JP4669806B2 - V型内燃機関 - Google Patents
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Description
特に、自動二輪車のように内燃機関の搭載スペースが限られる車両においては、V型内燃機関は有用な構造の内燃機関として知られている。
二次空気供給装置に関しては、V型内燃機関のシリンダ間に形成されるV字状空所(Vバンク)内の後方傾斜シリンダのオフセット方向反対側に二次空気供給切換弁を配設して、走行風の当りにくい後方傾斜シリンダの冷却効率を高め、二次空気供給切換弁の冷却効率を高めんとする発明が知られている(特許文献1参照。)。
具体的には、V型内燃機関が有する構造上の利点を損なうことなく、V型内燃機関が全体としてコンパクトになるようにEGR制御弁を配置することが要求されている。
したがって、上記のコンパクト化とともに、高温の排気ガスを還流させるための工夫が要求されている。特に、V型内燃機関を自動二輪車に搭載する場合には、内燃機関や排気管が走行風により冷却される度合いが大きくなるため、排気をあまり冷却されない状態で還流させるための工夫がより強く要求される。
また、本発明は、同様にして、単一のEGR制御弁により各シリンダへの排気ガスを還流させ、しかも、排気ガスの還流経路の取り回しや分岐を合理的な構造で行うことにより、部品点数の増加やコスト増大を抑えて全体として構造が簡易でコンパクトなV型内燃機関を提供することを目的としている。
更に、EGR制御弁が各シリンダの略中間に位置するため、単一のEGR制御弁により各シリンダへ排気ガスを還流させる構造が容易となり、多大な部品点数の増加やコスト増大を招くことなく、V型内燃機関を全体としての構造が簡易で且つコンパクトなものとすることができる。
ここで、Vバンク内の車両進行方向後方に位置するシリンダの前部は走行風に晒されて冷却効果が期待できる場所であるので、吸気効率を高めるためにスロットルバルブを配置する場所として好適である。本発明では、このようにスロットルバルブを配置した場合に、スロットルバルブの側部となるデットスペースをEGR制御弁の配置に利用することができることとなるため、この点からもV型内燃機関のコンパクト化を図ることができる。
図6には本例のV型内燃機関1を搭載した自動二輪車を示してある。
この自動二輪車は、車体フレームに枢支されたフロントフォーク2の下端で前輪3を回転自在に軸支し、車体フレームに前端が上下に揺動自在に支持されたリヤフォークの後端で後輪5を回転自在に軸支している。
V型内燃機関1は複数のシリンダ(本例では2つのシリンダ10a、10b)を互いにV字状に離間させてクランクケース11上に設けた構造であり、自動二輪車の進行方向前方に位置するシリンダ10aと後方に位置するシリンダ10bからそれぞれ排気管12a、12bが後方へ引き出されている。
なお、EGR制御弁14には車両進行方向後方となるシリンダ10bの排気管12bから排気導入管15を通して排気ガスが導入され、公知のように制御弁14をソレノイドで開閉制御することで、排気導入管15から導入された排気ガスを両シリンダ10a、10bの吸気ポートに供給して、その燃焼室に還流させる。
すなわち、空気圧コンプレッサ18は、図外のエアフィルタを通した空気を取り込んで圧縮し、当該圧縮空気を後述する供給路を通して各混合気噴射弁へ供給し、各混合気噴射弁は、制御された適量の燃料を圧縮空気に混合して燃焼室へ直接噴射する。
各シリンダ10a、10bは、ピストン20a、20bを摺動自在に収容したシリンダブロック21a、21bの上端にシリンダヘッドブロック22a、22bを設けて燃焼室23a、23bが構成されている。なお、各ピストン20a、20bはコネクティングロッド28a、28bによりクランクケース11内に収容されたクランク軸に接続されている。
各燃焼室23a、23bにはそれぞれ2つの吸気ポート24a、24bと排気ポート25a、25bが開口しており、吸気ポート24a、24b及び排気ポート25a、25bは、シリンダヘッドブロック22a、22bに摺動自在に設けられた吸気弁26a、26b及び排気弁27a、27bにより開閉される。
