JP4684468B2 - 非接触ic媒体の搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触で情報通信を行う非接触ICカード又は非接触ICタグ等の非接触IC媒体を被搬送物とする搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来の搬送装置を説明する図である。
図3に示す従来の搬送装置は、非接触ICカードに個人情報やカードID等の書き込みと、これらの表示(レーザ印字)を行うカード発行装置に使用されており、非接触ICカード1を順次搬送する搬送装置である。
カード供給部2から供給された非接触ICカード1は、搬送手段であるカード送り機構3A〜3C,6によって順次送られ、エンコード用リーダライタ(以下、R/W)4A,4B,レーザ印字部5によって所定の発行処理が行われた後、不良品回収部7又は良品回収部8に回収される。
【0003】
上記のようなカード発行装置において、非接触ICカード1の発行をより高速に実行しようとする場合、高速かつ間隔を狭くして非接触ICカード1を搬送する必要がある。
非接触ICカード1を高速かつ間隔を狭くして搬送する場合、潜在的に搬送の不具合が発生する頻度が高くなり、搬送の不具合が発生した場合の復帰処理も、より困難になる傾向がある。したがって、搬送の状況を逐次監視し、異常が発生した場合に緊急的に装置を停止させる等の処理が不可欠である。
従来は、この監視を行う手段として反射型又は透過型の光学センサ101A〜101Dを搬送路上に複数設置し、このセンサの状態を光センサ制御部102A〜102Dを介して発行装置制御部103によって監視することで、非接触ICカードの搬送状態を監視していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の装置は、光学センサを用いているので、非接触ICカード1を検出しているというよりも、物体の有無を検出しているだけである。
したがって、いずれの非接触ICカードを検出してるのか判らず、非接触ICカードを特定できないという問題があった。
また、非接触ICカードが2枚以上重なって搬送されたり、カードの順番が入れ替わってしまう異常を検知できないという問題があった。
更に、非接触ICカードを搬送路上で一時的に停止さる制御がある場合であって、センサ直下部に非接触ICカードが存在する位置で停止したときや、微妙に振動しながら搬送されたりした場合に、チャタリング(複数回センサがカウントしてしまう現象)が発生するという問題があった。
このような問題に起因して、従来は、非接触ICカード1の搬送状態を正確に把握できずに搬送が異常な状態で稼働を継続してしまったり、搬送が正常であるにもかかわらず異常な状態として装置を自動停止してしまう不具合が発生していた。
【0005】
本発明の課題は、非接触IC媒体の搬送状態を正確に把握することができる非接触IC媒体の搬送装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、請求項1の発明は、固有の識別符号を有する非接触ICカード(1)又は非接触ICタグを被搬送物とする搬送装置であって、前記被搬送物を搬送する搬送手段(3A〜3C,6)と、前記搬送手段の搬送路の近傍に設けられたアンテナコイル(11A〜11D)と、前記アンテナコイルを介して前記被搬送物と通信を行い、前記被搬送物に固有の識別符号を読み取ることにより、搬送物の搬送状態を検出する搬送状態検出部(13)と、前記固有の識別情報により、個々の被搬送物を識別する発行装置制御部(14)と、を備えることを特徴とする非接触IC媒体の搬送装置である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の非接触IC媒体の搬送装置において、前記搬送手段(3A〜3C,6)の搬送路近傍に前記被搬送物と通信を行い、所定の処理を行うリーダライタ(4A,4B)を有し、前記アンテナコイル(11A〜11D)は、前記リーダライタが行う通信に影響を与えない位置に設けられていること、を特徴とする非接触IC媒体の搬送装置である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の非接触IC媒体の搬送装置において、前記アンテナコイル(11A〜11D)と前記リーダライタ(4A,4B)に設けられているR/Wアンテナコイルとの相互インダクタンスが小さいこと、を特徴とする非接触IC媒体の搬送装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による非接触ICカードの搬送装置の第1実施形態を示す図である。
