図1は本発明が適用されたP型火災報知システムのブロック図である。図1において、受信機1からは感知器回線2−1,2−2,2−3が引き出され、それぞれ自動試験部を備えた火災感知器3−1,3−2,3−4を終端抵抗Rと共に接続している。感知器回線2−1〜2−3に接続される火災感知器3−1〜3−4としては、煙感知器、熱感知器などの各種の火災感知器を接続することができる。
尚、この実施形態にあっては説明を簡単にするため受信機1から感知器回線2−1〜2−3には4台の火災感知器3−1〜3−4を接続した場合を例にとっているが、実際のP型火災感知報知設備にあっては、感知器回線1回線あたりに接続できる火災感知器の台数は、例えば32台あり、また受信機1に接続できる感知器回線の系統は、例えば20系統というように大規模なシステムとなる。
受信機1からは、試験回線4−1,4−2,4−3が引き出されている。試験回線4−1〜4−3は試験線Tとループバック線LBで構成される。例えば試験回線4−1を例にとると、試験線Tは感知器回線2−1に接続している4台の火災感知器3−1〜3−4に設けられた自動試験部として機能する後の説明で明らかにする点検回路に接続されている。
受信機1にはMPU5が設けられ、MPU5に対しては操作部8、警報表示部9、地区表示部10、移報出力部11及びメモリ12が設けられている。MPU5の感知器回線側には回線単位に受信回路部6−1,6−2,6−3が設けられ、それぞれ感知器回線2−1〜2−3が引き出されている。またMPU5の感知器回線側には試験制御部7−1,7−2,7−3が設けられ、それぞれ試験回線4−1,4−2,4−3が引き出されている。
受信回路部6−1〜6−3は感知器回線2−1〜2−3に接続している火災感知器3−1〜3−4の火災発報により送信される発報電流を受信し、発報受信信号をMPU5に出力する。受信回路部6−1〜6−3に対応してMPU5には受信制御部13がプログラム制御による機能として設けられている。
受信制御部13は受信回路部6−1〜6−3の発報受信信号を順次読込み、回線単位に火災を判別して警報表示、即ち火災代表表示と地区表示(発報回線表示)を行なう。
試験制御部7−1〜7−3はMPU5にプログラム制御の機能として設けられた試験命令部14からの試験指示を受けて試験線Tに対し、例えば24Vの試験電圧信号を出力する。例えば試験制御部7−1を例にとると、試験制御部7−1が試験回線4−1の試験線Tに対し24Vの試験電圧信号を出力すると、この試験電圧信号は、まず火災感知器3−1に供給され、火災感知器3−1に設けている自動試験部としての点検回路が動作し、火災検出動作に相当する擬似火災検出の試験動作を行なう。
試験動作により火災感知器3−1が試験発報すると、火災検出時と同様、感知器回線2−1に対し発報信号が出力され、これを受信回路部6−1で受信してMPU5に出力することで、MPU5の試験命令部14は感知器回線2−1の最初の火災感知器3−1が正常に試験発報したことを判別する。
火災感知器3−1で試験発報が行なわれて試験動作が正常に終了すると、試験発報に基づいて火災感知器3−1の点検回路が試験回線4−1をバイパスするスイッチ切替えを行い、これによって次の火災感知器3−2に24Vの試験電圧信号が供給され、自動試験が行われる。そして最後の火災感知器3−4で正常に試験動作が行なわれると、ループバック線LBに試験電圧信号が送出され、これが試験制御部7−1に戻ってくることで試験回線4−1に接続している4台の火災感知器3−1〜3−4の試験終了を確認できる。なお、試験制御部7−1による火災感知器3−1〜3−4の試験動作は予め定めた複数回連続して行なわれる。
本発明の試験命令部14にあっては、A系統、B系統、C系統の3系統に分けて引き出された感知器回線2−1〜2−3に接続された火災感知器3−1〜3−4について、例えば感知器回線2−1のA系統の火災感知器3−1〜3−4に試験開始を指示してから試験終了となる以前に、他の系統である例えばB系統の感知器回線2−2に接続している火災感知器3−1〜3−4に試験開始を指示するようにしている。
即ち、試験命令部14は、試験動作の際にはまず試験制御部7−1に試験開始を命令した後、その試験終了となる前に試験制御部7−2に試験開始を指示し、さらに試験制御部7−2で試験終了となる前に試験制御7−3に試験開始を指示する。その結果、試験制御部7−1〜7−3による火災感知器3−1〜3−4の試験動作が並行して実行されることになる。
また試験命令部14による火災感知器の試験は、
(1)受信機1の電源投入によるパワーオンスタート時、
(2)一定時間ごと、例えば1日1回の定期試験、
(3)保守試験時の点検操作
のいずれかによって行なわれる。
図2は図1の自動試験機能付の火災感知器の実施形態を示した回路ブロック図であり、散乱光式の煙感知器を例にとっている。図2において、火災感知器3は整流回路・ノイズ吸収回路15、スイッチング回路16、定電圧・電流制限回路17、作動表示灯24、制御回路部18、発振回路19、発光素子20、受光素子21、増幅回路22及び比較回路23で構成される。
ここで整流回路・ノイズ吸収回路15は、例えばダイオードブリッジ、ツェナーダイオート、コンデンサなどにより回線L、C間の電流を無極性化し、さらにノイズを抑える。定電圧・電流制限回路17は回線L,C上の過電流を防止するため、後段の回路部に対する供給電流を一定値に制限する。
通常監視時、発振回路19により発光素子20がパルス駆動され周期的に発光される。火災により煙が発生すると発光素子20からの光は散乱して受光素子21で光電流に変換され、増幅回路22で信号増幅された後、比較回路23に入力される。
