JP4646398B2 - 耐火性管壁ライニング - Google Patents
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Description
(技術分野)
本発明は、独立の請求項1の前段部に規定されるように、横および上下に配置された多数の耐火タイルを有する耐火性管壁ライニングに関する。
【0002】
(背景技術)
例えば、ごみ焼却プラントの炉内の管壁を煙道ガス(flue gas)による腐食から保護するために、耐火性管壁ライニングが使用されている。最新のごみ焼却プラントでは、管壁および管壁ライニングは、1000℃以上の高温にさらされていることが多く、適当な材料が選択されれば、それぞれの操業状態間での著しい温度差による膨張および収縮に耐え得る。温度差は、管壁でよりも管壁ライニングで非常に大きい。このことは管壁ライニングの材料および/または設計を選択する際に考慮される必要があり、これにより管壁よりも大きい膨張および収縮によって管壁ライニングが破壊することはない。
【0003】
管壁ライニングのために適当な材料を選択することにより、それぞれの操業状態のための管壁に管壁ライニングを適合させることができる。スチール製の管壁には、SiC管壁ライニングが適していることが分かっている。このライニングでは、SiC含有量をかなり変えることができる。実際には、30%−90%のSiC含有量を有するSiC混合物またはSiCタイルが用いられている。
【0004】
横または上下に配置され、かつ保護される管壁に少なくとも1つのタイルホルダによってそれぞれ取り付けられている多数の耐火セラミックSiCタイルからなる種々の管壁ライニングが公知である。セラミックタイルのSiC含有量は変化するが、いわゆるSiC90タイル、すなわち約90%のSiC含有量をもつタイルが広く使用されている。
【0005】
ドイツのシュバンドルフにあるJunger+Grater社製の管壁タイル装置JUSYS RWS 4.2では、各タイルは、まず、管壁に溶接されたピンによって支持されて壁方向に保持され、次に、SiCモルタルによって管壁に接着されている。
【0006】
ドイツのケルンにあるSaint-Gobain Industriekeramik社製の管壁タイル装置Carborundumでは、各タイルは、管壁から上方へ斜めに延びるピン状タイルホルダから吊られている。
【0007】
これらのタイル装置での1つの問題は、管壁ライニングと管壁とは異なる割合で加熱されるため、ごみ焼却プラントをあまりに急速に立ち上げると、管壁ライニングが損傷しやすいことである。個々のタイルの移動の自由はタイルホルダおよび隣接するタイルによって制限されるので、プラントを急速に立ち上げた場合における管壁よりもより急速なタイルの膨張を補償することができず、タイルおよび/または隣接するタイルが壊れるか、または外れてしまうことになる。
【0008】
US-A-3,850,146は、横および上下に配置された多数の耐火タイルが、タイルホルダによるウェブで連結された管によって管壁上に保持されている耐火性管壁ライニングが開示されており、ここでのタイルホルダはいかなる支持機能も有していない。横および上下に配置された複数のタイルは、管に溶接されたブラケットによって支持されている。タイルホルダは、ブラケットによって管壁面に取り付けられている。
【0009】
タイルホルダが支持機能を有しないということは、タイルホルダが管壁上にタイルを垂直変位可能な状態で保持できることを意味する。しかしながら、この管壁ライニングの問題は、ブラケットがパイプすなわち圧力体(pressure body)に溶接されなければならない点である。多くの国では、圧力体への溶接は、認可された熟練者または指名された権威者によってチェックされなければならない。また、この理由のために、後の変更も比較的複雑である。
【0010】
上記公知の管壁タイル装置の欠点に鑑みて本発明は、耐火タイルおよび覆われる管壁の異なる膨張と収縮を垂直および水平の両方向に吸収できるとともに、管に溶接することなく取り付けることができる、序文で説明したタイプの耐火性管壁ライニングを提供することを目的とする。
【0011】
この目的は、独立の請求項1に規定されるような本発明の耐火性管壁ライニングによって達成される。請求項9は本発明の耐火性ライニングを設けた壁に関し、請求項11は管壁の耐火性ライニングのための本発明の方法に関する。好ましい変形が従属の請求項で与えられている。
【0012】
(その解決方法)
