JP4698471B2 - エンジン - Google Patents
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Description
また、このような副室式エンジンは、単室式エンジンと比較して、燃焼室全体として空気に対して燃料が希薄な状態で燃料を燃焼させる希薄燃焼が実現できるため、高効率化を図ることが可能であり、特に、効率向上が求められるコージェネレーションシステム等に導入されている。
しかし、このように作動圧力を設定すると、吸気行程においては、燃焼室の圧力が作動圧力以下となることで、圧力応動式の燃料供給弁が開状態となり、燃焼室に燃料を供給することができるが、排気行程においても、燃焼室の圧力が排気路の圧力に略相当する比較的低い排気圧力となることでも、圧力応動式の燃料供給弁が開状態となり、燃焼室に燃料が供給され、その燃料が燃焼することなく未燃成分として排気路に排出されてしまうという問題が懸念される。
特に、吸気路に過給機が設けられて、吸気圧力が高くなる場合には、その吸気圧力と略同等又はそれ以上に設定される上記圧力応動式の燃料供給弁の作動圧力も高くなるので、排気工程において、燃焼室の圧力が、吸気圧力と比べて非常に低い排気圧力に低下すると、上記圧力応動式の燃料供給弁が確実に開状態となってしまい、排気路に排出される未燃成分が増大する。
吸気行程における吸気バルブの閉タイミングが、下死点よりも早い時期に設定され、前記吸気バルブの閉タイミング以降の前記ピストンの下降により、前記燃焼室の圧力を前記吸気圧力から前記作動圧力以下に低下させるように構成されている点にある。
更に、この圧力応動式の燃料供給弁の作動圧力が、排気行程において排気バルブが開状態となるときの燃焼室の圧力に相当する排気圧力よりも低く設定されているので、排気行程において、燃焼室の圧力がその作動圧力よりも低くなることがない。よって、圧力応動式の燃料供給弁が閉状態に維持され、燃焼室に無用な燃料が流出されることがないので、排気路への未燃成分の排出を抑制することができ、高効率且つ低エミッションを実現することができる。
一方、吸気行程における吸気バルブの閉タイミングを下死点よりも早い時期に設定する、即ち、吸気行程において、ピストンが下降している途中で吸気バルブを閉じて燃焼室を密閉状態とし、更に、その密閉状態でピストンを一層下降させることで、燃焼室の圧力を、吸気行程において吸気バルブが開状態となるときの燃焼室の圧力に相当する吸気圧力から、圧力応動式の燃料供給弁の作動圧力以下に低下させることができる。よって、吸気行程において、吸気バルブを閉じる前の前期では、燃焼室の圧力が作動圧力よりも高い吸気圧力であることから、圧力応動式の燃料供給弁は閉状態であるが、吸気バルブを閉じた後の後期では、燃焼室の圧力が作動圧力よりも低下することで、圧力応動式の燃料供給弁は開状態となって、燃焼室に燃料を供給することができる。
即ち、圧力応動式の燃料供給弁を、吸気行程において適切に開状態とし、排気行程などのその他の行程では適切に閉状態とする形態で、作動状態に合わせて適切に開閉させることができる。
圧縮工程において圧縮された混合気を前記副室に備えた点火プラグを作動させて火花点火して燃焼させ、前記副室から前記噴孔を介して前記主室に火炎ジェットを噴射する形態で作動するように構成されている点にある。
即ち、吸気行程において、吸気路から主室に開状態となる吸気バルブを通じて新気を吸気すると共に、吸気行程における吸気バルブの閉タイミングを下死点よりも早い時期に設定して、その吸気バルブを下死点よりも早い時期に閉じることで、燃焼室の圧力を圧力応動式の燃料供給弁の作動圧力以下に低下させて、当該燃料供給弁を開状態として、燃料供給路から副室に燃料を供給することができる。
そして、主室に吸気された新気をピストンの上昇により圧縮して、その圧縮された新気を、噴孔を介して副室に流入させ、副室に流入した新気と副室に供給された燃料との混合気を点火プラグにより火花点火して燃焼させて、主室に開口する噴孔を介して主室に火炎ジェットを噴射する形態で作動させることができる。
そして、このように副室式エンジンとして構成すれば、燃焼室全体として空気に対して燃料が希薄な状態で燃料を燃焼させる希薄燃焼が実現できるため、高効率化を図ることができ、特に、効率向上が求められるコージェネレーションシステム等に好適に導入することができる。
