JP4714975B2 - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents
封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性及び耐熱衝撃性に優れ、260℃以上の高温リフローにおいても良好な耐リフロークラック性を有する封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこの封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した素子を備えた電子部品装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品封止の分野ではエポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性にバランスがとれているためである。
近年では、電子部品のプリント配線板への高密度実装化に伴い、電子部品装置は従来のピン挿入型から、表面実装型のパッケージが主流になってきている。表面実装型のIC、LSI等は、実装密度を高くして実装高さを低くするために、薄型、小型のパッケージになっており、素子のパッケージに対する占有体積が大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなってきた。さらに、これらのパッケージは従来のピン挿入型のものと実装方法が異なっている。すなわち、ピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後、配線板裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることがなかった。しかし、表面実装型パッケージは配線板表面に仮止めを行い、はんだバスやリフロー装置などで処理されるため、直接はんだ付け温度にさらされる。この結果、パッケージが吸湿した場合、はんだ付け時に吸湿水分が急激に膨張し、パッケージをクラックさせてしまう。現在、この現象が表面実装型パッケージに係わる大きな問題となっている。
一方、環境保護の観点から従来使用されているはんだに含まれる鉛成分が問題視されるようになってきた。現在、電子部品廃棄物の多くは、プリント基板等の合成樹脂と半導体、フレーム等の金属製であるために、焼却処分ができず埋め立て処理されている。そこに酸性雨が降った場合に電子部品廃棄物中のはんだから鉛が地下水中に溶出し、その地下水が飲料水に使用されると人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、はんだ中の鉛成分が問題となってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の問題に対して、鉛を含有しないはんだ(鉛フリーはんだ)が種々提案されている。しかしながら、従来の鉛含有はんだ(Sn−Pb共晶組成)と同程度の融点を有する鉛フリーはんだでは、接続信頼性の面で十分な性能が得られていない(特開平8−323495号公報、特開平9−85484号公報、特開平9−253882号公報、特開平11−33775号公報、特開平11−221694号公報等)。また、接続信頼性の面で現在有力視されている鉛フリーはんだとしては、Sn/Ag/Bi/Cuが重量比94.25/2/3/0.75の組成のはんだ、Sn/Ag/Cuが重量比95.75/3.5/0.75の組成のはんだ等があるが、これらは融点が210〜220℃と従来の鉛含有はんだの融点183℃より30〜40℃も高いため、実装時のリフロー温度が従来の240℃から260〜275℃に上昇してしまい、封止用成形材料にはこれまで以上の耐リフロークラック性の向上が望まれている。
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、260℃以上の高温リフローにおいても良好な耐リフロークラック性を有し、かつ硬化性及び耐熱衝撃性に優れた封止用エポキシ樹脂成形材料及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定成分の重合体から得られるゴム粒子を配合することで260℃以上の高温リフローにおいても良好な耐リフロークラック性を有し、かつ硬化性及び耐熱衝撃性に優れた封止用エポキシ樹脂成形材料が得られ、上記の目的を達成しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤及び(E)ゴム粒子を必須成分とし、(E)ゴム粒子が(a)オルガノシロキサン、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレート及び(c)ビニル化合物から得られる重合体である封止用エポキシ樹脂成形材料、
(2)(F)可塑剤をさらに含有する上記(1)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(3)(E)ゴム粒子が(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートから得られる共重合体に(c)ビニル化合物をグラフト重合させたグラフト共重合体である上記(1)又は(2)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(4)(b))アルキルアクリレートがn-ブチルアクリレートである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(5)(c)ビニル化合物がメチルメタクリレート、スチレン及びアクリロニトリルの少なくとも1種である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(6)(E)ゴム粒子中の(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートの配合重量比(a)/(b)が5/95〜80/20である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(7)(A)エポキシ樹脂が下記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂及び下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂を含有してなる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
【化4】
(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
【化5】
(ここで、R1〜R4は水素原子及び炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。)
(8)一般式(I)で示されるエポキシ樹脂と一般式(II)で示されるエポキシ樹脂との配合重量比が2/8〜8/2である上記(7)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、及び
(9)(B)硬化剤が下記一般式(III)で示されるフェノール樹脂を含有する上記(1)〜(8)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、並びに
【化6】
(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基を示し、nは0〜8の整数を示す。)
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備えた電子部品装置
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているもので特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン系フェノール類のジグリシジルエーテル、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノ−ル類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも硬化性と耐リフロークラック性の両立の観点からは、下記一般式(I)で示されるノボラック型エポキシ樹脂と下記一般式(II)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。
【0007】
【化7】
