JP4707779B2 - 熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体、及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、開環重合後の水素添加効率に優れ、かつ、機械的強度に優れた水素添加物を与えることができる熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体、その水素添加物、及びコンバージョンに優れ、触媒の使用量を低減することができるジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体及びその水素添加物は、耐熱性、透明性、耐光性、耐水性(耐吸水性、耐湿性)、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性(低誘電率、低誘電損失)、低複屈折性、剛性等の諸特性のバランスに優れているため、射出成形、押出成形、圧縮成形、溶剤キャスト法などの各種成形法により、例えば、光学材料、医療用器材、電気絶縁材料、電子部品処理用器材などとして、広範な分野で使用されている。
【0003】
熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体は、適当な溶媒中で、ジシクロペンタジエン(以下、「DCP」と略記)またはその誘導体(以下、DCPとその誘導体を合わせて、「DCP系モノマー」という)をメタセシス触媒系などの開環重合触媒の存在下に開環重合することにより得ることができる。その水素添加物は、熱可塑性DCP系開環重合体中の炭素−炭素不飽和結合(主鎖及び多環体中の炭素−炭素二重結合など)を水素添加することにより得ることができる。熱可塑性DCP系開環重合体を水素添加して、炭素−炭素不飽和結合を飽和させると、耐熱性、耐候性、耐光性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性などの諸特性が向上する。熱可塑性DCP系開環重合体は、DCP系モノマーと、開環共重合可能なその他のノルボルネン系モノマーとを開環重合触媒の存在下に開環共重合することによっても得ることができる。この場合、コモノマーとして使用するその他のノルボルネン系モノマーの種類及び共重合割合を選択することにより、耐熱性や機械的特性などを改善することができる。この開環共重合体は、必要に応じて、水素添加することができる。
【0004】
一般に、DCP系開環重合体は、熱可塑性DCP系開環重合体と硬化型DCP系開環重合体とに大別することができる。硬化型DCP系開環重合体は、タングステン系開環重合触媒やモリブデン系開環重合触媒などの比較的活性の高い重合触媒を用いて、塊状で開環重合反応を行って得られるものである。硬化型DCP系開環重合体は、DCP系モノマーを用いた反応射出成形(RIM)法による成形品などに応用されている(例えば、特開昭58−127728号公報、特開昭58−129013号公報、特開平4−226114号公報、特開平6−145247号公報)。硬化型DCP系開環重合体を製造する場合、一般に、DCP系モノマーと開環重合触媒とを含有する反応液を金型内に注入し、金型内で塊状開環重合するため、重合反応終了後には、所定形状の成形品として得ることができる。このように、硬化型DCP系開環重合体では、成形品を得るのに溶融成形法(例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形)を採用しなくてもよいことから、塊状開環重合時に、急激な反応が生じたり、開環重合により生じた主鎖または側鎖の炭素−炭素二重結合による分子間及び/または分子内架橋反応が生じるような条件下で開環重合を行っても問題がない。したがって、熱硬化型DCP系開環重合体の製造では、金型内での反応時間を短縮するために、活性の高い開環重合触媒が選択使用されており、それによって、架橋した硬化ポリマーを得ている。
【0005】
一方、熱可塑性DCP系開環重合体の製造においては、主としてチタン系開環重合触媒が使用されてきた(例えば、特公昭58−43412号公報、特開平7−220230号公報)。しかし、チタン系開環重合触媒を用いた従来の製造方法では、生成ポリマーの溶解性に難があり、ポリマーの溶解性に優れたトルエン等の芳香族炭化水素溶媒を使用すると、水素添加反応時に溶媒も一緒に水素添加されるので、水素添加反応の効率が悪かった。また、この方法では、開環重合活性が低いため、重合のコンバージョンが上がらない、開環重合触媒を多量に要する、触媒残渣廃棄物が多い、生産性が低いなどの問題があった。
【0006】
特開昭63−218727号公報及び特開平7−41549号公報には、タングステン系開環重合触媒を用いて、DCP系モノマーを開環重合する方法が開示されている。これらの方法によれば、コンバージョンが高く、開環重合触媒が少量で済むなどの利点があるものの、開環重合時に炭素−炭素二重結合の一部が架橋してゲル化し、反応溶液から生成ポリマーを分離・乾燥することが困難であったり、引き続いて水素添加反応を行おうとしても、溶液の粘度が高いために反応が効率よく進まない、開環重合体またはその水素添加物から得られる成形品の機械的強度が劣るなどの問題があった。さらに、その水素添加物は、押出成形や射出成形の際に、ペレットがホッパー下部でくっついて(ブリッジして)、ホッパーが詰まりやすいという問題点があった。
以上のように、従来は、重合時の生産性が高く、触媒残渣廃棄物が少なく、引き続いて行われる水素添加反応の活性も高く、水素添加反応後に成形材料として使用した場合に成形性に優れた熱可塑性DCP系開環重合体、及びその製造方法は知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重合時の生産性が高く、触媒残渣廃棄物が少なく、引き続いて行われる水素添加反応の活性も高く、水素添加反応後に成形材料として使用した場合に成形性に優れた熱可塑性DCP系開環重合体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、研究の結果、従来のタングステン系開環重合触媒を用いたDCP系モノマーの溶液重合では、開環重合反応時にゲル化しやすいと同時に、分子量2,000以下の低分子量成分(すなわち、オリゴマー)が生成しやすく、そのため、得られる熱可塑性DCP系開環重合体の機械的強度が低下することを見いだした。
【0008】
本発明者らは、さらに研究した結果、ジシクロペンタジエン系モノマーをタングステン系開環重合触媒などの開環重合触媒の存在下に開環重合する熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法において、反応調整剤として、ニトリル、ケトン、エーテル、及びエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を存在させることにより、ゲルと低分子量成分の生成を顕著に抑制できることを見いだした。本発明の製造方法によれば、架橋ポリマー成分の生成のみならず、低分子量成分の生成をも効果的に抑制することができるので、製造時の生産性に優れ、成形性、機械的強度、水素添加効率などに優れた熱可塑性DCP系開環重合体を得ることができる。
【0009】
