JP4666006B2 - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Description

本発明は排気ガス浄化用触媒に関する。
車両用エンジンの排気通路には、Pt、Pd、Rh等の触媒金属を有する排気ガス浄化用触媒が設けられている。この触媒には、エンジン始動時のような排気ガス温度が低いときから排気ガスを浄化できるように早期に活性化することが求められ、また、高速走行等によって排気ガス温度が高い状態が続いた後でも、排気ガスの浄化率が大きく低下しないことが求められる。このような要求を満たすべく、触媒には比較的多量の触媒金属が使用され、例えば三元触媒にあっては、触媒金属の使用量は触媒担体1L当たり1〜2gとされることが多い。しかし、上記触媒金属の多くは希少金属であることから、資源保護等の観点より、触媒の性能を落とすことなく、触媒金属の使用量を少なくする研究開発が進められている。
一方、上記排気ガス浄化用触媒は、環境負荷を小さくするためのものであるから、触媒の劣化を検出できるようにして、適宜交換する必要がある。この触媒の劣化検出に関しては、触媒よりも下流側の排気通路に酸素センサを配置し、触媒を通過した排気ガスの酸素濃度が所定範囲内にあるか否かによって触媒の劣化を判定するOBD(オンボード自己診断)システムがとられている。これは、触媒中の酸素吸蔵材が排気ガス中の酸素を正常に吸蔵・放出しているか否か、それによって触媒金属による触媒作用が維持されているか否かをみるものである。
ところで、上記酸素吸蔵材は、その表面に触媒金属を担持させると、酸素の吸蔵放出能が高くなることが知られている。逆に言えば、触媒金属の使用量が少なくなるほど、酸素吸蔵材の酸素吸蔵放出能が低くなる。このため、触媒の排気ガス浄化性能を落とすことなく、触媒金属の使用量を少なくすることができたとしても、酸素吸蔵材の酸素吸蔵放出能は低くなってしまう。その結果、車両の総走行距離がそれほど長くなっていない(排気ガス浄化性能はそれほど落ちていない)にも拘わらず、上記酸素センサによって、当該触媒は酸素吸蔵放出能が低下し劣化している、つまり、その交換時期が到来していると判定されてしまうことになる。
図35はそのことを模式的に示す。すなわち、触媒金属量が例えば2g/Lであるときは、EM(エミッション=大気汚染物質)排出量がEM規制値に到達する走行距離になった頃に、酸素センサで検出される触媒下流側の酸素濃度がOBD閾値に達するようになる。しかし、触媒の排気ガス浄化性能を落とすことなく、触媒金属量を例えば0.5g/Lにすることができた場合でも、酸素吸蔵材の酸素吸蔵放出能が低くなっているから、EM排出量がEM規制値に到達する前に、触媒下流側の酸素濃度がOBD閾値を越えて低くなり、触媒が劣化したと判定されてしまう。
これに対して、触媒金属量を増大させることなく、酸素吸蔵材の酸素吸蔵放出能を向上させるようにした触媒の一例が特許文献1に記載されている。それは、セリウム酸化物を含む担体と、この担体に担持された遷移金属及び貴金属からなる触媒金属とよりなり、セリウム原子及び貴金属各々に対する遷移金属の原子比を所定の範囲にするというものである。遷移金属としては、Co、Ni及びFeの少なくとも一種が好ましいとされている。但し、実施例として開示されているのはCo及びNiだけであり、Feについての実施例はない。
また、特許文献1では、セリアジルコニア固溶体粉末に硝酸Ni(又は硝酸Co)を含浸させ、蒸発乾固、乾燥及び焼成を行ない、得られた粉末にPt溶液を含浸させ、蒸発乾固、乾燥及び焼成を行なうことにより触媒粉末を得るとされている。そして、この触媒粉末とRh/ZrO粉末とAl粉末とアルミナゾルとイオン交換水とを混合してスラリーを調製し、このスラリーをハニカム担体にウォッシュコートして触媒層を形成するとされている。
特許文献2には、CeO−ZrO複合酸化物よりなる担体と、該担体に担持されたAl、Ni及びFeから選ばれる少なくとも一種の金属酸化物粒子と、該担体に担持された貴金属とからなる排気ガス浄化用触媒が開示されている。担体上での貴金属の移動を金属酸化物粒子によって規制することにより、貴金属のシンタリングを抑制するというものである。但し、実施例として開示されている金属酸化物粒子はAlのみであり、CeO−ZrO複合酸化物と硝酸Al水溶液とを混合し、これにアンモニア水を滴下・中和して沈殿を析出させ、濾過・洗浄・乾燥・焼成を行ない、得られた粉末にPt溶液を含浸させ、蒸発乾固、乾燥及び焼成を行なうことにより触媒粉末を得るとされている。Ni及びFeについての実施例はない。
特許文献3には、第1金属酸化物粉末と第2金属酸化物のコロイド粒子が分散したコロイド溶液とを混合して担体に塗布した後、熱処理をすることにより触媒層を形成することが記載されている。第2金属酸化物が第1金属酸化物の粉末に対してマトリックスとなり、第1金属酸化物はマトリックスとして機能する第2金属酸化物によって担体表面に固定されるため、担体に対して高い付着性をもって薄膜状の被覆を均一に形成することが可能になるとされている。また、第1金属酸化物及び第2金属酸化物各々は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、希土類元素酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種とされ、実施例では第2金属酸化物のコロイドとしてAlコロイドが採用されている。
特開2003−220336号公報 特開2003−126694号公報 特開2006−231321号公報