本発明の本質は、横および上下に配置され、かつ少なくとも1つのタイルホルダをそれぞれ有する多数の耐火タイルを有し、タイルホルダはウェブで連結された管からなる管壁上にタイルを保持するようになっており、タイルホルダは支持機能を有しておらず、タイルはタイルホルダから独立した少なくとも1つのブラケットによって支持されている、耐火性管壁ライニングにおいて、
タイルホルダおよびブラケットは管壁のウェブに取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
(従来技術より有効な効果)
管壁ライニングが管にではなくウェブに取り付けられているということは、圧力体を傷つけなくてもよいことを意味する。したがって、認可された熟練者または指名された権威者によるチェックが必要ない。さらなる利点は、タイルホルダおよびブラケットがウェブへの連結によって冷やされることである。また、タイルは管壁に対して強固に取り付けられていないので、タイルが間隔をおいて適当に配置されれば、垂直および水平方向への移動によってタイルの膨張および収縮を吸収することができる。
【0014】
好ましい変形では、上下に配置された複数のタイルは、管壁ライニングが管壁に取り付けられるときに管壁に取り付けられる(特に溶接される)単一のブラケットによって、直接に、または、それらの下のタイルを介して支持されている。ブラケットで支持されたタイルは、上方へ膨張したり移動したりできる。従来技術に比べてこのように増加したタイルの移動性は、公知の管壁タイル装置よりもより大きなタイルの膨張および収縮を損傷なく吸収できるようにする。
【0015】
本発明の耐火性管壁ライニングおよび管壁の耐火性ライニングのための本発明の方法は、添付図面を参照しつつ例示的な実施形態に基づいて以下により詳細に説明されている。
【0016】
(発明を実施するための最良の形態)
図1
本発明の耐火性管壁ライニングは、上下および横に並んで配置された多数の耐火タイルを備えている。タイルは、例えば、1000℃以上の耐火性を有するセラミックSiCタイル、好ましくはSiC90タイルである。各タイル1は、いかなる支持機能を有しない不図示の2つのタイルホルダによって、覆われた管壁上に保持されている。各場合において、上下に配置された3つのタイル1は、不図示のブラケットによって支持されている。これらのタイル1の下部縁部は、それらの下に配置されたブラケットまたはタイル1の上部縁部に載っている。3つのタイル1の最上部の上部縁部12と、その上に配置されたより高いタイル1用のブラケットとの間には、タイルが垂直方向に膨張して移動するための空間がある。
【0017】
次のことは、以下のすべての説明に適用される。参照符号は、図を明確にするために図面に付与されているが、説明の直接対応する本文において説明されていない場合には、前の図面の説明で述べられたところが参照される。
【0018】
図2及び3
この場合、覆われた管壁2は、ウェブ22によって連結された垂直管21を有する管壁である。管壁ライニングに属する、ねじの形の2つのタイルホルダ11は、特にピストルで打ち込むことによって、ウェブ22に取り付けられている。耐火タイル1は、上部縁部12から下部縁部13まで延びる2つのT字状スロット16を有し、タイルは上からタイルホルダ11に沿って移動可能になっている。管壁に面するタイル1の背面には、円筒の部分の形をなし、かつ全高にわたって延びる3つの凹部が設けられており、その結果、タイル1は広い領域にわたって管壁から均一な距離にある。この距離は約5mmが理想的である。それは、タイルホルダ11に沿ってタイル1を移動させる前に、タイルホルダ11の調整により設定可能である。必要であれば、タイル1を取り外して、タイルホルダ11を再調整しなければならない。
【0019】
タイル1の上部縁部12および下部縁部13は、タイルの厚み方向において部分的に重なり合う捕捉的な段部を有する。このような2つのタイル1が上下に配置されると、部分的に重なった縁部は、2つのタイル間に形成される直線部(in a straight line)からガスが流出可能になる隙間をつくることなく、2つのタイルが互いに接近する方向および互いに離れる方向にある程度移動できることを確実にする。
【0020】
タイル1の側部縁部14は舌状部141を有し、側部縁部15は捕捉溝151を有する。これにより、このような2つのタイル1が並んで配置されると、2つのタイル間に形成される直線部からガスが流出可能になる隙間をつくることなく、2つのタイルが互いに接近する方向および互いに離れる方向にある程度移動できることが確実になる
【0021】
勿論、上部縁部12および下部縁部13に舌状部および溝を設けてもよいし、側部縁部14,15が補足的な段部を有していてもよい。実際に起こるすべての相対位置のために横または上下に配置される2つのタイル間の直線部からガスが流出するのを防止するのに、例えば湾曲形状のような他の縁部形状も考えられる。
