JP4712716B2 - プロモーター機能を有するdna断片 - Google Patents

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Description

本発明は好気性コリネ型細菌内で機能するプロモーター機能誘導発現方法及びそのプロモーター機能を有するDNA配列に関する。さらに詳しくは、各種有機酸やエタノール等の有用物質生産を高効率に行うことを目的として、コリネ型細菌内で機能する各種遺伝子プロモーターの機能誘導発現強化及び/又は抑制方法、そして、そのプロモーター機能を有するDNA配列に関する。
従来よりコリネ型細菌は各種アミノ酸、乳酸やコハク酸等有用な有機化合物を製造するために用いられている工業的に重要な好気性グラム陽性細菌である。特に、コリネ型細菌は酸素供給を制限する等の方法により細胞分裂が抑制された条件に於いても物質生産を行う為の代謝経路が損なわれないと言う特異的な代謝機能を有している事より、コリネ型細菌に与えられた糖類等の栄養源が増殖に消費されずに効率的に目的生産物に振り向けられることになり、原料栄養源の有効利用が図れること、そして、細胞分裂が抑制されていることから来る目的物質生産技術制御の容易性等が、コリネ型細菌が工業的に注目されている由縁となっている。
このような特徴あるコリネ型細菌の機能をさらに高度に発揮させるには、目的物質生産に必要な各種蛋白遺伝子の効率的な高発現を図り、さらには、不要な蛋白遺伝子の発現の抑制を図ることが必要となる。そのためには、これら蛋白遺伝子に係わるプロモーター機能の強化及び/又は抑制を図ることのできる技術が重要となる。
コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するDNA断片についてはいくつかのDNA断片が知られている。
例えば、大腸菌由来のtacプロモーターよりも強いプロモーター機能を有するDNA断片がコリネ型細菌の染色体上より見出され、そのDNA配列が知られている。そして、プロモーター機能発現の制御方法としては培地に加える糖類やエタノール等の炭素源組成を変える方法が提案されている(特許文献1参照。)。
また、コリネ型細菌内で発現する特定の酵素蛋白(アスパルターゼ)遺伝子に関するプロモーターDNA配列が見出されている(特許文献2参照。)。しかし、そのプロモーター機能発現方法としては、「タンパク質をコードする遺伝子とともにプラスミドベクターに組み込まれ宿主コリネ型細菌に導入された時に、該遺伝子の発現強度の増加作用を有する」とのみ述べられており、プロモーター機能発現の強化方法や制御方法に関しては言及されていない。
また、コリネ型細菌内で機能する外来性及び内在性のL−グルタミン酸やL−リジン生産に関与する遺伝子のプロモーターが見出されているが(特許文献3参照。)、それらの機能発現強化方法については全く言及されていない。
L−リジンの生産にdapA遺伝子(ジヒドロジピコリン酸シンターゼ遺伝子)のプロモーターが突然変異誘発方法により機能強化されたコリネ型細菌を用いる技術が提案されている(特許文献4参照。)。しかし、嫌気条件下での機能強化については全く言及されていない。
プロモーター機能発現誘導方法に関しては、ピルビン酸により誘導され、かつ、酸素により抑制されるpfl(ピルビン酸ギ酸リアーゼ遺伝子)プロモーターを含有する組換えDNA配列(特許文献5)や酵母サッカロマイセス・セレビシェ(Saccharomayces cerevisiae)の2−デオキシグルコース−6−リン酸脱リン酸化酵素遺伝子の酸化的ストレス(過酸化脂質添加)、浸透圧ストレスそしてグルコース飢餓ストレス等のストレス応答性プロモーター(特許文献6)も知られている。特許文献6には各種遺伝子プロモーターの上記以外の誘導方法として、リン酸欠乏誘導法、銅添加誘導法等の化学物質誘導法や熱ショック誘導法等も言及されている。
上記した如く、各種のプロモーターDNA配列及びプロモーター機能の各種薬剤やストレスによる誘導発現方法が知られているが、本発明の嫌気条件下にある反応培地で誘導強化及び/又は誘導抑制され、コリネ型細菌内で機能するプロモーター機能制御方法やプロモーター機能を有するDNA断片は知られていない。
特開平7−95891号公報 特開平7−31478号公報 国際公開第95/23224号パンフレット 特開2001−61485号公報 特開平3−80088号公報 特開2000−78977号公報
好気性コリネ型細菌(組換え型を含む)は従来より好気条件下(各種アミノ酸)や嫌気条件下(乳酸、コハク酸やエタノール等)で有用な有機化合物の生産に用いられている。
本発明は、嫌気条件下での有用な有機化合物の生産のため、該条件下でのコリネ型細菌の機能を高度に効率的に発揮させるべく、機能発揮に係わるコリネ型細菌内の各種遺伝子プロモーター機能発現誘導化方法に関連し、さらに、詳しくは目的物質生産に必要な各種蛋白遺伝子の効率的な高発現を図り、不要な蛋白遺伝子の発現の抑制を図ることを目的として、これら遺伝子に係わるプロモーター機能の強化及び/又は抑制する方法を提供するものである。また、それら機能の強化及び/又は抑制されるプロモーター機能を有するDNA断片を提供しようとするものである。
本発明の技術を用いる事により、嫌気条件での有用物質生産を効率的に実施することが可能となる。
本発明者らは、コリネ型細菌の嫌気条件下での物質生産機能を高度に発揮させるには、それに係わるコリネ型細菌内の各種遺伝子プロモーター機能発現誘導化技術が重要と考え、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
遺伝子プロモーターは構成的プロモーターと誘導的プロモーターとに大別されるが、嫌気条件下で有用物質生産を行う場合には、構成的プロモーターの機能強化を図るよりも嫌気条件下で誘導されるプロモーター機能の発現制御技術を見出すことの方がよりターゲットとする遺伝子の発現を効率的に行なえるので、高効率な物質生産技術となる。
すなわち、目的物質生産に必要な各種蛋白遺伝子プロモーターの機能発現を誘導強化し、及び/又は不要な蛋白遺伝子プロモーターの機能発現を誘導抑制することで、コリネ型細菌内に目的生産物質へ特化(集約)された代謝経路を造り出し、不必要な代謝経路への物質の流れを抑制できる。具体的には、目的物質の生産性が向上し、副生成物等の不要な物質生成を抑えることができることになる。
各種遺伝子プロモーターの発現の程度は、例えば、DNAチップを用いるmRNA生成量の測定により定量的に知り得ることができ、好気条件下の生成量と嫌気条件下の生成量を比較する事により本発明のプロモーター機能を有するDNA断片を得ることができることを本発明者らは知見した。本発明者らは、さらに研究をすすめ本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は、
(1) 嫌気条件下において、好気性コリネ型細菌内で有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化及び/又は誘導抑制する、プロモーター機能を有するDNA断片、
(2) 有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化するプロモーター機能を有するDNA断片が次のいずれかのDNAである前記(1)に記載のDNA断片;
(a)配列表の配列番号(1)〜(394)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNA;
