JP4641210B2 - 眼科測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検者の末梢血管の脈波に同期した所定のタイミングで眼底カメラにより被検者の眼底を撮影する眼科測定装置に関するものである。
眼底は、直接かつ非侵襲的に血流、血圧、血液などの血管情報を観察できる場所であるため、高血圧や動脈硬化など生活習慣病の早期診断・治療を目的に眼底血管の径を測定する研究がなされている。特に、眼底像における動静脈交叉部の動静脈血管径の比(AV比)や近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)は、高血圧や動脈硬化の指標として用いられている。現在では、眼底血管の撮影は、無散瞳型の眼底カメラを用いることなどにより、被検者に散瞳剤を投与せず、被検者にそれほど大きな負担を与えることなく可能になっている。
しかしながら、眼底の血管は他の末梢血管と同様に心臓の拍動に応じて血管径が変化し、たとえば、心臓の拍動に応じて、動脈の径は約3.5%、静脈の径は約5%変化するとの報告がある。
このため、眼底像から妥当性のあるAV比やVV比を測定するには、心臓の拍動に同期して、特に心臓の拍動に関連した特定のタイミングで、眼底血管の静止画撮影(あるいは少なくとも心臓拍動1サイクルに相当する時間の動画撮影)を行なう必要がある。
この問題の解決手段の一つとして、心電図信号に同期して眼底血管像の撮影が試みられている(下記の非特許文献1、特許文献1〜5)。たとえば、心電図のR波は心臓の収縮に対応しており、このR波をトリガーにして所定の遅延時間を持って眼底血管像を撮影することにより、眼底血管の収縮あるいは拡張に同期した一定条件での血管径が測定できる。さらに、手や耳で脈圧を測定し、脈圧ピーク時から所定の遅延時間を加えて得られる特定のタイミングに同期させて眼底血管像を撮影する方法も提案されている(特許文献5)。
特許文献5のように、手や耳で末梢血管の脈圧を測定し、脈圧ピーク時から所定の遅延時間を加えて得られる特定のタイミングに同期させて眼底血管像を撮影する構成によれば、心電図信号を必要とせず、被検者に大きな負担を与えることなく測定が可能であるメリットが得られる、と考えられる。
Goldman H. and Lotmar W.: Albrecht Von Graefes Arch Klin Exp Ophthalmol. 1979 vol.211 243-249 特願2002−106211号公報 特願2001−399002号公報 特願2001−393001号公報 特願2001−532658号公報 特願平10−229980号公報
上記の従来技術のうち、心電図信号から眼底撮影タイミングを決定する構成では、心電図信号タイミングと、眼底において実際に拍動が起きるタイミングには時間差がある上、末梢血管の脈波の伝播速度は血圧に依存するため、単に心電図信号に同期させて撮影するだけでは、撮影された眼底像の血管径が被検者の血圧に依存した値となる問題がある。
すなわち、心電図信号の位相に対する相対的な比較でいえば、血圧の高い被検者では脈波の位相が早くなり、逆に血圧の低い被検者では、脈波の位相が遅くなる。したがって、心電図に同期させて眼底像を撮影するには、被検者の血圧を測定条件のパラメータとして導入しない限り、正確な眼底の血管径は測定できない。
たとえば、心電図のR波をトリガーに遅延時間をもって眼底血管撮影を行なう場合、同じ被検者であっても、血圧が高い時は眼底血管脈波の早期の相で撮影が行なわれ、血圧が低い時は遅い相で撮影が行なわれるので、撮影された眼底画像から測定される血管径が被検者の体調などによって異なるものとなってしまう。
また、心電図信号を撮影同期に用いる構成では、心電図誘導用の電極を被検者の身体の最低2箇所に装着しなければならない煩雑さがあるとともに、外部からの電磁波などによる測定障害が生じる可能性がある。また、電極を通して被検者へ異常電流が流入しないよう十分な注意を払わなければならない。
一方、上記の特許文献5のように、手や耳の末梢血管の脈圧を測定し、脈圧のピーク時からの所定の遅延時間に同期させて眼底血管像を撮影する方法では、心臓から手や耳までの距離と、心臓から被検眼までの距離に応じたタイミング補正が必要になる可能性があるにしても、上記の心電図信号を用いる方式における血圧依存性の問題は回避でき、また、上記の測定時の被検者に対する負担、あるいは電磁波ノイズといった問題も解決される。
しかしながら、手や耳の末梢血管の脈圧測定に基づく方式では測定手段に圧力センサーを使用するため、被検者の体動によって脈波が変動する問題がある。すなわち、圧力センサーを測定部位に一定の圧で固定することが極めて困難であるため、測定中に被検者がわずかに動くだけでも脈圧が変動し、この変動がノイズとして作用する。
また、脈圧の波形は心電図のR波と比べ低周波成分が主であるため、目的の撮影同期信号を得るためのトリガー信号を生成するのが難しい。
また、特許文献5のように脈波信号のピークを検出するといっても、検出した脈波信号のピークが間違いなく目的の脈圧のピークであるということは必ずしも保証されない可能性がある。たとえば、被検者の心臓は装置の測定動作のタイミングと無関係に拍動しているので、脈波信号の波形に対して装置がどのようなタイミングで測定を開始するかによって、ピーク検出回路に入力されてくる波形の始点は変動するから、ピーク検出回路が常に必ず目的のピークタイミング(たとえば心臓の1拍動のピークタイミング)を捉えることができるかどうかは非常に不確実である。