本実施形態における搬送装置は、非接触ICカードに個人情報やカードID等の書き込みと、これらの表示(レーザ印字)を行うカード発行装置に使用されており、非接触ICカード1を順次搬送する搬送装置である。
本実施形態におけるカード発行装置は、発行装置本体部10,アンテナコイル11A〜11D,アンテナ制御部12A〜12D,搬送状態検出部13,発行装置制御部14等を有している。
【0012】
発行装置本体部10は、カード供給部2,カード送り機構3A〜3C,エンコード用R/W4A,4B,レーザ印字部5,カード送り機構6,不良品回収部7,良品回収部8等を有している。
【0013】
カード供給部2は、発行処理を行っていない、いわゆる生カードを順次供給する部分である。
【0014】
カード送り機構3A〜3Cは、ベルトコンベヤを利用した搬送手段であって、後述のエンコード用R/W4A,4B及びレーザ印字部5それぞれに対応してカード送り機構3A,3B及び3Cが設けられている。
【0015】
エンコード用R/W4A,4Bは、生カード状態の非接触ICカード1に個人情報やカードID等を書き込むリーダライタである。尚、2つのリーダライタを設けているのは、書き込み処理を分割して行うことにより、書き込み待ちの時間を少なくして、発行処理をより高速に行うためである。
書き込み処理を行ったエンコード用R/W4A,4Bは、書き込み処理が正常に終了したか否かの情報を、発行装置制御部14に送信する。
【0016】
レーザ印字部5は、レーザ光線によって非接触ICカードの表面に個人名やカード番号等の表示を印字する部分である。
レーザ印字部5は、印字が正常に終了したか否かの情報を、発行装置制御部14に送信する。
【0017】
カード送り機構6は、発行処理が終了した非接触ICカード1を、不良品回収部7又は良品回収部8に搬送する搬送手段である。カード送り機構6は、非接触ICカード1をエアー吸引してベルトに吸着させて搬送し、発行装置制御部14に制御されてカードの分別を行う。例えば書き込み不良のカードは、不良品回収部7まで搬送した時点で吸引を停止して、非接触ICカード1を不良品回収部7に落下させ、良品のカードは、良品回収部8まで搬送する。
【0018】
不良品回収部7は、書き込み不良などが有る不良品のカードを回収する部分である。
【0019】
良品回収部8は、発行処理が全て正常に終了したカードを回収する部分である。
【0020】
以上で説明した発行装置本体部10に含まれる各部分は、後述の発行装置制御部14によって制御されている。
【0021】
アンテナコイル11A〜11D(以下、これらをまとめてアンテナコイル11とする)は、非接触ICカード1の搬送路の近傍に設けられているコイルであり、カードが搬送されたことを検出するセンサとしての役割を有している。
具体的には、非接触ICカード1がエンコード用R/W4A,4B等によって処理を施される部位の直前に配置されており、また、エンコード用R/W4A,4Bの通信に悪影響を及ぼさないように、エンコード用R/W4A,4Bが有するアンテナコイルから所定の距離を隔てて配置されている。
また、アンテナコイル11は、エンコード用R/W4A,4Bに設けられているコイルと比べて小型のコイルであって、本実施形態では、直径が10mmのコイルである。小型のコイルとすることによって、カードの位置検出精度を高くすることができると共に、通常カードサイズに近い形状となっているR/Wアンテナとの相互インダクタンスを小さくすることができ、エンコード用R/W4A,4Bへの悪影響を無くすことができる。
【0022】
アンテナ制御部12A〜12D(以下、これらをまとめてアンテナ制御部12とする)は、それぞれアンテナコイル11A〜11Dを制御する制御部であり、アンテナコイル11が検出した情報を後述する搬送状態検出部13に送信する。
【0023】
搬送状態検出部13は、アンテナ制御部12を介してアンテナコイル11が検出した情報から、カードの搬送状態を検出する部分であり、本実施形態では、一台のコンピュータによって形成されている。
発行処理が行われていない生カ−ドであっても、搭載されているICチップには、チップIDと呼ばれる固有の番号が付されている。本実施形態では、アンテナコイル11によって非接触ICカード1と通信を行ってこのチップIDを読み取り、搬送されている非接触ICカード1の一枚一枚を識別して搬送状態の監視を行う。