比較回路23に入力した信号が規定値を超えている場合、発光素子20の発光周期に同期して制御回路部18でカウントを行い、所定カウント数に達した時に火災発報信号をスイッチング回路16に出力する。
スイッチング回路16は制御回路部18からの火災発報信号に基づいてスイッチングし、回線L、C間に発報電流を流すことで受信機1に対し火災発報信号を送信する。
火災感知器3には自動試験機能を実現するため、試験スイッチ部25と点検回路27が設けられている。試験スイッチ部25は抵抗R1、トランジスタQ1、抵抗R2及び試験用発光素子26で構成され、点検回路27からの試験電圧信号を入力してトランジスタQ1をオンし、試験用発光素子26を発光駆動するようにしている。
試験用発光素子26からの光は試験光として直接受光素子21に入射され試験光により火災と判断されるプリアラームに相当する散乱光の受光状態を擬似的に作り出している。
点検回路27は、スイッチ回路28、29、発報検出回路30及び強制復旧回路31で構成されている。スイッチ回路28は受信機1側からの入力試験線Tinを接続し、受信機1側から出力された24Vの試験電圧信号を受けると、試験スイッチ部25に試験電圧信号を出力してトランジスタQ1をオンすることで試験用発光素子26の点灯で試験動作を行なう。
試験スイッチ部25が正常に動作すれば、試験光による受光素子21からの受光信号を増幅回路22で増幅して比較回路23で規定値と比較すると、受光信号は規定値を超えることで比較回路23が出力し、制御回路部18で発振回路19による所定回数のカウントが行なわれたときに火災検出時と同様、試験に伴う発報検出信号をスイッチング回路16に出力し、スイッチング回路16が回線L,C間をスイッチングし、試験発報を検出した火災発報信号を受信機1に送出する。
また試験により火災発報信号を出力したスイッチング回路16の出力は点検回路27の発報検出回路30に与えられており、発報検出回路30が試験発報を検出するとスイッチ回路29を動作し、スイッチ回路28に加わっている24Vの試験電圧信号を次の火災感知器に対する出力試験線Toutに出力する。
また発報検出回路30による試験発報検出が行なわれると、この検出出力はスイッチ回路28にも与えられ、スイッチ回路28から試験スイッチ部25に対する試験電圧信号の出力が停止され、火災感知器3の試験動作を停止する。
強制復旧回路31は試験スイッチ部25による試験作動により正常に試験発報が行なわれなかった場合の強制復旧を行なう。この強制復旧は受信機1のMPU5に設けている試験命令部14に設けたタイマによる時間監視に基づいて行なわれる。即ち図1の受信機の試験命令部14にあっては火災感知器の試験開始と同時にタイマを起動し、タイマの設定時間以内に試験発報があればタイマをリセットして再スタートするが、設定時間に達する前に試験発報がなかった場合には試験を行なっている火災感知器の障害と判断し、試験制御部から試験回線の試験線Tに対し、例えば33Vの強制復旧電圧信号を出力する。
この受信機1から出力された強制復旧電圧信号を強制復旧回路31が判別すると、スイッチ回路28,29を試験発報の際と同様に動作し、入力した24Vの試験電圧信号をスイッチ回路28,29を介して次の火災感知器に送出すると共に、試験スイッチ部25に対する試験電圧信号の出力を停止する。
図3は図1のMPU5に設けた試験命令部14による火災感知器の試験動作の実施形態のタイムチャートである。
図3においては、図1の感知器回線2−1の系統をA系統、感知器回線2−2の系統をB系統、感知器回線2−3の系統をC系統とし、また各感知器回線2−1〜2−3に接続した4台の火災感知器3−1〜3−4のそれぞれをアドレス1〜4として示している。尚、アドレス1〜4は説明の都合上設定したものであり、実際に火災感知器にアドレスが割当てられているわけではない。
図3において、試験命令部14は、まずA系統に対し24Vの試験電圧信号を出力し、このため時刻t1からアドレス1で示す最初の火災感知器3−1の自動試験が開始される。この自動試験は図2に示した点検回路27及び試験スイッチ部25によって行なわれ、試験動作が正常に行なわれて試験発報が行なわれるとアドレス1の自動試験が終了し、次のアドレス2の火災感知器3−2の自動試験が行われ、以下同様にしてアドレス3、アドレス4の火災感知器3−3,3−4の自動試験が行われる。
一方、試験命令部14は時刻t1でA系統に試験開始を指示すると同時に、A系統の試験が終了する前に引き続いて時刻t2でB系統に対し24Vの試験電圧信号を出力して試験を開始させる。これによりB系統となる感知回線2−2に接続しているアドレス1〜4で示す感知器回線3−1〜3−4が順次自動試験を行う。
更に試験命令部14はB系統の試験終了以前に時刻t3でC系統となる感知器回線2−3に対し24Vの試験電圧信号を出力してアドレス1〜4で示す感知器回線3−1〜3−4の自動試験を行なわせる。
このような感知器回線で決まる系統につき、ある系統の試験開始を指示した後、試験が終了する前に次の系統に対し試験開始を指示することで、複数系統を並行して火災感知器の試験動作を行なうことができ、トータル的な試験時間を大幅に短縮することができる。
図4は図1の試験命令部による火災感知器の試験動作の他の実施形態のタイムチャートであり、試験命令部14は時刻t1でA系統、B系統及びC系統の全てに対し試験動作の開始を指示することを特徴とする。このように全系統について同時に試験開始を指示すれば、図3のように順次試験開始を指示した場合に比べ、更に全体的な試験時間を短縮することができる。