本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、繰り返し単位中の多環体が主鎖の炭素−炭素二重結合に対してシス位置で結合している繰り返し単位の割合が50モル%以上で、かつ、分子量2,000以下の低分子量成分の含有率が10重量%以下と低いものである。本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、飽和炭化水素系溶媒に溶けるので、効率的に水素添加反応を行うことができ、機械的強度に優れた水素添加物を得ることができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、以下の各発明が提供される。
1.ジシクロペンタジエン系モノマーを開環重合して得られる熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体であって、
(1)繰り返し単位中の多環体が主鎖の炭素−炭素二重結合に対してシス位置で結合している繰り返し単位の割合が50モル%以上であり、
(2)数平均分子量が3,000〜20,000であり、
(3)分子量2,000以下の低分子量成分の含有率が5重量%以下であり、かつ、
(4)該熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体を濃度5重量%のシクロヘキサン溶液とし、この溶液を孔径0.5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(47mmφ)で、0.2kgf/cmの窒素加圧で濾過した場合、70g/min以上の濾過速度で濾過することができることを特徴とする熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体。
2.ジシクロペンタジエン系モノマーを開環重合触媒の存在下に開環重合する前記の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法において、モノマー全量100モルに対して、反応調整剤として、(i)式RCNで表されるニトリル〔Rは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕、(ii)式R−C(=O)−Rで表されるケトン〔R及びRは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕、(iii)式RORで表されるエーテル〔R及びRは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕、及び(iv)式RCOORで表されるエステル〔R及びRは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物0.01〜2モルを存在させて、開環重合を行うことを特徴とする熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
<熱可塑性DCP系開環重合体>
DCP系モノマー〔後記の式(1)〕を開環重合すると、繰り返し単位中の多環体(2個の5員環からなる縮合多環体)が、主鎖の炭素−炭素二重結合に対して、トランス位置で結合している繰り返し単位〔後記の式(3)及び(5)〕とシス位置で結合している繰り返し単位〔後記の式(4)及び(6)〕とが生成する。
本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、繰り返し単位中の多環体が主鎖の炭素−炭素二重結合に対してシス位置で結合している繰り返し単位(以下、「シス結合単位」という)の割合が50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上である。シス結合単位の上限は、通常95モル%、多くの場合85モル%程度である。残余は、トランス結合単位である。シス結合単位が上記範囲にあることによって、熱可塑性DCP系開環重合体が飽和炭化水素溶媒に溶解し、水素添加反応を効率よく行うことができるようになる。
【0012】
可塑性DCP系開環重合体は、分子量2,000以下の低分子量成分の含有率が10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。本発明では、5重量%以下である。本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、このように低分子量成分(オリゴマー)の含有量が極めて少ないため、機械的強度に優れており、その水素添加物もまた機械的強度に優れている。また、本発明の熱可塑性DCP系開環重合体及びその水素添加物は、オリゴマーの含有率が小さいため、ペレット化したものを用いて射出成形や押出成形する際に、ホッパー下でブリッジが起きてペレットが詰まることがなく、したがって、成形作業性が良好である。低分子量成分の含有率の下限は、特に無いが、好ましくは0.2重量%以上である。低分子量成分の含有率が通常、0.2重量%以上の範囲内にあることによって、得られる開環重合体及びその水素添加物の柔軟性、成形加工性、及び機械的強度が高度にバランスされるので、好ましい。
本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、ゲル分を実質的に含有していないので、高品質であり、異物の除去が容易で、しかも水素添加反応を容易に行うことができ、水素添加効率も高い。
【0013】
本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリイソプレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常、3,000〜20,000、好ましくは5,000〜15,000の範囲内にある。本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、シクロヘキサンを溶媒とするGPCにより測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、通常1.5〜5.0、好ましくは1.7〜4.0、より好ましくは1.8〜3.0の範囲にある。本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、通常50〜150℃、好ましくは60〜130℃の範囲にある。本発明の熱可塑性DCP系開環重合体の水素添加物も、上記と同様の特性を有している。
<モノマー>
本発明で使用するDCP系モノマーは、式(1)
【0014】
【化3】
Figure 0004707779
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、または極性基(すなわち、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、またはシリル基)で置換された炭化水素基ある。〕
で表されるジシクロペンタジエンまたはその誘導体である。
【0015】
