JP4655327B2 - ドラムミキサー散水方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドラムミキサーの散水方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鉱石を所定サイズに破砕、整粒する際に発生する粉鉱石は、焼結鉱にして高炉原料として使用する。粉鉱石から焼結鉱を製造するには、粉鉱石に3〜5%の粉コークスおよび媒溶材等を配合し、5〜10%の水分に調整して焼結機に装入する。原料の表面のコークスに点火し、下向き吸引することで原料中の粉コークスが急速に燃焼して焼結が行われる。燃焼帯が原料層の下層に到達することで焼結が終了し、これを徐冷却後、破砕、ふるい分けして高炉装入に適した粒度に整粒して焼結鉱とする。
【0003】
前記原料は1次ドラムミキサー(以下、ミキサーという)にて、所定の水分となるように添加され、混合、造粒される。図8は、このミキサーの散水装置を示している。この散水装置は、散水管4と散水管の吊りワイヤー6からなっており、その詳細は以下のようになっている。図において、1はミキサー、2はドラムで、これは装入側から排出側にゆるく下り傾斜しており、図示しない受けローラおよびスラスト受けローラで回転可能に支持され、ガースギヤおよびピニオンによって回転せられる。7はミキサー1供給部に原料を供給するベルトコンベアである。ミキサー1外部の装入側と排出側にワイヤー取付けブラケット3a,3bが設けられており、取付けブラケット3aに吊りワイヤー3の一端が締結され、ミキサー1の内部、中央上方を通って他端が取付けブラケット3bに締結されている。排出側からベルトコンベア7の手前ま延びている散水管4は、複数個の支持金具によって、前記吊りワイヤー3で吊り下げられている。散水管3には、図8に示すように、原料の転動部8の原料に散水するための複数個の散水ノズル10〜10が、その噴射口が斜め下向きになるように取付けられている。散水管4には、排出側から給水管4aから散水用水が供給されるようになっている。
【0004】
原料の入ったミキサー1が回転中、原料の一部がドラム2の天頂部まで運ばれ、そこで剥離して落下する。この落下原料が散水管4に堆積しないように、散水管4上部に屋根上のフード6が配設されている。
【0005】
また、上記の散水装置は、「▲1▼散水により混合を阻害するドラムミキサー上流側の原料混合領域にも散水していること。▲2▼ドラムの周方向において散水ノズルの向きが全て下向きであり、原料が周方向に掻き揚げ移動する始点部分に散水が集中し、均一に調湿ができないこと。」により、混合原料の水分のバラツキが大きく、造粒にも影響を与え焼結歩留りを下げていることが分かった。
【0006】
また、混合原料水分を目標水分に精度よく制御する方法が、特開平8−41552号で提案されている。これは、ドラムミキサーにおける持ち込み水分変動に与える影響の大きい原料の原料槽を選択し、選択した原料槽に水分検出器を設置して原料水分を実測し、これら水分検出器からの水分検出情報をドラムミキサーの水分制御装置へフィードフォワードすることにより水分制御精度を向上させようとするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、散水管のフード6には、前述の落下原料が図9のように堆積する。この堆積量が限度を超えると、フード6が破損し、落下してミキサー1の運転が不可能になり、焼結工場の操業を停止させることになる。このような事故を防ぐために、定期修理時にフード上の堆積物を清掃している。この清掃作業は、図8に示すように、二人の作業者11がドラム2の中に入り、ハンマーまたはバール(突き棒)で行っている。この作業を安全に行うことは難しく、過去に清掃作業中、大塊が雪崩の如く落下して作業者がその下敷きとなり死亡した例もある。このため、このような清掃作業を無くすことが強く要望されている。
【0008】
一方、特開平8−41552号の方法は、原料の持ち込み水分変動に大きな影響を与える原料槽に、水分検出器を設けて原料水分を実測するから、原料水分の変動に応じた散水量制御ができるものの、従来の散水装置を使用しているため、上述の「▲1▼原料混合領域に散水する。▲2▼ドラムの径方向において、原料が周方向に掻き揚げ移動する始点部分に散水が集中する。」という問題点は解決されないから、混合原料水分のバラツキを減少させることはできない。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ミキサー内部に作業者入って行う散水装置の清掃作業を無くし、かつ、原料の水分のバラツキを減少させることができる散水方法および装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を、以下の装置および方法によって達成する。
本発明の基本となる方法は、ドラムミキサーにおける原料散水方法であって、ドラムミキサーの原料装入側と排出側のそれぞれに散水装置を配設し、ミキサーの長さ方向任意の領域に散水を散布するドラムミキサー散水方法である。
【0011】
