ける現象は、より促進される。その結果、添加した当初のゾノトライト繊維が、平均繊維長(L)が1μm≦L≦5μm、平均繊維径が0.1μm≦D≦0.5μm、そしてアスペクト比(L/D)が10≦L/D≦20であっても、混練した後の樹脂組成物におけるゾノトライトの分散一次粒子は、平均繊維長(L)が0.2μm≦L≦0.7μm、平均繊維径が0.01μm≦D≦0.05μm、かつアスペクト比(L/D)が5≦L/D≦35(特に、5≦L/D≦20、さらに7≦L/D≦15)に微細化し、分散する。本発明で使用する熱可塑性樹脂とゾノトライトとの界面の結合がカップリング反応により強化されることにより、樹脂組成物の物性、特に剛性、耐熱性、耐衝撃性が顕著に向上し、そのバランスが大幅に改善することができる。併せて、成形収縮、温度変化などによる線変化、反りなどを抑制する効果も向上することから、構造材料としての適用範囲を拡大でき、自動車、電気・電子、精密機械などの分野の材料として特に有利に使用できる。
このようにして得られた組成物は、従来の組成物と比較し流動性も向上することから、射出成形、押出成形、圧縮成形、中空成形などの公知の種々の成形法により成形される。
界面活性剤処理繊維状ゾノトライトがカップリング剤の存在下で混練配合された熱可塑性樹脂組成物は、そのまま樹脂成形体の製造に利用することができるが、所望により、界面活性剤処理繊維状ゾノトライトの配合量が多い熱可塑性樹脂組成物を製造し、次いでそれをマスターバッチとして用い、これに同種の熱可塑性樹脂を混合(希釈)する方法を利用して、繊維状ゾノトライトの配合量を調節した熱可塑性樹脂組成物とすることもできる。
以下に実施例および比較例を述べて本発明を具体的に説明する。なお、実施例および比較例において述べる成形品の物性評価方法は、下記の方法に従って実施した。
(1)曲げ特性
(株)オリエンテック製テンシロンUTM−5Tを使用して測定した。所望の熱可塑性樹脂組成物を成形後、23℃、相対湿度50%(以下「50%RH」と略記)で48時間状態調節をした。そして、曲げ強度や曲げ弾性率の測定をASTM D790に従い、2
3℃、50%RHにおいて行った。なお、ポリアミド樹脂を主成分とする組成物の場合には、23℃、デシケーター中で48時間状態調節をし、曲げ強度や曲げ弾性率の測定をASTM D790に従い、23℃、絶乾状態において行った。
(2)アイゾット衝撃強度
(株)東洋精機製アイゾット衝撃試験機を使用して測定した。そして、前記(1)項と同様の状態調節をした試験片を用いて、ASTM D256に従い、前記(1)項と同様
の温度および湿度条件においてノッチ付きアイゾット衝撃強度を求めた。
(3)計装化落錘衝撃強度
(株)オリエンテックの計装化衝撃試験機UTM−5を使用して、速度4.5m/秒、温度23℃、湿度50%の条件で測定した。
(4)荷重たわみ温度
(株)東洋精機荷重たわみ試験機を使用して測定した。前記(1)項と同様の状態調節をした試験片を用いて、ASTM D648に従い、応力1.82Mpaのもとで値を求
めた。なお、ポリプロピレン樹脂を主成分とする組成物の場合には、応力0.45Mpaの下で値を求めた。
(5)メルトフローインデックス(MFIと略記することもある)
宝工業(株)製のメルトインデクサYA2072−0000を使用して測定した。前記(1)項と同様の状態調節をした試験片を用いて、ASTM D1238に従い、ナイロ
ン6を主成分とする組成物の場合には温度250℃のもとで、ポロプロピレン樹脂を主成分とする組成物の場合には温度230℃のもとでの値を求めた。
(6)組成物中のゾノトライトの繊維長、繊維径の測定
組成物におけるゾノトライト繊維のモルホロジーを把握する目的で、混練ストランドの中心部を対象としてライケ(株)製のクライオ装置付きミクロトームウルトラカットSにより厚さ0.1μmに設定し流れ方向に平行な薄片試料を制作した。一部参考図において示した6万倍のTEM観察像を基に、ゾノトライト一次粒子のディメンジョンを測定した。500〜1000個の粒子の繊維長、繊維径を測定の後に、平均アスペクト比を算出した。
[参考例1]
石灰質原料として生石灰(宇部マテリアルズ(株)製、CaO純度:98%)430g、珪酸質原料として農業用珪石粉(ジャパンゼネラル(株)製品、ブレーン比表面積:7000cm2/g、SiO2純度:97%)470g、および水道水18リットルを内容積30リットルのSUS316製攪拌機付きオートクレーブに投入した。そして、回転数80rpmで攪拌しながら、保持温度220℃まで2℃/分の割合で昇温し、保持温度220℃で5時間保持して水熱合成反応を行った後、攪拌しながら10時間以上かけて放冷して繊維状ゾノトライトスラリーを得た。なお、このスラリーX線回折を測定したところ、ゾノトライトのみが同定された。
続いて、この繊維状ゾノトライトスラリー920g(固定分基準)に水道水約18リットルおよび非イオン系の界面活性剤(ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、日本油脂(株)製品、商品名:ナイミーン204)46g(繊維状ゾノトライト固形分に対して5重量%)を加え、ホモジナイザーで分散しながら表面処理した。このスラリーをヌッチェにて脱水してケーキ状にした後、造粒機によりφ3mmの径に成形し、約100℃で乾燥することにより、表面処理した顆粒状の繊維状ゾノトライトを得た。この顆粒状の繊維状ゾノトライトについて、窒素吸着によるBET比表面積の測定ならびに走査型電子顕微鏡写真による平均繊維長および平均繊維径の測定を行ったところそれぞれ、48m2/g、3μmおよび0.2μm(従って、アスペクト比:15)であることが確認された。得られた繊維状ゾノトライトを以下、『界面活性剤処理繊維状ゾノトライトA』と表す。
[参考例2]
水熱合成反応の保持温度を、参考例1における220℃に代えて240℃とした以外は、参考例1と全く同様にして顆粒状の繊維状ゾノトライトの製造を行ない、BET比表面積:24m2/g、平均繊維長4μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:20)の繊維状ゾノトライトを得た。以下、これを『界面活性剤処理繊維状ゾノトライトB』と表す。
[参考例3]
水熱合成反応の保持温度を、参考例1における220℃に代えて260℃とした以外は
、参考例1と全く同様にして顆粒状の繊維状ゾノトライトの製造を行ない、BET比表面積:16m2/g、平均繊維長10μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:50)の繊維状ゾノトライトを得た。以下、これを『界面活性剤処理繊維状ゾノトライト粗粒子C』と表す。
[参考例4]
表面処理剤としての非イオン系界面活性剤を添加しなかったこと以外は、参考例1と全く同様にして顆粒状のゾノトライトの製造を行い、BET比表面積39m2/g、平均繊維長:3μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:15)の界面活性剤未処理の繊維状ゾノトライトを得た。以下これを『未処理繊維状ゾノトライトE』と表す。
