JP4695709B2 - 扉の建付け金具 - Google Patents

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Description

本発明は、扉の建付け金具に関し、特に山門などの大型木造建築物に据付される扉の建付け金具に関する。
一般に、一戸建て住宅やマンション、ホテル、アパート等の扉は、扉と戸枠に取り付けられた蝶番により、扉の開閉および支持を行っている。一方、1枚の扉の重量が400kgを越える大型建築物の門扉の場合には、耐荷重性能の小さい蝶番は使用できず、肘壺と呼ばれる壺金具と肘金具とを組み合わせた金具が用いられる。壺金具は、軸受け部となる軸受け部が備わり、戸枠の扉の上方と下方の横木にそれぞれ固定され、肘金具は、軸部が備わり、扉の一方側の上端と下端にそれぞれ固定され、該肘金具から突出した軸部が上記壺金具の軸受け部に回転可能に挿入される。例えば、山門などの大型木造建築物の新築又は修繕において、扉(門扉)を建付けする際には、扉の上方と下方の横木にそれぞれ円形状の軸受け部を有する壺金具を固定して、扉の一方側の上端と下端にそれぞれ円柱状に突出した軸部を有する肘金具を固定して、該肘金具から突出した軸部が上記壺金具の軸受け部に回転可能に挿入され、これら一対の肘壺によって、扉の開閉および支持を行っている。なお、扉の上方の横木は、鴨居や冠木と呼称される場合があり、扉の下方の横木は、敷居や唐居敷きと呼称される場合がある。
上記山門などの大型木造建築物の扉や戸枠は、木材の経年変化による歪みや荷重による負荷、その他自然災害等の影響により、扉の建付け位置が変動して、扉が軋んで開閉に支障をきたすことがある。しかし、これら大型木造建築物の1枚の扉の重量は400kgを越えており(長さが8mを超えるようなものもある)、扉の建付けの修繕(建付け位置調整)のためには、重機を用いて重い扉を取り外さなければならず、多くの人手がかかるため、大型木造建築物の扉の建付けの修繕は大変困難な作業である。
すでに開示されている扉(門扉)の建付け位置調整に関する公知技術としては次ぎのものがある。特許文献1は、門扉の軸の台座がコ字型で扉に嵌合しており、巾方向にスライドする構成が記されている(その図6等)。また、特許文献2は、門柱側から水平方向に突出した軸受け部が水平方向にスライドする構成が記されている(その図1等)。特許文献3は、戸枠側の軸受け部の外側面に調整ねじが螺合され、水平方向に位置調整される構成が記されている(その図2等)。特許文献4は、戸枠下部ピボットの扉側プレート用軸心のボルト部分に上下調整ナットを組み込んで扉側プレートを2個のナットで挟み込むように構成し、扉側プレートの上側のナットを大きく緩め、下側の上下調整ナットを上方向に回転させて扉側プレートを持ち上げる動作により上下方向の建付け調整を可能とする構成が記されている(その図3等)。
特開平9−317363号公報 特開2005−139741号公報 特許第3107785号公報 特開2006−283461号公報
しかしながら、上記従来の扉の建付け金具は、いずれも一般住宅等の扉(門扉)をピボットヒンジと呼ばれる蝶番(特許文献2から4)や、軸支孔を有する引き出し板(特許文献1)により、扉の軸心を水平方向に引き出して、扉の支持を行う構造であることから、扉の軸心の引き出し長さに応じて扉の重量を超える負荷が蝶番又は引き出し板に加わるおそれがある他、そもそも蝶番等では、重量の大きな扉を支持する強度を得ることは困難である(特許文献1から4)。一方、上記山門などの大型木造建築物の扉や戸枠は、木材の経年変化による歪み、捩れや荷重による負荷、その他自然災害等の影響により、扉の建付け位置が変動するが、その変動現象は、予測不可能で複雑な歪みや捩れ等を生じさせる。そして、一時的に大きく歪んだり捩れたりすることもあるが、除々に経年変化する場合もあり、これらにより、扉とその枠との間に位置ずれが生じて、扉が軋んで開閉等に支障を来たすことさえある。
そこで本発明の目的は、山門などの大型木造建築物の扉や戸枠(被取付け側)とのどのような位置ずれに対しても調整可能(建付け位置調整可能)で、これらを安定性を図りながら実現する扉の建付け金具を提供することにある。
