以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。<第1実施形態>本発明の第1実施形態の液晶表示装置を図1〜図6を用いて説明する。この液晶表示装置は単純マトリクス駆動であり、その1画素の断面図を図1(a)に示す。なお、図1(a)は図1(b)の平面図のA−A’線の断面図を示している。
上部基板は、ガラス基板101上にITOなどの透明電極(共通電極)102が形成され、垂直配向膜103が塗布されて構成されている。なお、単純マトリクス駆動の場合、透明電極102は、図1(b)に示すように、ストライプ状に形成されている。下側基板は、基板110上に上側基板の透明電極102と直交する透明電極111がストライプ状に形成され、その上に窒化シリコンなどの絶縁膜112が形成され、スルーホール113を介して、対称的な形状をした画素電極114に接続されている。その上には垂直配向膜115が塗布されている。この上下基板がスペーサーを介して貼りあわされ、誘電率異方性が負である液晶100が注入されている。
画素電極114は、共通電極102より小さく、共通電極102で覆われている。また、対称性の良い形状、例えば、円形ないし楕円形、あるいは多角形状であり、具体的には、図1(c)に示すように、円形ないし楕円形、あるいは正5角形、正6角形、正8角形、正方形などの正多角形の形状である。なお、多角形の場合、正確に正多角形である必要はなく、ある程度の変形は許容される。
また、画素電極115の回りにシールド電極116を配置してあり、下部の透明電極111からの電界で液晶の配向方向の分割が影響を受けるのを防いでいる。
電圧無印加時には液晶分子100は上下基板の配向膜103、115が垂直配向膜のため、基板に対してほぼ垂直に配向している。上下の基板の共通電極102と画素電極114間に電圧が印加されると、画素電極114とこれに対向配置している共通電極102の間に電界が誘起される。このとき、画素電極114の形状が対称性が高いことおよび共通電極102が画素電極114より大きいため、両電極間に生じる電界は基板に対して垂直ではなく、図1(a)に示すように、画素電極周辺部から中央に向かう斜め電界となる。この電界により、図1(a)に示すように、誘電率異方性が負である液晶分子100は画素中央に向って対称に倒れ、図1(c)に示すような対称性のある画素形状のため、対称性を保ちながら分割される。このため画素内の液晶の配向方向は自然に分割される。
このように本実施形態では、特別に配向膜に処理を加えることをしなくても、自動的に液晶の倒れる方向を分割することができ、広視野角化が達成できる。透過軸が互いに直交するように配置した偏光板の間にはさめば、電圧が無印加のとき黒で、電圧が印加されたとき明るくなるノーマリブラックモードのディスプレイが得られ、広い視角特性を示す。
また、このような凹部114dを設ける構造においては、TFTと画素電極の間に有機膜などで作成した層間絶縁膜がある場合や、カラーフィルター層と液晶層の間に画素電極が配置される場合には、層間絶縁膜またはオーバーコート層に形成用凹部を形成することによって、製造工程を煩雑にすることなく凹部114dを深く形成することができ、境界部における液晶の固定をより確実にすることができる。
液晶の倒れる分割位置をさらに確実にするため、図3に示すように、対称性のよい形状の周縁部に中心から放射状の、特に多角形の場合は各角に切り欠き114aを設けた画素電極114としてもよい。あるいは図4に示すように、対称性のよい形状の周縁部、特に多角形の場合は各角に中心から放射状に突出する突出部114bを設けた画素電極114としてもよい。
さらに、図5に示すように、破線で示すような対称性のよい形状の中心から周縁にわたる放射状に電極を設けないような無電極部114cを設けた構造の画素電極114とすることも有効である。また、図6に示すように、対称性のよい形状の中心から周縁にわたる放射状に凹部114dを形成しても良い。この凹部は画素電極の上であっても、画素電極そのものが凹部を形成していてもどちらでも良い。勿論これらを組み合わせてもよい。
また、このような凹部114dを設ける構造においては、TFTと画素電極の間に有機膜などで作成した層間絶縁膜がある場合や、カラーフィルター層と液晶層の間に画素電極が配置される場合には、層間絶縁膜またはオーバーコート層に凹部を形成することによって、製造工程を煩雑にすることなく凹部114dを深く形成することができ、境界部における液晶の固定をより確実にすることができる。
また、垂直配向の場合は、電圧を印加すると渦巻き状の配向に安定化していくが、カイラル剤を入れて、この配向をさらに安定化して、応答速度を速くしてもよい。さらにまた、上記の画素の一部の切り込みや、凹部の形を画素内で渦巻き状に設定してもよい。
なお、これらの切り欠き114a、突出部114b、無電極部114c、凹部114dは、上記説明では、中心から角部に放射状に設けられているが、特に誘電率異方性が正の液晶で、上下基板における液晶の初期配向をパラレルまたはアンチパラレルにしたホモジニアス配向である場合、辺と平行に設けることがよい場合もある。
本発明における液晶表示装置は、さらに、視角特性を改善するために、偏光板と液晶セルの間に少なくとも1枚の光学補償板を有していてもよい。この補償板は電圧無印加時に液晶がホメオトロピック配向をとっているため、光学的に負の補償板を使用することが、斜め方向から見たときのリタデーションの変化を打ち消す観点から、好ましい。このような補償板は2軸延伸のような方法で作成した1枚のフィルムであってもよいし、1軸延伸したフィルムを2枚以上重ねて、実質的に光学的に負の1軸の補償板として用いても同様の効果が得られる。これにより、電圧無印加時の液晶のリタデーションが、打ち消され、どの方向から見ても、完全な黒が得られ、さらに優れた視角特性が得られる。
また、素子によっては、電圧を印加した後に生じる倒れる方向が異なる部分の遷移領域が生じることがあり、この遷移領域は、直交偏光板の下では黒く観察され、明るさの低下を引き起こす。また、場合によっては、この遷移領域の動きが遅く、見かけ上の応答速度が遅くなることがある。これに対し、特に、上述の1軸延伸したフィルムが四分の一波長板である場合には、境界部の動きを、不可視化させ、見かけ上速い応答を得ることが可能である。つまり、この四分の一波長板を液晶セルの両側に配置し、光軸が直交偏光板の吸収軸とそれぞれ45°の角度をなすように、直交させて配置すると、四分の一波長板の複屈折性が軽減されるので、さらに1軸延伸したフィルムを重ねて実質的に光学的に負の1軸の補償板として用いてもよい。
なお、初期配向は原理的に垂直配向であるが、素子の特性により、ある方向に偏りが出た場合などは、さらにこれを補償するために、光学異方性が正のフィルムを貼り付けてもよい。
また、透過型を例にとって説明しているが、画素電極をAlなどの反射率の高い金属で作成することで、反射型として使用することも問題なくできる。このとき、画素電極の表面に凹凸を形成する、または、拡散板を用いるなどの方法で、白表示をより見やすくすることができる。また、ここでは、カラーフィルター層を省略したが、上部基板101と透明電極102の間にカラーフィルター層を設ければ、カラー表示を得ることができる。
本発明における液晶表示装置の製造方法は、共通電極と画素電極の間に電圧を印加することによって、初期配向を制御した後、液晶中に少量混合した重合性のモノマーまたはオリゴマーを高分子化することによって、初期の液晶配向をさらに確実なものにすることができる。初期配向を制御する際には、加熱により液晶層を等方相にした後、共通電極と画素電極の間に電圧を加えながら、温度を降下させてもよいし、室温で共通電極と画素電極の間に電圧を印加するだけでもよい。
また、モノマーの反応も等方相に加熱する前に起こさせても、加熱中に起こさせてもよいし、冷却後に起こさせてもよい。室温で共通電極と画素電極の間に電圧を印加し、初期配向を制御する場合も、電圧印加の前に反応を起こさせておいてもよいし、電圧印加後に、反応を起こさせてもよい。このとき、通常の駆動の形式で配向分割ができるので、特開平10−20323号公報に記載されているような第2の電極(制御電極)に電圧を印加する工程は必要ない。