ところで、酸化鉄は、CeOと同じく、酸素吸蔵放出能を有することが知られている。従って、特許文献1,2に記載されているCeO−ZrO複合酸化物のようなCe含有酸化物粒子に酸化鉄を担持させることが考えられる。そこで、本願発明者は、Ce含有酸化物粉末に硝酸鉄を含浸させて蒸発乾固、乾燥及び焼成を行ない、得られた粉末の酸素吸蔵放出能を調べた。その結果、酸素吸蔵放出能の向上が認められたものの、その向上はそれほど大きなものではなく、また、長期の使用を想定した所定の熱エージングを行なったところ、酸素吸蔵放出能がかなり低いレベルまで低下することがわかった。また、上記硝酸鉄により得られる酸化鉄粒子はその粒径が500nm以上の大きな粒子であることがわかった。
本発明は、かかる点に鑑み、酸化鉄を触媒の酸素吸蔵放出能の向上に有効に利用できるようにすることを課題とする。
また、本発明は、触媒の酸素吸蔵放出能を高めることにより、少ない触媒金属量でも、酸素吸蔵放出能に関して所期の耐久性が得られるようにする(触媒下流側の酸素濃度がOBD閾値に達するようになるまでの熱履歴時間を長くする)ことを課題とする。
また、別の本発明の課題は、酸化鉄を、触媒の酸素吸蔵放出能を高めることに利用するだけでなく、担体に触媒層を形成するためのバインダとしても利用することにある。
本発明は、このような課題を解決するために、粒径の小さな微細酸化鉄粒子を触媒層に多数分散させるようにした。
すなわち、本発明は、担体上に、酸素吸蔵放出能をもつCe含有酸化物粒子と、Pt、Pd及びRhから選ばれる少なくとも1種の貴金属よりなる触媒金属とを有する触媒層が形成されている排気ガス浄化用触媒であって、
上記触媒層には、酸化鉄粒子が多数分散して含まれ、少なくとも一部の酸化鉄粒子は粒径が300nm以下の微細酸化鉄粒子であり、上記Ce含有酸化物粒子に当該微細酸化鉄粒子が接触しており、電子顕微鏡観察において、上記微細酸化鉄粒子の酸化鉄粒子総面積に占める面積比率が30%以上であることを特徴とする。
上記粒径300nm以下の微細酸化鉄粒子の酸化鉄粒子総面積に占める面積比率が30%以上であるということは、この微細酸化鉄粒子が触媒層に多数分散して含まれていることを意味する。また、上記Ce含有酸化物粒子はその二次粒子径が数μmであることが通常であるから、少なくとも一部のCe含有酸化物粒子には、複数の微細酸化鉄粒子が分散して接触しており、且つCe含有酸化物粒子に対する微細酸化鉄粒子の付着量が比較的多いことを意味する。そのため、触媒金属量が少ない場合でも、その微細酸化鉄粒子がCe含有酸化物粒子と相俟って触媒層の酸素吸蔵放出能の向上に有効に働き、触媒の早期活性化(比較的低い温度から活性を呈する)が図れる。すなわち、微細酸化鉄粒子とCe含有酸化物粒子との接触点では各々の粒子内酸素が不安定な状態になるため、各々の酸素吸蔵放出能が高くなると考えられ、その結果、当該触媒による排気ガスのHC(炭化水素)やCOの酸化反応が促進される。また、触媒の使用期間が多少長くなっても(触媒が高温の排気ガスに度々晒されても)、上記酸素吸蔵放出能が低いレベルにまで低下することが避けられ、従って、排気ガス浄化性能はそれほど落ちていないにも拘わらず、酸素吸蔵放出能のOBDにおいて、触媒が劣化していると診断されることが避けられる。
上記微細酸化鉄粒子の酸化鉄粒子総面積に占める面積比率は40%以上であることが好ましい。粒径50nm以上300nm以下の酸化鉄粒子についてみれば、酸化鉄粒子総面積に占める面積比率が40%以上95%以下程度であることが好ましい。
上記微細酸化鉄粒子は、上記触媒層において上記Ce含有酸化物粒子等を上記担体に保持するバインダの少なくとも一部を構成するものとすることができる。すなわち、触媒一般におけるバインダについては次のように定義することができる。
A.バインダは、担体にウォッシュコートするスラリーに粘性を与えることにより、触媒金属を担持する酸素吸蔵材、その他の助触媒粒子をスラリー中に均一に分散させるとともに、乾燥・焼成前のウォッシュコート層を担体に安定した状態に保持する。
そのため、粒径が1nm〜50nm程度のコロイド粒子(水酸化物、含水物、酸化物等)が分散したコロイド溶液(市販のアルミナゾルやコロイダルシリカではコロイド粒子の粒径は10nm〜30nm程度)がバインダとして一般に使用される。
B.バインダは、上記乾燥・焼成後は微粒子となって触媒層に略均一に分散し、上記助触媒粒子間に介在して該助触媒粒子同士を結合するとともに、担体表面の多数の微小凹部ないし細孔に入り、触媒層が担体から剥離しないようにする(アンカー効果)。
そのため、乾燥・焼成後において、助触媒粒子よりも粒径が小さな酸化物粒子となって助触媒粒子や担体に固着するものがバインダとして一般に使用される。
C.触媒層に、触媒金属やNOx吸蔵材、HC吸着材等が後から含浸担持されるケースでは、バインダはそれら触媒成分を担持するサポート材となる。
D.バインダ粒子間、バインダ粒子と助触媒粒子との間には排気ガスが通る微細孔が形成される。
E.触媒層におけるバインダ量は、一般には触媒層全体の5質量%〜20質量%とされる。
本発明の場合、上記粒径300nm以下の微細酸化鉄粒子は、上記Ce含有酸化物粒子の平均粒径(数μm程度)よりも小さく、上記触媒層に略均一に分散し、上記Ce含有酸化物粒子間に介在して該Ce含有酸化物粒子同士を結合するとともに、担体表面の多数の微小凹部ないし細孔に入り、触媒層が担体から剥離しないようにする。このため、当該酸化鉄粒子は上記触媒層においてバインダとしての機能も発揮するものである。
