JP4659242B2 - 粒子分析装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粒子分析装置に関し、さらに詳しくは、血液や尿等に含まれる血球や細菌等の細胞を分析するために臨床検査分野などで用いられる粒子分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
臨床検査に用いられる分析装置として、例えば血液中の赤血球・白血球・血小板を測定するものや、尿中の有形成分である赤血球・白血球・細菌・結晶・上皮細胞・円柱などの粒子を測定する装置が知られている。これらの分析装置においては、染色液や希釈液などの試薬によって試料に所定の処理を施し、フローセル等に流して光学的又は電気的に粒子を検出するよう構成されたものが一般的となっている。血液や尿に含まれている粒子はその種類も多く、種類によっては大きさが重なり、さらに形状のばらつきも大きい。そこで、粒子から得られる形態情報を複数組み合わせたり、異なる試薬処理を施した試料を複数測定することによって粒子の分類を行うことがある。
【0003】
その中でも、尿中の有形成分である赤血球・白血球・細菌・結晶・上皮細胞・円柱などの粒子は、各粒子の大きさ、形状、個数のばらつきが大きく、検査の自動化が困難であり、顕微鏡等によって観察者が手作業で検査することが一般的であったが、特有の染色処理を施した粒子をフローサイトメータによって測定し、形態情報を種々組み合わせることで自動分類することが可能となり(特開平4−337460)、ようやくこの検査も自動化されるようになった。
【0004】
尿中有形成分にはさまざまな種類の粒子が含まれるが、その存在個数は種類により著しく異なっている。白血球など有形成分のうち大半の種類は、健常者の尿にはほとんど含まれず、1μLに数個でもあれば陽性とされている。一方、有形成分のひとつである細菌は、常在菌として健常者の尿にもある程度含まれているが、その個数が104〜5/μL以上あれば、細菌尿として陽性であると判定される。このような細菌尿には、細菌の個数が10/μL以上まで繁殖しているものもみられる。
【0005】
粒子分析装置においては、検出された各粒子についてのデータを処理・記憶するためのメモリーなどが必要となるが、上記のように検体に含まれる細菌の個数が著しく多い場合には、正常な検体を分析する場合と比べてはるかに多くの処理・記憶をしなくてはならず、装置に負担がかかってしまう。
【0006】
例えば特開平8−261912には、計数値が所定の粒子数に達するまで測定を行い、その測定にかかった時間から検体中の粒子濃度を求めるという方法を採ることで、装置に搭載するメモリー量の削減や定量装置の不要化を図り、小型化・低コスト化を実現した粒子分析装置が開示されている。
【0007】
上記記載の粒子分析装置では粒子の検出数が予め定められているため、検体に含まれる全ての粒子を分析することは行わない。例えば白血球分類の検査では、リンパ球・単球・好中球などの比率を求めることが有効的であるため、一定の総計数値を保つことで所定の精度が得られる。しかし、尿中有形成分のように、複数種類の粒子を含み、かつ種類によってその個数が著しく異なるものが検査対象である場合、例えば、著しく細菌の多い尿に白血球が数個しか含まれていない検体は、含まれる個数の多い粒子(この例では細菌)が総粒子数の大半を占め、メモリーを消費してしまうため、そもそも検体に含まれる個数が少ない粒子(この例では白血球)は数え落とされてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の各不都合点は、装置に搭載するメモリーを増設することで解決が可能である。しかし装置の小型化・低コスト化という観点から、無条件にメモリーを増設することはできない。
【0009】
また、尿検体においては細菌数の少ない検体が大半を占め、上記のように著しく細菌数が多い異常検体は少ないため、常に異常検体に合わせてメモリー量を増設した状態にしておくことは効率が悪い。
【0010】