本発明の請求項1記載の扉の建付け金具は、扉と、扉が取り付けられる戸枠とを備え、戸枠が横木と柱を有する山門などの大型木造建築物に据付される扉の建付け金具において、 扉の下側に取り付ける肘金具と、扉を取り付ける被取付け側の戸枠の内側下に配された横木の上側に取り付けられる壷金具と、これらの間に分離した状態で配される調整用の軸部材を備え、上記肘金具が調整用の軸部材の一方側を受ける円筒状の一方側軸受け部を有し、上記壺金具が調整用の軸部材の他方側を受ける円筒状の他方側軸受け部を有し、上記調整用の軸部材が肘金具と壺金具の円筒状の各軸受け部に着脱可能に挿入され嵌合される円筒状であり、上記調整用の軸部材がその外周がネジ加工された円筒状のコアと、該コアよりも外径が大きな円筒状に形成された下方部と、その内周がネジ加工され該コアに螺合されたプレートからなり、これらコアとプレートの螺合位置が調整でき、上記肘金具の一方側軸受け部の円筒状の内径が上記調整用の軸部材の上側に形成されたコアの外径よりも若干大きく形成され、上記軸受け部の深さがコアの高さよりも大きく形成されることで、上記プレートの上側の面が上記軸受け部の下端面に当接するが、コアの上面が上記軸受け部の円筒状の上側に形成された底面に当接しないように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、上記プレートとコアとの螺合位置(高さ位置)を調整することにより、ネジ一周分にてネジのピッチ分だけ上記プレートの高さ位置が変化するので、扉の高さ位置を調整することができる。なお、上記コアとプレートに、それぞれスパナ又は棒レンチを引っ掛けるためのスパナ溝又は棒レンチ孔が形成されることで、扉の高さ位置の建付け調整が容易になる。
本発明の請求項2記載の扉の建付け金具は、前記肘金具の一方側軸受け部に平面部が形成され、下向きに凸状の曲面部が下側に形成された前記調整用の軸部材と接触するか、前記肘金具の一方側軸受け部に上向きに凸状の曲面部が形成され、平面部が下側に形成された前記調整用の軸部材と接触するか、又は、前記肘金具の一方側軸受け部に上向きに凸状の曲面部が形成され、下向きに凸状の曲面部が下側に形成された前記調整用の軸部材と接触することを特徴とする。
本発明によれば、壷金具と肘金具の両部材とは分離した状態の調整用の軸部材を介在させることにより、壷金具と肘金具の軸受け部に対して嵌合された安定性を図りながらも、上記歪みや捩れの大きさに柔軟に対応してこれらを十分に吸収するとともに、部品交換も容易になる効果を有する。すなわち、本発明によれば、例えば、扉が経年変化により歪んだり捩れたりしても(扉の軸の中心荷重が位置ずれしたとしても)、前記平面部に対する曲面部の接触状態、前記曲面部に対する平面部の接触状態や、前記曲面部に対する曲面部の接触状態により、上記歪みや捩れた分だけ調整用の軸部材が傾斜する。つまり刻々と変化する歪みや捩れ等に対してその傾斜する角度をその時間的変化に追従するように吸収することとなる。そして、調整用の軸部材の一方側(上端面)と他方側(下端面)の両方で上記曲面部による傾斜機構を採用することにより、壷金具と肘金具の軸受け部に対して嵌合された状態でも、上記曲面部による傾斜角度を調整することができる。なお、壷金具と肘金具の両部材のみでも、上記平面部と曲面部との関係を構築することができるが、この場合よりも、壷金具と肘金具の両部材とは分離した状態の調整用の軸部材を介在させることにより、壷金具と肘金具の軸受け部に対して嵌合された安定性を図りながらも、上記歪みや捩れの大きさに柔軟に対応してこれらを十分に吸収するとともに、部品交換も容易になる効果を有する。
本発明の扉の建付け金具は、前記各軸受け部の少なくとも一方に、その外周部と内周部とが偏心した位置に形成されている偏心用部材が内蔵され、前記調整用の軸部材に着脱自在に取り付けられることが好ましい。本発明によれば、上記偏心用部材の内周部又は外周部が偏心した位置に形成されているので、扉の位置が最初の設定位置からずれたとしても、扉の調整(軸の位置の調整)が可能になる。
本発明の扉の建付け金具は、前記肘金具は、一方側軸受け部に取り付けられるレールガイドと、扉に固定されたL字金具のガイドレールとを備え、扉の位置がL字金具の一方辺に沿って調整可能に構成されていることが好ましい。本発明によれば、上記肘金具が、扉の固定されたL字金具のガイドレールを介して移動可能に取り付けられることで、扉の位置を左右に調整することができる。