上記触媒層のバインダは、上記微細酸化鉄粒子のみで構成するようにしてよいが、安定な触媒層を得るためには、この微細酸化鉄粒子の他に、遷移金属及び希土類金属から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子(例えば、アルミナ粒子、ZrO粒子、CeO粒子等)をバインダとして含むことが好ましい。このようなバインダ粒子(上記微細酸化鉄粒子及び上記金属酸化物粒子)は、担体にウォッシュコートするスラリーに粘性を与えることにより、触媒成分をスラリー中に均一に分散させるとともに、乾燥・焼成前のウォッシュコート層を担体に安定した状態で保持することができるように、前駆体である金属化合物がそれぞれコロイド粒子として分散したゾルを原料とすることが好ましい。
上記微細酸化鉄粒子の少なくとも一部はヘマタイトであることが好ましく、また、上記酸化鉄粒子は、マグヘマイト、ゲータイト及びウスタイトがコロイド粒子として分散したゾルを原料とすることが好ましい。
上記触媒層に占める上記微細酸化鉄粒子の割合は5質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。上記Ce含有酸化物粒子のCeO分に対する上記微細酸化鉄粒子の質量比が25/100以上210/100以下であることが好ましい。上記微細酸化鉄粒子の割合が少ない場合には、触媒層の酸素吸蔵放出能の向上効果が十分に現れず、また、その割合が多くなると、酸素吸蔵放出能の面では有利になるものの、排気ガス浄化率の低下が見られるためである。
上記触媒金属の上記担体に対する担持量は1.0g/L以下とすることができる。
以上のように本発明によれば、担体上に、酸素吸蔵放出能をもつCe含有酸化物粒子と触媒金属とを有する触媒層が形成されている排気ガス浄化用触媒において、上記触媒層には、上記Ce含有酸化物粒子に接触する粒径300nm以下の微細酸化鉄粒子が多数分散して含まれているから、触媒金属量が少ない場合でも、微細酸化鉄粒子がCe含有酸化物粒子と相俟って触媒層の酸素吸蔵放出能の向上に有効に働き、触媒の早期活性化が図れ、また、排気ガス浄化性能はそれほど落ちていないにも拘わらず、酸素吸蔵放出能のOBDにおいて、触媒が劣化していると診断されることが避けられる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1に、本発明に係る排気ガス浄化用触媒の一例として、自動車の排気ガスの浄化に適した三元触媒を模式的に示す。同図において、1は無機酸化物によるハニカム担体のセル壁、2はセル壁1に形成された触媒層である。触媒層2は、酸素吸蔵放出能を持つCe含有酸化物粒子3と、バインダ粒子4と、Fe以外の触媒金属5とを有し、図例では、Ce含有酸化物粒子3以外の助触媒粒子として、さらにアルミナ粒子6を有する。なお、触媒層2には、Ce含有酸化物粒子3及びアルミナ粒子6以外に、HC吸着材、NOx吸蔵材など他の助触媒粒子を含ませることができる。バインダ粒子4は、Ce含有酸化物粒子3及びアルミナ粒子6各々の平均粒径よりも小さな金属酸化物粒子よりなり、少なくとも一部のバインダ粒子4は粒径300nm以下の微細酸化鉄粒子で構成されている。すなわち、当該微細酸化鉄粒子と他の金属酸化物粒子とを組み合わせてバインダとすることもできる。
上記微細酸化鉄粒子を含むバインダ粒子4は、触媒層2の全体にわたって略均一に分散していて、助触媒粒子(Ce含有酸化物粒子3、アルミナ粒子6等)間に介在し該助触媒粒子同士を結合している。従って、少なくとも一部の微細酸化鉄粒子はCe含有酸化物粒子3に接触している。また、上記バインダ粒子4は、担体セル壁1の表面ポア(微小凹部ないし細孔)7に充填され、アンカー効果によって触媒層2をセル壁1に保持している。触媒金属5は助触媒粒子(Ce含有酸化物粒子3、アルミナ粒子6等)に担持されている。
<触媒の調製>
エタノール100mL当たり硝酸第二鉄40.4gを溶かし、90℃から100℃の温度で2時間から3時間の還流を行なうことによって、スラリー状の液体、すなわち、酸化鉄ゾル(バインダ)を得る。Ce含有酸化物粉末に酸化鉄ゾル及びイオン交換水を適量混合したスラリーを調製する。必要に応じて、他のバインダを添加する。上記スラリーを担体にコーティングし、乾燥及び焼成を施す。担体上のコーティング層に触媒金属溶液を含浸させ、乾燥及び焼成を行なう。以上により排気ガス浄化用触媒が得られる。
上記スラリーにはアルミナ粉末など他の助触媒材料を加えてもよい。また、触媒金属溶液と共に、NOx吸蔵材となるアルカリ土類金属、希土類金属等の溶液を上記コーティング層に含浸させて当該NOx吸蔵材を担持させるようにしてもよい。また、触媒金属は予めCe含有酸化物粒子等のサポート材に担持させておいてもよい。
<酸化鉄粒子の粒径等>
上記酸化鉄ゾルとCe含有酸化物粉末としてのCeZrNd複合酸化物(CeO:ZrO:Nd=23:67:10(質量比))とイオン交換水とを混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを基材にコーティングし、乾燥(150℃)及び焼成(大気中において500℃の温度に2時間保持)を行なうことにより、触媒材を得た。酸化鉄ゾルとCeZrNd複合酸化物粉末とは、上記焼成後における質量比で、酸化鉄とCeZrNd複合酸化物とが2:8となるように混合した。