式(1)中、炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルキル基;炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルケニル基;炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルキニル基;炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルキリデン基;炭素原子数が3〜15、好ましくは3〜8、より好ましくは5〜6のシクロアルキル基;炭素原子数が6〜20、好ましくは6〜16、より好ましくは6〜10の芳香族炭化水素基などを挙げることができる。
【0016】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができる。エステル基としては、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルキルエステル基を挙げることができる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルコキシ基を挙げることができる。極性基が置換した炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基を挙げることができる。
DCP系モノマーの中でも、入手の容易性、開環重合反応性、物性などの観点から、式(2)
【0017】
【化4】
Figure 0004707779
で表されるジシクロペンタジエンが好ましい。
【0018】
DCP系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、DCP系モノマーは、それ単独で使用することができるが、必要に応じて、開環共重合可能なその他のノルボルネン系モノマーを少量成分として併用することができる。
DCP系モノマーと開環共重合可能なその他のノルボルネン系モノマーは、例えば、ノルボルネン構造を有する多環炭化水素;そのアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体;ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置換誘導体;これら極性基を有するアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体;などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン構造を有する多環炭化水素及びそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体などが、耐薬品性や耐湿性などに優れ好適である。
【0019】
その他のノルボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネン、その置換誘導体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等;ジメタノオクタヒドロナフタレンと、その上記と同様の置換誘導体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8,ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8,ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8,ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の置換誘導体、例えば、1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン等;シクロペンタジエンの多量体、その上記と同様の置換誘導体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等;1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、その上記と同様の置換誘導体;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、その上記と同様の置換誘導体、例えば、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロベンゾフラン、その上記と同様の置換誘導体;1,4−メタノ−9−フェニル−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、その上記と同様の置換誘導体;1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、その上記と同様の置換誘導体;7,10−メタノ−6b,7,10,10a−テトラヒドロフルオランセン、その上記と同様の置換誘導体;などが挙げられる。これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
本発明の目的は、DCP系モノマーの開環重合において、多量のオリゴマーが生成するのを抑制することにある。DCP系モノマーと開環共重合可能なその他のノルボルネン系モノマーは、DCP系開環重合体の諸物性を改善ないしは修正するために少量の割合で併用する。したがって、その他のノルボルネン系モノマーは、全モノマー基準で、通常、40重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で使用される。
開環重合に際し、分子量調節のために、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−ブテン、2−ペンテン、1,4−ヘキサジエンなどの鎖状モノオレフィン、あるいは鎖状の非共役ジエン類を、モノマー全量基準で、10モル%までの範囲で添加してもよい。
【0021】
<開環重合>
本発明の製造方法では、DCP系モノマーを開環重合触媒の存在下に開環重合する熱可塑性DCP系開環重合体の製造方法において、ニトリル、ケトン、エーテル、及びエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を反応調整剤として存在させて開環重合を行う。
DCP系モノマーは、多環構造中に2個の炭素−炭素二重結合を有している。DCP系モノマーの開環重合により生成する開環重合体も、主鎖及び側鎖の5員環中に炭素−炭素二重結合が存在しているので、開環重合時に生成した開環重合体が架橋しやすいという問題がある。開環重合体中に架橋ポリマーが多量に存在すると、諸物性に悪影響を及ぼし、しかも水素添加工程での水素添加効率が低下することがわかった。
【0022】
また、従来の方法では、かなりの量比でオリゴマーが生成する場合のあることがわかった。DCP系モノマーのオリゴマーは、通常、環状構造を有するものであり、主として7量体の環状オリゴマーが副生することが判明した。オリゴマーの含有率が高いと、生成する開環重合体またはその水素化物のペレットを用いて射出成形や押出成形する際に、成形機のホッパー下でブリッジが生じて、ペレットが詰まってしまうという問題が発生する。また、多量のオリゴマーを含有する開環重合体またはその水素添加物は、機械的強度が低下する。
本発明の製造方法によれば、これらの諸問題が解決される。
【0023】
開環重合触媒