そして、誤まったタイミングが目的のピークタイミングとして検出される確率が高ければ、高血圧や動脈硬化などに関して正確な検査を行なうのが困難になるのはいうまでもない。
本発明の課題は、上記の問題に鑑み、信号ノイズなどに影響されることなく、正確にコントロールされた撮影タイミングで眼底撮影を行なえ、眼底画像の解析に基づく動/静脈径の評価、またこれに基づく高血圧や動脈硬化などの評価を高い信頼度で行なえるようにすることにある。
本発明は、上記課題を解決するために、被検者の末梢血管の脈波に同期した所定のタイミングで眼底カメラにより被検者の眼底を撮影する眼科測定装置において、被検者の末梢血管の脈波を測定する脈波測定手段と、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1サイクル中の所定のタイミングに同期して前記眼底カメラにより被検者の眼底を撮影させる撮影制御手段と、前記眼底カメラのシャッタ操作後に前記脈波測定手段から得られる脈波信号の2次微分信号のピークタイミングに同期して前記撮影制御手段の眼底撮影制御を有効化する制御手段と、前記眼底カメラで撮影された眼底画像に対する画像処理に基づく演算処理を行なうことにより、眼底画像中に撮影されている血管径に関する情報を測定する画像解析処理手段とを有する構成を採用した。
あるいはさらに、前記撮影制御手段が、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングに同期して前記眼底カメラにより眼底撮影を行なわせる構成を採用した。
あるいはさらに、前記撮影制御手段が、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングに対して、被検者の心臓から前記脈波測定手段による被検者の体の脈波測定部位までと被検者の心臓から被検者の眼までの脈波到達時間差にほぼ対応する遅延時間を加えたタイミングに同期して前記眼底カメラにより眼底撮影を行なわせる構成を採用した。
あるいはさらに、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の2次微分信号の複数のピークタイミングの波高の比を測定し、出力する構成を採用した。
あるいはさらに前記撮影制御手段が、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1サイクル目で、前記脈波信号の2次微分信号のピークタイミングから前記脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングまでのゼロクロス時間を測定し、続いて前記脈波測定手段から得られる脈波信号の2サイクル目で、前記ゼロクロス時間と、被検者の心臓から前記脈波測定手段による被検者の体の脈波測定部位までと被検者の心臓から被検者の眼までの脈波到達時間差にほぼ対応する補正時間から求めた撮影タイミングに同期して前記眼底カメラにより眼底撮影を行なわせる構成を採用した。
本発明によれば、眼底カメラのシャッタ操作後、脈波測定手段から得られる脈波信号の2次微分信号のピークタイミングに同期して撮影制御を有効化し、被検者の末梢血管の脈波1サイクル中の所定のタイミングで眼底撮影を行なうようにしており、原信号の脈波信号よりも高周波な2次微分信号を用いて眼科撮影動作を有効化することにより高精度で正確にコントロールされた撮影タイミング制御が可能となり、眼底カメラで撮影された眼底画像に対する画像処理に基づく演算処理を行なうことにより、眼底画像中に撮影されている血管径に関する正確な情報を測定することができる。特に、2回微分を行なって得た2次微分信号のピークを検出することにより、単に原信号のピークなどを撮影タイミングとして検出するため原信号に乗ったノイズなどにより誤まった撮影タイミングを検出する可能性がある従来構成と異なり、確実に撮影タイミング制御(1撮影サイクル)の始点を決定できる。
眼底カメラによる眼底撮影は、たとえば、脈波測定手段から得られる脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングに同期して行なうことにより、脈波最大振幅や脈波最小振幅のタイミングにおける眼底画像を撮影することができる。
また、脈波測定手段から得られる脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングに対して、被検者の心臓から脈波測定手段による被検者の体の脈波測定部位までと被検者の心臓から被検者の眼までの脈波到達時間差にほぼ対応する遅延時間を加えたタイミングに同期して眼底カメラにより眼底撮影を行なうことによって、厳密な制御、特に心臓の拍動との撮影同期を重視する制御を行なう場合、より正確な撮影制御を行なえる。
あるいはさらに、脈波測定手段から得られる脈波信号の2次微分信号の複数のピークタイミングの波高の比を測定し、出力する構成を設けることにより、眼底撮影された血管径に関する正確な情報に加え、加速度脈波に関する情報を出力することができる。
あるいはさらに、脈波測定手段から得られる脈波信号の1サイクル目で、脈波信号の2次微分信号のピークタイミングから脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングまでのゼロクロス時間を測定し、続いて脈波測定手段から得られる脈波信号の2サイクル目で、ゼロクロス時間と、被検者の心臓から脈波測定手段による被検者の体の脈波測定部位までと被検者の心臓から被検者の眼までの脈波到達時間差にほぼ対応する補正時間から求めた撮影タイミングに同期して眼底撮影を行なう構成によれば、上述同様、2次微分信号のピークを撮影制御の起点として用いることにより、確実に撮影タイミング制御を行なえるとともに、心臓から眼および脈波測定部位までの脈波到達時間の大小関係がいずれであっても対応でき、測定状況や被検者の体調などに応じて適当な脈波測定部位として、上腕部、指、耳などを選択できる柔軟性のある測定システムを提供できる。