これらのような、分析精度・コスト・処理能力など粒子分析装置に求められる各要素のバランスを取ろうとする中で、結局のところは個数の少ない測定対象(上記の例では白血球)を見逃すリスクを負って、分析量を制限せざるを得ないのが現状である。
【0011】
ところで、上記のような粒子分析装置においては、一検体の測定が終わると次検体の測定を行う前に装置の流体回路を洗浄する必要がある。流体回路内に検体が残留すると、次測定の結果に影響を及ぼしてしまうからである。特に、細菌の多い検体が残留した場合は、次測定において細菌が少ない検体にもかかわらず細菌尿と判定してしまうおそれがある。そこで細菌が著しく多い検体を測定する場合を想定して常に長時間かつ多量の洗浄液を用いた洗浄が行われている。
【0012】
そのため、細菌が少ない検体を測定した場合にも、細菌が著しく多い検体を測定した場合と同様の洗浄動作が実行されるため、必要以上の洗浄時間・洗浄液を費やすこととなり、装置の処理能力の向上やランニングコストの低下を図ることが困難となっていた。
【0013】
本発明の目的は、例えば尿中の細菌と他の有形成分とのように、種類によって個数が著しく異なる複数種類の粒子を含む検体を測定対象として一度に測定する粒子分析装置において、限られたコスト・処理能力の中で精度良く分析できるような粒子分析装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フローセルを流れる試料液から各粒子の形態上の特徴を表す情報を信号として検出する検出部と、検出された信号に基づいて粒子を分析する分析部と、を備えた粒子分析装置であって、前記フローセルにおいて一試料が試料流を形成している間に第1の検出と第2の検出を行い、第1の検出により検出される粒子の分析結果である粒子の個数に基づいて、第2の検出における検出条件として粒子を検出するための閾値の設定を行うことを特徴とする粒子分析装置を提供するものである。
【0015】
また本発明は、前記第1の検出により検出される粒子の分析結果に基づいて、洗浄動作を制御することを特徴とした粒子分析装置を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の検出部には、対象粒子を含む試料液をフローセルに流してレーザ光を照射し、得られる散乱光や蛍光などの光信号を光電変換してパルス状の電気信号(パルス信号)として検出する光学式の検出装置や、対象粒子を含む試料液をフローセルに流し、粒子がフローセル中の細孔を通過する際の電気抵抗の変化をパルス信号として検出する電気抵抗式の検出装置など、公知のものを用いることができる。
【0017】
本発明の検出部に光学式の検出装置を用いる場合、レーザ光が照射されるフローセルには透明な材質、例えばガラス等が用いられる。またフローセル中に細孔を有し、流体力学的効果によって細孔に粒子を一列に通過させるよう構成されたものが好ましい。光学式の検出装置は、レーザ光源、受光素子、その他必要に応じて各種光学部品から構成される。ここで用いられるレーザ光には、アルゴンレーザや半導体レーザなどを用いることができる。また受光素子には、フォトダイオードやフォトマルチプライヤチューブなどを用いることができる。検出部に電気抵抗式の検出装置を用いる場合は、フローセルの材質は透明なものでなくてもよい。フローセル中に細孔を有し、また細孔の両側に電極を有するものが用いられる。
【0018】
分析部は、検出部からのパルス信号を処理し、各粒子毎のデータを得るものであるが、これはCPU、ROMおよびRAMなどからなるマイクロコンピュータやパーソナルコンピュータによって構成されることが好ましい。
【0019】
図2は分析部の構成の一例を示すブロック図である。分析部は、検出部により検出されたパルス信号から各粒子の特徴を反映するパラメータを抽出するパラメータ抽出部、パラメータ抽出部により抽出された各パラメータに関するデータを一時的に格納するデータ格納部、データ格納部から取出したデータを元にヒストグラムやスキャッタグラムを作成して粒子を分類・計数するデータ処理部から構成される。