この方法によれば、散水装置の散水吐き出し口、散水圧力を変えることによってミキサー長さ方向の任意の領域に散水を散布することができる。すなわち、原料の性状に合わせて調湿部を変えることができる。
【0012】
請求項1の方法は、本発明の基本となる方法において、ドラムミキサーの原料装入側にノズルを有する散水管を設け、原料排出側にノズルを有する散水管を設け、ドラムミキサー長さ方向に、上流領域の原料混合部、中央領域の原料調湿部、下流領域の原料造粒部の3つの領域からなり、前記散水管のノズルからドラムミキサー長さ方向中央領域のみに散水を散布することを特徴とするドラムミキサー散水方法である。
【0013】
請求項2の装置は、ドラムミキサーの原料装入側にノズルを有する散水管を設け、原料排出側にノズルを有する散水管を設け、ドラムミキサー長さ方向に、上流領域の原料混合部、中央領域の原料調湿部、下流領域の原料造粒部の3つの領域からなり、前記散水管のノズルからドラムミキサー長さ方向中央領域のみに散水を散布することを特徴とするドラムミキサー散水装置である。
【0014】
この装置によれば、各散水ノズルのドラム径方向における散水範囲が重ならにように散布することができる、すなわち、ドラム径方向の原料流動範囲に広く、均一に散水を散布できるから、従来装置における原料が周方向に掻き揚げ移動する始点部分に散水が集中することによる混合原料水分がバラツくという問題を解決することができる。
【0015】
この発明は、原料装入側と排出側のそれぞれに散水装置を配設し、ドラム長さ方向における中央領域に散水を散布するから、特定領域が原料の調湿部となる。そして、調湿部の上流領域が原料の混合部となり、下流領域が原料の造粒部となる。これにより、原料は上流の混合部で混合された後で、中流の調湿部で調湿され、下流で造粒されるから、従来のように、混合工程、調湿工程および造粒工程を同時併行して行うものに比べて、各工程が効率よく行われ、結果として原料水分のバラツキが少なくなる。
【0016】
また、装入側散水装置および排出側散水装置とも、支管をドラム内部に挿入し、散水を支管先端のノズルからドラム中央領域に向けて散布するように構成してあるから、ドラム内部の支管長さは短いもの(ドラム長が14mのドラムの場合、支管の長さは1.6m〜2.0m)でよい。これにより、支管および支管の釣支手段に落下原料が堆積しても、ドラムの外から突き棒等で簡単に清掃、除去することができるから、従来ように作業者がドラム内に入って行う危険な作業が無くなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は、ミキサーにおける本発明に係る散水装置の配置を示す側面図、図2は、ミキサーにおける本発明に係る散水装置の配置を示す平面図である。図において、2はドラム、7はドラム2の装入側にヘッドプーリーを挿入して配設されたベルトコンベアである。本発明においては、ドラム2の装入側に散水装置15を、排出側に散水装置25を配設している。
【0018】
そして、ドラム2の長さ方向において、散水装置15の散水が、特定領域(中央領域およびその前後領域)の装入側寄りの原料に散布されるように散水装置15を設け、散水装置25の散水が、排出側よりの特定領域(中央領域およびその前後領域)の原料に散布されるように散水装置25を設けている。さらに、図3に示すように、ドラム2の周方向においては、散水装置15の散水が、原料8層の下部の領域R1に散布され、散水装置25の散水が領域R1より上部にある上部領域R2に散布されるようになっている。即ち、装入側に設けた散水装置15の散水の散布領域と排出側に設けた散水装置の散水の散布領域が重ならないようにしている。
【0019】
図1に示すように、ベルトコンベヤ7で供給された原料8は、ドラム2の装入側下部に落下後、ドラム2の回転と傾斜によって、図3に示すように、ドラム2円周内壁に沿ってドラム中心レベルまで上昇した後上昇する原料表面に沿って流れ落ちる上昇・流れ落ち動作を繰り返しながら、排出側に移動し下流のベルトコンベア12上に排出される。
【0020】
次に、各散水装置の詳細について説明する。図4は、装入側散水装置15の平面図、図5は、その側面図である。図において、16は給水管であり、この給水管16の途中には、給水の供給をオン・オフするオン・オフ弁(図示せず)が設けられている。給水管16は、図1に示すように、ドラム2の外部に設けた支柱30に固定されている。給水管16の先端に、ドラムの入口固定フード22に沿わせて水平に、ヘッダー管17が取付けられている。このヘッダー管17に、3本の支管18a,18b,18cがドラム排出側に向けて取付けられており、これら支管の先端にはそれぞれノズル20a,20b,20cが取付けてある。支管18a〜18cには、初期の流量を調節するための弁19a〜19bが設けられている。そして、支管18a〜18cは、入口固定フード22に一端を固定したチェーン21〜21により釣支され、ダストの付着成長による支管の垂れ下がりを防止している。
【0021】