以下、末梢血管の脈波を測定し、脈波信号に同期した所定のタイミングで眼底撮影を行なう眼科測定装置に関する実施例を示す。
以下の実施例1および2では、光学的に被検者の上腕部の末梢血管脈波を検出し、血液量を測定する光電式容積脈波測定装置と、眼底カメラおよび制御装置を組合せた構成を示す。
実施例1および2では、容積脈波測定装置により、波長800nm付近の近赤外光を測定部位の被検者の上腕部に照射し、測定部位の反射光量あるいは透過光量の変化を計測することにより末梢血管の脈波を測定する。特に、酸化ヘモグロビン(動脈血)の分子吸収係数の大きい830nm以上の波長を用いることで動脈の脈波を測定(実施例1)し、また、還元ヘモグロビン(静脈血)の分子吸収係数の大きい波長780nmを用いることで静脈の脈波を測定(実施例2)し、脈波信号の解析処理に基づき、脈波信号1サイクル中の特定タイミングに同期して撮影を行なうことができる。
撮影は、脈波信号の1サイクル中のあらかじめ定めた所定のタイミング、たとえば、脈波最大振幅(ピーク)や脈波最小振幅のタイミングに同期して行なう。
なお、心臓から眼底、および上腕部の血管までの脈波到達時間の差は数msec〜数10msec(たとえば約30msec程度)あるので、厳密な制御、特に心臓の拍動との撮影同期を重視する制御を行なう場合には、この脈波到達時間差に相当する遅延時間を検出した脈波最大振幅(ピーク)や脈波最小振幅のタイミングに作用させて撮影タイミングを決定するのが、より正確な撮影制御を行なう上で、好ましい。
しかしながら、上記の脈波到達時間差は安静時の血管脈波の周期約1secの約3%程度であり、上腕部の血管脈波は眼底血管脈波とほぼごく小さな時間差で同期していると考えてもよく、実用上この脈波到達時間差は無視してもよく、上腕部で測定した脈波に同期させて眼底撮影を行なうようにしてもよい。
また、必要に応じて、検者が上腕部血管脈波と眼底血管脈波の到達時間差に応じた遅延時間(0時間も含む)を任意に選択できるようなユーザーインターフェースを設けることもできる。また、被検者の心臓から測定部位の上腕部までの距離と心臓から眼までの距離を適当な手段を用いて体外から測定し、健常人の脈波の伝播速度1400cm/秒から、心臓から眼底および上腕部血管までの脈波到達時間差を概算し、この時間を上腕部脈波から得たタイミングに加算(あるいは減算)すべき撮影遅延時間として用いるようにし、被検者の個人差を補償するよう制御することも考えられる。
また、上記の発明の課題として考察した通り、末梢血管脈波の原波形は周波数が低いため、眼底撮影のトリガー信号としては適しておらず、また、単に振幅検出回路に測定した末梢血管脈波信号を入力しても常に正しい検出タイミングを得られるとは限らないので、以下の実施例では、末梢血管脈波測定装置から出力される脈波信号波形に特定の信号処理(2次微分)を加えて得た信号に基づき検出ウィンドウを時間軸上に設定し、この検出ウィンドウ内のみで脈波最大振幅(ピーク)や脈波最小振幅のタイミングを検出し、撮影タイミングを決定する。このようにして、眼底像撮影装置の撮影タイミングに最適な信号波形を得ることが可能になる。
また、末梢血管脈波の測定部位は、被検者の上腕部以外に被検者の耳や指など他の所定部位とすることも考えられるが、実施例3では、末梢血管脈波を指など眼よりも心臓から遠い場合に血管脈波と眼底血管脈波の到達時間差に応じた撮影タイミングの補正を行なう場合の構成例を示す。
図1は本発明を採用した眼科測定装置の構成を示している。図において符号10は被検者Hの被検眼の眼底画像を電子的に撮影する眼底カメラで、この眼底カメラ10は眼底画像を撮影するための公知の光学系、撮像系、アライメント機構などから構成されている。
符号21は光プローブで、この光プローブ21は被検者Hの上腕部に装着(クリップや粘着材などによる適当な装着方法を用いる)され、波長800nm付近の近赤外光を測定部位の被検者の上腕部に照射し、測定部位の反射光量あるいは透過光量の変化を脈波信号として出力する。
特に、本実施例では、光プローブ21は、酸化ヘモグロビン(動脈血)の分子吸収係数の大きい830nm以上の波長、たとえば波長940nm(この波長であれば、分子吸収係数が還元ヘモグロビン(静脈血)の約1.5倍程度とれる)に感度選択性を有するものを用いることで動脈の脈波を測定する。
このような光プローブ21を用いた光学的測定によれば、圧力センサーを用いた脈圧測定におけるような被検者の体動により生じるノイズの問題がない。
光プローブ21の出力は末梢血管脈波測定装置22に入力される。光プローブ21および末梢血管脈波測定装置22には、既成の製品を利用することもできる。末梢血管脈波測定装置22は、光プローブ21からの入力信号を増幅するなどの機能を有し、末梢血管脈波測定装置22で得られた脈波信号(22a)は信号処理部23に入力される。
信号処理部23は後述の図2に示すように構成され、眼底カメラ10の撮影タイミング信号(23a)を出力する。また、信号処理部23で得られる後述の各信号(23b)はCRTやLCDなどによるディスプレイ30に出力しその波形を表示することができる。