前記圧力状態検出手段の検出結果に基づいて前記燃料供給圧力を制御する燃料供給圧力制御手段を備えた点にある。
即ち、吸気行程において吸気バルブが開状態となるときの燃焼室の圧力に略相当する吸気圧力が変動し、吸気行程において吸気バルブを下死点よりも早い時期に閉じることで低下した後の燃焼室の圧力が変動する場合には、圧力応動式の燃料供給弁から副室への燃料供給量が不安定なものとなることが懸念される。そこで、その吸気圧力に対する燃料供給圧力の差圧を上記圧力状態検出手段で検出して、当該差圧が適切なものになるように燃料供給圧力を制御することで、圧力応動式の燃料供給弁から副室への燃料供給量を適切な量に維持することができる。
一方、排気行程において排気バルブが開状態となるときの燃焼室の圧力に略相当する排気圧力が変動する場合には、圧力応動式の燃料供給弁が不意に開状態となって燃料供給路から副室に不要な燃料が流出することが懸念される。そこで、その排気圧力に対する燃料供給圧力の差圧を上記圧力状態検出手段で検出して、当該差圧が適切なものになるように燃料供給圧力を制御することで、排気行程において圧力応動式の燃料供給弁を確実に閉状態に維持して、上記のような不要な燃料の流出を防止することができる。尚、上記吸気圧力と上記排気圧力とが略同等のものである場合には、一方の圧力のみを測定して、その測定結果を他方の圧力として取り扱うことができる。
また、エンジン負荷に基づいて上記燃料供給圧力を制御すれば、エンジン負荷に応じて燃料供給量を適切に変動させることもできる。
図1に示すエンジン100は、燃焼室1に設けられた燃料供給弁13を通じて燃料供給路14から燃焼室1に燃料Gを供給するエンジンであって、詳細については後述するが、燃焼室1として、ピストン2に面する主室10と、当該主室10に噴孔21を介して連通する副室11とを備えると共に、燃料供給弁13を副室11に備え、圧縮工程において圧縮された混合気を副室11に備えた点火プラグ12を作動させて火花点火して燃焼させ、副室11から噴孔21を介して主室10に火炎ジェットFを噴射する形態で作動するように構成された副室式エンジンとして構成されている。
そのターボ過給機23によって、コンプレッサ23aの下流側の吸気路5の圧力(以下、「吸気圧力」と呼ぶ。)は、比較的高い圧力(例えば、220kPa(Gauge))に維持されており、更に、タービン23bの上流側の排気路7の圧力(以下、「排気圧力」と呼ぶ。)についても、タービン23bの背圧により、上記吸気圧力と略同等の圧力に維持されている。
尚、上記吸気圧力及び排気圧力については、吸気路5及び排気路7に発生する脈動により変化する場合があるが、その場合には、後述する圧力応動式に構成される燃料供給弁13の不意の開弁を防止するべく、その圧力変化の最低圧力を夫々の圧力として取り扱う。
また、口金31内の弁体35の下方部には、上記弁体35を下方から付勢する状態で配置されたコイルバネ等からなる付勢部材36が設けられており、その付勢力は後述する作動圧力に応じて適切なものに設定されている。
即ち、弁体35の下方側に連通する副室11の圧力(以下、「副室圧力」と呼ぶ。)が低下して所定の作動圧力以下になると、弁体35の上方側に連通する燃料供給路14の圧力(以下、「燃料供給圧」と呼ぶ。)が、上記副室圧力と付勢部材36の付勢力とに打ち勝ち、弁体35が下方に移動して弁座部34から離間し、燃料供給管33の先端開口部が開放される所謂開状態となることで、燃料供給路14から燃料供給口32を通じて副室11に燃料Gが供給されることになる。
一方、副室圧力が上昇して所定の作動圧力よりも高くなると、上記副室圧力と付勢部材36の付勢力とが燃料供給圧に打ち勝ち、弁体35が上方に移動して弁座部34に当接し、燃料供給管33の先端開口部が閉鎖される所謂閉状態となることで、燃料供給路14から副室11への燃料Gの供給が停止される。
よって、この圧力応動式の燃料供給弁13は、排気行程において排気バルブ6が開状態となり、燃焼室1即ち副室11の圧力が上記排気圧力に略相当する圧力となった場合でも、弁体35が良好に弁座部34に当接して閉状態を維持することになり、同排気行程において燃料Gが無用に副室11に流出して排気路7に排出されることが防止されている。