これら本発明の扉の建付け金具は、山門などの大型木造建築物の扉に据付されることで、重機等を用いて重い扉を取り外すことなく、多くの人手をかけずに、容易に扉の修繕(建付け位置調整)が行えることとなる。
本発明によれば、上記調整用の軸部材が、一方の側が雄ネジ加工されたコアと該コアの外周に螺合される雌ネジ加工されたプレートからなり、該プレートが前記軸受け部の下端面に当接することで、上記軸受け部の下端面の高さ位置を微調整することができる。また、扉の上端と下端に捩れが生じた場合でも、上記調整用の軸部材が肘金具や壷金具との関係で扉の歪みや捩れ等を吸収するため、扉の歪みや捩れ等より扉が軋んで開閉に支障をきたすような事態を防止することができる。特に、壷金具と肘金具の両部材とは分離した状態の調整用の軸部材を介在させることにより、壷金具と肘金具の軸受け部に対して挿入された安定性を図りながらも、上記歪みや捩れの大きさに柔軟に対応してこれらを十分に吸収するとともに、部品交換も容易になる効果を有する。
なお、上記偏心用部材を利用することで、扉の軸の位置が調整可能となり、上記軸受け部が、扉の下端に固定された肘金具のガイドレールを介して移動可能に取り付けられることで、扉の軸が左右に調整可能となることから、本発明の扉の建付け金具によれば、扉を三次元方向(上下、左右、前後や軸の位置の調整)の自在な位置に調整することができる。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して詳細に述べる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の扉(門扉)の建付け金具Z1を山門1への据付例として模式的に示す正面図である。図2は、本発明の建付け金具Z1を図1の一点鎖線円内から抜き出して模式的に示す斜視図であり、図3は、本発明の建付け金具Z1を、肘金具H1と調整用の軸部材Hpj1と壺金具U1に分けて模式的に示す斜視図であり、図4は、本発明の建付け金具Z1を、肘金具H1と調整用の軸部材Hpj1と壺金具U1に分けて模式的に示す断面図である。戸枠の内側左下(一点鎖線円内)と戸枠の内側右下の2箇所には、本発明の建付け金具Z1が据付けられている(図1)。ここでは、本発明の建付け金具Z1は、扉T1(T2)の下端側のみに据付ける例で説明するが、扉T1(T2)の上端側についても本発明の建付け金具Z1を適用することができる。なお、本実施の形態の構成部品は、真鍮又はステンレス製とするものであるが、本発明では、その材質は問われない。
肘金具H1は、L字金具HLと、L字金具HLの下端に固定された軸受け部Hphとからなる。L字金具HLの中央には突出した補強部Hmがあり、L字金具HLの断面を凸形状とすることでL字金具HLの強度を高めている(図2)。扉T1(T2)の下端は、予めL字金具HLの断面凸形状に合わせて溝加工が施され、L字金具HLに加工された複数のネジ孔Hnを介してネジにより、扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbとにそれぞれ固定される。軸受け部Hphの内径は円形であり、その内径は、調整用の軸部材Hpj1の上方部hpaの外径よりも若干大きく形成され、軸受け部Hphの深さは、調整用の軸部材Hpj1の上方部hpaの高さよりも若干大きく(深く)形成されており、軸受け部Hphの底面は凸状の曲面に膨らんだ曲面部q(又は平面部p)が形成されている(図4(a))。なお、上記曲面部のみを別部材として、肘金具H1の軸受け部Hphに収納される真鍮やステンレス製品を使用することも可能である。
壺金具U1は、軸受け部Ukの一方側に軸受け部Ukよりも外径の大きな鍔Udが一体形成される構成となっており(図3)、鍔Udに加工された複数のネジ孔Unを介してネジn1により、予め軸受け部Ukと同じ程度の大きさの穴が形成された横木(被取付け側)Y1とY2とにそれぞれ固定される。壺金具U1の軸受け部Ukの内径は、調整用の軸部材Hpj1の下方部hpbの外径よりも若干大きく形成され、軸受け部Ukの深さは、調整用の軸部材Hpj1の下方部hpbの高さよりも若干大きく(深く)形成されており、軸受け部Ukの底面には凸状の曲面に膨らんだ曲面部q(又は平面部p)が形成されている(図10(a))。なお、上記曲面部qのみを別部材として、壺金具U1の軸受け部Ukに収納される真鍮やステンレス製品を使用することも可能である(第2の実施の形態の曲面部qを有する部材Ur2を参照)。また、同じように、上記平面部pを別部材とすることも可能である(図9(a)の符号Ur3を参照)。そしてこれらを組み合わせることで高さ調節も同時に行えるようになる。