(b)配列表の配列番号(1)〜(394)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNAにおいて、1又は数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化するプロモーター機能を有するDNA;
(c)配列表の配列番号(1)〜(394)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化するプロモーター機能を有するDNA;又は
(d)配列表の配列番号(1)〜(394)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNAと少なくとも80%以上の相同性を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化するプロモーター機能を有するDNA、
(3) 有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導抑制するプロモーター機能を有するDNA断片が次のいずれかのDNAである前記(1)に記載のDNA断片;
(a)配列表の配列番号(395)〜(595)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNA;
(b)配列表の配列番号(395)〜(595)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNAにおいて、1又は数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導抑制するプロモーター機能を有するDNA;
(c)配列表の配列番号(395)〜(595)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導抑制するプロモーター機能を有するDNA;又は
(d)配列表の配列番号(395)〜(595)から選択される少なくとも一つの塩基配列を含むDNAと少なくとも80%以上の相同性を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導抑制するプロモーター機能を有するDNA、
(4) mRNAの発現量で示されるプロモーター機能発現の強化及び/又は抑制の程度が、好気条件下の反応培地で発現される量よりも少なくとも50%以上増大及び/又は減少していることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のDNA断片、
(5) 有用物質の生成に関与するタンパク質がコリネ型細菌内の代謝に係わる酵素であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のDNA断片、
(6) 酵素が、解糖経路、還元的トリカルボン酸経路、アナプレロティック経路、アミノ酸合成経路、プリン合成経路、ピリミジン合成経路、コレステロール合成経路、脂肪酸合成経路及びこれら経路より派生する経路に関与する少なくとも1の酵素又は補酵素であることを特徴とする前記(5)に記載のDNA断片、
(7) 有用物質が有機酸、アミノ酸、アルコール、ステロイド、核酸、脂肪酸又は生理活性物質であることを特徴とする前記(6)に記載のDNA断片、
(8) 有機酸が、ピルビン酸、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、2−オキソグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、イタコン酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、5−ケトグルコン酸、D−アラボアスコルビン酸、コウジ酸、テトラデカン−1,14−ジカルボン酸、クミン酸及びイノシン酸から選択される少なくとも1の有機酸であることを特徴とする前記(7)に記載のDNA断片、
(9) アミノ酸が、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニールアラニン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、セリン、アスパラギン、グルタミン、ヒドロキシリシン、シスチン、メチオニン、トリプトファン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸(GABA)、ホモシステイン、オルニチン、5−ヒドロキシトリプトファン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(ドーパ)、トリヨードチロニン、4−ヒドロキシプロリン及びチロキシンから選択される少なくとも1のアミノ酸であることを特徴とする前記(7)に記載のDNA断片、
(10) アルコールが、メタノール、エタノール及びブタノールから選択される少なくとも1のアルコールであることを特徴とする前記(7)に記載のDNA断片、及び
(11) 好気性コリネ型細菌が、嫌気条件下、反応培地の酸化還元電位を−200ミリボルト乃至−500ミリボルトにおいて培養されることを特徴とする、前記(1)に記載のプロモーター機能を有するDNA断片のプロモーター機能を誘導する方法、
に関する。
本発明のプロモーター機能を有するDNA断片は、嫌気条件下での有用物質生産に必要なターゲット遺伝子を高効率に高発現でき、不要な遺伝子の発現を抑制できるので、目的とする有用物質を高効率で生産できる。すなわち、目的とする有用物質生産に必要な各種蛋白遺伝子プロモーターの機能発現強化を図り、又は不要な蛋白遺伝子プロモーターの機能発現抑制を図ることで、コリネ型細菌内に目的生産物質へ特化(集約)された代謝経路を造り出し、不必要な代謝経路への物質の流れを抑制できる。具体的には、目的物質の生産性が向上し、副生成物等の不要な物質生成を抑えることができることになる。
本発明のプロモーター機能を有するDNA断片は、発現強化又は抑制すべき目的とする有用物質を生産するタンパク質(例えば酵素等)をコードする遺伝子の上流に位置して機能するように、コリネ型細菌内で自律複製が可能なプラスミドや染色体上に導入すれば、嫌気条件下において、目的とする有用物質を効率的に高生産できるコリネ型細菌の形質転換体を創製することができる。
本発明のプロモーター機能を有するDNA断片を使用して形質転換されたコリネ型細菌は乳酸やコハク酸等の有機酸又は、アルコールやアミノ酸等の有用物質を高効率に高生産する。精製された有用物質は高分子合成原料又は医薬原料として、あるいは化粧品用途そして食品添加剤用途等広い分野で使用できる。
図1はCy3及びCy5の蛍光シグナル強度の相関を示す。
本発明において、「プロモーター」とは、遺伝子の転写を開始するためにRNAポリメラーゼが特異的に結合するDNA上の領域をいう。「プロモーター機能を有するDNA断片」とは、好気性コリネ型細菌の染色体DNAから得られるDNA断片又は人工的に合成されるDNA断片であり、該DNA断片は遺伝子の転写を開始する機能、すなわち遺伝子の転写能力を有しており、該DNA断片中に上記プロモーターが含まれていると推定されるDNA断片を意味する。
また、プロモーター機能の発現に関して、「誘導」なる語句は一般的にはその発現が強化される場合に使用されることが多いが、本発明では細胞内外の要因によりその発現の増大又は減少が誘発されることの意味で「誘導」なる語句が使用される。また、その程度はmRNAの発現量によって示すことができる。