システム全体の動作は、操作部25の操作に応じて主制御部24により制御される。主制御部24、操作部25、およびディスプレイ30の部分はPC(パーソナルコンピュータ)ハードウェアを利用して構成するか、あるいは公知のオシロスコープ製品などを利用して構成することができる。
眼底カメラ10の撮影した眼底像Igの画像データ(10a)は主制御部24に入力される。
主制御部24は、画像解析処理手段としても機能し、眼底カメラ10の撮影した眼底像Igの画像データ(10a)に対する画像解析処理に基づき、眼底画像中に撮影されている血管径に関する情報、特に、眼底像中の動静脈交叉部の動静脈血管径の比(AV比)や近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)を測定することにより、被検者の高血圧や動脈硬化の状態の評価結果を生成し、ディスプレイ30に出力(あるいは、不図示のプリンタで印刷したりネットワークを介して他の装置に出力)することができる。
図2は図1の信号処理部23の構成例を示している。本実施例では、末梢血管脈波測定装置22が出力する脈波信号(22a)の2次微分信号に基づき、検出ウィンドウを時間軸上に設定し、この検出ウィンドウ内で動脈の脈波最大振幅(ピーク)や脈波最小振幅のタイミングを検出し、撮影タイミングを決定する。
このため、信号処理部23は、末梢血管脈波測定装置22が出力する脈波信号(22a、m0)を入力する直列接続された2つの微分回路231および232を有する。
微分回路231の出力(d1)は微分回路232に出力されるとともに、ゼロクロス検出回路235に入力される。本実施例では、脈波最大振幅(ピーク)や脈波最小振幅のタイミングは、ゼロクロス検出回路235により1次微分信号のゼロクロスを検出することにより求めるようになっている。
微分回路232の出力(d2)はピーク検出回路234に入力され、ピーク検出回路234のピーク検出により検出されたピーク検出信号(ep)がゼロクロス検出回路235にイネーブル信号として入力される。ゼロクロス検出回路235の検出動作はピーク検出回路234からピーク検出信号(ep)が入力された後、初めて有効になる。
ゼロクロス検出回路235が検出したゼロクロスに同期した信号は、パルス成形回路237で波形成形された上、眼底カメラ10の撮影タイミングを決定する撮影同期信号(23a)として眼底カメラ10に出力され、この撮影制御信号により眼底カメラ10の眼底撮影が制御されるが、本実施例では、遅延回路236により上腕部血管脈波と眼底血管脈波の到達時間差に応じた遅延時間(0時間も含む)を設定できるようにしてある。
遅延回路236の設定時間(t2)は、調節手段236aにより設定される。調節手段236aとしては、たとえば上記のように、検者の操作部25を介した手動設定により決定する構成の他、上記の被検者の心臓から測定部位の上腕部までの距離と心臓から眼までの距離を適当な手段を用いて体外から測定した結果を用いて自動設定するような構成が考えられる。
また、1次微分信号(d1)、2次微分信号(d2)、および脈波信号(m0)は、ディスプレイ30に出力(23b)し、重畳表示などの方法でモニタ表示(後述の波形図:図3を参照)させることができる。
さて、動脈硬化や、高血圧に関する診断では、眼底像中の動静脈交叉部の動静脈血管径の比(AV比)や近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)を測定することが求められるが、眼底撮影は、いずれの被検者においても、また同じ被検者に対する複数回の撮影においても同一の撮影条件が形成されるよう、上腕部脈波信号の1サイクル中のあらかじめ定めたタイミングにおいて行なう。
ただし、測定した脈波信号の1サイクル中のいずれのタイミングにおいて眼底撮影を行なうべきかは、現在のところ明確になっておらず、それほど支配的な技術思想が登場している訳ではない。したがって、この種の装置で脈波信号の1サイクル中のいずれのタイミングにおいて眼底撮影を行なうかについては種々の構成が考えられる(たとえば脈波信号の1サイクル中のどのタイミングにおいて眼底撮影を行なうかを検者が選択可能に構成しておくことも一考である)が、本実施例では、光プローブ21で検出した動脈の脈波信号の脈波最大振幅(ピーク)、および脈波最小振幅のタイミングに同期して撮影を行なう例を示す。なお、本実施例では、動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングは、1次微分信号のゼロクロスを検出することにより求める。
図3は、図1および図2の構成において検出される動脈の脈波信号(m0)、1次および2次微分信号(d1、d2)と、図2の信号処理部23が生成する信号のタイミングを示している。
図3において、光プローブ21が撮影に際して被検者の上腕部に装着され、眼底カメラ10があらかじめT0〜T1のアライメント期間において、適宜、被検眼に対して位置決めされる。アライメントが終了すると、検者は時刻T2において眼底カメラ10のシャッタボタンを操作する。
本実施例では、実際の眼底画像撮影は、シャッタボタン操作に応じて即座に行なうのではなく、シャッタボタンの操作(T2)と、このシャッタボタンの操作の後、図2の信号処理部23のピーク検出回路234が最初に2次微分信号(d2)のピークを検出し、ピーク検出信号(ep)を出力(T3)したことを条件として、眼底画像撮影が行なわれる。