また、本発明における液晶表示装置の製造方法は、基板にあらかじめ光配向などの方法を使用して、分割形状に従ったプレチルト角の制御を行い、初期配向の制御を極めて確実にしてもよい。これにより、斜め電界とプレチルト角の効果が相乗的に効いて、どちらか一方の処理よりも、はるかに効果的に分割配向が実現できる。
例えば、ケイ皮酸基のような偏光により液晶の配向を制御できる官能基を有する物質、または、エーエムエルシーディー‘96/アイディーダブリュ’96のダイジェストオブテクニカルペイパーズ(AM−LCD‘96/IDW’96Digest of Technical Papers)P.337に記載されているような偏光照射により感光基が重合するような高分子を配向膜に用いて、分割形状にそった方向にプレチルト角がつくように、各部にマスクを介して、斜め方向から偏光を照射する。この場合は、多角形の辺の数が余り多いと光配向の操作が増えるので、8角形から4角形程度が望ましい。
このような分割配向の方法はよく知られているが、このような場合でも、液晶中に少量混合した重合性のモノマーまたはオリゴマーを高分子化することにより、駆動時においてもより確実に分割を維持することができる。
本発明に使用するモノマー,オリゴマとしては、光硬化性モノマー,熱硬化性モノマー,あるいはこれらのオリゴマ等のいずれを使用することもでき、また、これらを含むものであれば他の成分を含んでいてもよい。本発明に使用する「光硬化性モノマー又はオリゴマ」とは、可視光線により反応するものだけでなく、紫外線により反応する紫外線硬化モノマー等を含み、操作の容易性がらは特に後者が望ましい。
また、本発明で使用する高分子化合物は、液晶性を示すモノマー、オリゴマーを含む液晶分子と類似の構造を有するものでもよいが、必ずしも液晶を配向させる目的で使用されるものではないため、アルキレン鎖を有するような柔軟性のあるものであってもよい。また、単官能性のものであってもよいし、2官能性のもの,3官能以上の多官能性を有するモノマー等でもよい。
本発明で使用する光または紫外線硬化モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート,ブチルエチルアクリレート,ブトキシエチルアクリレート,2−シアノエチルアクリレート,ベンジルアクリレート,シクロヘキシルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート,2−エトキシエチルアクリレート,N、N−エチルアミノエチルアクリレート,N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート,ジシクロペンタニルアクリレート,ジシクロペンテニルアクリレート,グリシジルアクリレート,テトラヒドロフルフリルアクリレート,イソボニルアクリレート,イソデシルアクリレート,ラウリルアクリレート,モルホリンアクリレート,フェノキシエチルアクリレート,フェノキシジエチレングリコールアクリレート,2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート,2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクレート,2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート,2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート等の単官能アクリレート化合物を使用することができる。
また、2−エチルヘキシルメタクリレート,ブチルエチルメタクリレート,ブトキシエチルメタクリレート,2−シアノエチルメタクリレート,ベンジルメタクリレート,シクロヘキシルメタクリレート,2−ヒドロキシプロピルメタクリレート,2−エトキシエチルアクリレート,N、N−ジエチルアミノエチルメタクリレート,N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート,ジシクロペンタニルメタクリレート,ジシクロペンテニルメタクリレート,グリシジルメタクリレート,テトラヒドロフルフリルメタクリレート,イソボニルメタクリレート,イソデシルメタクリレート,ラウリルメタクリレート,モルホリンメタクリレート,フェノキシエチルメタクリレート,フェノキシジエチレングリコールメタクリレート,2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート,2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート,2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート等の単官能メタクリレート化合物を使用することができる。
さらに、4,4’−ビフェニルジアクリレート,ジエチルスチルベストロールジアクリレート,1,4−ビスアクリロイルオキシベンゼン,4,4’−ビスアクリロイルオキシジフェニルエーテル,4,4’−ビスアクリロイルオキシジフェニルメタン,3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−アクリロイルオキシエチル]−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン,α,α′−ビス[4−アクリロイルオキシフェニル]−1,4−ジイソプロピルベンゼン,1,4−ビスアクリロイルオキシテトラフルオロベンゼン,4,4’−ビスアクリロイルオキシオクタフルオロビフェニル,ジエチレングリコールジアクリレート,1,4−ブタンジオールジアクリレート,1,3−ブチレングリコールジアクリレート,ジシクロペンタニルジアクリレート,グリセロールジアクリレート,1,6−ヘキサンジオールジアクリレート,ネオペンチルグリコールジアクリレート,テトラエチレングリコールジアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,ペンタエリスリトールテトラアクリレート,ペンタエリスリトールトリアクリレート,ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート,ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート,ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート,4,4’−ジアクリロイルオキシスチルベン,4,4’−ジアクリロイルオキシジメチルスチルベン,4,4’−ジアクリロイルオキシジエチルスチルベン,4,4’−ジアクリロイルオキシジプロピルスチルベン,4,4’−ジアクリロイルオキシジブチルスチルベン,4,4’−ジアクリロイルオキシジペンチルスチルベン,4,4’−ジアクリロイルオキシジヘキシルスチルベン,4,4’−ジアクリロイルオキシジフルオロスチルベン,2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオール−1,5−ジアクリレート,1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジアクリレート,ウレタンアクリレートオリゴマ等の多官能アクリレート化合物を用いることができる。