従って、本発明における「誘導強化」とは、反応培地が特定の条件(嫌気条件)下にあるため、誘発されるプロモーター機能を有するDNA配列の発現が増大、即ち強化されることを意味し、mRNAの発現量で示されるプロモーター機能発現の程度が、好気条件下の反応培地で発現される量よりも、少なくとも約50%以上、好ましくは約100%以上に強化されることをいう。
「誘導抑制」とは、反応培地が特定の条件(嫌気条件)下にあるため、誘発されるプロモーター部位を含むDNA配列の発現が減少、即ち、抑制されることを意味し、mRNAの発現量で示されるプロモーター機能発現の程度が、好気条件下の反応培地で発現される量よりも、少なくとも約50%以上、好ましくは約90%程度にまで減少しているものをいう。
本発明で使用されるコリネ型細菌とは、バージーズ・マニュアル・デターミネイティブ・バクテリオロジー(Bargeys Manual of Determinative Bacteriology,第8巻,p.599、1974年)に定義されている一群の微生物のことをいう。
具体的には、コリネバクテリウム属菌、ブレビバクテリウム属菌、アースロバクター属菌、マイコバクテリューム属菌又はマイクロコッカス属菌等が挙げられる。
さらに具体的には、コリネバクテリウム属菌としては、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)FERM P−18976、ATCC13032、ATCC13058、ATCC13059、ATCC13060、ATCC13232、ATCC13286、ATCC13287、ATCC13655、ATCC13745、ATCC13746、ATCC13761、ATCC14020又はATCC31831等が挙げられる。
ブレビバクテリウム属菌としては、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)ATCC13869、ブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)MJ−233(FERM BP−1497)もしくはMJ−233AB−41(FERM BP−1498)、又はブレビバクテリウム アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)ATCC6872等が挙げられる。
アースロバクター属菌としては、アースロバクター グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)ATCC8010、ATCC4336、ATCC21056、ATCC31250、ATCC31738又はATCC35698等が挙げられる。
マイクロコッカス属菌としては、マイクロコッカス フロイデンライヒ(Micrococcus freudenreichii)No.239(FERM P−13221)、マイクロコッカス ルテウス(Micrococcus luteus)No.240(FERM P−13222)、マイクロコッカス ウレアエ(Micrococcus ureae)IAM1010又はマイクロコッカス ロゼウス(Micrococcus roseus)IFO3764等が挙げられる。
本発明で用いられる好気性コリネ型細菌としては、Corynebacterium glutamicum R (FERM P−18976)、Corynebacterium glutamicum ATCC13032等が特に好ましい。
また、本発明で用いられる好気性コリネ型細菌としては自然界に存在する野生株の変異株(例えば、FERM P−18977,FERM P−18978株等)であってもよく、また遺伝子組換え等のバイオテクノロジーを利用した人為株(例えば、FERM P−17887、FERM P−17888、FERM P−18979等)であってもよい。
本発明において、下記手法に用いる好気条件下のコリネ型細菌細胞は、上述したコリネ型細菌を好気条件下で増殖培養することにより取得する。
コリネ型細菌の培養は、炭素源、窒素源及び無機塩等を含む通常の栄養培地を用いて行うことが出来る。培養には、炭素源として、例えばグルコース又は廃糖蜜等を、そして窒素源としては、例えばアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム又は尿素等をそれぞれ単独もしくは混合して用いることが出来る。また、無機塩として、例えばリン酸一水素カリウム、リン酸ニ水素カリウム又は硫酸マグネシウム等を使用することが出来る。この他にも必要に応じて、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カザミノ酸又はビオチンもしくはチアミン等の各種ビタミン等の栄養素を培地に適宜添加することも出来る。
培養は、ジャーファーメンターを用いてエアーを通気しながら培養し、DO(溶存酸素濃度)が6ppm以上の好気条件下の細胞を集菌回収することにより得ることができる。培養温度は、約20℃〜40℃、好ましくは約25℃〜35℃の温度で行うことが出来る。培養時のpHは約5〜10付近、好ましくは約7〜8付近の範囲がよく、培養中のpH調整は酸又はアルカリを添加することにより行うことが出来る。培養開始時の炭素源濃度は、約1〜20%(W/V)、好ましくは約2〜5%(W/V)である。
嫌気条件下のコリネ型細菌細胞の取得方法としては、上述のジャーファーメンター等を用いて好気的に培養した菌体を、洗菌、回収する方法等が挙げられる。上記の如くして得られる培養物から培養菌体を回収分離する方法としては、特に限定されず、例えば遠心分離や膜分離等の公知の方法を用いることができる。ついで、上記の如くして得られる培養物から回収分離されたコリネ型細菌の培養菌体は、例えば特開2004−194570号公報で開示されている方法と同様の、還元状態下(反応液の酸化還元電位が約−200ミリボルト乃至−500ミリボルト)での有機化合物の生成反応条件下に供せられ、分離、回収される。このようにして取得された菌体を嫌気条件下コリネ型細菌細胞として本発明に用いることができる。
本発明に係る嫌気条件下で誘導強化又は誘導抑制するプロモーター機能を有するDNA断片の取得方法としては、好気条件下のコリネ型細菌細胞と嫌気条件下のコリネ型細菌細胞それぞれからmRNAを抽出して、全遺伝子対応のDNAチップを用いて、網羅的に細胞内の個々のmRNA量変化を解析する方法によって行うのが最も効率的である。
本発明に係る嫌気条件下で誘導強化するプロモーター機能を有するDNA断片としては、例えば配列表の配列番号(1)〜(394)で示されるDNA断片等が挙げられ、誘導抑制するプロモーター機能を有するDNA断片には、上記した配列番号(395)〜(595)に示されるDNA断片等が挙げられる。
上記した配列番号に示される各DNA配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化又は誘導抑制するプロモーター機能を有するDNAが含まれる。塩基配列について、「1又は数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加」というときは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の技術的方法により、又は天然に生じうる程度の数(1〜数個)の塩基が、欠失、置換、若しくは付加等されていることを意味する。