上記条件が成立、すなわち、シャッタボタンの操作(T2)の後、ピーク検出回路234が2次微分信号(d2)のピークを検出し、ピーク検出信号(ep)を出力(T3)すると、これにより、ゼロクロス検出回路235の1次微分信号(d1)のゼロクロス検出動作がイネーブルされ(2次微分信号(d2)による検出ウィンドウの設定)、これ以後に行なわれる信号処理に基づき1サイクル(周期)の画像撮影制御が開始される。
ピーク検出回路234がピーク検出信号(ep)を出力した後、ゼロクロス検出回路235による1次微分信号(d1)のゼロクロス検出動作が開始され、ゼロクロス検出回路235は、1次微分信号(d1)のゼロクロスタイミング(zc1およびzc2)をそれぞれ検出する(時刻T4、T6、時刻T3〜T4の時間差はt1)。
1次微分信号(d1)のゼロクロスタイミング(zc1およびzc2)は、動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングにそれぞれ相当しており、さらにゼロクロス検出回路235の出力が遅延回路236で被検者の心臓から測定部位の上腕部までの距離と心臓から眼までの距離の差で生じる脈波到達時間差に対応した遅延時間(t2)だけ遅延され、パルス成形回路237で成形された撮影同期信号(X1、X2)が時刻T5、T7でそれぞれ出力され、撮影同期信号(23a)として眼底カメラ10に入力される。次の脈波信号1サイクル中の検出ウィンドウは、ピーク検出回路234が出力する次のピーク検出信号(ep’)により開始される。
以上のようにして、確実に動脈の脈波信号1サイクル中の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミング(T5、T7)で、順次、眼底カメラ10によって眼底画像を撮影することができる。
本実施例によれば、1次および2次微分信号(d1、d2)を用いてタイミングを決定するが、一般に、1次および2次微分信号(d1、d2)の周波数は原信号(脈波信号m0)よりも高周波であり、これにより精度の高い撮影タイミング制御が可能となる。また、2回微分を行なって得た2次微分信号(d2)のピーク(通常、1次微分信号のピーク/ゼロクロスに先立って出現する)を検出することにより、確実に撮影タイミング制御(1撮影サイクル)の始点を決定できる(単に原信号のピークなどを撮影タイミングとして検出する従来構成では、撮影タイミング制御(1撮影サイクル)の始点がいずれかによって原信号に乗ったノイズなどにより誤まった撮影タイミングを検出する可能性がある)。
さて、眼底カメラ10の撮影データ(10a)は、主制御部24に入力され、主制御部24で画像処理に基づく演算処理を行なうことにより、眼底画像中に撮影されている眼底動静脈交叉部の動静脈血管径の比(AV比)、および近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)などを測定することができる。
図4は、眼底カメラ10によって撮影される眼底画像中の動静脈交叉部の様子を模式的に示している。図4において、符号1および2はそれぞれ動脈、および静脈を示している。
動静脈血管径の比(AV比)は、たとえば動脈1の直径Aと、動脈1と静脈2の交叉点近傍の静脈2の直径(たとえば下記の交叉点より距離A/10だけ末梢側に離れた位置の静脈2の直径V2)の比率として求めることができる。
また、眼底動静脈交叉部の近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)は、たとえば動脈1の直径Aに基づき、動脈1と静脈2の交叉点より距離A*3だけ末梢側に離れた位置の静脈2の直径V1と、交叉点より距離A/10だけ末梢側に離れた位置の静脈2の直径V2を測定し、V2とV1の比として求めることができる。
なお、主制御部24によるAV比およびVV比の測定処理は、1測定点のみについて行なうのではなく、たとえば、眼底乳頭部より1乳頭以上離れた眼底の動脈と静脈の複数の交叉点について実施し、それぞれで得られたV2/V1の比の平均などを算出することにより行なうのが望ましい。
図2に示した撮影制御によれば、動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングにおいて、それぞれ1枚づつ眼底画像を撮影することができるが、4人の被検者A〜Dに対して動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングで眼底画像を撮影し、各撮影タイミングで得た眼底画像からそれぞれ測定した眼底動静脈交叉部の動静脈血管径の比(AV比)、および近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)を図5に示しておく。
動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングで求めたAV比あるいはVV比をどのように評価するか、あるいはどのように組み合せて動脈硬化や、高血圧に関する診断に用いるかは任意であるが、たとえば、本実施例の構成であれば、動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングでそれぞれの撮影画像からAV比あるいはVV比を両方求めることができるので、動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングの眼底撮影からそれぞれ算出されたAV比あるいはVV比を平均するなどの処理を行ない、得られた平均値を動脈硬化や、高血圧に関する診断に用いることが考えられ、このような構成によれば測定誤差を少なくすることができると考えられる。