さらにまた、ジエチレングリコールジメタクリレート,1,4−ブタンジオールジメタクリレート,1,3−ブチレングリコールジメタクリレート,ジシクロペンタニルジメタクリレート,グリセロールジメタクリレート,1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート,ネオペンチルグリコールジメタクリレート,テトラエチレングリコールジメタクリレート,トリメチロールプロパントリメタクリレート,ペンタエリスリトールテトラメタクリレート,ペンタエリスリトールトリメタクリレート,ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート,ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート,ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート,2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオール−1,5−ジメタクリレート,ウレタンメタクリレートオリゴマ等の多官能メタクリレート化合物,その他スチレン,アミノスチレン,酢酸ビニル等があるが、これに限定されるものではない。
また、本発明の素子の駆動電圧は、高分子材料と液晶材料の界面相互作用にも影響されるため、フッ素元素を含む高分子化合物であってもよい。このような高分子化合物として、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオール−1,5−ジアクリレート,1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジアクリレート,2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート,2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート,2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート,2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート,2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート,2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート,2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート,ウレタンアクリレートオリゴマ等を含む化合物から合成された高分子化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明に使用する高分子化合物として光または紫外線硬化モノマーを使用する場合には、光または紫外線用の開始剤を使用することもできる。この開始剤としては、種々のものが使用可能であり、たとえば、2,2−ジエトキシアセトフェノン,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン,1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン,1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系、ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系、ベンゾフェノン,ベンゾイル安息香酸,4−フェニルベンゾフェノン,3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、チオキサンソン,2−クロルチオキサンソン,2−メチルチオキサンソン等のチオキサンソン系、ジアゾニウム塩系、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、セレニウム塩系等が使用できる。
次に、第1実施形態について、具体的に実施例を示す。(実施例1)ガラス基板101、110上にITOをスパッタ成膜し、フォトリソグラフィー技術を用いて、ITO電極102、111をマトリクス状に形成した。下側の基板110のみ窒化シリコン膜112を堆積し、フォトリソグラフィーを用いてスルーホール113を形成した。この上にITOをスパッタし、フォトリソグラフィーを用いて六角形の画素電極114を作成した。垂直配向膜(日産化学社製SE1211)103、115を塗布し、200℃、1時間加熱乾燥を行った。
基板周囲にシール剤を塗布し、スペーサー剤を散布した後、上下基板をマトリクス状電極が交互に、XY状の電極を構成するように貼りあわせ、加熱によりシール剤を硬化させた。誘電率異方性が負のネマチック液晶100を注入し、注入孔を光硬化樹脂で封止した。液晶層のΔndと大きさが等しく、符号が逆となる光学的に負の補償フィルムを貼り付けた後、偏光板を上下基板にその透過軸が直交するように貼り付けた。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。
(実施例2)下側の基板110の窒化シリコン膜112上に、六角形の画素電極114の周囲に各電極を囲むようにシールド用の電極116を作成した以外は、実施例1と全く同様にして、液晶表示装置を作成した。なお、シールド用の電極116はマスクの変更のみで作成できた。シールド用電極116は0Vに接続した。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。また、顕微鏡で画素内の観察を行ったところ、実施例1の場合にまれに見られた画素内の異常なディスクリネーションは、全く見られなかった。
<第2実施形態>本発明の第2実施形態を図7を参照して説明する。図7において、図7(a)は図1(b)の平面図のA−A’線の断面図を示している。第2実施形態は、単純マトリクス駆動であり、誘電率異方性が正で、電圧無印加時にねじれネマチック配向をとる液晶を用いる液晶表示装置である。
上部基板は、ガラス基板101上にITOなどの透明電極(共通電極)102が形成され、配向膜103aが塗布されて構成されている。この配向膜103aのラビングにより、液晶がラビング方向と垂直に配向し、プレチルト角はほとんど0°であるか、非常に低い(1°以下)のプレチルト角を与える。なお、単純マトリクス駆動の場合、透明電極102は、ストライプ状に形成されている。下側基板は、基板110上に上側基板の透明電極102と直交する透明電極111がストライプ状に形成され、その上に窒化シリコンなどの絶縁膜112が形成され、スルーホール113を介して、対称的な形状をした画素電極114に接続されている。その上には垂直配向膜115aが塗布されている。この上下基板がスペーサーを介して貼りあわされ、誘電率異方性が正である液晶100aが注入されている。
画素電極114は、共通電極102より小さく、共通電極102で覆われている。また、画素電極115の回りにシールド電極116を配置してあり、下部の透明電極111からの電界で液晶の配向方向の分割が影響を受けるのを防いでいる。
この実施形態では、上下の配向膜103a、115aにラビング、又は光配向の処理を行い、液晶の配向方向を規定する。図7(b)では、基板101側の液晶の配向方向を矢印117で表し、下側基板110側の液晶の配向方向が矢印118で表している。このような配向は、例えば、ラビング方向と垂直方向に配向する配向膜や、光配向膜に基板の法線方向から偏光を照射することによって容易に得ることができる。また、カイラル剤は入れない。
誘電率異方性が正でねじれネマチック配向している液晶では、ねじれる方向と立ち上がる方向の組み合わせが二種類以上となり、画素内の液晶の配向分割を行うことができる。ねじれネマチック配向の場合、液晶の立ち上がる方向が等確率となる観点から、液晶の基板面におけるプレチルト角はなるべく小さいことが好ましく、1°以下、できれば0°であることが望ましい。
電圧無印加時には液晶分子100aは、上下基板の配向膜103a、115aのラビング方向と垂直に配向し、プレチルト角はほとんど0°であるか、非常に低い(1°以下)のプレチルト角を有する。上下の基板の共通電極102と画素電極114間に電圧が印加されると、画素電極114とこれに対向配置している共通電極102の間に電界が誘起される。このとき、画素電極114の形状が対称性の高いことおよび共通電極102が画素電極114より大きいため、両電極間に生じる電界は基板に対して垂直ではなく、図7(a)に示すように、画素電極周辺部から中央に向かう斜め電界となり、上下の電極の形状の特性のため、斜め電界が対象性良く生じる。