(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
【化8】
(ここで、R1〜R4は水素原子及び炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。)
【0008】
上記一般式(I)で示されるノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでもオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂が好ましい。
【0009】
上記一般式(II)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、例えば3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−2,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン系フェノール類は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。また、本発明で用いられる上記一般式(II)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0010】
一般式(I)で示されるノボラック型エポキシ樹脂及び一般式(II)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂を用いる場合、その配合量は、耐リフロークラック性の観点から(A)エポキシ樹脂全量に対して合わせて40重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上とすることがより好ましい。
上記一般式(I)で示されるノボラック型エポキシ樹脂と一般式(II)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂の配合重量比(I)/(II)は、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましく、4/6〜6/4がさらに好ましい。一般式(I)で示されるノボラック型エポキシ樹脂の割合が多くなりすぎると耐リフロークラック性が低下する傾向にあり、一般式(II)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂の割合が多くなりすぎると成形性が低下する傾向にある。
【0011】
本発明において用いられる(B)硬化剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているもので特に限定はないが、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、フェノール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、耐リフロークラック性の観点から下記一般式(III)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が好ましく、式(III)中のRが水素原子で、nが平均的に0〜8のものがより好ましい。この一般式(III)で示されるフェノール・アラルキル樹脂を使用する場合、その配合量は(B)硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。
【0012】
【化9】
(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基を示し、nは0〜8の整数を示す。)
【0013】
本発明における(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との配合比率は、それぞれの未反応分を少なく抑えるために全エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する全硬化剤の水酸基当量の比率(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)が0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.7〜1.5がより好ましい。特に硬化性、耐リフロークラック性に優れる成形材料を得るためにはこの比率が0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0014】
本発明において用いられる(C)硬化促進剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているもので特に制限はないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモリホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0015】
(C)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限はないが、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.005〜2重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。0.005重量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、2重量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
【0016】
本発明において用いられる(D)無機充填剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上のために封止用エポキシ樹脂成形材料に配合されるものであり、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物などが挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記の無機充填剤の中で、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、充填剤形状は成形時の流動性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
(D)無機質充填剤の配合量は、成形性、吸湿性、線膨張係数の低減及び強度向上の観点から、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して70重量%以上が好ましく、80〜95重量%がより好ましい。70重量%未満では耐リフロークラック性が低下する傾向があり、95重量%を超えると流動性が不足する傾向がある。
【0017】
本発明において用いられる(E)ゴム粒子としては、(a)オルガノシロキサン、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレート及び(c)ビニル化合物から得られる重合体であれば特に制限はないが、例えば、(a)オルガノシロキサン、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレート及び(c)ビニル化合物を重合開始剤及び架橋剤の存在下に、同時に重合して得られるランダム共重合体、多段階で反応して得られるグラフト共重合体等が挙げられる。なかでも封止用エポキシ樹脂成形材料中への分散性の観点からは、(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートから得られる共重合体に(c)ビニル化合物をグラフト重合させたグラフト共重合体が好ましく、このグラフト共重合体は、(a)オルガノシロキサン、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレート、(c)ビニル化合物の順序で反応させる方法、(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートを同時に反応した後に(c)ビニル化合物を反応させる方法等の一般的な方法により得ることができる。
【0018】