Vバンク空間に配置された単一のEGR制御弁14に後方シリンダの排気管12bから高温の排気ガスが導入され、当該EGR制御弁14から連通管(上流路)16aを通して2つのリード弁16cが設けられた分岐室16bに排気ガスが供給され、当該分岐室16bからリード弁16cを介して供給管(下流路)17を流れる排気ガスが吸気ポート24a、24bへ供給される。すなわち、制御弁14が内燃機関の燃焼タイミングに応じて開閉制御されることで、排気管12bから分岐室16bに導入された適量の排気ガスが、リード弁16cにより逆流防止されて排気供給管17から吸気ポート24a、24bを介して燃焼室23a、23bに還流される。
ここで、排気ガスを燃焼室に還流させる排気還流装置(EGR)では、還流させる排気ガスが高温である方が好ましいが、自動二輪車の走行風により冷却されることが少ない車両走行方向後方に位置する排気管12bから高温に維持された排気ガスを還流させているため、窒素酸化物(NOx)の低減効果を高めることができる。
混合気噴射弁30は後述するようにソレノイド駆動により制御動作して、空気圧コンプレッサ18から供給される圧縮空気と燃料タンク7から供給された燃料とを混合気として各燃焼室23a、23b内へ直接噴射する。
共用路32の他端はシリンダヘッドブロック22a、22bが成すV字状空間の基端部に開口しており、各シリンダブロック21a、21bをクランクケース11上に取付けることにより、各シリンダブロック21a、21bに内部管路として形成された圧縮空気供給路33と共用路32とが気密に連通する。
また、各圧縮空気供給路33の上端はシリンダヘッドブロックとの合わせ面に開口しており、各シリンダヘッドブロック22a、22bを各シリンダブロック21a、21b上に取付けることにより、各シリンダヘッドブロック22a、22bに管路として形成された圧縮空気供給路34と圧縮空気供給路33とが気密に連通する。
すなわち、クランクケース11上に各シリンダブロック21a、21bを組み付け、更に、各シリンダブロック21a、21b上に各シリンダヘッドブロック22a、22bを組み付けるといった内燃機関1の組み立て作業を行うことで、空気圧コンプレッサ18からシリンダヘッド部の混合気噴射弁30へ至る圧縮空気供給路が、これら共用路32、圧縮空気供給路33、及び、圧縮空気供給路34により形成される。
なお、図2中の36は燃焼室に臨んで設けられた点火プラグである。
シリンダブロック21a、21bの圧縮空気供給路33に連通した各圧縮空気供給路34は二筋に分岐されて、一方がシリンダヘッド部に設けられた空気圧調整器38に連通され、他方が混合気噴射弁30の圧縮空気室に連通されている。
すなわち、圧縮空気供給路34に導かれた圧縮空気は空気圧調整器38により所定の空気圧に調整され、当該圧力調整された圧縮空気が混合気噴射弁30の圧縮空気室に供給される。
したがって、車両の走行風が前方シリンダ10aにより遮られるため、EGR制御弁14及び排気導入管15が走行風で冷却されることを抑えることができ、後方の排気管12bから高温に保った排気ガスをEGR制御弁14に導入して還流させることができる。
なお、排気還流装置(EGR装置)はEGR制御弁14を駆動するアクチュエータ(ソレノイド等)を備えるが、上記のように前方シリンダ10aの背部に配置したEGR制御弁14の上部に当該アクチュエータを設けて、当該アクチュエータは前方シリンダ10aより上側に位置するように配置するのが好ましく、このような配置とすることにより、アクチュエータは走行風により冷却されてEGR制御弁14を良好に駆動し、EGR制御弁14は走行風による冷却が抑えられて排気ガスを高温に維持したまま還流させることができる。
このようにスロットルバルブ39を配置すると、一般的には、Vバンク空間内のスロットルバルブ39の側部はデットスペースとなってしまうが、上記のようにEGR制御弁14が当該スロットルバルブ39の側部に配置されることとなるため、デットスペースの有効利用がなされている。
制御弁14からの上流路を形成している連通管16aはその下端部に分岐室16bが形成されており、当該連通管16aの下端は前側のシリンダ10aと後側のシリンダ10bに向けて分岐している。
なお、本例では、連通管16aを前方シリンダ10aに印籠嵌合し後方シリンダ10bに固着したが、前方シリンダ10aに固着し後方シリンダ10bに印籠嵌合するようにしてもよい。