画素の各部分では、右ねじれと左ねじれの両方が生じる可能性があるが、この斜め電界により、例えば、図7(b)示す画素の各部分では、一方のねじれ方向が優先的に生じ、自動的に、図7(b)に示すような配向状態が生じる。すなわち、下側基板の画素電極114が対象性の良い形状であり、上側基板上の共通電極102が画素電極114を覆い、かつ、共通電極102が画素電極114より広いため、ねじれネマチック配向の場合も、自然に対称性の良い画素分割が可能である。このため画素内の液晶の配向方向は自然に分割され、広視野角化が達成できる。
透過軸が互いに直交するように配置した偏光板の間にはさみ、液晶の配向方向と偏光板の透過軸が一致するように配置すれば、電圧が無印加のとき白で、電圧が印加されたとき黒くなるディスプレイが得られ、広い視角特性を示す。なお、各部の境界は、ねじれ方向が異なる領域が出会うため、光漏れが起こらず、遮光層などを設けなくても高コントラストを保つことができる。
液晶の倒れる分割位置をさらに確実にするため、図3に示したように、対称性のよい形状の周縁部に中心から放射状の、特に多角形の場合は各角に切り欠き114aを設けた画素電極114としてもよい。あるいは図4に示したように、対称性のよい形状の周縁部、特に多角形の場合は各角に中心から放射状に突出する突出部114bを設けた画素電極114としてもよい。
さらに、図5に示したように、破線で示すような対称性のよい形状の中心から周縁にわたる放射状に電極を設けないような無電極部114cを設けた構造の画素電極114とすることも有効である。また、図6に示したように、対称性のよい形状の中心から周縁にわたる放射状に凹部114dを形成しても良い。この凹部は画素電極の上であっても、画素電極そのものが凹部を形成していてもどちらでも良い。勿論これらを組み合わせてもよい。
なお、光配向で分割をさらに確実にする工夫は、ねじれネマチックの場合は意味をなさないが、液晶中に少量混合した重合性のモノマー又はオリゴマーを高分子化することにより、駆動時においてもより確実に分割を維持することができるのは、誘電率異方性が負の場合と全く同様である。
また、液晶100bの誘電率異方性が正で、電圧無印加時にホモジニアス配向をとっている場合の例を図8(a)に示す。この場合上下基板にラビング、または光配向の処理を行い、液晶の配向方向を規定する。図8(b)では、基板101側の液晶の配向方向を矢印117で表し、下側基板110側の液晶の配向方向が矢印118で表している。この場合も、ねじれネマチック配向の場合と同様、プレチルト角はほとんど0°が望ましく、このような配向は、ラビング方向と垂直方向に配向する配向膜や、光配向膜に基板の法線方向から偏光を照射することによって容易に得ることができる。また、カイラル剤は入れない。
このような状態で上下の電極間に電圧を印加すると、上下の電極の形状の特性のため、斜め電界が対称性よく生じる。これにより、基板界面での液晶の配向方向が規定されているため立ち上がり方向が異なる二種類のドメインが生じる。また、ホモジニアス配向の場合は、特に、境界領域を安定化させるために、中央部に凹部114eが設けられていることが望ましい。また、図8における液晶表示装置は、その他の構造については図7と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
また、誘電率異方性が正の液晶を用い、電圧無印加時にホモジニアス配向をさせた場合には、4分割でなく、初期配向方向からの立ち上がり方向のみが異なる2分割となるが、負の1軸の補償フィルムを、光軸が電圧無印加時の液晶の光軸と一致するように配置するか(ノーマリブラック)、負の補償フィルムを電圧印加時のどちらか一方の領域の液晶配向を模擬するように膜内で光軸が徐々に傾斜するように配置するか(ノーマリホワイト)のいずれかの方法とする。ここで、ノーマリブラックの場合は、電圧無印加時に、ノーマリホワイトの場合は、電圧印加時に、少なくとも一方の領域の液晶と補償フィルムのレタデーションを0となるようにすることで充分に広視野角化が図れる。
なお、この場合は、下側基板の画素表示用の電極の一部の図3に示した切り込み、図5に示した電極の無い部分、あるいは図6に示した凹部などは、画素電極の辺に平行にいれ、液晶の初期配向はこれらに垂直になるように設定した方がよい。また、プレチルト角はTN場合と同様ほとんど0°であることが望ましい。
また、分割に際しては、画素間の間隔を十分に離せば、通常は問題ないが、特に設計の都合上、画素が接近する場合などは、駆動に際し、隣り合う画素毎に印加される電圧の正負が逆になるいわゆるドット反転駆動を行えば、斜め電界の発生状況がより望ましい方向となり、より良い駆動を与える。
さらに、液晶の初期の応答は非常に速いので、この速い応答のみを表示に利用することを目的として、一つのフレームの中で黒状態に戻すリセットをいれて駆動することができる。このように、リセットを入れる駆動は、一般的に、動画表示における切れをよくする目的で用いられることがあるが、本発明における液晶表示装置では、さら見かけ上の応答を速くするという、好ましい副次効果が得られるので、より良い駆動を与える。
また、透過型を例にとって説明しているが、画素電極をAlなどの反射率の高い金属で作成することで、反射型として使用することも問題なくできる。このとき、画素電極の表面に凹凸を形成する、または、拡散板を用いるなどの方法で、白表示をより見やすくすることができる。また、ここでは、カラーフィルター層を省略したが、上部基板101と透明電極102の間にカラーフィルター層を設ければ、カラー表示を得ることができる。
(実施例3)実施例1と全く同様にして、フォトリソグラフィを用いてITO電極、窒化シリコン膜を作成後、四角形の画素電極114を作成した。配向膜としてJSR製JALS−428、誘電率異方性が正の液晶剤としてZL14792のカイラル剤を抜いたものに変え、液晶パネルを作成した。但し、下側基板と上側基板における液晶の配向方向を直交するように、特に四角形の対角線の方向になるようにラビングを行った。JALS−428はラビング方向と垂直方向に液晶が配向し、クリスタルローテーション法で求めたプレチルト角はほぼ0°であった。また、セル厚はほぼ5μmであった。
補償フィルムとして、住友化学社製のNew−Vacフィルムを用い、パネルの視角特性を測定したところ、全面で階調反転はなく、優れた視角特性が得られた。
<第3実施形態>本発明の第3実施形態を図9を用いて説明する。図9において図9(a)は図9(b)の平面図のB−B’線の断面図を示している。第3実施形態においては、液晶をアクティブ素子で駆動する。
上側の透明基板201にはカラーフィルター層202と遮光層203が形成され、その上に共通電極204が透明基板201のほぼ全面に形成されている。共通電極204の上に垂直配向膜205が塗布されている。
下側基板211上には、薄膜トランジスタ220が設けられている。このトランジスタ220はCrよりなるゲート電極(走査信号電極)221が配置され、このゲート電極221を覆うように窒化シリコンからなるゲート絶縁膜222が形成されている。また、ゲート電極221上には、ゲート絶縁膜222を介して非晶質シリコンからなる半導体膜223が配置され、薄膜トランジスタ(TFT)220の能動層として機能するようにされている。また、半導体膜223のパターンの一部に重畳するようにモリブデンよりなるドレイン電極224、ソース電極225が配置されている。これらすべてを被覆するように窒化シリコンよりなる保護膜226が形成されている。
なお、ドレイン電極224、ソース電極225は、それぞれ図示していないが、n形不純物が導入された非晶質シリコン膜を介し、半導体膜223のパターンの一部に重畳している。
また、図9(b)に示すように、ドレイン電極224は、データ線(映像信号電極)224aに接続している。言い換えると、ドレイン電極224は、データ線224aの一部として形成されている。また、ゲート電極221も、走査信号線221aの一部を構成している。さらに、縁膜222上に、ソース電極225と接続された画素電極212が設けられ、その上に垂直配向膜213が形成されている。