(E)ゴム粒子の製造方法は特に制限なく、従来公知の方法で製造することができる。例えば、まず(a)オルガノシロキサンと(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートと反応可能な官能基を有する架橋剤との混合物に乳化剤及び水を加えて乳化させたラテックスを、50℃〜90℃のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液中に攪拌しながら滴下して重合し、その後アルカリ性物質でドデシルベンゼンスルホン酸を中和してポリオルガノシロキサン成分のラテックスを調整する。次いで中和されたポリオルガノシロキサン成分のラテックスに(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートを添加し、公知のラジカル重合開始剤により重合して、(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートから得られる重合体のラテックスを得た後、(c)ビニル化合物を添加し、公知のラジカル重合開始剤によりグラフト重合して(a)オルガノシロキサン、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレート及び(c)ビニル化合物から得られるグラフト共重合体のラテックスを得る。グラフト重合が終了した後、得られたラテックスを塩化カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入して塩析、凝固することにより(E)ゴム粒子を得ることができる。
【0019】
(E)ゴム粒子の構成成分である(a)オルガノシロキサンとしては特に限定はなく従来公知のものを用いることができるが、3員環以上のオルガノシロキサン系環状体が好ましく、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(a)オルガノシロキサンとともにシラン化合物を併用することが好ましく、併用するシラン化合物としては特に制限はないが、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン等の3官能性又は4官能性のシラン化合物を1種又は2種以上用いることが好ましい。シラン化合物の使用量は、(a)オルガノシロキサンに対して0.01〜10重量%が好ましい。
【0020】
(E)ゴム粒子の構成成分である(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートとしては、特に限定はなく従来公知のものを用いることができるが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ラウリルアクリレート等及びこれらにアルキル基等が置換した化合物等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、封止用エポキシ樹脂成形材料中での(E)ゴム粒子の分散性、耐リフロークラック性及び耐熱衝撃性の観点からはn−ブチルアクリレートが好ましい。
置換基としては、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。置換位置としてはα位が好ましい。α位にメチル基が置換したアルキルアクリレート、すなわちアルキルメタクリレートとしては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−メチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等が挙げられる。
また、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートとともに多官能性アクリレートを併用することが好ましく、併用する多官能性アクリレートとしては特に制限はないが、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。多官能性アクリレートの使用量は、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートに対して0.01〜10重量%が好ましい。
【0021】
(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートと反応可能な官能基を有する架橋剤としては、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートと反応可能な官能基を有する架橋剤の使用量は、(a)オルガノシロキサンに対して0.01〜5重量%が好ましい。
【0022】
(E)ゴム粒子の構成成分である(c)ビニル化合物としては、特に限定はなく従来公知のものを用いることができるが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の置換又は非置換のアルキルアクリレート化合物、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有ビニル化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、封止用エポキシ樹脂成形材料中での(E)ゴム粒子の分散性、耐リフロークラック性及び耐熱衝撃性の観点からはメチルメタクリレート、スチレン及びアクリロニトリルの少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
(E)ゴム粒子中の(a)オルガノシロキサン、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレート及び(c)ビニル化合物の構成比は特に制限はないが、(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートの配合重量比(a)/(b)が5/95〜80/20であることが好ましい。配合重量比(a)/(b)が5/95未満では耐リフロークラック性の向上効果が不十分となる傾向があり、80/20を超えると流動性が低下する傾向がある。また、(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートに対する(c)ビニル化合物の配合重量比(c)/((a)+(b))が10/90〜80/20が好ましい。配合重量比(c)/((a)+(b))が10/90未満では封止用エポキシ樹脂成形材料中での(E)ゴム粒子の分散性が低下する傾向があり、80/20を超えると耐熱衝撃性が低下する傾向にある。
【0024】
本発明において用いられる(E)ゴム粒子の市販品としては、三菱レイヨン株式会社製商品名メタブレンSRK−200、メタブレンS−2001等のシリコーン/アクリル複合ゴムなどが挙げられ、これらをそのまま用いても、分級又は凍結粉砕して所望の二次粒子径に調整したものを用いてもよい。
メタブレンSRK−200及びメタブレンS−2001は、いずれも(a)オルガノシロキサン及び(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートから得られる共重合体に(c)ビニル化合物をグラフト重合させたグラフト共重合体で、(a)オルガノシロキサンとしては両者ともオクタメチルシクロテトラシロキサンを用い、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレートとしては両者ともn−ブチルアクリレートを用い、(c)ビニル化合物としてはメタブレンSRK−200がスチレン及びアクリロニトリルを、メタブレンS−2001がメチルメタクリレートをそれぞれ用いている。
【0025】
(E)ゴム粒子の粒子径は特に制限はないが、封止用エポキシ樹脂成形材料中でのゴム粒子の分散性と封止用エポキシ樹脂成形材料の流動性の観点からは、封止用エポキシ樹脂成形材料に配合される前の2次粒子の平均粒子径が500μm以下であることが好ましい。
また、封止用エポキシ樹脂成形材料中に分散した状態での(E)ゴム粒子の粒子径は、1〜200μmであることが好ましい。粒子径が1μmより小さいと耐リフロークラック性の向上効果が不十分となる傾向があり、200μmより大きい場合には流動性が低下して成形時の充填不良を引き起こしやすくなる傾向にある。
【0026】
(E)ゴム粒子の配合量は、耐リフロークラック性、硬化性及び耐熱衝撃性の向上効果が得られれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して5〜25重量%が好ましく、6〜20重量%がより好ましい。5重量%未満では耐リフロークラック性及び耐熱衝撃性の向上効果が不十分となる傾向があり、25重量%を超えると流動性が低下する傾向がある。