【0022】
タイル1間の隙間をシールする耐火性セラミックファイバー片が、横または上下に配置される2つのタイル1の対向面12と13、または、14と15の間に配置されており、これにより煙道ガスは管壁2の管壁ライニングを通過することができない。1350℃までの温度に耐え得る耐火性セラミックファイバー片は、商業的に入手できる。
【0023】
管壁2とタイル1の間の空間には、タイル1を管壁2に補助的に接着するSiC液状モルタル(図示せず)が充填されている。タイル1が移動すると、モルタル内のクラックフォーム(cracks form)やモルタルが管壁2またはタイル1から分離することになる。しかしながら、タイル1およびセラミックファイバー片によって保証されているので、管壁ライニングのシールに関して不都合な影響はない。
【0024】
タイル1が管壁2から正しい距離で配置された後、SiCモルタルは液状モルタルとしてタイル1と管壁2の間に上から注入されることができ、スロット16内にも流れ込む。タイル1の移動性を保証するため、タイルホルダ11は、弾力性を保持する耐火性泡によって先に囲まれている。
【0025】
SiCモルタルは、30%ないし90%、特に40%ないし60%のSiC含有量を有するのが好ましく、20%以下、特に13%ないし17%の間隙率を有するのが好ましい。58%のSiC、13%のSiO2、26%のAl2O3、0.2%のFe2O3、および1.5%のCaOを含むSiC液状モルタルが特に適していることが判明している。
【0026】
タイルホルダ11は、それ自体、例えばAISI標準によるスチールNo.310またはDIN17440による材料No.1.4845のような耐熱スチールでつくられている。
【0027】
図4ないし6
これらの図では、管壁ライニングは管壁2´上に配置され、ウェブ22´は2つの隣接管21´および23´の横に配置されている。これに応じて、タイル1は、部分的円筒の形状の凹部をもつ背面を有しているのが好都合である。
【0028】
タイル1を支持するために、ブラケット3が管壁2´に溶接されている。ブラケット3は、ウェブ22´にそれぞれ溶接された2つの垂直配置の支持プレート31と、2つの支持プレートに溶接された水平配置の保持プレート32とからなる。支持プレート31および保持プレート32は、例えばAISI標準によるスチールNo.310またはDIN17440による材料No.1.4845のような耐熱スチールでつくられている。
【0029】
各ブラケットは、保持プレート32の上に直接載っているタイル1を支持するとともに、このタイル1と垂直方向で隣のブラケット3との間に配置された複数のタイル1を間接的に支持しており、前記複数のタイルの下部縁部はそれらの下にあるタイル1の上部縁部12上に載っている。
【0030】
段付き形状のために、ブラケット3上に直接載っているタイル1の下部段付き縁部13と、その下に位置するタイル1の上部段付き縁部12との間に2つの隙間がある。これらの隙間は下部のタイル1に移動の自由を与えるが、互いに直に接触させない。これにより、管壁ライニングは、操業において起こるすべての相対的タイル位置においてシールされる。
【0031】
タイルホルダ11は、図4ないし6において、詳細に描かれるというよりはむしろ概略的に示されている。
【0032】
上述した管壁ライニングに関して、さらなる設計変更が可能である。スロット16は必ずしもT字状でなくてもよいことを、ここではっきりと述べておく必要がある。例えば円筒の部分のような他の形状も考えられる。ただ重要な要因は、タイル内部のより広い領域と背面タイル縁部との間により狭い領域があることであり、その結果、タイル1がタイルホルダ11によって管壁2上に保持されることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 横および上下に配置され多数の耐火タイルを有する本発明の管壁ライニングの概略的正面図である。
【図2】 2つのタイルホルダによって管壁上に配置された耐火タイルの、図1のA−A線断面図である。
【図3】 管壁上の配置された耐火タイルの、図1のB−B線断面図である。
【図4】 管壁上に配置された図1の管壁ライニングの部分正面図である。
【図5】 図4の管壁ライニング部分および管壁部分の側面図である。
【図6】 図4の管壁ライニング部分の背面図である。
【符号の説明】
1…タイル、2…管壁、3…ブラケット、11…タイルホルダ、12…上部縁部、13…下部縁部、16…スロット、14,15…側部縁部、21…管、22…ウェブ、141…舌状部、151…溝。
Claims (10)