この実施形態では、画素電極212にソース電極225が接続されており、映像信号が画素電極212に印加されるようになっている。この映像信号のon、offは走査信号により制御される。画素電極212は対称性の高い形状をしている。ここでは六角形を例示したが、図1(c)に示したように、円、五角形、正方形、などでも同様の効果が得られる。なお、これらの上下基板の間に、電率異方性が負である液晶分子200が挟持されている。
上下基板の配向膜204、213が垂直配向膜のため、電圧無印加時には、液晶200は基板に対して概ね垂直に配向している。
ゲート電極221に電圧を印加して薄膜トランジスタ(TFT)220をオンにすると、ソース電極225に電圧が印加されて、画素電極212とこれに対向配置している共通電極204の間に電界が誘起される。このとき、画素電極212の形状が対称性が高いことおよび共通電極204が画素電極212より大きいため、両電極間に生じる電界は基板に対して垂直ではなく、画素電極周辺部から中央に向かう斜め電界となる。この電界により、誘電率異方性が負である液晶分子200は図9(a)に示すように画素中央に向って対称に倒れていく。このため、画素内の液晶の配向方向は自然に分割される。
このように本発明では、誘電率異方性が負の液晶を用いると、特別に配向膜に処理を加えることをしなくても、自動的に液晶の倒れる方向を分割することができ、広視野角化が達成できる。
特に、アクティブマトリクス液晶表示装置の場合、走査信号電極221a、映像信号電極224aからの横方向電界の影響で、不必要なディスクリネーションラインが画素電極部に入り込み、液晶の配向が乱れることがある。このような問題は、走査信号電極221a、映像信号電極224aと画素電極212との距離を大きくすることで解決することができるが、この距離を余り大きくすることは、画素サイズが小さくなった場合、開口率の観点から望ましくない。
この問題を解決するもう一つの方法は、走査信号電極221a、映像信号電極224aの少なくとも一方の上部に画素電極212の一部またはシールド用の電極を配置することである。すなわち、画素電極212で走査信号電極221a、映像信号電極224aのすべてをシールドすると開口率が低下する。
そこで、走査信号電極221a、映像信号電極221aの少なくとも一方の上部に、画素電極212またはシールド用の電極を配置することによって、開口率の低下を防ぐことができる。ここで、どのような配置を選ぶかは、画素の形状と走査信号電極221a、映像信号電極224aの配置、およびシールド用の電極の作成手順を考えて、最もよい配置を選ぶことができる。
さらに、画素の設計上、開口率が低下するため十分な距離がとれない場合など、液晶の倒れる方向を、より完全に制御したい場合には、配向膜に光配向膜を用い、その光配向膜の性質に応じ、斜めからの偏光または無偏光の照射するなどの操作を行ってもよい。また、液晶の配向が乱れるのを防ぐことを目的に、液晶中に少量のモノマーを導入し、適当な配向状態を記憶させるために、ポリマー化してもよい。
分割境界を安定させることを目的に、図3に示したように画素の一部に切り欠き部を設けてもよい。また、図4に示したように、画素電極の角の部分が外側に向って突出ている突出部を形成しても効果がある、さらに図5の破線で示したように、画素電極の一部が除去された無電極部114cの構造も効果がある。
また、図10に示すように、正方形の画素電極212の一部に、図6に示したような凹部212dを画素電極212の中心から各角に放射状に形成してもよい。この凹部212dは画素電極の上であっても、画素電極212そのものが凹部を形成していてもどちらでもよい。図10における液晶表示装置は、画素電極212の凹部212dを除くと図9と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
さらに、第1実施形態と全く同様にして、偏光板とガラス基板の間に光学的に負の1軸の補償フィルムをはさめば、電圧無印加時の液晶のリタデーションが、打ち消され、どの方向から見ても、完全な黒が得られ、さらに優れた視角特性が得られる。
さらに、初期配向は原理的に垂直配向であるが、素子の特性により、ある方向に偏りが出た場合などは、さらにこれを補償するために、光学異方性が正のフィルムを貼り付けてもよい。
また、上記説明では、液晶の誘電率異方性が負で、電圧無印加時に液晶が基板に対して垂直配向をとっていると仮定しているが、第2実施形態のように、液晶の誘電率異方性が正で、電圧無印加時にねじれネマチック配向をとっている場合も、第2実施形態で述べた液晶配向とほぼ同様の液晶配向が生じ、広視野角化が図れる。この場合は、液晶層は、図7(a)、(b)に示したように4つに分割される。ねじれネマチック配向を用いる場合は、四角形の画素が望ましい。以下の全ての実施の形態でも同様である。
本発明は、特に、TFTなどのスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス液晶表示装置の場合に、効果が著しい。すなわち、アクティブマトリクス液晶表示装置の場合、通常のTNモードを用いた液晶表示装置では、フォトレジスト工程等の微細加工工程が必要とされるのは、アクティブ素子を作製する片側の基板のみであり、通常、「共通電極」と呼ばれる他の基板においては微細加工を施す必要はなく、全面に電極が形成されているのみである。このままでは、視野角が狭いので、視野角を広げるために画素内の液晶に配向分割を施そうとすると、従来技術ではフォトレジスト工程が増加する。このフォトレジスト工程の増加は、生産設備への負荷、歩留まりの低下を引き起こすので、省略することが望ましい。本発明によれば、フォトレジスト工程の増加がなく画素内の液晶の配向分割を行うことができ、広い視角特性を得ることができる。
第3実施形態の液晶表示装置の液晶の製造方法は、第1実施形態と同様とすることができる。
次に、第3実施形態の実施例を示す。(実施例4)アモルファスシリコン薄膜トランジスタアレイ(TFT)220を有する基板を、成膜過程とリソグラフィー過程を繰り返して、ガラス基板211上に作製した。このTFT220は、基板211側よりゲート:クロム層221,窒化シリコン:ゲート絶縁層222,アモルファスシリコン:半導体層223,ドレイン・ソース:モリブデン層224、225から構成されている。ソース電極225は四角形の形状をした画素ITO電極212と接続されている。これらを覆うように窒化シリコンからなる保護膜226を成膜した。
全面にITOがスパッタされたブラックマトリクスつきのカラーフィルター基板を用意し、対向基板とした。両方の基板に垂直配向膜(日産化学社製SE1211)205、213を塗布し、200℃、1時間加熱乾燥を行った。基板周囲にシール剤を塗布し、スペーサー剤を散布した後、加熱によりシール剤を硬化させ、誘電率異方性が負のネマチック液晶を注入し、注入孔を光硬化樹脂で封止した。液晶層のΔndと大きさが等しく、符号が逆となる光学的に負の補償フィルムを貼り付けた後、偏光板を上下基板にその透過軸が直交するように貼り付けた。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。
(実施例5)実施例4と全く同様にして、TFT基板を作成し、ITO電極の一部に図5に示したような電極のない無電極部114aを作成した。それ以外は実施例4と全く同様にして液晶表示パネルを得た。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。なお、画素内を顕微鏡で詳しく観察したところ、実施例4の非常に少数の画素で見られた異常なディスクリネーションは見られなかった。
(実施例6)実施例4と全く同様にして、TFT基板を作成し、フォトリソグラフィーを用いてゲート絶縁膜の一部を図10に示した形状のようにエッチングし、凹部212dを形成した。ここにITOをスパッタすることにより最終的に図10のような形状を得た。すなわちITO212の一部にも凹部が形成された。実施例4と全く同様にして、液晶表示パネルを作成した。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。なお、画素内を顕微鏡で詳しく観察したところ、実施例4の少数の画素で見られた駆動時における異常なディスクリネーションの動きは全く見られなかった。