調整用の軸部材Hpj1は、上記肘金具H1と壺金具U1との間に介在されるもので、円筒状の部材である。本実施の形態の調整用の軸部材Hpj1は、上方部hpaと下方部hpbとでその径の大きさが異なるもので、安定性を考慮して、下方部hpbが上方部hpaよりも外径が大きな凸状に形成されている。ここで、上方部hpaと下方部hpbとの関係で説明すると、上方部hpa側の凸状の曲面部qの曲率よりも下方部hpbの曲率を小さくするような構成にもできるが、このような場合や下端面hpbが平面部pである場合は、上方部hpa側の捩れや歪みを下端面hpb側ではその捩れや歪み修正を小さくすることもできる。上記凸状の調整用の軸部材Hpj1において、上方部hpaと下方部hpbとの径の大きさの違いにより、捩れや歪みの吸収を調整することができる。なお、これとは逆に、下方部hpbが上方部hpaよりも外径が小さく形成したり、これらの大きさを変えずに同じ大きさにすることも(一つの筒状)、実施に応じて可能である。
ここで、図4(a)では、調整用の軸部材Hpj1の上下端面は平面部pとして形成され、壺金具U1の軸受け部Ukの底面と、肘金具H1の軸受け部Hphの底面に曲面部qが形成されている。図4(b)では、調整用の軸部材Hpj1の上端面が曲面部qとして形成され、下端面が平面部pとして形成され、壺金具U1の軸受け部Ukの底面が曲面部qとされ、肘金具H1の軸受け部Hphの底面が平面部pとして形成されている。図4(c)では、調整用の軸部材Hpj1の下端面が曲面部qとして形成され、上端面が平面部pとして形成され、壺金具U1の軸受け部Ukの底面が平面部pとされ、肘金具H1の軸受け部Hphの底面が曲面部qとして形成されている。図4(d)では、調整用の軸部材Hpj1の上端面と下端面が曲面部qとして形成され、壺金具U1の軸受け部Ukの底面が平面部pとされ、肘金具H1の軸受け部Hphの底面が平面部pとして形成されている。図4(e)では、調整用の軸部材Hpj1の上端面と下端面が曲面部qとして形成され、壺金具U1の軸受け部Ukの底面が曲面部qとされ、肘金具H1の軸受け部Hphの底面が曲面部qとして形成されている。図4(f)では、調整用の軸部材Hpj1の上端面と下端面が平面部pとして形成され、壺金具U1の軸受け部Ukの底面が平面部pとされ、肘金具H1の軸受け部Hphの底面が曲面部qとして形成されている。上記曲面部qと平面部pとのパターン(種類)として、上記の通りであるが、扉の下端側において、調整用の軸部材Hpj1の下端面と壺金具U1の軸受け部Ukの底面との間で上記曲面部qを利用した傾斜角度調整が行われることが重要である。この際、平面部pと曲面部qでの傾斜角度調整でも、曲面部qと曲面部qでの傾斜角度調整でも良いが、より大きな角度調整の観点からは曲面部qと曲面部qとによる調整が好ましい。本実施の形態によれば、調整用の軸部材Hpj1の上端面と下端面の2箇所で上記傾斜角度が行われるので、肘金具H1の軸受け部Hphや壺金具U1の軸受け部Ukに調整用の軸部材Hpj1を嵌合させた状態でも、扉の捩れや歪み等に対してこれを有効に吸収することができる。
したがって、肘金具H1と壺金具U1とを調整用の軸部材Hpj1を介して組み付けると、調整用の軸部材Hpj1の上方部hpaが壺金具U1の軸受け部Hphの軸受け部Hphに回転可能に挿入され、かつ、上記調整用の軸部材Hpj1の下方部hpbが壺金具U1の軸受け部Ukに回転可能に挿入される(図2)。