主制御部24の画像/演算処理により、得られた被検者の高血圧や動脈硬化の状態の評価結果は、ディスプレイ30に出力(あるいは、不図示のプリンタで印刷したりネットワークを介して他の装置に出力)することができる。
なお、図5中のb/a値は、脈波信号(m0)から、1次微分信号を経て微分回路232によって出力される2次微分信号(d2)の脈波1サイクル中の所定の変曲点の高さの比である。
微分回路232は、脈波信号(m0)の入力に基づき、図6に示すような波形の2次微分信号(d2)を出力するが、この2次微分信号(d2)の隣り合う各変曲点の波高a、b、c、d、e(…)の比b/a、c/a、d/a、e/aは動脈硬化や加齢に相関した指標として用いられることがある。脈波の2次微分信号は、加速度脈波とも呼ばれ、既に上記の変曲点の波高比を利用して血管年齢や動脈硬化度を診断する機器が市販されている。
このように、2次微分信号を出力する微分回路232を設けておくことにより、上記のように正確な撮影タイミング制御を行なえる他に、2次微分信号(d2)を主制御部24に入力し、上記の変曲点の波高比(たとえばb/a)の情報を主制御部24に生成させ、血管年齢や動脈硬化度を診断指標として併せて出力することができる利点がある。
以上の実施例では、眼底撮影を動脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングで行なうための構成を示したが、以下に示すように、眼底撮影を静脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングで行なうようにすることも考えられる。
本実施例における眼科測定装置の全体のハードウェア構成は図1とほぼ同様とするが、本実施例では動脈の脈波信号の2次微分信号に基づき、検出ウィンドウを時間軸上に設定し、この検出ウィンドウ内で静脈の脈波最大振幅(ピーク)および脈波最小振幅のタイミングを検出し、撮影タイミングを決定する。
このため、本実施例では、光プローブ21は、動脈および静脈の2つの脈波を検出できるように構成する。すなわち、光プローブ21は、実施例1同様に酸化ヘモグロビン(動脈血)の分子吸収係数の大きい830nm以上の波長、たとえば波長940nmと、還元ヘモグロビン(静脈血)の分子吸収係数の大きい波長780nmの2波長に感度選択性を有するものを用いる。
したがって、光プローブ21は酸化ヘモグロビン(動脈血)に呼応する波長940nm付近のスペクトルの動脈の脈波検出信号(m0)と、還元ヘモグロビン(静脈血)に呼応する波長780nm付近のスペクトルの静脈の脈波検出信号(m0’)を出力する。
これに対応して、図2の信号処理部23は図7に示すように変更する。すなわち、図7では、波長940nm付近のスペクトルの動脈の脈波検出信号(m0)と、波長780nm付近のスペクトルの静脈の脈波検出信号(m0’)をそれぞれ入力する微分回路231および238が設けられている。
そして、ゼロクロス検出回路235は、静脈の脈波最大振幅(ピーク)および脈波最小振幅のタイミングを検出すべく、微分回路238の出力する静脈の脈波検出信号(m0’)の1次微分信号(d1’)を入力する。
また、ゼロクロス検出回路235は、実施例1同様に、微分回路232の出力する動脈の脈波検出信号(m0)の2次微分信号(d12)によりイネーブルされる。
実施例1同様に、信号処理部23中の1次微分信号(d1’)、2次微分信号(d2)、および脈波信号(m0、m0’)は、ディスプレイ30に出力(23b)し、重畳表示などの方法でモニタ表示させることができる。ゼロクロス検出回路235以降の構成は図2と同様である。
本実施例の撮影タイミングは、図8に示すように決定される。図8において、光プローブ21が撮影に際して被検者の上腕部に装着され、眼底カメラ10があらかじめT0〜T1のアライメント期間において、適宜、被検眼に対して位置決めされ、アライメントが終了すると、検者は時刻T2において眼底カメラ10のシャッタボタンを操作する。
本実施例でも、実際の眼底画像撮影は、シャッタボタン操作に応じて即座に行なうのではなく、図2の信号処理部23のピーク検出回路234が2次微分信号(d2)のピークを検出し、ピーク検出信号(ep)を出力した時点(T3)で初めてゼロクロス検出回路235の静脈の脈波検出信号(m0’)の1次微分信号(d1’)のゼロクロス検出動作がイネーブルされ(2次微分信号(d2)による検出ウィンドウの設定)、これ以後に行なわれる信号処理に基づき1サイクル(周期)の画像撮影制御が開始される。
ピーク検出回路234がピーク検出信号(ep)を出力した後、ゼロクロス検出回路235による1次微分信号(d1’)のゼロクロス検出動作が開始され、ゼロクロス検出回路235は、静脈の脈波検出信号(m0’)の1次微分信号(d1’)のゼロクロスタイミング(zc1’およびzc2’)をそれぞれ検出する(時刻T4’、T6’)。
静脈の脈波検出信号(m0’)の1次微分信号(d1)のゼロクロスタイミング(zc1’およびzc2’)は、静脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングにそれぞれ相当しており、さらにゼロクロス検出回路235の出力が遅延回路236に設定された遅延時間(t2)、たとえば被検者の心臓から測定部位の上腕部までの距離と心臓から眼までの距離の差で生じる脈波到達時間差に対応した遅延時間だけ遅延され、これに応じてパルス成形回路237で成形された撮影同期信号(X1、X2)が時刻T5’、T7’でそれぞれ出力され、撮影同期信号(23a)として眼底カメラ10に入力される。次の脈波信号1サイクル中の検出ウィンドウは、ピーク検出回路234が出力する次のピーク検出信号(ep’)により開始される。