開環重合触媒としては、例えば、(1)ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、(2)チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、レニウムなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を挙げることができる。これらの中でも、メタセシス重合触媒(遷移金属化合物)と有機アルミニウム化合物(活性剤)とからなるメタセシス触媒系が好ましい。
【0024】
メタセシス重合触媒としては、例えば、WCl6、WCl5、WCl4、WCl2、WBr6、WBr4、WBr2、WF6、WF4、WI6、WI4等のハロゲン化タングステン;WOCl4、WOBr4、WOF4等のオキシハロゲン化タングステン;W(OC656等のアルコキシ化タングステン若しくはアリールオキシ化タングステン;WCl2(OC654等の部分ハロゲン化アルコキシ化タングステン若しくは部分塩素化アリールオキシ化タングステン;W(CO)3(CH3CN)3、W(OC252Cl3、(CO)5WC(OCH3)(CH3)、(CO)5WC(OC25)(CH3)、(CO)5WC(OC25)(C45)などの(部分)カルボニル化、(部分)塩素化、(部分)ハロゲン化、(部分)アルコキシ化または(部分)アリールオキシ化等されたタングステン化合物;これらのタングステン化合物と同様のモリブデン化合物〔例えば、MoCl5、MoCl4、MoCl3、MoBr4、MoBr3、MoBr2、MoF4、MoOCl3、MoOF3、Mo(OC252Cl3、Mo(OC255、MoO2(acac)2、Mo(CO)6、(CO)5MoC(OC25)(CH3)〕;これらのタングステン化合物と同様のレニウム化合物〔例えば、ReCl3、ReOCl3、ReOBr3、Re2(CO)Cl6、ReOBr3・P(C653〕;これらのタングステン化合物と同様のバナジウム化合物(例えば、VCl4、VOCl3、VOBr3);これらのタングステン化合物と同様のチタン化合物〔例えば、TiCl5、TiCl4、TiCl3、TiBr4、TiBr3、TiBr2、Ti(OC252Cl3〕;等が挙げられる。
【0025】
これらのメタセシス重合触媒の中でも重合活性が高く、好ましい化合物としては、MoCl5、Mo(OC252Cl3、WCl6、W(OC252Cl3などのハロゲン化若しくは部分アルコキシ化(またはアリールオキシ化)ハロゲン化されたタングステン化合物若しくはモリブデン化合物が挙げられる。これらの中でもWCl6、W(OC252Cl3などのハロゲン化若しくは部分アルコキシ化(またはアリールオキシ化)ハロゲン化されたタングステン化合物は、重合活性が高く、高分子量の開環重合体及びその水素添加物が得やすい点で特に好ましい。
これらの遷移金属化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量は、モノマー全量100モルに対して、通常0.001〜10モル、好ましくは0.005〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルの範囲である。
【0026】
有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−i−イソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジ−i−ブチルアルミニウム−モノ−i−ブチルオキシド、ジ−n−プロピルアルミニウムモノクロリド等が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機アルミニウム化合物の使用量は、反応条件に応じて適宜選択されるが、遷移金属化合物:有機アルミニウム化合物の金属原子比で、通常1:1〜1:1000、好ましくは1:2〜1:100、より好ましくは1:5〜1:50の範囲である。
【0027】
反応調整剤
本発明では、低分子量成分(オリゴマー、特に環状オリゴマー)の生成を抑制するために、特定の反応調整剤を使用する。すなわち、ニトリル、ケトン、エーテル、及びエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を反応調整剤として、反応系に存在させる。
ニトリルは、式RCNで表される化合物であり、Rは、アルキル基やアリール基などの炭化水素基である。アルキル基としては、炭素原子数が1〜20、好ましくは3〜15、より好ましくは4〜10のアルキル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、アルキル置換フェニル基(例えば、トリル基、キシリル基)、ナフチル基、アルキル置換ナフチル基などが挙げられる。本発明では、フェニル基である。ニトリルの好ましい具体例としては、t−ブチルニトリル、ベンゾニトリルなどが挙げられる。
【0028】
ケトンは、式R1−C(=O)−R2で表される化合物であり、R1及びR2は、アルキル基やアリール基などの炭化水素基である。アルキル基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜10である。アリール基としては、フェニル基が好ましい。ケトンの好ましい具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルフェニルケトンなどが挙げられる。
エーテルは、式R1OR2で表される化合物であり、R1及びR2は、アルキル基やアリール基などの炭化水素基である。アルキル基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜10である。アリール基としては、フェニル基が好ましい。エーテルの具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルフェニルエーテル、イソプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0029】
エステルは、式RCOORで表される化合物であり、R及びRは、アルキル基やアリール基などの炭化水素基である。アルキル基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜10である。アリール基としては、フェニル基が好ましい。エステルの具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどが挙げられる。
これらの反応調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。反応調整剤の使用量は、反応条件に応じて適宜選択されるが、モノマー全量100モルに対して、通常0.001〜10モル、好ましくは0.005〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルの範囲である。本発明では、0.01〜2モルの範囲である。
【0030】
本発明の製造方法では、メタセシス重合活性調整剤(反応調整剤)として、さらにアルコールを併用することができる。アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、フェノールなどが好ましい。