図5は図2の火災感知器3に設けた点検回路27による試験動作の詳細なタイムチャートである。図5において、時刻t1で図5(A)のように受信機1の試験命令部14より試験命令信号が出力されると、図5(D)のように試験線Tに対し24Vの試験電圧信号が出力される。
この24Vの試験電圧信号によりまずアドレス1の火災感知器が時刻t2で試験発報し、続いて復旧動作が行なわれる。この試験発報及び復旧動作のタイミングで受信機側に設けているタイマがリセットされ、再度スタートする。
アドレス1の感知器復旧により24Vの試験電圧信号は次のアドレス2の火災感知器に供給され、時刻t3で試験発報が行なわれた後に復旧する。次にアドレス3の火災感知器に24Vの試験電圧信号が供給されて、試験動作が開始された後、試験発報が感知器障害により行われなかったとする。
この場合には設定時間Tを経過した時刻t4で図5(D)で示す24Vの試験電圧信号に重畳して33Vとなる強制復旧電圧信号を試験線Tに出力する。これによって試験発報しなかったアドレス3の火災感知器の強制復旧が行なわれ、次のアドレス4の火災感知器に24Vの試験電圧信号が供給される。
アドレス4の火災感知器が正常に試験動作を行なって試験発報及び復旧動作を時刻t5,t6で行なうと、この復旧動作のタイミングで図5(E)に示すように受信機1に対しループバック線LBによりループバック電圧が戻り、これによって受信機1は1回の感知器試験動作が終了したことを認識し、試験動作を複数回設定することから次のアドレス1からの自動試験を同様にして行なうことになる。
図6は図1の受信機1による受信機処理のフローチャートである。図6において、電源投入に伴いステップS1で初期設定が行なわれた後、ステップS2で試験の有無をチェックしており、試験でない通常時にあってはステップS3で回線発報を監視している。回線発報を判別した場合にはステップS4に進み、代表火災表示と回線に対応した地区表示を行なう。火災警報処理後はステップS5で火災復旧をチェックして、火災復旧処理が行なわれるとステップS2に戻ってステップS2,ステップS3の処理を行なう。
一方、受信機1の電源投入に伴うパワーオンスタート時や1日1回といった定期試験、或いは保守点検での点検操作などによる試験をステップS2で判別するとステップS6に進み、図3または図4のタイムチャートに示したように、複数の回線系統に対し重複して試験開始を指示する。
図7は図6のステップS6による試験制御処理のフローチャートである。図7において、試験命令部は試験制御部を介してステップS1で試験電圧信号を試験線Tに出力し、ステップS2でタイマをスタートする。続いてステップS3で試験発報の有無をチェックしており、試験発報があればステップS10で正常感知器と判別する。
ステップS3で試験発報がなかった場合にはステップS4で設定時間到達をチェックしており、設定時間に到達しても試験発報がなかった場合にはステップS5に進み、強制復旧電圧信号を試験線Tに出力して試験動作中の火災感知器を強制復旧させる。そしてステップS6で当該火災感知器を障害感知器と判別する。
ステップS10の正常感知器の判定またはステップS6の障害感知器の判定が済むとステップS7でループバック線LBによるループバック応答をチェックしており、ループバック応答が無かった場合にはステップS2に進み、再度タイマをスタートして第2の火災感知器に対する試験制御を行なう。
感知器回線に出力している最後の火災感知器の試験が終了するとループバック線LBから24Vの信号電圧が受信されることから、これによってステップS7でループバック応答を判別し、ステップS8で設定試験回数をチェックし、設定試験回数に達していなければステップS2に戻って最初から試験動作を行なわせる。設定試験回数に達していた場合にはステップS8からステップS9に進み、試験電圧信号の出力を停止して一連の試験制御を終了する。
尚、図1のP型の火災報知システムに設けている火災感知器3−1〜3−4の自動試験機能として図2の点検回路27による自動試験を例にとるものであったが、本発明はこれに限定されず、受信機1からの試験電圧信号により同じ感知回線に接続されている火災感知器を順番に試験動作するものであれば適宜の自動試験部を使用することができる。受信機1から火災感知器に送る試験電圧信号は、感知回線を介して各火災感知器に送るようにしてもよい。
図8は本発明が適用されたR型火災報知システムのブロック図である。図8において、受信機40から引き出された伝送路41−1,41−2,41−3に対しては、それぞれアナログ火災感知器42−1,42−2,・・・42−4と終端抵抗Rを接続している。
なお図8の実施形態にあっては、説明を簡単にするため、受信機40からA系統、B系統、C系統として伝送路41−1〜41−3を3系統について引き出し、各系統についてアナログ火災感知器42−1〜42−4を4台ずつ接続した場合を例に取っている。もちろん実際のR型システムにあっては、受信機40から適宜の数の伝送路が複数系統として引き出され、また各系統に接続できるアナログ火災感知器の数はアナログ火災感知器に設定可能なアドレス数、例えば127台接続できる。
また図8の実施形態にあっては、端末としてアナログ火災感知器を例にとっているが、これ以外にアドレス設定により転送機能を備えたオン、オフ火災感知器を感知器回線に接続している感知器用中継器や、地区ベル防排煙機器などの制御負荷を制御線に接続している制御用中継器などを接続することもできる。