【0020】
この他、データ処理部によるデータ処理結果を表示する表示部を備えてもよい。表示部にはCRTやLCDなどを用いることができる。また、上記各部の動作・設定を制御する制御部を備えてもよい。
【0021】
パラメータ抽出部は、検出部により検出されたパルス信号から、各粒子の特徴を反映するパラメータとして波高値やパルス幅などを抽出するが、波高値の抽出にはピークホールド回路を、パルス幅の抽出にはカウンタ回路を用いることができる。パルス信号は、各回路に設けられたコンパレータによって予め設定された閾値と比較され、閾値を超えている期間につき粒子を検出した信号として波高値やパルス幅が抽出される。図4に示したパルス信号において、t1からt2の間が閾値(Th)を超えている期間であり、それがパルス幅(W)となる。またこの期間中で最も高い信号レベルが波高値(P)とされる。
【0022】
検出部に光学式の検出器を用いた場合、散乱光や蛍光等がパルス信号として検出される。散乱光のパルス信号(以下、散乱光信号ともいう)において波高値は粒子の大きさを、パルス幅は粒子の長さを反映する。また粒子が蛍光染色された有核細胞などの場合などには蛍光も検出できる。蛍光のパルス信号(以下、蛍光信号ともいう)において波高値は核等の染色度合いを、パルス幅は蛍光染色部分の長さを反映する。検出部に電気抵抗式の検出器を用いた場合には電気抵抗の変化がパルス信号として検出される。この場合、パルス信号の波高値を、粒子の体積を反映した情報として利用できる。
【0023】
すなわち、散乱光信号や電気抵抗のパルス信号においては、その波高値が粒子のサイズを直接表すパラメータとなるので、小さい粒子を検出した場合は波高値が小さくなり、大きい粒子を検出した場合は波高値が大きくなる。例えば、測定対象の尿試料中に細菌と白血球が混在している場合、小さな粒子である細菌は波高値の小さなパルス信号として検出され、細菌よりも大型の粒子である白血球は、細菌のパルス信号よりも波高値の大きなパルス信号として検出される。
【0024】
パラメータ抽出部で抽出された各パラメータのデータは、一時的にデータ格納部に格納される。その後、データ格納部から取出されたデータはデータ処理部に送られ、そこでパラメータ空間における分布データF(X)に変換される。分布データはパラメータX1,X2,…,Xnから必要に応じて選択されたm個のパラメータX1,X2,…,Xmにより規定されるm次元特徴パラメータ空間の座標(X1,X2,…,Xm)における度数F(X1,X2,…,Xm)として形成される。そこでパラメータX1,X2,…,Xmを軸とする度数分布図(ヒストグラムおよびスキャッタグラム)が作成され、それに基づき検体中の各粒子の分類・計数がなされる。
【0025】
本発明の粒子分析装置は、一検体の分析をするに際して第1の検出と第2の検出を行い、第1の検出により検出される粒子の分析結果に基づいて、第2の検出における検出条件の設定を行う。
【0026】
ここで、第1の検出により検出される粒子の分析結果としては、粒子の個数、例えば試料液(ここでは尿とする)に含まれる細菌の個数が用いられてもよい。これに基づき、第2の検出における粒子の検出条件が自動的に設定される。それは例えば、第2の検出において粒子を検出するための閾値を切換えることであってもよい。
【0027】
検出される粒子の閾値は、必要に応じて高く設定されたり、低く設定されたりする、というように切換え制御されてもよい。パラメータ抽出部においてはパルス信号がコンパレータにより閾値と比較され、閾値を超えた場合に粒子を検出した信号として波高値やパルス幅を抽出する。そこで、波高値の大きいパルス信号と小さいパルス信号が混在する場合に、コンパレータにおける閾値を低く設定すれば(図5のThα参照)、多くのパルス信号を検出し、高く設定すれば(図5のThβ参照)、波高値の小さいパルス信号は無視され、大きいパルス信号のみがパラメータ抽出の対象となる。
【0028】