図6は、排出側散水装置の平面図、図7は、その側面図である。排出側散水装置25は、配管の都合上2本の独立した給水管26a,26bから給水するようにしている。給水管26a,26bの先端に、それぞれ支管28a,28bが取付けられ、それらの先端にはノズル29a,29bが取付けられている。そして、支管28a,28bは、ドラム2の外部に設けられた支柱31に固定されている。これらの支管は、装入側支管と同様に、支柱31に一端を固定したチェーン32、32により釣支され、ダストの付着成長による支管の垂れ下がりを防止している。
【0022】
装入側散水装置15と排出側散水装置25は、通常、両方が原料の水分調整のために使用されるが、原料流量が少ない場合は、装入側散水装置15のみを使用して水分調整を行う。
【0023】
図1に戻って、前述したように、装入側散水装置15と排出側散水装置25による原料への散水の散布は、長さ方向においてドラム2の特定領域の原料8に対して行われる。このことにより、散水散布がなされる特定領域が原料の調湿部、調湿部の上流領域が原料の混合部、調湿部の下流領域が原料の造粒部となる。このように、供給される原料を混合した後で調湿し、調湿後に造粒を行えば、従来散水装置の混合工程、調湿工程および造粒工程を同時に行うものに比べて、ミキサーに必要な各工程が効率良く行われ、結果として、原料水分のバラツキを減少させることができる。
【0024】
表1は、原料(焼結原料)について、従来の散水方法を実施したときと本発明の散水方法を実施したときの焼結諸元の比較を示したものである。本発明散水方法を採用すれば、「▲1▼混合原料水分のバラツキが大幅に減少する。▲2▼原料の造粒性が向上する。▲3▼焼結機に装入される原料の通気性(JPU)が向上する。▲4▼▲1▼〜▲3▼により、生産量が増加し、返鉱原単位が減少する。」という効果が得られることが分かる。
【0025】
【表1】
【0026】
また、本発明の装入側散水装置および排出側散水装置とも、支管をドラム内部に挿入し、散水を支管先端のノズルからドラム中央領域およびその前後領域に向けて散布するように構成してあるから、ドラム内部の支管長さは短いもの(ドラム長が14mのドラムの場合、支管の長さは1.6m〜2.0m)でよい。これにより、支管およびチェーンに落下原料が堆積しても、ドラムの外から突き棒等で簡単に清掃、除去することができるから、従来ように作業者がドラム内に入って行う危険な作業が無くなる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、原料は上流の混合部で混合された後で、中流の調湿部で調湿され、下流で造粒されるから、従来のように、混合工程、調湿工程および造粒工程を同時併行して行うものに比べて、各工程が効率よく行われ、結果として原料水分のバラツキが少なくなる。
【0028】
また、装入側散水装置および排出側散水装置とも、支管をドラム内部に挿入し、散水を支管先端のノズルからドラム中央領域またはその前後領域に向けて散布するように構成してあるから、ドラム内部の支管長さは短いものでよい。これにより、支管および支管の釣支手段に落下原料が堆積しても、ドラムの外から突き棒等で簡単に清掃、除去することができるから、従来ように作業者がドラム内に入って行う危険な作業が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミキサーにおける本発明散水装置の配置を示す側面図である。
【図2】ミキサーにおける本発明散水装置の配置を示す平面図である。
【図3】図1のA矢視図である。
【図4】本発明に係る装入側散水装置の平面図である。
【図5】本発明に係る装入側散水装置の側面図である。
【図6】本発明に係る排出側散水装置の平面図である。
【図7】本発明に係る排出側散水装置の側面図である。
【図8】従来の散水装置を示す縦断面図である。
【図9】従来散水装置における散水管フードの堆積物清掃作業の説明図である。
【符号の説明】
1 ミキサー
2 フード
3 吊りワイヤー
4 散水管
5 ノズル
6 フード
7 ベルトコンベア
10 ノズル
12 ベルトコンベア
15 散水装置(装入側)
16 給水管
17 ヘッダー管
18a,18b,18c 支管
19a,19b,19c 弁
20a,20b,20c ノズル
21 チェーン
22 固定フード
25 散水装置(排出側)
26a,26b 給水管
28a,28b 支管
29a,29b ノズル
31 支柱
32 チェーン
Claims (2)
- ドラムミキサーにおける原料散水方法であって、ドラムミキサーの原料装入側にノズルを有する散水管を設け、原料排出側にノズルを有する散水管を設け、ドラムミキサー長さ方向に、上流領域の原料混合部、中央領域の原料調湿部、下流領域の原料造粒部の3つの領域からなり、前記散水管のノズルからドラムミキサー長さ方向中央領域のみに散水を散布することを特徴とするドラムミキサー散水方法。
- ドラムミキサーの原料装入側にノズルを有する散水管を設け、原料排出側にノズルを有する散水管を設け、ドラムミキサー長さ方向に、上流領域の原料混合部、中央領域の原料調湿部、下流領域の原料造粒部の3つの領域からなり、前記散水管のノズルからドラムミキサー長さ方向中央領域のみに散水を散布することを特徴とするドラムミキサー散水装置。
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