図5(a)(b)は、本発明の建付け金具Z1を図1の一点鎖線円内から抜き出して模式的に示す断面図である。扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbに捩れθ1が生じていない場合には、肘金具H1の軸受け部Hphの円形状の軸受け部Hphの中心軸Ph−Phは、調整用の軸部材Hpj1の中心軸Pj−Pj、および、壺金具U1の軸受け部Ukの中心軸Pu−Puと一致する(重なる)ので、扉T1(T2)の開閉には支障がない(図5(a))。次に、扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbに捩れθ1が生じている場合には、肘金具H1の軸受け部Hphの円形状の軸受け部Hphの中心軸Ph−Phは、壺金具U1の軸受け部Ukの中心軸Pu−Puに対して、角度θ1だけ捩れるが、一方、調整用の軸部材Hpj1の中心軸Pj−Pjは、軸受け部Hphと壺金具U1との間の捩れθ1による応力を解消するため、壺金具U1の軸受け部Ukの中心軸Pu−Puに対して、角度−θ2だけ捩れることとなり、建付け金具Z1が捩れθ1を吸収する(図5(b))。捩れ角度θ1と捩れ角度θ2との大きさが一致するように、調整用の軸部材Hpj1のサイズ(外径と長さ)を適宜、設定すればよい。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態の扉(門扉)の建付け金具Z2を山門1への据付例として模式的に示す正面図である。図7は、本発明の建付け金具Z2を図6の一点鎖線円内から抜き出して模式的に示す斜視図であり、図8は、本発明の建付け金具Z2の分解斜視図であり、図9は、本発明の建付け金具Z2の断面図である。戸枠の内側左下(一点鎖線円内)と戸枠の内側右下の2箇所には、本発明の建付け金具Z2が据付けられている(図6)。ここでは、本発明の建付け金具Z2は、扉T1(T2)の下端側のみに据付ける例で説明するが、扉T1(T2)の上端側についても本発明の建付け金具Z2を適用することができる。
本実施の形態は、調整用の軸部材Hpj2の長さ(高さ)が可能であると共に、調整用の軸部材Hpj2に偏心用部材Dを嵌合させて、偏心移動(左右方向の移動)等を可能にして、上記第1の実施の形態にはない機能が加えられている。調整用の軸部材Hpj2は、上記調整用の軸部材Hpj2の上端部は、その外周が雄ネジ加工されたコアhpa2となっており、該コアhpa2の外周には、その内周が雌ネジ加工されたプレートHptが螺合される。なお、コアhpa2には、ネジn4を引き込むための縦溝d2が4箇所設けられ、ネジn4にてプレートHptとコアhpa2が固定される。コアhpa2とプレートHptには、それぞれスパナを引っ掛けるためのスパナ溝s1とs2が形成されている(図8)。なお、図9(a)の例では、調整用の軸部材Hpj2は、凸状を呈しているが、図9(b)に示すようにこれとは逆の向きで、コアhpa2とプレートHptを構成することも可能である。そして、軸受け部Hphの円形状の軸受け部Hphの内径は、調整用の軸部材Hpj2のコア(上端部)hpa2の外径よりも若干大きく形成され、軸受け部Hphの深さは、調整用の軸部材Hpj2のコア(上端部)hpa2の高さよりも若干大きく(深く)形成されており、該プレートHptの上側の面は軸受け部Hphの下端面に当接するが、コアhpa2の上側の面は円形の軸受け部Hphの底面(天井側の面)には当接しないように設定されている(図8)。
肘金具H2は、扉T1(T2)の下端に固定するためのL字金具HLaと、L字金具HLaの下側に形成されたガイドレールHLatと、ガイドレールHLatが嵌め合わされる溝の断面がT字状のレールガイドHLbとを備え、レールガイドHLbの下方に軸受け部Hphが取り付けられて、ネジn3により、レールガイドHLbとガイドレールHLatが固定される(図8)。したがって、上記ガイドレールHLatとレールガイドHLbとのレール移動構造により、扉T1(T2)の左右方向への移動が可能になっている(図6)。L字金具HLaの直立側面の中央には、突出した補強部Hmがあり、L字金具HLaの断面を凸形状とすることでL字金具HLaの強度を高めている(図8)。補強部Hmの中央には、雌ネジ加工されたボルト受け部Hbが形成され、扉T1(T2)の芯部に水平方向に長尺の貫通ボルトb1を貫通させ、締め付けることで、扉T1(T2)の下側とL字金具HLaを強固に固定する(図示せず)。
