JP4718015B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
(2)本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、およびポリカーボネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂であること。
(3)繊維状ゾノトライトの被覆処理に用いる界面活性剤が、非イオン界面活性剤であること。
(4)本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に用いる繊維状ゾノトライトのBET比表面積が30m2/g以上であって、かつ60m2/g以下であること。
(5)繊維状ゾノトライトに被覆された界面活性剤の量が、繊維状ゾノトライトの重量に対して0.1〜10重量%の範囲にあること。
(6)カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種のカップリング剤であること。
(7)熱可塑性樹脂組成物の製造に際して、熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が99.5:0.5〜30:70の範囲内の比にて混合すること。
(8)熱可塑性樹脂組成物の製造に際して、熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が55:45〜20:80の範囲内の比にて混合すること。
本発明で用いる繊維状ゾノトライトは、その熱可塑性樹脂との混合に先立って界面活性剤で処理される。界面活性剤は、繊維状ゾノトライトのマトリックスとなる熱可塑性樹脂との親和性を向上させ、混練の初期段階においてゾノトライト顆粒を一次粒子に分散させることを促進すると考えられる。
180℃の温度で1〜30時間かけて顆粒状のゾノトライトの水分が1重量%以下になる程度まで行うことが望ましい。
プロピル)トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
すなわち、界面活性剤処理繊維状ゾノトライトと、熱可塑性樹脂およびカップリング剤からなる熱可塑性樹脂組成物は、たとえば、繊維状ゾノトライト、熱可塑性樹脂、そしてカップリング剤を、同時に、もしくは順次、混練機に投入し、ついで加熱下に溶融混練することにより製造することができる。あるいは、熱可塑性樹脂と任意の一成分を予め混合し、次いで加熱溶融時に他の成分を添加することもできる。
10〜40℃高い温度が利用される。熱可塑性樹脂が非晶性の樹脂の場合には、樹脂のガラス転移点より110〜160℃高い温度、好ましくは樹脂のガラス転移点より110〜140℃高い温度が利用される。
(株)オリエンテック製テンシロンUTM−5Tを使用して測定した。所望の熱可塑性樹脂組成物を成形後、23℃、相対湿度50%(以下「50%RH」と略記)で48時間状態調節をした。そして、曲げ強度や曲げ弾性率の測定をASTM D790に従い、2
3℃、50%RHにおいて行った。なお、ポリアミド樹脂を主成分とする組成物の場合には、23℃、デシケーター中で48時間状態調節をし、曲げ強度や曲げ弾性率の測定をASTM D790に従い、23℃、絶乾状態において行った。
(2)アイゾット衝撃強度
(株)東洋精機製アイゾット衝撃試験機を使用して測定した。そして、前記(1)項と同様の状態調節をした試験片を用いて、ASTM D256に従い、前記(1)項と同様
の温度および湿度条件においてノッチ付きアイゾット衝撃強度を求めた。
(3)計装化落錘衝撃強度
(株)オリエンテックの計装化衝撃試験機UTM−5を使用して、速度4.5m/秒、温度23℃、湿度50%の条件で測定した。
(4)荷重たわみ温度
(株)東洋精機荷重たわみ試験機を使用して測定した。前記(1)項と同様の状態調節をした試験片を用いて、ASTM D648に従い、応力1.82Mpaのもとで値を求
めた。なお、ポリプロピレン樹脂を主成分とする組成物の場合には、応力0.45Mpaの下で値を求めた。
(5)メルトフローインデックス(MFIと略記することもある)
宝工業(株)製のメルトインデクサYA2072−0000を使用して測定した。前記(1)項と同様の状態調節をした試験片を用いて、ASTM D1238に従い、ナイロ
ン6を主成分とする組成物の場合には温度250℃のもとで、ポロプロピレン樹脂を主成分とする組成物の場合には温度230℃のもとでの値を求めた。
(6)組成物中のゾノトライトの繊維長、繊維径の測定
組成物におけるゾノトライト繊維のモルホロジーを把握する目的で、混練ストランドの中心部を対象としてライケ(株)製のクライオ装置付きミクロトームウルトラカットSにより厚さ0.1μmに設定し流れ方向に平行な薄片試料を制作した。一部参考図において示した6万倍のTEM観察像を基に、ゾノトライト一次粒子のディメンジョンを測定した。500〜1000個の粒子の繊維長、繊維径を測定の後に、平均アスペクト比を算出した。
石灰質原料として生石灰(宇部マテリアルズ(株)製、CaO純度:98%)430g、珪酸質原料として農業用珪石粉(ジャパンゼネラル(株)製品、ブレーン比表面積:7000cm2/g、SiO2純度:97%)470g、および水道水18リットルを内容積30リットルのSUS316製攪拌機付きオートクレーブに投入した。そして、回転数80rpmで攪拌しながら、保持温度220℃まで2℃/分の割合で昇温し、保持温度220℃で5時間保持して水熱合成反応を行った後、攪拌しながら10時間以上かけて放冷して繊維状ゾノトライトスラリーを得た。なお、このスラリーX線回折を測定したところ、ゾノトライトのみが同定された。
水熱合成反応の保持温度を、参考例1における220℃に代えて240℃とした以外は、参考例1と全く同様にして顆粒状の繊維状ゾノトライトの製造を行ない、BET比表面積:24m2/g、平均繊維長4μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:20)の繊維状ゾノトライトを得た。以下、これを『界面活性剤処理繊維状ゾノトライトB』と表す。
水熱合成反応の保持温度を、参考例1における220℃に代えて260℃とした以外は
、参考例1と全く同様にして顆粒状の繊維状ゾノトライトの製造を行ない、BET比表面積:16m2/g、平均繊維長10μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:50)の繊維状ゾノトライトを得た。以下、これを『界面活性剤処理繊維状ゾノトライト粗粒子C』と表す。