【0031】
これらのアルコールは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルコールの使用量は、反応条件に応じて適宜選択されるが、メタセシス重合触媒;アルコールのモル比で、通常1:0〜1:100、好ましくは1:0〜1:10、より好ましくは1:0〜1:6の範囲である。アルコールは、メタセシス重合触媒の重合活性を低下させる効果があるので、メタセシス重合触媒の種類に合わせてアルコールの使用量を選択する必要がある。
また、反応活性剤の有機アルミニウム化合物とアルコールとは、容易に反応してアルコキシ化するため、予め一部がアルコキシ化された有機アルミニウム化合物を使用することと、アルコキシ化されていない有機アルミニウム化合物とアルコールを反応系に添加して使用することとは、同様の効果となる。
反応調整剤は、開環重合触媒と別々に加えてもよいし、予め両者を混合して使用してもよい。
【0032】
重合条件
開環重合は、溶媒を用いなくても可能であるが、不活性有機溶媒中で実施することが好ましい。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;スチレンジクロリド、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;などが挙げられる。
本発明では、オリゴマー(特に環状オリゴマー)の生成を抑制するために、開環重合温度を特定の範囲内に調整する。すなわち、重合温度は、通常0〜100℃、好ましくいは20〜80℃、より好ましくは35〜75℃、特に好ましくは40〜70℃である。重合温度が低すぎると、コンバージョンが上がらない。重合温度が高すぎると、オリゴマーの生成量が増大するため好ましくない。
重合圧力は、通常、0〜50kg/cm2、好ましくは0〜20kg/cm2である。
【0033】
開環重合反応の溶剤は、好ましくはn−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリンなどの脂環族炭化水素;またはこれらのハロゲン化物(クロロホルム、ジクロロエタンなど)である。本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、これらの溶剤に溶けるため、反応中に生成ポリマーが析出することなく重合することができる。さらに、これらの溶剤を用いると、開環重合後に溶剤を置換することなく、引き続いて水素添加反応を効率よく行うことができるので好ましい。
【0034】
開環重合は、常法に従って行うことができるが、DCP系モノマーを反応中に逐次添加しながら行う方法が好ましい(以下「分割逐次添加法」という)。この方法は、(1)反応器中に、モノマーの一部(好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは2〜30重量%程度)、不活性有機溶媒、有機アルミニウム化合物、及び反応調整剤を仕込み、(2)次いで、反応系内の温度を前記範囲内に調整しながら、モノマーの残部と、遷移金属化合物とを、それぞれ別個に連続的に滴下する方法である。開環重合反応中、通常、反応系の攪拌を継続する。
本発明の製造方法によれば、生成する熱可塑性DCP系開環重合体中の低分子量成分(オリゴマー、特に7量体などの環状オリゴマー)の含有量を、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下にまで抑制することができる。多くの場合、低分子量成分の含有量を1重量%以下にまで、大幅に減少させることが可能である。特に、分割逐次添加法による場合、低分子量成分の含有量を抑制することが可能である他に、実質的にゲル分を含まず、好ましい分子量分布を持った熱可塑性DCP系樹脂とすることが可能である。
【0035】
開環重合体
本発明の製造方法によれば、実質的にゲル分を含まない開環重合体を製造することが可能である。ゲル分の含有量は、直接的に定量することは困難であるが、ゲル分が多いほど重合体溶液の濾過がしにくくなることから、重合体溶液の濾過速度の大小により判定することができる。本発明の熱可塑性DCP系開環重合体を濃度5重量%のシクロヘキサン溶液とし、この溶液を孔径0.5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(47mmφ)で、0.2kgf/cmの窒素加圧で濾過した場合、70g/min以上、好ましくは80g/min以上の濾過速度で濾過することができ、これにより、実質的にゲル分を含まないことがわかる。
熱可塑性DCP系開環重合体は、ゲル分が少ないほど(前記の濾過速度が速いほど)、異物を取り除くことが容易であり、また、水素添加効率が良くなり、好ましい。
開環重合により、式(1)で表されるDCP系モノマーは、式(3)
【0036】
【化5】
Figure 0004707779
で表される繰り返し単位と、式(4)
【0037】
【化6】
Figure 0004707779
で表される繰り返し単位とを有するDCP系開環重合体となる。これらの式中のR1〜R8は、式(1)におけるのと同じである。
【0038】
ここで、式(3)で表される繰り返し単位は、繰り返し単位中の多環体が主鎖の炭素−炭素二重結合に対してトランス位置で結合している繰り返し単位(トランス結合単位)であり、式(4)で表される繰り返し単位は、繰り返し単位中の多環体が主鎖の炭素−炭素二重結合に対してシス位置で結合している繰り返し単位(シス結合単位)である。前記したとおり、本発明の熱可塑性DCP系開環重合体は、シス結合単位を50モル%以上含有している。
また、式(2)で表されるDCPは、開環重合すると、式(5)
【0039】
【化7】
Figure 0004707779
で表される繰り返し単位(トランス結合単位)と、式(6)
【0040】
【化8】
Figure 0004707779
で表される繰り返し単位(シス結合単位)とを有する開環重合体となる。
その他のノルボルネン系モノマーを併用した場合には、それぞれのノルボルネン系モノマーの開環重合による繰り返し単位が導入された開環共重合体が生成する。
【0041】
<水素添加>
熱可塑性DCP系開環重合体は、前記式(3)〜(6)から明らかなように、主鎖及び側鎖の5員環中に2つの炭素−炭素二重結合を有するものである。熱可塑性DCP系開環重合体は、耐熱性、耐候性、耐光性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性などの観点から、これらの炭素−炭素二重結合を水素添加して飽和させたものであることが好ましい。水素添加は、常法に従って、熱可塑性DCP系開環重合体を水素添加触媒の存在下に、水素により水素化する方法により行うことができる。
【0042】
水素添加触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されているものであれば使用可能であり、特に制限されないが、例えば、次のようなものが挙げられる。均一系触媒としては、遷移金属化合物とアルキル金属化合物の組み合わせからなる触媒系、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせが挙げられる。不均一触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の触媒系が挙げられる。