- 横および上下に配置され、かつ少なくとも1つタイルホルダ(11)を有する多数の耐火タイル(1)を有し、前記タイルホルダはウェブ(22;22´)によって連結された管(21;21´;23´)からなる管壁(2;2´)上に前記タイル(1)を保持するようになっており、前記タイルホルダ(11)は支持機能を有しておらず、前記タイル(1)はタイルホルダ(11)から独立した少なくとも1つのブラケット(3)によって支持されており、前記タイルホルダ(11)および前記ブラケット(3)は前記管壁(2;2´)の前記ウェブ(22;22´)に取り付けられるようになっており、上下に配置された複数のタイル(1)が、直接に、または、それら複数のタイル(1)の下に配置されたタイル(1)を介して、1つのブラケット(3)によって支持されていることを特徴とする耐火性管壁ライニング。
- 前記タイルホルダ(11)および前記ブラケット(3)は前記管壁(2;2´)の前記ウェブ(22;22´)に溶接されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の管壁ライニング。
- 少なくとも1つのタイル(1)の上部縁部(12)と、その上に配置されたタイル(1)の下部縁部(13)は、前記タイルの厚み方向において部分的に重なり合う補足的段部を有していて、前記タイル(1)が互いに接近するか離れる方向にある程度移動できるように設計されており、これにより前記移動範囲全体にわたって、ガスが2つのタイル(1)の間で直線状に流出できず、かつ前記管壁(2;2´)から離れた管壁ライニングの表面から前記ブラケット(3)に向かって直線状に流出できないことを確実にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の管壁ライニング。
- 互いに対向する2つの隣接するタイル(1)の側部縁部(14,15)は、2つのタイル(1)が、ガスが直線状に流出可能な2つのタイル(1)間の隙間を形成することなく、互いに接近するか離れる方向にある程度移動できるようになっており、前記対向する側部縁部(14,15)が互いに捕捉的な溝(151)および舌状部(141)を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の管壁ライニング。
- 耐火性セラミックファイバー片が2つのタイル(1)の対向縁部(12,13,14,15)の間に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管壁ライニング。
- 少なくとも1つのタイル(1)は、前記管壁ライニングが管壁(2;2´)上に取り付けられたときに前記管壁(2;2´)に対向するその背面に、タイルの高さの少なくとも一部にわたって延び、かつ広げられた部分を設けた前記タイルホルダの部分または前記タイルホルダ(11)のうちの1つを受け入れるための、少なくとも1つのスロット(16)を有し、これによりタイルホルダは壁厚方向にタイル(1)を保持するが、少なくともある程度は前記タイル(1)の上下方向への移動を可能にすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の管壁ライニング。
- 前記タイルホルダ(11)は、前記スロット(16)内で弾力性のある耐火性泡によって囲まれており、ねじの形をなすこと特徴とする請求項6に記載の管壁ライニング。
- ウェブ(22;22´)によって連結された管(21;21´,23´)をもつ管壁(2;2´)を有し、その壁の上に請求項1ないし7のいずれかの管壁ライニングが配置されていることを特徴とする、耐火性ライニングを有する壁。
- 前記管壁(2;2´)と前記タイル(1)との間の空間に液状モルタルが充填され、この液状モルタルは、30%ないし90%、特に40%ないし60%のSiC含有量と、20%以下、特に13%ないし17%の間隙率とを有するSiC液状モルタルであることを特徴とする請求項8に記載の耐火性ライニングを有する壁。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の管壁ライニングによって、ウェブ(22;22´)により連結された管(21;21´,23´)を有する管壁(2;2´)に耐火性ライニングを施す方法であって、まず前記ブラケット(3)および前記タイルホルダ(11)を前記管壁(2;2´)の前記ウェブ(22;22´)に取り付け、次に耐火タイル(1)を前記管壁(2;2´)からある距離をおいて配置し、最後に前記管壁(2;2´)と前記タイル(1)との間の空間に液状モルタルを充填することを特徴とする方法。
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