表面処理剤としての非イオン系界面活性剤を添加しなかったこと以外は、参考例1と全く同様にして顆粒状のゾノトライトの製造を行い、BET比表面積39m2/g、平均繊維長:3μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:15)の界面活性剤未処理の繊維状ゾノトライトを得た。以下これを『未処理繊維状ゾノトライトE』と表す。
非イオン系の界面活性剤(商品名:ナイミーン204)をシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシソラン、日本ユニカー(株)製品、商品名:A−1100)46g(繊維状ゾノトライト固形分に対して5重量%)に変えたこと以外は、参考例1と全く同様にしてゾノトライト表面処理の製造を行ない、BET比表面積45m2/g、平均繊維長:3μmおよび平均繊維径0.2μm(従って、アスペクト比:15)の繊維状ゾノトライトを得た。以下、これを『カップリング剤処理繊維状ゾノトライトF』と表す。
熱可塑性樹脂としてナイロン6(宇部興産(株)製、商品名UBEナイロン1013B)99.5重量部、カップリング剤としてアミノシラン系カップリング剤(日本ユニカー(株)製、商品名:A−1100)0.5重量部とからなる混合物80重量部に対し、繊維状ゾノトライトとして参考例1により得られた界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを20重量部の配合割合で予めV型ブレンダーを用いて混合した。引き続いて、シリンダー径:φ30mmの同方向回転型二軸スクリュウ押出機(池貝鉄工(株)製:PCM30)を使用し、250℃(ただし、ノズル部の温度とし、以下に同じ)で、溶融混練し、前記ナイロンが79.6重量部、前記カップリング剤が0.4重量部および繊維状ゾノトライトが20重量部からなるペレットを作成した。ただし、スクリューフィーダーを用いて供給口より前記ナイロン6、アミノシラン系カップリング剤および繊維状ゾノトライトAを供給し、第二ベント口から脱気操作を行った。
実施例1のアミノシラン系カップリング剤A−1100の代わりに、エポキシ系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、商品名:A−187)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
実施例1のアミノシラン系カップリング剤A−1100の代わりに、メルカプト系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、商品名:A−197)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを界面活性剤処理繊維状ゾノトライトBに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
実施例1で得られたペレットをマスターバッチとして、これを25重量部、そしてナイロン6単独の75重量部とを、予めV型ブレンダーを用いてブレンドしたのち、実施例1と全く同様な操作を行なって、加熱溶融と物性評価用の成形物(試験片、ナイロン6:界面活性剤処理繊維状ゾノトライトA:カップリング剤=94.9重量部:5重量部:0.1重量部)を得た。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
実施例1で得られたペレットをマスターバッチとして、これを5重量部、そしてナイロン6単独の95重量部とを、予めV型ブレンダーを用いてブレンドしたのち、実施例1と全く同様な操作を行なって、加熱溶融と物性評価用の成形物(試験片、ナイロン6:界面活性剤処理繊維状ゾノトライトA:カップリング剤=98.98重量部:1重量部:0.02重量部)を得た。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
実施例1において、アミノシラン系カップリング剤の使用量を0.2重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して1重量%)に変えた以外は全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は44%であった。
実施例1において、アミノシラン系カップリング剤の使用量を0.8重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して4重量%)に変えた以外は全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は42%であった。
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを界面活性剤処理繊維状ゾノトライト粗粒子Cに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は39%であった。
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAを未処理繊維状ゾノトライトEに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
実施例1におけるアミノシラン系カップリング剤(A−1100)の使用量を0.01重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して0.05重量%)としたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
実施例1におけるアミノシラン系カップリング剤(A−1100)を全く使用しなかったこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。メルトフローインデックス(MFI)は38%であった。
実施例1における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAをカップリング剤処理繊維状ゾノトライトFに変えた以外は、実施例1と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表1に示すとおりであった。