(実施例7)実施例4と全く同様にして、TFT基板とカラーフィルター基板を用意した。配向膜としてJALS−428を塗布し、200℃、1時間加熱乾燥を行った後、実施例3と同様に、下側基板と上側基板における液晶の配向方向を直交するように、特に対角線の方向になるようにラビングを行い、配向膜205aと配向膜213aをそれぞれの配向が、図11(b)に示すように、矢印231、232となるようにラビングされている。誘電率異方性が正の液晶として、カイラル剤を抜いたZL14792を注入し、実施例4と全く同様に図11に示すような液晶パネルを作成した。ZL14792はラビング方向と垂直方向に液晶が配向し、クリスタルローテーション法で求めたプレチルト角はほぼ0°であった。なお、図11においては、図9と同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略する。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。
<第4実施形態>本発明の第4実施形態を図12を用いて説明する。第3実施形態と全く同様にして、液晶をアクティブ素子で駆動する。図12(a)は図12(b)の平面図C−C’線の断面図を示している。第3実施形態との違いは、画素電極312とソース電極325が直接ではなくスルーホール327を介して接続されていることである。
上側の透明基板301にはカラーフィルター層302と遮光層303が形成され、その上に共通電極304が透明基板301のほぼ全面に形成されている。共通電極304の上に垂直配向膜305が塗布されている。
下側基板311上には、薄膜トランジスタ320が設けられている。このトランジスタ320はCrよりなるゲート電極(走査信号電極)321が配置され、このゲート電極321を覆うように窒化シリコンからなるゲート絶縁膜322が形成されている。
また、ゲート電極321上には、ゲート絶縁膜322を介して非晶質シリコンからなる半導体膜323が配置され、薄膜トランジスタ(TFT)320の能動層として機能するようにされている。また、半導体膜323のパターンの一部に重畳するようにモリブデンよりなるドレイン電極324、ソース電極325が配置されている。これらすべてを被覆するように窒化シリコンよりなる保護膜326が形成されている。この保護膜326は窒化シリコンのみでもよいが、窒化シリコンの上にさらにアクリル樹脂等の有機膜をコートしてもよい。
なお、ドレイン電極324、ソース電極325は、それぞれ図示していないが、n形不純物が導入された非晶質シリコン膜を介し、半導体膜323のパターンの一部に重畳している。画素電極312とソース電極325はスルーホール327を介して接続されている。また、図12(b)に示すように、ドレイン電極324は、データ線(映像信号電極)324aに接続している。言い換えると、ドレイン電極324は、データ線324aの一部として形成されている。また、ゲート電極321も、走査信号線321aの一部を構成している。
保護膜326上に、ソース電極325と接続された画素電極312が設けられ、その上に垂直配向膜313が形成されている。
第4実施形態でも、画素電極312にソース電極325が接続されており、映像信号が画素電極に印加されるようになっている。この映像信号のon、offは走査信号により制御される。画素電極312は対称性の高い形状をしている。ここでは八角形を例示したが、図1(c)に示したように、円、五角形、四角形、などでも同様の効果が得られる。
これらの上下基板の間に誘電率異方性が負である液晶分子300が挟持されている。上下基板の配向膜が垂直配向膜のため、電圧無印加時には、液晶300は基板に対して該垂直に配向している。
ゲート電極321に電圧を印加して薄膜トランジスタ(TFT)320をオンにすると、ソース電極325に電圧が印加されて、画素電極312とこれに対向配置している共通電極304の間に電界が誘起される。このとき、画素電極312の形状が対称性が高い形状であること、および共通電極304が画素電極312より大きいため、両電極間に生じる電界は基板に対して垂直ではなく、画素電極周辺部から中央に向かう斜め電界となる。この電界により、誘電率異方性が負である液晶分子300は画素中央に向って対称に倒れていく。このため画素内の液晶の配向方向は自然に分割される。
このように本発明では、誘電率異方性が負の液晶を用いると、特別に配向膜に処理を加えることをしなくても、自動的に液晶の倒れる方向を分割することができ、広視野角化が達成できる。
特に、アクティブマトリクス液晶表示装置の場合、走査信号電極321a、映像信号電極324aからの横方向電界の影響で、不必要なディスクリネーションラインが画素電極部に入り込み、液晶の配向が乱れることがある。このような問題は、走査信号電極321a、映像信号電極324aと画素電極312との距離を大きくすることで解決することができるが、この距離を余り大きくすることは、画素サイズが小さくなった場合、開口率の観点から望ましくない。
この間題を解決するもう一つの方法は、走査信号電極321a、映像信号電極324aの少なくとも一方の上部に画素電極312の一部またはシールド用の電極を配置することである。すなわち、画素電極312で走査信号電極321a、映像信号電極324aのすべてをシールドすると開口率が低下する。そこで、走査信号電極321a、映像信号電極321aの少なくとも一方の上部に、画素電極312またはシールド用の電極を配置することによって、開口率の低下を防ぐことができる。ここで、どのような配置を選ぶかは、画素の形状と走査信号電極321a、映像信号電極324aの配置、およびシールド用の電極の作成手順を考えて、最もよい配置を選ぶことができる。
さらに、画素の設計上、開口率が低下するため十分な距離がとれない場合など、液晶の倒れる方向を、より完全に制御したい場合には、配向膜に光配向膜を用い、その光配向膜の性質に応じ、斜めからの偏光または無偏光の照射するなどの操作を行ってもよい。また、液晶の配向が乱れるのを防ぐことを目的に、液晶中に少量のモノマーを導入し、適当な配向状態を記憶させるために、ポリマー化してもよい。
分割境界を安定させることを目的に図3に示したように画素の一部に切り欠き部を設けてもよい。また、図4に示したように、画素電極の角の部分が外側に向って突出ている突出部を形成しても効果がある。さらに図5の破線に示したように、画素電極の一部が除去された無電極部の構造も効果がある。
また、図10に示したように、画素電極の一部に図6に示したような凹部を作成してもよい。この凹部は画素電極の上であっても、画素電極そのものが凹部を形成していてもどちらでもよい。
さらに、第1実施形態と全く同様にして、偏光板とガラス基板の間に光学的に負の1軸の補償フィルムをはさめば、電圧無印加時の液晶のリタデーションが、打ち消され、どの方向から見ても、完全な黒が得られ、さらに優れた視角特性が得られる。
さらに、初期配向は原理的に垂直配向であるが、素子の特性により、ある方向に偏りが出た場合などは、さらにこれを補償するために、光学異方性が正のフィルムを貼り付けてもよい。
また、上記説明では、液晶の誘電率異方性が負で、電圧無印加時に液晶が基板に対して垂直配向をとっていると仮定しているが、第2実施形態のように、液晶の誘電率異方性が正で、電圧無印加時にねじれネマチック配向をとっている場合も、第2実施形態で述べた液晶配向とほぼ同様の液晶配向が生じ、広視野角化が図れる。この場合は、液晶層は、図7(a)、(b)に示したように4つに分割される。ねじれネマチック配向を用いる場合は、四角形の画素が望ましい。