【0027】
本発明の封止用エポキシ成形材料には、(a)オルガノシロキサン、(b)置換又は非置換のアルキルアクリレート及び(c)ビニル化合物から得られる重合体である(E)ゴム粒子の他に、本発明の効果が得られる範囲内であれば、その他のゴム粒子を併用してもよい。併用できるその他のゴム粒子としては特に制限はないが、例えば、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等のコア−シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明の封止用エポキシ成形材料には、耐リフロークラック性の観点からは、(F)可塑剤をさらに配合することが好ましく、(F)可塑剤としてはその効果が得られれば特に制限はないが、例えば、ジトリデシルフテレート、ジ−2−エチルヘキシルフテレート、ジノルマルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジノルマルデシルフタレート等のフタレート系可塑剤、ブチルオレエート、ジエチルサクシネート、ジブチルセバケート等の脂肪酸系可塑剤、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等のアジペート系可塑剤、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリノルマルオクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリノルマルオクチルトリメリテート等のトリメリテート系可塑剤、ポリ1,3−ブタンジオールアジペート等のポリエステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系可塑剤、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、下記一般式(IV)で示されるリン酸エステル化合物等のホスフェート系可塑剤などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
【化10】
(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、全てが同一でも異なっていてもよい。Arは置換又は非置換の芳香族環を有する2価の有機基を示し、mは0〜2の整数を示す。)
【0030】
なかでも、耐湿信頼性と成形性の観点からは、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系可塑剤、及びトリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、上記一般式(IV)で示されるリン酸エステル化合物等のホスフェート系可塑剤が好ましく、エポキシ化大豆油及び上記一般式(IV)で示されるリン酸エステル化合物がより好ましい。上記一般式(IV)で示されるリン酸エステル化合物としては、例えば、下記一般式(V)〜(IX)で示される化合物等が挙げられ、なかでも一般式(VI)で示される化合物が好ましい。
【0031】
【化11】
【化12】
【0032】
(F)可塑剤の配合量は、本願発明の効果が得られれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して2〜18重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましい。2重量%未満では耐リフロークラック性の向上効果が不十分になる傾向があり、18重量%を超えると成形性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、難燃性を付与するために必要に応じて難燃剤を配合することができる。難燃剤としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、ブロム化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、リン酸エステル、赤燐、メラミン、メラミン誘導体、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等の燐/窒素含有化合物、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、フェロセン等の金属化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は、難燃効果が達成されれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して1〜30重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましい。
【0034】
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、ICの耐湿性、高温放置特性を向上させる目的で陰イオン交換体を必要に応じて配合することができる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、次式(X)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
【化13】
Mg1−XAlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O ……(X)
(0<X≦0.5、mは正の整数)
これらの陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
【0035】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるためのカップリング剤として、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知の添加剤を必要に応じて配合することができる。これらは単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤以外に、接着性を向上させるために、必要に応じて接着促進剤を配合することができる。特に、銅フレームと封止用エポキシ樹脂成形材料との接着性を向上させるために接着促進剤の配合は有効である。接着促進剤としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等及びこれらの誘導体、アントラニル酸、没食子酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アミノフェノール、キノリン等及びこれらの誘導体、脂肪族酸アミド化合物、ジチオカルバミン酸塩、チアジアゾール誘導体などが挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の着色剤、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、シリコーンオイルなどの応力緩和剤、などを必要に応じて本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料に配合することができる。
【0036】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使いやすい。
【0037】
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により封止した素子を備えた鉛フリーはんだ使用電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、ポリスイッチ等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。このような電子部品装置としては、例えば、42アロイ、銅リードフレーム、Ni−Pd−Auの3層めっき処理を施した銅リードフレーム(PPF)等のリードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプ等で接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファー成形法等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型ICパッケージ、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤーボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用でき、各種素子や電子部品をセラミック基板に搭載した後に全体を封止してなるハイブリットICについても優れた信頼性を得ることができる。