【0043】
水素添加反応は、通常、不活性有機溶媒中で実施する。有機溶媒としては、生成する水素添加物の溶解性に優れていることから、炭化水素系溶媒が好ましく、環状炭化水素系溶媒がより好ましい。このような炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、デカリン等の脂環族炭化水素;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;等が挙げられる。水素添加効率の天から、有機溶媒として、n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン等の脂環族炭化水素;またはこれらのハロゲン化物(例えば、クロロホルム、ジクロロエタン等);テトラヒドロフラン等の環状エーテルが好ましい。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。有機溶媒は、通常は、重合反応溶媒と同じでよく、重合反応液にそのまま水素添加触媒を添加して反応させればよい。
【0044】
水素添加反応は、使用する水素添加触媒系によっても適する条件範囲が異なるが、通常、−20℃〜200℃の温度範囲で、0.1〜50kg/cm2の水素圧力下で行う。特に、比較的低温低圧の条件、例えば、−20℃〜150℃、好ましくは0〜130℃の温度範囲、0.1〜30kg/cm2、好ましくは1〜20kg/cm2の水素圧力範囲で水素添加反応を行うことにより、水素添加効率を高めることができる。
【0045】
水素添加により、前記炭素−炭素二重結合の通常95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上を飽和させることが好ましい。側鎖にアルキリデン基などの非共役の不飽和結合を有する置換基がある場合には、主鎖及び5員環中の不飽和結合の水素添加時に、これらの置換基の不飽和結合も同時に水素添加される。側鎖に芳香環が存在する場合は、芳香環が未水添のままで残存していてもよいが、水素添加物を光学材料などの用途に使用する場合には、複屈折を低下させる観点から、芳香環を水素添加してもよい。
水素添加反応後、水素添加物を含む溶液から、必要に応じて、常法により水素添加触媒を脱灰し、次いで、乾燥により溶媒を除去して、水素添加物を回収することができる。乾燥方法としては、凝固分別して乾燥する方法、あるいは溶媒を直接除去する直接乾燥法などがある。
水素添加により、例えば、式(3)で表される繰り返し単位は、式(7)
【0046】
【化9】
Figure 0004707779
〔式中、・・・・は、炭素−炭素の単結合または二重結合を表し、炭素−炭素二重結合が水素添加されたものと未水添のものとが混在している場合のあることを示す。R1〜R8は、前記と同じ意味を表すが、これらが不飽和結合を有する基である場合には、水素添加されて飽和になっている場合がある。〕
で表される水素添加物となる。
前記式(5)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性DCP系開環重合体を水素添加すると、水素添加率が高い場合には、式(8)
【0047】
【化10】
Figure 0004707779
で表される繰り返し単位を有する飽和ポリマーが得られる。
前記式(4)及び(6)で表される繰り返し単位が水素添加された場合には、同様に、式中の炭素−炭素不飽和結合が部分的またはほぼ完全に水素添加された繰り返し単位となる。
【0048】
(成形材料)
本発明の水素添加物は、必要に応じて、有機または無機の充填剤、安定剤、帯電防止剤、滑剤等の各種配合剤を加え、あるいは必要に応じて他のポリマー成分とブレンドして、成形材料とし、各種の成形品の原料として使用することができる。
【0049】
(成形方法)
上記の成形材料を成形して各種の成形品とすることができる。成形方法は、従来公知の成形方法に従えばよく、例えば、射出成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などが挙げられる。成形時の樹脂の溶融温度は、通常150〜350℃である。また、特開平4−276253号公報に開示されているように、他の樹脂との多層成形や二重壁成形で、ガスバリア性や耐候性、耐光性などを高めることができる。
【0050】
(成形品)
上記の成形材料を用いて、各種の成形品を成形することができるが、特に(配合剤等を選ぶことにより)透明な成形品を得ることが可能であり、しかも耐衝撃性等の機械的強度に優れ、水分や水蒸気の透過率が低く、耐溶剤性にも優れることから、レンズ、プリズム、偏向フィルム等の光学用途の成形品;プレススルーパッケージ、ディスポーザブルシリンジ、薬液バイヤル、輸液バッグ等の医療用途の成形品;電線被覆、ウエハシッパー等の電気または電子材料用途の成形品;カーボート、グージング等の建材;ラップフィルム、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム、ブリスターパック等の包装フィルム;ボールペン芯等の文具;等に好適である。
【0051】
(フィルム及びシート)
上記の成形材料は、薄いフィルムまたはシート状にした時にも、透明な成形品が可能であり、耐衝撃性等の機械的強度に優れ、水分や水蒸気の透過率が低く、耐溶剤性にも優れたものである。上記の成形材料からフィルムまたはシートに成形する方法としては、例えば、Tダイを用いた溶融押出成形法、インフレーション成形法、溶剤キャスト法などが挙げられる。
得られるフィルムまたはシートは、必要に応じて延伸することにより、防湿性に優れたプレススルーパッケージとして、さらにヒートシールが可能なことにより、薬品分包用フィルムとして好適である。このフィルムまたはシートは、自己密着性があることから、ラップフィルムまたはストレッチフィルムとして、透明性と低複屈折性が良好であることから、偏向フィルム、位相差フィルムとして、強度が優れることにより、高速道路透光板、自動販売機パネル、カーポートとして、あるいは、耐候性に優れることより、反射フィルム、マーキングフィルムとして、それぞれ好適である。
【0052】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。物性の測定法は、次のとおりである。
(1)ガラス転移温度は、示差走査熱量法(DSC法)により測定した。
(2)分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリイソプレン換算値として測定した。
(3)オリゴマーの含有率
オリゴマー(低分子量成分)の含有率は、GPCチャートの分子量2,000以下の成分(ショルダーまたは小さなピーク)として定量される。
(4)濾過速度
ポリマーを濃度5重量%のシクロヘキサン溶液とし、この溶液を孔径0.5μmのPTFEフィルター(47mmφ)で、0.2kgf/cm2の窒素加圧で濾過した場合の濾過速度(g/min)を測定した。
(5)シス/トランスの比率
熱可塑性DCP系開環重合体中のシス結合単位とトランス結合単位の比率(モル比)は、13C−NMR法により測定した。
シス:42ppm付近に現われるピーク群の積算値、トランス:47ppm付近に現われるピーク群の積算値の比として定量化した。