受信機40にはMPU48が設けられ、MPU48に対しては、操作部51、警報表示部52、地区表示部53、移報出力部54、メモリ55が設けられている。またMPU48の伝送路側には、伝送路41−1〜41−3毎に伝送部50−1,50−2,50−3が設けられ、MPU48からの指示のもとにアナログ火災感知器42−1〜42−4との間で火災監視及び試験制御に必要な情報のやり取りを行っている。
受信機40のMPU48には、プログラム制御により実行される呼出制御部56、割込処理部57及び試験命令部58が設けられている。これに対応してアナログ火災感知器側には、伝送路41−1のアナログ火災感知器42−1に代表して示すように、呼出応答部44、割込制御部45及び試験制御部46が設けられている。
受信機40の呼出制御部56は、伝送路41−1〜41−3ごとに各端末に対し一連の端末アドレスを設定しており、例えばアドレス1〜127の127アドレスが使用可能である。受信機40の呼出制御部56は、端末アドレスを含むポーリングコマンドを使用して一定周期ごとに端末を順次呼び出し、端末情報を応答送信させるポーリングを行っている。
受信機40の呼出制御部56からのポーリングコマンドは火災感知器42−1の呼出応答部44で受信され、ポーリングコマンドに含まれる呼出アドレスと自己の端末アドレスとの照合一致が得られたときに、メモリに保持している端末情報が端末応答信号として受信機40に送信される。
ここで受信機40から端末に送信するポーリングコマンドは、コマンドフィールド、アドレスフィールド及びチェックサムで構成される。また端末からの応答信号は、データフィールドとチェックサムで構成される。このポーリングコマンド及び応答信号の伝送フォーマットは必要に応じて適宜の構成をとることができる。
更に受信機40の呼出制御部56は端末アドレスを指定したポーリング処理とは無関係に、一定周期で全端末に対し、検出信号をAD変換によりサンプリングしてメモリに同時刻で保持するためのサンプリングコマンド(一括AD変換コマンド)を送信する。このサンプリングコマンド(一括AD変換コマンド)は例えば1秒間隔で送信する。
アナログ火災感知器42−1の呼出応答部44は、受信機40からのサンプリングコマンドを判別すると、そのときの火災検出部による検出信号をAD変換して、メモリに検出データとして記憶保持する。メモリに記憶保持された検出データは、受信機40からの端末アドレスを指定したポーリングコマンドに対する応答信号の端末データとして送り返される。なおサンプリングコマンドによる検出信号の一括収集に限定されず、呼出信号を受けたときに検出信号をリアルタイムで端末データとして返送するようにしてもよい。
アナログ火災感知器42−1に設けた割込制御部45は、受信機40からのサンプリングコマンドに基づいて検出した検出信号のAD変換による検出データから火災を判断した場合には、火災発生を受信機40に直ちに知らせるために割込信号を送信する。割込制御部45による割込信号の送信は、受信機40の呼出制御部56からのポーリングコマンドに対する応答タイミングで端末のいずれかから送信された応答信号を破壊するブレーク信号を送信することで行われる。
ここで、受信機40からアナログ火災感知器側に対するポーリングコマンドは電圧モードで送られており、一方、端末から受信機40に対する応答信号は電流モードで送られている。割込制御部45は、端末応答のタイミングで端末のいずれかから送信された応答信号を破壊するブレーク信号を電流信号として伝送路に送出する。
受信機40に設けた割込処理部57は、端末応答のタイミングで、通常の端末応答では得られない特異な信号例えばオール1を受信したときに、端末からの割込信号を受信したものと判断し、割込原因の詳細を得るために割込確認要求コマンドを送信する。
割込要求確認コマンドに対し、アナログ火災感知器42−1の割込制御部45は割込詳細情報を送り返す。端末からの割込詳細情報を入手した受信機40の割込処理部57は、割込信号を送出した端末を特定するためのグループ検索を開始する。グループ検索は、端末アドレスを所定のグループに分け、グループごとに検索コマンドを発行して、火災検出が行われた端末を含むグループを特定し、グループが特定できたならばグループ内の端末を順次呼び出して、火災を検出した端末を特定する。このグループ検索は、これ以外に2分法などで行ってもよい。
更に図8の受信機40は、MPU48に試験命令部58を設け、これに対応してアナログ火災感知器42−1に試験制御部46を設けている。受信機40の試験命令部58は、受信機40の電源投入によるパワーオンスタート時や例えば1日1回といった定期的なタイミング、更には保守点検の際の操作部51による試験指示の際に、アナログ火災感知器42−1〜42−4の自動試験に必要な試験動作を行う。
試験命令部58は、まず端末に対する試験コマンドの送信に先立って割込禁止コマンドを送信し、また端末側の試験終了を確認すると割込禁止解除コマンドを送信する。アナログ火災感知器42−1の試験制御部46は、受信機40からの割込禁止コマンドを受信すると、割込制御部45による割込信号の送信を禁止する。
また割込禁止解除コマンドを受信すると、禁止状態にある割込制御部45の割込信号の送信機能を回復させる。このため、受信機40からの試験コマンドによりアナログ火災感知器42−1の試験制御部46が試験動作を行って擬似的な火災検出信号が得られても、割込制御部45による割込信号の送信を行うことはない。