また本発明に係る嫌気条件下でプロモーター機能を有するDNA断片には、上記した配列番号に示される各DNA断片と、それぞれ相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化又は誘導抑制するプロモーター機能を有するDNAが含まれる。ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとは、上記DNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味する。ストリンジェントな条件とは、例えば、塩濃度、約0.1〜2倍程度の濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる。)、温度約65℃程度でのハイブリダイズ条件をいう。
さらに本発明に係る嫌気条件下でプロモーター機能を有するDNA断片には、上記した配列番号に示される各DNA配列と、それぞれ少なくとも約80%以上の相同性を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化又は誘導抑制するプロモーター機能を有するDNAが含まれる。相同性を有するDNAとは、ハイストリンジェントな条件において、好ましくは約80%以上の相同性を有するDNA、より好ましくは、約90%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するDNAをいう。なお、ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM程度、好ましくは約19〜20mM程度で、温度が約50〜70℃程度、好ましくは約60〜65℃程度の条件をいう。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃程度の場合が最も好ましい条件である。
本発明に係る嫌気条件下でプロモーター機能を有するDNA断片における、プロモーター機能の強化又は抑制の程度は、mRNAの発現量を指標とすることができる。例えば「発現の強化」とは、コリネ型細菌の嫌気的条件下での反応培地でのmRNAの発現量が、好気的条件下の反応培地でのmRNAの発現量よりも少なくとも約50%以上増大、すなわち約1.5倍以上に増大することをいう。また、「発現の抑制」とは、コリネ型細菌の嫌気的条件下での反応培地でのmRNAの発現量が、好気的条件下の反応培地でのmRNAの発現量よりも少なくとも約50%以上減少、すなわち約1/2以下に減少することをいう。
本発明に係る非好気条件下で誘導強化又は誘導抑制するプロモーター機能を有するDNA断片の取得方法としては、好気条件下のコリネ型細菌細胞と非好気条件下のコリネ型細菌細胞それぞれからmRNAを抽出して、全遺伝子対応のDNAチップを用いて、網羅的に細胞内の個々のmRNA量変化を解析する方法が最も効率的である。
上記DNAチップは、例えばコリネ型細菌(C.glutamicum R株)の全ゲノム解析(野中 寛、中田 かおり、岡井 直子、和田 真利子、佐藤 由美子、Kos Peter、乾 将行、湯川 英明 「Corynebacterium glutamicum R ゲノム解析」 日本農芸化学会、2003年4月、横浜、日本農芸化学会2003年度大会講演要旨集、p20参照)から得られた遺伝子情報に基づき、PCRによりそれぞれの遺伝子ORF(オープンリーディングフレーム)を増幅し、増幅されたDNA断片をアレイスライドにスポットし、例えばTakaraアレイスライド標準法等により固定化処理することにより作製できる。
コリネ型細菌細胞からのトータルRNAの抽出方法は、例えば細胞縣濁液をリゾチーム処理、ガラスビーズを加えて振動破砕する、例えばQIAGEN RNeasy Mini Kit(Qiagen社製)により行うことができる(詳細は実施例に記載した。)。また、前記キットの他、市販のRNA抽出キット例えばMORA−EXTRACT(コスモ・バイオ社製)、Total RNA Isolation Mini Kit(Agilent社製)、RNA isolation Kit(Stratagene社製)、アイソジェン(ニッポンジーン社製)、トライゾール(Invitrogen社製)、QuickPick mRNA−mini kit(BIO NOBILE社製)等も好ましく使用できるが、これらに限定されない。
DNAチップに用いるプローブのラベル化は、通常の方法であるトータルRNAを鋳型として、ランダムプライマーによるcDNA合成とマーカー(例.蛍光標識または放射性同位元素など)標識を行うことにより作成できる。本発明においては、前記トータルRNAとしては、好気条件下のコリネ型細菌細胞から抽出したトータルRNA(Cy5)または嫌気条件下のコリネ型細菌細胞から抽出したRNA(Cy3)が用いられる。
DNAチップのハイブリダイゼーション、洗浄及び乾燥は、データのばらつきを極力抑えるために、例えばAmersham Biosciences Lucidea SlidePro等により自動化処理することが好ましい。
検出した画像データは、例えばAxon Instruments GenePix Pro 5.0等により数値化および正規化を行うのがよい。実験は、少なくとも3回の実験データを平均化した値を採用するのが好ましい。
得られたデータ(Ratio of Meands(Cy3/Cy5);非好気条件下シグナル強度/好気条件下シグナル強度)が、約1.5倍(約50%上昇)以上又は約0.5倍(約50%降下)以下のサンプルに対応する遺伝子をゲノム情報から抽出し、その各遺伝子の開始コドンの1bp上流から、その遺伝子の上流遺伝子の末端(同方向転写の場合;上流遺伝子の終始コドンの1bp下流まで。逆方向転写遺伝子の場合;上流遺伝子の開始コドンの1bp上流まで)までの配列を誘導プロモーターとして選択できる。
有用物質の生成に関与するタンパク質としては、コリネ型細菌内の代謝に係わる酵素が好ましい。このような酵素としては、例えば解糖経路、還元的トリカルボン酸経路、アナプレロティック経路、アミノ酸合成経路、プリン合成経路、ピリミジン合成経路、コレステロール合成経路又は脂肪酸合成経路、あるいはこれら経路より派生する経路等に関与する酵素が挙げられ、解糖経路、還元的トリカルボン酸経路、アナプレロティック経路又はアミノ酸合成経路に関与する酵素がより好ましい。
解糖経路に関与する酵素としては、例えばヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、ホスホフルクトースキナーゼ、アルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グリセリンアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、ホスホグリセロムターゼ、エノラーゼ又はピルビン酸キナーゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。
還元的トリカルボン酸経路に関与する酵素としては、例えばピルビン酸シンターゼ、クエン酸シンターゼ、アコニット酸ヒドラターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、2−オキソグルタル酸デヒドゲナーゼ、スクシニルCoAシンターゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、フマル酸ヒドラターゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、イソクエン酸リアーゼ又はリンゴ酸シンターゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。