【0053】
[実施例1]
<開環重合>
窒素で置換した1リットルのフラスコに、ジシクロペンタジエン(DCP)5g(「初期チャージ分」という)とシクロヘキサン120gを加え、重合触媒としてトリ−i−ブチルアルミニウム(iBu3Al)とイソブチルアルコール(iBuOH)を各0.57mmol、反応調整剤としてアセトン0.189mmol、及び分子量調節剤として1−ヘキセン3.79mmolを添加した。ここに、六塩化タングステン0.086mmolを添加して、70℃で5分間攪拌した。次いで、反応系を70℃に保持しながら、DCP45g(「逐次添加分」という)と六塩化タングステン0.103mmolとの混合液を系内に30分かけて連続的に滴下した(分割逐次添加法)。滴下終了後、さらに30分間攪拌して開環重合を終了させた。
このようして得られた熱可塑性DCP系開環重合体は、低分子量成分(オリゴマー)の含有率が0.9重量%で、数平均分子量(Mn)が10,800、重量平均分子量(Mw)が24,800で、分子量分布(Mw/Mn)が2.30であった。また、この熱可塑性DCP系開環重合体のシス結合単位とトランス結合単位との比率(cis/trans)は、75/25(モル%)であった。
また、この重合反応液を固形分濃度5重量%にして、窒素加圧0.2kgf/cm2で、平均孔径0.5μmのPTFEフィルター(47mmφ)で濾過したところ、濾過速度の速いことが確認された(濾過速度110g/分)。
【0054】
<水素添加>
前記重合反応液を1リットルのオートクレーブに移し、シクロヘキサン160gを加え、ケイソウ土担持ニッケル触媒2.5gとトリイソブチルアルミニウムの30重量%トルエン溶液5.15gを混合したものを加え、反応器内を水素置換した後、攪拌しながら120℃に昇温した。温度が安定したところで、水素圧力を20kg/cm2に上げ、反応過程で消費される水素を補充しながら6時間反応させた。次いで、水4.2gと活性アルミナ(表面積320cm2/g、細孔容量0.8cm2/g、平均粒径15μm、水澤化学製、ネオビードD粉末)2.5gを加え、80℃にて1時間攪拌した後、固形分を濾過して除去した。得られた水素添加反応液を3リットルのイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、濾別して回収した。回収した水素添加物を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させた。水素添加物の水素添加率は、99.9%であった。
【0055】
[実施例2]
実施例1において、反応調整剤のアセトンをメチルエチルケトン(MEK)に代えたこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。
【0056】
[実施例3]
実施例1において、反応調整剤のアセトンをフラスコに仕込む(「ボトム添加法」という)かわりに、アセトンを六塩化タングステンと予め混ぜておき(「プリミックス添加法」という)、その4割をフラスコに仕込み、6割を系内に分割逐次添加した。また、重合温度を70℃から40℃に変えた。これ以外は実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。
【0057】
[実施例4]
実施例3において、DCPをDCPとMTD〔8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.8.17.10]−ドデカ−3エン〕との混合物(重量比70/30、初期チャージ分逐次添加分ともに)に代えたこと以外は、実施例3と同様に開環重合及び水素添加を行った。
【0058】
[実施例5]
実施例1において、反応調整剤のアセトンをt−ブチニトリルに代えたこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。
【0059】
[実施例6]
実施例1において、反応調整剤のアセトンをベンゾニトリルに代えたこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。
【0060】
[実施例7]
実施例1において、反応調整剤のアセトンをイソプロピルエーテルに代えたこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。
【0061】
[実施例8]
実施例1において、反応調整剤のアセトンを酢酸メチルに代えたこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。
【0062】
[比較例1]
実施例1において、反応調整剤のアセトンを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。ゲルが少し生成し、濾過速度が遅く、水素添加率が98%とやや不充分であった。
【0063】
[比較例2]
実施例1において、トリ−i−ブチルアルミニウムをジエチルアルミニウムクロライドに代え(mmol数は同じ)、かつ、反応調整剤のアセトンを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。ゲルの生成が激しく、濾過速度の測定が不可能で、水素添加もできなかった。
【0064】
[比較例3]
実施例1において、トリ−i−ブチルアルミニウムを四ブチル化錫に代え(mmol数は同じ)、かつ、反応調整剤のアセトンを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。ゲルが少し生成し、濾過速度が遅く、水素添加率が90%と不充分であった。
【0065】
[比較例4]
実施例1において、六塩化タングステン0.189mmolを四塩化チタン5.682mmolに、トリ−i−ブチルアルミニウムの量を11.36mmolに、イソブチルアルコールを使用せず、反応調整剤のアセトン0.189mmolをトリエチルアミン22.7mmolに、重合温度を40℃にそれぞれかえたこと以外は、実施例1と同様に開環重合及び水素添加を行った。重合中に生成ポリマーが析出し、重合反応が進まず、以降の処理を中止した。したがって、物性の測定が不可能であった。触媒残渣が多量であった。
以上の各実施例及び比較例の重合処方及び物性等の測定結果を、表1及び表2に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0004707779
【0067】
(脚注)
(1)DCP:ジシクロペンタジエン
(2)MTD:8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.8.17.10]−ドデカ−3−エン
(3)W:六塩化タングステン(ただし、比較例4では、四塩化チタンを使用した。)
(4)Al:トリ−i−ブチルアルミニウム(ただし、iBuOHでアルコキシ化されている。また、比較例2では、ジエチルアルミニウムクロライドを使用し、比較例3では、四ブチル化錫を使用した。)
(5)MEK:メチルエチルケトン
【0068】
【表2】
Figure 0004707779