そこで例えば、第1の検出により検出される粒子の分析結果に基づき、第2の検出では大きいパルス信号から抽出されたパラメータのみを分析すればよい、と判断した場合には、第2の検出において閾値を高く設定することになる。そうすれば小さいパルス信号については検出されないのでパラメータが抽出されず、データがデータ格納部に格納されないため、データ格納部のメモリに負担がかからないで済む。
【0029】
このような閾値の制御は、パラメータ抽出部のコンパレータの設定を切換えるよう制御することにより実現する。一方、コンパレータにおける閾値は通常値にしておき、データ格納部のデータ取り込み条件として閾値を設定し、この切換えを行うようにすることでも実現できる。
【0030】
また本発明において、第1の検出により検出される粒子の個数に基づいて、流体系等の他系統を制御するよう構成してもよい。例えば、第1の検出により検出される粒子の個数に基づいて、洗浄動作を制御するようにしてもよい。また、第1の検出により検出される粒子の個数が所定の数より多い場合は、第2の検出を行わないよう制御してもよい。第1の検出により検出される粒子、例えば尿中の細菌の個数があまりにも多過ぎると分析部が判断した場合は、第2の検出はもはや行わず、次検体の測定に移行するようにしてもよい。その際、当該検体が異常検体である旨を表示部に表示するようにしてもよい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の粒子分析装置について、検出部に光学式の検出器を用いた実施例をもって説明する。なお、本発明がこの実施例に限定されるわけではない。
【0032】
図1は粒子分析装置の要部構成を示す説明図であり、各種光学部品からなる検出部に流体系が接続されてなるものである。1および2は弁、3は試料液容器(図示せず)から希釈・染色などの前処理がなされた試料液を吸引する吸引ノズル、4はシリンジ、5はフローセル、5aはフローセル5内のオリフィス(細孔)、6は試料ノズル、7は弁、8はシース液容器、9はフローセル5を通過した試料液とシース液を排出する廃液口である。
【0033】
また、10はアルゴンレーザ光源、11はコンデンサレンズ、12はビームストッパ、13はコレクタレンズ、14はピンホール、15はダイクロイックミラー、16はフィルタ、17はフォトマルチプライヤチューブ、18はフォトダイオード、19は試料ノズル6から吐出される試料液流、20はピンホール14を有する遮光板である。
【0034】
このような構成において、まず、弁1・2を所定時間開けると、陰圧により吸引ノズル3から試料液(この実施例では尿中有形成分を含む試料液)が弁1・2の間に満たされる。
【0035】
次に、シリンジ4が一定流量で弁1・2間の試料液を試料ノズル6へ押し出すことにより、試料ノズル6から試料液がフローセル5に吐出される。それと同時に弁7を開けることにより、フローセル5にシース液が供給される。これによって試料液はシース液に包まれ、さらにオリフィス5aによって細く絞られてシースフローを形成する。
【0036】
このようにシースフローを形成することで、試料液に含まれた粒子をオリフィス5aに一個ずつ一列に整列させて流すことができる。オリフィス5aを通過した試料液とシース液は排液口9から排出される。
【0037】
一方、オリフィス5aを流れる試料液流19へアルゴンレーザ光源10から発振したレーザ光がコンデンサレンズ11で楕円形に絞られて照射される。その楕円形のサイズは、試料の流れの方向には被験粒子径と同程度、例えば10μm前後であり、試料の流れ方向と直交する方向には被験粒子径より十分大きく、例えば100〜400μm程度である。
【0038】
試料液中の粒子に当たらずそのままフローセル5を透過したレーザ光はビームストッパ12で遮光される。レーザ光を受けた粒子から発せられる前方散乱光及び前方蛍光はコレクタレンズ13により集光され、遮光板20のピンホール14を通過する。そして、ダイクロイックミラー15に到達する。
【0039】