アナプレロティック経路に関与する酵素としては、例えばピルビン酸カルボキシラーゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ又はホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。
アミノ酸合成経路に関与する酵素としては、アミノ酸シンターゼ、アミノ酸シンテターゼなどを含むアミノ酸を生じるすべての酵素が挙げられる。具体的には、例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アスパラギナーゼ、グルタミン酸−アラニンアミノトランスフェラーゼ、ホスホグリセリン酸デヒドロキナーゼ、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ、ホスホセリンホスファターゼ、セリンデヒドラターゼ、グリシンヒドキシメチルトランスフェラーゼ、グリシンシンターゼ、トレオニンアルドラーゼ、トレオニンデヒドラターゼ、トレオニンシンターゼ、ホモセリンキナーゼ、ホモセリンデヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、シスチンレダクターゼ、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、グルタミンシンテターゼ、リガーゼ、アスパラギンシンテターゼ又はトリプトファンシンターゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。
プリン合成経路に関与する酵素としては、例えば、ペントースリン酸回路に関与する酵素(例.グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ラクトナーゼ、6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リブロース酸3−エピメラーゼ、リボースリン酸イソメラーゼ等)、リボースリン酸ピロホスホキナーゼ、アミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、グリシンアミドリボチドシンターゼ、グリシンアミドリボチドホルミルトランスフェラーゼ、ホルミルグリシンアミドリボチドシンテターゼ、AIR(5−アミノイミダゾールリボチド)シンテターゼ、5−アミノイミダゾール−4−(N−スクシノカルボキサミド)リボチドシンテターゼ、アデニロコハク酸リアーゼ、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボチドホルミルトランスフェラーゼ、イノシン一リン酸(IMP)シクロヒドロラーゼ、アデニロコハク酸シンターゼ、アデニロコハク酸リアーゼ、アデニル酸キナーゼ、IMPデヒロゲナーゼ、GMP(グアノシン5’−リン酸)シンテターゼ、グアニル酸キナーゼ等が挙げられる。
ピリミジン合成経路に関与する酵素としては、例えば、カルバモイルリン酸シンターゼII、アスパラギン酸カルバモイルトランスフェラーゼ、ジヒドロオロターゼ、オロト酸レダクターゼ、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ、オロト酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、OMP(オロチジン一リン酸)デカルボキシラーゼ、シチジンデアミナーゼ、ウリジンホスホリターゼ、デオキシウリジンホスホリラーゼ、ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ、ジヒドロピリミジナーゼ又はチミジンホスホリラーゼ等が挙げられる。
コレステロール合成経路に関与する酵素としては、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ、ラノステロールシンターゼ等が挙げられる。
脂肪酸合成経路に関与する酵素としては、例えば、脂肪酸シンターゼ、長鎖脂肪酸アシル化補酵素A、アセチルCoAカルボキシラーゼ、アシルトランスフェラーゼ等が挙げられる。
上記各経路より派生する経路に関与する酵素としては、例えばピルビン酸から乳酸をつくる乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸からアルコールを生成するピルビン酸デカルボキシラーゼ又はアルコールデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸から酢酸をつくるピルビン酸オキシダーゼ等が挙げられ、またグリオキシル回路におけるリンゴ酸シンターゼ又はイソクエン酸リアーゼ等も挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のプロモーター機能を有するDNA断片は、上記有用物質の生成に関与するタンパク質をコードする遺伝子の上流に位置するよう、コリネ型細菌内で自律複製が可能なプラスミドや染色体上に導入されるのがよい。このように有用物質の生成に関与するタンパク質をコードする遺伝子の上流にプロモーター機能を有するDNA断片を配することにより、嫌気条件下において、目的とする有用物質を効率的に高生産できる。
また、本発明においては、上記有用物質の生成に関与するタンパク質をコードする遺伝子のかわりにコリネ型細菌が有しない発現遺伝子、例えば植物で生産される有用タンパク質をコードする遺伝子などを配することもできる。
有用物質としては、例えば有機酸、アミノ酸、アルコール、ステロイド、核酸、脂肪酸又は生理活性物質等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、ピルビン酸、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、2−オキソグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、イタコン酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、5−ケトグルコン酸、D−アラボアスコルビン酸、コウジ酸又はテトラデカン−1,14−ジカルボン酸又はクミン酸等が挙げられる。また、有機酸には、例えばイノシン酸等のプリンヌクレオチドも含まれるが、これらに限定されない。
アミノ酸としては、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニールアラニン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、セリン、アスパラギン、グルタミン、ヒドロキシリシン、シスチン、メチオニン又はトリプトファン等が挙げられる。また、本発明においては、例えばβ−アラニン、γ−アラニン(GABA)、ホモシステイン、オルニチン、5−ヒドロキシトリプトファン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(ドーパ)、トリヨードチロニン、4−ヒドロキシプロリン又はチロキシン等の特殊アミノ酸もアミノ酸に含まれるが、これらに限定されない。
アルコールとしては、アルコール発酵により生産されるアルコールであればいずれも好ましく、例えばメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられるが、これらに限定されない。