壺金具Kは、四周側壁Ka,Kbにより長方形状の窪みが形成された基台K1と、基台K1の対向する側壁Kaにボルトn5を介して取り付けられた一対のクランプ部Ucsと、クランプ部Ucsの突出部を調整する一対のボルトn5が取り付けられている(図8)。一対のクランプ部Ucsは、偏心用部材Dの外周部Dhiを挟み込む。偏心用部材Dは、調整用の軸部材Hpj2に嵌合させるものであるが、その外周部Dhkiの中心軸Pc−Pc線は、偏心用部材Dの内周部Dkiの中心軸Pu−Pu線よりもずれた位置にあり、偏心用部材Dの内周部Dkiは、外周部Dhiに対して偏心している(図8)。調整用の軸部材Hpj2の下方部hpbは、上方部hpa2よりも外径が大きく形成され、偏心用部材Dの内周部Dkiは、調整用の軸部材Hpj2の下方部hpbの外径よりも若干大きく形成され、内周部Dkiの深さは、調整用の軸部材Hpj2の下方部hpbの高さよりも若干大きく(深く)形成されており、内周部Dkiには凸状の曲面に膨らんだ曲面部qを有する部材Ur2が嵌合されるように形成されている(図10(a))。本実施の形態の曲面部qを有する部材Ur2は、肘金具H2や壷金具K等とは別体の部品として構成されている。このように、曲面部qや平面部pは、肘金具H2や壷金具K等とは別体の部品としたり、これらを複数部品で構成して、複数のスペーサで高さ調節可能にして、もっとも上に曲面部qを有する部材Ur2を配するようにすることも可能である。なお、偏心用部材Dの外周部Dhiには、上記基台K1の側壁Kbに接触する平面部chが形成されている。なお、また、曲面部qや平面部pは、第1の実施の形態でのパターンが全て本実施の形態でも適用することができる。
したがって、肘金具H2と壺金具Kとを調整用の軸部材Hpj2を介して組み付けると、調整用の軸部材Hpj2のコアhpa2が円形状の軸受け部Hphに回転可能に挿入され、コアhpa2に螺合されたプレートHptの上側の面が軸受け部Hphの下端面に当接して、軸受け部Hphの高さを位置決めすること、扉T1(T2)の高さを調整して位置決めすることができる。そして、上記調整用の軸部材Hpj2の下方部hpbが偏心用部材Dの軸受け部Ukに回転可能に挿入されるとともに、上記曲面部qを有する部材Ur2の頂点に当接することとなる。偏心用部材Dは、壷金具Kの短辺側の外周側面Kaから偏心用部材Dの外周側面に向かって、向かい合わせに取り付けられた一対のボルトn5を調整することで、調整用の軸部材Hpj2の前後の位置決めを行う。このとき、偏心用部材Dの内周部Dkiが偏心していることから、その偏心量に応じて、調整用の軸部材Hpj2の左右の微小な位置ずれにも対応する。扉T1(T2)の左右の位置ずれが大きい場合には、ネジn3を緩めて、レールガイドHLbを移動させ、軸受け部Hphの位置を調整する。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態の作用・効果に加えて、上記プレートHptとコアHpa2との螺合位置(高さ位置)を調整することにより、ネジ一周分にてネジのピッチ分だけ上記プレートHptの高さ位置が変化するので、扉T1(T2)の高さ位置を調整することができる。また、上記肘金具H2が、扉T1(T2)の固定されたL字金具のガイドレールHLatを介して移動可能に取り付けられることで、扉T1(T2)の位置を左右に調整することができる。さらに、扉T1(T2)の位置が最初の設定位置からずれたとしても、扉T1(T2)の調整(軸の位置の調整)が可能になる。
図10(a)(b)は、本発明の建付け金具Z2を図6の一点鎖線円内から抜き出して模式的に示す断面図である。扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbに捩れθ1が生じていない場合には、肘金具H2の円形状の軸受け部Hphの中心軸Ph−Phは、調整用の軸部材Hpj2の中心軸Pj−Pjと壺金具U2の軸受け部Ukの中心軸Pu−Puと一致する(重なる)ので、扉T1(T2)の開閉には支障がない(図10(a))。次に、扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbに捩れθ1が生じている場合には、肘金具H2の円形状の軸受け部Hphの中心軸Ph−Phは、壺金具U2の軸受け部Ukの中心軸Pu−Puに対して、角度θ1だけ捩れるが、一方、調整用の軸部材Hpj2の中心軸Pj−Pjは、軸受け部Hphと壺金具U2との間の捩れθ1による応力を解消するため、壺金具U2の軸受け部Ukの中心軸Pu−Puに対して、角度−θ2だけ捩れることとなり、建付け金具Z2が捩れθ1を吸収する(図10(b))。捩れ角度θ1と捩れ角度θ2との大きさが一致するように、調整用の軸部材Hpj2のサイズ(外径と長さ)を適宜設定すればよい。