試験動作により得られた検出信号は、受信機40の呼出制御部56からのサンプリングコマンドに基づきAD変換されて試験データとしてメモリに記憶保持され、試験データについて所定の火災レベルを超えた場合に試験発報と判断し、受信機40からのポーリングコマンドに対する端末応答データによって受信機40に試験発報を送信し、試験命令部58で試験発報の受信から試験作動が正常に行われたことが確認される。もし試験発報が受信されなければ、正常な試験作動が行われなかったとして、試験命令部58は警報表示部52に端末故障表示を行わせる。
ポーリングコマンドに対する応答によりアナログ火災感知器42−1の試験発報が確認されると、試験命令部58はアナログ火災感知器42−1の試験が終了したものと判断し、アナログ火災感知器42−1の端末アドレスを指定して試験復旧コマンド及び割込禁止解除コマンドを送信する。
更に本発明の試験命令部58にあっては、複数のアナログ火災感知器の自動試験を行う場合、あるアナログ火災感知器に試験開始を指示してから試験終了となる以前に他のアナログ火災感知器に試験開始を指示する。これによって複数のアナログ火災感知器の試験動作が並行して行われ、全てのアナログ火災感知器の試験に要する時間を短縮することができる。
図8のR型の火災報知システムにあっては、A系統、B系統、C系統の3系統に分けて伝送路41−1〜41−3を引き出していることから、この場合には次のいずれかの試験動作を行う。
(1)あるアナログ火災感知器に試験開始を指示してから試験終了となる以前に、同一系統の伝送路に接続している他のアナログ火災感知器に試験開始を指示する。
(2)あるアナログ火災感知器に試験開始を指示してから試験終了となる以前に、他の系統の伝送路に接続している他のアナログ火災感知器に試験開始を指示する。
(3)あるアナログ火災感知器に試験開始を指示してから試験終了となる以前に、同一系統の伝送路に接続している他のアナログ火災感知器に試験開始を指示すると共に、他の系統の伝送路に接続している他のアナログ火災感知器に試験開始を指示する。
図9は図8のアナログ火災感知器42−1〜42−4の実施形態を示したブロック図であり、アナログ煙感知器を例に取っている。
図9において、アナログ火災感知器42は、感知器ベース42aと感知器本体42bで構成される。感知器ベース42aには発報表示灯回路60が設けられ、端子S,Cに受信機40からの伝送路が接続される。感知器本体42bは、電圧を無極性化する整流回路61に続いてノイズ吸収回路62及び伝送信号検出回路63を設けている。伝送信号検出回路63は、受信機40からの電圧モードによる呼出信号を検出して伝送制御回路66に出力する。
伝送制御回路66にはMPUが設けられ、図8のアナログ火災感知器42−1に示した呼出応答部44、割込制御部45及び試験制御部46の各機能がプログラム制御により実現されている。また伝送制御回路66に対しては種別アドレス設定回路67が設けられる。
煙検出部は、発光駆動回路68、赤外線LED等を用いた発光素子69、フォトダイオードを用いた受光素子70及び増幅回路71で構成される。発光素子69は、例えば散乱光式の煙検出構造によって配置される。更に試験用発光素子72が設けられ、所定の煙濃度に対応した光を直接、受光素子70に照射して試験作動を行う。
伝送制御回路66からの送信信号は応答信号出力回路64に与えられ、通常の応答信号は電流モードで受信機40側に送信される。また火災検出に基づく割込信号については、応答信号を受信機側でオール1とするようなブレーク電流信号を出力する。伝送制御回路66は受信機40からのサンプリングコマンドを受信すると、発光駆動回路68により発光素子69を発光駆動し、受光素子70及び増幅回路71より得られた受光信号をAD変換してメモリに記憶保持する。
伝送制御回路66のメモリに記憶保持されたアナログ検出データは、受信機40からのアドレスを指定したポーリングコマンドが得られたときの応答信号のデータとして送信される。伝送信号検出回路63で受信機40からの試験コマンドを受信した場合には、発光駆動回路68により試験用発光素子72を駆動する。
試験用発光素子72の発光駆動で受光素子70及び増幅回路71から得られた検出信号は、受信機40からのサンプリングコマンドに基づくAD変換により試験データとして伝送制御回路66のメモリに記憶保持され、自己アドレスを指定した呼出信号によるポーリングコマンドに対する応答信号に試験データ或いは試験発報結果を入れて受信機40に送信する。
更に伝送制御回路66は、サンプリングコマンドに基づくAD変換によりサンプリングしたアナログ検出データから火災を判断した場合には、呼出信号に対する応答タイミングで受信機40に対し割込信号を送信する。
試験動作の際には試験コマンドに先立って割込禁止コマンドが送られてくるため、試験動作においてAD変換により得られたアナログ検出データが火災レベルを超えていても割込信号の送信は行わない。また試験動作が終了すると、受信機40からの試験復旧コマンドを受けて試験動作が停止され、続いて割込禁止解除コマンドを受けて割込信号の送信機能が回復される。
図10は図8の受信機40に設けた試験命令部58によるアナログ火災感知器に対する試験動作の実施形態のタイムチャートである。なお、図10は図8におけるA系統、B系統、C系統のアナログ火災感知器42−1〜42−4について、それぞれアドレス1〜4として示している。