ステロイドとしては、ペルヒドロシクロペンタノフェナントレン骨格を基本構造にもつもの、例えば、コレステロール、コール酸類(例.タウロコール酸、グリココール酸等)、性ホルモン(例.黄体ホルモン、男性ステロイド、卵胞ステロイド等)又は副腎皮質ホルモン(例.コルチゾール、コルチコステロン、アルドステロン等)などが挙げられる。また、植物性のサポニン類やジギトキシン等も含まれるが、これらに限定されない。
核酸としては、例えば、RNA又はDNAが挙げられる。
脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ミリスチン酸又はステアリン酸等が挙げられる。また、脂肪酸には、例えばスフィンゴイド、プロスタグランジン、アラキドン酸又はエイコサテトラエン酸等も包含されるが、これらに限定されない。
生理活性物質としては、例えばホルモン(例.インスリン、成長ホルモン、ACTH,オキシトシン、バソプレシン、チロキシン、TRH,LHRH等)、ビタミン類(例.ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、パンテトン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンK等)、ヒスタミン、セロトニン又はインターロイキン等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明の有用物質は、上記したものに限定されず、本発明のコリネ型細菌で生成される物質であればいずれも好ましく利用することができる。
以下に具体的実施例を挙げ、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに特に限定されることはない。
好気条件下及び嫌気条件下のコリネ型細菌細胞の取得
(1)コリネ型細菌Corynebacterium glutamicum R(FERM P−18976)の好気条件による培養:
(培養基の調製);尿素2g、硫安7g、KHPO 0.5g、KHPO 0.5g、MgSO・7HO 0.5g、FeSO・7HO 6mg、MnSO・7HO 4.2mg、Biotin(ビオチン)200μg、塩酸チアミン200μg、酵母エキス2g、カザミノ酸7g、蒸留水1000mLからなる培地500mLを容量1Lフラスコに分注し、120℃で10分間加熱滅菌後、室温に冷却した該フラスコを種培養基とした。同じく同組成の培地1000mLを2L容ガラス製ジャーファーメンターに入れ、120℃、10分間加熱滅菌し、本培養基とした。
(培養):上記種培養基1ケに、コリネ型細菌Corynebacterium glutamicum R(FERM P−18976)を無菌条件下にて接種し、33℃にて12時間好気的振盪培養を行い、種培養液とした。この種培養液50mLを上記ジャーファーメンターに接種し、通気量1vvm(Volume/Volume/Minute)、温度33℃で培養を開始した。溶存酸素濃度(DO)は7付近からスタートし、増殖と共にDOが徐々に低下し始めるので、DO値が6に達した時点でコリネ型細菌を回収し、好気条件下のコリネ型細菌細胞とした。一方、好気的培養はそのまま継続し、一昼夜培養を実施した。培養液200mLを遠心分離機にかけ(5000回転、15分)、上澄み液を除去した。このようにして得られたwet菌体を、以下の反応に用いた。
(2)嫌気反応用反応溶液の調製:
硫安7g、KHPO 0.5g、KHPO 0.5g、MgSO・7HO 0.5g、FeSO・7HO 6mg、MnSO・7HO 4.2mg、Biotin(ビオチン)200μg、塩酸チアミン200μg、蒸留水1000mLからなる反応原液を調製し、120℃で20分間、オートクレーブした。この反応原液500mLを容量1Lのガラス製反応容器に導入した。この反応容器はpH調整装置、温度維持装置、容器内反応液攪拌装置及び還元電位測定装置を備えている。
(3)反応の実施:
前記培養後調製されたコリネ型細菌菌体を反応容器内の反応原液500mLに懸濁した。グルコース200mMを加え、反応温度33℃に維持し、有機化合物生成反応を開始した。反応時の酸化還元電位は初期−200mVであったが反応開始後直ちに低下し、−400mVに維持して反応が継続された。4時間反応後、菌体を回収し、嫌気条件下のコリネ型細菌細胞とした。尚、このときの反応培地溶液を液体クロマトグラフィーを用いて分析したところ、乳酸186mM(16.7g/L)(これは3時間後の値)が生成していた。
嫌気条件下で誘導促進又は誘導抑制されるプロモーターの選抜
(1)好気条件下及び嫌気条件下のコリネ型細菌細胞からのトータルRNAの抽出
RNAの抽出は、QIAGEN RNeasy Mini Kit (Qiagen)により行った。実施例1で回収した好気条件下及び嫌気条件下のコリネ型細菌細胞を、回収後ただちにQIAGEN RNA protect Bacteria Reagentを培養液の2倍量加え、よく攪拌後、室温で5分間インキュベートすることによりRNAを安定化させた。遠心後、上清を取り除き、β−mercaptoethanolを含んだRLT Buffer(QIAGEN RNeasy Mini Kit)で最終濃度が15−20 dry cell weight/Lになるように懸濁した。2mL FastPrep Tube(Qbiogene,Inc.CA,USA)に0.1mm zirconia/silica beads(BioSpec Products,Inc.)0.5mgと細胞懸濁液1mLを入れFastPrep・FP120(Qbiogene)でspeed 6.0、45秒破砕後、氷中で1分間冷却する操作を3回繰り返すことにより、菌体の機械的破砕を行った。15,000rpmで2分間遠心後、上清を別の容器に移し、上清の0.56倍の99%EtOHを添加しゆっくり混合した。RNeasy mini columnにサンプルをアプライし、10,000rpmで15秒間遠心後、排出液を捨てた。350μLのBuffer RW1をカラムにアプライし室温で5分間静置後、洗浄のため10,000rpmで15秒間遠心し、排出液を捨てた。RNase−Free DNase Setを用いてカラム上で混入ゲノムDNAの分解を行った。10μLのDNase Iストック溶液をBuffer RDD 70μLに添加したDNaseI溶液をカラムにアプライし、室温で15分間インキュベートし、DNA分解を行った。350μLのBuffer RW1をカラムにアプライし室温で5分間放置後、10,000rpmで15秒間遠心し、排出液を捨てた。カラムに500μLのBuffer RPEを添加し、10,000rpmで15秒間遠心し、排出液を捨てた。もう一度、カラムに500μLのBuffer RPEを添加し、10,000rpmで2分間遠心し、排出液を捨てた。Buffer RPEを完全に除去するため、15,000rpmで1分間遠心した。溶出のため、カラムを新しい1.5mLチューブに移し、60μLのRNase free waterを添加後、15,000rpmで1分間遠心した。より高濃度のRNAを得るため、溶出液をもう一度カラムに添加し、15,000rpmで1分間遠心した。
RNAの濃度は、分光光度計でO.D.260の吸光度を測定することにより算出した(O.D.260 x 40μg/mL)。また、それぞれのサンプルは95℃、5分の熱変性後、アガロースゲル電気泳動を行い、DNAの混入と、RNAの分解の有無を調べた。全てのサンプルはO.D.260/O.D.280の値が1.8−2.1の範囲内であることを確認した。