また、特に画素が大きい場合には、駆動する電圧を印加して各フレームを開始する前に、あらかじめ、しきい値電圧とほぼ等しい電圧(しきい値電圧より高い電圧でも低い電圧でもよい。)を印加して駆動することができ、このようにすると、液晶の倒れる方向が規定されるため、いきなり駆動する電圧を印加するときより、液晶の分割を確実にかつ短時間で行うことができる。なお、このようにして、液晶表示装置の応答速度を短縮した場合であって、しきい値電圧より高い電圧を印加したときは、画素周辺の液晶が倒れはじめて、この部分から光漏れが起こり、コントラストが低下する場合があるが、この部分を遮光することで、コントラストの低下を防ぐことができる。
第4実施形態の液晶表示装置の液晶の製造方法は、第1実施形態と同様とすることができる。
次に、第4実施形態の実施例を示す。(実施例8)実施例4と全く同様にして、TFT320をガラス基板311上に形成した。このTFT320は、実施例4と同様に、基板311側よりゲート−クロム層321,窒化シリコンーゲート絶縁層322,アモルファスシリコン−半導体層323,ドレイン・ソースーモリブデン層324、325から構成されている。これらすべてを覆うように窒化シリコン326を成膜し、この窒化シリコン膜326上にスルーホール327を通して、ソース電極324に接続された画素電極312を八角形の形状に作成した。
実施例4と同様に、全面にITOがスパッタされたブラックマトリクスつきのカラーフィルター基板を用意し、対向基板とした。両方の基板に垂直配向膜(日産化学社製SE1211)305、313を塗布し、200℃、1時間加熱乾燥を行った。基板周囲にシール剤を塗布し、スペーサー剤を散布した後、加熱によりシール剤を硬化させ、誘電率異方性が負のネマチック液晶300を注入し、注入孔を光硬化樹脂で封止した。液晶層のΔndと大きさが等しく、符号が逆となる光学的に負の補償フィルムを貼り付けた後、偏光板を上下基板にその透過軸が直交するように貼り付けた。
このようにして得られたパネルの視角特性を側定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。
(実施例9)実施例8と同様にして、画素電極312の形状のみ四角形であるTFT基板とカラーフィルター基板を用意した。TFT基板側のみに光配向膜を塗布し、マスクを介して四方向から、画素を4分割するように斜めから偏光紫外線を照射した。分割は図6に示すような境界で分けられるように行った。実施例8と全く同様にして、シール剤塗布、スペーサー散布を行い、液晶注入、封止を行い、液晶層のΔndと大きさが等しく、符号が逆となる光学的に負の補償フィルムを貼り付けた後、偏光板を上下基板にその透過軸が直交するように貼り付けた。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。駆動中の画素の様子を顕微鏡観察したところ、実施例8で、非常に少数の画素で見られた異常なディスクリネーションの動きは全く見られなかった。
(実施例10)実施例8と全く同様にして、TFT基板とカラーフィルター基板を用意した。カラーフィルター基板にネガレジストを用いてフォトリソグラフィーにより、スペーサとなる柱(高さ6μm)を画素電極をはずすように作成した。実施例8と同様にして両方の基板に垂直配向膜(日産化学社製SE1211)を塗布し、200℃、1時間加熱乾燥を行った。実施例6と同様に、スペーサー剤の散布を省略し、パネルを作成した。
次いで、誘電率異方性が負であるネマチック液晶(メルク社製商品名MJ95955)と紫外線硬化モノマー(日本化薬社製商品名KAYARAD PET−30)(液晶に対して0.2wt%)、開始剤(商品名イルガノックス907、モノマーに対して5wt%)からなる液晶溶液を注入し、液晶溶液に光が当たらないよう注意して、封孔した。共通電極に0V、画素電極に3Vとなるように電圧を印加しつつ、パネル全面にTFT側から紫外光を照射し、液晶中のモノマーのポリマー化を行った。液晶層のΔndと大きさが等しく、符号が逆となる光学的に負の補償フィルムを貼り付けた後、偏光板を上下基板にその透過軸が直交するように貼り付けた。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。
実施例9と同様に、駆動中の画素の様子を顕微鏡観察したところ、実施例8で、非常に少数の画素で見られた異常なディスクリネーションの動きは全く見られなかった。
(実施例11)実施例8と同様にして、画素電極312の形状のみ四角形であるTFT基板とカラーフィルター基板を用意し、これらの基板を用いて作成したパネルの応答速度を測定した。駆動方法として、バイアス電圧を印加せず、0Vからいきなり5Vの駆動電圧を印加したときは、5Vを印加してから40ms経過した後でも透過光量が安定しなかった。これに対し、あらかじめバイアス電圧2.2Vを印加しておき、続いて5Vの駆動電圧を印加したときは、5Vを印加してから20ms経過した後には透過光量が安定した。
また、このパネルと同様の条件で作成した試験用パネルの液晶の配向状態を、ストロボを用いて観察した。この観察において、0Vからいきなり5Vを印加したときは、図13(a)に示すように、40ms後でも液晶配列の乱れが観察され、この乱れによって、透過光量が安定しないことがわかった。また、2.2Vのバイアス電圧を印加してから5Vを印加したときは、同図(b)に示すように、20ms後には乱れのない配向が観察された。このように、あらかじめ、バイアス電圧を印加しておけば、液晶パネルの応答速度が速くなることがわかった。
ところが、0Vからいきなり5Vを印加したときは、5Vを印加する前と印加した後のコントラストが2300あるのに対し、2.2Vのバイアス電圧を印加して5Vを印加したときは、5Vを印加する前と印加した後のコントラストが130に低下した。これは、同図(b)の5ms後の液晶配向状態が示すように、画素周辺の光漏れが原因であった。
このコントラスト低下に対しては、光が漏れる部分(画素電極の周辺部分)をブラックマトリクスで遮光することにより、2000のコントラストを得ることができた。このようにすることにより、コントラストの低下に対して、ほぼ悪影響のない状態で、液晶パネルの応答速度を速くすることができた。
<第5実施形態>本発明の第5実施形態を図14を用いて説明する。第3、第4実施形態と全く同様にして、液晶をアクティブ素子で駆動する。図14において図14(a)は図14(b)の平面図D−D’線の断面図を示している。この第5実施形態では、カラーフィルター層が下側基板側に設けられている。
上側の透明基板401の上に共通電極402が透明基板のほぼ全面に形成されている。共通電極402の上に垂直配向膜403が塗布されている。また、下側基板411上には、薄膜トランジスタ420が設けられている。このトランジスタ420はCrよりなるゲート電極(走査信号電極)421が配置され、このゲート電極421を覆うように窒化シリコンからなるゲート絶縁膜422が形成されている。また、ゲート電極421上には、ゲート絶縁膜422を介して非晶質シリコンからなる半導体膜423が配置され、薄膜トランジスタ(TFT)420の能動層として機能するようにされている。また、半導体膜423のパターンの一部に重畳するようにモリブデンよりなるドレイン電極424、ソース電極425が配置されている。これらすべてを被覆するように窒化シリコンよりなる保護膜426が形成されている。
なお、ドレイン電極424、ソース電極425は、それぞれ図示していないが、n形不純物が導入された非晶質シリコン膜を介し、半導体膜423のパターンの一部に重畳している。また、図14(b)に示すように、ドレイン電極424は、データ線(映像信号電極)424aに接続されている。言い換えると、ドレイン電極424は、データ線424aの一部として形成されている。また、ゲート電極421も、走査信号線421aの一部を構成している。
さらに、第5実施形態では、保護層426上にカラーフィルター層414が形成され、また、保護層426上には、TFTの能動層423を覆うように遮光膜427が形成されている。カラーフィルター層414および遮光層427は、オーバーコート層415で覆われている。このオーバーコート層415はチャージアップしにくい透明な絶縁材料で作成する。
オーバーコート層415上に、スルーホール428を介してソース電極425と接続された画素電極412が設けられ、その上に垂直配向膜413が形成されている。