図10における試験命令部58による試験動作は、まずA系統である伝送路40−1に接続したアナログ火災感知器42−1のアドレス1を指定して試験コマンドを送信し、試験動作を行わせる。もちろん、試験コマンドの送信に先立ち割込禁止コマンドを送信する。
試験コマンドの送信によりアドレス1の試験動作が行われ、試験動作が終了する前に次のアナログ火災感知器42−2のアドレス2を指定して試験コマンドを発行する。以下同様に、アドレス2の試験終了前にアドレス3の試験コマンドを発行し、アドレス3の試験終了前にアドレス4の試験コマンドを発行する。これに続いてB系統、C系統についても、先行するアドレスの試験終了以前に次のアドレスの試験コマンドを順次発行する。
図11は図8の受信機40に設けた試験命令部58によるアナログ火災感知器に対する試験動作の他の実施形態のタイムチャートである。図11の試験動作にあっては、A系統、B系統、C系統の各系統に分けて順次、試験動作を行わせるようにしたことを特徴する。
図11の試験動作にあっては、まずA系統のアドレス1のアナログ火災感知器42−1を指定して試験コマンドを発行することにより試験動作を開始させる。続いてA系統のアドレス2のアナログ火災感知器42−2に対し、アドレス1の試験終了前に試験コマンドを発行して試験を開始させる。同時にB系統のアドレス1のアナログ火災感知器42−1に対しても試験コマンドを発行して試験を開始させる。
即ち図11にあっては、A系統のアドレス1のアナログ火災感知器の試験開始から終了前に、同じA系統のアドレス2のアナログ火災感知器の試験を開始すると共に、他系統としてのB系統のアドレス1のアナログ火災感知器の試験を開始させるようにしている。
B系統のアドレス1のアナログ火災感知器につき、時刻t2で試験が開始されると、その終了前の時刻t3でC系統のアドレス1のアナログ火災感知器について試験を開始させ、同時に同じB系統のアドレス2のアナログ火災感知器についても試験を開始させる。以下同様に、各系統間及び同一系統で先行するアドレスの試験終了前に次のアドレスの試験を開始させる。
図12は図8の受信機40に設けた試験命令部58によるアナログ火災感知器の試験動作の他の実施形態のタイムチャートである。この図12の実施形態にあっては、A系統、B系統、C系統において、同一アドレスにつき同一タイミングで試験を開始させるようにしたことを特徴する。
即ち図11にあっては、A系統、B系統、C系統の同一アドレスにつき、例えばアドレス1につき時刻t1、時刻t2、時刻t3に示すように順次、試験動作を開始させているが、図12にあってはA系統、B系統、C系統のアドレス1につき同じ時刻t1で同時に試験を開始させ、各系統におけるアドレス2,3,4につき先行するアドレスの試験終了前に試験を開始させている。
図13は図8における受信機40とA系統となる伝送路41−1に接続しているアナログ火災感知器42−1〜42−4との間の通常監視の処理動作を示したタイムチャートである。
図13(A)のように受信機40はサンプリングコマンド(一括AD変換コマンド)80を送信し、これに応じて図13(B)〜(E)のようにアドレス1〜4を設定したアナログ火災感知器42−1〜42−4で一斉に検出信号をAD変換によりサンプリングしてメモリに記憶保持するサンプリング81−1〜81−4が行われる。
続いて受信機40は、アドレス1,2,3,4を指定したポーリングコマンド82−1,82−2,82−3,82−4を順次送信し、これに対しアナログ火災感知器42−1〜42−4は自己アドレスとの一致を判別した際に、メモリに記憶保持している検出データを応答データ83−1,83−2,83−3,83−4として受信機40に送信する。以下同様に、これを繰り返す。
図14は図8における火災発生時の処理動作を示したタイムチャートである。いま図14(B)に示すようにアナログ火災感知器42−1で受信機40のサンプリングコマンド80に対応したサンプリング81−1の結果から火災判断84が行われると、ポーリングコマンド82−1に対する応答タイミングで受信機40における受信データがオール1となるようなブレーク信号としての割込信号を送信する割込85が行われる。
なお、火災感知器は非火災報を防ぐため、サンプリングコマンド81−1でサンプリングした出力値が所定の閾値を連続して所定回数超えている場合に火災と判断し、割込信号を送信する。
この割込85を受信した受信機40にあっては、次のポーリングタイミングでグループ検索コマンド86を送信し、これによって火災を判断したアナログ火災感知器42−1においてグループ応答による割込87が行われる。
このグループ応答の割込87を受けて受信機40は、次のポーリングタイミングでグループ内の検索コマンド88を送信し、これを受けてアナログ火災感知器42−1は、火災を判断したアナログ火災感知器42−1からの応答を行うグループ内応答としての割込89を行う。この割込89により受信機40は、割込信号を送信したのはアナログ火災感知器42−1であることを認識し、代表火災表示や火災発生地区を示す地区表示などを行うことができる。
図15は図8の受信機40に設けた試験命令部58が2台のアナログ火災感知器に並行して試験動作を行わせる場合のタイムチャートである。図15にあっては、A系統、B系統、C系統について時刻t1で一斉に試験コマンドを送信しているが、例えばA系統を例にとると、最初に試験を開始させたアドレス1について、その試験終了以前に次のアドレス2の試験を開始しており、2台のアナログ火災感知器を並行して試験動作を行わせている。