散乱光より長波長の蛍光はそのままダイクロイックミラー15を透過し、フィルター16でさらに散乱光が除かれた後にフォトマルチプライヤチューブ17で検出され蛍光信号21(パルス状のアナログ信号)として出力される。また、散乱光はダイクロイックミラー15で反射されフォトダイオード18で受光されて散乱光信号22(パルス状のアナログ信号)として出力される。
【0040】
分析部は前述の図2に示した通りの構成であり、パラメータ抽出部、データ格納部、データ処理部、制御部、表示部を有する。
【0041】
図3は、前述のようにして得られた蛍光信号21および散乱光信号22を処理するパラメータ抽出部のブロック図であり、増幅器23・24、直流再生回路25・26、コンパレータ27・29、ピークホールド回路28・30、クロックゼネレータ31、カウンタ32・34、A/D変換器33・35、およびカウンタ用制御回路36を備える。
【0042】
次に、このような構成におけるパラメータ抽出動作の概要を説明する。散乱光のパルス信号22は増幅器24で増幅され、直流再生回路26で直流レベルが固定される。直流再生回路26から出力されるパルス信号はコンパレータ29において、閾値Th(図4参照)と比較される。散乱光発光の最大値が閾値Thより大きいとピークホールド回路30にとらえられて、A/D変換器35によってA/D変換されて波高値が得られる。 あわせて、閾値Thを超える期間がカウンタ34により散乱光発光時間、すなわち散乱光信号のパルス幅として計時される。
【0043】
蛍光信号からも、散乱光信号と同様の回路により波高値・パルス幅が抽出される。
【0044】
デジタル化された各カウンタ32・34およびA/D変換器33・35の出力信号は、一時的にデータ格納部に格納され、その後データ処理部に送られ粒子の弁別処理が行われる。つまり、分布図(ヒストグラムやスキャッタグラム)に基づいて細菌、白血球、赤血球などの分類が行われる。そして分類された粒子はカウント(計数)され、試料1マイクロリットル当たりの数に換算される。また、その結果は各種分布図と共に表示部に表示される。
【0045】
以下、本発明の分析制御動作について説明する。検体としては、臨床的に測定のニーズが高い細菌と白血球とが含まれた尿を例にして、散乱光信号を用いた分析につき詳述する。
【0046】
上述の粒子分析装置で、尿検体は所定の染色・希釈処理を施された試料液に調製される。その後試料液が試料ノズル6より押し出され、シース液に包まれてオリフィス5aによって細く絞られ、シースフローが形成される。シースフローが形成されると、レーザ光を受けた粒子から発せられる散乱光がフォトダイオード18で散乱光信号として検出され、分析部によって粒子の弁別処理を行うための信号処理がなされる。
【0047】
以下、図5をもって説明する。シースフローが形成されている間において、所定の時間を第1の検出の時間として、粒子の検出が行われる。この第1の検出により検出される信号のうち粒子を検出した信号としてパラメータを抽出するための閾値は、コンパレータによって、白血球のみならず細菌をも取り込むような小さな値(以下この閾値をThαという)に設定されている。つまり、閾値がThαに設定されている場合は、白血球のみならず細菌をも検出するということになる。パラメータ抽出部を経てデータ格納部に格納された信号は、データ処理部において細菌と白血球とに分類されて、両者の個数(濃度)が求められる。
【0048】
上記第1の検出の信号を分析した後、シースフローが引き続き形成されている間の所定の時間を第2の検出の時間として、粒子の検出が行われる。この第2の検出での信号処理では閾値を、前記Thαと、白血球は取り込むが細菌は取り込まないような大きな値(以下この閾値をThβという)と、のいずれかに切換える制御が制御部によってなされる。
【0049】
前記データ処理部での分析結果に基づき、第1の検出により検出された粒子の分析結果として細菌が非常に多い尿であると判定されれば、その情報がデータ処理部から制御部にフィードバックされ、第2の検出では閾値をThβに切換えるよう制御部がパラメータ抽出部に信号を発し、制御する。これにより、第2の検出ではもはや細菌の検出を行わず、白血球のみが検出される。逆に細菌の少ない尿であると判定されれば、第2の検出では閾値をThαのままにして、細菌と白血球の両方を検出するように制御される。