図2は得られた触媒材の透過電子顕微鏡を用いたSTEM(走査透過)像、図3乃至図5はFe、Zr及びCe各原子の相対濃度分布をマッピングしたものである。図2乃至図5から、CeZrNd複合酸化物粒子の粒径は1μm程度であること、酸化鉄粒子は粒径が300nm以下であり、50nm以上300nm以下の大きさの複数個の酸化鉄粒子がCeZrNd複合酸化物粒子に接触(粒子上に分布)していることがわかる。この場合、当該顕微鏡観察において、粒径300nm以下の微細酸化鉄粒子の酸化鉄粒子総面積に占める面積比率は100%である(つまり、全ての酸化鉄粒子が粒径300nm以下である)ということができる。
図6乃至図9は上記触媒材のエージング(酸素を2%、水蒸気を10%含む窒素ガス中で900℃の温度に24時間保持)後でのSTEM像及び各原子の相対濃度分布のマッピングである。CeZrNd複合酸化物粒子の粒径は1μm程度であり、酸化鉄粒子の粒径は300nm以下であり、50nm以上300nm以下の大きさの酸化鉄粒子がCeZrNd複合酸化物粒子に複数個接触(粒子上に分布)している。エージング後においても、当該電子顕微鏡観察によれば、全ての酸化鉄粒子の粒径が300nm以下になっている。
図10は酸化鉄ゾルを150℃で乾燥したもの(乾燥品)、上記エージング前の触媒材(焼成品)、並びに上記エージング後の触媒材(焼成・エージング品)各々のX線回折チャートである。なお、同図の「OSC」は上記CeZrNd複合酸化物のことを意味する(この点は他の図面でも同様である。)。酸化鉄ゾルは、マグヘマイト(γ-Fe)、ゲータイト(Fe3+O(OH))及びウスタイト(FeO)がコロイド粒子として分散したものであることがわかる。そして、酸化鉄ゾルのコロイド粒子は焼成によってヘマタイト(α-Fe)になっている。
上記エージング前の焼成品におけるヘマタイトの、結晶面(104)のピーク強度を100とする各結晶面の相対ピーク強度は表1に示す通りである。また、上記エージング後のヘマタイトの、結晶面(104)のピーク強度を100とする各結晶面の相対ピーク強度は表2に示す通りである。なお、表中「−」はピーク重複や、ピーク小のために、正確な数値が得られなかったものである。
エージング後において、X線回折測定によって得られるヘマタイトの各結晶面のピーク強度は、結晶面(104)、結晶面(110)、結晶面(116)の順で小さくなっている。
一方、比較のために、上記酸化鉄ゾルに代えて、硝酸第二鉄水溶液を上記CeZrNd複合酸化物粉末に含浸させ、同様の乾燥及び焼成を行なった。硝酸第二鉄とCeZrNd複合酸化物粉末とは、上記焼成後における質量比で、酸化鉄とCeZrNd複合酸化物とが2:8となるように混合した。
図11乃至図14は得られた上記硝酸第二鉄による触媒材のSTEM像及び各原子の相対濃度分布のマッピングである。CeZrNd複合酸化物粒子の粒径は1μm程度であるが、酸化鉄粒子の粒径は600〜700nm程度になっている。
図15乃至図18は上記硝酸第二鉄による触媒材のエージング(酸化鉄ゾルの場合と同じ条件)後でのSTEM像及び各原子の相対濃度分布のマッピングである。CeZrNd複合酸化物粒子の粒径は1.5〜2μm程度であるが、酸化鉄粒子としては、粒径が600〜700nm程度の粒子が1個と、100nm程度の粒子が3個見られる。当該電子顕微鏡観察において、粒径300nm以下の酸化鉄粒子の酸化鉄粒子総面積に占める面積比率は10%未満である。
上記酸化鉄ゾルの場合、焼成によって酸化鉄粒子となるコロイド粒子(マグヘマイト、ゲータイト及びウスタイト)が比較的安定なFe化合物であり、そのために、酸化鉄粒子の粒成長を生じ難い。これに対して、上記硝酸第二鉄の場合は、反応性が高いFeイオンから酸化鉄粒子を生ずるから、粒成長し易い。このことが、上記酸化鉄ゾルから得られる酸化鉄粒子と上記硝酸第二鉄から得られる酸化鉄粒子の粒径の差違となっていると考えられる。
<酸素吸蔵放出能>
上記酸化鉄ゾルを用いて調製した触媒サンプルAと、上記硝酸第二鉄を用いて調製した触媒サンプルBと、鉄成分を含まない触媒サンプルCとについて、各々の酸素吸蔵放出能を調べた。但し、いずれのサンプルも触媒金属量は零とした。
−触媒サンプルAの調製−
上記CeZrNd複合酸化物と上記酸化鉄ゾルとZrOバインダとイオン交換水とを混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを担体にコーティングし、乾燥(150℃)及び焼成(大気中において500℃の温度に2時間保持)を行なった。上記スラリーは、上記CeZrNd複合酸化物の担持量が80g/L、上記酸化鉄ゾルによる酸化鉄の担持量が20g/L、上記ZrOバインダによるZrOの担持量が10g/Lとなるように調製した。なお、各担持量は上記焼成後における上記担体1L当たりの各成分の量である。担体としては、セル壁厚さ3.5mil(8.89×10−2mm)、1平方インチ(645.16mm)当たりのセル数600のコージェライト製ハニカム担体(容量25mL)を採用した。
−触媒サンプルBの調製−
上記酸化鉄ゾルに代えて硝酸第二鉄水溶液を採用し、他は触媒サンプルAと同じ条件で第2触媒サンプル2を調製した。硝酸第二鉄水溶液による酸化鉄担持量は触媒サンプルAの上記酸化鉄ゾルによる酸化鉄担持量と同じく、20g/Lである。
−触媒サンプルCの調製−
上記酸化鉄ゾルを用いず(酸化鉄担持量=0g/L)、上記CeZrNd複合酸化物担持量が100g/L、上記ZrOバインダによるZrOの担持量が10g/Lとなるようにする他は、触媒サンプルAと同じ条件で触媒サンプルCを調製した。
−酸素吸蔵放出能の評価−