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、重合時の生産性が高く、触媒残渣廃棄物が少なく、引き続いて行われる水素添加反応の活性も高く、水素添加反応後に成形材料として使用した場合に成形性に優れた熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体、及びその製造方法が提供される。
本発明の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体は、飽和炭化水素系溶媒に溶けるので、効率的に水素添加反応を行うことができ、機械的強度に優れた水素添加物を得ることができる。また、本発明の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体は、オリゴマーの含有率が低減されているので、機械的強度に優れ、成形性、水素添加効率などにも優れている。
本発明の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体及びその水素添加物は、光学用途の成形品、医療用途の成形品、電子材料用途の成形品、包装材料等の広範な用途分野に好適に適応することができる。

Claims (12)

  1. ジシクロペンタジエン系モノマーを開環重合して得られる熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体であって、
    (1)繰り返し単位中の多環体が主鎖の炭素−炭素二重結合に対してシス位置で結合している繰り返し単位の割合が50モル%以上であり、
    (2)数平均分子量が3,000〜20,000であり、
    (3)分子量2,000以下の低分子量成分の含有率が5重量%以下であり、かつ、
    (4)該熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体を濃度5重量%のシクロヘキサン溶液とし、この溶液を孔径0.5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(47mmφ)で、0.2kgf/cmの窒素加圧で濾過した場合、70g/min以上の濾過速度で濾過することができることを特徴とする熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体。
  2. ジシクロペンタジエン系モノマーが、式(1)
    Figure 0004707779
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、または極性基(すなわち、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、またはシリル基)で置換された炭化水素基である。〕
    で表されるジシクロペンタジエンまたはその誘導体である請求項1に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体。
  3. ジシクロペンタジエン系モノマーが、モノマー全量基準で、40重量%以下の開環共重合可能なその他のノルボルネン系モノマーを付加的に含有するものである請求項1または2に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素添加して得られる水素添加物。
  5. ジシクロペンタジエン系モノマーを開環重合触媒の存在下に開環重合する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法において、モノマー全量100モルに対して、反応調整剤として、(i)式RCNで表されるニトリル〔Rは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕、(ii)式R−C(=O)−Rで表されるケトン〔R及びRは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕、(iii)式RORで表されるエーテル〔R及びRは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕、及び(iv)式RCOORで表されるエステル〔R及びRは、フェニル基または炭素原子数が1〜20のアルキル基〕からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物0.01〜2モルを存在させて、開環重合を行うことを特徴とする熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
  6. 開環重合触媒として、タングステン化合物またはモリブデン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなるメタセシス触媒系を使用する請求項5記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
  7. ジシクロペンタジエン系モノマーが、式(1)
    Figure 0004707779
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、または極性基(すなわち、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、またはシリル基)で置換された炭化水素基である。〕
    で表されるジシクロペンタジエンまたはその誘導体である請求項5または6記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
  8. ジシクロペンタジエン系モノマーが、モノマー全量基準で、40重量%以下の開環共重合可能なその他のノルボルネン系モノマーを付加的に含有するものである請求項5ないし7のいずれか1項に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法
  9. 開環重合をジシクロペンタジエン系モノマーを反応中に逐次添加しながら行う請求項5ないし8のいずれか1項に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
  10. 開環重合を行うことにより、繰り返し単位中の多環体が主鎖の炭素−炭素二重結合に対してシス位置で結合している繰り返し単位の割合が50モル%以上で、かつ、分子量2,000以下の低分子量成分の含有率が5重量%以下である熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体を得る請求項5ないし9のいずれか1項に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
  11. 開環重合を行った後、開環重合体中の炭素−炭素不飽和結合を水素添加する工程が付加されている請求項5ないし10のいずれか1項に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
  12. 水素添加を200℃以下の反応温度で行う請求項11に記載の熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体の製造方法。
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