[参考例5]
非イオン系の界面活性剤(商品名:ナイミーン204)をシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシソラン、日本ユニカー(株)製品、商品名:A−1100)46g(繊維状ゾノトライト固形分に対して5重量%)に変えたこと以外は、参考例1と全く同様にしてゾノトライト表面処理の製造を行ない、BET比表面積45m2/g、平均繊維長:3μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:15)の繊維状ゾノトライトを得た。以下、これを『カップリング剤処理繊維状ゾノトライトF』と表す。
[実施例1]
熱可塑性樹脂としてナイロン6(宇部興産(株)製、商品名UBEナイロン1013B)99.5重量部、カップリング剤としてアミノシラン系カップリング剤(日本ユニカー(株)製、商品名:A−1100)0.5重量部とからなる混合物80重量部に対し、繊維状ゾノトライトとして参考例1により得られた界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを20重量部の配合割合で予めV型ブレンダーを用いて混合した。引き続いて、シリンダー径:φ30mmの同方向回転型二軸スクリュウ押出機(池貝鉄工(株)製:PCM30)を使用し、250℃(ただし、ノズル部の温度とし、以下に同じ)で、溶融混練し、前記ナイロンが79.6重量部、前記カップリング剤が0.4重量部および繊維状ゾノトライトが20重量部からなるペレットを作成した。ただし、スクリューフィーダーを用いて供給口より前記ナイロン6、アミノシラン系カップリング剤および繊維状ゾノトライトAを供給し、第二ベント口から脱気操作を行った。
次に、射出成形機(日本製鋼所(株)製N100)を使用して、シリンダー温度(ただし、ノズルヘッド部の温度とし、以下において同じ)260℃および金型温度100℃において上記ペレットを射出成形し、物性試験用の成形体(試験片)を作成した。物性試験の結果を表1に示す。なお、メルトフローインデックス(MFI)は43%であった。
[実施例2]
実施例1のアミノシランカップリング剤A−1100の代わりに、エポキシ系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、商品名:A−187)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
[実施例3]
実施例1のアミノシランカップリング剤A−1100の代わりに、メルカプト系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、商品名:A−197)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
[実施例4]
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを界面活性剤処理繊維状ゾノトライトBに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
[実施例5]
実施例1で得られたペレットをマスターバッチとして、これを25重量部、そしてナイロン6単独の75重量部とを、予めV型ブレンダーを用いてブレンドしたのち、実施例1と全く同様な操作を行なって、加熱溶融と物性評価用の成形物(試験片、ナイロン6:界面活性剤処理繊維状ゾノトライトA:カップリング剤=94.9重量部:5重量部:0.1重量部)を得た。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
[実施例6]
実施例1で得られたペレットをマスターバッチとして、これを5重量部、そしてナイロン6単独の95重量部とを、予めV型ブレンダーを用いてブレンドしたのち、実施例1と全く同様な操作を行なって、加熱溶融と物性評価用の成形物(試験片、ナイロン6:界面活性剤処理繊維状ゾノトライトA:カップリング剤=98.98重量部:1重量部:0.02重量部)を得た。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
[実施例7]
実施例1において、アミノシラン系カップリング剤の使用量を0.2重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して1重量%)に変えた以外は全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は44%であった。
[実施例8]
実施例1において、アミノシラン系カップリング剤の使用量を0.8重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して4重量%)に変えた以外は全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は42%であった。
[比較例1]
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを界面活性剤処理繊維状ゾノトライト粗粒子Cに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は39%であった。
[比較例2]
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを未処理繊維状ゾノトライトEに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
[比較例3]
実施例1におけるアミノシラン系カップリング剤(A−1100)の使用量を0.01重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して0.05重量%)としたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
[比較例4]
実施例1におけるアミノシラン系カップリング剤(A−1100)を全く使用しなかったこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は38%であった。
[比較例5]
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAをカップリング剤処理繊維状ゾノトライトFに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
Figure 0004718015
[実施例9]
ナイロン6を、ポリプロピレン(エチレン・プロピレンブロックコポリマー、グランドポリマー(株)製、商品名:グランドポリプロJ815HK)90重量部と変性ポリプロピレン(グランドポリマー(株)製、商品名:グランドポリプロ(ブロックベース変性ポリプロピレン)ZP648)10重量部との混合物に変え、溶融混練温度を250℃に代えて240℃としたこと、そして射出成形機の金型温度を100℃から80℃に変えたこと以外は実施例1と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