一方、弁体14aを通過した排気ガスを分岐室16bに導く上流路(連通管16a)は、その上端開口51が弁体14aに臨んで開口し、下方の分岐室14bへと延びている。
したがって、連通管16aと排気導入管15とがシリンダ間のV字状の空所に当該シリンダのV字状の離間方向と交差する方向に並んで配置され、これによって、連通管16aと排気導入管15とがコンパクトに配置されている。
混合気噴射弁30は、下端が燃焼室23a(23b)に臨む混合気弁30aと、混合気弁30a上に同軸に設けられた燃料弁30bとを備えた構成であり、混合気弁30aと燃料弁30bとを図外のソレノイドで制御動作させることで、燃料を圧縮空気に混合させた混合気を燃焼室23a(23b)に直接噴射する。
なお、圧縮空気は供給路34の分岐路により空気圧調整器38に導かれ、余剰圧は解放することで所定の圧力に調整された圧縮空気が圧縮空気室30cへ供給される。
なお、燃料噴射弁30へ至る経路から分岐した燃料は燃料圧調整器44に導かれ、余剰燃料は燃料タンク7へ還流させることで、圧縮空気室30cの空気圧より高く且つ圧力差が一定となるように圧力調整された燃料が燃料室30dへ供給される。
次いで、ソレノイドに通電されて混合気弁30aが開くと、圧縮空気室30c内の混合気がその圧力により燃焼室23a、23b内に噴射され、点火プラグ36により点火されて燃焼する。
11:クランクケース、 12a、12b:排気管、
14:EGR制御弁、 15:排気導入管、
16a:連通管(上流路、分岐室)、 16b:分岐室、
16c:リード弁(一方向弁)、 17:供給管(下流路)、
23a、23b:燃焼室、 24a、24b:吸気ポート、
25a、25b:排気ポート、 39:スロットルバルブ、
46a:ブラケット、 46c:環状シール、
48:環状スリーブ、 49:ボルト、
Claims (5)
- 複数のシリンダを互いにV字状に離間させてクランクケース上に設けたV型内燃機関において、
内燃機関の排気ポートからの排気ガスを当該内燃機関の吸気ポートへ再循環させる制御弁を各シリンダブロック間のV字状の空所に設け、
当該制御弁から各シリンダの吸気ポートへの排気供給路を設け、
前記排気供給路は、当該制御弁側に接続される単一の上流路と、一端が当該上流路に接続されるとともに他端が各シリンダの吸気ポート側に接続される分岐路とを構成する分岐部材を有して構成され、
当該分岐部材は、V字状に離間した一方のシリンダに対して軸方向への移動可能に印籠嵌合され、V字状に離間した他方のシリンダに対して固着されていることを特徴とするV型内燃機関。 - 請求項1に記載のV型内燃機関において、
前記分岐部材は、前記制御弁側に接続される単一の上流路と、当該上流路に接続されるとともに各シリンダの吸気ポートからの逆流を防止する複数の一方向弁を有する分岐室と、当該分岐室の各一方向弁に接続されるとともに各シリンダの吸気ポートに接続される複数の下流路とを含んで構成されていることを特徴とするV型内燃機関。 - 請求項1または請求項2に記載のV型内燃機関において、
シリンダから前記制御弁に排気ガスを導入する通路を成す排気導入部材と、前記分岐部材とが、各シリンダ間のV字状の空所に当該シリンダのV字状の離間方向と交差する方向に並んで配置され、
当該分岐部材の分岐端が各シリンダに側方から接続されていることを特徴とするV型内燃機関。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のV型内燃機関において、
V型内燃機関をクランク軸が車両進行方向の左右方向へ延びるように横置きで車両に搭載した状態で、V字状に離間したシリンダは車幅方向の左右にオフセットして設けられており、
前記制御弁は車両進行方向の前方に位置するシリンダの背部に設けられていることを特徴とするV型内燃機関。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のV型内燃機関において、
V型内燃機関を車両に搭載した状態で、V字状に離間したシリンダの車両進行方向の後方に位置するシリンダから前記制御弁に排気ガスが導入されることを特徴とするV型内燃機関。
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