ナイロン6を、ポリプロピレン(エチレン・プロピレンブロックコポリマー、グランドポリマー(株)製、商品名:グランドポリプロJ815HK)90重量部と変性ポリプロピレン(グランドポリマー(株)製、商品名:グランドポリプロ(ブロックベース変性ポリプロピレン)ZP648)10重量部との混合物に変え、溶融混練温度を250℃に代えて240℃としたこと、そして射出成形機の金型温度を100℃から80℃に変えたこと以外は実施例1と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
実施例9において、界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAの配合量を5重量部に変えたこと以外は実施例9と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
実施例9において、カップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例9と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
実施例9における界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAをカップリング剤処理繊維状ゾノトライトFに変えた以外は、実施例9と全く同様の操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表2に示すとおりであった。
ナイロン6を、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)(宇部興産(株)製、商品名:UBE PBT 100)に変えたこと、カップリング剤をアミノシラン系カップリング剤からエポキシ系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−187)に変えたこと、溶融混練温度を250℃に代えて240℃としたこと、射出成形機のシリンダー温度を260℃から270℃に変えたこと、そして射出成形機の金型温度を100℃から110℃に変えたこと以外は実施例1と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
実施例9において、エポキシ系シランカップリング剤の量を0.2重量部(界面活性剤処理繊維状ゾノトライトAに対して1重量%)に変えたこと以外は実施例11と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
実施例9において、カップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例11と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
ナイロン6を、ポリフェニレンサルファイド(PPS樹脂)(クレハ(株)製、商品名:フォートロンKPSコンパウンドPF−200A)に変えたこと、カップリング剤をアミノシラン系カップリング剤からメルカプト系シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−197)に変えたこと、溶融混練温度を250℃に代えて300℃としたこと、射出成形機のシリンダー温度を260℃から300℃に変えたこと、そして射出成形機の金型温度を100℃から130℃に変えたこと以外は実施例1と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表3に示すとおりであった。
実施例13において、カップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例13と全く同様な操作を行なった。得られた試験片の物性試験結果は、表4に示すとおりであった。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂と、予め表面を界面活性剤で被覆処理した、BET比表面積が21m2/g以上、平均繊維長が1〜5μmの範囲、そして平均繊維径が0.1〜0.5μmの範囲の繊維状ゾノトライトとを、重量比で99.5:0.5〜20:80の範囲内の比にて混合し、得られる混合物を、該繊維状ゾノトライトの重量に対して0.2〜10重量%の範囲の量のカップリング剤の存在下にて、加熱混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 繊維状ゾノトライトの平均繊維長/平均繊維径で表わされる平均アスペクト比が10〜20の範囲にあることを特徴とする請求の範囲1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、およびポリカーボネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求の範囲1もしくは2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 界面活性剤が、非イオン界面活性剤であることを特徴とする請求の範囲1乃至3のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 繊維状ゾノトライトのBET比表面積が30m2/g以上、60m2/g以下であることを特徴とする請求の範囲1乃至4のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 繊維状ゾノトライトに被覆された界面活性剤の量が、繊維状ゾノトライトの重量に対して0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求の範囲1乃至5のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種のカップリング剤であることを特徴とする請求の範囲1乃至6のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が99.5:0.5〜30:70の範囲内の比にて混合することを特徴とする請求の範囲1乃至7のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂と繊維状ゾノトライトとの重量比が55:45〜20:80の範囲内の比にて混合することを特徴とする請求の範囲1乃至7のうちのいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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