更に、吸気行程において、吸気行程の吸気バルブ4を閉じた後の後期には、ピストン2の下降に伴って、副室11の圧力が圧力応動式の燃料供給弁13の作動圧力以下となることで、当該燃料供給弁13が開状態となり、燃料供給路14から副室11に燃料Gが供給され、次の圧縮行程の初期において、ピストン2の上昇に伴って、副室11の圧力が圧力応動式の燃料供給弁13の作動圧力よりも高くなることで、当該燃料供給弁13が閉状態となり、燃料供給路14から副室11への燃料Gの供給が停止される。
よって、副室11の上記点火プラグ12の点火領域では、その新気Iと燃料Gとが混合されて、火花点火可能範囲内(例えば1程度)の当量比の混合気が形成される。
このような主室10における燃焼状態は、通常のSIエンジンに近い状態であるが、圧縮比を高く設定した場合においてもノッキングが発生しないため、熱効率を向上することができる。また、主室101に吸気される新気Iの当量比を大きくして、出力を増加させた場合でも、良好にノッキングを回避することができるため、ノッキング限界における当量比を高くすることができ、広い出力調整範囲が確保される。
ここで、燃焼室1の圧力は比較的低い排気圧力となるが、圧力応動式の燃料供給弁13の作動圧力がその排気圧力よりも小さく設定されていることから、当該燃料供給弁13は閉状態に維持され、燃料供給路14から燃料Gが燃焼室1に流出することがない。
そして、その圧力計測部25,26により計測された吸気圧力に対する燃料供給圧力の差圧(即ち、「燃料供給圧力−吸気圧力」で示される圧力。)を検出する差圧検出部38(圧力状態検出手段の一例)が設けられている。
更に、燃料供給路14の圧力計測部26の上流側には、その差圧検出部38で検出された差圧に基づいて燃料供給弁13への燃料供給圧力を制御する圧力制御弁37(燃料供給圧力制御手段の一例)が設けられている。
よって、吸気行程において、吸気バルブ4を閉じてから燃焼室1の圧力低下に伴って、適切な時期に上記燃料供給弁13が開状態となり、更に、適切な量の燃料Gが副室11に供給されることになる。
また、例えば、エンジン負荷に基づいて上記圧力制御弁37における上記差圧の目標値を変更すれば、圧力応動式の燃料供給弁13の作動圧力を変化させて、燃料供給量をエンジン負荷に応じて変更することもできる。
よって、その差圧に基づいて圧力制御弁37により燃料供給圧力を制御することで、排気行程において圧力応動式の燃料供給弁13が不意に開状態となることが防止されている。
尚、上記実施の形態では、上記ターボ過給機23のような過給機を設置したが、このような過給機を省略しても構わない。
2:ピストン
4:吸気バルブ
10:主室
11:副室
12:点火プラグ
13:燃料供給弁
14:燃料供給路
21:噴孔
23:ターボ過給機(過給機)
37:圧力制御弁(燃料供給圧力制御手段)
38:差圧検出部(圧力状態検出手段)
100:エンジン
I:新気
G:燃料
Claims (4)
- 燃焼室に設けられた燃料供給弁を通じて燃料供給路から燃焼室に燃料を供給するエンジンであって、
前記燃料供給弁が、前記燃焼室の圧力が所定の作動圧力以下に低下している間に開状態となる圧力応動式に構成されていると共に、前記作動圧力が吸気行程において吸気バルブが開状態となるときの前記燃焼室の圧力に相当する吸気圧力及び排気行程において排気バルブが開状態となるときの前記燃焼室の圧力に相当する排気圧力よりも低く設定され、
吸気行程における吸気バルブの閉タイミングが、下死点よりも早い時期に設定され、前記吸気バルブの閉タイミング以降の前記ピストンの下降により、前記燃焼室の圧力を前記吸気圧力から前記作動圧力以下に低下させるように構成されているエンジン。 - 前記燃焼室として、前記ピストンに面する主室と、当該主室に噴孔を介して連通する副室とを備えると共に、前記燃料供給弁を前記副室に備え、
圧縮工程において圧縮された混合気を前記副室に備えた点火プラグを作動させて火花点火して燃焼させ、前記副室から前記噴孔を介して前記主室に火炎ジェットを噴射する形態で作動するように構成されている請求項1に記載のエンジン。 - 前記吸気路に過給機を備えた請求項1又は2に記載のエンジン。
- 前記吸気圧力又は前記排気圧力に対する前記燃料供給弁への燃料供給圧力の状態を検出する圧力状態検出手段と、
前記圧力状態検出手段の検出結果に基づいて前記燃料供給圧力を制御する燃料供給圧力制御手段を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載のエンジン。
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