第5実施形態でも、画素電極412にソース電極425が接続されており、映像信号が画素電極に印加されるようになっている。この映像信号のon、offは走査信号により制御される。画素電極412は対称性の高い形状をしている。ここでは正方形を例示したが、図1(c)に示したように、円、五角形、八角形などでも同様の効果が得られる。
これらの上下基板の間に誘電率異方性が負である液晶分子400が挟持されている。上下基板の配向膜が垂直配向膜のため、電圧無印加時には、液晶400は基板に対して該垂直に配向している。
ゲート電極421に電圧を印加して薄膜トランジスタ(TFT)420をオンにすると、ソース電極425に電圧が印加されて、画素電極412とこれに対向配置している共通電極402の間に電界が誘起される。このとき、画素電極412の形状が対称性が高いことおよび共通電極402が画素電極412より大きいため、両電極間に生じる電界は基板に対して垂直ではなく、画素電極周辺部から中央に向かう斜め電界となる。この電界により、誘電率異方性が負である液晶分子400は画素中央に向って対称に倒れていく。このため画素内の液晶の配向方向は自然に分割される。
このように本発明では、誘電率異方性が負の液晶を用いると、特別に配向膜に処理を加えることをしなくても、自動的に液晶の倒れる方向を分割することができ、広視野角化が達成できる。
なお、第5実施形態の場合には、その構造上、画素電極412が、ゲート線(走査信号線)421a、ドレイン線(映像信号線)424aからの十分離れているため、これらの電極からの電界により液晶の配向が乱れることはほとんどない。それでも、外部から電界の悪影響を防ぐことを目的に、いずれか一方または両方の電極の上部にシールド用の電極を設けてもよい。
第5実施形態では、カラーフィルター層414と液晶層400の間に、画素電極412が配置されている。このことにより、カラーフィルター層414と画素電極412との目合わせすら不要になり、上下基板の重ね合わせ精度が大幅に軽減される。このような顕著な効果を得ることは、共通電極に開口部を有する技術においては、全く不可能である。かつ、このようにカラーフィルター層414と液晶層400の間に、画素電極412を配置することよって、走査信号電極421a、映像信号電極424aからの横方向電界の影響を大幅に軽減することができる。また、このような構成をとることによって、IPS方式および、垂直配向した液晶を横方向電界で倒す方式において問題となっていたカラーフィルター層414におけるチャージアップによる色ムラの問題も解決することができる。
さらに、実施の形態3、4と全く同様にして、液晶の倒れる方向を、より完全に制御したい場合には、配向膜に光配向膜を用い、その光配向膜の性質に応じ、斜めからの偏光または無偏光の照射するなどの操作を行ってもよい。また、液晶の配向が乱れるのを防ぐことを目的に、液晶中に少量のモノマーを導入し、適当な配向状態を記憶させるために、ポリマー化してもよい。
また、偏光透過軸を直交させた場合は、ノーマリブラックモードとなるが、初期の液晶配向のリタデーションの観察角度依存をなくすため負の一軸の補償フィルムおよび正の一軸の補償フィルムを組み合わせて用いることができる。これにより、黒状態の観察角度依存性がなくなり、画質が向上するとともに、広視野角化が図れる。
また、上記説明では、液晶の誘電率異方性が負で、電圧無印加時に液晶が基板に対して垂直配向をとっていると仮定しているが、第2実施形態のように、液晶の誘電率異方性が正で、電圧無印加時にねじれネマチック配向をとっている場合も、第2実施形態で述べた液晶配向とほぼ同様の液晶配向が生じ、広視野角化が図れる。この場合は、液晶層は、図7(a)、(b)に示したように4つに分割される。ねじれネマチック配向を用いる場合は、四角形の画素が望ましい。
第5実施形態の液晶表示装置の液晶の製造方法は、第1実施形態と同様とすることができる。
次に、第5実施形態の実施例を示す。(実施例12)実施例4と同様にして、アモルファスシリコン薄膜トランジスタアレイ(TFT)420を有する基板を、成膜過程とリソグラフィー過程を繰り返して、ガラス基板411上に作製した。このTFT420は、基板側よりゲート−クロム層421,窒化シリコン−ゲート絶縁層422,アモルファスシリコン−半導体層423,ドレイン・ソース−モリブデン層424、425から構成されている。次にドレイン電極424、ソース電極425および半導体膜423を覆うようにゲート絶縁膜422上に保護膜426を形成した。
次に、この保護膜426の上にカラーフィルター層および遮光層を形成する。カラーフィルター層414は、例えば、赤色や緑色もしくは青色の染料、顔料を含んだ樹脂膜から構成する。また、遮光層427は黒色の染料、顔料を含んだ樹脂から構成すればよい。また、金属を用いて遮光層427を形成するようにしてもよい。
カラーフィルター層414は、例えば、赤色などの所望の光学特性が得られる顔料が、アクリルをベースとしたネガ形の感光性樹脂中に分散された顔料分散レジストを用いて形成すればよい。まず、顔料分散レジストを保護膜上に塗布し、レジスト膜を形成する。次いで、そのレジスト膜の所定領域、すなわち、マトリクス状に配置された画素領域に選択的に光が当たるように、フォトマスクを用いて露光する。この露光の後、所定の現像液を用いて現像し、所定のパターンを形成する。これらの工程を、色数、例えば赤・青・緑の3色分3回繰り返すことでカラーフィルター層414が形成できる。
次に、カラーフィルター層414および遮光層427上に透明な絶縁材料からなるオーバーコート層415を形成する。このオーバーコート層415は、例えばアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂を用いればよい。また、オーバーコート層415として、光硬化性の透明な樹脂を用いてもよい。最後に、スルーホール428を形成してこれを介してソース電極425に接続する四角形の形状をした画素電極412を、オーバーコート層415上に形成した。
対向基板として、全面にITOをスパッタしたガラス基板を用意した。実施例4と同様にして、両方の基板に垂直配向膜(日産化学社製SE1211)403、413を塗布し、200℃、1時間加熱乾燥を行った。基板周囲にシール剤を塗布し、スペーサー剤を散布した後、加熱によりシール剤を硬化させ、誘電率異方性が負のネマチック液晶を注入し、注入孔を光硬化樹脂で封止した。液晶層のΔndと大きさが等しく、符号が逆となる光学的に負の補償フィルムを貼り付けた後、偏光板を上下基板にその透過軸が直交するように貼り付けた。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。なお、上下基板の貼りあわせ際、目合わせは必要なく、画素のサイズが小さくなっても全く問題がないことがわかった。
(実施例13)画素電極の形状を図4に示したような突出した部分を有する形状にした以外は実施例11と全く同様にして、パネルを作成した。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。また、実施例11で非常に少数の画素で見られたディスクリネーションの曲がりは全く見られなかった。
(実施例14)実施例12と全く同様にして、TFT基板を作成し、カラーフィルター層414、オーバーコート層415を作成し、四角形の画素電極を形成した。実施例3と同様に、配向膜と液晶材をJSR製JALS−428とZLI4792のカイラル材を抜いたものとし、実施例3と同様にラビングを行い、実施例11と全く同様に液晶パネルを作成した。
このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。なお、上下基板の貼り合わせの際、目合わせは必要なく、画素のサイズが小さくなっても全く問題がないことがわかった。
(実施例15)画素電極の形状を図4に示したような突起を有する形状にした以外は実施例13と全く同様にしてパネルを作成した。このようにして得られたパネルの視角特性を測定したところ、階調反転は全くなく、高コントラストの領域が非常に広い優れた視角特性が得られた。