以上のようにして、確実に静脈の脈波信号1サイクル中の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミング(T5’、T7’)で、順次、眼底カメラ10によって眼底画像を撮影することができる。
本実施例によれば、静脈の脈波信号1サイクル中の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングで撮影された眼底画像(10a)は、実施例1と同様に主制御部24に入力され、主制御部24で画像処理に基づく演算処理を行なうことにより、眼底画像中に撮影されている血管径に関する情報、特に眼底動静脈交叉部の動静脈血管径の比(AV比)、および近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)などを測定し、あるいはさらにこれら血管径に関する情報に基づき血管年齢や動脈硬化度、高血圧などに関する情報を生成し、出力することができる。
図9は、4人の被検者A〜Dに対して静脈の脈波信号の脈波最大振幅、および脈波最小振幅のタイミングで眼底画像を撮影し、各撮影タイミングで得た眼底画像からそれぞれ測定した眼底動静脈交叉部の動静脈血管径の比(AV比)、および近位と遠位静脈の血管径の比(VV比)の例である。
以上では、末梢血管脈波を被検者の上腕部で測定する例を示したが、末梢血管脈波の測定は被検者の指や耳など他の所定部位で行なっても同様の制御が可能であるのはいうまでもない。
たとえば、図1および図2と同様の測定ハードウェアを用いて被検者の耳朶に光プローブ21を装着して末梢血管脈波を測定し、測定した脈波1サイクル中の所定のタイミングで撮影を行なう構成が考えられるが、この場合、脈波の測定部位の耳朶と眼では心臓からの脈波到達時間差は極めて小さいと考えられるので、図2の遅延回路236の設定時間(t2)は0に設定するか、あるいは遅延回路236自体を省略するよう装置を構成することもできる。
また、図1と同様の測定ハードウェアを用いて被検者の指(指尖)に光プローブ21を装着して末梢血管脈波を測定した脈波1サイクル中の所定のタイミングで撮影を行なうような構成も考えられる。
このような構成においては、脈波の測定部位の指と眼では、脈波は指よりも眼に先に到達する。したがって、脈波到達時間差の補正を行なうには、実施例1および2の場合と異なり、測定した脈波1サイクル中で求めたタイミングに対して、撮影タイミングの補正時間として負の遅延時間を作用させて撮影タイミングを求める必要がある。
このためには、図10に示すような構成を用いて、脈波2サイクル分の撮影期間を用いて撮影を行なうことが考えられる。図10の構成は、図2の構成を変更したものである。
図10では、ピーク検出回路234が出力する(脈波2次微分信号の)ピーク検出信号epでスタートし、ゼロクロス検出回路235の出力する2つのゼロクロス検出信号(下記のzc10およびzc20)で計時時間(下記のt11およびt12)をラッチするカウンタ240が設けられている。
図10の構成は、図11(図3に相当)のような測定を行なうよう考えられたものである。図11において、zc10およびzc20は、図3のzc1およびzc2と同じゼロクロス検出回路235の出力する2つのゼロクロス検出信号のタイミング(実施例1同様に脈波波高の最大および最小タイミング)である。
そして、本実施例では、被検者の指(指尖)に光プローブ21を装着して末梢血管脈波を測定するので、zc10およびzc20(時刻T4、T6)よりも指と眼の脈波到達時間差に相当する時間t20(負の遅延時間)だけ早期のタイミング(T5”およびT7”)で撮影を行なう必要がある。
実時間でこのような撮影制御を行なうのは不可能であるから、本実施例では、脈波1サイクル目で撮影タイミングを計算し、脈波2サイクル目で実際の撮影を行なう。
このため、図10では、脈波1サイクル目で、カウンタ240で時間t11およびt12(ピーク検出信号epからゼロクロスタイミングzc10およびzc20までの経過時間:ゼロクロス時間)を測定し、あらかじめ求めておいた指と眼の脈波到達時間差に相当する時間t20を減算(負の遅延時間を加算)した(t11−t20)および(t12−t20)の時間値を、撮影タイミングの補正時間としてメモリ242に格納するようにしている。
遅延回路239は、脈波2サイクル目のピーク検出信号ep’で起動し、メモリ242の(t11−t20)および(t12−t20)の各時間を計時した後、パルス成形回路237をイネーブルする。この遅延回路239の動作は、脈波2サイクル目に入るまで、ゲート241を制御信号241aで閉じておくことにより阻止されるようにしておく(このためには、たとえばゲート241をピーク検出回路234のピーク検出信号が2回入力されたら開くように構成しておく)。
以上のような構成により、図11の脈波2サイクル目のT5’およびT7’において、パルス成形回路237が出力する撮影信号(23a)により眼底カメラを動作させ、撮影を行なうことができる。このようにして、脈波2サイクル目のゼロクロスタイミングzc11およびzc21よりも指と眼の脈波到達時間差に相当する時間t20だけ早期のタイミング(T5’およびT7’)で撮影を行なうことができる。