図15は、第2の実施の形態の応用例を示す斜視図である。この応用例では、壷金具K1の内周に取り付けられた一対のクランプ部Ucsの他に、これと交差する方向にも他の一対のクランプ部Ucs2がボルトn5を介して、基台K1の側壁Kbに取り付けられている。したがって、図15中のX方向のみならずY方向にも調節することができる構造である。なお、扉T1(T2)の上端側についても、上記偏心用部材Dを介して、上記のような構成の壷金具K1を取付けることができる。
(比較例)
図11は、比較例の扉(門扉)の建付け金具X1を山門1への据付例として模式的に示す正面図である。図12は、比較例の建付け金具X1を図11の一点鎖線円内から抜き出して模式的に示す斜視図であり、図13は、比較例の建付け金具X1を、肘金具Xhと壺金具Xuに分けて模式的に示す斜視図である。山門1は、左右両開きの扉T1,T2と、戸枠を形成する上方の横木Y1と下方の横木Y2と、左右の柱G1,G2と戸枠の内側4箇所に据付けられた建付け金具X1から構成される。比較の扉の建付け金具X1は、左右両開きの扉T1(T2)の上方の横木Y1と下方の横木Y2にそれぞれ固定される4つの壺金具Xuと、扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbとにそれぞれ固定される4つの肘金具Xhを有し、該肘金具Xhから突出した軸部Xpjが上記壺金具Xuの軸受け部Xukに回転可能に挿入される(図12、図13)。壺金具Xuは、円筒Xutの一方側に円筒Xutよりも外径の大きな鍔Xudが一体形成される構成となっており(図13)、鍔Xudに加工された複数のネジ孔Xn1を介してネジn1により、予め円筒Xutと同じ程度の大きさの穴が形成された横木Y1とY2とにそれぞれ固定される。肘金具Xhは、L字金具XLの一方側に軸部Xpjが一体形成される構成となっており(図13)、L字金具XLに加工された複数のネジ孔Xn2を介してネジn2により、扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbとにそれぞれ固定される。
図14(a)(b)は、比較例の建付け金具X1を図11の一点鎖線円内から抜き出して模式的に示す断面図である。扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbに捩れθが生じていない場合には、肘金具Xhの軸部Xpjの中心軸Ph−Phは、壺金具Xuの軸受け部Xukの中心軸Pu−Puと一致する(重なる)ので、扉T1(T2)の開閉には支障がない(図14(a))。一方、扉T1(T2)の一方側の上端Taと下端Tbに捩れθが生じている場合には、肘金具Xhの軸部Xpjの中心軸Ph−Phは、壺金具Xuの軸受け部Xukの中心軸Pu−Puに対して、角度θだけ捩れるので、扉T1(T2)を開閉する際に、軸部Xpjが軸受け部Xukに衝突してしまい、この捩れθは、建付け金具X1により吸収することができないため、扉T1(T2)が軋んで開閉に支障をきたす(図14(b))。このため、壺金具Xuの軸受け部Xuの深さを浅くしたり、入り口付近にテーパを施すことも考えられるが、これでは、壺金具Xuから軸部Xpjが抜け落ちる危険を有する。これに対して、本実施の形態では、壷金具U1,U2と肘金具H1,H2の両部材とは分離した状態の調整用の軸部材を介在させることにより、壷金具U1,U2と肘金具H1,H2の軸受け部Hph,Ukに対して嵌合された安定性を図りながらも、上記歪みや捩れの大きさに柔軟に対応してこれらを十分に吸収するとともに、高さ調節や偏心移動が行え、部品交換も容易になる効果を有する。
以上、本実施の形態では、建付け金具Z1,Z2を山門1の両側開きの扉T1,T2への据付例として説明したが、片開きの扉や、折り畳み式の扉にも適用できる。また、本発明の建付け金具Z1,Z2は、大型木造建築物のみならず、大型で重量の大きな扉を有する建築物全般に適用可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