【0050】
以下、分析容量が原試料である尿に換算して0.1μL/秒に構成される粒子分析装置において、第1の検出の時間を1秒間に、第2の検出の時間を40秒間に設定して説明する。
【0051】
10個/μLの細菌が含まれている検体の場合、第1の検出時間によってデータ格納部には細菌10個の信号の分析に十分な信号数が格納されるが、この検体に白血球が10個/μL含まれているとしても、第1の検出時間では1個の検出となってしまう。このように、細菌の濃度が高い検体を測定した場合には、濃度が低い白血球は実質的な解析数が非常に少なくなってしまうために見逃される危険性がある。全ての粒子の解析ができるのであれば差し支えないが、前述の通り、データを蓄積するメモリーには限りがあるため自由に分析容量を増やすことはできない。そこで、第1の検出において細菌の濃度が高い検体であると判断された場合には閾値の切換えがなされる。細菌に関するデータを抽出せず、白血球のデータのみを抽出する第2の検出では、白血球を40個検出することとなり、分析結果の信頼性が高まる。
【0052】
上記の場合、細菌の濃度は第1の検出の時間における流量より、白血球の濃度は第1の検出及び第2の検出の時間の合計の流量より求められる。
【0053】
第2の検出での閾値はThαかThβのいずれかにずっと固定するだけではなく、第2検出の途中でThαからThβへ切換えるようにも制御される。この場合、第1の検出により検出される細菌の個数が多いほど、第2の検出においては閾値がThαである時間、すなわち細菌を検出する時間が短くなるように、閾値が切換え制御される。
【0054】
例えば第2の検出のうち、最初の30秒間は閾値Thαとして、残り10秒間は閾値Thβに閾値を切換え制御する。この閾値切換え時が第1の検出の時間で検出された細菌の個数に応じて自動的に決定される。
【0055】
このように、細菌の分析については必要以上の個数を抽出・格納しないようにしてメモリー等への負担を軽減し、個数の少ない白血球については分析量を十分にとるようにして数え落としが生じることを防ぐことができる。
【0056】
なお、本実施例では細菌と白血球との分類だけであるので、散乱光信号の波高値のみで分類することが可能であるが、尿中にはその他様々な有形成分が存在し、散乱光信号の波高値だけでは分類することができない場合もあり得る。その場合には、散乱光信号のパルス幅、さらに蛍光信号の波高値やパルス幅を用いて分類を行うことが知られているので、そのような分析装置にも本発明を適用することができる。
【0057】
ところで、異常な高濃度検体を測定した場合、高濃度検体が流体回路内に残留して次の測定に影響を及ぼし、正常な低濃度検体を異常検体と判定することがある。これを防ぐためには洗浄時間を通常より長くしたり、洗浄液量を増加させる必要がある。
【0058】
そこで、上記の本発明実施例において、第1の検出により検出された細菌の個数に基づき、検体毎に最適な洗浄動作が選択されるよう構成した粒子分析装置を以下に説明する。なお、上記実施例においては、吸引ノズル3からの洗浄液吸引やシース液容器8からのシース液排出、それらに伴うフローセル廃液口6からの液排出などにより、流体回路内において検体と接触する可能性のある箇所を洗浄することが可能である。
【0059】
上記実施例の粒子分析装置は一検体に対する分析を終えると、次検体の分析に備え流体回路内を洗浄する。このようなシーケンスの概略を図6に示す。本粒子分析装置の洗浄動作には、通常洗浄モードと強化洗浄モードの2通りがある。強化洗浄モードによる洗浄動作は通常洗浄モードによる洗浄動作に比べ時間が長く、使用される洗浄液の量も多い。
【0060】
第1の検出における粒子の分析結果により、細菌の個数が多い尿検体であると判断された場合には、強化洗浄モードを選択するよう制御部から信号が発せられ、装置の流体系が制御される。そして第2の検出における検出が終了すると、先程選択された強化洗浄モードにより流体回路が洗浄される。これにより、細菌の多い検体を測定した場合でも、それに応じた十分な洗浄処理がされるため、次検体の分析に悪影響を与えない。