アドレス1とアドレス2の試験が終了すると、次にアドレス3の試験を開始し、アドレス3の試験が終了する前にアドレス4の試験を開始しており、この場合にもアドレス3とアドレス4の2台の火災感知器の試験が並行している。この点はB系統及びC系統についても同様である。これに対し図12のタイムチャートの場合には、A系統、B系統、C系統について3台のアナログ火災感知器の試験動作を並行させた場合ということができる。
図16は図15のように同一系統につき2台のアナログ火災感知器の試験動作を並行させる場合の図8のR型の火災報知システムにおける試験動作のタイムチャートである。まず図16(A)に示すように、受信機40は試験開始に伴いアドレス1及びアドレス2を指定した試験コマンド90,92を連続して発行する。
アドレス1を指定した試験コマンド90により図16(B)のアナログ火災感知器42−1で試験開始91が行われ、アドレス2を指定した試験コマンド92により図16(C)のアナログ火災感知器42−2で試験開始93が行われる。なお実際の試験動作にあっては、試験コマンドに先立って割込禁止コマンドを送信するが、ここでは省略している。
試験コマンド90,92によりアナログ火災感知器42−1,42−2で試験開始91,93が行われると、次の受信機40からのサンプリングコマンド80を受けてアナログ火災感知器42−1〜42−4で検出信号のAD変換によるサンプリングが行われ、このサンプリングは試験開始91,93となったアドレス1,アドレス2のアナログ火災感知器42−1,42−2にあっては試験サンプリング94−1,94−2となる。
続いて、アドレス1を指定したポーリングコマンド82−1に対し、アナログ火災感知器42−1が試験サンプリング94−1で記憶保持している試験データを送信する試験応答95−1を行う。次のアドレス2を指定したポーリングコマンド82−2に対しては、アナログ火災感知器42−2が試験応答95−2を行う。以下、試験中におけるサンプリングコマンド80とポーリングコマンド82−1,82−2,・・・による試験データのサンプリングと試験応答が繰り返されている。
そして試験時間が経過してアドレス1のアナログ火災感知器42−1において試験発報96が判断されると、ポーリングコマンド81−1に対し試験による発報応答97−1を返す。またアドレス2のアナログ火災感知器42−2で同様に試験発報98が得られると、ポーリングコマンド81−2に対し試験による発報応答97−2を返す。
続いて図17に移行し、図16の試験による発報応答97−1,97−2を受信した受信機40は、アドレス1を指定した試験終了コマンド98を送信し、アナログ火災感知器42−1で試験終了99となる。続いてアドレス2を指定した試験終了コマンド100を送信し、アナログ火災感知器42−2が同様に試験終了101となる。なお試験終了コマンド98,100については、同時に割込禁止解除コマンドを送信して割込信号の送信機能を回復しているが、これは省略している。
このようにしてアドレス1,アドレス2の2台のアナログ火災感知器42−1,42−2の並行した試験動作が終了すると、次のサンプリングコマンド80に続くタイミングで、アドレス3を指定した試験コマンド102とアドレス4を指定した試験コマンド104を送信し、2台のアナログ火災感知器42−3,42−4につき、試験開始103,105となって、並行した試験動作を同様にして行うことになる。
図18は図8に示した受信機40の処理動作を示したフローチャートである。図18において、受信機40の電源を投入すると、ステップS1で初期設定が行われる。続いてステップS2で端末アドレスnを最初のn=1にセットする。続いてステップS3で作動試験か否かチェックする。この実施例にあっては、端末の作動試験は
(1)パワーオンスタート時、
(2)一定時間毎、例えば一日1回の定期試験、
(3)保守点検時の端末アドレスの指定による作動試験、
のいずれかが行われる。
通常は作動試験でないことからステップS4に進み、アドレスn=1を指定したポーリングコマンドの送信によるポーリングを行う。続いてステップS5で端末からの応答信号を受信し、応答信号のデータからステップS6で状態変化の有無をチェックする。もし状態変化があればステップS7に進み、試験中か否かチェックした後、ステップS8で状態変化の内容に応じた対応処理を行う。
この対応処理は火災処理、障害処理などの各種の対応処理が含まれる。続いてステップS9で例えば1秒毎のサンプリングタイミングに達したか否かチェックし、もしサンプリングタイミングに達していればステップS10でサンプリングコマンドを発行して、全端末に対し一斉にAD変換による端末情報の収集処理を指令する。
続いてステップS11で最終端末アドレスか否かチェックし、最終端末アドレスでなければステップS23で端末アドレスを1つインクリメントし、同様な処理を繰り返す。またステップS11で最終端末アドレスであった場合にはステップS2に戻り、最初の端末アドレスからのポーリングを繰り返す。
次にステップS3で試験が判別されるとステップS12に進み、2つのアナログ火災感知器のアドレスを指定して割込禁止コマンドを発行する。割込禁止コマンドがアナログ火災感知器側で受信されると応答信号が返されてくることから、ステップS13で応答受信を確認し、続いてステップS14で応答に対する確認コマンド(ACKコマンド)を送信する。これによって割込禁止コマンドの送信処理を終了する。
次にステップS15で2つのアナログ火災感知器のアドレスを順次指定して試験コマンドを送信する。試験コマンドについてもステップS16の端末応答の受信確認に基づくステップS17の確認コマンドの発行を行う。