本発明の第1の実施の形態の扉の建付け金具を山門への据付例として模式的に示す正面図である。 上記第1の実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す斜視図である。 上記第1の実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す要部分解斜視図である。 上記第1の一実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す要部分解断面図である。 上記第1の本発明の一実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態の扉の建付け金具を山門への据付例として模式的に示す正面図である。 上記第2の実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す斜視図である。 上記第2の実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す要部分解斜視図である。 上記第2の本発明の他の実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す要部分解断面図である。 上記第2の実施の形態の扉の建付け金具を模式的に示す断面図である。 比較例の扉の建付け金具を山門への据付例として模式的に示す正面図である。 比較例の扉の建付け金具を模式的に示す斜視図である。 比較例の扉の建付け金具を模式的に示す要部分解斜視図である。 比較例の扉の建付け金具を模式的に示す要部分解断面図である。 上記第2の実施の形態の応用例を示す要部分解斜視図である。
1 山門、
Z1,Z2 扉の建付け金具、
H1,H2 肘金具、
HLat ガイドレール、Hlb レールガイド、
U1,U2,K 壺金具、K1 基台、
Hph 軸受け部(一方側軸受け部)、
Uk 軸受け部(他方側軸受け部)、
Hpj1,Hpj2 調整用の軸部材、
T1,T2 扉、
q 凸状の曲面部、
p 平面部、
Ur2 曲面部が形成された部材、Ur3 平面部が形成された部材、
D 偏心用部材、
Dhi 外周部、Dki 内周部、
コア hpa2、
プレート Hpt

Claims (2)

  1. 扉と、扉が取り付けられる戸枠とを備え、戸枠が横木と柱を有する山門などの大型木造建築物に据付される扉の建付け金具において、扉の下側に取り付ける肘金具と、扉を取り付ける被取付け側の戸枠の内側下に配された横木の上側に取り付けられる壷金具と、これらの間に分離した状態で配される調整用の軸部材を備え、
    上記肘金具が調整用の軸部材の一方側を受ける円筒状の一方側軸受け部を有し、上記壺金具が調整用の軸部材の他方側を受ける円筒状の他方側軸受け部を有し、上記調整用の軸部材が肘金具と壺金具の円筒状の各軸受け部に着脱可能に挿入され嵌合される円筒状であり、
    上記調整用の軸部材がその外周がネジ加工された円筒状のコアと、該コアよりも外径が大きな円筒状に形成された下方部と、その内周がネジ加工され該コアに螺合されたプレートからなり、これらコアとプレートの螺合位置が調整でき、
    上記肘金具の一方側軸受け部の円筒状の内径が上記調整用の軸部材の上側に形成されたコアの外径よりも若干大きく形成され、上記一方側軸受け部の深さがコアの高さよりも大きく形成されることで、上記プレートの上側の面が上記一方側軸受け部の下端面に当接するが、コアの上面が上記一方側軸受け部の円筒状の上側に形成された底面に当接しないように設定されていることを特徴とする扉の建付け金具。
  2. 前記壺金具の他方側軸受け部に平面部が形成され、下向きに凸状の曲面部が下側に形成された前記調整用の軸部材と接触するか、前記壺金具の他方側軸受け部に上向きに凸状の曲面部が形成され、平面部が下側に形成された前記調整用の軸部材と接触するか、又は、前記壺金具の他方側軸受け部に上向きに凸状の曲面部が形成され、下向きに凸状の曲面部が下側に形成された前記調整用の軸部材と接触することを特徴とする請求項1記載の扉の建付け金具。
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