図19は、酸素吸蔵放出量を測定するための試験装置の構成を示す。同図において、符号11は触媒サンプル12を保持するガラス管であり、触媒サンプル12はヒータ13によって所定温度に加熱保持される。ガラス管11の触媒サンプル12よりも上流側には、ベースガスNを供給しながらO及びCOの各ガスをパルス状に供給可能なパルスガス発生装置14が接続され、ガラス管11の触媒サンプル12よりも下流側には排気部18が設けられている。ガラス管11の触媒サンプル12よりも上流側及び下流側にはA/Fセンサ(酸素センサ)15,16が設けられている。ガラス管11のサンプル保持部には温度制御用の熱電対19が取付けられている。
測定にあたっては、ガラス管11内の触媒サンプル温度を所定値に保ち、ベースガスNを供給して排気部18から排気しながら、図20に示すようにOパルス(20秒)とCOパルス(20秒)とを交互に且つ間隔(20秒)をおいて発生させることにより、リーン→ストイキ→リッチ→ストイキのサイクルを繰り返すようにした。ストイキからリッチに切り換えた直後から、図21に示すように、触媒サンプル前後のA/Fセンサ15,16によって得られるA/F値出力差(前側A/F値−後側A/F値)がなくなるまでの時間における、当該出力差をO量に換算し、これを触媒サンプルのO放出量(酸素吸蔵放出量)とした。このO放出量を200℃から600℃までの50℃刻みの各温度で測定した。
結果を図22に示す。触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)及び触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)のいずれも、酸化鉄を含まない触媒サンプルC(OSCのみ)よりも酸素放出量が多くなっている。(酸化鉄ゾル+OSC)と(硝酸第二鉄+OSC)とを比較すると、250℃〜600℃において、酸化鉄ゾルの方が硝酸第二鉄よりも酸素放出量が多くなっている。
図23は(酸化鉄ゾル+OSC)及び(硝酸第二鉄+OSC)の各触媒サンプルのエージング(酸素を2%、水蒸気を10%含む窒素ガス中で900℃の温度に24時間保持)後の酸素放出量を測定した結果を示す。いずれもエージング後は酸素放出量が少なくなっているが、それでも、酸化鉄ゾルの方が硝酸第二鉄よりも酸素放出量が多い。
触媒サンプルAの場合は、酸化鉄ゾルによる複数の粒径300nm以下の酸化鉄粒子がCeZrNd複合酸化物(OSC)粒子に分散して接触しており(図2乃至図5参照)、そのため、それら酸化鉄粒子がCeZrNd複合酸化物粒子と相俟って触媒の酸素吸蔵放出能の向上に有効に働いているものと認められる。これに対して、触媒サンプルBの場合は、硝酸第二鉄による酸化鉄粒子の粒径が大きく(図11乃至図14参照)、そのため、酸化鉄粒子による酸素吸蔵放出能の向上が酸化鉄ゾルによるものに比べて低いものと認められる。
図24は上記エージング後の触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)及び触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)の酸素放出量(測定温度500℃)を、従来触媒及び実施例触媒各々の当該エージング後の酸素放出量(測定温度500℃)と共に示すグラフである。従来触媒は、上記触媒サンプルC(OSCのみ)においてそのCeZrNd複合酸化物粒子に触媒金属としてPtを1g/L担持させたものである。実施例触媒は、上記触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)においてそのCeZrNd複合酸化物粒子に触媒金属としてPtを1g/L担持させたものである。
触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)は、触媒金属PtをCeZrNd複合酸化物粒子に担持させていないにも拘わらず、CeZrNd複合酸化物粒子に触媒金属Ptを担持させた従来触媒と同程度の酸素放出量になっている。また、触媒サンプルAにおいてCeZrNd複合酸化物粒子に触媒金属Ptを担持させた実施例触媒は、従来触媒に比べて酸素放出量が格段に多くなっている。これらから、酸化鉄ゾルによる粒径の小さな酸化鉄粒子が酸素吸蔵放出能の向上に大きな効果を示すことがわかる。
<排気ガス浄化能>
上記触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)、触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)及び触媒サンプルC(OSCのみ)各々のフレッシュ触媒(エージングをしていない触媒)及びエージング(酸素を2%、水蒸気を10%含む窒素ガス中で900℃の温度に24時間保持)後の触媒について、模擬排気ガス流通反応装置及び排気ガス分析装置を用いて、プリコンディショニングを行なった後、排気ガス浄化性能(ライトオフ温度T50(℃)及び排気ガス浄化率の温度変化)を測定した。
プリコンディショニングは、模擬排気ガスを空間速度60000/hで触媒に流しながら、ガス温度を100℃から30℃/分の速度で600℃まで上昇させたものである。模擬排気ガスについては、A/F=14.7のメインストリームガスを定常的に流しつつ、所定量の変動用ガスを1Hzでパルス状に添加することにより、A/Fを±0.9の振幅で強制的に振動させた。排気ガス浄化性能の測定も、プリコンディショニングの場合と同じ条件で行なった。A/F=14.7、A/F=13.8及びA/F=15.6のときのガス組成を表3に示す。