(2)全遺伝子対応DNAチップ製作
DNAチップはスタンフォード方式を採用した。C.glutamicum R株の全ゲノム解析(野中 寛、中田 かおり、岡井 直子、和田 真利子、佐藤 由美子、Kos Peter、乾 将行、湯川 英明「Corynebacterium glutamicum R ゲノム解析」日本農芸化学会、2003年4月、横浜、日本農芸化学会2003年度大会講演要旨集、p20参照)から3080個の遺伝子の存在を推定している。該遺伝子(ORF)情報に基づき、各遺伝子の開始コドンの3塩基目(ATG)から下流へ20塩基の配列と終止コドンの1塩基目(TAA)から上流へ20塩基の配列を対とするPCRプライマーを全遺伝子に対して設計し、PCRによりそれぞれの遺伝子ORF配列を含むDNA断片を増幅した。増幅産物は1%アガロースゲル上で電気泳動を行うことにより、単一バンドで目的サイズを示すことを確認した。複数のバンドが確認された場合はアニーリング温度等、PCR条件を最適化することで単一バンドが得られるよう、繰り返し実験を行った。最終的に得られたDNA試料は、スポッターにより1×3 inchのTakara Slideにスポッテイング後、Takaraアレイスライド標準法にて固定化処理された。定量性を得るために、各遺伝子について2点のスポットを行った。
(3)DNAチップ解析
DNAチップは、Corynebacterium glutamicum R株のトータルRNAを鋳型として、ランダムプライマー(9mer)によるcDNA合成と蛍光標識(Cy5は好気条件下のコリネ型細菌細胞から抽出したトータルRNAを、Cy3は嫌気条件下のコリネ型細菌細胞から抽出したRNAを用いた)を行い、ラベル化プローブを作成した。cDNA合成及び標識反応にはAmersham Biosciences CyScribe cDNA Post Labelling Kit(Amersham Biosciences Corp.USA)を使用し、プロトコールに従った。8μLの全RNA(30μg)に3μLのrandom nonamer primersを加え、70℃で5分間加熱後、室温に10分間放置し、プライマーをRNAにアニーリングさせた。このRNAに、反応試薬(5x CyScript buffer,4μL,0.1M DTT,2μL,CyScribe Post−Labelling nucleotide mix,1μL,CyScribe Post−Labelling Amino Allyl−dUTP,1μL,100U/μL CyCcript reverse transcriptase,1μL)を加え42℃で3時間インキュベートした。反応液を氷上で冷却後、RNAをアルカリ分解するために、2.5M NaOHを2μL添加し、37℃で15分間インキュベートした。次に2M HEPES Bufferを10μL添加することにより中和した。CyScribe GFX Purification Kit(Amersham Biosciences)を用いてAA修飾cDNAプローブの精製を行った。精製操作の際の遠心は全て室温で行った。反応液を500μLのCapture Bufferと混合後、GFXカラムにアプライし、13,800×gで30秒間遠心した。排出液を捨て、600μLの80%EtOHをカラムに加え、13,800×gで30秒間遠心する操作を3回繰り返した。カラムを13,800×gで10秒間遠心後、カラムを新しい1.5mLチューブに移し、0.1M NaHCO(pH9.0)を60μL添加し室温で5分間静置した。13,800×gで1分間遠心後、高濃度の溶液を回収するため、溶出液をもう一度カラムに添加し、13,800×gで1分間遠心した。精製後の反応液をCy3又はCy5 reactive dyeの入っているチューブに加え、完全に溶解後、遮光して室温で3時間インキュベートした。
4M Hydroxylamine HClを15μL添加し、攪拌して混合後、遮光して室温で15分間インキュベートした。CyScribe GFX Purification Kit(Amersham)を用いてCyDye標識cDNAの精製を行った。反応液を500μLのCapture Bufferと混合後、GFXカラムにアプライし、13,800×gで30秒間遠心した。排出液を捨て、600μLのWash Bufferをカラムに加え、13,800×gで30秒間遠心する操作を3回繰り返した。カラムを13,800×gで10秒間遠心後、カラムを新しい1.5mLチューブに移し、60μLのElution Bufferを添加し室温で5分間静置した。13,800×gで1分間遠心後、高濃度の溶液を回収するため、溶出液をもう一度カラムに添加し、13,800×gで1分間遠心し、精製済みのCyDye標識cDNAプローブを回収した。Cy3及びCy5標識cDNAを1本のチューブに入れ、100μLの2x Hybridizatiion buffer(12x SSC,0.4%SDS,10 x Denhardt’s solution,0.2mg/mL denatured salmon sperm DNA)を添加し、95℃で2分間加熱後、室温で冷却した。マイクロアレイのハイブリダイゼーション、洗浄及び乾燥の工程はLucidea SlidePro(Amersham Biosciences Corp.USA)を用いて行った。ハイブリダイゼーションは、60℃で14時間行った。洗浄は、Wash 1(2xSSC,0.2%SDS)で6分、Wash 2(0.2xSSC,0.2%SDS)で6分、Wash 3(0.2xSSC)で2回、イソプロパノールで一回行った。
(4)マイクロアレイデータ解析
マイクロアレイの蛍光シグナルはFUJIFILM Fluorescent Image Analyzer FLA−8000(Fuji,Tokyo,Japan)により検出、画像化を行った。検出条件は、Cy5を635nm、Cy3を532nmで行った。検出した画像データはAxon Instruments GenePix Pro 5.0(Axon Instruments,Inc.,CA,USA)を用いて数値化及び正規化を行った。チャンネル毎に色調(Cy5;緑,Cy3;赤)を調節し、画像を合成した後、スポットをグリッドで囲み数値化を行った。正規化は、global normalizationを採用した。比較する細胞間で全遺伝子の発現強度の総和は同じであると仮定し、Cy5とCy3の全シグナルの蛍光強度比の中央値(Median)が等しくなるように、アレイ全体の蛍光強度比を修正(正規化)した。また、再現性、定量性に欠けると思われるスポット(スポットのサイズが半分以下のもの、汚れや傷が入っているもの、バックグラウンドが高くなっている領域のもの)は、解析段階において値を除外した。GenePix Proにより算出された値から、Ratio of Meands(Cy3/Cy5)を発現比率として用いた。
(5)嫌気条件下において誘導強化プロモーター及び誘導抑制プロモーターの選抜
上記(4)で得た発現比率をスキャッタープロットで表した(図1参照)。中央の斜線はCy3/Cy5の値が1、つまり培養条件の違いにより遺伝子発現の増減が無い事を表している。一方、これを挟む様に位置する二本の斜線はCy3/Cy5の値が2もしくは0.5となり、2倍の増減を表している。この実験は複数回実施し、再現性良くデータが得られることを確認した。