【0061】
この際、細菌の個数が極めて多い尿検体の場合は、第2の検出を行わずシースフロー形成を中止することも設定できる。これは強化洗浄モードによっても十分な洗浄が難しいと判断するような場合に有効である。
【0062】
第1の検出により検出された粒子の分析結果により、細菌の個数が少ない検体であると判断された場合には、通常洗浄モードを選択するよう制御部から信号が発せられ、装置の流体系が制御される。そして第2の検出が終了すると、先程選択された通常洗浄モードにより流体回路が洗浄される。
【0063】
このように、検体中の細菌の個数に基づき、各検体毎に洗浄モードを判断して洗浄動作を行うことで、全ての検体に対して長時間・多量の洗浄液を用いた洗浄動作を行う必要がなくなる。また、異常検体の場合には強化洗浄選択モードが選択されるので、試料残留による次検体への影響を防ぐことができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の粒子分析装置によれば、尿中の細菌と他の有形成分とのように種類によって個数が著しく異なる複数種類の粒子を含む検体を測定対象として一度に測定する粒子分析装置において、限られたコスト・処理能力の中で精度良く分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の要部構成を示す説明図である。
【図2】実施例の分析部の構成を示すブロック図である。
【図3】実施例のパラメータ抽出動作を説明する説明図である。
【図4】パルス信号、閾値、パラメータの関係を説明する説明図である。
【図5】実施例において分析条件の設定を説明する説明図である。
【図6】実施例の動作シーケンスを示した概略図である。
【符号の説明】
1 弁
2 弁
3 吸引ノズル
4 シリンジ
5 フローセル
5a オリフィス
6 試料ノズル
7 弁
8 シース液容器
9 廃液口
10 アルゴンレーザ光源
11 コンデンサレンズ
12 ビームストッパ
13 コレクタレンズ
14 ピンホール
15 ダイクロイックミラー
16 フィルタ
17 フォトマルチプライヤチューブ
18 フォトダイオード
19 試料液流
20 遮光板
21 蛍光信号
22 散乱光信号

Claims (5)

  1. フローセルを流れる試料液から各粒子の形態上の特徴を表す情報を信号として検出する検出部と、検出された信号に基づいて粒子を分析する分析部と、を備えた粒子分析装置であって、前記フローセルにおいて一試料が試料流を形成している間に第1の検出と第2の検出を行い、第1の検出により検出される粒子の分析結果である粒子の個数に基づいて、第2の検出における検出条件として粒子を検出するための閾値の設定を行うことを特徴とする粒子分析装置。
  2. 前記粒子を検出するための閾値が、前記第1の検出において細菌を検出するよう設定されることを特徴とする請求項1に記載の粒子分析装置。
  3. 前記第1の検出により検出される粒子の個数に基づいて、洗浄動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の粒子分析装置。
  4. フローセルを流れる試料液から各粒子の形態上の特徴を表す情報を信号として検出する検出部と、検出された信号に基づいて粒子を分析する分析部と、を備えた粒子分析装置であって、前記フローセルにおいて一試料が試料流を形成している間に第1の検出と第2の検出を行い、第1の検出により検出される粒子の分析結果である粒子の個数が所定の数より多い場合は、前記第2の検出を行わないよう制御することを特徴とする粒子分析装置。
  5. さらに表示部を備え、前記試料液に用いられた検体が異常検体である旨を表示部に表示することを特徴とする請求項に記載の粒子分析装置。
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