−ライトオフ性能−
ライトオフ温度T50(℃)は、模擬排気ガス温度の上昇により、触媒下流で検出されるガスの各成分(HC、CO及びNOx(窒素酸化物))濃度が、触媒に流入するガスの各成分(HC、CO及びNOx)濃度の半分になった時点(すなわち浄化率が50%になった時点)の触媒入口ガス温度であって、触媒の低温浄化性能を表すものである。結果を図25に示す。なお、同図において、触媒サンプルC(OSCのみ)のNOx浄化に関するライトオフ温度T50は650℃になっているが、これは模擬ガス温度が600℃になっても浄化率が50%にならなかったので、便宜上「650℃」としたものである。
触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)及び触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)のいずれも、触媒サンプルC(OSCのみ)よりもライトオフ温度T50が低くなっている。触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)と触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)とを比較すると、HC、CO及びNOxのいずれにおいても、触媒サンプルAの方が触媒サンプルBよりも、十数℃乃至40℃程度低くなっている。
図26は上記3種の各触媒のエージング後のライトオフ温度T50を示す。エージング後においても、HC及びCOのライトオフ温度T50に関しては、触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)は触媒サンプルB,Cよりも低くなっている。なお、同図において、ライトオフ温度T50が650℃になっているものは、模擬ガス温度が600℃になっても浄化率が50%にならなかったので、便宜上「650℃」としたものである。
−排気ガス浄化率の温度変化−
図27は上記3種の各触媒のフレッシュ時におけるHC浄化率の温度変化を示す。触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)及び触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)のいずれも、触媒サンプルC(OSCのみ)よりも高くなっている。また、触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)と触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)とを比較すると、500℃では、触媒サンプルAの方が触媒サンプルBよりも、十数%高くなっており、600℃においても触媒サンプルAの方が触媒サンプルBよりも若干高くなっている。
図28は上記3種の各触媒のフレッシュ時におけるCO浄化率の温度変化を示す。触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)及び触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)のいずれも、触媒サンプルC(OSCのみ)よりも高くなっている。また、触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)と触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)とを比較すると、400℃、500℃及び600℃のいずれにおいても、触媒サンプルAの方が触媒サンプルBよりも高くなっており、特に500℃では15%程度高くなっている。
図29は上記3種の各触媒のフレッシュ時におけるNOx浄化率の温度変化を示す。400℃及び500℃では3種の触媒間に差違は殆ど見られないが、600℃になると、触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)は触媒サンプルC(OSCのみ)よりも高くなり、触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)は触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)よりもさらに高くなっている。
図30は上記3種の各触媒のエージング後におけるHC浄化率の温度変化を示す。400℃及び500℃では3種の触媒間に差違は殆ど見られないが、600℃になると、触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)は触媒サンプルC(OSCのみ)よりも高くなり、触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)は触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)よりもさらに高くなっている。
図31は上記3種の各触媒のエージング後におけるCO浄化率の温度変化を示す。400℃及び500℃では3種の触媒間に差違は殆ど見られないが、600℃になると、触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)は触媒サンプルC(OSCのみ)よりも高くなり、触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)は触媒サンプルB(硝酸第二鉄+OSC)よりもさらに高くなっている。