このRatio of Meands(Cy3/Cy5)を発現比率が1.5倍(50%上昇)以上又は0.5倍(50%降下)以下のサンプルに対応する遺伝子をゲノム情報から抽出し、その各遺伝子の開始コドンの1bp上流から、その遺伝子の上流遺伝子の末端(同方向転写の場合;上流遺伝子の終始コドンの1bp下流まで。逆方向転写遺伝子の場合;上流遺伝子の開始コドンの1bp上流まで)までの配列を誘導プロモーターとして選択した。その結果、Ratio of Meands(Cy3/Cy5)を発現比率が1.5倍(50%上昇)のものが、394種(表1)、0.5倍(50%降下)以下のものが201種(表2)存在した。
Figure 0004712716
Figure 0004712716
リアルタイム定量RT−PCR解析による誘導強化及び誘導抑制の確認
DNAチップ解析により得られた誘導プロモーターの強化又は抑制データを検証するため、リアルタイム定量RT−PCRによりその発現比率を解析した。対象としたサンプルは、1.5倍以上の発現比率を示した誘導強化プロモーター394種の中から、ランダムに配列番号3、22、47(表1の番号)の3種を、一方、0.5倍以下の誘導抑制プロモーター201種の中からランダムに配列番号410、474、502(表2の番号)の3種をそれぞれ選び出した。
リアルタイム定量RT−PCR解析は、全RNAを鋳型として、QIAGEN QuantiTect SYBR Green RT−PCR Kit(Qiagen)により行った。遺伝子特異的なプライマーは、Applied Biosystems Primer Express Software v2.0(Applied Biosystems,USA)を用いてデザインした。リアルタイムPCR実験はABI PRISM 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems,USA)で行い、96−Well Optical Reaction Plate(Applied Biosystems)とOptical Adhesive Covers(Applied Biosystems)を用いてPCR反応を行った。PCR反応液の組成は、(50μL/1 sample);Total RNA,60ng,2 x QuantiTect SYBR Green RT−PCR Master Mix,25μL,Primer Forward,0.5μM,Primer Reverse,0.5μM,QuantiTect RT Mix,0.5μLで調整した。PCR反応は、50℃ 30min,95℃ 15min,(95℃ 15sec,57℃ 20sec,60℃ 1min)x 40 cycleで行った。PCR反応終了後、発現量の算定には、それぞれの検体毎に発現量比を定量し、その発現比で検体どうしを比較するcomparative C法を用いた。全てのサンプルが指数関数的に増幅しているところ(増幅曲線が直線になって増幅しているところ)の中央にThreshold lineを設定し、この線と交わるサイクル数をC値として発現量の比率計算を行った。
この結果、1.5倍以上の発現比率を示した誘導強化プロモーター配列番号3、22、47(表1の番号)(結果は表3)、0.5倍以下の誘導抑制プロモーター配列番号410、474、502(表2の番号)(結果は表4)の発現比率は、それぞれDNAチップ解析結果と非常によく一致した。
Figure 0004712716
Figure 0004712716
本発明のDNA断片は、乳酸やコハク酸等の有用物質を高効率に高生成する形質転換コリネ型細菌に導入されるプライマーとして有用である。本発明のDNA断片が導入されたコリネ型細菌は、有機酸、アルコール又はアミノ酸等の製造に利用できる。また、製造された有機酸は高分子合成原料又は医薬原料として、あるいは化粧品用途又は食品添加剤用途等広い分野で使用できる。例えば、コハク酸及びその誘導体は生分解性プラスチック原料や環境汚染をもたらさないクリーンな洗浄溶剤用途等に有用である。

Claims (9)

  1. 嫌気条件下において、好気性コリネ型細菌内で有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化する、プロモーター部位を有する下記のDNA断片。
    (a)配列表の配列番号(32)の塩基配列からなるDNA;
    (b)配列表の配列番号(32)の塩基配列からなるDNAにおいて、1又は数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化するプロモーター機能を有するDNA;又は
    (d)配列表の配列番号(32)の塩基配列からなるDNAと少なくとも95%の相同性を有し、かつ有用物質の生成に関与するタンパク質の発現を誘導強化するプロモーター機能を有するDNA。
  2. mRNAの発現量で示されるプロモーター機能発現の強化の程度が、好気条件下で発現される量よりも少なくとも50%以上増大していることを特徴とする請求項1に記載のDNA断片。
  3. 有用物質の生成に関与するタンパク質がコリネ型細菌内の代謝に係わる酵素であることを特徴とする請求の請求項1又は2に記載のDNA断片。
  4. 酵素が、解糖経路、還元的トリカルボン酸経路、アナプレロティック経路、アミノ酸合成経路、プリン合成経路、ピリミジン合成経路、コレステロール合成経路、脂肪酸合成経路及びこれら経路より派生する経路に関与する少なくとも1の酵素又は補酵素であることを特徴とする請求項3に記載のDNA断片。
  5. 有用物質が有機酸、アミノ酸、アルコール、ステロイド、核酸、脂肪酸又は生理活性物質であることを特徴とする請求項4に記載のDNA断片。
  6. 有機酸が、ピルビン酸、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、2−オキソグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、イタコン酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、5−ケトグルコン酸、D−アラボアスコルビン酸、コウジ酸、テトラデカン−1,14−ジカルボン酸、クミン酸及びイノシン酸から選択される少なくとも1の有機酸であることを特徴とする請求項5に記載のDNA断片。
  7. アミノ酸が、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニールアラニン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、セリン、アスパラギン、グルタミン、ヒドロキシリシン、シスチン、メチオニン、トリプトファン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸(GABA)、ホモシステイン、オルニチン、5−ヒドロキシトリプトファン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(ドーパ)、トリヨードチロニン、4−ヒドロキシプロリン及びチロキシンから選択される少なくとも1のアミノ酸であることを特徴とする請求項5に記載のDNA断片。
  8. アルコールが、メタノール、エタノール及びブタノールから選択される少なくとも1のアルコールであることを特徴とする請求項5に記載のDNA断片。
  9. 好気性コリネ型細菌が、反応培地の酸化還元電位−200ミリボルト乃至−500ミリボルトである嫌気条件下において培養されることを特徴とする、請求項1に記載のDNA断片のプロモーター機能を誘導する方法。
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