【0024】
発行装置制御部14は、発行装置全体の制御を統括して行うホストコンピュータであり、発行装置本体部10に含まれる各部分と接続されているのに加えて、搬送状態検出部13とも接続されている。
【0025】
次に、アンテナコイル11による、非接触ICカード1の搬送状態の検出について説明する。
アンテナコイル11は、常に所定の信号を発信しており、非接触ICカード1が搬送されてくると、非接触ICカード1と通信を行い、非接触ICカード1が搭載しているICチップのチップIDを読み取る。この情報は、アンテナ制御部12から搬送状態検出部13に伝えられ、更に発行装置制御部14に伝えられる。これによって、発行装置制御部14は、個々のカードを識別することができるので、個々のカードがどこにあるのかを的確に把握することができる。この搬送状態の情報と、発行状態に関する情報とを合わせることにより、より確実な管理を行うことができる。
【0026】
また、カードが2枚以上重なっている場合、交信周波数が低下することを利用する等、公知の手法(いわゆる、アンチコリジョン)によって複数枚重なっていることが検知可能である。
【0027】
更に、非接触ICカード1の搬送順番が入れ替わってしまった場合であっても、そのことを確実に検出することができる。
【0028】
更にまた、アンテナコイル11は、常に個々の非接触ICカード1からの固有な応答を受信しているため、アンテナコイル11の直下部で非接触ICカード1が停止して、予期しない多くの回数の応答があったような場合も、特定の非接触ICカード1が同じ位置に停止していることを識別可能である。したがって、従来の光学センサにおけるチャタリングに起因する誤カウントは発生しない。
【0029】
本実施形態によれば、アンテナコイル11によって通信を行いチップIDを読み取るので、非接触ICカード1を個別に識別することができる。
また、複数枚重なったり、順番が入れ替わって搬送されたりした場合であっても、これらを確実に検出することができる。
更に、光学センサ等に見られるチャタリングと同様な状態が発生したとしても、誤作動を起こさないように制御を行うことができる。
【0030】
(第2実施形態)
図2は、本発明による非接触ICカードの搬送装置の第2実施形態を示す図である。
本実施形態は、第1実施形態におけるアンテナ制御部12の代わりに、発振回路部22A〜22Dと電圧値観測部23A〜23Dを設け、更に、第1実施形態における搬送状態検出部13を発行制御部24に含むようにした点のみが、第1実施形態と異なるので、これら以外の部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0031】
発振回路部22A〜22Dは、一定周波数・一定出力の信号をアンテナコイル11に与える発振回路である。
したがって、アンテナコイル11からは、一定周波数・一定出力のキャリア波のみが発信される。
【0032】
電圧値観測部23A〜23Dは、アンテナコイル11の両端にかかっている電圧値をピークホールド回路によって観測して、得られた電圧値のピーク値に応じて、対応する信号を発行制御部24内に設けられている搬送状態検出部24aへ送信するアンテナ観測部である。
非接触ICカード1がない場合には、電圧値の変動もないので電圧値が最も高くなる。また、非接触ICカード1が通過するときには、非接触ICカード1のコイルとの電磁結合によって、電圧値が低下する。更に、非接触ICカード1が2枚重なって搬送された場合には、非接触ICカード1が一枚の場合よりも電圧値が低下する。
したがって、電圧値観測部23A〜23Dは、電圧値の大きさをカード無し、カードが1枚有り、カードが2枚有りの3段階に分類して、観測した電圧値に応じて3種類の信号を搬送状態検出部24aへ送信する。本実施形態では、電圧値観測部23A〜23Dは、カード無しの場合0,カードが1枚有りの場合1,カードが2枚有りの場合2を送信する。
【0033】
発行制御部24が発行装置本体部10を制御するのは、第1実施形態における発行装置制御部14と同様であるが、搬送状態検出部24aを含んでいる点が発行装置制御部14と異なっている。