試験コマンドを送信した後の試験データの収集は通常のポーリング処理を通じて行われる。即ち、試験コマンドの送信後にステップS10でサンプリングコマンドを発行してからステップS4に進んで通常のポーリングを行い、ステップS5の応答信号の受信からステップS6で状態変化ありと判別した場合には、ステップS7で試験中か否かチェックする。
試験中であればステップS19で正常に試験作動したか否か判断し、試験発報が受信されて正常の試験動作が行われていればステップS21で試験終了コマンドを送信し、続いてステップS22で割込禁止解除コマンドを送信する。この試験終了コマンドおよび割込禁止解除コマンドの送信についても割込禁止コマンドや試験コマンドの場合と同様、端末からの応答受信に対する確認コマンドの発行が行われるが、フローチャートでは省略している。
また、ステップS19で試験発報が受信されずに試験作動が正常に行われなかった場合にはステップS20に進み、端末故障処理により障害発生を表示する。尚、故障と判定されたアナログ火災感知器については修理交換等が済むまでポーリング対象から除外するようにしてもよい。
図19はアナログ火災感知器側の処理動作を示したフローチャートである。図19において、電源投入が行われるとステップS1で初期設定が行われ、ステップS2で信号受信の有無を監視する。信号受信が行われるとステップS3でサンプリングコマンドか否かチェックし、サンプリングコマンドでなければステップS4でアドレス一致をチェックする。
アドレス一致が得られるとステップS5でポーリングコマンドか否かチェックする。通常呼出時のポーリングコマンドであればステップS6でメモリにサンプリングによって保持されているデータを送信する。またステップS7で割込禁止コマンドであった場合にはステップS8に進み、割込禁止フラグFLをFL=1にセットし、割込送信機能を禁止する。
ステップS9で割込禁止解除コマンドが判別されるとステップS10で割込禁止フラグをFL=0にリセットする。ステップS11で試験コマンドが判別されると、ステップS12でアナログ火災感知器の作動試験を行う。さらにステップS13で試験終了コマンドであればステップS14で試験動作を終了する。
一方、ステップS3でサンプリングコマンドが判別された場合にはステップS15に進み、検出信号をAD変換によりサンプリングしてメモリに保持する。続いてステップS16でサンプリングデータから火災検出の有無を判断し、火災検出であればステップS17で割込禁止フラグFLをチェックし、割込禁止フラグがFL=0とリセット状態にあればステップS18に進み、割込信号を送信する。
このとき作動試験による火災検出であれば、試験コマンドに先立って割込禁止コマンドにより割込禁止フラグがFL=1にセットされていることから、ステップS16の割込信号の送信は行わない。
なお上記のR型火災報知システムにおけるアナログ火災感知器からの割込信号については、通常の端末送信データを破壊するブレーク信号を送信しているが、ブレーク信号に限定されず、適宜の割込コード信号を使用してもよい。また上記の実施形態では、割込信号に続いて割込確認の呼出しを行って割込詳細情報を返送させているが、最初の割込コード信号に詳細情報を含めれば割込確認呼出しは不要である。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
また、図1においては、火災信号送出用の感知器回線2−1〜2−3と試験電圧信号送出用の試験回線4−1〜4−3を別線で構成しているが、これに限らず、試験電圧信号も感知器回線2−1〜2−3を使用して送出してもよい。例えば、図1の受信機の受信回路部6−1〜6−3及び火災感知器3−1〜3−4はそれぞれ図8の伝送部50−1〜50−3及びアナログ火災感知器42−1〜42−4の呼出応答部44、試験制御部46の機能を備え、火災時には火災感知器3−1〜2−3は感知器回線2−1〜2−3を略短絡させて火災信号を送出するようにし、試験時には受信機1から感知器回線2−1〜2−3を介して端末特定の試験開始信号を火災感知器3−1〜3−4が受信することにより試験動作を行い、試験結果を感知器回線2−1〜2−3を使用して受信機1に返信するようにしても良い。
また、図8のR型システムにおいては、受信機40から引き出された伝送線路41−1〜41−3にはアナログ火災感知器42−1〜42−4のみが接続されているが、これに限らず、火災時に感知器回線を短絡させて火災信号を送出するオンオフ型火災感知器が接続された感知器用中継器であっても良い。
感知器用中継器は、内部に図1の受信機の試験命令部14、受信回路部6や試験制御部7と同様のものが設けられ、受信回路部から感知器回線が引き出されてオンオフ型火災感知器が接続される。受信機40から中継器に試験電圧信号が送出されると、中継器は試験処理を行い、その結果を受信機に対して試験応答する。
この中継器の試験処理は、火災感知器の状態にかかわらず、中継器内で試験状態にして、受信機に試験応答を行う構成でも良いが、火災感知器が図1のような試験機能のついた火災感知器の場合は、図1の受信機の動作同様に、中継器が特定の火災感知器、もしくは全ての火災感知器に対して順番に試験電圧信号を送出し試験動作をさせ、その試験結果を中継器が受信機へ返信するような構成であっても良い。
この場合に、中継器から複数の感知器回線が引き出されている場合には、図1の動作同様に中継器が複数の感知器回線に対して重複して試験を行うようにすれば、試験時間を短縮することができる。