上記のような構成によれば、実際の脈波2サイクル目のゼロクロスタイミングzc11およびzc21(時刻T4’、T6’)から撮影タイミングを求めてはいないが、隣り合う脈波2サイクル内で撮影を行なうようにしており、脈波1サイクル目と脈波2サイクル目では脈動の誤差はそれほど大きくないと考えられ、本実施例のような構成でも充分な精度で脈波測定部位(指)と眼の脈波到達時間差分を補正した撮影を行なうことができる。
本実施例においても、眼底カメラのシャッタ操作後に脈波測定手段から得られる脈波信号の2次微分信号のピークタイミングに同期して眼底撮影制御(1サイクル目の撮影時間演算処理、および2サイクル目の撮影制御)が起動されることは上述の各実施例と同様であり、眼底撮影制御、特に1サイクル目の撮影時間演算処理、および2サイクル目の撮影制御をいずれも極めて正確に実行することができる。
なお、本実施例において図10および図11に示したような撮影制御は、実施例1および2のように心臓から脈波測定部位までの脈波到達時間よりも心臓から眼までの脈波到達時間の方が大きい場合においても、同様に実施できる。この場合、メモリ242および遅延回路239は脈波到達時間差を加算(正の遅延時間を加算)するよう動作することになる。
このように、本実施例の構成は、撮影制御に2サイクルを要するものの、心臓から眼および脈波測定部位までの脈波到達時間の大小関係がいずれであっても対応でき、測定状況や被検者の体調などに応じて適当な脈波測定部位として、上腕部、指、耳などを選択できる柔軟性のある測定システムを提供できる。
本発明は、被検者の末梢血管の脈波に同期して眼底カメラにより被検者の眼底を撮影する種々の眼科測定装置製品に適用することができる。
本発明を採用した眼科測定装置の構成を示した説明図である。 図1の信号処理部の構成を示した説明図である。 図2の信号処理部による撮影制御動作を示したタイミング図である。 本発明を採用した眼科測定装置における測定処理を示した説明図である。 図2および図3の構成を用いた場合の測定結果の例を示した説明図である。 図1の装置における2次微分信号に関する測定結果の例を示した説明図である。 図1の信号処理部の異なる構成を示した説明図である。 図7の信号処理部による撮影制御動作を示したタイミング図である。 図7および図8の構成を用いた場合の測定結果の例を示した説明図である。 脈波測定部位と心臓の距離が被験眼と心臓の距離よりも大きい場合の信号処理部の構成を示した説明図である。 図10の信号処理部による撮影制御動作を示したタイミング図である。
符号の説明
1 動脈
2 静脈
10 眼底カメラ
21 光プローブ
22 末梢血管脈波測定装置
23 信号処理部
24 主制御部
25 操作部
30 ディスプレイ
231、232 微分回路
234 ピーク検出回路
235 ゼロクロス検出回路
236 遅延回路
237 パルス成形回路
238 微分回路
239 遅延回路
240 カウンタ
241 ゲート
242 メモリ

Claims (5)

  1. 被検者の末梢血管の脈波に同期した所定のタイミングで眼底カメラにより被検者の眼底を撮影する眼科測定装置において、
    被検者の末梢血管の脈波を測定する脈波測定手段と、
    前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1サイクル中の所定のタイミングに同期して前記眼底カメラにより被検者の眼底を撮影させる撮影制御手段と、
    前記眼底カメラのシャッタ操作後に前記脈波測定手段から得られる脈波信号の2次微分信号のピークタイミングに同期して前記撮影制御手段の眼底撮影制御を有効化する制御手段と、
    前記眼底カメラで撮影された眼底画像に対する画像処理に基づく演算処理を行なうことにより、眼底画像中に撮影されている血管径に関する情報を測定する画像解析処理手段とを有することを特徴とする眼科測定装置。
  2. 前記撮影制御手段が、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングに同期して前記眼底カメラにより眼底撮影を行なわせることを特徴とする請求項1に記載の眼科測定装置。
  3. 前記撮影制御手段が、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングに対して、被検者の心臓から前記脈波測定手段による被検者の体の脈波測定部位までと被検者の心臓から被検者の眼までの脈波到達時間差にほぼ対応する遅延時間を加えたタイミングに同期して前記眼底カメラにより眼底撮影を行なわせることを特徴とする請求項2に記載の眼科測定装置。
  4. 前記脈波測定手段から得られる脈波信号の2次微分信号の複数のピークタイミングの波高の比を測定し、出力することを特徴とする請求項1に記載の眼科測定装置。
  5. 前記撮影制御手段が、前記脈波測定手段から得られる脈波信号の1サイクル目で、前記脈波信号の2次微分信号のピークタイミングから前記脈波信号の1次微分信号のゼロクロスタイミングまでのゼロクロス時間を測定し、続いて前記脈波測定手段から得られる脈波信号の2サイクル目で、前記ゼロクロス時間と、被検者の心臓から前記脈波測定手段による被検者の体の脈波測定部位までと被検者の心臓から被検者の眼までの脈波到達時間差にほぼ対応する補正時間から求めた撮影タイミングに同期して前記眼底カメラにより眼底撮影を行なわせることを特徴とする請求項1に記載の眼科測定装置。
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