[実施例10]
実施例9において、界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAの配合量を5重量部に変えたこと以外は実施例9と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
[比較例6]
実施例9において、カップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例9と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
[比較例7]
実施例9における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAをカップリング剤処理繊維状ゾノトライトFに変えた以外は、実施例9と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
Figure 0004718015
[実施例11]
ナイロン6を、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)(宇部興産(株)製、商品名:UBE PBT 100)に変えたこと、カップリング剤をアミノシラン系カップリング剤からエポキシ系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−187)に変えたこと、溶融混練温度を250℃に代えて240℃としたこと、射出成形機のシリンダー温度を260℃から270℃に変えたこと、そして射出成形機の金型温度を100℃から110℃に変えたこと以外は実施例1と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
[実施例12]
実施例9において、エポキシ系シランカップリング剤の量を0.2重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して1重量%)に変えたこと以外は実施例11と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
[比較例8]
実施例9において、カップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例11と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
Figure 0004718015
[実施例13]
ナイロン6を、ポリフェニレンサルファイド(PPS樹脂)(クレハ(株)製、商品名:フォートロンKPSコンパウンドPF−200A)に変えたこと、カップリング剤をアミノシラン系カップリング剤からメルカプト系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−197)に変えたこと、溶融混練温度を250℃に代えて300℃としたこと、射出成形機のシリンダー温度を260℃から300℃に変えたこと、そして射出成形機の金型温度を100℃から130℃に変えたこと以外は実施例1と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
[比較例9]
実施例13において、カップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例13と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表4に示すとおりであった。
Figure 0004718015
本発明の方法により製造される熱可塑性樹脂組成物は、その樹脂組成物中で繊維状ゾノトライトが微粒子化し、かつ均一に分散し、さらに熱可塑性樹脂と強い結合を示すため、耐衝撃性や曲げ強度が特に優れており、自動車部品、電気・電子部品、精密工作部品などのための樹脂成形物の製造に特に有利に用いることができる。また、樹脂組成物中に繊維状ゾノトライトが高濃度に分散されたものをマスターバッチとして用いて、熱可塑性樹脂により希釈する方法を利用することにより、繊維状ゾノトライトが所望の濃度で高度に均一に分散された樹脂組成物を製造することもできる。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂と、予め表面を界面活性剤で被覆処理した、BET比表面積が21m2/g以上、平均繊維長が1〜5μmの範囲、そして平均繊維径が0.1〜0.5μmの範囲の繊維状ゾノトライトとを、重量比で99.5:0.5〜20:80の範囲内の比にて混合し、得られる混合物を、該繊維状ゾノトライトの重量に対して0.2〜10重量%の範囲の量のカップリング剤の存在下にて、加熱混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 繊維状ゾノトライトの平均繊維長/平均繊維径で表わされる平均アスペクト比が10〜20の範囲にあることを特徴とする請求の範囲1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、およびポリカーボネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求の範囲1もしくは2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 界面活性剤が、非イオン界面活性剤であることを特徴とする請求の範囲1乃至3のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 繊維状ゾノトライトのBET比表面積が30m2/g以上、60m2/g以下であることを特徴とする請求の範囲1乃至4のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 繊維状ゾノトライトに被覆された界面活性剤の量が、繊維状ゾノトライトの重量に対して0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求の範囲1乃至5のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種のカップリング剤であることを特徴とする請求の範囲1乃至6のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が99.5:0.5〜30:70の範囲内の比にて混合することを特徴とする請求の範囲1乃至7のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が55:45〜20:80の範囲内の比にて混合することを特徴とする請求の範囲1乃至7のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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