図32は上記3種の各触媒のエージング後におけるNOx浄化率の温度変化を示す。3種の触媒間に差違は殆ど見られない。
以上から、触媒サンプルA及び触媒サンプルBのように、触媒に酸化鉄を含ませると、排気ガス浄化性能が高くなるが、触媒サンプルAのように、酸化鉄粒子の粒径が小さくなると、酸素吸蔵放出能の増大により、排気ガス浄化性能が大きく向上すること、特にHC及びCOの浄化性能が著しく向上することがわかる。
<微細酸化鉄量が酸素吸蔵放出能及び浄化性能に及ぼす影響>
上記触媒サンプルA(フレッシュ触媒)に関し、酸化鉄ゾルによる微細酸化鉄の担持量を変化させたときの、温度500℃での酸素放出量及びHC浄化率に与える影響を調べた。上記CeZrNd複合酸化物の担持量は80g/L、上記ZrOバインダによるZrOの担持量は10g/Lとし、上記酸化鉄ゾルによる微細酸化鉄の担持量のみを変化させた。結果を図33に示す。なお、同図の横軸「酸化鉄バインダ量」は触媒層に占める微細酸化鉄粒子の割合を示している。
CeZrNd複合酸化物粒子、ZrO粒子及び酸化鉄粒子よりなる触媒層に占める微細酸化鉄粒子の割合が5質量%以上30質量%以下であるとき(CeZrNd複合酸化物粒子中のCeO分に対する微細酸化鉄粒子の質量比(酸化鉄粒子/CeO)が25/100以上210/100以下)であるときに、HC浄化率が70%以上になり、優れた排気ガス浄化性能を示すことがわかる。
<触媒金属を含有する触媒の排気ガス浄化性能>
上記触媒サンプルA(酸化鉄ゾル+OSC)において、そのCeZrNd複合酸化物粒子に触媒金属としてPtを1g/L担持させた実施例1、そのPt担持量を0.5g/Lとした実施例2の各触媒、並びに上記触媒サンプルC(OSCのみ)において、そのCeZrNd複合酸化物粒子に触媒金属としてPtを1g/L担持させた従来例1、そのPt担持量を0.5g/Lとした従来例2の各触媒を準備した。
上記実施例1,2及び従来例1,2の各触媒について、エージング(酸素を2%、水蒸気を10%含む窒素ガス中で900℃の温度に24時間保持)後の排気ガス浄化性能(ライトオフ温度T50(℃)及び排気ガス浄化率)を、先の触媒サンプルA〜Cの場合と同じ条件で測定した。
図34はHC、CO及びNOxの浄化に関するライトオフ温度T50を示す。図25のPtを担持していない(酸化鉄ゾル+OSC)及び(OSCのみ)との比較すると明らかなように、CeZrNd複合酸化物粒子へのPtの担持によって、ライトオフ温度T50が200℃前後低くなっている。そうして、実施例1,2は対応する従来例1,2に比べて、ライトオフ温度が10℃前後低くなっており、触媒層に酸化鉄ゾルによる微細酸化鉄粒子を分散させると、排気ガス浄化性能が大きく向上することがわかる。
表4は触媒入口ガス温度が500℃であるときのHC、CO及びNOxの各浄化率を示す。触媒層に酸化鉄ゾルによる微細酸化鉄粒子を分散させた実施例1,2は、そのような微細酸化鉄粒子を含まない従来例1,2よりも、排気ガス浄化率が高くなっており、特にPt担持量が少ないとき(0.5g/L)に、微細酸化鉄粒子の有無による排気ガス浄化率の差が顕著になっている。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒を模式的に示す断面図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のSTEM像図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のFe原子相対濃度分布のマッピング図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のZr原子相対濃度分布のマッピング図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のCe原子相対濃度分布のマッピング図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のエージング後のSTEM像図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のエージング後のFe原子相対濃度分布のマッピング図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のエージング後のZr原子相対濃度分布のマッピング図である。 酸化鉄ゾルを用いた触媒材のエージング後のCe原子相対濃度分布のマッピング図である。 酸化鉄ゾル乾燥品、触媒材(焼成品)及び触媒材エージング品各々のX線回折チャート図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のSTEM像図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のFe原子相対濃度分布のマッピング図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のZr原子相対濃度分布のマッピング図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のCe原子相対濃度分布のマッピング図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のエージング後のSTEM像図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のエージング後のFe原子相対濃度分布のマッピング図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のエージング後のZr原子相対濃度分布のマッピング図である。 