特に表面実装法により配線板に実装される電子部品装置に適用した場合、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は優れた信頼性を発揮でき、高温リフローが必要な鉛フリーはんだを使用した電子部品装置にも好適に用いられる。
【0038】
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて、電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
【0039】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1〜17、比較例1〜5
エポキシ樹脂として、エポキシ当量195、軟化点62℃のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1:住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190)、エポキシ当量210、融点120℃のスチルベン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2:住友化学工業株式会社製商品名ESLV−210)、硬化剤として水酸基当量174、軟化点68℃のフェノール・アラルキル樹脂(三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物、無機充填剤として平均粒径17.5μm、比表面積3.8m2/gの球状溶融シリカ、ゴム粒子としてシリコーン/アクリル複合ゴム(三菱レイヨン株式会社製商品名メタブレンSRK−200)、可塑剤として下記一般式(VI)で示されるリン酸エステル化合物(可塑剤1)又はエポキシ化大豆油(可塑剤2:旭電化工業株式会社製商品名O−130P)、難燃剤としてエポキシ当量375、軟化点80℃、臭素含量48重量%のビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3)及び三酸化アンチモン、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、その他の添加剤としてカルナバワックス(株式会社セラリカNODA製)及びカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)をそれぞれ表1及び表2に示す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例1〜17及び比較例1〜5の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
【0041】
【化14】
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
作製した実施例、比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の各試験により評価した。評価結果を表3及び表4に示す。
なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファー成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。
(1)スパイラルフロー(流動性の指標)
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
(3)耐リフロークラック性
Ni−Pd−Auの3層めっき処理を施した銅リードフレーム(PPF)上に8×10mmのシリコーンチップを搭載した外形寸法20×14×2mmの80ピンフラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、85℃、60%RHの条件で加湿した後、所定時間毎にIRリフロー装置(株式会社タムラ製作所製TRS35−20NS)を用いてパッケージ上下面の温度が10秒間260℃となるような条件で3回リフロー処理を行って、クラックの有無を観察し、試験パッケージ数(5)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(4)耐湿信頼性
線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した6×6×0.4mmのテスト用シリコーンチップを搭載した外形寸法19×14×2.7mmの80ピンフラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、前処理を行った後、加湿して所定時間毎にアルミ配線腐食による断線不良を調べ、試験パッケージ数(7)に対する不良パッケージ数で評価した。なお、前処理は85℃、85%RH、72時間の条件で加湿後、215℃、90秒間のベーパーフェーズリフロー処理を行った。その後の加湿は0.2MPa、121℃の条件で行った。
(5)耐熱衝撃性
上記(3)と同様に作製したパッケージに、熱衝撃試験装置(タバイエスペック社製THERMAL SHOCK CHAMBER TSA−70H)を用いて、150℃/15分、及び−65℃/15分の熱衝撃を加え、所定サイクル後のクラック発生の有無を観察し、試験パッケージ数(10)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
本発明における(E)ゴム粒子を含有しない比較例1〜5は、同じ樹脂組成の実施例と比較していずれも耐リフロークラック性及び耐熱衝撃性に劣っている。
これに対して、実施例1〜17はいずれも流動性、熱時硬度及び及び耐熱衝撃性が良好である。特に、(E)ゴム粒子を好適な配合量で好適な樹脂組成と組み合わせて用いた実施例2〜4及び6〜15は、いずれも耐リフロークラック性及び耐熱衝撃性に著しく優れ、なかでも、さらに(F)可塑剤を好適な配合量で用いた実施例7〜8及び11〜12は、熱時硬度と流動性のバランスにも優れている。
【0048】
【発明の効果】
本発明になる封止用エポキシ樹脂成形材料は、流動性、硬化性等の成形性が良好で、特に、Ni−Pd−Auの3層めっき処理を施した銅リードフレーム(PPF)を用いた電子部品装置に適用した場合、実施例で示したように260℃という厳しいリフロー温度条件下においても優れた耐リフロークラック性を示し、鉛フリーはんだを用いた場合でも信頼性の高い電子部品装置を得ることができるので、その工業的価値は大である。
Claims (8)
- (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤及び(E)ゴム粒子を必須成分とし、
(E)ゴム粒子が(a)オルガノシロキサン、(b)n−ブチルアクリレート及び(c)メチルメタクリレート、スチレン及びアクリロニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種のビニル化合物から得られる重合体である、封止用エポキシ樹脂成形材料。 - (F)可塑剤をさらに含有する請求項1記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (E)ゴム粒子が、(a)オルガノシロキサン及び(b)n−ブチルアクリレートから得られる共重合体に(c)ビニル化合物をグラフト重合させたグラフト共重合体である、請求項1又は請求項2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (E)ゴム粒子中の(a)オルガノシロキサン及び(b)n−ブチルアクリレートの配合重量比(a)/(b)が5/95〜80/20である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 一般式(I)で示されるエポキシ樹脂と一般式(II)で示されるエポキシ樹脂との配合重量比が2/8〜8/2である請求項5記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備えた電子部品装置。
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