第1実施形態では、アンテナコイル11を介して非接触ICカード1と通信を行い、チップIDを読み取るために、専用の制御を行う搬送状態検出部13が必要であったが、本実施形態では、電圧値観測部23A〜23Dのピークホールド回路によって非接触ICカード1の検出と状態の判断とを行っているので、搬送状態検出部24aは、電圧値観測部23A〜23D各々から得られる信号を整理するだけで、搬送状態を検出することができる。したがって、搬送状態検出部24aが行う処理が簡単になり、発行制御部24に搬送状態検出部24aの役割を持たせることができる。
【0034】
本実施形態によれば、電圧値観測部23A〜23Dによって、アンテナコイル11にかかる電圧を観測することによって、非接触ICカード1の搬送を検出するので、搬送装置を第1実施形態よりも簡単な構成とすることができる。
【0035】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、各実施形態において、非接触ICカードを搬送する例を示したが、カードに限らず、非接触で通信を行う非接触ICタグであってもよい。
また、第2実施形態において、アンテナコイルにかかる電圧値を観測する例を示したが、これに限らず、電流値であってもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、請求項1の発明によれば、アンテナコイルと、アンテナコイルから得られる信号に基づいて被搬送物の搬送状態を検出する搬送状態検出部とを備えるので、被搬送物が重なって搬送されても、これを検出することができると共に、チャタリング等による誤作動を防止することができる。
【0037】
請求項2の発明によれば、搬送状態検出部は、被搬送物に固有の識別符号を読み取るので、個々の被搬送物の位置を特定することができる。
【0038】
請求項3の発明によれば、搬送状態検出部は、アンテナ観測部が観測した電圧値及び/又は電流値の大きさに基づいて被搬送物の搬送状態を検出するので、本発明による搬送装置を簡単な構成によって実現することができる。
【0039】
請求項4の発明によれば、アンテナコイルは、リーダライタが行う通信に影響を与えない位置に設けられているので、アンテナコイルを設けてもリーダライタの通信を確実に行うことができる。
【0040】
請求項5の発明によれば、前記アンテナコイルと前記リーダライタに設けられているR/Wアンテナコイルとの相互インダクタンスが小さいので、リーダライタへの悪影響が少なく、アンテナコイル配置の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による非接触ICカードの搬送装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明による非接触ICカードの搬送装置の第2実施形態を示す図である。
【図3】従来の搬送装置を説明する図である。
【符号の説明】
1 非接触ICカード
2 カード供給部
3A〜3C カード送り機構
4A,4B エンコード用R/W
5 レーザ印字部
6 カード送り機構
7 不良品回収部
8 良品回収部
10 発行装置本体部
11A〜11D アンテナコイル
12A〜12D アンテナ制御部
13,24a 搬送状態検出部
14,24 発行装置制御部
22A〜22D 発振回路部
23A〜23D 電圧値観測部
Claims (3)
- 固有の識別符号を有する非接触IC媒体を被搬送物とする搬送装置であって、
前記被搬送物を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送路の近傍に設けられたアンテナコイルと、
前記アンテナコイルを介して前記被搬送物と通信を行い、前記被搬送物に固有の識別符号を読み取ることにより、搬送物の搬送状態を検出する搬送状態検出部と、
前記固有の識別情報により、個々の被搬送物を識別する発行装置制御部と、
を備えることを特徴とする非接触IC媒体の搬送装置。 - 請求項1に記載の非接触IC媒体の搬送装置において、
前記搬送手段の搬送路近傍に前記被搬送物と通信を行い、
所定の処理を行うリーダライタを有し、
前記アンテナコイルは、前記リーダライタが行う通信に影響を与えない位置に設けられていること、
を特徴とする非接触IC媒体の搬送装置。 - 請求項2に記載の非接触IC媒体の搬送装置において、
前記アンテナコイルと前記リーダライタに設けられているR/Wアンテナコイルとの相互インダクタンスが小さいこと、
を特徴とする非接触IC媒体の搬送装置。
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