硝酸第二鉄を用いた触媒材のエージング後のCe原子相対濃度分布のマッピング図である。 酸素吸蔵放出量測定装置の構成図である。 酸素吸蔵放出量の測定における触媒前後のA/F及び触媒前後のA/F差の経時変化を示すグラフ図である。 酸素吸蔵放出量の測定における触媒前後のA/F差の経時変化を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのフレッシュ時における酸素放出量の温度による変化を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのエージング後における酸素放出量の温度による変化を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのエージング後の酸素放出量を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのフレッシュ時のライトオフ温度を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのエージング後のライトオフ温度を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのフレッシュ時のHC浄化率を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのフレッシュ時のCO浄化率を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのフレッシュ時のNOx浄化率を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのエージング後のHC浄化率を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのエージング後のCO浄化率を示すグラフ図である。 各触媒サンプルのエージング後のNOx浄化率を示すグラフ図である。 触媒サンプルAの酸化鉄粒子の担持量が酸素放出量及びHC浄化率に与える影響をみたグラフ図である。 実施例触媒及び従来例触媒のライトオフ温度T50を示すグラフ図である。 車両走行距離が増大していくときの、触媒よりも下流側の酸素濃度及びEM排出量の変化を模式的に示すグラフ図である。
符号の説明
1 ハニカム担体のセル壁
2 触媒層
3 Ce含有酸化物粒子
4 バインダ粒子(酸化鉄粒子)
5 触媒金属
6 アルミナ粒子
7 ポア

Claims (8)

  1. 担体上に、酸素吸蔵放出能をもつCe含有酸化物粒子と、Pt、Pd及びRhから選ばれる少なくとも1種の貴金属よりなる触媒金属とを有する触媒層が形成されている排気ガス浄化用触媒であって、
    上記触媒層には、酸化鉄粒子が多数分散して含まれ、少なくとも一部の酸化鉄粒子は粒径が300nm以下の微細酸化鉄粒子であり、上記Ce含有酸化物粒子に当該微細酸化鉄粒子が接触しており、電子顕微鏡観察において、上記微細酸化鉄粒子の酸化鉄粒子総面積に占める面積比率が30%以上であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. 請求項1において、
    上記微細酸化鉄粒子は、上記触媒層においてバインダの少なくとも一部を構成していることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  3. 請求項2において、
    上記触媒層は、バインダとして、上記微細酸化鉄粒子の他に、遷移金属及び希土類金属から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子を含み、上記微細酸化鉄粒子及び金属酸化物粒子各々は、当該鉄の化合物及び当該金属の化合物がそれぞれコロイド粒子として分散したゾルを原料とすることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    上記微細酸化鉄粒子の少なくとも一部はヘマタイトであることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    上記微細酸化鉄粒子は、マグヘマイト、ゲータイト及びウスタイトがコロイド粒子として分散したゾルを原料とすることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    上記触媒層に占める上記微細酸化鉄粒子の割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    上記Ce含有酸化物粒子のCeO分に対する上記微細酸化鉄粒子の質量比が25/100以上210/100以下であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
    上記触媒金属の上記担体に対する担持量が1.0g/L以下であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
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